JP2014074120A - 水性防錆塗料組成物及びその塗装物 - Google Patents

水性防錆塗料組成物及びその塗装物 Download PDF

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Abstract

【課題】防錆性と、同時に、基材との密着性、高温と低温が繰り返す条件下に置かれた後の基材との密着性、耐衝撃性に優れた塗膜が得られ、さらに、乾燥性、貯蔵安定性が良好な常温乾燥型の水性防錆塗料を実現することができる水性防錆塗料組成物及びその塗装物を提供する。
【解決手段】(I)(a)共役ジエン系単量体1〜60質量部、(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体((a)共役ジエン系単量体に該当するものを除く)0.5〜10質量部、及びこれらと共重合可能な(c)他の単量体30〜98.5質量部を混合してなる単量体混合物(但し(a)+(b)+(c)=100質量部)であって、前記(c)他の単量体のうち(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体が占める部数が前記単量体(a)、(b)及び(c)の合計100質量部に対して0〜2.5質量部である前記単量体混合物を乳化重合して得られる共重合体ラテックス、並びに(II)防錆顔料を含んでなることを特徴とする水性防錆塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性防錆塗料として好ましく使用される水性防錆塗料組成物及びそれを用いた塗装物に関する。さらに詳しくは、得られる塗膜が、防錆性、基材との密着性、高温と低温が繰り返す条件下に置かれた後の基材との密着性、耐衝撃性に優れ、又、乾燥性、貯蔵安定性も良好な水性防錆塗料を実現することできる水性防錆塗料組成物及びその塗装物に関する。
近年、地球環境保護の観点から、各種塗料においては、溶剤系塗料から水系塗料への移行が進んでいる。防錆塗料でも溶剤系から水系に移行しつつあるが、従来の水系防錆塗料は、溶剤系防錆塗料に比べて、得られる塗膜の防錆性が劣るという大きな問題点がある。
こうした水系防錆塗料の問題を解決するため、数多くの先行技術が開示されている。例えば、特定の組成、及び特定のガラス転移温度を有する共重合体ラテックスを用いる方法(特許文献1)、又、二つの特定の温度範囲内にそれぞれ一以上のガラス転移温度を有するスチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン、ノニオン界面活性剤、及びポリカルボン酸塩を、特定の割合で混合したエマルジョン組成物を用いる方法(特許文献2)、さらには、水系共重合樹脂エマルジョン、防錆顔料、親水性有機溶剤を特定の割合で含む水系樹脂塗料組成物(特許文献3)を用いる方法などが提案されている。
特開平11−35872号公報 特開2008−19143号公報 特開平7−41701号公報
しかしながら、常温乾燥型で、溶剤系塗料から得られる塗膜と同等以上の防錆性と、同時に防錆性以外の特性、例えば、基材との密着性、高温と低温が繰り返す条件下に置かれた後(以下、温冷繰り返し後という)の基材との密着性、耐衝撃性においても、高いレベルを有する塗膜が得られ、かつ、乾燥性、貯蔵安定性も良好な水性防錆塗料は実現していないのが実情である。
そこで本発明は、得られる塗膜が、防錆性に優れると同時に基材との密着性、温冷繰り返し後の基材との密着性、耐衝撃性にも優れ、又、乾燥性、貯蔵安定性も良好な、常温乾燥型の水性防錆塗料を実現できる水性防錆塗料組成物及びそれを用いた塗装物を提供しょうとするものである。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、共役ジエン系単量体、ヒドロキシアルキル基を有する単量体を必須の単量体として、それらを特定の割合で含有する単量体混合物であって、該単量体混合物中のエチレン系不飽和カルボン酸単量体が特定量以下である単量体混合物を、乳化重合して得られる特定組成の共重合体ラテックスと、防錆顔料とを含んでなる組成物が、常温乾燥で、防錆性に優れると同時に基材との密着性、温冷繰り返し後の基材との密着性、耐衝撃性にも優れた塗膜を与え、乾燥性、貯蔵安定性も良好なことを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下の水性防錆塗料組成物及びその塗装物を提供する。
[1](I)(a)共役ジエン系単量体1〜60質量部、(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体((a)共役ジエン系単量体に該当するものを除く)0.5〜10質量部、及びこれらと共重合可能な(c)他の単量体30〜98.5質量部を混合してなる単量体混合物(但し(a)+(b)+(c)=100質量部)であって、前記(c)他の単量体のうち(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体が占める部数が前記単量体(a)、(b)及び(c)の合計100質量部に対して0〜2.5質量部である前記単量体混合物を乳化重合して得られる共重合体ラテックス、並びに(II)防錆顔料を含んでなることを特徴とする水性防錆塗料組成物。
[2]前記(c)他の単量体のうち前記(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体が占める部数が前記単量体(a)、(b)及び(c)の合計100質量部に対して0〜1.4質量部である[1]記載の水性防錆塗料組成物。
