JP2014074621A - 電源装置、それを用いた試験装置、電源電圧の制御方法 - Google Patents

電源装置、それを用いた試験装置、電源電圧の制御方法 Download PDF

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雅裕 石田
Takashi Kusaka
崇 日下
Kunihiro Asada
邦博 浅田
Toru Nagura
徹 名倉
Satoshi Komatsu
聡 小松
Toshiyuki Yoshikawa
俊之 吉川
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Abstract

【課題】電源電圧を任意の目標波形に制御する。
【解決手段】メイン電源は、負荷に電源電圧VDDを供給する。補償回路は、電源電圧VDDを任意の目標波形に制御するときに補償電流iCMPを供給する。補償電流波形算出部100は、補償電流iCMPの波形を算出する。第1波形取得部102は、負荷に所定のインピーダンス変動が生じたときの電源電圧の変動波形である第1波形v(t)を取得する。第2波形取得部104は、目標波形である第2波形v(t)を取得する。第2波形取得部104は、電源電圧VDDのパルス電流に対するインパルス応答波形である第3波形z(t)を取得する。デコンボリューション処理部108は、第2波形v(t)と第1波形v(t)の差分v(t)−v(t)に対して、第3波形z(t)を逆畳み込み演算することにより、補償電流の波形を記述する第4波形iCMP(t)を算出する。
【選択図】図7

Description

本発明は、電源装置に関する。
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)テクノロジを用いたCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、メモリなどの半導体集積回路(以下、DUTという)を試験する際、DUT内のフリップフロップやラッチは、クロックが供給される動作中は電流が流れ、クロックが停止すると回路が静的な状態となって電流が減少する。したがって、DUTの動作電流(負荷電流)の合計は、試験の内容などに応じて時々刻々と変動する。
DUTに電力を供給する電源回路はたとえばレギュレータを用いて構成され、理想的には負荷電流にかかわらず一定の電力を供給可能である。しかしながら実際の電源回路は、無視できない出力インピーダンスを有し、また電源回路とDUTの間にも無視できないインピーダンス成分が存在するため、負荷変動によって電源電圧が変動してしまう。
電源電圧の変動は、DUTの試験マージンに深刻な影響を及ぼす。また電源電圧の変動は、試験装置内のその他の回路ブロック、たとえばDUTに供給するパターンを生成するパターン発生器や、パターンの遷移タイミングを制御するためのタイミング発生器の動作に影響を及ぼし、試験精度を悪化させる。
特許文献2に記載の技術では、被試験デバイスに電源電圧を供給するメインの電源に加えて、ドライバの出力によってオン、オフが制御されるスイッチを含む補償回路が設けられる。補償回路は、スイッチ素子のオン状態において、メイン電源とは別の経路から被試験デバイスの電源端子にパルス状の補償電流を注入(ソース)し、および/または、パルス状の補償電流を被試験デバイスとは別の経路に引き込む(シンク)よう構成される。そして、被試験デバイスに供給されるテストパターンに応じて発生しうる電源電圧の変動をキャンセルするように、補償回路のスイッチ素子に対する補償用の制御パターンをテストパターンに対応付けて定義しておく。実試験時には、テストパターンを被試験デバイスに供給しつつ、補償回路のスイッチ素子を制御パターンに応じてスイッチングすることにより、電源電圧を一定に保つことができる。
特開2007−205813号公報 国際公開第10/029709A1号パンフレット
特許文献2に記載の技術では、スイッチ素子に対する制御パターンを適切に定義し、補償電流の波形を制御することにより、電源電圧を所望の波形とすることが可能である。
本発明は係る状況においてなされたものであり、任意の電源特性をエミュレートするために必要な補償電流の波形を計算可能な電源装置の提供にある。
本発明のある態様は、所定のインピーダンス変動が生ずる負荷に電源電圧を供給し、電源電圧を任意の目標波形に制御する電源装置に関する。電源装置は、メイン電源、補償回路および補償電流波形算出部を備える。メイン電源は、その出力端子が電源ラインを介して負荷の電源端子に接続されており、電源端子の電源電圧に応じた検出値が所定の目標値に近づくように、出力端子から出力する出力電圧をフィードバック制御する。補償回路は、電源電圧を任意の目標波形に制御するときに、(i)補償電流をメイン電源とは別経路から電源端子に注入し、および/または、(ii)メイン電源から負荷へ流れる電源電流から、補償電流を負荷とは別経路に引きこむように構成される。補償電流波形算出部は、補償回路が生成すべき補償電流の波形を算出する。補償電流波形算出部は、第1波形取得部、第2波形取得部、第3波形取得部、デコンボリューション処理部を備える。
第1波形取得部は、補償回路が停止し、電源電圧がメイン電源によって目標値に安定化された定常状態において、負荷がシーケンスにしたがって動作したときの電源電圧の変動波形である第1波形v(t)を取得する。第2波形取得部は、電源電圧の目標波形である第2波形v(t)を取得する。第3波形取得部は、メイン電源が負荷に電源電圧を供給した状態において、補償回路が接続されるべきノードに所定のパルス電流を供給したときの、パルス電流に対する電源電圧のインパルス応答波形である第3波形z(t)を取得する。デコンボリューション処理部は、第2波形v(t)と第1波形v(t)の差分v(t)−v(t)に対して、第3波形z(t)を逆畳み込み演算することにより、補償電流の波形を記述する第4波形iCMP(t)を算出する。
この態様によると、補償電流波形を計算することができる。
デコンボリューション処理部は、フーリエ変換、フーリエ逆変換を利用して第4波形iCMP(t)を算出してもよい。またデコンボリューション処理部は、行列演算を利用して第4波形iCMP(t)を算出してもよい。またデコンボリューション処理部は、フーリエ変換、フーリエ逆変換と行列演算の組み合わせを利用して第4波形iCMP(t)を算出してもよい。
デコンボリューション処理部は、フーリエ変換部と、第4スペクトル生成部と、逆フーリエ変換部と、を含んでもよい。フーリエ変換部は、第1波形v(t)、第2波形v(t)、第3波形z(t)それぞれをフーリエ変換した第1スペクトルV(f)、第2スペクトルV(f)、第3スペクトルZ(f)を生成する。第4スペクトル生成部は、第1スペクトルV(f)、第2スペクトルV(f)、第3スペクトルZ(f)にもとづき、式(1)で与えられる第4スペクトルICMP(f)を生成する。逆フーリエ変換部は、補償電流の波形を記述する第4波形iCMP(t)を、第4スペクトルICMP(f)を逆フーリエ変換することにより生成する。
CMP(f)={V(f)−V(f)}/Z(f) …(1)
この態様によれば、フーリエ変換、逆変換によって、第4波形を生成できる。
補償電流波形算出部は、第1波形行列生成部、第2波形行列生成部、第3波形行列生成部、逆行列生成部、第4波形行列生成部を含んでもよい。
