JP2014063819A - 光電変換装置および光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い光電変換効率を有する光電変換装置および光電変換装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上において、受光面側から順に位置する、第1導電層と、光電変換層と、第2導電層と、高屈折率層と、裏面反射層とを備え、高屈折率層は、第2導電層よりも屈折率が高く、かつ透光性が高い光電変換装置と、基板上に、受光面側から順に、第1導電層、光電変換層、第2導電層、高屈折率層および裏面反射層が位置するように各層を形成する工程を備え、高屈折率層は、第2導電層よりも屈折率が高く、かつ透光性を有する材料で形成される、光電変換装置の製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】基板上において、受光面側から順に位置する、第1導電層と、光電変換層と、第2導電層と、高屈折率層と、裏面反射層とを備え、高屈折率層は、第2導電層よりも屈折率が高く、かつ透光性が高い光電変換装置と、基板上に、受光面側から順に、第1導電層、光電変換層、第2導電層、高屈折率層および裏面反射層が位置するように各層を形成する工程を備え、高屈折率層は、第2導電層よりも屈折率が高く、かつ透光性を有する材料で形成される、光電変換装置の製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、光電変換装置および光電変換装置の製造方法に関する。
光電変換装置の裏面反射層としては、典型的には、銀電極が用いられている。これは、銀電極が、光反射機能と、導電機能とを有するためである。また、たとえば特許文献1および特許文献2等に示されるように、光電変換装置の裏面反射層として、光散乱性の樹脂による反射層を用いることも提案されている。
このような光散乱性の樹脂は導電性を有しないため、光電変換装置の裏面に設けられた透明導電膜に電気伝導を担わせる必要があるという短所を有する一方で、非特許文献1に示すように、表面粗さを有する銀電極によって発生するプラズモン吸収がないために、短絡電流密度を増加させることができるという長所を有している。また、光電変換層に再入射する光の光電変換層内における光路長が長くなるように、光電変換装置の裏面での反射光が生じやすくなることから、光電変換装置の短絡電流密度を高くすることができるという長所を有している。
J. Springer et al., "Absorption loss at nanorough silver back reflector of thin-film silicon solar cells", Journal Of Applied Physics Vol.95, No.3, 1 February 2004, pp.1427-1429
しかしながら、特許文献1および特許文献2においては、銀電極を白色樹脂に置き換えただけの構造であるため、光電変換装置の裏面の反射光が発生する箇所の媒質としては、従来の構造を踏襲した透明電極層が用いられている。すなわち、特許文献1では、光電変換装置の裏面の反射光が発生する箇所の媒質にはSnO2が用いられており、また、特許文献2では、ZnOが用いられている。
SnO2およびZnOからなる透明電極層の屈折率はいずれも約2.0であり、屈折率があまり高くなかったため、光電変換層との屈折率差が大きくなってしまう。そのため、光電変換層内における光路長を長くして、光電変換装置の光電変換効率をさらに向上させることが要望されていた。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、高い光電変換効率を有する光電変換装置および光電変換装置の製造方法を提供することにある。
本発明は、基板と、基板上において、受光面側から順に位置する、第1導電層と、光電変換層と、第2導電層と、高屈折率層と、裏面反射層とを備え、高屈折率層は、第2導電層よりも屈折率が高く、かつ透光性が高い光電変換装置である。
ここで、本発明の光電変換装置において、基板は透光性を有し、第1導電層は基板上に位置し、光電変換層は第1導電層上に位置し、第2導電層は光電変換層上に位置し、高屈折率層は第2導電層上に位置し、裏面反射層は高屈折率層上に位置することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置において、裏面反射層は基板上に位置し、高屈折率層は裏面反射層上に位置し、第2導電層は高屈折率層上に位置し、光電変換層は第2導電層上に位置し、第1導電層は光電変換層上に位置することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、高屈折率層がチタン酸化物を含む材料で構成されていることが好ましく、さらにニオブを含むことがより好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、高屈折率層が第2導電層よりも高い導電率を有していることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、高屈折率層と第2導電層との間に、導電性材料からなる裏面電極を備えることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、導電性材料からなる裏面電極が、第2導電層の表面全体を覆わないことが好ましく、グリッド状の形状をしていることがより好ましく、平面視において第2導電層と裏面電極との接触面積が第2導電層の表面全体の5.5%以上55%以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、裏面電極が、主に金属からなることが好ましく、主に、銀、アルミニウム、パラジウム、および白金からなる群から選択された少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、高屈折率層と裏面反射層との間に、導電性材料からなる裏面電極を備えることが好ましい。
また、本発明の光電変換装置においては、導電性材料からなる裏面電極が、高屈折率層の表面全体を覆わないことが好ましく、グリッド状の形状をしていることがより好ましく、平面視において高屈折率層と裏面反射層との接触面積が高屈折率層の表面全体の5.5%以上55%以下であることがさらに好ましい。
さらに、本発明は、基板上に、受光面側から順に、第1導電層、光電変換層、第2導電層、高屈折率層および裏面反射層が位置するように各層を形成する工程を備え、高屈折率層は第2導電層よりも屈折率が高く、かつ透光性を有する材料で形成される光電変換装置の製造方法である。
ここで、本発明の光電変換装置の製造方法において、第1導電層を形成する工程の後に光電変換層を形成し、光電変換層を形成する工程の後に第2導電層を形成し、第2導電層を形成する工程の後に高屈折率層を形成し、高屈折率層を形成する工程の後に裏面反射層を形成することが好ましい。
また、本発明の光電変換装置の製造方法において、裏面反射層を形成する工程の後に高屈折率層を形成し、高屈折率層を形成する工程の後に第2導電層を形成し、第2導電層を形成する工程の後に光電変換層を形成し、光電変換層を形成する工程の後に第1導電層を形成することが好ましい。
ここで、本発明の光電変換装置の製造方法は、第2導電層を形成する工程と高屈折率層を形成する工程との間に、裏面電極を形成する工程を含むことが好ましい。
また、本発明の光電変換装置の製造方法は、高屈折率層を形成する工程と裏面反射層を形成する工程との間に、裏面電極を形成する工程を含むことが好ましい。
本発明によれば、高い光電変換効率を有する光電変換装置および光電変換装置の製造方法を提供することができる。
本明細書において、「アモルファス」は、光電変換装置の技術分野で一般的に使われる「アモルファス」と同義語である。また、「微結晶」は、光電変換装置の技術分野で一般的に用いられるとおり、実質的に結晶相のみからなる状態だけでなく、結晶相とアモルファス相とが混在した状態のものも含む。
たとえば、ラマン散乱スペクトルにおいて、結晶シリコン中のシリコン−シリコン結合に帰属されている520cm-1付近の鋭いピークがわずかでも検出されたものは「微結晶シリコン」であると考えられており、本明細書においても同様の意味で「微結晶シリコン」という用語を使用する。
なお、本明細書中において、「微結晶シリコンゲルマニウム」とは、上記の微結晶状態となっているシリコンゲルマニウムのことである。すなわち、微結晶シリコンゲルマニウムは、実質的に結晶相のみからなる状態だけでなく、アモルファスシリコンゲルマニウム相および結晶シリコンゲルマニウム相を含む。