[3]前記(c)他の単量体のうち前記(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体が占める部数が前記単量体(a)、(b)及び(c)の合計100質量部に対して0〜0.4質量部である[1]記載の水性防錆塗料組成物。
[4]前記(II)防錆顔料の配合部数が、前記(I)共重合体ラテックスの固形分100質量部に対して、10〜60質量部である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物。
[5]前記(II)防錆顔料の少なくとも一部が、トリポリリン酸金属塩である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物。
[6][1]〜[5]のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物を用いて得られる塗装物。
本発明の、特定組成の共重合体ラテックスと防錆顔料とを含んでなる水性防錆塗料組成物は、これから得られる塗膜が、防錆性に優れると同時に、基材との密着性、温冷繰り返し後の基材との密着性、耐衝撃性にも優れるとともに、乾燥性、貯蔵安定性も良好で、従来にない性能を有する水性防錆塗料を実現できる。そして、有機溶剤に起因して発生するVOC問題などの改善が可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に用いる共重合体ラテックスは、(a)共役ジエン系単量体、(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体((a)共役ジエン系単量体に該当するものを除く)、及びこれらと共重合可能な(c)他の単量体を特定組成で混合してなる単量体混合物であって、該単量体混合物中の(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体が特定量以下である単量体混合物を乳化重合して得られる。
(a)共役ジエン系単量体
(a)共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどを挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中では1,3−ブタジエンが好適に使用できる。
(a)共役ジエン系単量体が、全単量体混合物100質量部中に占める部数は、1〜60質量部、好ましくは3〜50質量部、さらに好ましくは5〜45質量部である。(a)共役ジエン系単量体の占める部数の下限を前記に設定することにより、基材との密着性、温冷繰返し後の基材との密着性、耐衝撃性に優れた塗膜が得られる。(a)共役ジエン系単量体の占める部数の上限を前記に設定することにより、防錆性、耐衝撃性に優れた塗膜が得られる。
(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体
(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体としては、少なくとも1つのヒドロキシアルキル基を有する単量体であって、前記(a)共役ジエン系単量体に該当しないものであればよく、それ以外に特に制限はない。例えば、エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体、アリルアルコール、N−メチロールアクリルアミドなどを挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが挙げられ、これが好適に使用できる。
(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体が、全単量体混合物100質量部中に占める部数は、0.5〜10質量部、好ましくは1〜9質量部、さらに好ましくは2〜8質量部である。(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体の占める部数の下限を前記に設定することにより、温冷繰返し後の基材との密着性に優れた塗膜が得られる。又、塗料とした時の貯蔵安定性が良好である。(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体の占める部数の上限を前記に設定することにより、防錆性に優れた塗膜が得られる。又、塗料とした時の常温での乾燥性が良好である。
(c)他の単量体
(c)他の単量体は、(a)共役ジエン系単量体及び(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体と共重合可能な単量体(前記単量体(a)又は(b)に該当するものを除く)であればよく、それ以外に特に制限はない。
(c)他の単量体としては、例えば、(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体、(c2)シアン化ビニル系単量体、(c3)芳香族ビニル系単量体、(c4)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体などを挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(c)他の単量体が、全単量体混合物100質量部中に占める部数は、30〜98.5質量部であり、その30〜98.5質量部のうち、(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体が占める部数は、0〜2.5質量部、好ましくは0〜1.4質量部、さらに好ましくは0〜0.4質量部(ここで、(c1)+(c1)以外の(c)他の単量体の部数=30〜98.5質量部である)である。エチレン系不飽和カルボン酸単量体の使用は、塗料とした時の貯蔵安定性を向上させるが、2.5質量部以下で使用すると、得られる塗膜の防錆性低下を有効に抑制することができる。