第1波形行列生成部は、第1波形v(t)にもとづいて、1行N列(Nは2以上の整数)の第1波形行列vを生成する。第1波形行列vは、離散的なN個の時刻における第1波形v(t)の値v[0]、v[1]…、v[N−1]を要素として含む。第2波形行列生成部は、第2波形v(t)にもとづいて、1行N列の第2波形行列vを生成する。第2波形行列vは、離散的なN個の時刻における第2波形v(t)の値v[0]、v[1]…、v[N−1]を要素として含む。第3波形行列生成部は、M行N列(Mは2以上の整数)の第3波形行列zを生成する。第3波形行列zのi行目(1≦i≦M)は、時刻(i−1)においてパルス電流Iを供給したときの第3波形zA,i−1(t)を離散的なN個の時刻でサンプリングした値zA,i−1[0]、zA,i−1[1]…、zA,i−1[N−1]を含む。逆行列生成部は、第3波形行列zの逆行列z −1を生成する。第4波形行列生成部は、補償電流の波形を記述する1行M列の第4波形行列iCMPを、式(2)の行列演算により生成する。
CMP=[v−v][z −1] …(2)
この態様によれば、行列演算によって、第4波形を生成できる。
N=k×M(kは自然数)であり、第3波形行列zのi行目(1≦i≦N)の行ベクトルは、(i−1)行目の行ベクトルを列方向にk要素分シフトした波形であってもよい。
負荷のインピーダンスが、電源装置のインピーダンスに比べて十分に高いとき、それらの合成インピーダンスは、電源装置のインピーダンスと等しいものと近似できる。この場合、電源ラインにパルス電流を供給することにより引き起こされる電源電圧の変動波形は、負荷のインピーダンスの影響を受けないため、パルス電流を作用させるタイミングによらず、時間軸方向にシフトした同じ波形とすることができる。kは非整数であってもよく、この場合、第3波形行列zのi行目(1≦i≦N)の行ベクトルは、(i−1)行目の行ベクトルを列方向にk’要素分シフトした波形であってもよい。k’は、kに隣接する整数である。あるいは、k要素分シフトした波形(行ベクトル)を、補間処理により生成してもよい。
デコンボリューション処理部は、第5波形取得部、負荷電流取得部、フーリエ変換部、第6波形生成部、第4波形生成部を含んでもよい。
第5波形取得部は、メイン電源に代えてエミュレート対象のターゲット電源が負荷に電源電圧を供給するときに、補償回路が接続されるべきノードに所定のパルス電流を供給したときの、パルス電流に対する電源電圧のインパルス応答波形である第5波形z(t)を取得する。負荷電流取得部は、負荷に所定のインピーダンス変動が生じたときに負荷に流れる負荷電流iDUT(t)を取得する。フーリエ変換部は、第3波形z(t)、第5波形z(t)それぞれをフーリエ変換した第3スペクトルZ(f)、第5スペクトルZ(f)を生成する。第6波形生成部は、Z(f)/Z(f)を逆フーリエ変換することにより、第6波形A(t)を生成する。第4波形生成部は、第6波形A(t)および負荷電流iDUT(t)にもとづき、式(3)で与えられる第4波形iCMP(t)を生成する。「*」は畳み込み演算子を示す。
CMP(t)=A(t)*iDUT(t)−iDUT(t) …(3)
第2波形取得部は、第5波形取得部、負荷電流取得部、演算部を含んでもよい。
第5波形取得部は、メイン電源に代えてエミュレート対象のターゲット電源が負荷に電源電圧を供給するときに、補償回路が接続されるべきノードに所定のパルス電流を供給したときの、パルス電流に対する電源電圧のインパルス応答波形である第5波形z(t)を取得する。負荷電流取得部は、負荷に所定のインピーダンス変動が生じたときに負荷に流れる負荷電流iDUT(t)を取得する。演算部は、目標値VREF、第5波形z(t)、負荷電流iDUT(t)にもとづき、式(4)で与えられる第2波形v(t)を生成する。
(t)=VREF−iDUT(t)*z(t) …(4)
これにより、ターゲット電源のインパルス応答である第5波形z(t)が既知である場合に、さまざまな負荷電流の波形に対する第2波形v(t)を計算できる。
ある態様の電源装置は、補償回路が第4波形iCMP(t)により記述される補償電流を供給したときの電源電圧の変動波形である第7波形v(t)を算出する第7波形取得部と、第7波形v(t)と第2波形v(t)の誤差を計算する誤差算出部と、をさらに備えてもよい。補償電流波形算出部は、誤差がゼロに近づくように、再帰的に第4波形iCMP(t)を計算してもよい。
実際の電源装置は非線形性を有するところ、この電源装置による演算処理の一部は、系が線形であるとの前提で行われるため、誤差が生ずる。そこで誤差がゼロとなるように再帰的な処理を行うことで、補償回路を動作させたときの電源電圧波形を、目標波形に近づけることができる。
本発明の別の態様は試験装置に関する。試験装置は、負荷である被試験デバイスに電源電圧を供給する上述のいずれかの電源装置を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明のある態様によれば、任意の電源特性をエミュレートするために必要な補償電流の波形を計算できる。
実施の形態に係る試験装置の構成を示す回路図である。 負荷電流iDUT、電源電流iDD、補償電流iCMPおよびソースパルス電流ISRCの一例を示す波形図である。 図3(a)は、第1波形v(t)を説明する回路図であり、図3(b)は、第2波形v(t)を説明する回路図である。 第3波形z(t)を説明する回路図である。 第3波形z(t)を説明する波形図である。 図6(a)、(b)は、電源装置8およびDUT1の等価回路図である。 補償電流ICMP(t)を計算する補償電流波形算出部の構成を示すブロック図である。 フーリエ変換を用いたデコンボリューション処理部の構成例を示すブロック図である。 行列演算を用いたデコンボリューション処理部の構成例を示すブロック図である。 図10(a)、(b)は、第3波形行列zを示す図である。 デコンボリューション処理部の別の構成例を示すブロック図である。 第2波形取得部の構成例を示すブロック図である。 変形例に係る補償電流波形算出部の構成の一部を示すブロック図である。 複数の電源端子を有するDUTと、DUTに電源電圧を供給する複数の電源装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図1は、実施の形態に係る試験装置2の構成を示す回路図である。図1には、試験装置2に加えて、試験対象の半導体デバイス(以下、DUTと称す)1が示される。
DUT1は、複数のピンを備え、その中の少なくともひとつが電源電圧VDDを受けるための電源端子P1であり、別の少なくともひとつが接地端子P2である。複数の入出力(I/O)端子P3は、外部からのデータを受け、あるいは外部にデータを出力するために設けられており、試験時においては、試験装置2から出力される試験信号(テストパターン)STESTを受け、あるいは試験信号STESTに応じたデータを試験装置2に対して出力する。図1には、試験装置2の構成のうち、DUT1に対して試験信号を与える構成が示されており、DUT1からの信号を評価するための構成は省略されている。
試験装置2は、電源装置8、パターン発生器PG、複数のタイミング発生器TGおよび波形整形器FC、複数のドライバDRを備える。
試験装置2は複数n個のチャンネルCH1〜CHnを備えており、その中のいくつか(CH1〜CH4)がDUT1の複数のI/O端子P3に割り当てられる。図1では、n=6の場合が示されるが、実際の試験装置2のチャンネル数は、数百〜数千のオーダーである。
電源装置8は、メイン電源10、補償回路12およびパターン発生器PGの一部、ドライバDR5、6、インタフェース回路45,6を含んでもよい。
メイン電源10は、その出力端子が電源ラインを介して負荷であるDUT1の電源端子P1に接続されており、電源端子P1の電源電圧VDDに応じた検出値が目標値に近づくように、出力端子から出力する出力電圧VOUTをフィードバック制御する。たとえばメイン電源10は、リニアレギュレータやスイッチングレギュレータなどで構成され、電源端子P1に供給される電源電圧VDDを、目標値VREFと一致するようにフィードバック制御する。キャパシタCsは、電源電圧VDDを平滑化するために設けられる。メイン電源10は、DUT1に対する電源電圧の他、試験装置2内部のその他のブロックに対する電源電圧も生成する。メイン電源10からDUT1の電源端子P1への出力電流を、電源電流iDDと称する。