微結晶シリコンゲルマニウムにおいては、NEDO成果報告書(管理番号:20100000000638)に記載されているように、ゲルマニウム濃度の増加に比例して、結晶の単位格子サイズが、結晶シリコンの単位格子サイズから、結晶ゲルマニウムの単位格子サイズまでの範囲で変化することが知られている。
これは、微結晶シリコンゲルマニウム層中に存在する単位格子のシリコン−ゲルマニウム結合の割合が、ゲルマニウム濃度の増加に伴って増加することを意味している。そこで、たとえばX線回折法を用いて、単位格子のサイズを測ることによって、結晶シリコンゲルマニウム相の存在を知ることができる。また、後述するラマン散乱スペクトルの分析において、結晶シリコンゲルマニウムに帰属されるピークが観測されること、または、結晶シリコンのシリコン−シリコンに帰属されるピークの位置が変化することによっても、微結晶シリコンゲルマニウム相の存在を知ることができる。
そこで、下記のように判断する。第1.二次イオン質量分析によって、シリコンおよびゲルマニウムの存在が確認できること、第2.X線回折法における(220)回折ピーク角度から求まる単位格子のサイズが、結晶シリコンの単位格子サイズである5.43Åより大きく、結晶ゲルマニウムの単位格子サイズである5.67Åよりも小さいこと、第3.ラマン散乱スペクトルにおいて、結晶シリコンのシリコン−シリコン結合に帰属されるピークが観測されること、第4.そのピークのラマンシフト値が、ゲルマニウムを含まない結晶シリコンのラマンシフト値よりも低波数側にシフトしていること、第5.結晶シリコンゲルマニウムに帰属される400cm-1付近のピークが観測されること、これらの5条件のうち、第1、第2および第3条件を同時に満たす場合、第1、第3および第4条件を同時に満たす場合、または、第1、第3および第5条件を同時に満たす場合に、結晶シリコンゲルマニウム相が存在しているとみなし、すなわち、微結晶シリコンゲルマニウムであると判断する。
なお、ゲルマニウム濃度が比較的低い場合には、第5条件に関係する結晶シリコンゲルマニウムに帰属されるピークを観測することが難しい。そのため、上記の第1〜第4の条件を結晶シリコンゲルマニウムの有無を判別する条件として主に用いる。
また、一般的な薄膜シリコン太陽電池の構造として、スーパーストレート型が挙げられる。スーパーストレート型構造においては、透光性基板上に、透明導電層、光電変換層および電極層がこの順に積層されて構成され、透光性基板側から光が入射するように配置される。
光電変換層は、p導電型を示す半導体層(以下、「p型半導体層」と称する)、真性半導体層(以下、「i型半導体層」と称する)、およびn導電型を示す半導体層(以下、「n型半導体層」と称する)から構成されるpin接合を備える場合が多い。下記の実施の形態1および2においては、スーパーストレート型pin構造を有する光電変換装置を例に説明し、下記の実施の形態3においては、サブストレート型pin構造を有する光電変換装置を例に説明する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
(実施の形態1)
図1に、本発明の光電変換装置の一例である実施の形態1の光電変換装置の模式的な断面図である。図1に示すように、実施の形態1の光電変換装置は、透光性基板11aと、透光性基板11a上に順次設けられた、第1導電層11bと、光電変換層10と、第2導電層15と、高屈折率層16bと、裏面反射層16aとを備えている。
図1に、本発明の光電変換装置の一例である実施の形態1の光電変換装置の模式的な断面図である。図1に示すように、実施の形態1の光電変換装置は、透光性基板11aと、透光性基板11a上に順次設けられた、第1導電層11bと、光電変換層10と、第2導電層15と、高屈折率層16bと、裏面反射層16aとを備えている。
なお、実施の形態1の光電変換装置は、スーパーストレート型pin構造を有する光電変換装置であるため、透光性基板11a側が受光面側となる。したがって、第1導電層11bと、光電変換層10と、第2導電層15と、高屈折率層16bと、裏面反射層16aとは、透光性基板11a上において、受光面側から順に位置している。
また、透光性基板11aと、透光性基板11a上に設けられた第1導電層11bとの積層体から基材11が構成されている。また、p型半導体層12とi型半導体層13とn型半導体層14との積層体から光電変換層10が構成されている。さらに、第2導電層15と高屈折率層16bとの間には、導電性材料からなる裏面電極17が設けられている。
<基材>
透光性基板11aとしては、光透過性が高く、かつ、光電変換装置の全体を構造的に支持し得るものであれば特に限定されず、たとえば、ガラス板、ポリイミド若しくはポリビニルなどの耐熱性を有する透光性樹脂板、またはこれらを積層したものなどを好適に用いることができる。また、透光性基板11aの表面に、たとえば、金属膜、透光性導電膜または絶縁膜などが被覆されていてもよい。
透光性基板11aとしては、光透過性が高く、かつ、光電変換装置の全体を構造的に支持し得るものであれば特に限定されず、たとえば、ガラス板、ポリイミド若しくはポリビニルなどの耐熱性を有する透光性樹脂板、またはこれらを積層したものなどを好適に用いることができる。また、透光性基板11aの表面に、たとえば、金属膜、透光性導電膜または絶縁膜などが被覆されていてもよい。
第1導電層11bとしては、透明導電性の材料からなるものであれば特に限定されず、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化錫、または酸化亜鉛などの透明導電性の膜を単層または複数層積層させたものを用いることができる。第1導電層11bは、電極として機能するため、高い電気伝導性を有することが好ましい。そのため、第1導電層11bとして、微量の不純物を添加することによって電気伝導性を向上させたものを用いることがより好ましい。
第1導電層11bの形成方法としては、たとえば、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、スプレー法または電析法などの公知の方法を用いることができる。
また、第1導電層11bの光電変換層10側の表面に凹凸形状が形成されていることが好ましい。第1導電層11bの表面の凹凸形状により、透光性基板11a側から入射した入射光を散乱および屈折させて光路長を伸ばすことができるため、光電変換層10内での光閉じ込め効果を高め、短絡電流密度を高くすることができる。
第1導電層11bの表面に凹凸形状を形成する方法としては、たとえば、透光性基板11a上に第1導電層11bを形成した後、エッチング法もしくはサンドブラストなどの機械加工により凹凸形状を形成する方法、第1導電層11bの製膜時に膜材料の結晶成長により形成される凹凸状の表面形状を利用する方法、または、結晶成長面の配向により規則的な凹凸状の表面形状が形成されることを利用する方法などを用いることができる。
なお、第1導電層11b上に酸化亜鉛層をスパッタリング法などによって形成した場合には、第1導電層11b上に光電変換層10を形成する際に、第1導電層11bがプラズマによって損傷を受けることを防止できる点で好ましい。
また、光電変換層10への入射光量を増加させて、より高い短絡電流密度を得るために、第1導電層11bと光電変換層10との間に反射防止層が形成されていてもよい。反射防止層の屈折率の値は、第1導電層11bの屈折率と光電変換層10の屈折率との間の値であることが好ましく、2.0以上3.0以下であることがより好ましい。
反射防止層の厚さは、30nm以上100nm以下であることが好ましい。なお、反射防止層の適切な厚さは、反射防止層の屈折率との兼ね合い、および反射防止が行なわれる光の波長範囲によって適宜設定することができる。
反射防止層は、比較的薄く形成される場合には絶縁性であってもよいが、光電変換層10と基材11との電気的接触を良好にする観点から、導電性を有することが望ましい。
反射防止層の材料としては、たとえば、第1導電層11bの材料と同じく、ITO、酸化錫、酸化亜鉛、二酸化チタン、またはニオブ酸化物などを用いることができる。反射防止層は、単一の屈折率を有する単層または複数層であってもよく、組成傾斜法などの方法によって形成された、膜厚方向において異なる屈折率を有する単層または複数層であってもよい。
反射防止層の形成方法としては、たとえば、スパッタリング法、CVD法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、スプレー法または電析法などの公知の方法を用いることができる。また、第1導電層11bと同様に、反射防止層の表面に凹凸形状が形成されていることが好ましい。
反射防止層に凹凸形状を形成する方法としては、第1導電層11bと同様の方法を用いることができるが、たとえば、第1導電層11bの凹凸形状上に反射防止層が形成されることにより、反射防止層の表面が第1導電層11bの凹凸形状に倣って凹凸形状となるようにすることもできる。
