JP2005281575A - 水分散体樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

水分散体樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 塗布層表面に乾燥膜を形成しない水分散体組成物を提供する。
【解決手段】 重量平均分子量が3,000〜10,000のポリアクリル酸アルカリ金属塩を水分散体樹脂組成物に対して0,5〜8質量%含有してなる水分散体樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水分散体樹脂組成物に関するものである。詳しく述べると、塗布時に表面に乾燥膜を形成しない水分散体樹脂組成物に関するものである。
従来から、工場内の自動塗布ラインによる作業工程において、作業者への悪臭や健康面での改善のために溶剤系から水系塗料へと転換されている。特に、耐チッピング用や制振材等、シート状の乾燥膜を形成させるために1〜10mmの厚塗りで塗布する場合があり、厚塗り仕様で高固形分・高粘度の水系塗料が知られている。厚塗り用塗料組成物としては、アクリル樹脂エマルション、ラテックス等の水分散樹脂組成物が知られている。(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5)。
しかしながら、水系塗料組成物は、塗布時に塗膜表面から水分が蒸発し、この水分の蒸発とともに表面に乾燥膜が形成される。特に、水分が水系塗料組成物の塗布層中に残存するために、塗布層の厚みが厚い場合においては、全体の乾燥が極めて困難であり、このため形成される乾燥塗膜の品質が低下するだけでなく、塗布作業性が著しく低下するという問題があった。
特に、自動塗布ラインにおける環境においては、該組成物の塗出口や塗出面で該組成物の乾燥が進み、該組成物による塗装装置、例えば塗装ガンの目詰まり等の問題が発生した。また、耐チッピング用塗料や制振材用塗料など、塗料組成物を数mmの厚塗りで塗布する場合、加熱乾燥時に塗布層内部の水分が蒸発しないうちにその表面が乾燥して乾燥膜を形成する。このため塗布層内部に水分が残りやすくなることから乾燥不良や、膨れの発生が多くなるという問題があった。
特開2000−230139公報 特許第2904995号公報 特開2001−152028公報 特開2000−178499公報 特開平7−62291号公報
したがって、本発明の目的は、新規な水分散体樹脂組成を提供することにある。
本発明の他の目的は、塗布時に表面に乾燥膜を形成しない水分散体樹脂組成物を提供することにある。
上記諸目的は、下記(1)〜(5)により達成される。
(1) 重量平均分子量が3,000〜10,000のポリアクリル酸アルカリ金属塩を水分散体樹脂組成物に対して0.5〜8質量%含有してなる水分散体樹脂組成物。
(2) 該ポリアクリル酸アルカリ金属塩がポリアクリル酸ナトリウムである前記(1)に記載の組成物。
(3) 該水分散体樹脂が樹脂エマルションである前記(1)または(2)に記載の組成物。
(4) 該樹脂エマルションがアクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂およびエポキシ樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂のエマルションである前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の組成物。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の水分散体樹脂組成物を含有してなる厚塗り塗料用組成物。
本発明は、以上のごとき構成を有しているので、該水分散体樹脂組成物は、塗布時に表面に乾燥膜を形成しないので、塗布層中の水分の蒸発が容易である。このため、塗布層中に水分が残存する恐れはなくなり、また乾燥不良や膨れの発生等はなくなり、塗布層の品質が向上する。被塗物に対する塗布層の厚みが厚い場合には、その効果が著しいという利点がある。また、例えば、自動塗布ライン等においては、塗装ガン等の塗装装置の目詰り等の問題がなくなる。
本発明による水分散体樹脂組成物は、樹脂エマルション中に重量平均分子量3,000〜10,000のポリアクリル酸アルカリ金属塩を特定量配合してなるものである。
ポリアクリル酸アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等があるが、好ましくは重量平均分子量が3,500〜6,000である。すなわち、重量平均分子量が3,000未満では、室温での保水性を発現させるためには所定範囲量以上の添加が必要となり、そのために過剰の添加による水分散体樹脂組成物の固形分の低下、および加熱乾燥時において塗布層表面で皮張りができやすく、揮発すべき水分が塗布層から抜け難くなることから、膨れが発生しやすくなる。一方、重量平均分子量が10,000を超えると、極微量で水分散体樹脂組成物が高増粘することから、所定範囲の量を添加することが難しく、また作業性も悪くなる。
このようなポリアクリル酸アルカリ金属としては種々のものがあるが、一例を挙げると、例えば市販品として、アクアリックDL−365(重量平均分子量5,000)、アクアリックDL−40S(重量平均分子量3,500)、アクアリックDL−384(重量平均分子量6,000)(以上、いずれも株式会社日本触媒製)があるが、いずれも特に限定されたものではない。
前記ポリアクリル酸アルカリ金属塩の添加方法については特に限定されたものではなく、水分散体樹脂の重合時に添加してもよく、あるいは樹脂組成物成分の配分時に、添加成分の一つとして添加してもよい。
