JP2010272651A - 薄膜太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中間層の形成に起因した光電変換効率の低下が防止された、光電変換効率に優れた積層型薄膜太陽電池を得ることを目的とする。
【解決手段】透光性基板1上に、透明導電膜からなる第1電極層2と、第1のp型半導体層3aと第1のi型半導体層3bと第1のn型半導体層3cとが前記第1電極層2側から順次積層されてなり光電変換を行う第1光電変換層3と、中間層4と、第2のp型半導体層5aと第2のi型半導体層5bと第2のn型半導体層5cとが前記第1電極層2側から順次積層されてなり光電変換を行う第2光電変換層5と、第2電極層7と、をこの順で有する薄膜太陽電池であって、前記中間層4は、前記第1のn型半導体層3cの屈折率と前記第2のp型半導体層5aの屈折率との間の範囲内とされた屈折率を有し、且つ面内方向において屈折率分布を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜太陽電池およびその製造方法に関し、特に、2層以上の光電変換層間に中間層を有する積層型(タンデム接合型)薄膜太陽電池およびその製造方法に関するものである。
石油等の化石燃料は、将来の枯渇懸念による供給不安や地球温暖化現象の原因となる二酸化炭素排出の問題を抱えている。近年の環境意識の高まりやシステムの低価格化などにより、太陽光発電システムの普及が拡大してきており、化石燃料の代替エネルギーとして期待されている。
一般的な太陽電池は、バルク太陽電池と薄膜太陽電池とに分類される。バルク太陽電池とは、単結晶または多結晶シリコンや、ガリウム砒素化合物太陽電池等のバルク結晶の半導体を用いて作られるものであり、現在既に量産技術が確立されているものが多い。しかし、最近ではバルク太陽電池の急激な生産量の増加による原料不足や、低コスト化が困難である、という問題がある。
これに対して、薄膜太陽電池は、使用する半導体の量を大幅に減らすことができることから、原料不足の解消とともに大幅な低コスト化の可能性を持つ次世代型の太陽電池として注目されている。具体的にはバルク太陽電池は半導体層の厚さが数百μmであるのに対して、薄膜太陽電池は半導体層の厚さが数μm〜10μm以下である。このような薄膜太陽電池の構造は、一般に下記の2つのタイプに分類することができる。
すなわち、透光性基板上に、透明導電層、光電変換層、裏面電極層の順に各層を積層して透光性基板側から光を入射するスーパーストレートタイプと、非透光性基板上に裏面電極層、光電変換層、透明導電膜、金属グリッドの順に各層を積層して金属グリッドの電極側から光を入射するサブストレートタイプと、がある。
上述のように、薄膜太陽電池は使用する半導体量が少ないため、同一体積の中で高い変換効率を得るためには、半導体層に入射する光を有効に利用する技術が非常に重要である。そのための技術の1つとして、光閉じ込め技術が挙げられる。光閉じ込め技術とは、光電変換層と屈折率の異なる材料との界面に、光を屈折・散乱させるような構造を形成することによって、光電変換層内での実質的な光路長を伸ばすことにより光吸収量を増加させて、光電変換効率を向上させる技術である。
また、積層型(タンデム接合型)薄膜太陽電池とすることも、入射光を有効利用する技術の一つである。積層型(タンデム接合型)薄膜太陽電池は、入射光スペクトルを複数個の光電変換層で分割して受光するための構造であり、連続スペクトルである太陽光スペクトルの各波長を吸収するのに適した禁制帯幅(エネルギーバンドギャップ)を有する半導体材料を用いた複数個の光電変換層を光の入射側から禁制帯幅の大きい順序で積層する。これにより、短波長の光は禁制帯幅の大きい光電変換層で、長波長の光は禁制帯幅の小さな光電変換層で吸収して、それぞれ効率良く光電変換することができる。
このため、光電変換層が単一の場合と比較して、より広い波長帯域の太陽光を光電変化に寄与させることができるため、光電変換効率を向上させることが可能となる。ここで、積層型光電変換層では、複数の光電変換層が直列に接続されるため、開放電圧は各光電変換層で発生する電圧の和として利用されるが、短絡電流密度は各光電変換層で発生する光電流の中で、最小の値に制限されてしまう。したがって、各光電変換層で発生する光電流の値を均等にすることは、入射光のエネルギーを効率良く利用するための重要な因子となる。
