JP2014071384A - 投射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】投射装置内部で発生する不要光の、投射画像への影響を抑制する。
【解決手段】投射装置は、入力された画像信号に応じて、入射光の偏光状態を変化させた反射光を射出する有効画素領域を有する反射型光変調素子と、光源から入射した光を、反射型光変調素子に対する光軸が垂直になるように、且つ、光軸と平行な方向に対して予め定められた光線角θの範囲を含む入射光として、反射型光変調素子に入射させる入射光学部材と、反射型光変調素子の有効画素領域の外縁に設けられる光反射部材と、入射光と反射光とを分離して、分離した反射光を抽出する光分離部と光分離部が抽出した反射光を取り込んで投射する投射光学部材とを備える。光反射部材は、その反射面と、反射型光変調素子の面に平行な面とがなす、有効画素領域の外側から有効画素領域の方向に向けて開く角φが、光線角θ以上、且つ、90°未満に構成される。
【選択図】図3−1

Description

本発明は、画像を被投射媒体に投射する投射装置に関する。
従来から、入射された光を変調して反射させる反射型の光変調素子を用いて画像表示光を投射し、スクリーンや壁面などの被投射媒体に画像を投影する投射装置(プロジェクタ)が知られている。従来の投射装置では、例えば以下のようにして被投射媒体に画像を投影させる。先ず、光源から射出され入射レンズなどを通過した光は、偏光ビームスプリッタにより偏光分離される。この偏光分離された光は、光変調素子に入射し、光変調素子により反射され反射光となる。反射光は、偏光ビームスプリッタを透過して投射レンズなど入射し、投射レンズから所謂画像表示光として被投射媒体に投影される。このような反射型の光変調素子としては、例えばLCOS(Liquid crystal on silicon)が用いられる。
光変調素子では、供給された画像信号に対して有効な領域である有効画素領域を有している。また、投射装置では、光変調素子に入射した光がこの有効画素領域よりも広い範囲を照射するように設計されていることが多い。これは、照射領域のマージンを確保するためである。一方で、有効画素領域以外の領域を照射した光、すなわち、画像の表示に用いられる光以外の光は、漏れ光や迷光の原因となり、投射される画像のコントラストを低下させる要因となり得る。
この漏れ光や迷光を抑制するための対策として、特許文献1には、光変調素子と偏光ビームスプリッタとの間に配置されるλ/4位相差板や位相差補償素子などの保持枠を黒色に塗装する技術が記載されている。また、特許文献2には、入射光の光路と反射光の光路とを異ならせるクロスダイクロイックプリズムの部材に対し、遮光用の黒色塗料や黒色のテープを適用する技術が記載されている。さらに、特許文献3には、入射光の偏光状態を維持したまま反射する偏光維持反射部を光変調素子の有効画素領域の外縁に沿って設けた技術が記載されている。
特開2007−233407号公報 特開2006−106364号公報 特開2010−230802号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載されるように、黒色塗装などにより迷光などの不要光の遮光処理を行なった場合であっても、不要光を完全に吸収することは極めて困難であり、不要光の成分の一部が散乱して漏れ光を発生する可能性が推察される。黒色塗装が施された表面に存在する凹凸などにより、この不要光の偏光状態が乱れて、不要光と光変調素子から射出される変調光とが同じ偏光状態となり、投射画像に影響を与える可能性も推察される。
さらに、特許文献3に記載されるように、偏光状態を維持したまま反射する偏光維持反射部を設けた場合であっても、偏光ビームスプリッタ自身においても少ないながらも反射することが考えられ、この反射が投射画像に影響を与える可能性が推察される。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、投射装置内部で発生する不要光が投射画像に影響を与えることを抑制することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、入力された画像信号に応じて、入射光の偏光状態を変化させた反射光を射出する有効画素領域を有する反射型光変調素子と、光源から入射した光を、反射型光変調素子に対する光軸が垂直になるように、且つ、光軸と平行な方向に対して予め定められた光線角θの範囲を含む入射光として、反射型光変調素子に入射させる入射光学部材と、反射型光変調素子の有効画素領域の外縁に設けられる光反射部材と、入射光と反射光とを分離して、分離した反射光を抽出する光分離部と光分離部が抽出した反射光を取り込んで投射する投射光学部材とを備え、光反射部材は、その反射面と、反射型光変調素子の面に平行な面とがなす、有効画素領域の外側から有効画素領域の方向に向けて開く角φが、光線角θ以上、且つ、90°未満に構成されることを特徴とする。
