JP2013166731A - エンドセリン作用抑制剤及び美白剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、エンドセリン作用抑制剤及び美白剤に関する。
エンドセリンは、内皮細胞由来のペプチドホルモンで、受容体を通して種々の細胞や組織に作用する。例えば、血管平滑筋細胞等において細胞内カルシウム濃度上昇を引き起こすことが知られている(非特許文献1)。
近年、エンドセリンが表皮メラノサイト(メラニン細胞)に対し細胞内カルシウム濃度上昇を促し、細胞内のシグナル伝達系を介して細胞増殖を促進するとともに、メラニン合成の律速酵素であるチロシナーゼの活性を増強することが報告されている(非特許文献2参照)。また、エンドセリンは表皮角化細胞(ケラチノサイト)が産生するメラノサイト活性化因子の1つであること(非特許文献3)、紫外線誘導性色素沈着や老人性色素斑形成の重要な要因であることが報告されている(非特許文献4、5)。
このようなエンドセリンの生体作用から、エンドセリンの作用を抑制しうる物質は、メラニン生成や色素沈着等を抑制し、美白剤として有用である。
近年、エンドセリンが表皮メラノサイト(メラニン細胞)に対し細胞内カルシウム濃度上昇を促し、細胞内のシグナル伝達系を介して細胞増殖を促進するとともに、メラニン合成の律速酵素であるチロシナーゼの活性を増強することが報告されている(非特許文献2参照)。また、エンドセリンは表皮角化細胞(ケラチノサイト)が産生するメラノサイト活性化因子の1つであること(非特許文献3)、紫外線誘導性色素沈着や老人性色素斑形成の重要な要因であることが報告されている(非特許文献4、5)。
このようなエンドセリンの生体作用から、エンドセリンの作用を抑制しうる物質は、メラニン生成や色素沈着等を抑制し、美白剤として有用である。
Hirata Y.et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1988,vol.154,p.868-875
Yada Y.et al.,J.Biol.Chem.,1991,vol.266,p.18352-18357
Imokawa G.et al.,J.Biol.Chem.,1992,vol.267,p.24675-24680
Imokawa G.et al.,J.Invest.Dermatol.,1995,vol.105,p.32-37
Kadono S.et al.,J.Invest.Dermatol.,2001,vol.116,p.571-577
本発明は、エンドセリンの作用を抑制する、エンドセリン作用抑制剤の提供を課題とする。また、本発明は、メラニン生成を抑制する、美白剤の提供を課題とする。また、本発明は、エンドセリンの作用を抑制し、美白作用を奏する、皮膚外用剤の提供を課題とする。
本発明者等は上記課題に鑑み、エンドセリンの作用を抑制する新規物質を探求すべく鋭意検討を行った。その結果、下記一般式(1)で表される化合物が、エンドセリンの作用によって引き起こされるメラノサイト内のカルシウム(イオン)濃度上昇を効果的に抑制することを見出し、該化合物が新規の美白成分として有用であるとの知見を得た。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分とするエンドセリン作用抑制剤に関する。
(R1〜R3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R4は水素原子又は一般式(2)で表される基を表す。)
また、本発明は、前記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する、美白剤に関する。
さらに、本発明は、一般式(3)で表される化合物又はその塩を有効成分とする、皮膚外用剤に関する。
さらに、本発明は、一般式(3)で表される化合物又はその塩を有効成分とする、皮膚外用剤に関する。
(R1〜R3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
本発明のエンドセリン作用抑制剤は、エンドセリン作用抑制効果を奏し、エンドセリンによるメラノサイト内のカルシウム濃度上昇を抑制することができる。また、本発明の美白剤は、メラニン生成を抑制することができる。また、本発明の皮膚外用剤は、エンドセリンの作用を抑制し、美白作用を奏する。
本発明のエンドセリン作用抑制剤及び美白剤は、一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分とする。後述の実施例で実証するように、当該化合物は、エンドセリン作用抑制効果を有する。
一般式(1)中、R1〜R3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、具体例としては水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基が挙げられる。
R1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)が好ましく、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
R2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)が好ましく、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
R3は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)が好ましく、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
R1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)が好ましく、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