メイン電源10は、有限の応答速度を有する電圧・電流源であるため、その負荷電流、つまりDUT1の負荷電流iDUTの急峻な変化に追従できない場合がある。たとえば負荷電流iDUTがステップ状に変化するとき、電源電圧VDDはオーバーシュート、あるいはアンダーシュートしたり、その後のリンギングをともなったりする。電源電圧VDDの変動は、DUT1の正確な試験を妨げる。なぜならDUT1にエラーが検出されたとき、それがDUT1の製造不良によるものなのか、電源電圧VDDの変動によるものなのかを区別することができないからである。
補償回路12は、メイン電源10の応答速度を補うために設けられる。DUT1の設計者は、ある既知の試験信号STEST(テストパターンSPTN)が供給された状態において、DUT1の内部回路の動作率などの時間推移を推定可能であるから、DUT1の負荷電流iDUTの時間波形を正確に予測することができる。ここでの予測とは、コンピュータシミュレーションを用いた計算や、同じ構成を有するデバイスを対象とした実測などが含まれ、特にその手法は限定されない。
一方、メイン電源10の応答速度(利得、フィードバック帯域)が既知であれば、予測される負荷電流iDUTに応答してメイン電源10が生成する電源電流iDD、あるいは電源電圧VDDもまた予測することができる。そうすると、予測される負荷電流iDUTとエミュレート対象の電源から供給される電源電流iDDの差分を、補償回路12によって補うことにより、任意の電源電圧波形をエミュレートできる。
なお電源電圧VDDと電源電流iDDの間には微分、もしくは積分関係が成り立つ。具体的には、メイン電源10ならびにメイン電源10から電源端子P1までの経路のインピーダンスが、容量性、誘導性、抵抗性のいずれが支配的であるかによって、電圧と電流の微分、積分の関係が定まる。
補償回路12は、ソース電流源12b、シンク電流源12cを備える。ソース電流源12b、シンク電流源12cはそれぞれ、たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を利用したスイッチを含み、それぞれが制御信号SCNT1、SCNT2に応じて制御される。
ソース電流源12bが制御信号SCNT1に応じてオンすると、補償パルス電流(ソースパルス電流ともいう)ISRCが生成される。補償回路12は、ソースパルス電流ISRCをメイン電源10とは別経路から電源端子P1に注入する。シンク電流源12cは、別の固定電圧端子(たとえば接地端子)とDUT1の電源端子P1の間に設けられる。シンク電流源12cが制御信号SCNT2に応じてオンすると、補償パルス電流ISINK(シンクパルス電流ともいう)が生成される。補償回路12は、電源端子P1に流れ込む電源電流iDDから、シンクパルス電流ISINKを、DUT1とは別経路に引きこむ。
DUT1の電源端子P1に流れ込む負荷電流iDUT、メイン電源10が出力する電源電流iDD、および補償回路12が出力する補償電流iCMPの間には、電流保存則から以下の式が成り立つ。
DUT=iDD+iCMP
CMP=ISRC−ISINK
つまり、補償電流iCMPの正の成分が、ソースパルス電流ISRCとしてソース電流源12bから供給され、補償電流iCMPの負の成分が、シンクパルス電流ISINKとしてシンク電流源12cから供給される。
ドライバDR〜DRのうち、ドライバDRは、ソース電流源12bに割り当てられ、ドライバDRはシンク電流源12cに割り当てられる。別の少なくともひとつのドライバDR〜DRは、それぞれ、DUT1の少なくともひとつのI/O端子P3に割り当てられる。
波形整形器FCおよびタイミング発生器TGをインタフェース回路4と総称する。複数の4〜4は、チャンネルCH1〜CH6ごと、言い換えればドライバDR〜DRごとに設けられる。i番目(1≦i≦6)のインタフェース回路4は、入力されたパターン信号SPTNiをドライバDRに適した信号形式に整形し、対応するドライバDRへと出力する。
パターン発生器PGは、テストプログラムにもとづき、インタフェース回路4〜4に対するパターン信号SPTNを生成する。具体的にパターン発生器PGは、DUT1のI/O端子P3に割り当てられたドライバDR〜DRに対しては、各ドライバDRが生成すべき試験信号STESTを記述するテストパターンSPTNiを、そのドライバDRに対応するインタフェース回路4に対して出力する。テストパターンSPTNiは、試験信号STESTの各サイクル(ユニットインターバル)におけるレベルを示すデータと、信号レベルが遷移するタイミングを記述するデータを含む。
またパターン発生器PGは、必要な補償電流iCMPに応じて定められた補償用の制御パターンSPTN_CMPを生成する。制御パターンSPTN_CMPは、ソース電流源12bに割り当てられたドライバDRが生成すべき制御信号SCNT1を記述する制御パターンSPTN_CMP1と、シンク電流源12cに割り当てられたドライバDRが生成すべき制御信号SCNT2を記述する制御パターンSPTN_CMP2を含む。制御パターンSPTN_CMP1、SPTN_CMP2はそれぞれ、各サイクルにおけるソース電流源12b、シンク電流源12cのオン、オフ状態を指定するデータと、オンオフを切りかえるタイミングを記述するデータを含む。
パターン発生器PGは、テストパターンSPTN1〜SPTN4にもとづいて、つまりDUT1の負荷電流の変動に応じて、それを補償しうる制御パターンSPTN_CMP1、SPTN_CMP2を生成し、対応するインタフェース回路4、4に出力する。
上述のように、テストパターンSPTN1〜SPTN4が既知であれば、DUT1の負荷電流iDUTの時間波形が予測でき、電源電圧VDDを一定に保つために発生すべき補償電流iCMP、すなわちISRC、ISINKの時間波形を計算することができる。
予測される負荷電流iDUTが電源電流iDDより大きい場合、補償回路12はソース補償電流ISRCを発生して不足する電流を補う。ソース補償電流ISRCに必要な電流波形は予測可能であるから、それが適切に得られるようにソース電流源12bを制御する。たとえばソース電流源12bを、パルス幅変調によって制御してもよい。あるいはパルス振幅変調、ΔΣ変調、パルス密度変調、パルス周波数変調などを利用してもよい。
図2は、負荷電流iDUT、電源電流iDD、補償電流iCMPおよびソースパルス電流ISRCの一例を示す波形図である。ある試験信号STESTが供給されたDUT1の負荷電流iDUTがステップ状に増加したとする。これに応答して、メイン電源10から電源電流iDDが供給されるが、それは応答速度の制限から、理想的なステップ波形とはならず、DUT1に供給すべき電流が不足する。その結果、補償電流ISRCを供給しなければ、電源電圧VDDは破線で示すように低下する。
補償回路12は、負荷電流iDUTと電源電流iDDの差分に対応するソース補償電流iCMPを生成する。ソース補償電流iCMPは、制御信号SCNT1に応じて生成されるソースパルス電流ISRCで与えられる。ソース補償電流iCMPは、負荷電流iDUTの変化直後に最大量必要であり、その後、徐々に低下させる必要がある。そこで、たとえばPWM(パルス幅変調)を用いてソース電流源12bのオン時間(デューティ比)を、時間とともに低下させることにより、必要なソース補償電流iCMPを生成できる。
