JP2014076474A - 配管溶接用治具及び配管の溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】配管に対する周方向溶接時の溶接変形を防ぐことができ、配管に溶接変形が生じたとしても、配管から容易に引き出し得る配管溶接用治具及び配管の溶接方法を提供する。
【解決手段】配管W内に挿入して用いられる配管溶接用治具1であって、配管Wの軸心の周囲に径方向に移動可能に配置され且つ配管Wの一端側から他端側にかけて円弧長が漸次減少する先細り形状の複数の一方側張り出し体3と、配管Wの軸心の周囲に径方向に移動可能で且つ一方側張り出し体4と円周方向に交互に配置され、配管Wの他端側から一端側にかけて円弧長が漸次減少する先細り形状の複数の他方側張り出し体4と、両張り出し体3,4の各隣接斜面3a,4a同士を摺接させて重ね合わせるべく両張り出し体3,4を配管Wの軸心に沿って相対的に移動させて、両張り出し体3,4を配管Wの内周面Waにそれぞれ当接させる張り出し体駆動機構が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、母材ワークの貫通孔に挿入した配管に周溶接を行うに際して、配管に溶接変形が生じるのを防止するために用いられる配管溶接用治具及び配管の溶接方法に関するものである。
従来、上記した配管溶接用治具としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この配管溶接用治具は、一端に円形状のフランジを有する固定半管筒と、この固定半管筒に対向して設けられて、固定半管筒とともに完全円管部を形成する浮動半管筒と、これらの半管筒間に挿入されて、円形状のフランジを貫通するねじ部を有する楔軸と、ねじ部にねじ込まれて楔軸を締め上げるナットを備えており、完全円管部が配管の内径よりも若干小さい外径となるように形成されている。
特開平10-029089号
ところが、上記した従来の配管溶接用治具において、完全円管部を形成する固定半管筒及び浮動半管筒は、両者間に挿入された楔軸の作用により配管の内周面に押し付けられて拘束されるので、配管に対する周方向溶接時における変形を概ね防止することはできるものの、配管が僅かでも変形してしまった場合には、固定半管筒及び浮動半管筒が配管に対して、いわゆるかじりつき状態となって、配管から引き出すことが困難になる可能性があるという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、配管に対する周方向溶接時における溶接変形を防ぐことができるのは勿論のこと、例え、配管に溶接変形が生じたとしても、配管から容易に引き出すことが可能である配管溶接用治具及び配管の溶接方法を提供することを目的としている。
本発明の請求項1に係る発明は、配管に周溶接を行う際に、該配管内に挿入して用いられる配管溶接用治具であって、前記配管の軸心の周囲に該配管の径方向に移動可能に配置され且つ前記配管の一端側から他端側にかけて円弧長が漸次減少する先細り形状の複数の一方側張り出し体と、前記配管の軸心の周囲に該配管の径方向に移動可能で且つ前記複数の一方側張り出し体と円周方向に交互に配置され、前記配管の他端側から一端側にかけて円弧長が漸次減少する先細り形状の複数の他方側張り出し体と、先細り形状の前記一方側張り出し体及び他方側張り出し体の各隣接斜面同士を摺接させて重ね合わせるべく両張り出し体を前記配管の軸心に沿って相対的に移動させて、該複数の一方側張り出し体及び複数の他方側張り出し体を前記配管の内周面にそれぞれ当接させる張り出し体駆動機構が設けられている構成としたことを特徴としており、この構成の配管溶接用治具を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
本発明の請求項2に係る配管溶接用治具において、前記張り出し体駆動機構は、前記配管の軸心上に配置されるねじ部と、前記ねじ部にねじ込まれたナット部と、前記ねじ部を前記ナット部に対して回転させて該ナット部を前記配管の軸心に沿って移動させる操作部を具備し、前記操作部は前記一方側張り出し体側に位置していると共に、前記ナット部は前記他方側張り出し体に連結されている構成としている。