本発明によれば、投射装置内部で発生する不要光が投射画像に影響を与えることを抑制することが可能となる。
図1は、第1の実施形態に適用可能な投射装置の一例の構成を概略的に示す図である。 図2は、第1の実施形態による光変調素子の一例の構成を示す図である。 図3−1は、第1の実施形態に係る反射部材の部分を拡大して示した図である。 図3−2は、第1の実施形態に係る反射部材の部分を模式的に示す図である。 図4は、第1の実施形態に係る、投射レンズに取り込まれる不要光について説明するための図である。 図5は、第1の実施形態に係る、投射レンズに取り込まれる不要光について説明するための図である。 図6は、第1の実施形態に係るアパーチャの配置について説明するための図である。 図7は、光変調素子に入射される入射光を制限するアパーチャを用いた例について説明するための図である。 図8は、第2の実施形態に係る投射装置の光学系の構成例を抜き出して示す図である。 図9は、第2の実施形態に係るアパーチャの配置について説明するための図である。
以下に図面を参照しながら、本発明に係る投射装置の好適な実施形態を説明する。係る実施形態に示す具体的な数値および外観構成などは、本発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本発明に直接関係のない要素は詳細な説明および図示を省略している。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に適用可能な投射装置1の一例の構成を概略的に示す。なお、図1においては、投射装置1の構成のうち第1の実施形態に関わりの強い部分を中心に示し、それ以外の部分は煩雑さを避けるため記載を省略する。図1において、投射装置1は、画像信号処理部10と、光変調素子20と、光学系30とを有する。
画像信号処理部10は、入力された画像信号に対して所定の信号処理を施し、光変調素子20に供給する。光変調素子20は、反射型の光変調素子であって、画像信号処理部10から供給された画像信号により駆動され、光源から入射した入射光の偏光状態を変化させ、反射光として射出する。光学系30は、光変調素子20に対して光源からの光を入射させる入射光学部材と、光変調素子20に対する入射光と光変調素子20からの反射光とを分離する光分離部と、光分離部から射出された反射光を外部に射出する投射光学部材とを有する。投射光学部材から射出された光は、スクリーンなどの被投射媒体2に対して投射され、被投射媒体2に対して、画像信号に応じた画像が投影される。
投射装置1の構成について、より詳細に説明する。投射装置1において、光変調素子20としては、例えばLCOS(Liquid crystal on silicon)を用いることができる。LCOSは、液晶駆動回路と画素電極とが設けられるシリコン基板と、シリコン基板と対向する透明基板との間に液晶を挟み込んで構成される。LCOSの透明基板側の面から入射した入射光は、透明基板および液晶を介してシリコン基板の画素電極で反射され、入射光とは偏光が異なる反射光として射出される。画像信号に応じて画素電極が画素毎に駆動されることで、入射光の偏光状態が画素毎に変化する。
第1の実施形態では、光変調素子20の透明基板側の面の、有効画素領域の外縁に、入射光を有効画素領域の外側に反射させるように構成された反射部材が設けられる。この反射部材によって、有効画素領域外に入射した入射光に基づく迷光などの不要光の発生を防止することができる。なお、有効画素領域とは、画像信号により画素電極が駆動される範囲に対応する。
光学系30は、図1の例では、光源100と、レンズ101および102と、光分離器103と、アパーチャ104と、投射レンズ106とを有する。第1の実施形態では、レンズ101とレンズ102とが入射光学部材を構成し、投射レンズ106が投射光学部材を構成するものとして説明する。なお、各光学部材は、図1に示した各レンズだけでなく、適宜、複数枚のレンズを組み合わせて構成されることは、言うまでもない。
光分離器103は、偏光状態によって光の透過および反射を選択する分離面103Aを備える。この図1の例では、光分離器103は、ワイヤグリッド型の偏光子が用いられ、分離面103Aは、光源100からの入射光を透過させると共に、光変調素子20からの反射光を反射させる。