試験装置2のすべてのチャンネルがテストレートに応じて同期動作する場合、制御信号SCNT1の周期は、DUT1に供給されるデータの周期(ユニットインターバル)、もしくはその整数倍、あるいは整数分の1に相当する。たとえばユニットインターバルが4nsのシステムにおいて、制御信号SCNT1の周期が4nsであれば、制御信号SCNT1に含まれる各パルスのオン期間TONが、0〜4nsの間で調節されうる。メイン電源10の応答速度は数百ns〜数μsのオーダーであるため、補償電流iCMPの波形は、制御信号SCNT1に含まれる数百個のパルスによって制御できる。ソース補償電流ISRCの波形から、それを生成するために必要な制御信号SCNT1を導出する方法については後述する。
反対に負荷電流iDUTが電源電流iDDより小さい場合、補償回路12はシンク補償電流iCMPが得られるように、シンクパルス電流ISINKを発生して、過剰な電流を引き抜く。
補償回路12を設けることにより、メイン電源10の応答速度の不足を補い、図2に実線で示すように、電源電圧VDDを一定に保つことができる。あるいは、以下で説明するように、任意の電源特性をエミュレートし、任意の電源電圧波形を得ることができる。
以上が試験装置2の基本的な構成である。続いて、任意の電源特性のエミュレートについて説明する。以下では、エミュレート対象である任意の特性を有する仮想的な電源を、ターゲット電源11と称する。
図3(a)は、第1波形v(t)を説明する回路図であり、図3(b)は、第2波形v(t)を説明する回路図である。ZPSはメイン電源10のインピーダンスを、ZDUTはDUT1のインピーダンスを示す。図3(a)に示すように、補償回路12を動作させず、メイン電源10のみによってDUT1に電源電圧を供給し、かつ電源電圧VDDが所定の目標値VREFに安定化された定常状態を考える。この定常状態でDUT1が所定のシーケンスで動作し、DUT1のインピーダンスZDUTが変動すると、メイン電源10のフィードバックがインピーダンスZDUTの変動に追従できず、電源電圧VDDが変動する。このときの電源電圧の変動波形、つまりインピーダンス変動が生じたときの電源電圧波形とインピーダンス変動が生じないときの電源電圧波形の差分を第1波形v(t)と称する。
図3(b)に示すように、メイン電源10に代えて仮想的なターゲット電源11によってDUT1に電源電圧を供給し、電源電圧VDDが目標値VREFに安定化される定常状態を考える。この定常状態において、DUT1のインピーダンスZDUTが変動すると、電源電圧VDDは変動する。このときの電源電圧の変動波形が、エミュレートすべき目標波形であり、以下、第2波形v(t)と称する。ターゲット電源11が理想電源である場合、第2波形v(t)は一定の電圧となる。
本実施の形態に係る電源装置8は、実動作時において、補償回路12が生成する補償電流iCMPの波形を最適化することにより、電源電圧VDDの波形を、任意の第2波形v(t)に近づける。
以下では、任意の電源特性をエミュレートするために必要とされる補償電流iCMPの波形を導出する技術を説明する。
図4は、第3波形z(t)を説明する回路図である。図5は、第3波形z(t)を説明する波形図である。
補償回路12を停止し、メイン電源10からDUT1に電源電圧VDDを供給した状態で、DUT1に所定のインピーダンス変動が生ずると、電源電圧VDDは第1波形V(t)にしたがって変動する。メイン電源10およびDUT1を含む制御系に対して、時刻tにパルス電流Iを注入すると、電源電圧VDDは、第1波形V(t)とは異なった波形V’(t)となる。このとき、パルス電流Iによって引き起こされる電源電圧VDDの変動、すなわちインパルス応答z(t)は、波形V’(t)とV(t)の差分で与えられる。以下、このインパルス応答z(t)を第3波形と称する。第3波形z(t)は、DUT1のインピーダンスZDUTに応じて、言い換えればパルス電流Iを供給する時刻tに応じて異なった波形を有することに留意すべきである。
第5波形z(t)も、第3波形z(t)と同様に定義される。すなわち、メイン電源10をターゲット電源11に置き換え、補償回路12が接続されるべきノードに対し、ある時刻tiにパルス電流Iを供給したときに、パルス電流Iによって引き起こされる電源電圧VDDの変動が、第5波形z(t)となる。
実施の形態では、系は線形であるものと仮定し、重ね合わせの理が成り立つものとする。したがって、たとえばパルス電流Iの振幅がK倍(Kは任意の実数)となれば、第3波形z(t)、第5波形z(t)の変動の振幅はK倍となる。
なお、DUT1とメイン電源10の並列回路の合成インピーダンスが、DUT1のインピーダンス変動によらずに一定とみなせる場合、第3波形z(t)および第5波形z(t)は、パルス電流Iを供給する時刻tによらずに同じ波形となる。たとえばDUT1のインピーダンスがメイン電源10のインピーダンスに比べて十分に高いとき、この仮定がなりたつ。この場合、第3波形z(t)および第5波形z(t)はそれぞれ、DUT1を動作させない状態におけるインパルス応答として求めてもよい。
図3(a)に戻る。第1波形v(t)は、第3波形z(t)および負荷電流iDUT(t)を用いて、式(5a)で与えられる。ここで「*」は畳み込みの演算子を示す。
(t)=VREF−iDUT(t)*z(t) …(5a)
同様に図3(b)を参照すると、第2波形v(t)は、第5波形z(t)および負荷電流iDUT(t)を用いて、式(5b)で与えられる。
(t)=VREF−iDUT(t)*z(t) …(5b)
図6(a)、(b)は、電源装置8およびDUT1の等価回路図である。DUT1がテストパターンSTESTに応じて動作することにより、インピーダンスZDUTは時間に応じて変動し、その結果、負荷電流iDUT(t)も時間に応じて変化する。
図6(b)に示すように、メイン電源10とDUT1の並列回路に対して、単位パルス電流Iを供給したときの電源電圧変動の波形をz(t)とする。補償回路12のインピーダンスが十分に高いとき、補償回路12によって補償電流iCMP(t)を供給したときの電源電圧の波形v(t)は式(6)で与えられる。
v(t)=VREF−iDUT(t)*z(t)+iCMP(t)*z(t) …(6)
任意の電源特性をエミュレートするためには、式(6)で与えられるv(t)が、式(5b)で与えられる目標波形である第2波形v(t)と等しくなればよい。
REF−iDUT(t)*z(t)=VREF−iDUT(t)*z(t)+iCMP(t)*z(t) …(7)
式(7)を満たす補償電流iCMP(t)を生成することが、任意の電源特性をエミュレートするための必要条件となる。
式(7)を変形すると、式(8)を得る。
CMP(t)*z(t)=v(t)−v(t) …(8)
すなわち、v(t)−v(t)に対して、インパルス応答z(t)を逆畳み込み(デコンボリューション)することにより、補償電流iCMP(t)を求めることができる。
以上が、電源装置8における補償電流iCMP(t)の導出方法である。続いて電源装置8の構成を説明する。
図7は、補償電流ICMP(t)を計算する補償電流波形算出部100の構成を示すブロック図である。補償電流波形算出部100は、図1のパターン発生器PGの一部として構成される。なお、補償電流波形算出部100は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどの電子計算機で構成してもよい。この場合、補償電流波形算出部100である電子計算機は、エミュレーション動作時に、補償電流iCMP(t)を計算する処理の一部をリアルタイムで行ってもよい。あるいは、エミュレーション動作に先立ち、あらかじめ補償電流iCMP(t)を計算しておき、補償電流iCMP(t)の波形を示すデータあるいは制御パターンSPTN_CMPを、パターン発生器PGに設けられたパターンメモリに格納しておいてもよい。