R2は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)が好ましく、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
R3は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)が好ましく、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式(1)中、R4は水素原子又は一般式(2)で表される基を表す。
一般式(1)で表される化合物の具体例を下記に示す。しかし、本発明はこれらにより限定されるものではない。
本発明において、一般式(1)で表される化合物として、R1が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)であり、R2が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)であり、R3が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)であり、R4が水素原子又は一般式(2)で表される基である化合物が好ましい。
さらには、一般式(1)で表される化合物として、R1が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R2が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R3が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R4が水素原子又は一般式(2)で表される基である化合物がより好ましい。
さらには、一般式(1)で表される化合物として、R1が水素原子又はメチル基であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3が水素原子又はメチル基であり、R4が水素原子又は一般式(2)で表される基である化合物がさらに好ましい。
さらには、一般式(1)で表される化合物として、R1がメチル基であり、R2が水素原子であり、R3が水素原子であり、R4が水素原子又は一般式(2)で表される基である化合物がさらに好ましい。
さらには、一般式(1)で表される化合物として、前記式(11)で表される化合物(本明細書において、「エベルニン酸」又は「例示化合物(11)」ともいう)及び式(12)で表される化合物(本明細書において、「エベルン酸」又は「例示化合物(12)」ともいう)が特に好ましい。
さらには、一般式(1)で表される化合物として、R1が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R2が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R3が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R4が水素原子又は一般式(2)で表される基である化合物がより好ましい。
さらには、一般式(1)で表される化合物として、R1が水素原子又はメチル基であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3が水素原子又はメチル基であり、R4が水素原子又は一般式(2)で表される基である化合物がさらに好ましい。
さらには、一般式(1)で表される化合物として、R1がメチル基であり、R2が水素原子であり、R3が水素原子であり、R4が水素原子又は一般式(2)で表される基である化合物がさらに好ましい。
さらには、一般式(1)で表される化合物として、前記式(11)で表される化合物(本明細書において、「エベルニン酸」又は「例示化合物(11)」ともいう)及び式(12)で表される化合物(本明細書において、「エベルン酸」又は「例示化合物(12)」ともいう)が特に好ましい。
また、本発明のエンドセリン作用抑制剤及び美白剤において、一般式(1)で表される化合物は、一般式(3)で表される化合物も好ましい。さらに、本発明の皮膚外用剤は、一般式(3)で表される化合物又はその塩(以下、本明細書において、「エベルニン酸化合物」ともいう)を有効成分とする。
以下、エベルニン酸化合物について説明する。
以下、エベルニン酸化合物について説明する。
一般式(3)において、R1〜R3はそれぞれ一般式(1)におけるR1〜R3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
本発明において、一般式(3)で表される化合物として、R1が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)であり、R2が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)であり、R3が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)である化合物が好ましい。
さらには、一般式(3)で表される化合物として、R1が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R2が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R3が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)である化合物がより好ましい。
さらには、一般式(3)で表される化合物として、R1が水素原子又はメチル基であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3が水素原子又はメチル基である化合物がさらに好ましい。
さらには、一般式(3)で表される化合物として、R1がメチル基であり、R2が水素原子であり、R3が水素原子であり、R4が水素原子又は一般式(2)で表される基である化合物がさらに好ましい。
さらには、一般式(3)で表される化合物として、前記例示化合物(11)が特に好ましい。