光源100から射出された光は、レンズ101および102で平行光とされて光分離器103に入射する。入射した光は、分離面103Aを透過し、アパーチャ104を介して、光変調素子20の透明基板側の面に対して光軸が垂直になるように照射される。なお、以下では、「光変調素子20の透明基板の面に対して光軸が垂直になるように」といった表現を、「光変調素子20に対して垂直に」などのように簡略的に記載することがある。
ここで、レンズ102から射出される光は、図1に概略的に示されるように、光変調素子20の透明基板側の面に対して垂直な光軸を中心として、結像位置において(結像位置を頂点として)、予め定められた光線角θにより示される範囲の光を含む。換言すると、レンズ102から射出される光は、一方の光線と他方の光線とが結像位置で交わる際の、その結像位置を交点とした、一方の光線と他方の光線とのなす角が2θとなるような、一方および他方の光線で規定される範囲の光を含む。そして、この光の、互いに光軸を並行とする入射光学部材の有効径内における集合が、レンズ102から射出されて光変調素子20に照射される。
光変調素子20は、画像信号処理部10で処理された画像信号に従い、画素毎に駆動される。光変調素子20に入射した入射光は、画像信号に応じて画素毎に偏光状態を変化させて反射光となり、光変調素子20から射出される。光変調素子20から射出された反射光は、光分離器103の分離面103Aで反射されて投射レンズ106に導かれる。
投射レンズ106は、光分離器103から射出された光変調素子20の反射光を取り込んで、投射装置1の外部に射出する。
図2は、第1の実施形態による光変調素子20の一例の構成を示す。図2(a)は、光変調素子20を透明基板面側から見た例を示し、図2(b)は、図2(a)における断面A−A’の例を示す断面図である。また、図2(c)は、光変調素子20の断面A−A’の別の例を示す断面図である。
図2(a)に例示されるように、第1の実施形態の光変調素子20は、透明基板上において、有効画素領域21の外縁に、光を反射する反射部材22が設けられた構成となっている。反射部材22は、図2(b)の断面図に例示されるように、有効画素領域21の縁に対して、有効画素領域21の外側に向けて下降する斜面を有している。反射部材22の斜面、すなわち反射面は、入射角と反射角とが略等しくなるような状態が好ましく、光が乱反射など完全拡散するものは採用しない。
このように、有効画素領域21の外縁に反射部材22を設けることで、照射領域のマージン確保のために有効画素領域21の外側に入射された入射光は、光変調素子20に垂直に反射されずに、有効画素領域21の外側に向けて反射されるようになる。詳細は後述するが、このとき、反射部材22の斜面の角度が光線角θと所定の関係にあれば、有効画素領域21の外側に入射した入射光が、光変調素子20上で反射して光分離器103により投射レンズ106の方向に導かれ、投射レンズ106に取り込まれるのを防ぎ、不要光の発生を防止できる。
なお、反射部材22の構成は、図2(b)の例のように光変調素子20の表面上に設けられるものに限られない。例えば図2(c)に例示されるように、光変調素子20に一部または全部を埋め込んだ構成としてもよい。光変調素子20の有効画素領域21の外側が透明な材質で構成されていれば、このように反射部材22を光変調素子20に埋め込んだ構成としても、上述の不要光の発生を防止できる。
図3−1は、反射部材22の部分を拡大して示す。図3−1を用いて、第1の実施形態による光線角θと反射部材22の角度との関係について説明する。なお、図3−1において、上述の図2と共通する部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
先ず、反射部材22について、有効画素領域21の外側から有効画素領域21の内側の方向に向けて、光変調素子20の面に対して開く角を角φとする。この角φは、上述した、有効画素領域21の縁に対して、有効画素領域21の外側に向けて下降する斜面の、光変調素子20の面に対する角と同義である。
一方、光変調素子20に入射される光の光線角θは、当該光の結像位置における光軸に対する角度であって、投射装置1のプロジェクタシステムにおけるFナンバから規定される値である。すなわち、Fナンバを値Fnoとすると、Fナンバと光線角θとの関係は、次式(1)によって規定される。
Fno=1/(2sinθ) …(1)
