JP2014066007A - 既設橋梁の撤去方法および既設橋梁の更新方法 - Google Patents

既設橋梁の撤去方法および既設橋梁の更新方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短期間且つ周辺に与える影響を最小化した橋梁の撤去を可能にする既設橋梁の撤去技術を提供する。
【解決手段】車両走行路等72に跨線道71を立体交差させるために設けられた既設橋桁1の上に、跨線道71のスペースを利用してエレクションガーダー等の架設桁2を送り出して配置し、既設橋桁1の軸方向に所定のピッチで配置された仮吊り梁6および吊鋼棒5を介して既設橋桁1を架設桁2に支持させ、既設橋桁1を隣り合う一対の仮吊り梁6(吊鋼棒5)を含むように複数の桁ブロック1bに切断し、桁ブロック1bの一対の仮吊り梁6に下部吊り金具13を嵌合させて移動吊り装置3により個別に吊り上げ、吊鋼棒5の架設桁2の側の連結を解除して、跨線道71または車両走行路等72に待機する車両に積み込んで撤去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、既設橋梁の撤去技術および既設橋梁の更新技術に関し、より詳細には、例えば、道路や線路等の車両走行路を跨ぐ橋梁の架け替えに際し、既設上部工(橋桁、床版)を撤去する技術等に関するものである。
既存の橋梁において老朽化が著しく進行若しくは機能が不足する場合、撤去若しくは更新してしまった方が望ましいが、その橋梁若しくは交差道路の有する社会的責務などから、長期にわたる通行止めによる撤去・更新は出来ないことが多い。
例えば、跨道橋は、道路又は線路等の車両走行路を跨ぐ上部工(橋桁、床版)を備え、その両端を橋台および橋脚に支持させた構造を有し、跨道橋を介して連続する道路又は線路等の既設構造体の一部を構成している。
従来では、老朽化や災害による損傷等に起因して既設の跨道橋の架け替えを行う場合に、その跨道橋の撤去は、異なる位置に新たな橋梁もしくは仮設橋梁を構築して迂回路を確保した後に、既設橋梁を撤去することにより行われている。
この上部工の撤去は、例えば橋桁を、ベント(仮設支柱)を介して支持させた後に、適当なブロックに橋桁を分割し、跨道橋の橋台背面等に確保した作業ヤードに大型クレーンを設置して橋桁を吊り上げて撤去する方法や、大型運搬車両上に設置されトた大型ジャッキにより、橋桁を持ち上げた状態で切断・分割を行い、その後ジャッキダウンして運搬する方法により行われている。
また、跨道橋の下面には供用中の道路又は線路等が位置しており、事前作業時には車両走行路の一部を車線規制して作業ヤードを確保し、また撤去作業時には全面通行止めすることにより行われている。
なお、橋梁の撤去工法に関しては、例えば、特許文献1のように、撤去対象の既設のトラス型の旧橋の上に新設の新橋を架設し、旧橋を新橋に保持させた後、トラスの解体および旧橋の撤去を順に行う技術が知られている。
また、特許文献2には、撤去対象の跨道橋の下側に全長に防護工を設置して支持するとともに上側には鋼製桁を架設し、鋼製桁を走行する移動吊り装置にて、橋脚に両端を支持された跨道橋を、径間長さの長尺のままで吊り上げて搬出した後、残った橋脚を上から下に向かって順に分断し、同じ移動吊り装置にて搬出して撤去する技術が記載されている。
また、特許文献3には、上述の特許文献1と同様に、新桁を旧桁の上に搬入し、新桁に設置し吊り降ろし装置により旧桁の下方に待機する運搬台車に降下させて撤去した後、新桁を旧桁の位置に降下させて架け替える技術が開示されている。
特開2001−241012号公報 特開2006−265884号公報 特開2009−52306号公報
しかし、上述の如き従来の技術では、橋桁を2分割程度に分割して撤去するため、大型クレーン等の大規模な機械や、撤去した上部工を運搬するための大型運搬車両が必要となり、作業ヤードの確保や運搬走路の確保等の課題があった。
また、迂回路の確保や、全面通行止めや車線規制等を長期に亘って実施しなければならず、それにより迂回の強要や渋滞の発生等、近隣交通網に支障をきたすという技術的課題があった。
さらに、撤去の事前作業において、供用中の交差道路への養生が必要となる場合、上述の特許文献2のように道路上に防護工を設置する必要があり、防護工設置作業の際に車線規制が必要となる。
さらに、大型クレーンや大型運搬車により撤去桁の運搬等の移動をさせる場合、電線等架線や上下水道管など各種ライフラインの移設等の保障が必要となる。
また、防護工自体の設置及び撤去時における作業時及び強風時などにおける防護工自体の落下による工事停滞、工期の長期化等の懸念もある。
なお、上述の特許文献1および特許文献3の技術は、新橋や新桁の架設利用を前提とするため、旧橋の撤去のみの工事には採用できない。
また、特許文献1および特許文献3に記載の技術では、新橋や新桁の架設利用を前提としているので、新橋や新桁の構造を架設として利用可能なものに制限しなければならなかった。このため、特許文献1および特許文献3に記載の技術では、新橋や新桁の構造の自由度を向上させることが要求されていた。
本発明の目的は、短期間且つ周辺に与える影響を最小化した橋梁の撤去を可能にする既設橋梁の撤去技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、短期間且つ周辺に与える影響を最小化した橋梁の更新を可能にする既設橋梁の更新技術を提供することにある。
本発明の第1の観点は、撤去対象の既設橋梁の上方に沿って架設桁を設置し、前記既設橋梁の既設橋桁を前記架設桁に吊った状態で前記既設橋桁を切断して複数の既設橋桁片に分離し、前記架設桁に設置された移動吊り装置により、分離された前記既設橋桁片の撤去を行う既設橋梁の撤去方法を提供する。
本発明の第2の観点は、第1の観点に記載の既設橋梁の撤去方法において、
前記既設橋梁の前記既設橋桁の軸方向に沿って前記架設桁を設置し、前記軸方向に所望の配列ピッチで配置された仮吊り梁、および前記仮吊り梁と架設桁を連結する第1吊り部材、および前記仮吊り梁と前記既設橋梁を連結する第2吊り部材を介して前記既設橋桁を前記架設桁に支持させる第1工程と、
