JP2014074211A - 水素透過膜合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のPd合金に比べて十分にコスト低減が可能であり、量産性(溶解性、熱間加工性)及び耐久性に優れ、しかも、水素透過能がPd合金以上である水素透過膜合金を提供すること。
【解決手段】主構成元素としてNb、W、M1、Ni、Ti及びM2を含み、残部が不可避的不純物からなり、主構成元素がNbx(W)a(M1)b(NiyTizM2α)の関係を満たす水素透過膜合金。但し、M1は、Mo、Ta及びRuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、M2は、Fe、Co、Cu及びVからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、20(at%)≦x+a+b≦50(at%)、0.01x(at%)≦a+b≦0.30x(at%)、25(at%)≦y≦40(at%)、0.8z(at%)≦y≦1.25z(at%)、α≦0.1y(at%)、x+a+b+y+z+α=100(at%)。
【選択図】図7
【解決手段】主構成元素としてNb、W、M1、Ni、Ti及びM2を含み、残部が不可避的不純物からなり、主構成元素がNbx(W)a(M1)b(NiyTizM2α)の関係を満たす水素透過膜合金。但し、M1は、Mo、Ta及びRuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、M2は、Fe、Co、Cu及びVからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、20(at%)≦x+a+b≦50(at%)、0.01x(at%)≦a+b≦0.30x(at%)、25(at%)≦y≦40(at%)、0.8z(at%)≦y≦1.25z(at%)、α≦0.1y(at%)、x+a+b+y+z+α=100(at%)。
【選択図】図7
Description
本発明は、水素透過膜合金に関し、さらに詳しくは、Nb−(Mo、W、Ta、Ru)−NiTi系合金からなり、高純度水素精製装置などに用いられる水素透過膜合金に関する。
地球温暖化の一因と言われるCO2ガスの排出を抑制するため、水素ガスや液体水素をエネルギー源としたエネルギー利用形態が提案されている。水素は、水素含有ガスや水素元素を構成元素とする物質から熱化学反応や電気化学反応を用いて取り出すことは可能である。しかしながら、水素をエネルギー源として用いるためには、水素中の不純物濃度を抑制する必要がある。このような不純物制御のため、水素透過膜合金による水素精製が実施されている。
しかし、従来開発されている水素透過膜合金は、主に金属Pdを用いた合金系材料からなる。このため、Pd系合金からなる水素透過膜合金は、非常に高コストである点が課題となっていた。この課題を解決するため、Pd以外の元素を主元素とした合金やセラミックス、あるいは有機物を利用した透過膜開発が進められている。
これらの中でも、Nbは、低コストであり、しかも水素透過性が優れているので、Pd系合金に代わる材料として期待されている。しかしながら、Nb自体は、水素脆化する材料であることが知られている。
これらの中でも、Nbは、低コストであり、しかも水素透過性が優れているので、Pd系合金に代わる材料として期待されている。しかしながら、Nb自体は、水素脆化する材料であることが知られている。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、Nb−Ni−Ti系合金からなる水素透過合金膜が開示されている。同文献に記載の水素透過合金膜は、Nb中にNiTiを分散させることによって水素脆化を防止し、その耐久性を確保している。また、高価な貴金属を用いていないので、大幅にコスト低減が可能となる。
しかしながら、この水素透過膜合金は、水素透過能を持つNb単相組織部分が相対的に少ないので、水素透過能の向上には限界がある。また、NiTi分散による耐久性の向上にも限界がある。
例えば、特許文献1には、Nb−Ni−Ti系合金からなる水素透過合金膜が開示されている。同文献に記載の水素透過合金膜は、Nb中にNiTiを分散させることによって水素脆化を防止し、その耐久性を確保している。また、高価な貴金属を用いていないので、大幅にコスト低減が可能となる。
しかしながら、この水素透過膜合金は、水素透過能を持つNb単相組織部分が相対的に少ないので、水素透過能の向上には限界がある。また、NiTi分散による耐久性の向上にも限界がある。
また、特許文献2には、Nb−W(Mo)系合金からなる水素分離膜が開示されている。同文献に記載の水素分離膜は、従来のPd系合金膜に比べて水素透過能及び耐久性が向上すると報告されている。
しかしながら、この水素分離膜を構成する元素の融点は、いずれも2000℃以上である。そのため、水素分離膜の製造には、EB(エレクトロ・ビーム)溶解法などの非常に特殊な溶解法を用いる必要があり、量産が困難である。
しかしながら、この水素分離膜を構成する元素の融点は、いずれも2000℃以上である。そのため、水素分離膜の製造には、EB(エレクトロ・ビーム)溶解法などの非常に特殊な溶解法を用いる必要があり、量産が困難である。