なお、投射レンズ106の取り込み角も、同様にしてFナンバで決定され、光線角θとなる。これは、LCOSのような反射型液晶素子では、正反射を基本としているため、光変調素子20に入射する入射光の光線角θと、投射レンズ106の取り込み角とが同様の値を取るためである。
なお、Fナンバは、レンズの焦点距離をf、レンズの有効径をDとした場合、次式(2)で表される値となる。レンズの有効径Dは、実際には、レンズそのものの有効径に対して、絞りなど光学系のパラメータを加味した値となる。
Fno=f/D …(2)
ここで、図3−1および図3−2を用いて、光線角θと、反射部材22の角φとの関係について説明する。図3−1は、図2(b)における反射部材22の一部を拡大して示す。図3−1を参照し、光変調素子20に対する入射光が、反射部材22の斜面上の点Pを結像点として、光変調素子20の面に対して垂直に照射された場合について考える。
この場合、当該入射光の光線角θに従い、入射光の光軸aに対して点Pについてそれぞれ光線角θを有する線a0と線a1とによる範囲a0−a1に含まれる光が、点Pに照射されることになる。点Pに照射された入射光は、反射部材22により、当該反射部材22の斜面の角φに従った方向に反射される。すなわち、斜面に対する入射光の入射角に対して点Pを挟んで等しい射出角で、当該入射光が斜面で反射され射出される。この斜面から射出される反射光も、光軸bに対して入射光と同じ光線角θを有する。
角φ=光線角θである場合、図3−1に示されるように、入射光による光軸aの、光線角θによる範囲a0−a1の光と、当該入射光が点Pにおいて反射部材22で反射された、反射光による光軸bの、光線角θによる範囲b0−b1の光とが重ならない。したがって、入射光学部材の有効径の端から射出された光が、有効画素領域21の縁より外側に入射光として入射した場合に、当該入射光が光変調素子20の面で反射した反射光が投射レンズ106に取り込まれない。
図3−2は、図3−1を模式的に示す。図3−2に示されるように、入射光の光軸aが光変調素子20の面20aに対して垂直である場合、光軸aと反射部材22の斜面22aとがなす角α=90°−φとなる。この角αは、入射光の光軸aの斜面22aに対する入射角に等しく、さらに、入射光が斜面22aで反射した反射光の光軸bの斜面22aに対する射出角に等しい。また、これらにより、光軸aおよびbがなす角βは、角β=2φである。
したがって、角φ≧光線角θであれば、入射光(光軸a)の光線角θによる範囲と、反射光(光軸b)の光線角θによる範囲とが重なることがない。この場合、例えば有効画素領域21の縁より外側に入射された入射光は、光線角θの範囲を含めて入射光の入射方向へは反射されない。そのため、この反射光が投射レンズ106に取り込まれることもなく、投射光に対する影響が抑制される。
一方、角φ<光線角θの場合には、入射光の光線角θによる範囲と、射出光の光線角θによる範囲とが重なってしまうことになる。互いの範囲が重なる場合、例えば有効画素領域21の縁に入射された入射光が反射部材22で反射された反射光の範囲における、入射光の範囲と重なった部分の光は、入射光の入射方向に反射されることになる。この入射光の入射方向に反射された光は、投射レンズ106に取り込まれてしまい、投射光のコントラストの低下などを引き起こす要因となるおそれがある。
以上から、有効画素領域21の縁より外側に入射された入射光の、光変調素子20による反射光が投射レンズ106に取り込まれないようにするための、反射部材22の角φの条件が導き出せる。すなわち、光線角θは、式(1)を用いて説明したように、投射装置1のシステムにより固有のFナンバによって一意に決められるものである。したがって、次式(3)の条件を満たす角φを持つように、反射部材22を構成する。
90°>角φ≧光線角θ …(3)
なお、式(3)において「90°>角φ」の条件は、角φが90°以上では反射部材22としての意味を成さないことを示す。
図4および図5を用いて、投射レンズ106に取り込まれる不要光について説明する。図4に、第1の実施形態による反射部材22を用いない場合の例、図5に、第1の実施形態による反射部材22を用いた例をそれぞれ示す。
なお、図4および図5では、入射光学部材と投射光学部材とを共通のレンズ200として表し、光分離器103を省略している。すなわち、入射光学部材と投射光学部材とでFナンバを一致させた場合、レンズの焦点距離fとレンズの有効径Dとの比が入射光学部材と投射光学部材とで同一となる。そのため、照射対象(光変調素子20)をそれぞれの焦点距離fに置いた場合、光線角θによる入射光学部材および投射光学部材における範囲は、互いに対応したものとなり、入射光学部材と投射光学部材とで焦点距離fおよび有効径Dを一致させることで、入射光学部材と投射光学部材とを共通のレンズ200として表すことができる。