本発明の請求項3に配管溶接用治具において、先細り形状の前記一方側張り出し体及び他方側張り出し体の互いに摺接する各隣接斜面間には、両隣接斜面同士の摺接を案内するガイドキーが配置されている構成とし、本発明の請求項4に配管溶接用治具において、前記張り出し体駆動機構のねじ部の中心には、冷却水流路が形成されている構成としている。
一方、本発明の請求項5に係る配管の溶接方法は、母材ワークの貫通孔に挿入した配管に対して周溶接を行うに際して、請求項1〜4のいずれかに記載の配管溶接用治具を前記母材ワークの貫通孔から露出する前記配管の一端側から挿入し、続いて、前記張り出し体駆動機構により先細り形状の前記一方側張り出し体及び他方側張り出し体の各隣接斜面同士を摺接させて重ね合わせるべく両張り出し体を前記配管の軸心に沿って相対的に移動させて、該複数の一方側張り出し体及び複数の他方側張り出し体を前記配管の内周面にそれぞれ当接させた後、配管に対して周溶接を行う構成としている。
本発明に係る配管溶接用治具において、配管の軸心の周囲に交互に配置される先細り形状の一方側張り出し体及び他方側張り出し体の各個数はとくに限定しないが、製作の容易さ及び動作の確実性を考慮して、3個ずつ交互に配置することが望ましい。
本発明に係る配管溶接用治具及び配管の溶接方法では、例えば、圧力容器の半球殻状を成す鏡板の貫通孔に対して、配管を管台として傾斜させた状態で周溶接する場合、まず、鏡板の貫通孔から露出する配管の一端側から配管溶接用治具を挿入する。
続いて、張り出し体駆動機構を動作させて、先細り形状の一方側張り出し体及び他方側張り出し体の互いに摺接する各隣接斜面同士が重なるように、両張り出し体を配管の軸心に沿って相対的に移動させると、複数の一方側張り出し体及び複数の他方側張り出し体が配管の径方向に移動して内周面にそれぞれ当接する。
そして、複数の一方側張り出し体及び複数の他方側張り出し体が配管の内周面にそれぞれ当接した状態で配管に対して周溶接を行えば、配管に溶接変形が生じることがほとんどなく、したがって、鏡板に対して配管が管台として傾くことなく形成されることとなる。
この際、張り出し体駆動機構として、請求項2に係る構成を採用すれば、配管の一端側に操作部を位置させて回転操作することで、ナット部を他方側張り出し体とともに配管の軸心に沿って一方側張り出し体に向けて移動させ得るので、複数の一方側張り出し体及び複数の他方側張り出し体を配管の内周面に当接させる作業が容易なものとなる。
また、先細り形状の一方側張り出し体及び他方側張り出し体の互いに摺接する各隣接斜面間に、両隣接斜面同士の摺接を案内するガイドキーを配置する構成とすると、先細り形状の一方側張り出し体及び他方側張り出し体の相対移動が円滑に成されることとなり、その結果、複数の一方側張り出し体及び複数の他方側張り出し体を配管の内周面に当接させる作業が滞りなく成されることとなる。
さらに、張り出し体駆動機構のねじ部の中心に、冷却水流路を形成する構成とすると、配管内への冷却水の供給が簡単且つ確実に成されることとなる。
ここで、この配管溶接用治具では、先細り形状の一方側張り出し体及び他方側張り出し体の軸心方向の相対的な移動を一方側張り出し体及び他方側張り出し体の各隣接斜面同士の摺接により、径方向の移動に変換するようにしているので、例えば、配管に変形が生じたとしても、一方側張り出し体及び他方側張り出し体の少なくともいずれかを軸心方向に微動させれば、両張り出し体が配管の内周面からそれぞれ離間することとなり、配管から容易に引き出し得ることとなる。
本発明に係る配管溶接用治具では、上記した構成としているので、配管に対する周方向溶接時における溶接変形を防ぐことができるのは言うまでもなく、例え、配管に溶接変形が発生したとしても、配管から容易に引き出すことが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
本発明の一実施例に係る配管溶接用治具の配管に対する設置要領説明図である。 図1におけるA−A線位置に基づく断面説明図である。 図1に示した配管溶接用治具を配管に挿入する状態の側面説明図である。 図1に示した配管溶接用治具を配管に挿入した状態の斜視説明図である。
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施例に係る配管溶接用治具を示している。
図1に示すように、この配管溶接用治具1は、圧力容器の半球殻状を成す鏡板Cの貫通孔Caに対して、配管Wを管台として傾斜させた状態で周溶接を行って溶接部Cbを形成する場合に用いられる治具であり、全体で配管Wに挿入される筒状を成している。