水分散体樹脂としては特に限定されるものではないが、例えば、Tgが−50〜40℃であり、造膜温度−50〜40℃、好ましくは−30〜30℃であり、樹脂粒子の平均粒子径150〜1000nmの樹脂エマルションであればどのような種類であってもよく、その製造方法については問わない。
一例を挙げると、例えば、樹脂エマルションとしては、例えばアクリル共重合体エマルション等のアクリル樹脂エマルション、アクリル−スチレン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニル−アクリル樹脂エマルション、酢酸ビニルベオバ樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルション、合成ゴムラテックス、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、フェノール樹脂エマルション、アルキッド樹脂エマルション、ポリエステル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、塩化ビニリデン樹脂エマルション、あるいはこれらの共重合樹脂エマルション、ハイブリッド樹脂エマルション、変性樹脂エマルション等の合成樹脂エマルションがある。
これらのうち、特にアクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂およびエポキシ樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂のエマルションが好ましい。
該水分散体樹脂組成物中の樹脂固形分は、通常45〜65質量%、好ましくは50〜60質量%である。本発明による水分散体樹脂組成物中の前記ポリアクリル酸アルカリ金属塩の配合量は、水分散体樹脂組成物に対して、0.5〜8質量%、好ましくは1〜5質量%である。すなわち、該配合量が0.5質量%未満では、乾燥調整効果が不充分であり、一方、該配合量が8質量%を越えると、加熱乾燥性が悪いという欠点がある。
なお、上記水分散体樹脂組成物には、必要により、分散剤、充填剤、増粘剤、消泡剤等を配合することができる。
上記エマルションは、水を連続相とし、単量体を必須とする重合体が分散している水系のものである。通常ではこのようなエマルションを必須とする耐チッピング用および制振材用のエマルションと、必要に応じて他の添加剤や溶剤等とを含んでなる耐チッピング用および制振材用塗料配合物を塗布することにより、耐チッピング性塗膜および制振材等、シート状乾燥膜を形成することになる。
本発明におけるエマルションを形成することになる単量体成分としては、不飽和カルボン酸単量体としては、分子中に不飽和結合とカルボキシル基とを有する化合物であれば特に限定されるものではないが、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含むことが好ましい。すなわちエチレン系不飽和カルボン酸単量体を必須とする単量体成分を重合してなるエマルションは、本発明の好ましい形態の1つである。
上記エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマイエート、モノエチルマイエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。
また上記単量体成分とは、アクリル系単量体を必須として含んでなることが好ましい。アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体を意味する。
上記単量体成分におけるアクリル系単量体の含有量としては、例えば、全単量体成分に対して50質量%以上となるようにすることが好ましい。このような単量体成分としては、制振性の点から、共役ジエン系単量体の含有量が全単量体成分に対して10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、5質量%以下であり、最も好ましくは、共役ジエン系単量体を含有しないことである。
さらに上記単量体成分としては、全単量体成分に対して官能基を有する不飽和単量体を10質量%未満含有するものであることが好ましい。官能基を有する不飽和単量体における官能基は、エマルションを重合により得る際に架橋することができる官能基であればよい。このような官能基の作用により、エマルションの成膜性や加熱乾燥性を向上することができることになる。より好ましくは、0.1〜3.0質量%である。
なお上記質量割合は、全単量成分100質量%に対する質量割合である。
上記官能基としては、例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジニル基、イソシアネート基、メチロール基、ビニルエーテル基、シクロカーボネート基、アルコキシシラン基等が挙げられる。これらの官能基は、不飽和単量体の1分子中に1種あってもよく、2種以上あってもよい。
上記官能基を有する不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性不飽和単量体類;グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル等グリシジル基含有不飽和単量体類等が挙げられる。これらの中でも、官能基を2個以上有する不飽和単量体(多官能性不飽和単量体)を用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においてはまた、上記単量体成分が、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜20質量%及び他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体99.9〜80質量%を含んでなることが好ましい。エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含むことにより、本発明の制振材用エマルションを必須とする制振材配合物において、無機粉体等の充填剤の分散性が向上し、制振性がより向上することになる。