パターン発生器PGは、補償電流波形算出部100と、パルス変調器110を備える。補償電流波形算出部100は、補償電流iCMP(t)を計算する。パルス変調器110は、補償回路12が生成すべき補償電流iCMP(t)を記述するデータを受け、それをパルス変調することにより、制御パターンSPTN_CMP1,2を生成する。ここで、パルス変調は、パルス振幅変調、パルス幅変調、パルス密度変調、その他のパルス変調、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。
補償電流波形算出部100は、第1波形取得部102、第2波形取得部104、第3波形取得部106、デコンボリューション処理部108を備える。
第1波形取得部102は、上述の第1波形v(t)を取得する。第1波形v(t)は、補償回路12を停止し、メイン電源10によって負荷であるDUT1に電源電圧VDDを供給した状態で、負荷のインピーダンスを変動させたときの電源電圧の変動波形である。
第2波形取得部104は、エミュレートしたい電源電圧の目標波形である第2波形v(t)を取得する。第3波形取得部106は、第3波形z(t)を取得する。上述したように第3波形z(t)は、メイン電源10によってDUT1に電源電圧VDDを供給したときに、補償回路12が接続されるべきノードに所定のパルス電流Iを供給したときのインパルス応答波形である。
第1波形取得部102、第2波形取得部104、第3波形取得部106は、演算処理によって各波形を取得してもよいし、あらかじめ実測された波形をメモリから読み出してもよい。
デコンボリューション処理部108は、第2波形v(t)と第1波形v(t)の差分v(t)−v(t)に対して、第3波形z(t)を逆畳み込み演算することにより、補償電流iCMPの波形を記述する第4波形iCMP(t)を算出する。
以上が補償電流波形算出部100の構成である。
デコンボリューション処理部108による逆畳み込み処理のアルゴリズムは特に限定されないが、たとえば、ブラインドデコンボリューション法を用いてもよいし、フーリエ変換を用いてもよいし、行列演算を用いてもよい。
図8は、フーリエ変換を用いたデコンボリューション処理部108aの構成例を示すブロック図である。デコンボリューション処理部108aは、フーリエ変換部112、第4スペクトル生成部114、逆フーリエ変換部116を含む。
フーリエ変換部112は、第1波形v(t)、第2波形v(t)、第3波形z(t)それぞれをフーリエ変換した第1スペクトルV(f)、第2スペクトルV(f)、第3スペクトルZ(f)を生成する。第4スペクトル生成部114は、第1スペクトルV(f)、第2スペクトルV(f)、第3スペクトルZ(f)にもとづき、式(1)で与えられる第4スペクトルICMP(f)を生成する。
CMP(f)={V(f)−V(f)}/Z(f) …(1)
逆フーリエ変換部116は、補償電流iCMPの波形を記述する第4波形iCMP(t)を、第4スペクトルICMP(f)を逆フーリエ変換することにより生成する。
このデコンボリューション処理部108aによれば、フーリエ変換、逆変換によって、第4波形iCMP(t)を生成できる。フーリエ変換部112、逆フーリエ変換部116はそれぞれ、高速フーリエ変換、逆高速フーリエ変換を行ってもよい。
図9は、行列演算を用いたデコンボリューション処理部108bの構成例を示すブロック図である。デコンボリューション処理部108bは、第1波形行列生成部120、第2波形行列生成部122、第3波形行列生成部124、逆行列生成部126、第4波形行列生成部128、第4波形生成部130を含む。
第1波形行列生成部120は、第1波形v(t)にもとづいて、1行N列(Nは2以上の整数)の第1波形行列vを生成する。第1波形行列vは、離散的なN個の時刻における第1波形v(t)の値v[0]、v[1]…、v[N−1]を要素として含む。
第2波形行列生成部122は、第2波形v(t)にもとづいて、1行N列の第2波形行列vを生成する。第2波形行列vは、離散的なN個の時刻における第2波形v(t)の値v[0]、v[1]…、v[N−1]を要素として含む。
第3波形行列生成部124は、N行N列の第3波形行列zを生成する。第3波形行列zのi行目(1≦i≦N)は、時刻(i−1)においてパルス電流Iを供給したときの第3波形zA,i−1(t)を離散的なN個の時刻でサンプリングした値zA,i−1[0]、zA,i−1[1]…、zA,i−1[N−1]を含む。図10(a)、(b)は、第3波形行列zを示す図である。
負荷であるDUT1のインピーダンスが、電源装置8のインピーダンスに比べて十分に高いとき、それらの合成インピーダンスは、電源装置8のインピーダンスと等しいものと近似できる。この場合、電源電圧VDDのパルス電流Iに対するインパルス応答波形z(t)は、パルス電流Iを供給するタイミングによらない。
この場合、図10(b)に示すように、第3波形行列zのi行目(1≦i≦N)の行ベクトルは、(i−1)行目の行ベクトルを列方向に1要素分シフトした波形とすることができる。
図9に戻る。逆行列生成部126は、第3波形行列zの逆行列z −1を生成する。第4波形行列生成部128は、補償電流iCMPの波形を記述する1行N列の第4波形行列iCMPを、式(2)の行列演算により生成する。
CMP=[v−v][z −1] …(2)
第4波形生成部130は、第4波形行列iCMPを第4波形iCMP(t)に変換する。
このデコンボリューション処理部108bによれば、行列演算によって第4波形iCMP(t)を生成できる。
第1波形行列v、第2波形行列v、第3波形行列z、第4波形行列iCMPは、それぞれ1行N列、1行N列、N行N列、1行N列の行列に限定されない。第1波形行列v、第2波形行列v、第3波形行列z、第4波形行列iCMPは、それぞれ1行N列、1行N列、M行N列、1行M列の行列でもよい。このとき、第3波形行列zが正方行列ではないため、zの逆行列[z −1]は求まらない。この場合は、逆行列[z −1]をzの一般化逆行列(または、擬似逆行列と呼ばれる)として求めて、式(2)を演算してもよい。
が正方行列ではない場合、N=k×Mであることが望ましい。負荷であるDUT1のインピーダンスが、電源装置8のインピーダンスに比べて十分に高いとき、第1波形行列v、第2波形行列v、第3波形行列z、第4波形行列iCMPは、それぞれ1行(k×M)列、1行(k×M)列、M行(k×M)列、1行M列であることが望ましい。kは自然数である。この場合、図10(b)に示した第3波形行列zのi行目(1≦i≦M)の行ベクトルは、(i−1)行目の行ベクトルを列方向にk要素分シフトした波形としてよい。
なおkは非整数であってもよい。負荷であるDUT1のインピーダンスが、電源装置8のインピーダンスに比べて十分に高いとき、第3波形行列zのi行目(1≦i≦N)の行ベクトルは、(i−1)行目の行ベクトルを列方向にk’要素分シフトした波形としてもよい。k’は、kに隣接する整数である。あるいは、k要素分シフトした波形を、補間処理により生成してもよい。
図11は、デコンボリューション処理部108cの別の構成例を示すブロック図である。デコンボリューション処理部108cは、第5波形取得部132、負荷電流取得部134、フーリエ変換部136、第6波形生成部138、第4波形生成部140を含む。
第5波形取得部132は、第5波形z(t)を取得する。図4(b)に示すように、第5波形z(t)は、メイン電源10に代えてエミュレート対象のターゲット電源11がDUT1に電源電圧VDDを供給するときに、補償回路12が接続されるべきノードに所定のパルス電流Iを供給したときの、パルス電流Iに対する電源電圧VDDのインパルス応答波形である。負荷電流取得部134は、DUT1にインピーダンス変動が生じたときの負荷電流iDUT(t)を取得する。
フーリエ変換部136は、第3波形z(t)、第5波形z(t)それぞれをフーリエ変換することにより、第3スペクトルZ(f)、第5スペクトルZ(f)を生成する。第6波形生成部138は、Z(f)/Z(f)を逆フーリエ変換することにより、第6波形A(t)を生成する。第4波形生成部140は、第6波形A(t)および負荷電流iDUT(t)にもとづき、式(3)で与えられる第4波形iCMP(t)を生成する。「*」は畳み込み演算子を示す。