本発明において、一般式(3)で表される化合物として、R1が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)であり、R2が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)であり、R3が水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基)である化合物が好ましい。
さらには、一般式(3)で表される化合物として、R1が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R2が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)であり、R3が水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)である化合物がより好ましい。
さらには、一般式(3)で表される化合物として、R1が水素原子又はメチル基であり、R2が水素原子又はメチル基であり、R3が水素原子又はメチル基である化合物がさらに好ましい。
さらには、一般式(3)で表される化合物として、R1がメチル基であり、R2が水素原子であり、R3が水素原子であり、R4が水素原子又は一般式(2)で表される基である化合物がさらに好ましい。
さらには、一般式(3)で表される化合物として、前記例示化合物(11)が特に好ましい。
本発明において、一般式(1)又は一般式(3)で表される化合物の塩も用いることができる。一般式(1)又は一般式(3)で表される化合物の塩としては特に限定されないが、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン塩及び4級アンモニウム塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、又はリジン、ヒスチジン、アルギニン等のアミノ酸塩などが挙げられ、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、アミノ酸塩である。
前記一般式(1)又は一般式(3)で表される化合物又はその塩は、通常の方法により合成することもできるし、天然物由来の材料から抽出・精製等して得ることもできる。また、市販の試薬としても入手可能である。
前記一般式(1)又は一般式(3)で表される化合物又はその塩を化学合成する方法としては、例えば、Tetrahedron,vol.21,No.12,p.3531-6,1965;薬学雑誌,vol.56,p.837-40,1936等に記載の方法が挙げられる。
植物等の天然素材から抽出・単離する方法としては、特に限定されないが、例えば、植物を適当な溶媒を用いて抽出し、得られた植物抽出物からクロマトグラフィー等の手法により前記一般式(1)又は一般式(3)で表される化合物又はその塩を単離する方法が挙げられる。植物としては、例えば、ナガサルオガセ(Usnea longissima)を用いることができる。抽出溶媒としては、植物成分の抽出に通常用いられるものを使用でき、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また抽出条件も通常の条件を適用でき、一例として、植物を0〜100℃で数分間〜数週間程度浸漬又は加熱還流することが挙げられる。
前記一般式(1)又は一般式(3)で表される化合物又はその塩を化学合成する方法としては、例えば、Tetrahedron,vol.21,No.12,p.3531-6,1965;薬学雑誌,vol.56,p.837-40,1936等に記載の方法が挙げられる。
植物等の天然素材から抽出・単離する方法としては、特に限定されないが、例えば、植物を適当な溶媒を用いて抽出し、得られた植物抽出物からクロマトグラフィー等の手法により前記一般式(1)又は一般式(3)で表される化合物又はその塩を単離する方法が挙げられる。植物としては、例えば、ナガサルオガセ(Usnea longissima)を用いることができる。抽出溶媒としては、植物成分の抽出に通常用いられるものを使用でき、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また抽出条件も通常の条件を適用でき、一例として、植物を0〜100℃で数分間〜数週間程度浸漬又は加熱還流することが挙げられる。
本発明のエンドセリン作用抑制剤及び美白剤においては、有効成分として一般式(1)で表される化合物又はその塩を単独で用いてもよく、また2種以上混合して用いてもよい。
本発明の皮膚外用剤においては、有効成分として一般式(3)で表される化合物又はその塩を単独で用いてもよく、また2種以上混合して用いてもよい。
本発明の皮膚外用剤においては、有効成分として一般式(3)で表される化合物又はその塩を単独で用いてもよく、また2種以上混合して用いてもよい。
後述の実施例で実証しているように、前記一般式(1)で表される化合物は、エンドセリンによるメラノサイトのカルシウム濃度上昇を効果的に抑制することができる。さらに、当該化合物は、メラノサイトに対するエンドセリンの作用を抑制することでメラニン生成を抑制しうるため、美白効果を奏する。なお、本発明において「美白(作用)」とは、メラニン色素の生成を抑え、余分なメラニンのない本来の透明な肌色に戻すこと、または皮膚の黒化若しくはシミ・ソバカス等の色素沈着を防止、抑制することを意味する。
本発明において、一般式(1)で表される化合物又はその塩は、そのままエンドセリン作用抑制剤又は美白剤として用いてもよい。同様に、一般式(3)で表される化合物又はその塩は、そのまま皮膚外用剤として用いてもよい。また、一般式(1)若しくは一般式(3)で表される化合物又はその塩に、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、蒸留水、乳糖、デンプン等の適当な液体又は固体の賦形剤または増量剤を加えて用いてもよい。さらには、一般式(1)若しくは一般式(3)で表される化合物又はその塩に加え、他の成分を加えてもよい。例えば、その他の美白剤、保湿剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、色材種、油性物質、高分子化合物、防腐剤、粉体、色素、香料、乳化安定剤、pH調整剤等、通常の美白剤に用いられる成分を加えることができる。