前記既設橋桁を切断して複数の既設橋桁片に分離する第2工程と、
前記架設桁に前記軸方向に移動可能に設置された前記移動吊り装置に対して前記仮吊り梁および第2吊り部材を介して任意の前記既設橋桁片を支持させた状態で前記第1吊り部材を除去し、当該既設橋桁片を前記架設桁から前記移動吊り装置に支持させて撤去する第3工程と、
を含む既設橋梁の撤去方法を提供する。
本発明の第3の観点は、第1の観点または第2の観点に記載の既設橋梁の撤去方法において、
前記移動吊り装置は、
前記架設桁に設けられたレール上を前記軸方向に走行する台車と、
前記台車に搭載された巻き揚げ機と、
前記巻き揚げ機に吊り下げられる上部吊り金具と、
旋回金具を介して前記上部吊り金具に対して旋回可能に支持される下部吊り金具と、を含み、
前記仮吊り梁は、前記下部吊り金具の両端部に係合するように配置される、
既設橋梁の撤去方法を提供する。
本発明の第4の観点は、第2の観点または第3の観点に記載の既設橋梁の撤去方法において、
前記仮吊り梁および前記第1吊り部材および前記第2吊り部材の前記軸方向における配列ピッチを変化させることで、前記既設橋桁片の前記軸方向における切断長を、前記既設橋桁片の搬出条件などに応じて任意に設定する既設橋梁の撤去方法を提供する。
本発明の第5の観点は、第1の観点から第4の観点のいずれか1項記載の既設橋梁の撤去方法において、
交差する道路等の規制を行い、第2の観点に記載する前記第2工程から前記既設橋桁片を規制された道路等に前記移動吊り装置により直接降下させ、一般トレーラ等の運搬台車に積載して搬出する一連の工程を、防護工の設置等を必要とせずに、1夜間等の短時間で完了させる、既設橋梁の撤去方法を提供する。
本発明の第6の観点は、第1の観点から第4の観点のいずれか1項記載の既設橋梁の撤去方法において、
前記架設桁には、少なくとも前記既設橋桁における前記既設橋桁片の切り出し領域を覆う吊り防護工兼作業構台を、前記架設桁の軸方向に移動可能に懸垂させて設置するとともに、
前記移動吊り装置として、前記架設桁の軸方向に移動可能な電動チェーンブロックを設置する、
既設橋梁の撤去方法を提供する。
本発明の第7の観点は、第2の観点に記載の既設橋梁の撤去方法において、
さらに、前記第3工程の後に、
新設橋梁を構成する複数の新設橋桁片を、前記仮吊り梁および当該仮吊り梁と前記新設橋桁片を連結する前記第2吊り部材を介して個別に前記移動吊り装置により吊り上げて前記軸方向に配列し、前記架設桁と前記仮吊り梁を連結する前記第1吊り部材を介して仮に前記架設桁に支持させる第4工程と、
複数の前記新設橋桁片を前記軸方向に連結して前記新設橋梁を構成した後、前記仮吊り梁、前記第1吊り部材、前記第2吊り部材を除去する第5工程と、
前記架設桁を撤去する第6工程と、
を含み、
前記既設橋梁の撤去および前記新設橋梁の設置を行う既設橋梁の撤去方法を提供する。
本発明の第8の観点は、第1の観点から第6の観点のいずれか1項記載の既設橋梁の撤去方法を用いて既設橋梁を複数の前記既設橋桁片に分断して撤去した後、新設橋梁を構成する複数の新設橋桁片の各々を、個々の前記既設橋桁片の撤去とは逆の手順で、前記架設桁に吊り下げて配列し、配列された前記新設桁片を連結して前記新設橋梁を構成する既設橋梁の更新方法を提供する。
本発明によれば、短期間且つ周辺に与える影響を最小化した橋梁の撤去を可能にする既設橋梁の撤去技術を提供することができる。
また、短期間且つ周辺に与える影響を最小化した橋梁の更新を可能にする既設橋梁の更新技術を提供することができる。
本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法における上部工撤去時の概略構成を示す側面図である。 図1に例示された移動吊り装置の概略を示す正面図である。 図1に例示された移動吊り装置の概略を示す側面図である。 図1に例示された支持台の概略を示す正面図である。 図1に例示された移動吊り装置の概略を示す斜視図面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、準備工(吊材設置孔の削孔等)を示す側面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、準備工(吊材設置孔の削孔等)を示す平面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、架設桁および吊り材の配置を示す側面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、架設桁および吊り材の配置を示す平面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、既設橋桁の切断を示す側面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、既設橋桁の切断を示す平面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、跨線道を利用した既設橋桁の撤去・運搬を示す側面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した既設橋桁の撤去・運搬を示す側面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した既設橋桁の撤去・運搬を示す平面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、跨線道を利用した新設桁の搬入・設置を示す側面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の搬入・設置を示す側面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の搬入・設置を示す平面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の搬入完了状態を示す側面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の搬入完了状態を示す平面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の連結完了状態を示す側面図である。 本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の連結完了状態を示す平面図である。 吊り防護工兼作業構台の概略を示す正面図である。