CMP(t)=A(t)*iDUT(t)−iDUT(t) …(3)
このデコンボリューション処理部108cによれば、フーリエ変換および畳み込み演算によって第4波形iCMP(t)を生成できる。
図12は、第2波形取得部104の構成例を示すブロック図である。第2波形取得部104は、第5波形取得部132、負荷電流取得部134、演算部142を含む。
第5波形取得部132、負荷電流取得部134は、図11のそれらと同様である。演算部142は、目標値VREF、第5波形z(t)、負荷電流iDUT(t)にもとづき、式(4)で与えられる第2波形v(t)を生成する。
(t)=VREF−iDUT(t)*z(t) …(4)
「*」は畳み込み演算子を示す。これにより、ターゲット電源11の特性が既知である場合に、さまざまな負荷電流IDUTの波形に対する第2波形v(t)を計算できる。
実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
(変形例1)
実際の電源装置8は非線形性を有するところ、補償電流波形算出部100による電源装置8による演算処理の一部は、系が線形であるとの前提で行われる。そのため、補償回路12から第4波形iCMP(t)に応じた補償電流iCMPを供給したときの電源電圧VDDの波形v(t)は、目標波形である第2波形v(t)とは完全に一致せず、誤差ΔVが生ずることになる。この問題は、以下の変形例により解決できる。
図13は、変形例に係る補償電流波形算出部100aの構成の一部を示すブロック図である。図13には、図7と重複するブロックは省略される。補償電流波形算出部100aは、図7の構成に加えて、第7波形取得部150および誤差算出部152をさらに備える。第7波形取得部150は、補償回路12が第4波形iCMP(t)により記述される補償電流ICMPを供給したときの電源電圧の変動波形である第7波形v(t)を算出する。第7波形v(t)は、式(6)から計算することができる。
誤差算出部152は、第7波形v(t)と第2波形v(t)の誤差ΔV(t)を計算する。補償電流波形算出部100は、誤差がゼロに近づくように、再帰的に第4波形iCMP(t)を計算する。
この変形例によれば、補償回路12を動作させたときの電源電圧の変動波形を、さらに目標波形に近づけることができる。
(変形例2)
実施の形態では、補償回路12がソース電流源12bとシンク電流源12cを含む場合を説明したが本発明はそれには限定されず、いずれか一方のみの構成としてもよい。ソース電流源12bのみ設ける場合、ソース電流源12bに定常的な電流IDCを発生させる。そして、電源電流iDDが負荷電流iDUTに対して不足するときは、ソース電流源12bが発生する電流ISRCを、定常的な電流IDCから相対的に増加させる。反対に、電源電流iDDが負荷電流iDUTに対して過剰なときは、ソース電流源12bが発生する電流ISRCを、定常的な電流IDCから相対的に減少させる。
シンク電流源12cのみ設ける場合、シンク電流源12cに定常的な電流IDCを発生させる。そして、電源電流iDDが負荷電流iDUTに対して不足するときは、シンク電流源12cが発生する電流ISINKを、定常的な電流IDCから相対的に減少させる。反対に、電源電流iDDが負荷電流iDUTに対して過剰なときは、シンク電流源12cが発生する電流ISINKを、定常的な電流IDCから相対的に増加させる。
これにより、試験装置全体の消費電流は、定常的な電流IDC分増加するが、それと引きかえに、単一のスイッチのみで、補償電流ISRC、ISINKを発生させることができる。
(変形例3)
実施の形態では、メイン電源10、補償回路12および補償電流波形算出部100を含む電源装置8を、試験装置に利用する場合を説明したが、本発明はそれには限定されず、任意の装置に用いることができる。たとえばDUT1の実使用状態において使用される電源装置に、実施の形態に係る電源装置8を利用してもよい。
(変形例4)
実施の形態では、補償回路12が、補償電流iCMPをパルス電流として生成する場合を説明したが、補償電流iCMPは連続的な電流であってもよい。
(変形例5)
実施の形態では、単一ノードの電圧を動的に制御する場合を説明したが、本発明はそれには限定されず、複数ノードの電圧を制御する場合にも応用できる。
図14は、複数の電源端子を有するDUT1と、DUT1に電源電圧を供給する複数の電源装置の構成を示すブロック図である。DUT1は、2つの電源端子P1[1]、[2]を備える。第1電源装置8[1]の出力端子は、電源ラインを介して電源端子P1[1]と接続され、電源端子の電圧VDD1が目標値VREF1と近づくように、フィードバック制御により出力電圧VOUT1を調節する。同様に、第2電源装置8[2]の出力端子は、電源ラインを介して電源端子P1[2]と接続され、電源端子の電圧VDD2が目標値VREF2と近づくように、フィードバック制御により出力電圧VOUT2を調節する。
この変形例では、補償回路12[1]、12[2]が生成する補償電流iCMP1、iCMP2を制御することによって、電源電圧VDD1、VDD2を任意の目標波形である第2波形vT1(t)、vT2(t)と一致させる。
いま、補償回路12[1]、12[2]を停止し、2つの電源電圧VDD1、VDD2がそれぞれの目標値VREF1、VREF2に安定化される定常状態を考える。この状態において、DUT1のインピーダンスが変動したときの、2つの電源電圧VDD1、VDD2それぞれの変動波形を、vA1(t)、vA2(t)とする。これは、実施の形態における第1波形v(t)に対応する。
2つの電源電圧VDD1、VDD2がそれぞれの目標値VREF1、VREF2に安定化される定常状態において、補償回路12[1]から単位パルス電流Iを供給したときの、2つの電源電圧VDD1、VDD2それぞれの変動波形を、zA11(t)、zA12(t)とする。
同様に定常状態において、補償回路12[2]から単位パルス電流Iを供給したときの、2つの電源電圧VDD1、VDD2それぞれの変動波形を、zA21(t)、zA22(t)とする。zA11(t)、zA12(t)、zA21(t)、zA22(t)は、実施の形態における第3波形z(t)に対応する。
補償回路12[1]、12[2]から任意の補償電流iCMP1(t)、iCMP2(t)を供給したときの電源電圧VDD1、VDD2の変動波形v(t)、v(t)は、重ね合わせの理によって、それぞれ式(9)、(10)で与えられる。
(t)=vA1(t)+iCMP1(t)*zA11(t)+iCMP2(t)*zA12(t)
…(9)
(t)=vA2(t)+iCMP1(t)*zA21(t)+iCMP2(t)*zA22(t)
…(10)
(t)=vT1(t)、v(t)=vT2(t)を式(9)、(10)に代入すると、式(11)、(12)を得る。
T1(t)−vA1(t)=iCMP1(t)*zA11(t)+iCMP2(t)*zA12(t) …(11)
T2(t)−vA2(t)=iCMP1(t)*zA21(t)+iCMP2(t)*zA22(t) …(12)
この変形例によれば、iCMP1(t)およびiCMP2(t)を未知数として、連立方程式(11)、(12)を解くことにより、2つの電源電圧VDD1、VDD2を任意の波形とすることができる。