さらに、特許文献3には、Nb合金水素分離膜が開示されている。しかしながら、同文献に記載の水素分離膜は、添加可能な元素幅が広く、その添加量についても大きな範囲で示されている。また、同文献には、合金化による具体的な効果が十分示されていない。
本発明が解決しようとする課題は、従来のPd合金に比べて十分にコスト低減が可能であり、量産性(溶解性、熱間加工性)及び耐久性に優れ、しかも、水素透過能がPd合金以上である水素透過膜合金を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る水素透過膜合金は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記水素透過膜合金は、主構成元素としてNb、W、M1、Ni、Ti及びM2(但し、M2は任意元素)を含み、残部が不可避的不純物からなる。
但し、
M1は、Mo、Ta及びRuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
M2は、Fe、Co、Cu及びVからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素。
(2)前記主構成元素は、次の(A)式の関係を満たす。
Nbx(W)a(M1)b(NiyTizM2α) ・・・(A)
但し、
20(at%)≦x+a+b≦50(at%)、
0.01x(at%)≦a+b≦0.30x(at%)、
25(at%)≦y≦40(at%)、
0.8z(at%)≦y≦1.25z(at%)、
α≦0.1y(at%)、
x+a+b+y+z+α=100(at%)。
(1)前記水素透過膜合金は、主構成元素としてNb、W、M1、Ni、Ti及びM2(但し、M2は任意元素)を含み、残部が不可避的不純物からなる。
但し、
M1は、Mo、Ta及びRuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
M2は、Fe、Co、Cu及びVからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素。
(2)前記主構成元素は、次の(A)式の関係を満たす。
Nbx(W)a(M1)b(NiyTizM2α) ・・・(A)
但し、
20(at%)≦x+a+b≦50(at%)、
0.01x(at%)≦a+b≦0.30x(at%)、
25(at%)≦y≦40(at%)、
0.8z(at%)≦y≦1.25z(at%)、
α≦0.1y(at%)、
x+a+b+y+z+α=100(at%)。
Nb系の水素透過膜合金に対して所定量のNiを添加すると、合金の融点が低下する。そのため、合金の溶解性が向上する。
また、Nb系の水素透過膜合金に対して所定量のNi及びTiを添加すると、組織内にNiTi金属間化合物が生成する。そのため、合金の熱間加工性が向上する。
また、このようなNb系の水素透過膜合金に対してさらに所定量のW及び/又は元素M1を添加すると、これらの元素は組織内のNb固溶体に固溶する。そのため、Nb固溶体の水素透過能が向上し、水素脆化も抑制される。また、W及び元素M1の含有量を最適化すると、これらの元素を含む金属間化合物であって、塑性加工が困難であるものの生成が抑制され、熱間加工性が向上する。
さらに、このようなNb系の水素透過膜合金に対してさらに所定量の元素M2を添加すると、水素透過膜合金の加工性が向上する。
また、Nb系の水素透過膜合金に対して所定量のNi及びTiを添加すると、組織内にNiTi金属間化合物が生成する。そのため、合金の熱間加工性が向上する。
また、このようなNb系の水素透過膜合金に対してさらに所定量のW及び/又は元素M1を添加すると、これらの元素は組織内のNb固溶体に固溶する。そのため、Nb固溶体の水素透過能が向上し、水素脆化も抑制される。また、W及び元素M1の含有量を最適化すると、これらの元素を含む金属間化合物であって、塑性加工が困難であるものの生成が抑制され、熱間加工性が向上する。
さらに、このようなNb系の水素透過膜合金に対してさらに所定量の元素M2を添加すると、水素透過膜合金の加工性が向上する。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 水素透過膜合金]
本発明に係る水素透過膜合金は、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1)前記水素透過膜合金は、主構成元素としてNb、W、M1、Ni、Ti及びM2(但し、M2は任意元素)を含み、残部が不可避的不純物からなる。
但し、
M1は、Mo、Ta及びRuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
M2は、Fe、Co、Cu及びVからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素。
(2)前記主構成元素は、次の(A)式の関係を満たす。
Nbx(W)a(M1)b(NiyTizM2α) ・・・(A)
但し、
20(at%)≦x+a+b≦50(at%)、
0.01x(at%)≦a+b≦0.30x(at%)、