(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性エチレン系不飽和カルボン酸単量体、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの二塩基性エチレン系不飽和カルボン酸単量体が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(c2)シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中では、アクリロニトリルが好適に使用できる。
(c3)芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中ではスチレンが好適に使用できる。
(c4)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中では(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好適に使用できる。
本発明での単量体混合物には、前記の各種単量体(c1)〜(c4)以外にも、種々の共重合可能な他の単量体(c)も使用することができる。そのような単量体としては、例えば、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノアルキルエステル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのピリジン類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのグリシジルエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアミド類、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの多官能ビニル系単量体などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明で単量体混合物を重合系内に添加する方法については、種々の方法を採用できる。例えば、単量体混合物の一部を一括して予め重合系内に添加し、重合反応終了後に、残りの単量体混合物を連続的又は間欠的に添加する方法、単量体混合物を最初から連続的又は間欠的に添加する方法などが挙げられる。これらの添加方法は組み合わせることも可能である。
又、単量体混合物を添加する方法において、単量体混合物の組成が連続的に変化するような、いわゆるパワーフィード法を用いることも可能である。
本発明で用いる共重合体ラテックスの製造方法としては、例えば、水性媒体中で乳化剤の存在下、ラジカル重合開始剤により重合反応を行う方法が挙げられる。
乳化剤としては、従来公知の非反応性のアニオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤、又、分子内にラジカル重合基を有する反応性のアニオン性乳化剤及びノニオン性乳化剤などを挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
非反応性のアニオン性乳化剤としては、例えば、分子内にラジカル重合基を有していない、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。
非反応性のノニオン性乳化剤としては、例えば、分子内にラジカル重合基を有していない、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどが挙げられる。
反応性のアニオン性乳化剤としては、例えば、分子内にラジカル重合基を有する、アルキルアリルスルホコハク酸塩(三洋化成工業(株)製エレミノールJS−2など)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬(株)製アクアロンHS−10など)、α−スルホ−ω−(1−((ノニルフェノキシ)メチル)−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩((株)DENKA製アデカリアソープSE−1025Nなど)、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬(株)製アクアロンKH−10など)などが挙げられる。
反応性のノニオン性乳化剤としては、例えば、分子内にラジカル重合基を有する、α−(1−((アリルオキシ)メチル)−2−(ノニルフェノキシ)エチル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)((株)DENKA製アデカリアソープNE−10など)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製アクアロンRN−20など)などが挙げられる。