1…DUT、2…試験装置、PG…パターン発生器、TG…タイミング発生器、FC…波形整形器、4…インタフェース回路、DR…ドライバ、8…電源装置、10…メイン電源、11…ターゲット電源、12…補償回路、20…電圧測定部、22…制御パターン生成部、12a…補助電源、12b…ソーススイッチ、12c…シンクスイッチ、P1…電源端子、P2…接地端子、P3…I/O端子、100…補償電流波形算出部、102…第1波形取得部、104…第2波形取得部、106…第3波形取得部、108…デコンボリューション処理部、110…パルス変調器、112…フーリエ変換部、114…第4スペクトル生成部、116…逆フーリエ変換部、120…第1波形行列生成部、122…第2波形行列生成部、124…第3波形行列生成部、126…逆行列生成部、128…第4波形行列生成部、130…第4波形生成部、132…第5波形取得部、134…負荷電流取得部、136…フーリエ変換部、138…第6波形生成部、140…第4波形生成部、142…演算部、150…第7波形取得部、152…誤差算出部。

Claims (19)

  1. 所定のインピーダンス変動が生ずる負荷に電源電圧を供給し、前記電源電圧を任意の目標波形に制御する電源装置であって、
    その出力端子が電源ラインを介して前記負荷の電源端子に接続されており、前記電源端子の電源電圧に応じた検出値が所定の目標値に近づくように、前記出力端子から出力する出力電圧をフィードバック制御するメイン電源と、
    前記電源電圧を任意の目標波形に制御するときに、(i)補償電流を前記メイン電源とは別経路から前記電源端子に注入し、および/または、(ii)前記メイン電源から前記負荷へ流れる電源電流から、補償電流を前記負荷とは別経路に引きこむように構成された補償回路と、
    前記補償回路が生成すべき前記補償電流の波形を算出する補償電流波形算出部と、
    を備え、
    前記補償電流波形算出部は、
    前記補償回路が停止し、前記電源電圧が前記メイン電源によって前記目標値に安定化された定常状態において、前記負荷に前記所定のインピーダンス変動が生じたときの電源電圧の変動波形である第1波形v(t)を取得する第1波形取得部と、
    前記電源電圧の目標波形である第2波形v(t)を取得する第2波形取得部と、
    前記メイン電源が前記負荷に前記電源電圧を供給した状態において、前記補償回路が接続されるべきノードに所定のパルス電流を供給したときの、前記パルス電流に対する電源電圧のインパルス応答波形である第3波形z(t)を取得する第3波形取得部と、
    前記第2波形v(t)と前記第1波形v(t)の差分v(t)−v(t)に対して、前記第3波形z(t)を逆畳み込み演算することにより、前記補償電流の波形を記述する第4波形iCMP(t)を算出するデコンボリューション処理部と、
    を備えることを特徴とする電源装置。
  2. 前記デコンボリューション処理部は、フーリエ変換、フーリエ逆変換を利用して第4波形iCMP(t)を算出することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  3. 前記デコンボリューション処理部は、
    前記第1波形v(t)、前記第2波形v(t)、前記第3波形z(t)それぞれをフーリエ変換した第1スペクトルV(f)、第2スペクトルV(f)、第3スペクトルZ(f)を生成するフーリエ変換部と、
    前記第1スペクトルV(f)、前記第2スペクトルV(f)、前記第3スペクトルZ(f)にもとづき、式(1)で与えられる第4スペクトルICMP(f)を生成する第4スペクトル生成部と、
    CMP(f)={V(f)−V(f)}/Z(f) …(1)
    前記補償電流の波形を記述する第4波形iCMP(t)を、前記第4スペクトルICMP(f)を逆フーリエ変換することにより生成する第4波形生成部と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  4. 前記補償電流波形算出部は、行列演算を利用して第4波形iCMP(t)を算出することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  5. 前記補償電流波形算出部は、
    前記第1波形v(t)にもとづいて、1行N列(Nは2以上の整数)の第1波形行列vであって、離散的なN個の時刻における第1波形v(t)の値v[0]、v[1]…、v[N−1]を要素として含む第1波形行列vを生成する第1波形行列生成部と、
    前記第2波形v(t)にもとづいて、1行N列の第2波形行列vであって、離散的なN個の時刻における第2波形v(t)の値v[0]、v[1]…、v[N−1]を要素として含む第2波形行列vを取得する第2波形行列生成部と、
    M行N列(Mは2以上の整数)の第3波形行列zであって、i行目(1≦i≦M)は、時刻(i−1)においてパルス電流Iを供給したときの第3波形zA,i−1(t)を離散的なN個の時刻でサンプリングした値zA,i−1[0]、zA,i−1[1]…、zA,i−1[N−1]を含む第3波形行列zを生成する第3波形行列生成部と、
    前記第3波形行列zの逆行列z −1を生成する逆行列生成部と、
    前記補償電流の波形を記述する1行M列の第4波形行列iCMPを、式(2)の行列演算により生成する第4波形行列生成部と、
    CMP=[v−v][z −1] …(2)
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  6. N=k×M(kは自然数)であり、前記第3波形行列zのi行目(1≦i≦N)の行ベクトルは、(i−1)行目の行ベクトルを列方向にk要素分シフトした波形であることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
  7. 前記デコンボリューション処理部は、
    前記メイン電源に代えてエミュレート対象のターゲット電源が、前記負荷に前記電源電圧を供給した状態において、前記補償回路が接続されるべきノードに所定のパルス電流を供給したときの、前記パルス電流に対する前記電源電圧のインパルス応答波形である第5波形z(t)を取得する第5波形取得部と、
    前記負荷に前記所定のインピーダンス変動が生じたときに負荷に流れる負荷電流iDUT(t)を取得する負荷電流取得部と、
    前記第3波形z(t)、前記第5波形z(t)それぞれをフーリエ変換した第3スペクトルZ(f)、第5スペクトルZ(f)を生成するフーリエ変換部と、
    (f)/Z(f)を逆フーリエ変換することにより、第6波形A(t)を生成する第6波形生成部と、
    前記第6波形A(t)および前記負荷電流iDUT(t)にもとづき、式(3)で与えられる第4波形iCMP(t)を生成する第4波形生成部と、
    CMP(t)=A(t)*iDUT(t)−iDUT(t) …(3)
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  8. 前記第2波形取得部は、
    前記メイン電源に代えてエミュレート対象のターゲット電源が、前記負荷に前記電源電圧を供給した状態において、前記補償回路が接続されるべきノードに所定のパルス電流を供給したときの、前記パルス電流に対する前記電源電圧のインパルス応答波形である第5波形z(t)を取得する第5波形取得部と、
    前記負荷に前記所定のインピーダンス変動が生じたときに負荷に流れる負荷電流iDUT(t)を取得する負荷電流取得部と、
    前記目標値VREF、前記第5波形z(t)、前記負荷電流iDUT(t)にもとづき、式(4)で与えられる前記第2波形v(t)を生成する演算部と、
    (t)=VREF−iDUT(t)*z(t) …(4)
    を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電源装置。
  9. 前記補償電流波形算出部は、
    前記補償回路が前記第4波形iCMP(t)により記述される前記補償電流を供給したときの前記電源電圧の変動波形である第7波形v(t)を算出する第7波形取得部と、