また、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を含むことにより、エマルションの酸価、Tgや物性等を調整しやすくなる。上記単量体成分において、エチレン系不飽和カルボン酸単量体が0.1質量%未満であっても、20質量%を超えても、いずれも、エマルションが安定に共重合できないおそれがある。
本発明におけるエマルションでは、これらの単量体から形成される単量体単位の相乗効果により、水系制振材において優れた加熱乾燥性と制振性とをより充分に発揮することが可能となる。
なお上記質量割合は、全単量体成分100質量%に対する質量割合である。
上記他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、上述した官能基を有する不飽和単量体や、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン等の芳香族不飽和単量体等の1種又は2種以上が挙げられる。
本発明におけるエマルションの製造方法としては、エマルションを形成することになる単量体成分中に、例えば、本発明においては、単量体成分の一部又は全部とを混合して重合し、更に残りの単量体成分を混合して重合することによりエマルションを製造することができる。
上記単量体成分を重合する方法としては、例えば、乳化重合法を好適に適用することができる。乳化重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び界面活性剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いてもよい。
上記水性媒体としては特に限定されず、例えば、水、水と混じり合うことができる溶媒の1種又は2種以上の混合溶媒、このような溶媒に水が主成分となるように混合した混合溶媒等が挙げられる。これらの中でも、水を用いることが好ましい。
上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、ブチルハイドロパーオキサイド等の公知の水溶性又は油溶性開始剤等が挙げられる。また、乳化重合を促進させるため、還元剤として亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸等を用いてレドックス系開始剤としてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、全単量体成分100重量部に対して、0.1〜2重量部とすることが好ましい。より好ましくは、0.2〜1重量部である。
上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、ノニオンアニオン性乳化剤のいずれの乳化剤も使用することができる。これらの乳化剤の中でも、乳化重合安定性の点でアニオン性乳化剤、ノニオン−アニオン性乳化剤を用いることが好ましく、アニオン性乳化剤とノニオン−アニオン性乳化剤とを併用するのがより好ましい。アニオン性乳化剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、ロジン酸石鹸、アルキルスルホン酸石鹸、ジアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等が挙げられる。ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルピタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記界面活性剤の使用量としては特に限定されず、乳化剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、全単量体成分100質量部に対して、0.05〜5.0質量部とすることが好ましい。より好ましくは、0.1〜3質量部である。
上記重合連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトピロピオン酸トリデシルエステル等のメルカプトカルボン酸アルキルエステル、メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸アルキルエステル;メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル等のメルカプトカルボン酸アルコキシルエステル;オクタン酸2−メルカプトエチルエステル等のカルボン酸メルカプトアルキルエステルや、α−メチルスチレンダイマー、ダーピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソール、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を用いることが好ましい。重合連鎖移動剤の使用量としては、例えば、全単量体成分100重量部に対して、通常0〜1重量部、好ましくは0〜0.5重量部である。
上記乳化重合においては、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤や無機塩等の存在下で行ってもよい。また、単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記乳化重合における反応条件としては、単量体成分の組成や用いる重合開始剤等に応じて適宜設定すればよい。重合温度は、例えば、5〜90℃とすることが好ましい。より好ましくは、20〜85℃である。重合時間は、例えば、3〜8時間とすることが好ましい。また重合や滴下は攪拌下に行われることが好ましい。