本発明のエンドセリン作用抑制剤及び美白剤は、皮膚化粧料、外用医薬品、外用医薬部外品等として皮膚等に適用することができ、その剤型も水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、ゲル系、軟膏系、クリーム、水−油2層系、水−油−粉末3層系など、幅広い形態をとり得る。例えば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ローション、ジェル、エッセンス(美容液)、パック、マスク、ファンデーション、軟膏、シート状製品等の形態が挙げられる。
本発明のエンドセリン作用抑制剤及び美白剤における一般式(1)で表される化合物又はその塩の含有量に特に制限はないが、0.00001〜5質量%が好ましく、0.00001〜3質量%がより好ましく、0.0001〜3質量%が特に好ましい。また、本発明の皮膚外用剤における一般式(3)で表される化合物又はその塩の含有量に特に制限はないが、0.00001〜5質量%が好ましく、0.00001〜3質量%がより好ましく、0.0001〜3質量%が特に好ましい。
本発明のエンドセリン作用抑制剤、美白剤及び皮膚外用剤の使用量に特に制限はなく、有効成分の含有量により異なるが、例えばクリーム状、軟膏状の場合、皮膚面1cm2当たり0.1〜5μgが好ましく、液状製剤の場合、皮膚面1cm2当たり0.1〜10μgが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(製造例1)エベルン酸の製造
ナガサルオガセ(新和物産社より購入)50gに50体積%エタノール水溶液1Lを加え、20℃で14日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物940mL(固形分1.76g)を得た。この抽出物中の固形分55.3mgをHPLCで分画し、エベルン酸4.4mg(収率7.96%)を得た。
単離成分の構造解析は、NMRにより行った。単離成分のNMRスペクトルデータが文献で報告されているエベルン酸(Phytochemistry,Vol.48,No.5,pp.815-822,1998参照)のスペクトルデータとほぼ一致したことから、単離された成分はエベルン酸であると同定した。なお、NMRによる構造解析の結果を表1に示す。下記表1において、Meはメチル基を表す。
ナガサルオガセ(新和物産社より購入)50gに50体積%エタノール水溶液1Lを加え、20℃で14日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物940mL(固形分1.76g)を得た。この抽出物中の固形分55.3mgをHPLCで分画し、エベルン酸4.4mg(収率7.96%)を得た。
単離成分の構造解析は、NMRにより行った。単離成分のNMRスペクトルデータが文献で報告されているエベルン酸(Phytochemistry,Vol.48,No.5,pp.815-822,1998参照)のスペクトルデータとほぼ一致したことから、単離された成分はエベルン酸であると同定した。なお、NMRによる構造解析の結果を表1に示す。下記表1において、Meはメチル基を表す。
(製造例2)エベルニン酸の製造
ナガサルオガセ(新和物産社より購入)50gに50体積%エタノール水溶液1Lを加え、20℃で14日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物940mL(固形分1.76g)を得た。この抽出物中の固形分55.3mgをHPLCで分画し、エベルニン酸2.1mg(収率3.8%)を得た。
単離成分の構造解析は、NMRにより行った。単離成分のNMRスペクトルデータが文献で報告されているエベルニン酸(Phytochemistry,Vol.26,No.12,pp.3181-3185,1987参照)のスペクトルデータとほぼ一致したことから、単離された成分はエベルニン酸であると同定した。NMRによる構造解析の結果を表2に示す。下記表2において、Meはメチル基を表す。
ナガサルオガセ(新和物産社より購入)50gに50体積%エタノール水溶液1Lを加え、20℃で14日間抽出後ろ過し、ナガサルオガセ抽出物940mL(固形分1.76g)を得た。この抽出物中の固形分55.3mgをHPLCで分画し、エベルニン酸2.1mg(収率3.8%)を得た。
単離成分の構造解析は、NMRにより行った。単離成分のNMRスペクトルデータが文献で報告されているエベルニン酸(Phytochemistry,Vol.26,No.12,pp.3181-3185,1987参照)のスペクトルデータとほぼ一致したことから、単離された成分はエベルニン酸であると同定した。NMRによる構造解析の結果を表2に示す。下記表2において、Meはメチル基を表す。
(参考例)ジャーマンカミツレ抽出物の調製
ジャーマンカミツレ(和名:カミツレ、新和物産社より入手)の花部40gに、50体積%エタノール含有水溶液400mLを加え、室温で14日間抽出後ろ過し、ジャーマンカミツレ抽出物(221mL)を得た(蒸発残分2.63%)。
ジャーマンカミツレ(和名:カミツレ、新和物産社より入手)の花部40gに、50体積%エタノール含有水溶液400mLを加え、室温で14日間抽出後ろ過し、ジャーマンカミツレ抽出物(221mL)を得た(蒸発残分2.63%)。
試験例 エンドセリン作用抑制効果の検証