    前記第7波形v(t)と前記第2波形v(t)の誤差を計算する誤差算出部と、
    をさらに備え、
    前記誤差がゼロに近づくように、再帰的に前記第4波形iCMP(t)を計算することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電源装置。
  10. 負荷である被試験デバイスに電源電圧を供給する請求項1から9のいずれかに記載の電源装置を備えることを特徴とする試験装置。
  11. 電源装置によって、所定のインピーダンス変動が生ずる負荷に電源電圧を供給し、前記電源電圧を任意の目標波形に制御する方法であって、
    前記電源装置は、
    その出力端子が電源ラインを介して前記負荷の電源端子に接続されており、前記電源端子の電源電圧に応じた検出値が所定の目標値に近づくように、前記出力端子から出力する出力電圧をフィードバック制御するメイン電源と、
    前記電源電圧を任意の目標波形に制御するときに、(i)補償電流を前記メイン電源とは別経路から前記電源端子に注入し、および/または、(ii)前記メイン電源から前記負荷へ流れる電源電流から、補償電流を前記負荷とは別経路に引きこむように構成された補償回路と、
    を備え、
    前記方法は、
    前記補償回路が停止し、前記電源電圧が前記メイン電源によって前記目標値に安定化された定常状態において、前記負荷に前記所定のインピーダンス変動が生じたときの電源電圧の変動波形である第1波形v(t)を取得するステップと、
    前記電源電圧の目標波形である第2波形v(t)を取得するステップと、
    前記メイン電源が前記負荷に前記電源電圧を供給した状態において、前記補償回路が接続されるべきノードに所定のパルス電流を供給したときの、前記パルス電流に対する前記電源電圧のインパルス応答波形である第3波形z(t)を取得するステップと、
    前記第2波形v(t)と前記第1波形v(t)の差分v(t)−v(t)に対して、前記第3波形z(t)を逆畳み込み演算することにより、前記補償電流の波形を記述する第4波形iCMP(t)を算出するステップと、
    を備えることを特徴とする方法。
  12. 前記第4波形iCMP(t)を算出するステップは、フーリエ変換、フーリエ逆変換を利用して第4波形iCMP(t)を算出することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記第4波形iCMP(t)を算出するステップは、
    前記第1波形v(t)、前記第2波形v(t)、第3波形z(t)それぞれをフーリエ変換した第1スペクトルV(f)、第2スペクトルV(f)、第3スペクトルZ(f)を生成するステップと、
    前記第1スペクトルV(f)、前記第2スペクトルV(f)、前記第3スペクトルZ(f)にもとづき、式(1)で与えられる第4スペクトルICMP(f)を生成するステップと、
    CMP(f)={V(f)−V(f)}/Z(f) …(1)
    前記第4スペクトルICMP(f)を逆フーリエ変換することにより第4波形iCMP(t)を生成するステップと、
    を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 前記第4波形iCMP(t)を算出するステップは、行列演算を利用して第4波形iCMP(t)を算出することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  15. 前記第4波形iCMP(t)を算出するステップは、
    前記第1波形v(t)にもとづいて、1行N列(Nは2以上の整数)の第1波形行列vであって、離散的なN個の時刻における第1波形v(t)の値v[0]、v[1]…、v[N−1]を要素として含む第1波形行列vを生成するステップと、
    前記第2波形v(t)にもとづいて、1行N列の第2波形行列vであって、離散的なN個の時刻における第2波形v(t)の値v[0]、v[1]…、v[N−1]を要素として含む第2波形行列vを生成するステップと、
    M行N列の第3波形行列zであって、i行目(1≦i≦M)は、時刻(i−1)においてパルス電流Iを供給したときの第3波形zA,i−1(t)を離散的なN個の時刻でサンプリングした値zA,i−1[0]、zA,i−1[1]…、zA,i−1[N−1]を含む第3波形行列zを生成するステップと、
    前記第3波形行列zの逆行列z −1を生成するステップと、
    前記補償電流の波形を記述する1行M列の第4波形行列iCMPを、式(2)の行列演算により生成するステップと、
    CMP=[v−v][z −1] …(2)
    を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  16. N=k×M(kは自然数)であり、前記第3波形行列zのi行目(1≦i≦M)の行ベクトルは、(i−1)行目の行ベクトルを列方向にk要素分シフトした波形であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記第4波形iCMP(t)を算出するステップは、
    前記メイン電源に代えてエミュレート対象のターゲット電源が、前記負荷に前記電源電圧を供給した状態において、前記補償回路が接続されるべきノードに所定のパルス電流を供給したときの、前記パルス電流に対する前記電源電圧のインパルス応答波形である第5波形z(t)を取得するステップと、
    前記負荷に前記所定のインピーダンス変動が生じたときに負荷に流れる負荷電流iDUT(t)を取得するステップと、
    前記第3波形z(t)、前記第5波形z(t)それぞれをフーリエ変換した第3スペクトルZ(f)、第5スペクトルZ(f)を生成するステップと、
    (f)/Z(f)を逆フーリエ変換することにより、第6波形A(t)を生成するステップと、
    前記第6波形A(t)および前記負荷電流iDUT(t)にもとづき、式(3)で与えられる第4波形iCMP(t)を生成するステップと、
    CMP(t)=A(t)*iDUT(t)−iDUT(t) …(3)
    を備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  18. 前記第2波形v(t)を生成するステップは、
    前記メイン電源に代えてエミュレート対象のターゲット電源が、前記負荷に前記電源電圧を供給した状態において、前記補償回路が接続されるべきノードに所定のパルス電流を供給したときの、前記パルス電流に対する前記電源電圧のインパルス応答波形である第5波形z(t)を取得するステップと、
    前記負荷に前記所定のインピーダンス変動が生じたときに負荷に流れる負荷電流iDUT(t)を取得するステップと、
    前記目標値VREF、前記第5波形z(t)、前記負荷電流iDUT(t)にもとづき、式(4)で与えられる前記第2波形v(t)を生成するステップと、
    (t)=VREF−iDUT(t)*z(t) …(4)
    を備えることを特徴とする請求項11から17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記補償回路が前記第4波形iCMP(t)により記述される前記補償電流を供給したときの前記電源電圧の変動波形である第7波形v(t)を算出するステップと、
    前記第7波形v(t)と前記第2波形v(t)の誤差を計算するステップと、
    をさらに備え、
    前記誤差がゼロに近づくように、再帰的に前記第4波形iCMP(t)を計算することを特徴とする請求項11から18のいずれかに記載の方法。
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