また、反射防止層上に酸化亜鉛層をスパッタリング法などで形成した場合には、後に光電変換層10を形成する際に反射防止層がプラズマによって損傷を受けることを防止できる点で好ましい。
実施の形態1においては、たとえば、膜材料の結晶成長時に形成される凹凸形状を利用した基材11として、青板ガラス上にCVD法により酸化錫膜を堆積させたもの(旭硝子株式会社製、商品名:Asahi−U)に、スパッタリング法によって二酸化チタン膜を堆積させ、さらにスパッタリング法によって酸化亜鉛膜を堆積させたものを用いることができる。
<光電変換層>
光電変換層10においては、基材11側から、p型半導体層12、i型半導体層13およびn型半導体層14がこの順序で積層されることによってpin接合が構成されている。
光電変換層10においては、基材11側から、p型半導体層12、i型半導体層13およびn型半導体層14がこの順序で積層されることによってpin接合が構成されている。
p型半導体層12、i型半導体層13およびn型半導体層14の厚さは、特に限定されないが、p型半導体層12の厚さは、5nm以上50nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。また、i型半導体層13の厚さは、100nm以上5000nm以下であることが好ましく、200nm以上4000nm以下であることがより好ましい。さらに、n型半導体層14の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。
光電変換層10の構成材料の主材料はシリコンであり、特に、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンなどが好適である。ここで、「アモルファスシリコン」および「微結晶シリコン」は、それぞれ、光電変換装置の技術分野で一般的に用いられる、「水素化アモルファスシリコン」および「水素化微結晶シリコン」を含むものとする。
p型半導体層12としては、p型導電性決定元素がドープされたシリコン層を用いることができる。p型導電性決定元素としては、たとえば、ホウ素、アルミニウムまたはガリウムなどの不純物原子を用いることができる。なお、p型半導体層12の主材料は、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンであってもよい。
p型半導体層12が結晶シリコン相を含む場合には、高い導電性が得られて光電変換層10の直列抵抗を小さくすることができ、光電変換装置の曲線因子を増加させて高い光電変換効率を得られるため好ましい。
また、結晶シリコン相を含むp型半導体層12は、i型半導体層13の結晶化のための下地層として優れる。たとえば、結晶シリコン相を含むp型半導体層12は、i型半導体層13の形成時の初期に結晶成分を成長しやすくして、結晶化率の高い高品質のi型半導体層13の成膜を可能にする。そのため、結晶シリコン相を含むp型半導体層12は、光電変換装置の短絡電流密度を高くして、光電変換効率を向上することができる。
さらに、p型半導体層12は、炭素原子または窒素原子を不純物として含むことが好ましい。p型半導体層12が上記の不純物を含むことにより、上記の不純物を含有していないp型半導体層を有する光電変換装置に比べて、光電変換装置の開放電圧を高くして、光電変換効率を向上することができる。その理由は明らかではないが、(1)p型半導体層12のバンドギャップが広がって拡散電位が増加すること、および(2)不純物添加による結晶粒界の界面パッシベーションおよびp型半導体層とi型半導体層との界面パッシベーションの効果により界面での再結合が低減することなどが考えられる。
ただし、p型半導体層12中の不純物濃度は低い方が好ましい。p型半導体層12中の不純物濃度が低い場合には、p型半導体層12とi型半導体層13との間におけるバンドギャップの不連続またはミスマッチの発生が低減するため、p型半導体層12とi型半導体層13との間に界面層などを設ける必要がなくなり、簡易かつ安価に、光電変換効率の高い光電変換装置を得ることができる。このため、実施の形態1において、p型半導体層12としては、たとえば、微量の炭素を含有する微結晶シリコン層を用いることができる。なお、p型半導体層12は、炭素原子および窒素原子の両方の不純物を含んでいてもよい。
i型半導体層13は、不純物が添加されていない微結晶シリコン層である。ただし、i型半導体層13は、実質的に真性な半導体であれば、少量の不純物元素を含んでいてもよい。この場合、i型半導体層13の材料として、微結晶シリコンの代わりにアモルファスシリコンを用いてもよい。
ただし、微結晶シリコンは、光劣化を生じないため、高い光電変換効率を得ることができる。そのため、i型半導体層13の材料としては、アモルファスシリコンを用いることがより好ましい。また、後述するように、微結晶シリコンからなるn型半導体層14を有する光電変換装置においては、n型半導体層14とi型半導体層13との界面におけるキャリアの再結合を低減するために、i型半導体層13が微結晶シリコンであることが好ましい。
また、i型半導体層13の長波長に対する感度を高めるために、i型半導体層13は、たとえば、アモルファスシリコンゲルマニウムおよび微結晶シリコンゲルマニウムの少なくとも一方を含んでいてもよい。この場合には、i型半導体層13中のゲルマニウムの原子組成百分率は、5原子%以上30原子%以下であることが好ましい。
ゲルマニウムの原子組成百分率が5原子%以上である場合には、バンドギャップを狭くすることができるため、光電変換装置の短絡電流密度を高くすることができる。また、ゲルマニウムの原子組成百分率が30原子%以下である場合には、バンドギャップが狭くなりすぎるのを抑えることができるため、光電変換装置の開放電圧が高くなる、または、i型半導体層13の結晶粒径の小径化を抑えることができるため、光電変換装置の光電変換効率の低下を抑えることができる。
n型半導体層14は、n型導電性決定元素がドープされたシリコン層である。n型導電性決定元素としては、たとえば、リン、窒素および酸素などの不純物原子を用いることができる。なお、n型半導体層14の主材料としては、たとえば、アモルファスシリコンまたは微結晶シリコンなどを用いることができる。n型半導体層14が結晶シリコンを含むと、高い導電性が得られて光電変換層10の直列抵抗を小さくすることができ、光電変換装置の曲線因子を増加させて高い光電変換効率を得られるため好ましい。
n型半導体層14は、炭素原子または窒素原子を不純物として含むことが好ましい。n型半導体層14が上記の不純物を含むことにより、上記の不純物を含有していないn型半導体層を有する光電変換装置に比べて、光電変換装置の開放電圧を高くして、光電変換効率を高くすることができる。
その理由は明らかではないが、(1)n型半導体層14のバンドギャップが広がって拡散電位が増加すること、(2)不純物添加による結晶粒界の界面パッシベーションおよびi型半導体層とn型半導体層との界面パッシベーションの効果により界面での再結合が低減すること、などが考えられる。実施の形態1においては、n型半導体層14は、微結晶シリコンからなる。なお、n型半導体層14は、炭素原子および窒素原子の両方の不純物を含んでいてもよい。
p型半導体層12およびn型半導体層14の少なくとも一方が不純物として炭素原子を含有する場合、シリコンカーバイドの結晶相を実質的に含まないようにする。この状態は、たとえば、炭素原子を含有する微結晶シリコンのラマン散乱スペクトルを観測したとき、シリコンカーバイド結晶を構成するシリコン−カーボン結合に帰属されるピークが実質的に検出されないことによって確認することができる。また、この状態は、X線回折法においてシリコンカーバイド結晶構造に帰属される回折ピークが実質的に検出されないことによっても確認することができる。
光電変換層10の形成方法としては、たとえば、CVD法を用いることができる。CVD法としては、常圧CVD、減圧CVD、プラズマCVD、熱CVD、ホットワイヤーCVDまたはMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などを用いることができるが、実施の形態1においては、プラズマCVD法を用いて、光電変換層10の形成する。
プラズマCVD法によって光電変換層10を形成する際に使用するシリコン含有ガスとしては、SiH4およびSi2H6などのシリコン原子を含むものであれば特に限定されないが、一般的にはSiH4を用いることができる。
シリコン含有ガスとともに使用される希釈ガスとしては、たとえば、H2ガス、ArガスおよびHeガスなどを用いることができるが、アモルファスシリコンおよび微結晶シリコンの形成時には、一般的にはH2ガスを用いることができる。