各光電変換層で発生する光電流の値を均等化する方法としては、各光電変換層の膜厚を制御する方法が一般的であるが、隣接する2つの光電変換層間に中間層を設けることで各光電変換層に入射する光の量を制御するという方法も知られている。前記中間層を設けた場合は、中間層に達した光の一部を入射光側へ反射し、残りの光を透過させるため、中間層よりも光入射側の光電変換層(トップセル)内への入射光量を増加させる一方で、光入射と反対側の光電変換層(ボトムセル)内への入射光量を減少させるという入射光量制御機能がある。中間層に求められる特性としては、少なくともボトムセルで光吸収可能な波長領域において光吸収係数が小さいこと、および大きな直列抵抗を生じない程度の電気伝導率を有していることの2つであり、この条件を満たす材料を用いることが好ましい。
例えば特許文献1にはpin構造を有する複数のシリコン系光電変換層を重ねて備え、隣接する少なくとも一対の光電変換層は窒化シリコンからなる中間層を狭持し、前記一対の光電変換層は互いに電気的に接続されており、前記光電変換層の一部であり前記中間層と接するp型シリコン系半導体層が窒化原子を有する積層型薄膜太陽電池が開示されている。そして、中間層が開口部を有している場合、開口部のサイズまたは面積密度を調整することによって中間層の光入射側に位置するセル(トップセル)への反射光量および中間層の光入射側と反対側に位置するセル(ボトムセル)への入射光量を調節することができ、したがって、トップセルとボトムセルの短絡電流密度が等しくなるように、開口部を形成することができ、高効率な積層型薄膜太陽電池を得ることができる、と開示されている。
国際公開第2008/090666号
しかしながら、前述した中間層に開口部を設ける構成は、前述のトップセル、ボトムセル間の入射光量調整によって、短絡電流密度のバランスを取ることができるが、透明基板上に積層される透明導電膜に光閉込効果を奏する初期テクスチャが形成されていた場合には、開口部を設けることによって初期テクスチャが崩れるという問題や、開口部を形成するためのエッチング工程においてトップセルのn型シリコン系半導体層にエッチングダメージが混入し、再結合中心の生成に繋がる、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、中間層の形成に起因した光電変換効率の低下が防止された、光電変換効率に優れた積層型薄膜太陽電池を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる薄膜太陽電池は、透光性基板上に、透明導電膜からなる第1電極層と、第1のp型半導体層と第1のi型半導体層と第1のn型半導体層とが前記第1電極層側から順次積層されてなり光電変換を行う第1光電変換層と、中間層と、第2のp型半導体層と第2のi型半導体層と第2のn型半導体層とが前記第1電極層側から順次積層されてなり光電変換を行う第2光電変換層と、第2電極層と、をこの順で有する薄膜太陽電池であって、前記中間層は、前記第1のn型半導体層の屈折率と前記第2のp型半導体層の屈折率との間の範囲内とされた屈折率を有し、且つ面内方向において屈折率分布を有すること、を特徴とする。
本発明によれば、中間層が第1のn型半導体層の屈折率と第2のp型半導体層の屈折率との間の範囲内とされた屈折率を有し、且つ面内方向において屈折率分布を有することにより、中間層における光の反射量と透過量とを調整して入射光の利用効率を高めることができ、光電変換特性に優れた積層型薄膜太陽電池が得られる、という効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。 図2−1は、本発明の実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。 図2−2は、本発明の実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。 