乳化剤の使用量としては、全単量体混合物100質量部に対して、0.1〜5質量部、好ましくは0.1〜4.5質量部、さらに好ましくは0.1〜4質量部である。なお、非反応性乳化剤を単独で、又は反応性乳化剤との併用で使用する場合の非反応性乳化剤の上限使用量は、1質量部、好ましくは0.7質量部、さらに好ましくは0.4質量部である。乳化剤の使用量を前記の範囲に設定することにより、共重合体ラテックスの製造時の重合時の安定性が良好であり、防錆性に優れた塗膜が得られる。
ラジカル重合開始剤としては、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用することができる。好ましいラジカル重合開始剤の例としては、例えば、ペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などを挙げることができる。これらの具体例としては、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。又、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を前記のラジカル重合開始剤と組み合わせて使用する、いわゆるレドックス重合法を使用することもできる。
本発明で用いる共重合体ラテックスを製造する場合の重合反応温度としては、生産効率と、得られる共重合体ラテックスの品質の点から、好ましくは40℃〜100℃、さらに好ましくは45℃〜95℃、最も好ましくは55℃〜90℃である。
また、単量体混合物の重合転化率を引き上げるために、全単量体混合物を重合系内に添加終了後、重合反応温度を上げる方法(クッキング工程を設けること)を採用することもできる。このような工程における重合反応温度としては、好ましくは80℃〜100℃である。
重合反応終了時の共重合体ラテックスの固形分(130℃、1時間の乾燥法で測定、本発明でいう固形分はこの条件で測定)としては、生産効率と重合反応時の粒子径制御の点から、好ましくは40質量%〜60質量%、さらに好ましくは43質量%〜57質量%である。
本発明で用いる共重合体ラテックスの製造に際しては、必要に応じて従来公知の各種調整剤を重合反応時又は重合反応終了時に使用できる。例えばpH調整剤、キレート化剤などを使用できる。
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、アミン類(モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンなど)などが挙げられる。これらの中では、水酸化アンモニウム、前記のアミン類を使用するのが好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明で用いる共重合体ラテックスの固形分としては、好ましくは35質量%〜60質量%である。
本発明で用いる共重合体ラテックスのトルエン不溶分としては、好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、最も好ましくは70質量%以下である。トルエン不溶分を前記までとすることで、防錆性、基材との密着性、温冷繰返し後の基材との密着性、耐衝撃性に優れた塗膜が得られる。
トルエン不溶分は公知の方法で制御できるが、連鎖移動剤の使用量で調整するのが実用な方法である。
連鎖移動剤は特に限定されないが、例えば、α−メチルスチレンダイマーなどの核置換α−メチルスチレンの二量体、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でもメルカプタン類が好適に使用できる。
連鎖移動剤の使用量は、通常、全単量体混合物100質量部に対して、0.1〜4.0質量部である。連鎖移動剤の使用量を前記の範囲で使用することにより、本発明で用いる共重合体ラテックスのトルエン不溶分を前記の範囲に設定することができる。
連鎖移動剤の添加方法としては、例えば、一括添加、回分添加、連続添加、あるいはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
本発明で用いる共重合体ラテックスのガラス転移温度としては、好ましくは−40℃〜70℃、さらに好ましくは−30〜60℃、最も好ましくは−20〜50℃である。共重合体ラテックスのガラス転移温度を前記の範囲にすることにより、防錆性、基材との密着性、温冷繰返し後の基材との密着性、耐衝撃性に優れた塗膜が得られる。
本発明で用いる共重合体ラテックスの数平均粒子径としては、好ましくは50nm〜500nm、さらに好ましくは70nm〜350nm、最も好ましくは80nm〜330nmである。数平均粒子径を前記の範囲にすることにより、防錆性、基材との密着性、温冷繰返し後の基材との密着性、耐衝撃性に優れた塗膜が得られる。
数平均粒子径は、乳化剤の使用量や従来公知のシード重合法を用いることで調整することができる。シード重合法としては、重合系内でシードラテックスを作製後、同一重合系内で重合反応を行うインターナルシード法、別途作製したシードラテックスを用いるエクスターナルシード法などの方法が挙げられる。
本発明の水性防錆塗料組成物には(II)防錆顔料を含むことが必須である。防錆顔料としては、安全性及び環境への配慮の点から、鉛、クロムを含まない防錆顔料が好ましく、例えば、リン酸系金属塩、モリブデン酸系金属塩、ホウ酸系金属塩、シアナミド系金属塩などの防錆顔料が好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
