JP2014065175A - 撥水撥油性樹脂成形体、包装容器及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱融着性を十分に保ちながら、撥水撥油性を有する熱可塑性樹脂表面を形成する手段を提供することで、密封性と内容物の取出し性を両立させることが可能な包装容器を提供する。
【解決手段】撥水撥油性を発生するフルオロアルキル系添加剤を含有した熱融着性の高い樹脂成形体の表面に、アルミニウム材を陽極酸化処理、アルミニウム材を溶解化処理、フッ素樹脂材への電子線描画により、微細な凹凸を有する型面を設け、押し出しエンボス成型して、微細な凹凸を有する型から、その表面形状を転写して、撥水撥油性を発生する微細な凹凸を設け、前記撥水撥油性樹脂成形体を熱融着層として包装容器内面に設ける。
【選択図】図1
【解決手段】撥水撥油性を発生するフルオロアルキル系添加剤を含有した熱融着性の高い樹脂成形体の表面に、アルミニウム材を陽極酸化処理、アルミニウム材を溶解化処理、フッ素樹脂材への電子線描画により、微細な凹凸を有する型面を設け、押し出しエンボス成型して、微細な凹凸を有する型から、その表面形状を転写して、撥水撥油性を発生する微細な凹凸を設け、前記撥水撥油性樹脂成形体を熱融着層として包装容器内面に設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱融着性を持つ包装材に関し、特に内容物の付着を防止することが可能な包装材に関する。
食品その他の液状又は流動性を持つ内容物、例えばレトルトカレー、ミートソース、食用油、調味料、ゼリー、ヨーグルト、クリーム、ジャム等の包装容器すなわちパウチ容器やカップ、トレイ容器等において、内容物の取出し性を改善することで、内容物を無駄なく利用でき、容器を廃棄する前に内容物を洗い落とす手間を省くことができるといったメリットがある。
内容物の取り出し性を改善するためには、包装容器内面に内容物が付着しにくくすれば良く、従って内容物が水分の多いものの場合には撥水性を、内容物が油分の多いものの場合は撥油性を容器内面に持たせれば良いことになる。一般的に、撥水性や撥油性を付与するためには、フッ素系やシリコン系の材料を表面にコートする手法が用いられる。
一方これらの包装容器は、内容物の保存性を担保するために、密封包装可能なことが重要な機能のひとつとなる。食品等の包装容器を密封する手段としては、包装容器内面に熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂を用いて、熱融着によって密封する手段が一般的に用いられる。
しかし、前述したように容器内面にフッ素系やシリコン系の材料をコートすることによって撥水性や撥油性を付与しようとすると、熱融着による密封性を阻害してしまうといった問題があり、このような包装容器内面に撥水撥油性を付与することは困難であった。
また最近では、撥水性を付与するのに前述のようなコート剤を用いずに、表面に微細な凹凸構造を形成する試みもみられる(特許文献1)。
しかし、我々の実験ではポリオレフィンなどの高分子材料の表面にこのような微細構造を形成するだけでは、内容物の取出し性を改善できるほどの十分な撥水撥性は得られないことがわかっている。
本発明においては、熱融着性を十分に保ちながら、撥水撥油性を有する熱可塑性樹脂表面を形成する手段を提供することで、密封性と内容物の取出し性を両立させることが可能な包装容器を提供する。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、撥水撥油性フルオロアルキル系添加剤を含有した熱融着性の高い樹脂成形体の表面に、撥水撥油性を発生する微細な凹凸を設けたことを特徴とする撥水撥油性樹脂成形体である。
また、請求項2に記載の発明は、内面に熱融着層を設けた包装容器であって、請求項1に記載の撥水撥油性樹脂成形体を熱融着層として設けたことを特徴とする包装容器である。
また、請求項3に記載の発明は、加熱溶融させたフルオロアルキル系添加剤を含有した熱融着性の高い樹脂を、微細な凹凸を有する型面に、押し出しエンボス成型して、微細な凹凸を有する型から、その表面形状を転写することを特徴とする撥水撥油性樹脂成形体の製造方法である。
また、請求項4に記載の発明は、前記微細な凹凸を有する型面が、アルミニウム材を陽極酸化処理、溶解化処理することにより形成したことを特徴とする請求項3に記載の撥水撥油性樹脂成形体の製造方法である。
また、請求項5に記載の発明は、前記微細な凹凸を有する型面が、フッ素樹脂材に電子線描画を行うことにより形成したことを特徴とする請求項3に記載の撥水撥油性樹脂成形体の製造方法である。