図4において、レンズ200から射出された光軸aの入射光が、光線角θによる範囲a0−a1で以って、光変調素子20’における有効画素領域21の端である点P0に対して垂直に照射されるものとする。このときの範囲a0−a1における有効画素領域21の外側方向の線a1が、入射光学部材の有効径の端と一致しているものとする。入射光学部材のFナンバと投射光学部材のFナンバとを一致させた場合、投射光学部材による光を取り込み可能な有効入射領域の端とも一致する。
レンズ200から射出された光軸aによる入射光は、光変調素子20’において反射され、反射光は、入射の際と同一の軌跡を辿ってレンズ200に入射され取り込まれる。
一方、光軸aに対して有効画素領域21の外側にずれた光軸cによる光は、光軸cの位置がレンズ200の有効径内なので、レンズ200から入射され光変調素子20’における、有効画素領域21外の点P1に垂直に照射される。この光軸cの光は光変調素子20’により反射され、入射の際と同一の軌跡を辿り、レンズ200の有効径内に入射された分が取り込まれる。この取り込まれた光は、有効画素領域21外に入射された光であるため、不要光となる。
図4の例では、光軸cによる反射光の、光線角θによる範囲c0−c1のうち、レンズ200の有効径内の範囲c0−c2の光が取り込まれ、不要光として投射光に影響を与えることになる。それ以外の範囲c2−c1の光は、レンズ200の有効径外となるため取り込まれない。すなわち、光軸cの光は、光線角θによる範囲Wのうち、レンズ200の有効径内の範囲W’に含まれる光が不要光として取り込まれることになる。
図5は、第1の実施形態による反射部材22を用いた例である。この場合、有効画素領域21に対して僅かに外側にずれて入射され、反射部材22の斜面上の点P2に照射された光軸dの光は、反射部材22の角φに従い、有効画素領域21の外側に反射される。角φと光線角θとが式(3)に示す関係を満たしていれば、上述したように、光軸dによる光の反射光(光軸d’)の光線角θによる範囲d0−d1と、有効画素領域21の端の点P0に照射された光軸aの反射光の光線角θによる範囲a0−a1とが重なることがない。したがって、光軸dの光が反射部材22の斜面で反射した光軸d’の反射光の光線角θによる範囲d0−d1の光は、常にレンズ200の有効径外に進行し、レンズ200に取り込まれることがなく、不要光の発生が防がれる。
このように、第1の実施形態による反射部材22を有効画素領域21の外縁に設けることで、有効画素領域21外に入射された光が投射光学部材に取り込まれることが防がれ、不要光の発生が防がれる。
ここで、図4および図5では、原理的な説明のために実際の投射装置1としての構成を無視している。一方、実際の投射装置1は、図1に示したように、入射光学部材、投射光学部材、光分離器103および光変調素子20がそれぞれ所定の位置に配置されることになる。そのため、この各部の配置の関係によっては、例えば図5における、光軸d’で示す反射光が投射光学部材に取り込まれてしまうことも考えられる。そのため、実際的には、反射光を遮光するアパーチャを投射装置1に設けることが好ましい。
図6を用いて、アパーチャの配置について説明する。なお、図6において、上述の図1と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。図6は、上述の図1と同様に、ワイヤグリッド型の光分離器103を用いており、光変調素子20と光分離器103との間にアパーチャ40を配置している。上述のアパーチャ104をこのアパーチャ40として用いてもよい。
このアパーチャ40は、有効画素領域21の最端部に垂直な光軸を有する入射光について、その光軸に対して光線角θを有する反射部材22側の光線が、開口部41の開口の外周と略一致するように構成することが好ましい。換言すれば、このアパーチャ40は、開口部41が、有効画素領域21の縁に光線角θで以って入射する入射光の、光線角θによる光の範囲の、有効画素領域21に対する外側の端を内周とするように構成することがの望ましい。このようにアパーチャ40の開口部41を構成することで、有効画素領域21の縁に入射した入射光が光変調素子20で光線角θで以って反射した反射光は、開口部41を通過して光分離器103に入射する。