図2−3は、本発明の実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。 図2−4は、本発明の実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。 図2−5は、本発明の実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。 図3は、本発明の実施の形態2にかかる積層型薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明にかかる薄膜太陽電池およびその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる薄膜太陽電池である積層型薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる積層型薄膜太陽電池は、透光性基板1、透光性基板1上に形成され第1電極層となる前面透明電極層2、前面透明電極層2上に形成された第1の薄膜半導体層である第1光電変換層3、第1光電変換層3上に形成された中間層4、中間層4上に形成された第2の薄膜半導体層である第2光電変換層5、第2光電変換層5上に形成された裏面透明導電膜6、裏面透明導電膜6上に形成された第2電極層となる裏面電極層7、が順次積層された構造を有する。この積層型薄膜太陽電池においては、透光性基板1側が光入射側であり、第1光電変換層3はトップセルとも呼ばれ、第2光電変換層5はボトムセルとも呼ばれる。
透光性基板1としては、ガラス、ポリイミドまたはポリビニルなどの耐熱性を有する透光性樹脂、またはこれらが積層されたものなどを適宜用いることができるが、光透過性が高く、太陽電池全体を構造的に支持し得るものであれば特に限定されない。また、これらの表面に、透過性の高い金属膜、透明導電膜、絶縁膜を成膜したものであっても良い。
前面透明電極層2は、透光性導電材料からなり、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ITO等の透明性導電膜を用いることができる。なお、前面透明電極層2の膜中に微量の不純物が添加されていてもよい。例えば、酸化亜鉛(ZnO)が主成分である場合には5×1020〜5×1021cm−3程度のガリウム(Ga)やアルミニウム(Al)やボロン(B)といった第IIIB族元素、または銅(Cu)のような第IV族元素が含有されることにより抵抗率が低減するため、電極として使用するのに適している。前面透明電極層2の製法は、スパッタリング法、常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法、減圧CVD法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、電析法、スプレー法等の公知の方法によって作製できる。
また、前面透明電極層2の表面には、テクスチャと呼ばれる凹凸が形成されている。このテクスチャにより光の散乱・屈折が生じ、前面導電膜以下の光電変換層内での光閉じ込め効果が得られ、短絡電流密度の向上を図ることができる。このテクスチャは、透光性基板1または前面透明電極層2の表面にドライエッチング、またはウェットエッチングなどを施すことにより形成することができる。
ドライエッチングでは、プラズマ放電によりエッチングガスをイオン化またはラジカル化して照射し、物理的または化学的にエッチングして凹凸を形成する。物理的なエッチングにはエッチングガスとしてアルゴン(Ar)などの不活性ガスが用いられる。化学的エッチングでは、エッチングガスとしてフッ素系ガスである四フッ化メタン(CF)、六フッ化エタン(C)、塩素系ガスである四塩化炭素(CCl)、四塩化ケイ素(SiCl)などが用いられる。
ウェットエッチングとしては、透光性基板1または前面透明電極層2を、酸またはアルカリ溶液中に浸漬する方法などを用いることができる。この際、使用できる酸溶液としては塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、酢酸、蟻酸、過塩素酸等のうちの1種、または2種以上の混合物が挙げられる。