また、p型半導体層12およびn型半導体層14の形成時には、シリコン含有ガスおよび希釈ガスとともにドーピングガスを使用する。ドーピングガスとしては、目的とする型の導電性決定元素を含むガスであれば特に限定されないが、一般的に、p型導電性決定元素がホウ素である場合はB2H6を用いることができ、n型導電性決定元素がリンである場合はPH3を用いることができる。
プラズマCVD法により光電変換層10を形成する際に、たとえば、基板温度、圧力、ガス流量およびプラズマへの投入電力などの製膜パラメータを適切に制御することによって、アモルファス相と結晶相との存在比率を制御することが可能である。
<裏面構造>
実施の形態1においては、基材11側から、第2導電層15、高屈折率層16bおよび裏面反射層16がこの順序で積層されている。より具体的には、第2導電層15よりも屈折率が高く、かつ透光性が高い高屈折率層16bが第2導電層15上に位置している。第2導電層15の一部と接触して電気的に接続された裏面電極17が第2導電層15上に位置している。
実施の形態1においては、基材11側から、第2導電層15、高屈折率層16bおよび裏面反射層16がこの順序で積層されている。より具体的には、第2導電層15よりも屈折率が高く、かつ透光性が高い高屈折率層16bが第2導電層15上に位置している。第2導電層15の一部と接触して電気的に接続された裏面電極17が第2導電層15上に位置している。
<裏面電極>
裏面電極17は、少なくとも1層の導電層で構成されていればよく、導電層であって、導電率が高い程好ましい。裏面電極17の材料としては、たとえば、可視光の反射率が高い、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも1つを含む金属材料、または、それらの合金などを用いることができる。裏面電極17は、たとえば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スプレー法またはスクリーン印刷法などの方法により、光電変換層10上に形成することができる。なお、裏面電極17の厚さは、100nm以上400nm以下であることが好ましい。
裏面電極17は、少なくとも1層の導電層で構成されていればよく、導電層であって、導電率が高い程好ましい。裏面電極17の材料としては、たとえば、可視光の反射率が高い、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)からなる群から選択された少なくとも1つを含む金属材料、または、それらの合金などを用いることができる。裏面電極17は、たとえば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スプレー法またはスクリーン印刷法などの方法により、光電変換層10上に形成することができる。なお、裏面電極17の厚さは、100nm以上400nm以下であることが好ましい。
<第2導電層>
光電変換層10と裏面電極17との間に第2導電層15を形成することにより、入射光に対する光閉じ込め効果を向上させることができるとともに、光反射率を向上させることができる。また、第2導電層15を形成することにより、裏面電極17に含まれる元素を光電変換層10に拡散するのを抑制することができる。
光電変換層10と裏面電極17との間に第2導電層15を形成することにより、入射光に対する光閉じ込め効果を向上させることができるとともに、光反射率を向上させることができる。また、第2導電層15を形成することにより、裏面電極17に含まれる元素を光電変換層10に拡散するのを抑制することができる。
第2導電層15は、たとえば、第1導電層11bと同様の材料および製法により形成することができる。なお、第2導電層15の厚さは、20nm以上であることが好ましい。ただし、第2導電層15の厚さが厚すぎると、第2導電層15における光吸収のために、光電変換層10に再入射する光の量が減少する。そのため、第2導電層15の厚さは、20nm以上3000nm以下であることが好ましい。
<高屈折率層>
実施の形態1の光電変換装置においては、第2導電層15と裏面反射層16bとの間に、第2導電層15よりも屈折率が高く、かつ透光性の高い高屈折率層16bを設けることによって、高屈折率層16bを設けない場合と比べて、光電変換装置の短絡電流密度を高くすることができる。その理由は、以下のように推察することができる。透光性基板11aから入射して、高屈折率層16bと裏面反射層16aとの界面で反射された光は、高屈折率層16bに対して所定の角度を有して、高屈折率層16b中で存在する。その後、第2導電層15および光電変換層10を通った後に第1導電層11bに至るが、高屈折率層16bの存在によって、光電変換層10内を通る光の角度が大きくなるため、光電変換層10から第1導電層11bへの入射角度が大きくなる。
実施の形態1の光電変換装置においては、第2導電層15と裏面反射層16bとの間に、第2導電層15よりも屈折率が高く、かつ透光性の高い高屈折率層16bを設けることによって、高屈折率層16bを設けない場合と比べて、光電変換装置の短絡電流密度を高くすることができる。その理由は、以下のように推察することができる。透光性基板11aから入射して、高屈折率層16bと裏面反射層16aとの界面で反射された光は、高屈折率層16bに対して所定の角度を有して、高屈折率層16b中で存在する。その後、第2導電層15および光電変換層10を通った後に第1導電層11bに至るが、高屈折率層16bの存在によって、光電変換層10内を通る光の角度が大きくなるため、光電変換層10から第1導電層11bへの入射角度が大きくなる。
光の屈折は、異なる屈折率を有する媒質が接した界面において発生するが、このときの光の進行方向(角度)は、それぞれの媒質の屈折率比に依存し、高屈折率媒体から低屈折率媒体に至る場合には角度は浅くなり、逆に、低屈折率媒体から高屈折率媒体に至る場合には角度は深くなる。特に、多層膜において、これらの現象が複合的に発生する場合には、最初の媒質と、最後の媒質との屈折率比に依存して、光の進行方向が決定される。
図2に、実施の形態1の光電変換装置に入射した光の進行の一例を示し、図3に、高屈折率層16bを設けないこと以外は実施の形態1と同様の構成とした従来の光電変換装置に入射した光の進行の一例を示す。ここでは、透光性基板11aから入射して、高屈折率層16bと裏面反射層16aとの界面で反射した光のうち、裏面反射層16a上の層内を角度θ1で進行する光を考える。
まず、図2に示すように、実施の形態1の光電変換装置においては、裏面反射層16a上の層が屈折率n1の高屈折率層16bである場合には、透光性基板11aから入射して高屈折率層16bと裏面反射層16aとの界面で反射した光は、角度θ3で光電変換層10内を進行し、第1導電層11bに到達する。
一方、図3に示すように、裏面反射層16a上の層が屈折率n2(n2<n1)の第2導電層15である場合には、透光性基板11aから入射して高屈折率層16bと裏面反射層16aとの界面で反射した光は、角度θ3’(θ3’<θ3)で光電変換層10内を進行し、第1導電層11bに到達する。
図2に示すように、第2導電層15と裏面反射層16aとの間に高屈折率層16bが存在する場合には、高屈折率層16bと光電変換層10との間の屈折率差によって、光電変換層10内の光の進行角度が決定される。
一方、図3に示すように、第2導電層15と裏面反射層16aとの間に高屈折率層16bが存在しない場合には、第2導電層15と光電変換層10との間の屈折率差によって、光電変換層10内の光の進行角度が決定される。
高屈折率層16bと光電変換層10との間の屈折率差は、第2導電層15と光電変換層10との間の屈折率差よりも小さいため、実施の形態1の光電変換装置においては、高屈折率層16bと裏面反射層16aとの界面で発生した高角度の反射光を、角度をあまり減少させることなく、光電変換層10内に導くことができる。すなわち、n3>n1>n2であるため、θ3’<θ3となり、高屈折率層16bがある場合には、光電変換層10内を進行する光の光路長が伸びることになる。
また、光電変換層10内を進行した反射光が、光電変換層10と第1導電層11bとの界面に到達した場合には、第1導電層11bにより小さい角度で入射する。光電変換層10の屈折率n3と、第1導電層11bの屈折率n4とを比較すると、n3>n4であるため、小さい角度で入射した場合に全反射条件を満たしやすくなる。光電変換層10と第1導電層11bとの界面で、光が全反射した場合には、光電変換層10の外に光が散逸することによって、光電変換に寄与しない光を減らすことができ、より多くの光を再々度光電変換層10内に導くことができる。その結果、実施の形態1の光電変換装置においては、従来の光電変換装置と比べて、短絡電流密度が高くなる。光電変換層10の屈折率n3および第1導電層11bの屈折率n4の典型的な値は、n3=3.5、n4=2.0であるため、全反射条件を満たす角度θt≦約35°であり、より小さい角度で第1導電層11bに入射することが好ましいことがわかる。