25(at%)≦y≦40(at%)、
0.8z(at%)≦y≦1.25z(at%)、
α≦0.1y(at%)、
x+a+b+y+z+α=100(at%)。
[1. 水素透過膜合金]
本発明に係る水素透過膜合金は、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1)前記水素透過膜合金は、主構成元素としてNb、W、M1、Ni、Ti及びM2(但し、M2は任意元素)を含み、残部が不可避的不純物からなる。
但し、
M1は、Mo、Ta及びRuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
M2は、Fe、Co、Cu及びVからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素。
(2)前記主構成元素は、次の(A)式の関係を満たす。
Nbx(W)a(M1)b(NiyTizM2α) ・・・(A)
但し、
20(at%)≦x+a+b≦50(at%)、
0.01x(at%)≦a+b≦0.30x(at%)、
25(at%)≦y≦40(at%)、
0.8z(at%)≦y≦1.25z(at%)、
α≦0.1y(at%)、
x+a+b+y+z+α=100(at%)。
[1.1. 主構成元素]
水素透過膜合金は、主構成元素としてNb、W、M1、Ni、Ti及びM2を含み、残部が不可避的不純物からなる。ここで、M1は、Mo、Ta及びRuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素である。また、M2は、Fe、Co、Cu及びVからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素である。
水素透過膜合金に含まれる不純物は、少ないほど良い。高い特性を得るためには、水素透過膜合金に含まれる主構成元素の総量は、98at%以上が好ましい。主構成元素の総量は、さらに好ましくは、99at%以上である。
水素透過膜合金は、主構成元素としてNb、W、M1、Ni、Ti及びM2を含み、残部が不可避的不純物からなる。ここで、M1は、Mo、Ta及びRuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素である。また、M2は、Fe、Co、Cu及びVからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素である。
水素透過膜合金に含まれる不純物は、少ないほど良い。高い特性を得るためには、水素透過膜合金に含まれる主構成元素の総量は、98at%以上が好ましい。主構成元素の総量は、さらに好ましくは、99at%以上である。
Nbは、本合金の主要な構成元素である。金属Nbは、多量の水素を固溶する特徴があるが、その一方で水素脆化が顕著である点が欠点となっている。しかし、本願では、水素を固溶しやすく、かつ、各種金属元素の固溶範囲が幅広いというNbの特徴を生かし、Nbを各種金属元素と合金化させ、かつ、特徴ある組織を形成させ、これにより水素脆化を防止している。他方、Nbの融点は、2468±10℃前後と非常に高い。
WとNbは、全率固溶する(図2参照)。同様に、M1(Mo、Ta、Ru)とNbは、全率固溶する。これらの元素をNbに固溶させると、Nb固溶体の水素透過能が著しく増すと同時に、Nb固溶体の水素脆化が抑制される。しかし、W及びM1は、いずれも高融点である。具体的には、Wの融点は3387℃、Moの融点は2610℃、Taの融点は2996℃、Ruの融点は2250℃である(昭和59年11月30日 丸善株式会社発行 理科年表より抜粋)。
Niは、Nbと合金化することによってNbを低融点化させ、Nbの溶解を容易化させる(図1参照)。
また、NiとTiとを同時に添加すると、最終組織ではNiとTiからNiTi金属間化合物が生成する(図3参照)。NiTiは、Nb単体で認められる水素脆化作用を抑制する効果がある。また、NiTiは熱間加工及び冷間加工が可能であるため、これが材料中に存在することで材料の製造性低下が軽微となる。
さらに、添加したTiの一部は、晶出時にNb固溶体に固溶する。
また、NiとTiとを同時に添加すると、最終組織ではNiとTiからNiTi金属間化合物が生成する(図3参照)。NiTiは、Nb単体で認められる水素脆化作用を抑制する効果がある。また、NiTiは熱間加工及び冷間加工が可能であるため、これが材料中に存在することで材料の製造性低下が軽微となる。
さらに、添加したTiの一部は、晶出時にNb固溶体に固溶する。
M2(Fe、Co、Cu,V)は、NiTi合金の特性を改善する目的で添加される元素である。M2を添加すると、NiTi金属間化合物中においてM2による元素置換が起こる。但し、M2を過剰に添加すると、NiTi以外の金属間化合物が形成され、材料の加工性を著しく低下させることがある。
[1.2. 主構成元素の比率]
本発明に係る水素透過膜合金において、主構成元素は、次の(A)式の関係を満たす。
Nbx(W)a(M1)b(NiyTizM2α) ・・・(A)
但し、
20(at%)≦x+a+b≦50(at%)、
0.01x(at%)≦a+b≦0.30x(at%)、