リン酸系金属塩の防錆顔料としては、例えば、オルトリン酸亜鉛、オルトリン酸カルシウム、オルトリン酸アルミニウム、オルトリン酸マグネシウムなどのオルトリン酸金属塩、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸錫、ピロリン酸鉄、ピロリン酸チタン、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸マンガンなどのピロリン酸金属塩、トリポリリン酸鉄、トリポリリン酸アルミニウムなどのトリポリリン酸金属塩、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸鉄、メタリン酸錫などのメタリン酸金属塩、さらには、層状リン酸チタン、層状リン酸ジルコニウム、層状リン酸錫などのリン酸金属塩系層状化合物などが挙げられる。
モリブデン酸系金属塩の防錆顔料としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛カルシウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸ニッケル、モリブデン酸コバルト、モリブデン酸ストロンチウム、リンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウムなどが挙げられる。
ホウ酸系金属塩の防錆顔料としては、例えば、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸マグネシウムなどが挙げられる。
シアナミド系金属塩の防錆顔料としては、例えば、シアナミド亜鉛、シアナミド亜鉛カルシウムなどが挙げられる。
また、前記の防錆顔料に、酸化亜鉛、又は酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物を加えて、変性された防錆顔料も使用することができる。
これらの防錆顔料の中では、得られる塗膜の防錆性の点から、トリポリリン酸金属塩が好ましい。
(II)防錆顔料の配合量は、得られる塗膜の防錆性と、塗料とした時の貯蔵安定性の点から、本発明で用いる共重合体ラテックス(固形分)100質量部に対して、好ましくは10〜60質量部であり、さらに好ましくは12〜40質量部である。
本発明の水性防錆塗料組成物には、本発明の効果を損ねない限り、必要に応じて、各種充填剤、各種添加剤、他のエマルジョンなどを添加することができる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、珪藻土、シリカ、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、セピオライト、アルミナ、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、ベンガラなどの無機充填剤、ガラスビーズ、発泡ガラスビーズ、火山ガラス中空体、ガラス繊維などのガラス材料、樹脂粉末、ゴム粉末、カーボンブラック、セルロースパウダーなどの有機充填剤などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
添加剤としては、例えば、可塑剤、タレ防止剤、増粘剤、消泡剤、分散剤、発泡剤、コロイド安定剤、防腐剤、PH調整剤、老化防止剤、着色剤、架橋剤、硬化剤、保水剤などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
添加剤のうち、増粘剤としては、例えば、ポリカルボン酸塩類、ウレタン会合型、ポリエーテルタイプ、セルロースエーテル、ポリアクリル型、ポリアクリルアミドなどを挙げることができる。発泡剤としては、例えば、重曹、炭酸アンモニウム、ニトロソ化合物、アゾ化合物、スルホニルヒドラジドの化合物などを挙げることができる。架橋剤、硬化剤としては、例えば、多官能エポキシ化合物、イソシアネート系架橋剤、メラミン樹脂、オキソザリン化合物などを挙げることができる。
他のエマルジョンとしては、例えば、天然ゴムラテックス、アクリル樹脂ラテックス、酢酸ビニル樹脂ラテックス、ウレタン樹脂ラテックス、エポキシ樹脂ラテックスなどを挙げることができる。
本発明の水性防錆塗料組成物は、従来公知の各種分散装置を用いて製造することができる。分散装置としては、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ロータリーミキサー、ニーダー、ディゾルバー、ペイントコンディショナーなどを挙げることができる。
又、本発明の水性防錆塗料組成物を基材に塗布する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ヘラ、刷毛、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン、ロール塗工機などを用いて基材に塗布することができる。
本発明の水性防錆塗料組成物は、鉄、メッキ鋼板、ステンレス、アルミなどの各種金属部材の上に塗布することができる。これらの金属部材の上に単層で塗布されてもよいし、塗布後、乾燥して得られた塗膜の上に、上塗りとして、一般に用いられている水性塗料を自由に選択して塗布しても良い。そのような水性塗料としては、例えば、アクリル塗料、ウレタン塗料、UV塗料、シリコン塗料、メラミン樹脂塗料、エポキシ塗料、フッ素樹脂塗料などが挙げられる。
本発明の水性防錆塗料組成物は、常温乾燥型の水性防錆塗料として好ましく使用することができるとともに、低温乾燥型(乾燥温度が40〜80℃)としても使用することができる。