本実施の形態では、老朽化して架け替え若しくは撤去を行う橋梁上に架設桁を設置して、架設桁に設置された移動吊り装置により、橋桁を吊った状態で橋桁の切断を行い、分割された橋桁片の移動を行う橋梁の撤去及び架け替え工法を例示する。
この場合、既設橋梁上に架設桁を設置して橋桁を吊ることにより、既設橋桁を安定した状態で切断でき、分割された橋桁片を移動吊り装置により吊り上げて橋台背面のヤードに搬出するものである。また分割後の橋桁片を交差する道路上に配置した運搬車両上に吊り下ろすことで、そのまま搬出することも可能である。
既設橋台および橋脚位置に設置された支持台上には電動ローラを配置しており、分割して搬入された架設桁を作業ヤードで組み立てながら橋軸方向に移動させて架設する。また同様の方法で架け替え終了後に架設桁を引き戻しながら撤去することも出来る。
架設桁に設置される移動吊り装置は、架設桁上のレール上を自由に移動し、吊り上げた橋桁を橋軸方向に搬出することができる。
既設の橋桁の撤去は夜間通行止めを行って施工するが、桁の切断から搬出といった一連の作業を短期間で実施できるため、交差道路の交通に対する防護工は不要となる。
また、交差道路が高速道路などの重交通幹線道路の場合、通行止めなどの規制に制約を要するが、撤去若しくは更新する跨道橋のみで架設桁の設置が可能であり、且つ通行止め時に切断・降下・搬出及び搬入・吊上げ・連続化といった一連の作業が可能となるため、別途、防護工などを設置する必要のない橋梁の撤去及び架け替え工法を提供する。
この場合、撤去時における防護工の設置を不要とするので、より短期間且つ、安全に撤去を行えるとともに新設桁の架設を可能とするものである。
また、架設桁には、吊り防護工兼作業用構台の設置することも可能であり、交差条件を問わず、撤去準備作業を行う事が出来る橋桁の撤去及び架け替え工法を提供する。
この場合、架設桁に懸垂される吊り防護工兼作業用構台を設置することで、河川や急峻地形などの交差条件であってもなく事前作業を実施することが可能となる。
防護工に軽量パネルを使用することで、防護工が懸垂される架設桁に作用する荷重を抑えることができ、例えば、架設桁としてのエレクションガーダーに設置した小型電動チェーンブロックを使用することで容易に設置・撤去作業を行う事が出来る。
橋桁の切断に乾式ワイヤーソーイングを使用することで、供用中の車両走行路に対する水の飛散を防ぐことも可能である。
この場合、分割する橋桁片(ブロック)の大きさは任意に設定が可能であり、搬出路のクリアランスや重量制限に左右されることなく、桁の運搬が可能である。また、橋桁片の搬出は交差道路若しくは跨道橋に接続している道路からも搬出・搬入が可能となる。
また、架設桁に設置する吊鋼棒は、吊られる橋桁の重量によりその径および本数が決定されるが、吊鋼棒の本数を増やすことで、橋桁片の分割数を増やすことが可能であり、1セグメント(橋桁片)あたりの重量を軽減することにより、一般のトレーラによる遠隔地への運搬が可能となる。
桁切断において、事前に切断ブロックを治具等で連結することにより、より確実に撤去作業を遂行できる。
これにより、本実施の形態の上述の態様によれば、例えば、短時間にて撤去若しくは更新出来る、橋梁や架線下のクリアランス以下での運搬が可能となる、運搬時に地下埋設物に影響を与えない重量以下での運搬が可能となる、作業における施工ヤードを跨道部若しくは交差道路を活用でき、仮設のヤードを殆ど必要としない、等の効果が得られる。
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法における上部工撤去時の概略構成を示す側面図である。
図2は、図1に例示された移動吊り装置の概略を示す正面図である。
図3は、図1に例示された移動吊り装置の概略を示す側面図である。
図4は、図1に例示された支持台の概略を示す正面図である。
図5は、図1に例示された移動吊り装置の概略を示す斜視図面図である。
本実施の形態では、本発明の一実施の形態として、図1に示す既設橋桁1の撤去方法および更新方法を例に挙げて説明する。ただし、既設橋桁1の撤去のみを行ってもよいことは言うまでもない。
図1に例示されるように、撤去対象の一例である跨道橋(跨線橋を含む)は、道路または線路等の車両走行路等72を立体交差で跨ぐ既設橋桁1(既設橋梁)を備え、その両端を既設橋台7a、既設橋台7bで支持し、中央部を既設橋脚8に支持させた構造を有している。
すなわち、既設橋桁1は、跨線道71と車両走行路等72を立体交差させるために、車両走行路等72の上方を横断するように架設されており、既設橋桁1である跨道橋を介して連続する道路又は、線路等の跨線道71を含む既設構造体の一部を構成している。
本実施の形態では、既設橋桁1の撤去方法、さらには必要に応じた更新方法を例示する。
本実施の形態の既設橋梁の撤去方法の場合、後述する既設橋桁の切断を開始する前に、図1〜図5に示すように、既設橋桁1の上には、エレクションガーダーとして、当該既設橋桁1の軸方向に沿って2本の架設桁2が設けられる。
2本の架設桁2は並べて配置されている。各架設桁2の軸方向両端部は、図1および図4に示すように、既設橋桁1の軸方向両端部の位置よりも外側の位置まで延在している。各架設桁2は、既設橋台7aと既設橋台7bと既設橋脚8の上に、それぞれ設置された架設桁支持台4に支持され、架設桁支持台4上の電動ローラにより移動できる。
各架設桁2は、架設桁支持台4に備えられた電動ローラにより軸方向に移動できるようになっている。図4に例示されるように、架設桁支持台4は、スライドベース4cと、スライドベース4cの上に設置された2つの駆動ローラ4a(電動ローラ)および2つの従動ローラ4bとを備えている。