25(at%)≦y≦40(at%)、
0.8z(at%)≦y≦1.25z(at%)、
α≦0.1y(at%)、
x+a+b+y+z+α=100(at%)。
本発明に係る水素透過膜合金において、主構成元素は、次の(A)式の関係を満たす。
Nbx(W)a(M1)b(NiyTizM2α) ・・・(A)
但し、
20(at%)≦x+a+b≦50(at%)、
0.01x(at%)≦a+b≦0.30x(at%)、
25(at%)≦y≦40(at%)、
0.8z(at%)≦y≦1.25z(at%)、
α≦0.1y(at%)、
x+a+b+y+z+α=100(at%)。
[1.2.1. x+a+b]
本発明に係る水素透過膜合金において、主構成元素の成分バランスを最適化すると、
(a)晶出したNb固溶体(Nb−W(M1)相)、及び、
(b)Nb固溶体とNiTi金属間化合物の共晶組織、
からなる2相組織が得られる。
ここで、x+a+bは、Nb+W+M1の総量を表す。一定量以上の(a)相を確保するためには、x+a+bは、全面共晶組織となる20(at%)以上を添加する必要がある。x+a+bは、さらに好ましくは、25(at%)以上である。
一方、x+a+bが過剰になると、合金の融点が上昇し、高周波誘導炉などの量産性に優れた溶解装置を用いた溶解が困難となる。従って、x+a+bは、50(at%)以下である必要がある。x+a+bは、さらに好ましくは、45(at%)以下、さらに好ましくは、40(at%)以下である。
本発明に係る水素透過膜合金において、主構成元素の成分バランスを最適化すると、
(a)晶出したNb固溶体(Nb−W(M1)相)、及び、
(b)Nb固溶体とNiTi金属間化合物の共晶組織、
からなる2相組織が得られる。
ここで、x+a+bは、Nb+W+M1の総量を表す。一定量以上の(a)相を確保するためには、x+a+bは、全面共晶組織となる20(at%)以上を添加する必要がある。x+a+bは、さらに好ましくは、25(at%)以上である。
一方、x+a+bが過剰になると、合金の融点が上昇し、高周波誘導炉などの量産性に優れた溶解装置を用いた溶解が困難となる。従って、x+a+bは、50(at%)以下である必要がある。x+a+bは、さらに好ましくは、45(at%)以下、さらに好ましくは、40(at%)以下である。
[1.2.2. a+b]
a+bは、W+M1の総量を表す。W及びM1は、いずれもNbに固溶し、Nbの晶出時にはその晶出核となる元素である。W及びM1は、いずれか一方を添加しても良く、あるいは、双方を添加しても良い。NbにW及び/又はM1を固溶させると、Nb固溶体の水素透過能が増すと同時に、Nb固溶体の水素脆化が抑制される。このような効果を得るためには、a+bは、0.01x以上である必要がある。
一方、a+bが過剰になると、Nb固溶体の融点が上昇し、量産性に優れた溶解装置を用いた溶解が困難となる。従って、a+bは、0.30x以下である必要がある。
a+bは、W+M1の総量を表す。W及びM1は、いずれもNbに固溶し、Nbの晶出時にはその晶出核となる元素である。W及びM1は、いずれか一方を添加しても良く、あるいは、双方を添加しても良い。NbにW及び/又はM1を固溶させると、Nb固溶体の水素透過能が増すと同時に、Nb固溶体の水素脆化が抑制される。このような効果を得るためには、a+bは、0.01x以上である必要がある。
一方、a+bが過剰になると、Nb固溶体の融点が上昇し、量産性に優れた溶解装置を用いた溶解が困難となる。従って、a+bは、0.30x以下である必要がある。
[1.2.3. y]
yは、Ni量を表す。Niは、Nbの融点を低下させる作用と、Tiと結合してNb−NiTiの共晶組織を生成させる作用とがある。yが少ないと、合金の融点が上昇し、Nb固溶体を安定して晶出させることができない。従って、yは、25at%以上である必要がある。
一方、yが過剰になると、低融点で、かつ、脆性材料である化合物(TiNi3)が形成されやすくなる。この化合物が形成されると、局部的に融点が低下し、熱間加工性が低下する。従って、yは、40(at%)以下である必要がある。
yは、Ni量を表す。Niは、Nbの融点を低下させる作用と、Tiと結合してNb−NiTiの共晶組織を生成させる作用とがある。yが少ないと、合金の融点が上昇し、Nb固溶体を安定して晶出させることができない。従って、yは、25at%以上である必要がある。
一方、yが過剰になると、低融点で、かつ、脆性材料である化合物(TiNi3)が形成されやすくなる。この化合物が形成されると、局部的に融点が低下し、熱間加工性が低下する。従って、yは、40(at%)以下である必要がある。
[1.2.4. y/z]
y/zは、Ni/Ti比(at%/at%)を表す。Ni/Ti比が少ないと、NiTi金属間化合物の析出量が少なくなる。従って、y/zは、0.8以上である必要がある。y/zは、さらに好ましくは、0.9以上、さらに好ましくは、0.95以上である。
同様に、Ni/Ti比が過剰になると、NiTi金属間化合物の析出量が少なくなる。従って、y/zは、1.25以下である必要がある(図3参照)。y/zは、さらに好ましくは、1.2以下である。