上記製造方法においては、乳化重合によりエマルションを製造した後、中和剤によりエマルションを中和することが好ましい。これにより、エマルションが安定化されることになる。中和剤としては特に限定されず、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン;アンモニア水;水酸化ナトリウム等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、制振材用エマルションを必須とする制振材配合物から形成される塗膜の耐水性等が向上することから、塗膜の加熱時に揮散する揮発性塩基を用いることが好ましい。より好ましくは、加熱乾燥性が良好となり、制振性が向上することから、沸点が80〜360℃のアミンを用いることが好ましい。このような中和剤としては、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミンが好適である。より好ましくは、沸点が130〜170℃のアミンを用いることである。
なお、上記沸点は、常圧での沸点である。
上記中和剤の添加量としては特に限定されず、例えば、エマルションの酸価、すなわちエマルションが有する酸基1当量に対して中和剤の塩基が0.3〜1.4当量となるように添加したことが好ましい。より好ましくは、0.5〜1.2当量である。
上記エマルションは、数平均分子量が小さいと、エマルションを必須とする本発明の厚塗り塗料用組成物において、無機粉体等の充填剤とエマルションとの親和性が向上して分散性が向上することになる。
上記エマルションとしてはまた、ガラス転移点(Tg)が−50〜60℃であることが好ましい。Tgが−50℃未満の場合、乾燥塗装が軟化するため、タック(粘着性)が生じることから耐汚染性が劣る恐れがある。また、60℃を越えると、ライン乾燥時での成膜性がていかするため、強靭性が低下することから塗膜表面にクラック等のひび割れが発生する恐れがある。より好ましくは−30〜40℃である。なお、エマルションのTgは、エマルションを形成する各単量体の単独重合体のTgにより計算することができる。
以上のごとき本発明による水分散体樹脂は、必要な添加剤、例えば分散体、充填剤、増粘剤、消泡剤等を所定量配合することにより耐チッピング用塗料や制振材用塗料などの厚塗り用塗料配合物が得られる。該厚塗り用塗料配合物とする場合に使用される分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸ナトリウム塩、縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩もしくはアンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルもしくはフェノールエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等があり、その配合量は、該組成物に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.05〜7質量%である、すなわち、10質量%を超えると、塗装膜形成時の加熱乾燥によって膨れなどを生じるという欠点がある。また、充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、タルク、珪藻土、マイカ、水酸化アルミニウム、ガラス粉、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、セピオライト、ウオラストナイト、ゼオライト等があり、その配合量は、該組成物に対して10〜400質量%である。さらに、増粘剤としては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩などのセルロース誘導体、ポリエーテル化合物、ウレタン変性ポリエーテル系化合物、ポリカルボン酸化合物およびそのナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールエーテルなどのポリオキシエチレン誘導体、アルギン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ベントナイトなどの無機質系の増粘剤があり、その配合量は、該組成物に対して、0.1〜20質量%である。また、消泡剤としては、例えば、シリコーン系、鉱油系、アルコール系、エチレンオキシド−プロピレンオキシ系等がある。
このような厚塗り塗料用組成物は、例えば、鋼板;例えば、鉛−錫合金メッキ鋼板(タンシート鋼板)、錫メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、鉛メッキ鋼板、クロムメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板等の各種メッキ鋼板;電着塗装鋼板等の塗装鋼板等の被塗物の表面に1〜10mm、好ましくは1.5〜7mm、より好ましくは3〜6mmの厚みに、常法により塗布され、80〜210℃、好ましくは110〜170℃の温度で乾燥されて乾燥塗膜が形成される。
つぎに、実施例を挙げて本発明を、さらに詳細に説明する。なお、下記実施例および比較例における「部」および「%」は、特にことわらない限り質量部および質量%である。
アクリル共重合系エマルションの製造方法