本実施形態においては、図4に示すように、各架設桁2の下面にそれぞれ駆動ローラ4aと従動ローラ4bとが配置されている。駆動ローラ4aと従動ローラ4bとは、軸方向と直交または略直交する方向に並べられ、各架設桁2の下面の断面視2箇所で各架設桁2を支持している。駆動ローラ4aは、回転することにより架設桁2を軸方向(図4の紙面に垂直な方向)に移動させるものである。従動ローラ4bは、架設桁2の重量を支持して回転するものである。図4に示すように、駆動ローラ4aは、既設橋桁1の幅方向の位置が、従動ローラ4bよりも外側となるように配置されている。
なお、駆動ローラ4aは、全ての架設桁支持台4に備えられていてもよいが、架設桁2の軸方向への移動に支障を来すことがなければ、架設桁支持台4の一部に備えられている駆動ローラ4aの少なくとも一部を従動ローラ4bに代えてもよい。
具体的には例えば、図1の例では、架設桁2は、図1の右端(一端側)から左端(他端側)に向かって軸方向に送り出されることによって既設橋桁1の上に配置される。このため、他端側の既設橋台7b上に配置された架設桁支持台4には、駆動ローラ4aを配置する必要はない。したがって、他端側の既設橋台7b上に配置された架設桁支持台4に供えられている駆動ローラ4aの少なくとも一部を従動ローラ4bに代えてもよい。
本実施の形態の場合、図2および図3に例示されるように、各架設桁2の上には、それぞれ架設桁2の軸方向全長に渡って2本ずつレール2aが設けられている。レール2aの上には、図1〜図3、図5に示されるように、2本の架設桁2の間に跨って配置されるとともに、レール2aの延在方向に沿って並べて配置された一対の移動吊り装置3が搭載されている。移動吊り装置3は、それぞれ軸方向にレール2aの上を自由に走行することが可能になっている。
個々の移動吊り装置3は、図2、図3、図5に示されるように、レール2aの上を走行する台車3aと、台車3aに搭載された巻き揚げ機3bと、平行に並べて配置された2本の架設桁2の間から垂下されるように巻き揚げ機3bから繰り出されたワイヤーロープ11とを備えている。
図5に示されるように、一対の移動吊り装置3の各々から繰り出される一対のワイヤーロープ11の下端には、上部吊り金具12が接続され、上部吊り金具12には回転金具14を介して下部吊り金具13が接続されている。
上部吊り金具12は、既設橋桁1の軸方向に延在する棒状のものである。回転金具14は、下部吊り金具13を水平方向に旋回自在および着脱自在に接続するものである。
本実施の形態の場合、下部吊り金具13は、巻き揚げ機3bによるワイヤーロープ11の巻き取りおよび繰り出しによる昇降動作と、台車3aの走行移動による架設桁2の軸方向への移動動作と、回転金具14による水平面内での旋回動作とを随意に組合せた動作が可能となっている。
本実施の形態の場合、図1および図5に示されるように、既設橋桁1の幅方向に延在する棒状の複数の仮吊り梁6が、設けられている。複数の仮吊り梁6は、図1に示すように、既設橋桁1の軸方向に所望のピッチで配置されている。図1および図5に示されるように、下部吊り金具13上において、各仮吊り梁6の中央部と、下部吊り金具13の軸方向両端部とが、平面視で交差するように配置されている。
図1および図5に示されるように、各仮吊り梁6は、各仮吊り梁6の下部吊り金具13との交差部から平面視外側に対称配置された複数の既設桁側吊鋼棒5b(第2吊り部材)を介して、既設橋桁1を吊り下げるように支持している。また、個々の仮吊り梁6の一方の端部は、架設桁側吊鋼棒5a(第1吊り部材)によって2本の架設桁2のうちの一方の下面に吊り下げられ、個々の仮吊り梁6の他方の端部は、架設桁側吊鋼棒5a(第1吊り部材)によって2本の架設桁2のうちの他方の下面に吊り下げられている。
すなわち、既設橋桁1は、全長にわたって、既設桁側吊鋼棒5b、仮吊り梁6、架設桁側吊鋼棒5aを介して架設桁2に対して吊り下げられている。
なお、以下の説明では必要に応じて、架設桁側吊鋼棒5aおよび既設桁側吊鋼棒5bを吊鋼棒5と総称する場合がある。
図5に例示されるように、本実施の形態では、既設橋桁1の切断を開始する前に、吊鋼棒5によって、仮吊り梁6を介して架設桁2より既設橋桁1を吊って支持する。また、後述するように切断・分割された橋桁(図5に示す桁ブロック1b(既設橋桁片))を移動する際には、移動吊り装置3の下部吊り金具13の両端により、切断部位である桁ブロック1bに属する一対の仮吊り梁6を支持させた後に、架設桁側吊鋼棒5aを取り外す。これにより、桁ブロック1bを移動吊り装置3によって、昇降移動、水平移動、旋回移動の各移動動作を組み合わせて移動させることができる。
図6A〜図10Cは、本発明の架け替え工法の具体的な例を工程順に示したものである。
図6Aは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、準備工(吊材設置孔の削孔等)を示す側面図である。
図6Bは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、準備工(吊材設置孔の削孔等)を示す平面図である。
図7Aは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、架設桁および吊り材の配置を示す側面図である。
図7Bは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、架設桁および吊り材の配置を示す平面図である。
図8Aは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、既設橋桁の切断を示す側面図である。
図8Bは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、既設橋桁の切断を示す平面図である。
図9Aは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、跨線道を利用した既設橋桁の撤去・運搬を示す側面図である。