y/zは、Ni/Ti比(at%/at%)を表す。Ni/Ti比が少ないと、NiTi金属間化合物の析出量が少なくなる。従って、y/zは、0.8以上である必要がある。y/zは、さらに好ましくは、0.9以上、さらに好ましくは、0.95以上である。
同様に、Ni/Ti比が過剰になると、NiTi金属間化合物の析出量が少なくなる。従って、y/zは、1.25以下である必要がある(図3参照)。y/zは、さらに好ましくは、1.2以下である。
[1.2.5. α]
αは、M2量を表す。M2は、いずれもNiTiの元素の一部と置換されることによって、NiTiの特性を改善する効果がある。
しかしながら、αが過剰になると、NiTi以外の金属間化合物が形成され、その加工性を著しく低下させる。従って、αは、0.1y(at%)以下である必要がある。
αは、M2量を表す。M2は、いずれもNiTiの元素の一部と置換されることによって、NiTiの特性を改善する効果がある。
しかしながら、αが過剰になると、NiTi以外の金属間化合物が形成され、その加工性を著しく低下させる。従って、αは、0.1y(at%)以下である必要がある。
[1.2.6. 擬3元系状態図]
図4に、(A)式で表され、かつ、元素M2を含まない水素透過膜合金の擬3元系状態図を示す。図4中、ハッチングで示した領域が本願発明の組成範囲となる。
図4に、(A)式で表され、かつ、元素M2を含まない水素透過膜合金の擬3元系状態図を示す。図4中、ハッチングで示した領域が本願発明の組成範囲となる。
[1.3. 主構成元素の比率と、鋳造組織又は機械的特性との関係]
主構成元素は、上述の(A)式に加えて、以下の関係をさらに満たすのが好ましい。
(2a)前記主構成元素は、
0.01x(at%)≦a≦0.10x(at%)、及び、
0.01x(at%)≦b≦0.20x(at%)
をさらに満たす。
主構成元素の比率がこのような範囲にある場合、水素透過膜合金は、鋳造後の凝固組織がNb固溶体+(NiTi化合物+Nb固溶体の共晶組織)となる。
主構成元素は、上述の(A)式に加えて、以下の関係をさらに満たすのが好ましい。
(2a)前記主構成元素は、
0.01x(at%)≦a≦0.10x(at%)、及び、
0.01x(at%)≦b≦0.20x(at%)
をさらに満たす。
主構成元素の比率がこのような範囲にある場合、水素透過膜合金は、鋳造後の凝固組織がNb固溶体+(NiTi化合物+Nb固溶体の共晶組織)となる。
また、主構成元素は、上述の(A)式及び(2a)関係に加えて、以下の関係をさらに満たすのが好ましい。
(2b)前記主構成元素は、
0.01x(at%)≦a≦0.05x(at%)、及び、
0.01x(at%)≦b≦0.20x(at%)
をさらに満たす。
鋳造後の晶出物(Nb固溶体)が粗大になると、熱間加工性が低下する。Nb添加量が大きくなると、晶出物のサイズが大きくなる傾向が認められる。また、Nb添加の増加に比べ、Wを添加した場合は、その晶出物の粗大化が顕著になる傾向が認められる。
これに対し、主構成元素の比率がこのような範囲にある場合、水素透過膜合金は、鋳造後の晶出物(Nb固溶体)の平均サイズが1mm以下となりやすい。
(2b)前記主構成元素は、
0.01x(at%)≦a≦0.05x(at%)、及び、
0.01x(at%)≦b≦0.20x(at%)
をさらに満たす。
鋳造後の晶出物(Nb固溶体)が粗大になると、熱間加工性が低下する。Nb添加量が大きくなると、晶出物のサイズが大きくなる傾向が認められる。また、Nb添加の増加に比べ、Wを添加した場合は、その晶出物の粗大化が顕著になる傾向が認められる。
これに対し、主構成元素の比率がこのような範囲にある場合、水素透過膜合金は、鋳造後の晶出物(Nb固溶体)の平均サイズが1mm以下となりやすい。
さらに、主構成元素は、上述の(A)式、上記関係(2a)及び関係(2b)に加えて、以下の関係をさらに満たすのが好ましい。
(2c)前記主構成元素は、
25(at%)≦x+a+b≦45(at%)、及び、
0.9z(at%)≦y≦1.2z(at%)
をさらに満たす。
この場合、x+a+bは、さらに好ましくは、40(at%)以下である。また、y/zは、さらに好ましくは、0.95以上である。
主構成元素の比率をこのような範囲に限定すると、素材(インゴット)の熱間加工性が向上する。具体的には、主構成元素の比率をこのような範囲に限定すると、多少のバラツキはあるが、最大絞り値は約40%以上となり、かつ、30%以上の絞り値を示す温度域が約200℃以上となる傾向が認められる。
(2c)前記主構成元素は、
25(at%)≦x+a+b≦45(at%)、及び、
0.9z(at%)≦y≦1.2z(at%)
をさらに満たす。
この場合、x+a+bは、さらに好ましくは、40(at%)以下である。また、y/zは、さらに好ましくは、0.95以上である。
主構成元素の比率をこのような範囲に限定すると、素材(インゴット)の熱間加工性が向上する。具体的には、主構成元素の比率をこのような範囲に限定すると、多少のバラツキはあるが、最大絞り値は約40%以上となり、かつ、30%以上の絞り値を示す温度域が約200℃以上となる傾向が認められる。
[2. 水素透過膜合金の製造方法]
本発明に係る水素透過膜合金は、所定の組成となるように原料を配合し、配合物を溶解・鋳造することにより製造することができる。