すなわち、裏面反射層16aで反射された光が存在する最初の層の屈折率が高い場合には、光電変換層10内を通る光の角度θ3が小さくなるため、光電変換層10から第1導電層11bへの光の入射角度が小さくなる。高屈折率層16bを設けた場合に短絡電流密度が高くなる理由の一つは、光電変換層10内を通る光の角度が小さいために光路長が長くなり、光吸収量が増加したことによるものであると推察される。
また、もう一つの理由は、光電変換層10から第1導電層11bへの光の入射角度が小さくなった場合には、光電変換層10と第1導電層11bとの界面において全反射条件を満たす光の量が増加するため、光電変換層10内に再々入射する光が増加したためであると推察される。
高屈折率層16bは、第2導電層よりも屈折率が高く、かつ透光性が高くなるように、形成されれば、高屈折率層16bの材料および製法は特に限定されない。たとえば、第1導電層11bおよび第2導電層15と同じ材料を用いて高屈折率層16bを形成する場合には、高屈折率層16bの屈折率を第2導電層15の屈折率よりも高くするために、たとえば、高屈折率層16bのキャリア濃度を第2導電層15のキャリア濃度よりも低くすることが好ましい。
しかしながら、高屈折率層16bは、キャリア濃度が低くなると、導電率が低下するため、これらの関係と膜厚とのバランスを考慮して、高屈折率層16bを形成することが好ましい。
たとえば、高屈折率層16bを酸化亜鉛にガリウムをドープして形成する場合には、キャリア濃度が約7×1020個/cm3であるとき、導電率は数百S/cmとなり、波長1000nmの光に対する、屈折率は1.4となり、消衰係数は6×10-2となる。また、キャリア濃度が約3×1019個/cm3である場合には、導電率は数〜数十S/cm程度となり、波長1000nmの光に対する、屈折率は1.9となり、消衰係数は9×10-4となる。
このように、高屈折率層16bのキャリア濃度が低い場合には、同一の厚さの高屈折率層16bの電気抵抗が増加する。たとえば、上記のように、高屈折率層16bキャリア濃度を低くした場合には、高屈折率層16bの電気抵抗は10倍程度増加する。
高屈折率層16bの材料として、第1導電層11bおよび第2導電層15に用いられる材料として挙げた材料以外の材料としては、たとえば、チタン酸化物またはジルコニア酸化物などの無機系酸化物を、単独で、または複数種類混合して用いることができる。
また、第1導電層11bおよび第2導電層15に用いられる材料として挙げた材料に不純物をドープすること、または、酸素欠損を利用することなどによって電気伝導性を改善した材料を用いて高屈折率層16bを形成してもよい。
上記の材料のうち、チタン酸化物およびジルコニア酸化物は、安定な物質であるため、取り扱いが容易であり、概して光吸収率が高い。たとえば、チタン酸化物としてのTiO2およびジルコニア酸化物としてのZrOの屈折率は、略2.5前後であって、典型的な第2導電層15の材料よりも屈折率が高いため、高屈折率層16bの材料としては好ましい。なかでも、チタン酸化物は、それ自体の化学的安定性が高いことに加えて、酸素欠損を利用したり、不純物のドーピングによって導電率を制御できるため、特に好ましい。たとえば、TiO2に不純物としてニオブ(Nb)を数wt%混入させることによって、高屈折率を維持したまま、電気伝導性の大幅な改善が可能である。
チタン酸化物からなる高屈折率層に含まれるNbの量は、0.2wt%以上10wt%以下であることが好ましい。Nb量が0.2wt%以上である場合には、電気伝導性を改善することができる。また、Nb量が10wt%以下である場合には、キャリアが過剰になるのを抑え、光吸収も抑えることができるため、好ましい。
高屈折率層16bの厚さとしては、30nm以上100nm以下であることが好ましい。実施の形態1においては、たとえば、波長が1000nmの光に対して屈折率が2.5であるTiO2を用いてスパッタリング法にて、高屈折率層16bの厚さが50nmとなるように高屈折率層16bを形成している。
<第2導電層と裏面電極との接触部分の形状>
裏面電極17は、第2導電層15の一部と接触していることが好ましい。これにより、高屈折率層16bが電気伝導性が不足する材料で形成されている場合であっても、高屈折率層16bを介さずに光電変換層10から電流を取り出すことができる。
裏面電極17は、第2導電層15の一部と接触していることが好ましい。これにより、高屈折率層16bが電気伝導性が不足する材料で形成されている場合であっても、高屈折率層16bを介さずに光電変換層10から電流を取り出すことができる。
裏面電極17が第2導電層15の一部と接触する構造を形成するためには、第2導電層15の全面を覆わないように裏面電極17を形成すればよい。たとえば、メタルマスクまたはフォトリソグラフィーなどの公知の方法を用いて、裏面電極17を形成することができる。
これらの方法によって、第2導電層15の一部分をマスクして裏面電極17の材料を成膜することによって、第2導電層15のマスクされた部分には裏面電極17の材料が成膜されない。その後、マスクを取り除いて高屈折率層16bを形成することによって、第2導電層15の一部と裏面電極17とが接触した構造を形成することができる。
なお、第2導電層15と高屈折率層16b、ひいては、高屈折率層16bと裏面反射層16aとが接触する面積を大きくするほど、光電変換層10内での、裏面反射層16aで反射した光を有効利用できるため、光電変換装置100の短絡電流密度を増やすことができる。
第2導電層15と裏面電極17とが接触する面積が小さい場合には、電流の取り出し効率が悪化して曲線因子が低下することも考えられるため、後述するように、第2導電層15と裏面電極17との接触面積は、第2導電層15の全体の面積の5.5%以上55%以下であることが好ましい。
また、第2導電層15と裏面電極17との接触部分の形状を工夫することによって、さらに電流の取り出し効率を向上することができる。図4に、実施の形態1の光電変換装置の第2導電層15と裏面電極17との接触部分の形状の好ましい一例の模式的な平面図を示す。
図4に示すように、実施の形態1の光電変換装置の裏面電極17の第2導電層15との接触部分の形状は、グリッド状である。ここで、裏面電極17は、第2導電層15上において、互いに間隔を置いて平行に延在する複数のサブグリッド500と、サブグリッド500の延在方向に直交する方向に延在して、すべてのサブグリッド500と接続されたメイングリッド501とが形成されている。
このように、第2導電層15と接触する裏面電極17の形状を、サブグリッド500とメイングリッド501とからなるグリッド形状とすることによって、光電変換層10の全面から集電できるようになるため、電流の取り出し効率を向上させることができる。
サブグリッド500の線幅は、マスクの加工精度などを勘案して、0.01mm以上1mm以下であることが好ましい。また、メイングリッド501は、サブグリッド500から集められた電流を集約する機能を有しているため、メイングリッド501の幅は、サブグリッド500よりも大きい方が好ましく、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
なお、サブグリッド500の本数およびピッチは、第2導電層15の導電率によって、適宜設定することができる。第2導電層15の導電率が比較的高い場合には、電流が第2導電層15を通過する距離が長い場合でも電気抵抗があまり高くならないため、サブグリッド500同士の間隔を広くすることができる。一方、第2導電層15の導電率が低い場合には、サブグリッド500同士の間隔を狭くする必要がある。したがって、サブグリッド500同士の間隔は、第2導電層15の導電率を勘案して、0.5mm以上2mm以下とすることが好ましい。また、メイングリッド501の位置は、光電変換装置100の面内中央部に設けられる必要は必ずしもなく、端部に設けられていてもよい。
実施の形態1においては、たとえば、サブグリッド500の線幅を0.1mm以上1mm以下とし、メイングリッド501の線幅を0.2mm以上5mm以下とすることができる。また、たとえば、サブグリッド500同士の間隔を0.75mm以上1.875mm以下とすることができる。
また、実施の形態1においては、たとえば、光電変換装置の端部から最も端部側に位置するサブグリッド500までの距離を1mmとし、光電変換装置の端部からメイングリッド501までの距離を1mmとすることができる。
また、実施の形態1においては、たとえば、光電変換装置の面積を100mm2とし、第2導電層15と裏面電極17との接触面積は、第2導電層15全体の面積の5.5%以上55%以下とすることができる。