次に、実施例及び比較例により、さらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各物性の測定及び評価は以下の通りの方法で行った。
(1)トルエン不溶分
共重合体ラテックスを130℃で30分間乾燥して乾燥物を得た。この乾燥物を約0.5g精秤し、トルエン30mlと混合して3時間振とうした後、325メッシュの金網でろ過した。次いで、金網上の残留物を130℃で1時間乾燥して残留物の乾燥後の質量を求めた。もとの乾燥物の質量に対する残留物の乾燥後の質量の割合をトルエン不溶分(質量%)とした。
(2)数平均粒子径
共重合体ラテックスの数平均粒子径を動的光散乱法で測定した。測定装置は光散乱光度計(シーエヌウッド社製、モデル6000)を用いた。
(3)ガラス転移温度
共重合体ラテックスを130℃で30分間乾燥して乾燥物を得た。この乾燥物を示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製:DSC6220)の中にセットし、ASTM法(D3418−97)に準じて、昇温速度20℃/分で測定した。
(4)防錆性
アセトンで洗浄した鉄板(JIS−G3141、SPCC−SD、0.8mm×70mm×150mm)の上に、共重合体ラテックスと防錆顔料とを含有する塗料組成物を、乾燥膜厚が60μmとなるように塗布して、23℃、60%RHの条件下で3日間乾燥した。次いで、前記の乾燥塗膜の上に、JIS−K5660つや有合成樹脂エマルションペイント(商品名:アスカII、白色、関西ペイント(株)製)を、乾燥膜厚が30μmとなるよう塗布して、23℃、60%RHの条件下で7日間乾燥して試験片を得た。その後、この試験片の塗膜面については試験片の端から10mmのところまで、裏面については全面に、JIS−Z1901防食用ポリ塩化ビニル粘着テープ(厚さ0.2mm)を貼り付け、試験片の露出部分は、塗膜部分の50mm×130mmのみとした。露出している塗膜部分にはナイフ(刃の厚み0.45mm)を用いて対角線のカットを入れた。その際、鉄板と塗膜との界面までナイフが入るようにした。カット後、直ちに対角線交点から下の塗膜部分を5%塩化ナトリウム水溶液中に、23℃で7日間浸漬した。浸漬終了後、カット線(逆V字型)からの錆の発生幅(カット線に沿って5mm毎に測定し、得られた値の平均値)を測定して、以下に示す基準で評価した。防錆性は○以上であることが好ましい。より好ましくは◎である。
◎:錆の発生幅が3mm未満
○:錆の発生幅が3mm〜5mm未満
△:錆の発生幅が5mm〜10mm未満
×:錆の発生幅が10mm以上
(5)基材との密着性
前記(4)防錆性の欄に記載した通りの鉄板の上に、共重合体ラテックスと防錆顔料とを含有する塗料組成物を、乾燥膜厚が30μmとなるよう塗布して、23℃、60%RHの条件下で7日間乾燥して試験片を得た。その後、この試験片の塗膜部分に、ナイフ(刃の厚み0.45mm)を用いて、1mm角塗膜が100個出来るように、縦、横に等間隔で1mm幅のカットを入れた。その際、鉄板と塗膜との界面までナイフが入るようにした。次いで、100個の1mm角塗膜の上に、JIS−Z1522セロハン粘着テープ(幅18mm)を貼り付け、貼り付け後90秒以内に、塗膜とテープが直角になるようにテープの一方を持って瞬間的に引き剥がした。その後、各1mm角塗膜の塗膜の状況を目視で観察し、以下に示す基準で評価した。基材との密着性は○以上であることが好ましい。より好ましくは◎である。
◎:100個全てがS1
○:1〜5個がS2、95〜99個がS1
△:6〜100個がS2、0〜94個がS1
×:1個以上のS3がある
注)S1:塗膜の剥がれが全くない1mm角塗膜
S2:縁及び/又は角の塗膜が僅かに剥がれた1mm角塗膜
S3:部分的又は全面的に塗膜が剥がれた1mm角塗膜
(6)温冷繰返し後の基材との密着性
前記(5)基材との密着性の欄に記載した通りの方法で得られた試験片の温冷繰り返し試験((−5℃で8時間)+(50℃で8時間)を1サイクルとして10サイクル)を行った。その後、その欄に記載した通りの方法で、密着性の測定試験とその結果の評価を行った。温冷繰り返し後の基材との密着性は○以上であることが好ましい。より好ましくは◎である
(7)耐衝撃性
共重合体ラテックスと防錆顔料とを含有する塗料組成物を、乾燥膜厚が30μmとなるように塗布した以外は、前記(4)防錆性の欄に記載した通りの方法で試験片を得た。その後、この試験片を、デュポン式衝撃変形試験器(半径6.35の撃ち型と受け台、質量500gの重りを使用)に、塗膜側が撃ち型に当たるようにセットした。次いで、重りの落下高さを変えて、塗膜に、下地の鉄板が見える割れ(以下、割れという)が発生しない高さを求めて、以下の基準で評価した。なお、割れの有無は、マイクロスコープ(100倍〜1000倍)で確認した。耐衝撃性は○以上であることが好ましい。より好ましくは◎である。
◎:割れが発生しない高さが40cm以上
○:割れが発生しない高さが30cm以上〜40cm未満
△:割れが発生しない高さが20cm以上〜30cm未満
×:割れが発生しない高さが20cm未満
(8)乾燥性
前記(4)防錆性の欄に記載した通りの鉄板の上に、共重合体ラテックスと防錆顔料とを含有する塗料組成物を、塗布量が質量100g/平方メートルとなるよう塗布して、23℃、60%RHの条件下で20分間放置した。その後、直ちに塗膜の表面を指先で軽く触れて、塗膜及び指先の状態を観察し、以下の基準で評価した。乾燥性は○以上であることが好ましい。より好ましくは◎である。