本発明に係る撥水撥油性樹脂成形体は、材料にフルオロアルキル系添加剤を有し、さらに成膜時のクーリングロール表面に微細な凹凸を有する型を具備し、押出機で成膜すると同時に樹脂成形体表面に微細な凹凸を持ち、水または油を樹脂成形体上に滴下した場合、樹脂成形体との接触面積は小さくなり、空気との接触面積が大きくなることで、接触角が大きくなる。
以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る撥水撥油性樹脂成形体の製造工程の概略を示した模式図である。図2に示した本発明に係る撥水撥油性樹脂成形体7は、図1に示したように、微細な凹凸を有する型1は、アルミニウムに陽極酸化処理、溶解処理を施し、その表面に微細な凹凸を有するアルミナを形成したもの、または電子線描画により微細な凹凸を有するシリコンである。
次いでこれから成形された転写型2を押出機3のクーリングロール4表面に有し、溶融したフルオロアルキル系添加剤含有のポリオレフィン5が前記クーリングロール4とニップロール6の間を通ることで加圧、冷却され、前記フルオロアルキル系添加剤含有のポリオレフィン5が表面に微細な凹凸を有することを特徴とする。
クーリングロールは、二重管構造にして、内筒と外筒の隙間に冷却のための流体を流す方式が一般的に行われている。また乱流を防ぐためにスパイラル形状の整流仕切りを入れる方式、いわゆるドリルド方式も多く採用されている。
流体のロール内部での滞留時間は短ければ短いほど冷却効果が高まるが、逆にロールの
面長が長くなって供給流量に対して内部容積が大きくなる場合、流体の供給と排出に時間差が大きくなり、ロールの表面には温度差が生じることがある。
面長が長くなって供給流量に対して内部容積が大きくなる場合、流体の供給と排出に時間差が大きくなり、ロールの表面には温度差が生じることがある。
微細な凹凸を有する型1は、開口部の平均直径が50nm〜10μmの円柱状もしくは円錐状の孔8が、12万個/cm2〜45億個/cm2の密度で孔が開いている。
図2は、本発明に係る撥水撥油性樹脂成形体7の模式図であり、アルミニウムに陽極酸化処理、溶解処理を施し、その表面に微細な凹凸を有するアルミナを形成したもの、または電子線描画により微細な凹凸を有するシリコンの型から成形されたことを特徴とする撥水撥油性樹脂成形体である。
図3は、本発明に係る撥水撥油性樹脂成形体の材料となるフルオロアルキル系添加剤含有のポリオレフィンの表面のフッ素の状態を示した模式図である。前記フルオロアルキル系添加剤中に含まれるフッ素元素9は表面自由エネルギーが低いため、ポリオレフィン中ではなく、大気界面に偏在する様子を示している。
図4は、アルミニウムに陽極酸化処理、溶解処理を施し、表面に微細な凹凸を有するアルミナを型として、ポリオレフィンに転写した撥水撥油性樹脂成形体の断面の状態と表面をSEMで観察した画像である。
以下実施例に基づき、本発明に係る撥水撥油性樹脂成形体について、さらに具体的に説明する。
撥水撥油性樹脂成形体を成形する型として、厚さ0.3mmのアルミニウム板を陽極酸化処理、溶解処理を施し、その表面に500nm周期、開口部の平均直径が500nmの凹凸を形成し、離型処理を施し、押出機のクーリングロール4に取付けた。成形する樹脂はフルオロアルキル系添加剤濃度が10%となるように、220℃でMI(Melt Index)15のポリエチレンで、マスターバッチを作製した後に、最終のフルオロアルキル系添加剤濃度が3%となるように、MI(Melt Index)15のポリエチレンとドライブレンドし、押出機に投入した。押出機は200℃で溶融させ、膜厚15μmで成膜し、共押出した。共押出すると、成膜物の片面が別樹脂と接着し、もう片面は大気と接触することから、効率良くフッ素元素を偏在させることが可能となる。作製した撥水撥油性樹脂成形体は、内容物の付着を防止でき、熱融着性を持ち、密封性と内容物の取出し性を両立させることが可能であった。
<比較例1>
実施例で用いた撥水撥油性樹脂成形体を成形する型を用い、フルオロアルキル系添加剤を用いない220℃でMI(Melt Index)15のポリエチレンを用い、押出機に投入した。押出機は200℃で溶融させ、膜厚15μmで成膜し共押出し撥水撥油性樹脂成形体を得た。作製した撥水撥油性樹脂成形体は、内容物の付着を防止することが十分にはできなかった。
実施例で用いた撥水撥油性樹脂成形体を成形する型を用い、フルオロアルキル系添加剤を用いない220℃でMI(Melt Index)15のポリエチレンを用い、押出機に投入した。押出機は200℃で溶融させ、膜厚15μmで成膜し共押出し撥水撥油性樹脂成形体を得た。作製した撥水撥油性樹脂成形体は、内容物の付着を防止することが十分にはできなかった。