また、高屈折率層16bが、第2導電層15よりも導電率が高い場合には、裏面電極17は、高屈折率層16bと裏面反射層16aとの間に設置されて、高屈折率層16bの一部と接触していることが好ましい。この場合には、より効果的に光電変換層10から電流を取り出すことができる。
上記の構造を形成するためには、高屈折率層16bの全面を覆わないように裏面電極17を形成すればよい。たとえば、上述したように、メタルマスクまたはフォトリソグラフィーなどの公知の方法を用いて裏面電極17を形成すればよい。
また、裏面電極17が高屈折率層16bと裏面反射層16aとの間に設置される場合にも、上述した理由と同様の理由により、高屈折率層16bと裏面電極17との接触箇所の面積は、高屈折率層16bの表面全体の5.5%以上55%以下であることが好ましい。また、この場合にも、上述した理由と同様の理由により、高屈折率層16bと裏面電極17との接触箇所の形状はグリッド状であることが好ましい。また、この場合には、サブグリッド同士の間隔は、高屈折率層16bの導電率を勘案して0.5mm以上2mm以下とすることが好ましい。また、メイングリッドの位置は、光電変換装置の面内中央部に設けられる必要は必ずしもなく、端部に設けられていてもよい。
<裏面反射層>
裏面反射層16aは、非金属材料からなることが好ましい。これにより、高屈折率材料と金属材料とが接した界面において、表面プラズモン吸収が長波長側に発生することを防止することができる。したがって、裏面反射層16aとしては、母材としてEVA(Ethylence-Vinyl Acetate)、PVB(ポリビニルブチラール)、アイオノマー樹脂、またはこれらの同等物などを用い、これらの母材にチタン酸化物微粒子または亜鉛酸化物微粒子などの光散乱体をフィラーとして混入した白色の有機系樹脂を用いることが好ましい。
裏面反射層16aは、非金属材料からなることが好ましい。これにより、高屈折率材料と金属材料とが接した界面において、表面プラズモン吸収が長波長側に発生することを防止することができる。したがって、裏面反射層16aとしては、母材としてEVA(Ethylence-Vinyl Acetate)、PVB(ポリビニルブチラール)、アイオノマー樹脂、またはこれらの同等物などを用い、これらの母材にチタン酸化物微粒子または亜鉛酸化物微粒子などの光散乱体をフィラーとして混入した白色の有機系樹脂を用いることが好ましい。
なお、本明細書において、用語「微粒子」は、0.1μm以上数十μm以下の粒子径をもつ微小な物体と定義する。また、用語「粒子径」は、日本工業標準調査会(JISC)の規格(規格番号JIS Z8819−1)によれば、同一物性の球の直径、すなわち、投影面積や体積などの幾何学的特性の測定法、終末沈降速度などの動力学的特性の測定法、レーザー光の散乱パターンなどの光学的特性の測定法などの測定方法において同一の物性値を与える球形粒子の直径と定義されており、本明細書中においてもこの定義を採用する。
微粒子の粒子径は、強い散乱光を得たい波長に応じて適宜設定すればよく、0.1〜3μm程度とすることができる。また、金属膜の光散乱を目的とした凹凸形成のために微粒子を設定することから、粒子径は、レーザー光の散乱パターンなどの光学的特性の測定法から求められる粒子径を採用するのが好ましい。微粒子の形状は、上記の粒子径を満足するものであれば特に限定されず、球形状や多面体形状などの種々の形状が挙げられる。また、微粒子は樹脂内で分散配置していることが好ましい。
裏面反射層16aの材料として樹脂を用いる場合は、樹脂の軟化点以上の温度まで加熱処理を施すことによって、第2導電層15上に裏面反射層16aを接着することができる。この加熱処理時に、裏面支持ガラスなどの強度補強材を裏面反射層16aの上面に押し当てて成形することにより、強度補強材を同時に設けることができるため好ましい。
実施の形態1においては、たとえば、裏面反射層16aとして、厚さが0.3mmのEVA樹脂を用いている。EVA樹脂に離形用ポリテトラフルオロエチレンシートを介して平坦なガラスを押し当てつつ、真空ヒートプレス機によって真空排気しながら加熱成形することにより、高屈折率層16b上に、白色樹脂を形成している。
上記の構成により、実施の形態1の光電変換装置においては、短絡電流密度および光電変換効率の高いスーパーストレート型の光電変換装置とすることができる。
なお、実施の形態1の光電変換装置は、たとえば、透光性基板11a上に、受光面側から、第1導電層11b、p型半導体層12、i型半導体層13およびn型半導体層14、第2導電層15、裏面電極17、高屈折率層16bおよび裏面反射層16aがこの順序で位置するように各層を形成することによって作製することができる。
(実施の形態2)
図5に、本発明の光電変換装置の他の一例である実施の形態2の光電変換装置の模式的な断面図を示す。実施の形態2の光電変換装置は、タンデム型の光電変換装置であることを特徴としている。
図5に、本発明の光電変換装置の他の一例である実施の形態2の光電変換装置の模式的な断面図を示す。実施の形態2の光電変換装置は、タンデム型の光電変換装置であることを特徴としている。
図5に示すように、実施の形態2の光電変換装置においては、光電変換装置10と第2の導電層15との間に第2の光電変換層20が設けられている。ここで、第2の光電変換層20においては、基材11側から、p型半導体層22、i型半導体層23およびn型半導体層24が積層されて、pin接合が構成されている。
タンデム型の光電変換装置においては、光入射側から最も近いpin接合をトップセルとされ、光入射側から最も遠いpin接合をボトムセルとされる。また、3つ以上のpin接合を有するタンデム型の光電変換装置においては、トップセルとボトムセルの間に位置するpin接合がミドルセルとされる。
光電変換層10は光入射側に位置するため、第2の光電変換層20には光電変換層10を透過した光のみが入射する。そのため、実施の形態2の光電変換装置においては、光電変換層10および第2の光電変換層20のそれぞれで入射光の異なるスペクトル領域を受光できるため、光の利用効率を向上することができ、また、光電変換層10および第2の光電変換層20のそれぞれの開放電圧の和と略同等の高い開放電圧を得ることができる。
また、光入射側に位置する光電変換層10のバンドギャップを第2の光電変換層20のバンドギャップより大きくすることによって、入射光のうち短波長の光は、主に光電変換層10で吸収され、長波長の光は主に第2の光電変換層20で吸収されるため、光電変換効率をさらに向上することができる。
異なるバンドギャップを有するシリコン系材料としては、たとえば、アモルファスシリコンカーバイド、アモルファスシリコン、アモルファスシリコンゲルマニウム、アモルファスゲルマニウム、微結晶シリコン、微結晶シリコンゲルマニウムまたは微結晶ゲルマニウムなどがある。これらを光吸収層として適宜選択して用いることができる。
たとえば、トップセルにアモルファスシリコンを用い、ボトムセルに微結晶シリコンを用いた場合には、大きなバンドギャップを有するアモルファスシリコンが入射光のうち短波長領域の光を吸収し、小さなバンドギャップを有する微結晶シリコンが残りの長波長領域の光を吸収する。
微結晶シリコンおよび微結晶シリコンゲルマニウムは、上記のように光劣化を生じないため、長波長の光を吸収する材料として好ましい。
光電変換層10および第2の光電変換層20においては、互いのpin接合の積層方向が同一で、かつ、光入射側にp型半導体層12,22が位置するように配置されていればよく、光電変換層が3層以上ある場合も同様である。すなわち、光電変換層10がpin接合を有するときは第2の光電変換層20もpin接合を有し、光電変換層10がnip接合を有するときは第2の光電変換層20もnip接合を有する。
光電変換層10および第2の光電変換層20における各半導体層の厚さは特に限定されないが、光電変換層10においては、p型半導体層12の厚さは5nm以上50nm以下であることが好ましく、i型半導体層13の厚さは100nm以上500nm以下であることが好ましく、n型半導体層14の厚さは5nm以上50nm以下であることが好ましい。より好ましくは、p型半導体層12の厚さは10nm以上30nm以下であり、i型半導体層13の厚さは200nm以上400nm以下であり、n型半導体層14の厚さは10nm以上30nm以下である。
第2の光電変換層20においては、p型半導体層22の厚さは5nm以上50nm以下であることが好ましく、i型半導体層23の厚さは1000nm以上5000nm以下であることが好ましく、n型半導体層24の厚さは5nm以上100nm以下であることが好ましい。より好ましくは、p型半導体層22の厚さは10nm以上30nm以下であり、i型半導体層23の厚さは2000nm以上4000nm以下であり、n型半導体層24の厚さは10nm以上30nm以下である。