配合物の溶解・鋳造方法及びその条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の方法及び条件を用いることができる。本発明に係る水素透過膜合金は、主構成元素の比率が最適化されているので、Nb、W、Moのような高融点金属を含んでいるにもかかわらず、量産性に優れた溶解方法(例えば、高周波溶解法)で溶解することができる。
本発明に係る水素透過膜合金は、所定の組成となるように原料を配合し、配合物を溶解・鋳造することにより製造することができる。
配合物の溶解・鋳造方法及びその条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の方法及び条件を用いることができる。本発明に係る水素透過膜合金は、主構成元素の比率が最適化されているので、Nb、W、Moのような高融点金属を含んでいるにもかかわらず、量産性に優れた溶解方法(例えば、高周波溶解法)で溶解することができる。
また、このようにして得られた水素透過膜合金を各種の用途に用いる場合には、鋳塊に対して、熱間加工及び/又は冷間加工が行われる。
加工方法及びその条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の方法及び条件を用いることができる。本発明に係る水素透過膜合金は、組織中にNiTiを分散させているので、NiTiにより水素脆化が抑制されるだけでなく、加工性も高くなる。
加工方法及びその条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の方法及び条件を用いることができる。本発明に係る水素透過膜合金は、組織中にNiTiを分散させているので、NiTiにより水素脆化が抑制されるだけでなく、加工性も高くなる。
[3. 水素透過膜合金の作用]
Nb系の水素透過膜合金に対して所定量のNiを添加すると、合金の融点が低下する(図1参照)。そのため、合金の溶解性が向上し、量産性に優れた溶解方法(例えば、高周波溶解法)を用いて溶解及び鋳造を行うことができる。
Nb系の水素透過膜合金に対して所定量のNiを添加すると、合金の融点が低下する(図1参照)。そのため、合金の溶解性が向上し、量産性に優れた溶解方法(例えば、高周波溶解法)を用いて溶解及び鋳造を行うことができる。
また、Nb系の水素透過膜合金に対して所定量のNi及びTiを添加すると、組織内にNi−Ti合金が生成する。Ni−Ti合金は、形状記憶合金として知られており、その金属間化合物(NiTi)は、数少ない熱間及び冷間での加工が可能な金属間化合物である。そのため、Nb系の水素透過膜合金の組織内にNiTi金属間化合物を分散させることによって、水素脆化が防止されると同時に、合金の熱間加工性が向上する。
また、このようなNb系の水素透過膜合金に対してさらに所定量のW及び/又は元素M1を添加すると、これらの元素は組織内のNb固溶体に固溶する。そのため、Nb固溶体の水素透過能が向上し、水素脆化も抑制される。また、W及び元素M1の含有量を最適化すると、これらの元素を含む金属間化合物であって、塑性加工が困難であるものの生成が抑制され、熱間加工性が向上する。
さらに、このようなNb系の水素透過膜合金に対して所定量の元素M2を添加すると、組織内のNiTi金属間化合物の加工性がさらに向上し、これによって水素透過膜合金の加工性も向上する。
さらに、このようなNb系の水素透過膜合金に対して所定量の元素M2を添加すると、組織内のNiTi金属間化合物の加工性がさらに向上し、これによって水素透過膜合金の加工性も向上する。
(実施例1〜45、比較例1〜18)
[1. 試料の作製]
所定の組成となるように配合された原料(5kg)を坩堝に入れ、高周波誘導炉により溶解した。溶解後、炉冷し、インゴットを得た。表1及び表2に、各試料の組成を示す。
[1. 試料の作製]
所定の組成となるように配合された原料(5kg)を坩堝に入れ、高周波誘導炉により溶解した。溶解後、炉冷し、インゴットを得た。表1及び表2に、各試料の組成を示す。
[2. 試験方法]
[2.1. 溶解性]
高周波誘導炉による坩堝溶解を実施した。
(a)坩堝使用が2回以上可能であるもの(すなわち、1回の溶解で坩堝の損傷を補修する必要が無く、坩堝からの耐火物成分(Al、Mg、Oなど)の溶け出しがないもの)、及び、
(b)原材料の溶け残りがないもの
を「溶解可能」と判定した。
[2.1. 溶解性]
高周波誘導炉による坩堝溶解を実施した。
(a)坩堝使用が2回以上可能であるもの(すなわち、1回の溶解で坩堝の損傷を補修する必要が無く、坩堝からの耐火物成分(Al、Mg、Oなど)の溶け出しがないもの)、及び、
(b)原材料の溶け残りがないもの
を「溶解可能」と判定した。
[2.2. 組織の同定]
X線回折により組織を同定した。X線回折の測定条件は、以下の通りである。
使用X線: CoターゲットのKα線
スキャン方法: 連続法−ソーラスリット5°
計測時間: 0.02sec
ステップ: 0.02°(スキャンスピード:1°/min)
スキャン角度範囲: 20°〜120°
X線回折により組織を同定した。X線回折の測定条件は、以下の通りである。
使用X線: CoターゲットのKα線
スキャン方法: 連続法−ソーラスリット5°