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管および滴下ロートを取り付けたセパラプルフラスコに、脱イオン170.5部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を70℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタアクリレート54.5部、スチレン246部、2−エチルヘキシルアクリレート192部、アクリル酸7.5部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム)を125部および、脱イオン64.6部からなる単量乳化物を仕込んだ。つぎに、セパラブルフラスコの内温を70℃に維持しながら上記単量体乳化物を3時間かけて均一に滴下した。この時、同時に5%過硫酸カリウム水溶液53.9部、2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、76℃で3時間熟成後、冷却して25%のアンモニア水を5.1部添加した。それら乳化物を冷却後100メッシュのステンレス金網によりろ過を行い取り出した。これにより水性樹脂を得た。得られた水性樹脂の不揮発分は55.1%、pHは8.8、粘度は500mPa・sであった。
水系塗料配合物の組成について
・分散剤(デモールEP;花王株式会社製):特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤
・増粘剤(アクリセットAT−2;株式会社日本触媒製):アルカリ可溶性の増粘剤
・消泡剤(ノプコ8034L;サンノプコ株式会社):主成分(疎水性シリカ+鉱物油)
ディスパージョンの製造方法
第一段の反応原料として、攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管のついた四ツ口フラスコも、脱水ひまし油脂肪酸250部、エピコート1004〔ビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製〕350部、エピコート828〔ビスフェノールA型エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ株式会社製〕100部と、ブチルセロソルブ250部およびトリエチルアミン1.5部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら140℃まで昇温し、2時間反応させ、酸価が1以下になったところで反応を終了し、エポキシエステルを得た。この反応物をa−1とする。
この反応物中に、第2段の反応原料として、アクリル酸50部、スチレン175部、メチルメタクリレート75部と、パープチルD〔重合開始剤:日本油脂株式会社製〕6部からなる混合物を2時間にわたって滴下ロートから滴下し、さらに140℃で4時間保持した後、80℃まで冷却し、トリエチルアミン50℃および脱イオン1193部を加えて、アクリル変性エポキシエステルの水分散物を得た(不揮発分40.0%、粘度1000mPa・S)。これをA−1とする。
実施例
以下、試験に使用した水分散体樹脂組成物として厚塗り塗料用組成物の組成を以下に示す。
アクリル系共重合エマルション 100部
分散剤(デモールEP) 1部
充填剤(炭酸カルシウムNN#200) 250部
増粘剤(アクリセットAT−2) 2部
消泡剤(ノプコ8034L) 0.3部
前記アクリル系共重エマルションに、所定量(0.3〜10質量%/塗料)の乾燥調整剤を添加して、TKホモディスパー(特殊機化工業株式会社製)で充分に攪拌・溶解させた。エマルションに添加ショックによるダマがないか確認した後、順次上記の配合で混合・混練し、水系塗料配合物を作製した。
乾燥調整効果の確認方法
作製した水系塗料を、23℃雰囲気下、ガラス板上にWET膜厚3mmで塗布した。塗布後、30分と60分で指触でチェックして乾燥状態を以下の基準で評価した。
評価基準
○;指に塗料が付着する
△;塗膜表面に指紋が付く
×;塗膜表面に指紋が付かない(表面が乾燥個化したと判断)
加熱乾燥性試験方法
ダル鋼板の上に作製した水系塗料配合物を、WET膜厚が4.0mmとなるように塗布した。その後、熱風乾燥器を用いて、150℃で30分間乾燥し、得られた乾燥塗膜のフクレ・割れ発生状態を以下の基準で評価した。
評価基準(目視評価)
○;フクレ・割れの発生が未確認
△;フクレ・割れが少し発生確認
×;フクレ・割れが多数発生
○乾燥調整剤の効果確認(1)
※)乾燥調整効果の表記(30分後の評価/60分後の評価)
Figure 2005281575
○乾燥調整剤の効果確認(2)
(樹脂アクリルエマルションからディスパージョンに変更)
※)乾燥調整効果の表記(30分後の評価/50分後の評価)
※)ディスパージョン(品名A−1;アクリル−エポキシ複合系樹脂、実施例に記載、不揮発分40.0%)
Figure 2005281575
Figure 2005281575
Figure 2005281575
Figure 2005281575
常温乾燥性について、ポリアクリル酸より効果が低い結果であった。

Claims (5)

  1. 重量平均分子量が3,000〜10,000のポリアクリル酸アルカリ金属塩を水分散体樹脂組成物に対して0,5〜8質量%含有してなる水分散体樹脂組成物。
  2. 該ポリアクリル酸アルカリ金属塩がポリアクリル酸ナトリウムである請求項1に記載の組成物。
  3. 該水分散体樹脂が樹脂エマルションである請求項1または2に記載の組成物。
  4. 該樹脂エマルションがアクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂およびエポキシ樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂のエマルションである請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の水分散体樹脂組成物を含有してなる厚塗り塗料用組成物。
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