◎:塗膜に指の跡が残らない
○:塗膜に指の跡が僅かに残る
△:塗膜に指の跡が残る
×:指が著しく汚れる
(9)貯蔵安定性
攪拌器付容器を用いて作製した、作製直後の共重合体ラテックスと防錆顔料とを含有する塗料組成物を、蓋付容器の中に入れ、23℃の条件下で2週間放置した。その後、容器の中の塗料組成物の状態を観察し、以下の基準で判定した。貯蔵安定性は○以上であることが好ましい。より好ましくは◎である。
◎:作製直後と同じ状態である。
○:容器の底に沈降物があるが、かき混ぜた時に一様な状態になる。
△:容器の底に沈降物があり、かき混ぜても一様な状態にならない。及び/または多
少の粘度の上昇がある。
×:著しく粘度が上昇しているか、固まっている。
[製造例A1]
耐圧反応容器に、水75質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1質量部、イタコン酸0.1質量部からなる重合初期原料水溶液を一括して仕込み、80℃にて十分に攪拌した。次いで、表1記載の単量体混合物と連鎖移動剤との混合物(以下、単量体等混合物という)を、6時間かけてこの耐圧反応容器内に連続的に添加した。一方、単量体等混合物の添加開始から10分後、水20質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.1質量部からなる水系混合物の添加を開始し、重合反応を開始させた。この水系混合物については、6時間50分かけて連続的に添加した。
水系混合物の添加終了後、耐圧反応容器内の温度を90℃に昇温させて1時間維持し重合反応を終了した。単量体の重合転化率は95%以上であった。
その後、得られた共重合体ラテックスに水酸化アンモニウムを加えてpHを約10に調整後、スチームストリッピングで残留単量体を除去した。次いで、加熱濃縮し、冷却後、325メッシュの金網で濾過した。最後に、pHは、水酸化アンモニウムを加えて9に再調整し、固形分は50質量%に調整して、共重合体ラテックスA1を得た。
[製造例A2、A4−A13、B2−B4]
重合初期原料水溶液、単量体等混合物、水系混合物の成分及びその量を、表1に記載した通りに変更した以外は、全て製造例A1と同じ手順で共重合体ラテックスA2、A4−A13、B2−B4を得た。
[製造例A3]
耐圧反応容器に、水75質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1質量部、数平均粒子径40nmのポリスチレン製シードラテックス(固形分)0.2質量部からなる重合初期原料水溶液を一括して仕込み、80℃にて十分に攪拌した。次いで、表1記載の単量体等混合物を、6時間かけてこの耐圧反応容器内に連続的に添加した。一方、単量体等混合物の添加開始から10分後、水20質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.1質量部からなる水系混合物の添加を開始し、重合反応を開始させた。この水系混合物については、6時間50分かけて連続的に添加した。
水系混合物の添加終了後、耐圧反応容器内の温度を90℃に昇温させて1時間維持し重合反応を終了した。単量体の重合転化率は95%以上であった。
その後、得られた共重合体ラテックスに水酸化アンモニウムを加えてpHを約10に調整後、スチームストリッピングで残留単量体を除去した。次いで、加熱濃縮し、冷却後、325メッシュの金網で濾過した。最後に、pHは、水酸化アンモニウムを加えて9に再調整し、固形分は50質量%に調整して、共重合体ラテックスA3を得た。
[製造例A14、B1、B5]
重合初期原料水溶液、単量体等混合物、水系混合物の成分及びその量を、表1に記載した通りに変更した以外は、全て製造例A3と同じ手順で、共重合体ラテックスA14、B1、B5を得た。
[実施例1]
共重合体ラテックスA1を用いて以下の組成の塗料組成物を、攪拌機付容器で均一に混合して作製した。
共重合体ラテックスA1(固形分) 100質量部
防錆顔料(P1)*1 20質量部
充填剤*2 65質量部
着色顔料*3 12質量部
分散剤*4 1.5質量部
増粘剤*5 1.5質量部
造膜助剤*6 2質量部
消泡剤*7 0.5質量部
水 固形分が約55質量%になるように添加

*1 K−WHITE#140W(トリポリリン酸二水素アルミニウムと酸化亜鉛
との混合物、酸化亜鉛を20〜30質量%含有、テイカ(株)製)
*2 TALC−MS(タルク、日本タルク(株)製)
*3 120ED(ベンガラ、戸田ピグメント(株)製)
*4 BYK−154(アクリル系共重合物のアンモニウム塩、ビックケミー・
ジャパン(株)製)
*5 SNシックナー621N(ウレタン変性ポリエーテル系、サンノプコ(株)製)
*6 CS−12(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール
モノイソブチレート、JNC(株)製)
*7 ノプコ8034−L(サンノプコ(株)製)
次いで、前記の塗料組成物について、前記(4)から(9)に記載した通りの方法で各物性の評価を行った。その結果を表2に記載する。実施例1の塗料組成物は、それから得られた塗膜が、防錆性、基材との密着性、温冷繰返し後の基材との密着性、耐衝撃性に優れ、乾燥性、貯蔵安定性も良好な塗料組成物であった。
[実施例2〜14]