計測時間: 0.02sec
ステップ: 0.02°(スキャンスピード:1°/min)
スキャン角度範囲: 20°〜120°
[2.3. 晶出物(Nb固溶体)の平均サイズ]
5kgインゴットの断面組織中に認められる晶出物(Nbを主成分とする相)の大きさを測定した。画像処理ソフト「ウィンルーフ」を用いて、晶出物の円相当径を測定し、その平均値を晶出物の平均サイズとした。
5kgインゴットの断面組織中に認められる晶出物(Nbを主成分とする相)の大きさを測定した。画像処理ソフト「ウィンルーフ」を用いて、晶出物の円相当径を測定し、その平均値を晶出物の平均サイズとした。
[2.4. 熱間加工性]
グリーブル試験機を用いて熱間加工性を評価した。試験片サイズは、長さ:55mm、平行部直径:4.5mmとした。破断面の断面減少率を求め、これを絞り値とした。試験条件は、以下の通りである。
クロスヘッドスピード: 50.6mm/sec
加熱条件: 各温度まで加熱後、試験
加熱方式: 通電加熱
グリーブル試験機を用いて熱間加工性を評価した。試験片サイズは、長さ:55mm、平行部直径:4.5mmとした。破断面の断面減少率を求め、これを絞り値とした。試験条件は、以下の通りである。
クロスヘッドスピード: 50.6mm/sec
加熱条件: 各温度まで加熱後、試験
加熱方式: 通電加熱
試験温度vs絞り値をプロットし、最大絞り値及び絞り値30%以上の温度幅をグラフより求めた。図6に、実施例30で得られた鋳造材のグリーブル試験結果の一例を示す。図6より、実施例30の最大絞り値は57%、30%以上の絞り値を示す温度幅は300℃以上であることがわかる。
[2.5. EDX分析]
インゴットの断面組織のEDX分析を行った。
インゴットの断面組織のEDX分析を行った。
[3. 結果]
[3.1. 溶解性]
表3及び表4に、溶解性(高周波誘導炉による溶解可否)を示す。溶解性に関し、表3及び表4より、以下のことが分かる。
(1)比較例5〜9、12は、いずれも高融点金属の含有量(x+a+b)が過剰であり、かつ、Ni量が少ないために、溶解できなかった。
(2)比較例17は、Moが過剰であるために、溶解できなかった。
(3)実施例1〜45は、いずれも溶解可能であった。
[3.1. 溶解性]
表3及び表4に、溶解性(高周波誘導炉による溶解可否)を示す。溶解性に関し、表3及び表4より、以下のことが分かる。
(1)比較例5〜9、12は、いずれも高融点金属の含有量(x+a+b)が過剰であり、かつ、Ni量が少ないために、溶解できなかった。
(2)比較例17は、Moが過剰であるために、溶解できなかった。
(3)実施例1〜45は、いずれも溶解可能であった。
[3.2. 組織]
表3及び表4に、インゴットの組織を示す。また、図5に、実施例30で得られたインゴットのXRDパターンを示す。組織に関し、表3〜4及び図5より、以下のことがわかる。
(1)比較例5〜9は、いずれもNi及びTiを添加していないために、晶出物の無い固溶体となった。
(2)比較例10は、晶出物(Nb固溶体)と、共晶(NiTi化合物+Nb固溶体)の2相組織となったが、晶出物が粗大化した。これは、W量が過剰であるためである。
(3)比較例11、13は、いずれも共晶組成であるため、晶出物は晶出しなかった。
(4)比較例12は、2相組織を呈していたが、Nbの溶け残りが発生した。これは、Ni量が少ないためである。
(5)実施例1〜45は、いずれも2相組織を呈していた。
(6)実施例30で得られた材料は、Nb固溶体(NbTi固溶体)と、NiTi金属間化合物で構成されている(図5参照)。
表3及び表4に、インゴットの組織を示す。また、図5に、実施例30で得られたインゴットのXRDパターンを示す。組織に関し、表3〜4及び図5より、以下のことがわかる。
(1)比較例5〜9は、いずれもNi及びTiを添加していないために、晶出物の無い固溶体となった。
(2)比較例10は、晶出物(Nb固溶体)と、共晶(NiTi化合物+Nb固溶体)の2相組織となったが、晶出物が粗大化した。これは、W量が過剰であるためである。
(3)比較例11、13は、いずれも共晶組成であるため、晶出物は晶出しなかった。
(4)比較例12は、2相組織を呈していたが、Nbの溶け残りが発生した。これは、Ni量が少ないためである。
(5)実施例1〜45は、いずれも2相組織を呈していた。
(6)実施例30で得られた材料は、Nb固溶体(NbTi固溶体)と、NiTi金属間化合物で構成されている(図5参照)。
[3.3. 晶出物の平均サイズ]
表3及び表4に、晶出物(Nb固溶体)の平均サイズを示す。晶出物の平均サイズに関し、表3及び表4より、以下のことが分かる。
(1)2相組織が得られた材料の内、比較例10は、晶出物の平均サイズが1500μmを超えた。
(2)実施例1〜45は、晶出物の平均サイズが100〜1400μmであった。
(3)実施例43、44は、晶出物の平均サイズが1000μmを超えた。これは、W量が多くなるほど、晶出物が粗大化しやすくなるためと考えられる。
表3及び表4に、晶出物(Nb固溶体)の平均サイズを示す。晶出物の平均サイズに関し、表3及び表4より、以下のことが分かる。
(1)2相組織が得られた材料の内、比較例10は、晶出物の平均サイズが1500μmを超えた。