図9Bは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した既設橋桁の撤去・運搬を示す側面図である。
図9Cは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した既設橋桁の撤去・運搬を示す平面図である。
図10Aは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、跨線道を利用した新設桁の搬入・設置を示す側面図である。
図10Bは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の搬入・設置を示す側面図である。
図10Cは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の搬入・設置を示す平面図である。
図10Dは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の搬入完了状態を示す側面図である。
図10Eは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の搬入完了状態を示す平面図である。
図10Fは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の連結完了状態を示す側面図である。
図10Gは、本発明の一実施の形態である既設橋梁の撤去方法の具体的な作用の一例における、交差道路を利用した新設桁の連結完了状態を示す平面図である。
本実施の形態のより具体的な適用例は、一例として以下の通りである。
(適用例Ex1)
この適用例Ex1では、例えば、高速道路等重幹線道路などの跨道橋の撤去・更新の場合のように、施工時間に制約のある橋梁における撤去若しくは更新する技術として本実施の形態を活用する例を示す。
第1段階S101:既設橋桁1に接続される跨道路(跨線道71)を一時的に規制し、既設橋桁1の上に架設桁2を設置する。そして、撤去する既設橋桁1をゲビンデ鋼棒等の吊鋼棒5および仮吊り梁6にて架設桁2に固定・懸垂する。
具体的には、例えば、図6Aおよび図6Bのように、車両走行路等72の高所作業車80を用いて既設橋桁1における既設桁側吊鋼棒5bの設置予定個所における吊り穴1a、および図示しないワイヤーソーのワイヤー設置穴等を穿設する。
また、既設橋桁1に接続している跨線道71において、架設桁2の組み立てを行う。
この場合、跨線道71が2車線道路の場合、片側交互通行71aにより準備工を実施する。跨線道71を通行止めにして実施することも可能である。片側交互通行71aの場合には、事前に吊り穴1a等の穿設を行い、必要に応じて仮養生をして通行させる。
この準備工の後、図7Aおよび図7Bのように、架設桁支持台4を設置し、組み立てられた架設桁2をその上に移動させ、既設橋桁1の上に架設桁2を架設する。そして、既設橋桁1の上に架設された架設桁2に対して当該既設橋桁1を、吊鋼棒5、仮吊り梁6(下部吊り金具13)を介して懸垂支持させる。
本実施の形態の場合、架設桁2を2連並列配置するため、1つの架設桁設置時においては片側交互通行での対応は可能である。2つ目の架設桁を設置する受台を設置する時から跨道部の通行止めが必要となる。
第2段階S102:既設橋桁1の下の交差道路(車両走行路等72)を通行止めにし、ワイヤーソーを活用し既設橋桁1を切断して複数の切断片(桁ブロック1b)に分離する。
具体的は、図8Aおよび図8Bのように、既設橋桁1を、軸方向に所望の長さの複数の桁ブロック1bに切断する。このとき、本実施の形態の場合、吊鋼棒5の軸方向における配列ピッチを予め随意に設定することで、個々の桁ブロック1bの切断長さ、すなわち重量を随意に設定できる。
第3段階S103:既設橋桁1の複数の切断片(桁ブロック1b)の各々を、当該桁ブロック1bに属する架設桁側吊鋼棒5aを除去し、架設桁2に設置した移動吊り装置3のみに懸垂支持されるように移行させて、個別に移動させて撤去する。
具体的には、図9Aのように、桁ブロック1bを既設橋桁1の上方に吊り上げた後、既設橋桁1に接続されている跨線道71の方向に水平に移動させ、回転金具14の位置で上部吊り金具12と下部吊り金具13を分離して、桁ブロック1bを仮吊り梁6とともに跨線道71に待機する一般トレーラ90に積載して搬出する。
あるいは、図9B、図9Cに例示されるように、移動吊り装置3によって個々の桁ブロック1bを吊り降ろし、交差道路である車両走行路等72上に待機している重量物運搬用トレーラ等の一般トレーラ90に積載して搬出する。
この場合、桁ブロック1bが既設橋桁1の軸方向に細長い形状の場合には、図9Bのように、車両走行路等72に交差するように一般トレーラ90を待機させて積み込む。
または、回転金具14により、吊り降ろされる桁ブロック1bを90度だけ旋回させ、長手方向が車両走行路等72に平行になるようにすることで、車両走行路等72の走行方向に位置する一般トレーラ90に対して煩雑な方向転換等を行わせることなく簡単に積み込むことができる。
また、図9Cのように桁ブロック1bの切断長さを既設橋桁1の幅寸法よりも短くなるように切断することで、車両走行路等72に沿って走行する一般トレーラ90にそのまま積み込むこともできる。
第4段階S104:必要に応じて、上述の既設橋桁1の撤去後に、既設橋桁1の位置に新設橋桁20の新設を行う場合には、上述の撤去とは逆の手順で、新設橋桁20を構成する複数の新設桁ブロック21を、架設桁2に設置した移動吊り装置3にて個別に吊り上げて、架設桁2に吊鋼棒5で仮に保持されるように配列および設置する。
具体的には、この場合、新設桁ブロック21には、仮吊り梁6と、当該仮吊り梁6と当該新設桁ブロック21を連結する既設桁側吊鋼棒5bを設置しておく。
そして、図10Aのように、既設橋桁1に接続されていた跨線道71を利用して一般トレーラ90によって搬入された新設桁ブロック21を移動吊り装置3にて、仮吊り梁6を介して懸垂支持して設置位置に搬送し、仮吊り梁6と架設桁2を架設桁側吊鋼棒5aで連結して設置する。