前記各化合物及び抽出物について、下記の評価系を用いてエンドセリン作用抑制効果を検証した。なお、エンドセリンはメラノサイトに作用してカルシウム濃度を上昇させ、メラニン産生を増加させることが知られており(Yada Y.et al.,J.Biol.Chem.,vol.266,p.18352-18357,1991;Imokawa G.et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,p.24675-24680,1992など参照)、エンドセリンの当該作用を抑制する物質は美白成分として有用である。
前記各化合物及び抽出物について、下記の評価系を用いてエンドセリン作用抑制効果を検証した。なお、エンドセリンはメラノサイトに作用してカルシウム濃度を上昇させ、メラニン産生を増加させることが知られており(Yada Y.et al.,J.Biol.Chem.,vol.266,p.18352-18357,1991;Imokawa G.et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,p.24675-24680,1992など参照)、エンドセリンの当該作用を抑制する物質は美白成分として有用である。
正常ヒト新生児表皮由来メラノサイト(NHEMs;クラボウ社製)を、蛍光検出用の96穴プレートに3×104cells/well(200μL/well)で播種し、5%CO2下にて37℃で培養した。培地には、PMA(−)の増殖用添加剤(HMGS)を含むMedium 254を用いた。
3日間培養後、培養プレートからデカントで培地を除去し、細胞内Ca2++測定試薬Fluo4-AMを含むアッセイバッファーに置換し、37℃で1時間インキュベートした。次に、FDSS(Functional Drug Screening System)機器において測定開始20秒後に所定濃度の上記化合物又はジャーマンカミツレ抽出物で1分間前処理した後、リガンドであるエンドセリン(ET−1、終濃度100nM)を添加し、Fluo4-AMの蛍光をEx.480nm/Em.540nmの測定波長で測定開始から5分後まで経時的に検出した。
コントロールにおけるFluo4-AMの蛍光増加比(Max.ratio-Min.ratio)を100とした場合の相対値(%)で、各化合物又は抽出物における、エンドセリン刺激による細胞内カルシウム(カルシウムイオン)濃度上昇率(%)を算出し、エンドセリン作用抑制効果を評価した。なお、コントロールとして、エタノールを添加したものを用いた。
その結果を表3に示す。
3日間培養後、培養プレートからデカントで培地を除去し、細胞内Ca2++測定試薬Fluo4-AMを含むアッセイバッファーに置換し、37℃で1時間インキュベートした。次に、FDSS(Functional Drug Screening System)機器において測定開始20秒後に所定濃度の上記化合物又はジャーマンカミツレ抽出物で1分間前処理した後、リガンドであるエンドセリン(ET−1、終濃度100nM)を添加し、Fluo4-AMの蛍光をEx.480nm/Em.540nmの測定波長で測定開始から5分後まで経時的に検出した。
コントロールにおけるFluo4-AMの蛍光増加比(Max.ratio-Min.ratio)を100とした場合の相対値(%)で、各化合物又は抽出物における、エンドセリン刺激による細胞内カルシウム(カルシウムイオン)濃度上昇率(%)を算出し、エンドセリン作用抑制効果を評価した。なお、コントロールとして、エタノールを添加したものを用いた。
その結果を表3に示す。
ジャーマンカミツレ抽出物は、エンドセリンの作用によるメラノサイトのCa濃度上昇を抑制し、メラニン産生を抑制することが知られている(例えば、Pigment Cell Res.,vol.10,p.218-228,1997参照)。表3から明らかなように、ジャーマンカミツレ抽出物を添加した系では、濃度依存的なカルシウム濃度上昇抑制作用が確認された。特に濃度が1v/v%の系では、20%以上もカルシウム濃度上昇が抑制され、優れたエンドセリン抑制作用が確認された。
これに対して、表3から明らかなように、エベルン酸及びエベルニン酸を添加した系では、エンドセリン刺激によるメラノサイト内のカルシウム濃度上昇が、濃度依存的に抑制された。すなわち、前記一般式(1)で表される化合物は、公知の美白成分であるジャーマンカミツレ抽出物と同等またはそれ以上の、優れたエンドセリン抑制作用を有し、美白成分として有用であることがわかる。
これに対して、表3から明らかなように、エベルン酸及びエベルニン酸を添加した系では、エンドセリン刺激によるメラノサイト内のカルシウム濃度上昇が、濃度依存的に抑制された。すなわち、前記一般式(1)で表される化合物は、公知の美白成分であるジャーマンカミツレ抽出物と同等またはそれ以上の、優れたエンドセリン抑制作用を有し、美白成分として有用であることがわかる。
(処方例)
前記製造例で得られた化合物を有効成分とする、下記に示す組成のローション、乳液、美容液及びクリームの形態の美白剤又は皮膚外用剤を常法により各々調製した。
前記製造例で得られた化合物を有効成分とする、下記に示す組成のローション、乳液、美容液及びクリームの形態の美白剤又は皮膚外用剤を常法により各々調製した。
1.ローションの調製
(組成) (配合:質量%)
1,3-ブチレングリコール 8.0
グリセリン 5.0
エタノール 3.0
エベルン酸 0.001
カミツレエキス 3.0
キキョウエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
キサンタンガム 0.1
ヒアルロン酸 0.1
リン酸二ナトリウム 0.1
リン酸二水素ナトリウム 0.1
アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
精製水 残部
香料 適量
防腐剤 適量
(組成) (配合:質量%)
1,3-ブチレングリコール 8.0
グリセリン 5.0
エタノール 3.0
エベルン酸 0.001
カミツレエキス 3.0
キキョウエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
キサンタンガム 0.1
ヒアルロン酸 0.1
リン酸二ナトリウム 0.1
リン酸二水素ナトリウム 0.1
アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
精製水 残部
香料 適量
防腐剤 適量
2.乳液の調製
(組成) (配合:質量%)
エベルン酸 0.1
カミツレエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
アルテアエキス 2.0
スクワラン 3.0
オリブ油 3.0
グリセリン 5.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの付加モル数:40)1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
キサンタンガム 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.02
精製水 残部
防腐剤 適量
(組成) (配合:質量%)
エベルン酸 0.1
カミツレエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
アルテアエキス 2.0
スクワラン 3.0
オリブ油 3.0
グリセリン 5.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの付加モル数:40)1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
キサンタンガム 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.02
精製水 残部
防腐剤 適量
3.美容液の調製
(組成) (配合:質量%)
エベルン酸 0.01
カミツレエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2
水酸化カリウム 0.2
キサンタンガム 0.1
ヒアルロン酸 0.2
クエン酸ナトリウム 0.15
クエン酸 0.03
グリセリン 10.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
エデト酸二ナトリウム 0.05
精製水 残部
防腐剤 適量
香料 適量
(組成) (配合:質量%)
エベルン酸 0.01
カミツレエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2
水酸化カリウム 0.2
キサンタンガム 0.1
ヒアルロン酸 0.2
クエン酸ナトリウム 0.15
クエン酸 0.03
グリセリン 10.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
エデト酸二ナトリウム 0.05
精製水 残部
防腐剤 適量
香料 適量
4.美容液の調製
(組成) (配合:質量%)
エベルニン酸 0.05
カミツレエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
キサンタンガム 0.2
カルボキシメチルセルロース 0.2
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.15
グリセリン 5.0
プロピレングリコール 3.0
ポリエチレングリコール(分子量1500) 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 0.5
精製水 残部
防腐剤 適量
(組成) (配合:質量%)
エベルニン酸 0.05
カミツレエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
キサンタンガム 0.2
カルボキシメチルセルロース 0.2
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.15
グリセリン 5.0
プロピレングリコール 3.0
ポリエチレングリコール(分子量1500) 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 0.5
精製水 残部
防腐剤 適量
5.クリームの調製
(組成) (配合:質量%)
エベルン酸 0.05
カミツレエキス 2.0
キキョウエキス 2.0
チョウジエキス 2.0
メチルポリシロキサン 3.0
スクワラン 2.0
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 3.0
ステアリルアルコール 1.5
セタノール 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの付加モル数:60)0.5
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
水酸化カリウム 0.15
キサンタンガム 0.1
エデト酸二ナトリウム 0.05
精製水 残部
防腐剤 適量
香料 適量
(組成) (配合:質量%)
エベルン酸 0.05
カミツレエキス 2.0
キキョウエキス 2.0
チョウジエキス 2.0
メチルポリシロキサン 3.0
スクワラン 2.0
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 3.0
ステアリルアルコール 1.5
セタノール 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの付加モル数:60)0.5
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
水酸化カリウム 0.15
キサンタンガム 0.1
エデト酸二ナトリウム 0.05
精製水 残部
防腐剤 適量
香料 適量
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- 2012-02-16 JP JP2012032039A patent/JP2013166731A/ja active Pending
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