共重合体ラテックスをA1からA2〜A14に変更した以外は、全て実施例1に記載した通りの方法で、塗料組成物の作製と各物性の評価を行った。その結果を表2に記載する。実施例2〜14の塗料組成物は、それから得られた塗膜が、防錆性、基材との密着性、温冷繰返し後の基材との密着性、耐衝撃性に優れ、乾燥性、貯蔵安定性も良好な塗料組成物であった。
[実施例15〜17]
防錆顔料を、実施例15ではリン酸亜鉛(P2)に、実施例16ではモリブデン酸カルシウム(P3)に、実施例17ではメタホウ酸バリウム(P4)に変更した以外は、全て実施例1に記載した通りの方法で、塗料組成物の作製と各物性の評価を行った。その結果を表2に記載する。実施例15〜17の塗料組成物は、それから得られた塗膜が、防錆性、基材との密着性、温冷繰返し後の基材との密着性、耐衝撃性に優れ、乾燥性、貯蔵安定性も良好な塗料組成物であった。
[実施例18〜19]
防錆顔料及び充填剤の配合量を、実施例18では、防錆顔料を9質量部に、充填剤を76質量部に、実施例19では、防錆顔料を65質量部に、充填剤を20質量部に変更した以外は、全て実施例1に記載した通りの方法で、塗料組成物の作製と各物性の評価を行った。その結果を表2に記載する。実施例18〜19の塗料組成物は、それから得られた塗膜が、防錆性、基材との密着性、温冷繰返し後の基材との密着性、耐衝撃性に優れ、乾燥性、貯蔵安定性も良好な塗料組成物であった。
[比較例1]
共重合体ラテックスをA1からB1に変更した以外は、全て実施例1に記載した通りの方法で、塗料組成物の作製と各物性の評価を行った。その結果を表2に記載する。比較例1の塗料組成物は、それから得られた塗膜が、基材との密着性、温冷繰返し後の基材との密着性、耐衝撃性に劣っていた。
[比較例2]
共重合体ラテックスをA1からB2に変更した以外は、全て実施例1に記載した通りの方法で、塗料組成物の作製と各物性の評価を行った。その結果を表2に記載する。比較例2の塗料組成物は、それから得られた塗膜が、防錆性、耐衝撃性に劣っていた。
[比較例3]
共重合体ラテックスをA1からB3に変更した以外は、全て実施例1に記載した通りの方法で、塗料組成物の作製と各物性の評価を行った。その結果を表2に記載する。比較例3の塗料組成物は、それから得られた塗膜が、温冷繰返し後の基材との密着性に劣り、貯蔵安定性が劣る塗料組成物であった。
[比較例4]
共重合体ラテックスをA1からB4に変更した以外は、全て実施例1に記載した通りの方法で、塗料組成物の作製と各物性を評価した。その結果を表2に記載する。比較例4の塗料組成物は、得られた塗膜が、防錆性に劣り、乾燥性が劣る塗料組成物であった。
[比較例5]
共重合体ラテックスをA1からB5に変更した以外は、全て実施例1に記載した通りの方法で、塗料組成物の作製と各物性を評価した。その結果を表2に記載する。比較例5の塗料組成物は、それから得られた塗膜が防錆性に劣っていた。
[比較例6]
防錆顔料の配合量を0質量部に、充填剤の配合量を85質量部に変更した以外は、全て実施例1に記載した通りの方法で、塗料組成物の作製と各物性の評価を行った。その結果を表2に記載する。比較例6の塗料組成物は、それから得られた塗膜が防錆性に劣っていた。
Figure 2014074120

Figure 2014074120

Figure 2014074120
防錆性と、同時に、それ以外の各種性能も十分に満足する塗膜が得られ、また、乾燥性、貯蔵安定性も良好な本発明の水性防錆塗料組成物は、鉄、メッキ鋼板、ステンレス、アルミなどの各種金属部材への防錆性付与に好適に用いることができ、産業の各分野において高い利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. (I)(a)共役ジエン系単量体1〜60質量部、(b)ヒドロキシアルキル基を有する単量体((a)共役ジエン系単量体に該当するものを除く)0.5〜10質量部、及びこれらと共重合可能な(c)他の単量体30〜98.5質量部を混合してなる単量体混合物(但し(a)+(b)+(c)=100質量部)であって、前記(c)他の単量体のうち(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体が占める部数が前記単量体(a)、(b)及び(c)の合計100質量部に対して、0〜2.5質量部である前記単量体混合物を乳化重合して得られる共重合体ラテックス、並びに(II)防錆顔料を含んでなることを特徴とする水性防錆塗料組成物。
  2. 前記(c)他の単量体のうち前記(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体が占める部数が前記単量体(a)、(b)及び(c)の合計100質量部に対して、0〜1.4質量部である請求項1記載の水性防錆塗料組成物。
  3. 前記(c)他の単量体のうち前記(c1)エチレン系不飽和カルボン酸単量体が占める部数が前記単量体(a)、(b)及び(c)の合計100質量部に対して、0〜0.4質量部である請求項1記載の水性防錆塗料組成物。
  4. 前記(II)防錆顔料の配合部数が、前記(I)共重合体ラテックスの固形分100質量部に対して、10〜60質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物。
  5. 前記(II)防錆顔料の少なくとも一部が、トリポリリン酸金属塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物を用いて得られる塗装物。

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