あるいは、図10B、図10Cのように、既設橋桁1の下側の車両走行路等72を利用して架設桁2の直下に新設桁ブロック21を搬入し、移動吊り装置3によって仮吊り梁6を介して懸垂支持して吊り上げて設置する。
第5段階S105:新設橋桁20を構成する複数の新設桁ブロック21を連結して固定して新設橋桁20を構成し、仮吊り梁6および吊鋼棒5を除去して架設桁2から自立させる(図10D、図10E)。
この場合、例えば、新設橋桁20がPC橋の場合には、所定本数のPCケーブルを設置して新設桁ブロック21を連結する。また、新設橋桁20が鋼製の橋梁の場合には、高力ボルトにて新設桁ブロック21を接合する。
第6段階S106:架設桁2の移動若しくは撤去。
具体的には、図10F、図10Gのように、上述の設置とは逆の手順で、新設橋桁20の上部から架設桁2を跨線道71の方向に引き戻し、新設橋桁20に接続される跨線道71のスペースを利用して分解および撤去する。
この第1段階S101〜第6段階S106を、1夜若しくは2夜間にて実施を可能とするとともに、近接して施工用のヤードを必要とせず、また、桁ブロック1bの切断長さによって桁ブロック1bの重量を随意に調整できるので、搬出・搬入路(車両走行路等72、跨線道71)において重量及び高さ制限を満足できる。
なお、この適用例Ex1の場合、既設橋桁1の撤去のみの場合には、上述の第1段階S101〜第3段階S103および第6段階S106のみを実施すればよい。
(適用例Ex2)
この適用例Ex2では、本実施の形態の技術を、例えば、連続高架橋などの既設橋桁1の撤去・更新の場合に適用する例を示す。
すなわち、交差道路などが重交通路線などではなく比較的容易に通行止めなどの規制が可能な交差道路がある場合などや並走して幹線道路が設置されている場合や河川等、地形条件が厳しい場合など、桁下空間を直接活用出来ない箇所や連続的に撤去若しくは更新する技術として本実施の形態を活用する例を示す。
この適用例Ex2の場合、本実施の形態では、移動吊り装置3代わりに、図11に例示されるような吊り防護工兼作業構台9と電動チェーンブロック10(移動吊り装置)を用いる。
図11は、吊り防護工兼作業構台の概略を示す正面図である。
本実施の形態の吊り防護工兼作業構台9は、架設桁2より吊り下げられたフレーム構造であり、下面の足場、側面の軽量パネルにより構成される。
すなわち、図11の例では、架設桁2の上面部には、軸方向に所望のピッチで配列された架設横梁2bが、幅方向に架け渡され、架設横梁2bの両端の下部には軸方向にH型鋼等からなる防護工移動レール2dが軸方向に固定されている。
そして、この防護工移動レール2dの各々には、既設橋桁1の両側面を覆う軽量パネル等からなる防護フレーム9aの上端部が軸方向に防護工移動レール2dに沿って移動自在に支持されている。
防護フレーム9aの下端には、既設橋桁1の下面側を所望の間隔で覆うように足場となる矩形の床板9bが水平に固定されている。
矩形の床板9bの周囲において、防護フレーム9aが接続される、架設桁2の軸方向の2辺の他の、幅方向の2辺には、手摺り9cが設けられている。
これにより、防護フレーム9a、床板9b、手摺り9cで、既設橋桁1の両側面および下面を覆う吊り防護工兼作業構台9を構成するとともに、吊り防護工兼作業構台9の全体は、防護工移動レール2dに沿って既設橋桁1の軸方向に移動自在である。
また、吊り防護工兼作業構台9の架設桁2の軸方向における長さは、桁ブロック1bの一箇所の切断長を覆う程度でよい。もちろん、吊り防護工兼作業構台9を、架設桁2の軸方向の複数箇所に設けて、並行して各種の作業が遂行されるようにしてもよい。
さらに、吊り防護工兼作業構台9を架設桁2に支持する架設横梁2bの中央下部には、H型鋼等からなるチェーンブロック移動レール2cが軸方向に固定されている。
このチェーンブロック移動レール2cには、上述の移動吊り装置3の巻き揚げ機3bの代わりをなす電動チェーンブロック10が、架設桁2の間に、軸方向に移動自在に懸垂されている。
本実施の形態の電動チェーンブロック10は、巻き上げモータ等が内蔵された電装品ボックス10a、巻き上げモータによって昇降するロードチェーン10b、ロードチェーン10bの下端に固定されたフック10c、トロリーモータ10d等で構成されている。
トロリーモータ10dは、電動チェーンブロック10の全体を、チェーンブロック移動レール2cに沿って架設桁2の軸方向の任意の位置に移動させる。
そして、上述の回転金具14にフック10cを接続することで、仮吊り梁6および既設桁側吊鋼棒5bを介して、既設橋桁1から切り出された桁ブロック1bの重量を電動チェーンブロック10に支持させ、架設桁側吊鋼棒5aを除去することで、桁ブロック1bの昇降移動および架設桁2の軸方向における水平移動が可能である。
なお、上述の移動吊り装置3のように、一対の電動チェーンブロック10を設け、上部吊り金具12を用いて、当該上部吊り金具12の両端を支持させるようにしてもよい。
以下、上述のような構成の吊り防護工兼作業構台9および電動チェーンブロック10を用いた工程を説明する。なお、上述の適用例Ex1と共通部分は簡略化して説明する。
第1段階S201:例えば撤去対象の連続高架橋(既設橋桁1)を交通規制(片側交互通行71a)若しくは通行止めにし、架設桁2を設置する。また、防護工を兼ねた吊り防護工兼作業構台9を設置する(図6A、図6B)。
その後、吊り防護工兼作業構台9を足場として既設橋桁1の全長に順次、吊り穴1aを穿設するなどして、撤去する既設橋桁1をゲビンデ鋼棒等の吊鋼棒5(架設桁側吊鋼棒5a、既設桁側吊鋼棒5b)および仮吊り梁6、下部吊り金具13にて架設桁2に固定・懸垂する(図7A、図7B)。
すなわち、この吊り防護工兼作業構台9を利用する場合には、既設橋桁1の下側の空間の作業上の要件や制約は全くなく、高所作業車80等を必要とせずに、吊り防護工兼作業構台9のみで準備作業が可能である。
第2段階S202:架設桁2に支持された既設橋桁1をワイヤーソーにて切断して複数の切断片である桁ブロック1bに分離する(図8A、図8B)。