複数のpin接合または複数のnip接合のうち少なくとも1組の互いに隣接するpin接合同士またはnip接合同士の間に中間層が形成されていてもよい。すなわち、光電変換層10と第2の光電変換層20との間に中間層が形成されていてもよい。光電変換層が3層以上ある場合には、各光電変換層同士の間の少なくとも1箇所に中間層が形成されていてもよい。中間層は、透光性導電膜で構成されていることが好ましい。
中間層を設けることにより、光電変換層10を通過して中間層に入射した光の一部は中間層で反射され、残部は中間層を透過して第2の光電変換層20に入射するため、各光電変換層への入射光量を制御できるようになる。
これにより、光電変換層10および第2の光電変換層20における光電流の値を均等化できる。光電変換層10および第2の光電変換層20において発生した光生成キャリアを効率よく利用することにより、短絡電流密度を高くして、光電変換効率を向上することができる。
実施の形態2の光電変換装置においては、第2導電層15と裏面電極17との間に、第2導電層15よりも屈折率および透光性が高い高屈折率層16bを設けることにより、高屈折率層16bを設けない場合と比較して、裏面反射層16aと高屈折率層16bとの間の界面で発生した反射光が光電変換層10内を進む角度を大きくしている。
これにより、裏面反射層16aと高屈折率層16bとの界面で反射されて光電変換層10および第2の光電変換層20に再入射する光の光路長が増加することにより、実施の形態2の光電変換装置の光電変換効率を向上することができる。
上記の構成により、実施の形態2の光電変換装置においては、短絡電流密度および光電変換効率の高いタンデム型のスーパーストレート型の光電変換装置とすることができる。
なお、実施の形態2の光電変換装置は、たとえば、透光性基板11a上に、受光面側から、第1導電層11b、p型半導体層12、i型半導体層13、n型半導体層14、p型半導体層22、i型半導体層23、n型半導体層24、第2導電層15、裏面電極17、高屈折率層16bおよび裏面反射層16aがこの順序で位置するように各層を形成することによって作製することができる。
実施の形態2における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、ここではその説明については省略する。
(実施の形態3)
図6に、本発明の光電変換装置の他の一例である実施の形態3の光電変換装置の模式的な断面図を示す。実施の形態3の光電変換装置は、サブストレート型の光電変換装置であることを特徴としている。実施の形態3の光電変換装置においては、支持基板11c上に、裏面反射層16a、高屈折率層16b、裏面電極17、第2導電層15、光電変換層10、第1導電層11bおよび集電電極18がこの順序で形成されている。
図6に、本発明の光電変換装置の他の一例である実施の形態3の光電変換装置の模式的な断面図を示す。実施の形態3の光電変換装置は、サブストレート型の光電変換装置であることを特徴としている。実施の形態3の光電変換装置においては、支持基板11c上に、裏面反射層16a、高屈折率層16b、裏面電極17、第2導電層15、光電変換層10、第1導電層11bおよび集電電極18がこの順序で形成されている。
実施の形態3の光電変換装置においては、裏面反射層16aの全面を覆わないように高屈折率層16bを形成してもよい。なお、裏面反射層16aの全面を覆わないように高屈折率層16bを形成する方法としては、上述したようにメタルマスクなどを用いる方法がある。
実施の形態3の光電変換装置においては、光が第1導電層11b側から入射するため、支持基板11cは非透光性を有する材料で構成されていてもよい。特に、裏面反射層16aの、光反射機能および散乱機能を持たせるために、支持基板11cは、上述した光散乱性微粒子を含んだ樹脂であってもよい。また、透光性基板11aと同様に、支持基板11cは透光性を有する材料で構成されていてもよい。また、支持基板11cの材料としては透光性基板11aと同様の材料を用いることもできる。その他にも、ステンレス板または銅板などの金属性の板で支持基板11cが構成されていてもよい。支持基板11cの厚さは特に限定されないが、光電変換装置の全体を構造的に支持し得る程度の強度となる厚さであればよい。
実施の形態3の光電変換装置においては、支持基板11cに、光閉じ込め効果を向上させるための図示しない凹凸が形成されていてもよい。ただし、支持基板11cが凹凸を有さずに、支持基板11c上に凹凸を有する透明導電膜などを形成、または、裏面電極17に凹凸を加工して形成してもよい。これらにより、裏面電極17上に表面粗さRMS(二乗平均平方根粗さ)が20nm以上200nm以下の凹凸が形成されることが好ましい。
上記の凹凸によって、裏面電極17自体での光閉じ込め効果が発現するとともに、第1導電層11bの堆積後の表面に、裏面電極17上の凹凸形状に起因した凹凸が形成されるため、この凹凸によっても光閉じ込め効果を得ることができる。
実施の形態3の光電変換装置においては、光電変換層10内を通る光の角度を大きくすることができるため、光電変換層10から第1導電層11bへの入射角度が小さくなり、短絡電流密度が増加することによって、サブストレート型の実施の形態3の光電変換装置の光電変換効率を向上させることができる。
実施の形態3の光電変換装置の光電変換層10は、光入射側からpin構造を有しているが、光入射側からnip構造を有していてもよい。
また、図6に示すように、第1導電層11b上に、集電電極18が形成されていてもよい。集電電極18の材料としては、裏面電極17と同様に、銀などの導電性の高い材料を好んで用いることができる。集電電極18が非透光性の材料で形成される場合には、集電電極18は光電変換層10に入射する光を遮って光電変換装置の光電変換効率を低下させる要因となり得るため、平面視における集電電極18の面積は小さいことが好ましい。
実施の形態3における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、ここではその説明については省略する。
[実験例]
以下、本発明に係る光電変換装置の発電特性を確認した実験例について説明する。
以下、本発明に係る光電変換装置の発電特性を確認した実験例について説明する。
(実験例1〜5)
実験例1〜5においては、図1に示すスーパーストレート型の光電変換装置を下記のように作製した。
実験例1〜5においては、図1に示すスーパーストレート型の光電変換装置を下記のように作製した。
基材11としては、透光性基板11aの表面に酸化錫系の透明導電膜からなる第1導電層11bが形成された、縦115mm×横115mm×厚み3.9mmの青板ガラス(旭硝子株式会社製、商品名:Asahi−VU)を使用した。
また、基材11上に、スパッタリング法によって70nmの厚さとなるように二酸化チタン膜を堆積させ、さらにスパッタリング法によって10nmの厚さとなるように酸化亜鉛膜を堆積させた。
その後、プラズマCVD法により後述の条件で、p型半導体層12、i型半導体層13およびn型半導体層14を順に積層して光電変換層10を形成した。続いて、光電変換層10上に、スパッタリング法により第2導電層15として80nmの厚さとなるように酸化亜鉛膜を堆積させ、高屈折率層16bとして50nmの厚さとなるようにTiO2膜を堆積させ、裏面電極17として120nmの厚さとなるように銀膜を堆積させた。
光電変換層10の各層は以下の条件で形成した。p型半導体層12の形成には、原料ガスとしてSiH4、H2およびB2H6を含む混合ガスを用いた。SiH4に対するH2のガス流量比は150倍とし、SiH4に対するB2H6のガス流量比は0.003倍とした。
p型半導体層12の厚さは、光活性層であるi型半導体層13に入射する光量を多くするために、p型半導体層12としての機能を損なわない範囲で薄い方が望ましいため、本実験例では、20nmの厚さとした。
i型半導体層13の形成には、原料ガスとしてSiH4およびH2を含む混合ガス用いた。SiH4に対するH2のガス流量比は80倍とした。本実験例では、i型半導体層13の膜厚を2500nmとした。
n型半導体層14の形成には、原料ガスとしてSiH4、H2、PH3およびN2を含む混合ガス用いた。SiH4に対するH2のガス流量比は100倍とし、SiH4に対するPH3のガス流量比は0.03倍とした。
n型半導体層14の膜厚は、裏面電極17からの反射光の吸収を抑制するため、n型半導体層としての機能を損なわない程度に薄い方が望ましく、本実験例では、20nmの厚さとした。なお、p型半導体層12、i型半導体層13およびn型半導体層14のプラズマCVDによる製膜時における基板温度を180℃とした。