また、サンドブラストのような機械加工を行うことによってもテクスチャ形成が可能である。さらに、上述のようなエッチング法を用いずに、CVD法による透明導電膜堆積時に、透明導電膜材料の結晶成長により形成される表面凹凸をテクスチャとして利用する方法、およびゾルゲル法やスプレー法による透明導電膜形成時の結晶粒径に依存した凹凸をテクスチャとして利用する方法等が挙げられる。
光電変換層としては、受光面側(透光性基板1)から順番に第1光電変換層3、第2光電変換層5が配置される。なお、本実施の形態では、光電変換層として、第1光電変換層3および第2光電変換層5の2つの光電変換層を備える例を示しているが、本発明において光電変換層の積層数は2つに限定されず、2つ以上の複数層を積層した構成とすることができ、少なくとも2つの光電変換層の間に中間層を狭持した構成とすることができる。この場合は、光電変換層は受光面側から順番に第1光電変換層、第2光電変換層、第3光電変換層・・・の順に、複数の光電変換層が積層され、少なくとも2つの光電変換層の間に中間層が狭持される。
積層型薄膜太陽電池における光電変換層はシリコン系、化合物系を問わず半導体光電変換層であり、p型半導体層、i型(真性)半導体層、n型半導体層の各半導体層を有するpin接合構造により構成される。第1光電変換層3は、p型半導体層3a、i型半導体層3b、およびn型半導体層3cが受光面側から順次積層形成されている。また、第2光電変換層5は、p型半導体層5a、i型半導体層5b、およびn型半導体層5cが受光面側から順次積層形成されている。なお、真性半導体層は、光電変機能を損なわない限り、弱いp型、n型の導電性を示すものであってもよい。
ここで、半導体光電変換層とは、アモルファス酸化シリコン(a−SiO)、アモルファス炭化シリコン(a−SiC)、アモルファスシリコン(a−Si)、アモルファスシリコンゲルマニウム(a−SiGe)、シリコン(Si)ナノドット、微結晶シリコン(μc−Si)、ナノ結晶シリコン(nc−Si)などのシリコン系、およびCIGS(Cu(InGa)Se)等の化合物系、ゲルマニウム(Ge)のいずれかを主成分とする母材からなり、それぞれの半導体に適したアクセプタまたはドナーが添加されてp型またはn型を形成し、pin構造を構成する3つの半導体層からなる光電変換層を意味する。これらの製法としては、CVD法が一般的である。CVD法としては、常圧CVD、減圧CVD、プラズマCVD、熱CVD、ホットワイヤーCVD、MOCVD法等が挙げられる。
第1光電変換層3は、禁制帯幅が2.2〜1.7eV程度であることが好ましい。この条件に該当する半導体光電変換層としては、アモルファス酸化シリコン(a−SiO)、アモルファス炭化シリコン(a−SiC)、アモルファスシリコン(a−Si)等が挙げられる。以下に続く第2光電変換層5、第3光電変換層等は、禁制帯幅がそれよりも前(光の入射側)に存在する禁制帯幅より小さいことが好ましい。また、これらの積層される光電変換層を構成する主材料の熱膨張係数は、互いに近しい値であることが好ましい。
中間層4は、酸化シリコンからなり、隣接する第1光電変換層3と第2光電変換層5との間に狭持される。成膜順としては、中間層4は透光性基板1側から見て第2光電変換層5の上に形成されることになる。ここで酸化シリコンとは、主としてシリコン(Si)原子と酸素(O)原子とを含むものを意味し、シリコン(Si)、酸素(O)の化学量論比を限定するものではなく、また非晶質、多結晶、結晶のいずれをも含む。また、主成分の他に、窒素(N)原子や、水素(H)原子等の他の原子をも含ませることができる。酸化シリコンからなる中間層4は、プラズマCVD法により形成されることが一般的であり、シリコン(Si)原子を含むガスおよび酸素(O)原子を含むガスが使用される。
また、酸化シリコンは、膜中の酸素濃度を調整することによって屈折率を1.5〜4程度とされており、隣接する第1光電変換層3と比較してその値を小さくされている。例えば、酸化シリコンの波長600nmの光に対する屈折率は、1.5〜4程度とされる。