第3段階S203:既設橋桁1の複数の切断片である桁ブロック1bの各々を、架設桁側吊鋼棒5aを除去して、架設桁2に設置した電動チェーンブロック10にて個別に支持させ、架設桁2と既設橋桁1の間に位置する高さに吊り上げ、さらに架設桁2の下側の空間を軸方向に水平に移動させ、連続高架橋(未撤去の既設橋桁1の部分)や既設橋桁1に接続される跨線道71等に待機する一般トレーラ90に積載して搬出する(図9A)。
第4段階S204:必要に応じて、既設橋桁1の撤去後に新設を行う場合には、一般トレーラ90にて跨線道71から搬入される新設橋桁20の要素片である新設桁ブロック21(上述のように仮吊り梁6と既設桁側吊鋼棒5bは設置済み)を、上述の第1段階〜第3段階とは逆の手順で、架設桁2に設置した電動チェーンブロック10にて架設桁2に沿って設置位置に搬入し、架設桁2に、吊鋼棒5および仮吊り梁6を介して仮に保持されるように配列および設置する(図10A、図10D、図10E)。
第5段階S205:新設橋桁20の複数の新設桁ブロック21を軸方向に連結して固定し、吊鋼棒5および仮吊り梁6を除去して架設桁2から自立させる(図10F、図10G)。
第6段階S206:架設桁2を既設橋桁1に接続されていた跨線道71を利用して移動および撤去する(図10F、図10G)。
この第1段階S201〜第6段階S206を順次実施できることから、近接して特別な施工用のヤードを設けることを必要とせず、また搬出・搬入路(既設橋桁1の未撤去部分、跨線道71等)において重量及び高さ制限を満足できる。
なお、この適用例Ex2の場合も、既設橋桁1の撤去のみの場合には、上述の第1段階S201〜第3段階S203および第6段階S206のみを実施すればよい。
このように、本実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
(a)既設橋桁1を、比較的小さい任意サイズの桁ブロック1bに分割して撤去するため、大掛かりな一括撤去に比較して、交通規制回数や通行止め回数を低減でき、交差道路(車両走行路等72)に対する影響が極めて小さい。
(b)既設の既設橋桁1の上に架設桁2を設置する事で、交差道路(車両走行路等72)に影響を与えることなく準備を安全に行う事が出来る。
(c)既設橋桁1の更新の場合、短期間での更新が可能であることから、同一箇所にて既設橋桁1から新設橋桁20への架け替えが可能となり、新たな道路建設用地を必要としない。
(d)基本的に既設橋桁1の桁ブロック1bへの切断から搬出までの一連の作業を短期間にできることから、既設橋桁1の全長における大規模な防護工の設置を必要としない。
(e)架設桁2に設置した移動吊り装置3を使用して撤去対象の既設橋桁1の移動を行うため、特別な設置場所等を必要とする大型重機が不要となる。
(f)既設橋桁1の撤去と、新設橋桁20の架け替えを同一設備である架設桁2、移動吊り装置3(吊り防護工兼作業構台9、電動チェーンブロック10)を用いて行う事で、工期短縮とコスト縮減が図れる。
(g)既設橋桁1の橋梁型式や現地条件(既設橋桁1の下側空間等)の制約が少ない。
(h)既設橋桁1を任意長の桁ブロック1bに切断して取り扱うことが出来るため、必要に応じて桁ブロック1bを短くして軽量化できるので、撤去における撤去桁の重量に制約は少なく、例えば桁ブロック1bを小さく軽量にして、一般のトラック等を、一般トレーラ90として用いることができる。
(i)架設桁2を既設橋桁1の軸方向に逐次移動させることにより、連続高架橋や河川上の橋梁、小規模道路における桁等の既設橋桁1の更新も可能である。
(j)架設桁2の他に別途防護工を設置する必要はないため、交差道路(車両走行路等72)における規制を最小化することができる。
(k)必要に応じて吊り防護工兼作業構台9を架設桁2から懸垂し設置出来るため、既設橋桁1の下側が河川や急峻地形などの交差条件であっても作業が容易にできる。
この結果、短期間且つ周辺に与える影響を最小化した橋梁の撤去を可能にする既設橋梁の撤去技術を提供することができる。
また、短期間且つ周辺に与える影響を最小化した橋梁の更新を可能にする既設橋梁の更新技術を提供することができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上述の説明では、跨線道71に接続される既設橋桁1として道路橋の場合を例示したが、鉄道橋等に適用してもよい。
(付記1)
高速道路等重幹線道路など跨道橋等の施工時間に制約のある橋梁における撤去技術として活用可能な技術であって、
(1)跨道路を一時的に規制し架設桁を設置、撤去する桁をPC鋼棒にて固定・懸垂する工程、
(2)交差道路を通行止めし、ワイヤーソーを活用し桁を切断する工程、
(3)架設桁に設置した吊巻き上げ装置にて、交差道路上に待機している重量物運搬用トレーラーに積載・搬出する工程、
(4)架設桁の移動若しくは撤去する工程、
の一連の作業を1若しくは2夜間にて実施をすることで、近接して施工用のヤードを必要とせず、また、任意に撤去ブロックの大きさを設定して搬出・搬入路において重量及び高さ制限を満足できる技術。
(付記2)
高速道路等重幹線道路など跨道橋等の更新技術として活用すべく、(付記1)に示した技術で既設桁を撤去した後、
(1)重量物運搬用トレーラーにて搬入した新設桁を架設桁に設置した吊巻き上げ装置にて吊り上げ・設置する工程、
(2)新設桁の固定する工程、
(3)新設桁の連結する工程、
を撤去と同時に実施し、
その後、新設桁の上面を活用して、
(4)架設桁の移動若しくは撤去する工程、
を行うことで、跨道部の規制を少なく出来る技術。
(付記3)
交差道路などが重交通路線などではなく比較的容易に通行止めなどの規制が可能な交差道路がある場合などや並走して幹線道路が設置されている場合や河川等、地形条件が厳しい場合など、桁下空間を直接活用出来ない箇所や連続的に撤去する技術として活用可能な技術であって、
(1)連続高架橋上を規制若しくは通行止めし、架設桁を設置、防護工を兼ねた作業構台を設置、撤去する桁をPC鋼棒にて固定・懸垂する工程、
(2)桁をワイヤーソーにて切断する工程、
(3)架設桁に設置した吊巻き上げ装置にて、搬出ブロックを水平に移動させ、連続高架橋上に待機する一般トレーラに積載し搬出する工程、