この配管溶接用治具1は、図2にも示すように、配管Wの軸心の周囲に径方向に移動可能に配置された3個の一方側張り出し体3と、配管Wの軸心の周囲に径方向に移動可能に配置された3個の他方側張り出し体4を備えている。
一方側張り出し体3は、配管Wの一端側(図1左側)から他端側(図1右側)にかけて円弧長が漸次減少する先細り形状を成しており、他方側張り出し体4は、配管Wの他端側から一端側にかけて円弧長が漸次減少する先細り形状を成しており、これらの張り出し体3,4は円周方向に交互に配置されている。
この場合、一方側張り出し体3は、配管Wの雌ねじ部Wbにねじ込まれる回転止めリング5及びこれに連結される回転止めバー6により、回転及び軸心方向への移動が規制されており、他方側張り出し体4は、図3に示すように、一方側張り出し体3に対して接近離間可能となっている。
先細り形状の一方側張り出し体3及び他方側張り出し体4の各隣接斜面3a,4aは、他方側張り出し体4の一方側張り出し体3に対する接近離間に伴って互いに摺接するようになっており、隣接斜面3a,4a間に互いの摺接を案内するガイドキー7を介在させることで、両張り出し体3,4が相互に円筒形状を維持しつつ円滑に相対移動することができるようになっている。
また、この配管溶接用治具1は、一方側張り出し体3及び他方側張り出し体4を相対的に移動させる張り出し体駆動機構を有している。
この張り出し体駆動機構は、配管Wの軸心上に配置されるねじ部2と、このねじ部2にねじ込まれたナット部12と、ねじ部2をナット部12に対して回転させて配管Wの軸心に沿って移動させるナット状の操作部13を具備しているほか、この操作部13と一方側張り出し体3との間に配置された加圧フランジ14,ワッシャ15,金属ワッシャ16,皿バネ17を具備している。
ナット状の操作部13は、配管Wの一端側、すなわち、一方側張り出し体3側に配置され、ナット部12は、配管Wの他端側、すなわち、他方側張り出し体4側に配置され、ナット部12と他方側張り出し体4とは、ナット部12の円形フランジ12aに形成された突起12bを他方側張り出し体4に形成された凹部4bに係合させることで互いに連結されている。
つまり、張り出し体駆動機構では、操作部13を回転操作することで、先細り形状の一方側張り出し体3及び他方側張り出し体4の各隣接斜面3a,4a同士が重なるように摺接させて、すなわち、両張り出し体3,4を配管Wの軸心に沿って相対的に移動させて、複数の一方側張り出し体3及び複数の他方側張り出し体4を配管Wの内周面Waにそれぞれ当接させるようになっている。
なお、操作部13の回転操作は、例えば、まわり止めフランジ24を介して配管Wの一端側にレンチ20をセットし、このレンチ20のパイプ22の先端に位置するナット嵌合ブロック21を操作部13に嵌合することで、ハンドル23によって行うことができる。
張り出し体駆動機構のねじ部2の中心には冷却水流路2aが形成されており、配管W内への冷却水の供給を簡単且つ確実に行うことができるようになっている。
上記した配管溶接用治具1を用いて、圧力容器の半球殻状を成す鏡板Cの貫通孔Caに対して、配管Wを管台として傾斜させた状態で周溶接するに際しては、まず、鏡板Cの貫通孔Caから露出する配管Wの一端側から配管溶接用治具1を挿入する。
次いで、まわり止めフランジ24を介して配管Wの一端側にレンチ20をセットし、このレンチ20のナット嵌合ブロック21を操作部13に嵌合した後、ハンドル23によって張り出し体駆動機構の操作部13を回転操作して、先細り形状の一方側張り出し体3及び他方側張り出し体4の互いに摺接する各隣接斜面3a,4a同士が重なるように、両張り出し体3,4を配管Wの軸心に沿って相対的に移動させると、複数の一方側張り出し体3及び複数の他方側張り出し体4が配管Wの径方向に移動して内周面にそれぞれ当接する。
そして、配管Wの一端側からレンチ20を取り外し、図4に示すように、このレンチ20の代わりに溶接機取り付けシール台座25を配管Wの雌ねじ部Wbにねじ込んだ後、複数の一方側張り出し体3及び複数の他方側張り出し体4が内周面Waにそれぞれ当接している状態の配管Wに対して周溶接を行えば、配管Wに溶接変形が生じることがほとんどなく、すなわち、鏡板Cに対して配管Wが管台として傾くことなく形成されることとなる。