続いて、第2導電層15として、スパッタリング法によって80nmの厚さとなるように酸化亜鉛膜を堆積した。その後、メタルマスクを装着して、裏面電極17として、120nmの厚さとなるように銀膜を堆積した。
メタルマスクの開口部の面積を適宜変更することによって、第2導電層15と、後工程で形成される裏面電極17との接触面積を変化させた。平面視における第2導電層15と裏面電極17との接触面積は、第2導電層15全体の面積に対して、実験例1では5.5%とし、実験例2では10%とし、実験例3では45%とし、実験例4では45%とし、実験例5では55%とした。なお、第2導電層15と接触する裏面電極17の形状はグリッド状とした。
その後、メタルマスクを外し、第2導電層15よりも屈折率が高く、かつ透光性が高い高屈折率層16bとして、スパッタリング法によって50nmの厚さとなるようにTiO2膜を堆積させた。
最後に、超音波はんだごてを用いて、取り出し電極を接続した後、裏面反射層16aとしての白色樹脂をヒートプレスによって形成した。
このようにして得られた実験例1〜5の光電変換装置について、AM1.5、放射照度100mW/cm2の条件下における、セル面積1cm2の電流−電圧特性を測定した。
その結果、短絡電流密度は、実験例1では23.4mA/cm2、実験例2では23.3mA/cm2、実験例3では23.1mA/cm2、実験例4では23.1mA/cm2、実験例5では23.0mA/cm2であった。
また、開放電圧は、実験例1では0.512V、実験例2では0.512V、実験例3では0.511V、実験例4では0.512V、実験例5では0.512Vであった。
また、曲線因子は、実験例1では0.705、実験例2では0.705、実験例3では0.705、実験例4では0.704、実験例5では0.705であった。
また、直列抵抗は、実験例1では6Ω、実験例2では6Ω、実験例3では6Ω、実験例4では6Ω、実験例5では6Ωであった。
また、光電変換効率は、実験例1では8.45%、実験例2では8.41%、実験例3では8.32%、実験例4では8.33%、実験例5では8.30%であった。
(実験例6)
実験例6においては、高屈折率層16bの製膜時に、TiO2およびNbを含むターゲットを用いて、高屈折率層16bとしてTiO2膜にNbを5wt%含有させたこと以外は全て実施例1と同様にして、図1に示すスーパーストレート型の光電変換装置を作製した。
実験例6においては、高屈折率層16bの製膜時に、TiO2およびNbを含むターゲットを用いて、高屈折率層16bとしてTiO2膜にNbを5wt%含有させたこと以外は全て実施例1と同様にして、図1に示すスーパーストレート型の光電変換装置を作製した。
このようにして得られた実験例6の光電変換装置について、AM1.5、放射照度100mW/cm2の条件下における、セル面積1cm2の電流−電圧特性を測定した。
その結果、実験例6の光電変換装置においては、短絡電流密度は23.4mA/cm2、開放電圧は0.512V、曲線因子は0.721、直列抵抗は5Ω、光電変換効率は8.6%であった。
比較例として、下記の条件で光電変換装置を作製した。
(比較例1)
比較例1においては、高屈折率層16bを形成しないこと以外は全て実施例1と同条件にして、スーパーストレート型の光電変換装置を作製した。高屈折率層16bを形成していないため、第2導電層15と裏面反射層16aとが、裏面電極17を形成した箇所以外の箇所の全面と接触している。すなわち、比較例1では、第2導電層15全体の面積に対して、平面視における第2導電層15と裏面電極17との接触面積が5.5%であり、残りは第2導電層15と裏面反射層16aとが接触している面積である。
(比較例1)
比較例1においては、高屈折率層16bを形成しないこと以外は全て実施例1と同条件にして、スーパーストレート型の光電変換装置を作製した。高屈折率層16bを形成していないため、第2導電層15と裏面反射層16aとが、裏面電極17を形成した箇所以外の箇所の全面と接触している。すなわち、比較例1では、第2導電層15全体の面積に対して、平面視における第2導電層15と裏面電極17との接触面積が5.5%であり、残りは第2導電層15と裏面反射層16aとが接触している面積である。
比較例1の光電変換装置について、AM1.5、放射照度100mW/cm2の条件下における、セル面積1cm2の電流−電圧特性を測定した。
その結果、比較例1の光電変換装置においては、短絡電流密度は23.0mA/cm2、開放電圧は0.511V、曲線因子は0.705、直列抵抗は6Ω、光電変換効率は8.29%であった。
(実験例1〜6と比較例1との比較)
第2導電層15と裏面反射層16aとの間に高屈折率層16bを形成し、第2導電層15と裏面電極17とが部分的に接触する構造を有する実験例1〜6の光電変換装置においては、高屈折率層16bを形成しなかった比較例1と比較して、高い短絡電流密度が得られた。これは、高屈折率層16bの存在により、光電変換層内を進む裏面散乱光の光路長が増加したことによるものであると考えられる。また、高屈折率層16bにNbを含有させた実施例6の光電変換装置では、実施例1の光電変換装置よりも直列抵抗が減少し、曲線因子が増加したことによって、光電変換効率が増加した。これは、Nbを含有させたことによって高屈折率層16bの導電性が増加したことによるものと考えられる。
第2導電層15と裏面反射層16aとの間に高屈折率層16bを形成し、第2導電層15と裏面電極17とが部分的に接触する構造を有する実験例1〜6の光電変換装置においては、高屈折率層16bを形成しなかった比較例1と比較して、高い短絡電流密度が得られた。これは、高屈折率層16bの存在により、光電変換層内を進む裏面散乱光の光路長が増加したことによるものであると考えられる。また、高屈折率層16bにNbを含有させた実施例6の光電変換装置では、実施例1の光電変換装置よりも直列抵抗が減少し、曲線因子が増加したことによって、光電変換効率が増加した。これは、Nbを含有させたことによって高屈折率層16bの導電性が増加したことによるものと考えられる。
以上のように本発明の実施の形態および実験例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および各実験例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、光電変換装置および光電変換装置の製造方法に利用することができ、特に薄膜系シリコン太陽電池および薄膜系シリコン太陽電池の製造方法に好適に利用することができる。
10 光電変換層、11 基材、11a 透光性基板、11b 第1導電層、11c 支持基板、12,22 p型半導体層、13,23 i型半導体層、14,24 n型半導体層、15 第2導電層、16a 裏面反射層、16b 高屈折率層、17 裏面電極、18 集電電極、20 第2の光電変換層、500 サブグリッド、501 メイングリッド。
Claims (5)
- 基板と、
前記基板上において、受光面側から順に位置する、第1導電層と、光電変換層と、第2導電層と、高屈折率層と、裏面反射層と、を備え、
前記高屈折率層は、前記第2導電層よりも屈折率が高く、かつ透光性が高い、
光電変換装置。 - 前記基板は、透光性を有し、
前記第1導電層は、前記基板上に位置し、
前記光電変換層は、前記第1導電層上に位置し、
前記第2導電層は、前記光電変換層上に位置し、
前記高屈折率層は、前記第2導電層上に位置し、
前記裏面反射層は、前記高屈折率層上に位置する、請求項1に記載の光電変換装置。 - 前記裏面反射層は、前記基板上に位置し、
前記高屈折率層は、前記裏面反射層上に位置し、
前記第2導電層は、前記高屈折率層上に位置し、
前記光電変換層は、前記第2導電層上に位置し、
前記第1導電層は、前記光電変換層上に位置する、請求項1に記載の光電変換装置。 - 前記高屈折率層と前記第2導電層との間に導電性材料からなる裏面電極を備え、
平面視において、前記第2導電層と前記裏面電極との接触面積が、前記第2導電層の表面全体の面積の5.5%以上55%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の光電変換装置。 - 基板上に、受光面側から順に、第1導電層、光電変換層、第2導電層、高屈折率層および裏面反射層が位置するように各層を形成する工程を備え、
前記高屈折率層は、前記第2導電層よりも屈折率が高く、かつ透光性を有する材料で形成される、光電変換装置の製造方法。
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CN114725224A (zh) * | 2022-04-12 | 2022-07-08 | 安徽华晟新能源科技有限公司 | 栅线预制结构及其制备方法、异质结电池的制备方法 |
-
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