(4)架設桁の移動工程、
を順次実施し、近接して施工用のヤードを必要とせず、また、任意に撤去ブロックの大きさを設定できるため搬出・搬入路の重量及び高さ制限に影響を受けない技術。
(付記4)
桁下空間を直接活用出来ない箇所や連続的に更新技術として活用すべく、(付記3)に示した既設桁を撤去した後、
(1)一般トレーラーにて搬入した新設桁を架設桁に設置した吊巻き上げ装置にて吊り上げ・設置する工程、
(2)新設桁を固定する工程、
(3)架設桁を移動する工程、
を順次実施することで、近接して施工用のヤードを必要とせず、また、任意に撤去ブロックの大きさを設定して搬出・搬入路の重量及び高さ制限に影響を受けない技術。
1 既設橋桁
1a 吊り穴
1b 桁ブロック
2 架設桁
2a レール
2b 架設横梁
2c チェーンブロック移動レール
2d 防護工移動レール
3 移動吊り装置
3a 台車
3b 巻き揚げ機
4 架設桁支持台
4a 駆動ローラ
4b 従動ローラ
4c スライドベース
5 吊鋼棒
5a 架設桁側吊鋼棒
5b 既設桁側吊鋼棒
6 仮吊り梁
7a 既設橋台
7b 既設橋台
8 既設橋脚
9 吊り防護工兼作業構台
9a 防護フレーム
9b 床板
9c 手摺り
10 電動チェーンブロック
10a 電装品ボックス
10b ロードチェーン
10c フック
10d トロリーモータ
11 ワイヤーロープ
12 上部吊り金具
13 下部吊り金具
14 回転金具
20 新設橋桁
21 新設桁ブロック
71 跨線道
71a 片側交互通行
72 車両走行路等
80 高所作業車
90 一般トレーラ

Claims (8)

  1. 撤去対象の既設橋梁の上方に沿って架設桁を設置し、前記既設橋梁の既設橋桁を前記架設桁に吊った状態で前記既設橋桁を切断して複数の既設橋桁片に分離し、前記架設桁に設置された移動吊り装置により、分離された前記既設橋桁片の撤去を行うことを特徴とする既設橋梁の撤去方法。
  2. 請求項1記載の既設橋梁の撤去方法において、
    前記既設橋梁の前記既設橋桁の軸方向に沿って前記架設桁を設置し、前記軸方向に所望の配列ピッチで配置された仮吊り梁、および前記仮吊り梁と架設桁を連結する第1吊り部材、および前記仮吊り梁と前記既設橋梁を連結する第2吊り部材を介して前記既設橋桁を前記架設桁に支持させる第1工程と、
    前記既設橋桁を切断して複数の既設橋桁片に分離する第2工程と、
    前記架設桁に前記軸方向に移動可能に設置された前記移動吊り装置に対して前記仮吊り梁および第2吊り部材を介して任意の前記既設橋桁片を支持させた状態で前記第1吊り部材を除去し、当該既設橋桁片を前記架設桁から前記移動吊り装置に支持させて撤去する第3工程と、
    を含むことを特徴とする既設橋梁の撤去方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の既設橋梁の撤去方法において、
    前記移動吊り装置は、
    前記架設桁に設けられたレール上を前記軸方向に走行する台車と、
    前記台車に搭載された巻き揚げ機と、
    前記巻き揚げ機に吊り下げられる上部吊り金具と、
    旋回金具を介して前記上部吊り金具に対して旋回可能に支持される下部吊り金具と、を含み、
    前記仮吊り梁は、前記下部吊り金具の両端部に係合するように配置される、
    ことを特徴とする既設橋梁の撤去方法。
  4. 請求項2または請求項3記載の既設橋梁の撤去方法において、
    前記仮吊り梁および前記第1吊り部材および前記第2吊り部材の前記軸方向における配列ピッチを変化させることで、前記既設橋桁片の前記軸方向における切断長を、前記既設橋桁片の搬出条件などに応じて任意に設定することを特徴とする既設橋梁の撤去方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項記載の既設橋梁の撤去方法において、
    交差する道路等の規制を行い、請求項2に記載する前記第2工程から前記既設橋桁片を規制された道路等に前記移動吊り装置により直接降下させ、一般トレーラ等の運搬台車に積載して搬出する一連の工程を、防護工の設置等を必要とせずに、1夜間等の短時間で完了させる、ことを特徴とする既設橋梁の撤去方法。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項記載の既設橋梁の撤去方法において、
    前記架設桁には、少なくとも前記既設橋桁における前記既設橋桁片の切り出し領域を覆う吊り防護工兼作業構台を、前記架設桁の軸方向に移動可能に懸垂させて設置するとともに、
    前記移動吊り装置として、前記架設桁の軸方向に移動可能な電動チェーンブロックを設置する、
    ことを特徴とする既設橋梁の撤去方法。
  7. 請求項2記載の既設橋梁の撤去方法において、
    さらに、前記第3工程の後に、
    新設橋梁を構成する複数の新設橋桁片を、前記仮吊り梁および当該仮吊り梁と前記新設橋桁片を連結する前記第2吊り部材を介して個別に前記移動吊り装置により吊り上げて前記軸方向に配列し、前記架設桁と前記仮吊り梁を連結する前記第1吊り部材を介して仮に前記架設桁に支持させる第4工程と、
    複数の前記新設橋桁片を前記軸方向に連結して前記新設橋梁を構成した後、前記仮吊り梁、前記第1吊り部材、前記第2吊り部材を除去する第5工程と、
    前記架設桁を撤去する第6工程と、
    を含み、
    前記既設橋梁の撤去および前記新設橋梁の設置を行うことを特徴とする既設橋梁の撤去方法。
  8. 請求項1から請求項6のいずれか1項記載の既設橋梁の撤去方法を用いて前記既設橋梁を複数の前記既設橋桁片に分断して撤去した後、新設橋梁を構成する複数の新設橋桁片の各々を、個々の前記既設橋桁片の撤去とは逆の手順で、前記架設桁に吊り下げて配列し、配列された前記新設桁片を連結して前記新設橋梁を構成することを特徴とする既設橋梁の更新方法。
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