上記した配管溶接用治具1では、配管Wの軸心上に配置されるねじ部2と、このねじ部2にねじ込まれたナット部12と、ねじ部2をナット部12に対して回転させて移動させる操作部13を具備した張り出し体駆動機構を採用しているので、配管Wの一端側で操作部13を回転操作することで、ナット部12を他方側張り出し体4とともに配管Wの軸心に沿って一方側張り出し体3に向けて移動させ得ることとなり、その結果、複数の一方側張り出し体3及び複数の他方側張り出し体4を配管Wの内周面Waに当接させる作業が容易なものとなる。
また、上記した配管溶接用治具1では、先細り形状の一方側張り出し体3及び他方側張り出し体4の互いに摺接する各隣接斜面3a,4a間に、両隣接斜面3a,4a同士の摺接を案内するガイドキー7を配置しているので、先細り形状の一方側張り出し体3及び他方側張り出し体4の相対移動が円滑に成されることとなり、その結果、複数の一方側張り出し体3及び複数の他方側張り出し体4を配管Wの内周面Waに当接させる作業が滞りなく成されることとなる。
ここで、この配管溶接用治具1では、先細り形状の一方側張り出し体3及び他方側張り出し体4の軸心方向の相対的な移動を一方側張り出し体3及び他方側張り出し体4の各隣接斜面3a,4a同士の摺接によって、径方向の移動に変換するようにしているので、例えば、配管Wに変形が生じたとしても、他方側張り出し体4を軸心方向に微動させれば、両張り出し体3,4が配管Wの内周面Waからそれぞれ離間することとなり、配管Wから容易に引き出し得ることとなる。
本発明に係る配管溶接用治具及び配管の溶接方法の構成は、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
1 配管溶接用治具
2 ねじ部(張り出し体駆動機構)
2a 冷却水流路
3 一方側張り出し体
3a,4a 隣接斜面
4 他方側張り出し体
7 ガイドキー
12 ナット部(張り出し体駆動機構)
13 操作部(張り出し体駆動機構)
C 鏡板(母材ワーク)
Ca 貫通孔
W 配管
Wa 配管の内周面

Claims (5)

  1. 配管に周溶接を行う際に、該配管内に挿入して用いられる配管溶接用治具であって、
    前記配管の軸心の周囲に該配管の径方向に移動可能に配置され且つ前記配管の一端側から他端側にかけて円弧長が漸次減少する先細り形状の複数の一方側張り出し体と、
    前記配管の軸心の周囲に該配管の径方向に移動可能で且つ前記複数の一方側張り出し体と円周方向に交互に配置され、前記配管の他端側から一端側にかけて円弧長が漸次減少する先細り形状の複数の他方側張り出し体と、
    先細り形状の前記一方側張り出し体及び他方側張り出し体の各隣接斜面同士を摺接させて重ね合わせるべく両張り出し体を前記配管の軸心に沿って相対的に移動させて、該複数の一方側張り出し体及び複数の他方側張り出し体を前記配管の内周面にそれぞれ当接させる張り出し体駆動機構が設けられている
    ことを特徴とする配管溶接用治具。
  2. 前記張り出し体駆動機構は、前記配管の軸心上に配置されるねじ部と、前記ねじ部にねじ込まれたナット部と、前記ねじ部を前記ナット部に対して回転させて該ナット部を前記配管の軸心に沿って移動させる操作部を具備し、前記操作部は前記一方側張り出し体側に位置していると共に、前記ナット部は前記他方側張り出し体に連結されている請求項1に記載の配管溶接用治具。
  3. 先細り形状の前記一方側張り出し体及び他方側張り出し体の互いに摺接する各隣接斜面間には、両隣接斜面同士の摺接を案内するガイドキーが配置されている請求項1又は2に記載の配管溶接用治具。
  4. 前記張り出し体駆動機構のねじ部の中心には、冷却水流路が形成されている請求項2又は3に記載の配管溶接用治具。
  5. 母材ワークの貫通孔に挿入した配管に対して周溶接を行うに際して、請求項1〜4のいずれかに記載の配管溶接用治具を前記母材ワークの貫通孔から露出する前記配管の一端側から挿入し、
    続いて、前記張り出し体駆動機構により先細り形状の前記一方側張り出し体及び他方側張り出し体の各隣接斜面同士を摺接させて重ね合わせるべく両張り出し体を前記配管の軸心に沿って相対的に移動させて、該複数の一方側張り出し体及び複数の他方側張り出し体を前記配管の内周面にそれぞれ当接させた後、配管に対して周溶接を行う
    ことを特徴とする配管の溶接方法。
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