一方、有効画素領域21の外側に入射し反射部材22で有効画素領域21に対して外側に反射された反射光は、図6の部位Aに示されるように、アパーチャ40に遮光される。このとき、当該反射光の、光線角θによる範囲における有効画素領域21の内側の端の光は、光分離器103の分離面103Aで反射されて投射レンズ106に到達する可能性がある。しかしながら、これら光線角θによる範囲における有効画素領域21の内側の端の光は、実際の到達位置は投射レンズ106の有効径より僅かに外側となるため、投射レンズ106には取り込まれない(図6の部位B参照)。
このように、光分離器103と光変調素子20との間にアパーチャ40を設けることで、反射部材22で反射された光が投射レンズ106に取り込まれるのを防止することができる。
なお、アパーチャ40の、少なくとも光変調素子20に対向する側の面は、光の反射を防止するために、黒色の塗装などをマット状に施すことが好ましい。アパーチャ40に対して黒色の塗装を施すことで、反射部材22で反射された光がアパーチャ40で吸収され、迷光などの発生をさらに防止することができるためである。
ところで、光変調素子20上に反射部材22を設けずに、光変調素子20に入射される入射光を制限するアパーチャを、例えば光分離器103と光変調素子20との間に設けることも考えられる。しかしながら、このアパーチャでは、有効画素領域21外に入射された光の反射光による影響を排除することが困難である。
図7を用いて、光変調素子20に入射される入射光を制限するアパーチャを用いた例について説明する。図7(a)は、反射部材22を設けない光変調素子20’に対して、所定距離を離してアパーチャ50aを設けた例を示す。この図7(a)の例では、アパーチャ50aは、光変調素子20’における有効画素領域21の外縁と一致させて開口部が設けられている。この場合、図示されないレンズ102から光分離器103を介して有効画素領域21の外縁に入射する光軸eおよびgの光は、光変調素子20’に入射する一方で、有効画素領域21の外部に入射する光軸e’およびg’の光は、アパーチャ50aに遮光されて、光変調素子20’には入射しない。
図7(b)は、図7(a)の例において光線角θを考慮した例である。既に述べたように、レンズ102からの光は、例えば光軸e0に対して光線角θの範囲の光として光変調素子20’に入射される。したがって、光軸e0の、光線角θによる範囲e1−e2の光のうち、有効画素領域21の外側の範囲から入射される光は、アパーチャ50aに遮光されて光変調素子20’に入射されず、当然ながら、有効画素領域21にも入射されない。すなわち、この場合、光軸e0による光は、半分しか光変調素子20’に入射されず、必要な光が得られないことになる。これは、光軸gの、光線角θによる範囲g1−g2の光についても同様である。
図7(c)は、図7(b)の問題を解決するために、開口部を広げたアパーチャ50bを設けた例を示す。図7(c)の例では、アパーチャ50bは、有効画素領域21の縁に入射される光について、光線角θよる範囲の光が全て光変調素子20’に入射されるように、開口部が設けられている。このように開口部を設けることで、有効画素領域21の縁に入射される光軸e0の、光線角θによる範囲e1−e2による光が、全て有効画素領域21に照射される。
一方、図7(c)の例では、アパーチャ50bの開口部が、有効画素領域21の外側にまで及んでいるため、有効画素領域21の外側の光軸e10およびg10の光が光変調素子20’に入射されてしまう。したがって、この光軸e10の、光線角θによる範囲e11−e12、ならびに、光軸g10の、光線角θによる範囲g11−g12の光のうちアパーチャ50bに遮光されない部分の光が光変調素子20’に入射され、反射光が入射の経路を逆に辿って射出される。この反射光は、投射レンズに取り込まれ不要光となってしまうことになる。
これに対して、第1の実施形態では、図2に示したように、光変調素子20に対して、有効画素領域21の外縁に直接的に反射部材22を設けているため、有効画素領域21の外側に入射された光を効率的に排除することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態に係る投射装置の光学系の構成例を抜き出して示す。なお、図8において、上述の図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
上述の第1の実施形態では、光変調素子20に入射される入射光と、光変調素子20から反射される反射光とを分離するための光分離器103として、ワイヤグリッド型の偏光子を用いた。これに対して、第2の実施形態では、偏光ビームスプリッタによる光分離器110を備える。光分離器110において、分離面110Aは、光源100からの入射光を反射させると共に、光変調素子20からの反射光を透過させる。