<比較例2>
実施例で用いた撥水撥油性樹脂成形体を成形する型を用いずに、220℃でMI(Melt Index)15のポリエチレンで、マスターバッチを作製した後に、最終のフルオロアルキル系添加剤濃度が3%となるように、MI(Melt Index)15のポリエチレンとドライブレンドし、押出機に投入した。押出機は200℃で溶融させ、膜厚15μmで成膜し、撥水撥油性樹脂成形体を得た。作製した撥水撥油性樹脂成形体は、内容物の付着を防止することが十分にはできなかった。
実施例で用いた撥水撥油性樹脂成形体を成形する型を用いずに、220℃でMI(Melt Index)15のポリエチレンで、マスターバッチを作製した後に、最終のフルオロアルキル系添加剤濃度が3%となるように、MI(Melt Index)15のポリエチレンとドライブレンドし、押出機に投入した。押出機は200℃で溶融させ、膜厚15μmで成膜し、撥水撥油性樹脂成形体を得た。作製した撥水撥油性樹脂成形体は、内容物の付着を防止することが十分にはできなかった。
<比較例3>
実施例で用いた撥水撥油性樹脂成形体を成形する型を用いずに、220℃でMI(Melt Index)15のポリエチレンで、マスターバッチを作製した後に、最終のフルオロアルキル系添加剤濃度が10%となるように、MI(Melt Index)15のポリエチレンとドライブレンドし、押出機に投入した。押出機は200℃で溶融させ、膜厚15μmで成膜し、撥水撥油性樹脂成形体を得た。作製した撥水撥油性樹脂成形体は
内容物の付着を防止することが可能であったが、熱融着性が弱くなった。
実施例で用いた撥水撥油性樹脂成形体を成形する型を用いずに、220℃でMI(Melt Index)15のポリエチレンで、マスターバッチを作製した後に、最終のフルオロアルキル系添加剤濃度が10%となるように、MI(Melt Index)15のポリエチレンとドライブレンドし、押出機に投入した。押出機は200℃で溶融させ、膜厚15μmで成膜し、撥水撥油性樹脂成形体を得た。作製した撥水撥油性樹脂成形体は
内容物の付着を防止することが可能であったが、熱融着性が弱くなった。
1・・・微細な凹凸を有する型
2・・・転写型
3・・・押出機
4・・・クーリングロール
5・・・フルオロアルキル系添加剤含有のポリオレフィン
6・・・ニップロール
7・・・撥水撥油性樹脂成形体
8・・・円柱状若しくは円錐状の孔
2・・・転写型
3・・・押出機
4・・・クーリングロール
5・・・フルオロアルキル系添加剤含有のポリオレフィン
6・・・ニップロール
7・・・撥水撥油性樹脂成形体
8・・・円柱状若しくは円錐状の孔
Claims (5)
- 撥水撥油性フルオロアルキル系添加剤を含有した熱融着性の高い樹脂成形体の表面に、撥水撥油性を発生する微細な凹凸を設けたことを特徴とする撥水撥油性樹脂成形体。
- 内面に熱融着層を設けた包装容器であって、請求項1に記載の撥水撥油性樹脂成形体を熱融着層として設けたことを特徴とする包装容器。
- 加熱溶融させたフルオロアルキル系添加剤を含有した熱融着性の高い樹脂を、微細な凹凸を有する型面に、押し出しエンボス成型して、微細な凹凸を有する型から、その表面形状を転写することを特徴とする撥水撥油性樹脂成形体の製造方法。
- 前記微細な凹凸を有する型面が、アルミニウム材を陽極酸化処理、溶解化処理することにより形成したことを特徴とする請求項3に記載の撥水撥油性樹脂成形体の製造方法。
- 前記微細な凹凸を有する型面が、フッ素樹脂材に電子線描画を行うことにより形成したことを特徴とする請求項3に記載の撥水撥油性樹脂成形体の製造方法。
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JP2012210715A JP2014065175A (ja) | 2012-09-25 | 2012-09-25 | 撥水撥油性樹脂成形体、包装容器及び製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2016203490A (ja) * | 2015-04-22 | 2016-12-08 | 凸版印刷株式会社 | 鋳型及び樹脂成形品 |
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2012
- 2012-09-25 JP JP2012210715A patent/JP2014065175A/ja active Pending
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