(2)実施例1〜45は、晶出物の平均サイズが100〜1400μmであった。
(3)実施例43、44は、晶出物の平均サイズが1000μmを超えた。これは、W量が多くなるほど、晶出物が粗大化しやすくなるためと考えられる。
[3.4. 熱間加工性]
表3及び表4に、最大絞り値及び30%以上の絞り値を示す温度域を示す。図7に、(Nb+W+Mo+Ta+Ru)と最大絞り値との関係を示す。さらに、図8に、Ni/Ti比(y/z)と最大絞り値との関係を示す。表3〜4及び図7〜8より、以下のことがわかる。
(1)(Nb+W+Mo+Ta+Ru)が約30at%までは、ほぼ60%程度の最大絞り値を示す。しかしながら、(Nb+W+Mo+Ta+Ru)量が30at%を超えると、最大絞り値が低下する。
(2)Ni/Ti比が約1.05のところで、最大絞り値は最大となる。
(3)元素M2を添加することによって、最大絞り値は30%以上となり、30%以上の絞り値を示す温度域は150℃以上となる。
表3及び表4に、最大絞り値及び30%以上の絞り値を示す温度域を示す。図7に、(Nb+W+Mo+Ta+Ru)と最大絞り値との関係を示す。さらに、図8に、Ni/Ti比(y/z)と最大絞り値との関係を示す。表3〜4及び図7〜8より、以下のことがわかる。
(1)(Nb+W+Mo+Ta+Ru)が約30at%までは、ほぼ60%程度の最大絞り値を示す。しかしながら、(Nb+W+Mo+Ta+Ru)量が30at%を超えると、最大絞り値が低下する。
(2)Ni/Ti比が約1.05のところで、最大絞り値は最大となる。
(3)元素M2を添加することによって、最大絞り値は30%以上となり、30%以上の絞り値を示す温度域は150℃以上となる。
[3.5. EDX分析]
図9に、W単独添加材(図9(a))とMo単独添加材(図9(b))の晶出物組織の比較(左図)と、共晶部分のEDX分析結果(右図)を示す。図9より、以下のことがわかる。
(1)Wは、晶出物の中心に優先的に析出している。一方、Moは、晶出物の全面に分布している。
(2)共晶組織部分は、いずれの合金もほぼ同様の組織及び組成を示している。
図9に、W単独添加材(図9(a))とMo単独添加材(図9(b))の晶出物組織の比較(左図)と、共晶部分のEDX分析結果(右図)を示す。図9より、以下のことがわかる。
(1)Wは、晶出物の中心に優先的に析出している。一方、Moは、晶出物の全面に分布している。
(2)共晶組織部分は、いずれの合金もほぼ同様の組織及び組成を示している。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る水素透過膜合金は、高純度水素精製装置の水素分離膜として用いることができる。
Claims (4)
- 以下の構成を備えた水素透過膜合金。
(1)前記水素透過膜合金は、主構成元素としてNb、W、M1、Ni、Ti及びM2(但し、M2は任意元素)を含み、残部が不可避的不純物からなる。
但し、
M1は、Mo、Ta及びRuからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素、
M2は、Fe、Co、Cu及びVからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素。
(2)前記主構成元素は、次の(A)式の関係を満たす。
Nbx(W)a(M1)b(NiyTizM2α) ・・・(A)
但し、
20(at%)≦x+a+b≦50(at%)、
0.01x(at%)≦a+b≦0.30x(at%)、
25(at%)≦y≦40(at%)、
0.8z(at%)≦y≦1.25z(at%)、
α≦0.1y(at%)、
x+a+b+y+z+α=100(at%)。 - 以下の構成をさらに備えた請求項1に記載の水素透過膜合金。
(2a)前記主構成元素は、
0.01x(at%)≦a≦0.10x(at%)、及び、
0.01x(at%)≦b≦0.20x(at%)
をさらに満たす。 - 以下の構成をさらに備えた請求項2に記載の水素透過膜合金。
(2b)前記主構成元素は、
0.01x(at%)≦a≦0.05x(at%)
をさらに満たす。 - 以下の構成をさらに備えた請求項3に記載の水素透過膜合金。
(2c)前記主構成元素は、
25(at%)≦x+a+b≦45(at%)、及び、
0.9z(at%)≦y≦1.2z(at%)
をさらに満たす。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012222815A JP2014074211A (ja) | 2012-10-05 | 2012-10-05 | 水素透過膜合金 |
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JP7359381B2 (ja) | 2019-08-27 | 2023-10-11 | 国立大学法人金沢大学 | 水素分離合金 |
-
2012
- 2012-10-05 JP JP2012222815A patent/JP2014074211A/ja active Pending
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