すなわち、図8の構成においては、光源から射出された光は、レンズ101および102で平行光とされて光分離器110に入射され、分離面110Aで反射され、アパーチャ104を介して光変調素子20に対して垂直に照射される。
光変調素子20に入射された入射光は、図示されない画像信号処理部から供給された画像信号により、偏光状態が画素毎に変化されて、反射光として光変調素子20から射出される。光変調素子20から射出された反射光は、光分離器110の分離面110Aを透過して投射レンズ106に導かれる。投射レンズ106は、光分離器110から射出された光変調素子20の反射光を取り込んで、装置外部に射出する。
この、偏光ビームスプリッタを光分離器110に適用した例でも、第1の実施形態と同様にして、光変調素子20上に、式(3)により角φが決定される反射部材22を設ける。これにより、光変調素子20における有効画素領域21の外側に入射される入射光を光変調素子20が反射した反射光が、投射レンズ106に取り込まれるのを防止することができる。
さらに、図9に示されるように、光分離器110と光変調素子20との間に、図6を用いて説明したように開口部41が適切に設定されたアパーチャ40を設ける。この図9の例においても、アパーチャ40は、有効画素領域21の最端部に垂直な光軸を有する入射光について、その光軸に対して光線角θを有する反射部材22側の光線が、開口部41の開口の外周と略一致するように構成することが望ましい。換言すれば、開口部41が、有効画素領域21の縁に光線角θで以って入射する入射光の、光線角θによる光の範囲の、有効画素領域21に対する外側の端を内周とするように構成することが望ましい。
この図9の例においても、有効画素領域21の外側に入射し反射部材22で有効画素領域21に対して外側に反射された反射光は、図9の部位Cに示されるように、アパーチャ40に遮光される。このとき、当該反射光の、光線角θによる範囲における有効画素領域21の内側の端の光は、光分離器110の分離面110Aを透過して投射レンズ106に到達する可能性がある。しかしながら、これら光線角θによる範囲における有効画素領域21の内側の端の光は、実際の到達位置は投射レンズ106の有効径より僅かに外側となるため、投射レンズ106には取り込まれない(図9の部位D参照)。
このように、第2の実施形態においても、光分離器110と光変調素子20との間にアパーチャ40を設けることで、反射部材22で反射された光が投射レンズ106に取り込まれることを防止することができる。なお、このアパーチャ40を図8に示したアパーチャ104として用いることが可能である。
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1 投射装置
2 被投射媒体
10 画像信号処理部
20,20’ 光変調素子
21 有効画素領域
22 反射部材
30 光学系
40,50a,50b,104 アパーチャ
41 開口部
100 光源
101,102,200 レンズ
103,110 光分離部
103A,110A 分離面
106 投射レンズ

Claims (2)

  1. 入力された画像信号に応じて、入射光の偏光状態を変化させた反射光を射出する有効画素領域を有する反射型光変調素子と、
    光源から入射した光を、前記反射型光変調素子に対する光軸が垂直になるように、且つ、該光軸と平行な方向に対して予め定められた光線角θの範囲を含む前記入射光として、前記反射型光変調素子に入射させる入射光学部材と、
    前記反射型光変調素子の前記有効画素領域の外縁に設けられる光反射部材と、
    前記入射光と前記反射光とを分離して、分離した該反射光を抽出する光分離部と
    前記光分離部が抽出した前記反射光を取り込んで投射する投射光学部材と
    を備え、
    前記光反射部材は、
    その反射面と、前記反射型光変調素子の面に平行な面とがなす、前記有効画素領域の外側から該有効画素領域の方向に向けて開く角φが、前記光線角θ以上、且つ、90°未満に構成される
    ことを特徴とする投射装置。
  2. 前記光線角θは、
    前記入射光学部材のFナンバをFnoとしたとき、Fno=1/(2sinθ)の関係で表される
    ことを特徴とする請求項1に記載の投射装置。
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