隣接する第1光電変換層3と屈折率の異なる中間層4を設けることにより、その界面における光反射を大きくさせて、第1光電変換層3へ反射される光量を増加させることにより第1光電変換層3で発生する光電流を増大させることができる。このとき中間層4の酸化シリコンの屈折率は、第1光電変換層3の屈折率に対してより小さい方が、第1光電変換層3への光反射を大きくすることができる。
中間層4中の酸素濃度は、例えば2at%〜70at%である。また、中間層4の光吸収係数は、小さいほど好ましい。中間層4で吸収されなかった光は、第2光電変換層5へ到達し、第2光電変換層5において光電流を発生させるために有効に利用されるからである。
そして、中間層4は、該中間層4に隣接する一対の光電変換層が有する2つの屈折率の間の範囲内とされた屈折率を有し、且つ面内方向において屈折率分布を有することを特徴とする。すなわち、中間層4には、その面内方向において、異なる2種類の屈折率を有する領域を有する。中間層4は、その面内方向において相対的に屈折率の高い第1の屈折率領域である高屈折率領域4aと、相対的に屈折率の低い第2の屈折率領域である低屈折率領域4bとを有する。そして、2種類の屈折率、すなわち高屈折率領域4aの屈折率と低屈折率領域4bの屈折率とは、それぞれ中間層4を狭持している第1光電変換層3のn型半導体層3cの屈折率n1と第2光電変換層5のp型半導体層5aの屈折率n2と間の屈折率とされる。ここで、高屈折率領域4aの屈折率をn1’、低屈折率領域4bの屈折率をn2’とすると、これらの屈折率の大小関係は以下の式(1)で表される。
n1>n1’>n2’>n2 ・・・(1)
高屈折率領域4aは、反射光よりも透過光を増やすことで、ボトムセルへの入射光量を増幅させる機能を有する。すなわち、中間層4の面内方向において高屈折率領域4aが配置されていることにより、この高屈折率領域4aに入射する入射光の反射(散乱)が抑制され、トップセルで吸収されない入射光、特に長波長光は高い光透過率で中間層4(高屈折率領域4a)を透過する。これにより、第2光電変換層5への入射光量が増加する。一方、低屈折率領域4bは、主として入射光、特に短波長光を反射させることによってトップセル内での実質的な光路長を伸ばす役割を果たす。このような機能により、入射される光の波長全域の光を効率よく利用することができる。ここで、本発明における短波長光、長波長光の定義は、各発電層を構成する発電層母材の分光感度特性によって変化するもので任意に設定される。強いて例示するのであれば、トップセル:アモルファスシリコン(a−Si)、ボトムセル:微結晶シリコン(μc−Si)で構成されている場合、この分光感度特性の谷間にあたる波長:約630nm(600nm)を境界に短波長光:波長λ≦630nm(600nm)、長波長光:波長λ≧630nm(600nm)となる。
したがって、第1光電変換層3と第2光電変換層5との短絡電流密度が等しくなるように、高屈折率領域4aと低屈折率領域4bとを面内方向に配置することで、高効率な積層型薄膜太陽電池を得ることができる。なお、中間層4における各屈折率領域の数は特に限定されず、上記の効果が得られれば、単数、複数の区別をしない。また、上記の効果が得られれば、屈折率領域の種類は2つに限定されない。また、各屈折率領域の形状および大きさにおいても特に限定はなく、上記の効果が得られれば任意の形状、任意の大きさとすることができる。
また通常、トップ側の光電変換層は、禁制帯幅が大きい材料で形成されることが多く、短波長光が多く吸収され、長波長光はあまり吸収されない。したがって、中間層4には長波長光が多く到達することになる。ここで、中間層4が単一の屈折率で構成されている場合は、長波長光の多くが反射されて光電変換に利用されなかった。
しかし、本実施の形態では、中間層4内の高屈折率領域4aにおいて長波長光を効率的に透過させることができ、第2光電変換層5における光電変換に寄与させることができる。このように本実施の形態においては、第1光電変換層3における光電変換に寄与しない長波長光の利用効率を高めることができる。また、各屈折率領域の大きさまたは面積比を調整することによって、第1光電変換層3および第2光電変換層5ともに高い電流値を実現できるため、光電変換効率が高い積層型薄膜太陽電池を得ることができる。
中間層4による第1光電変換層3への光反射効果は、中間層4の平均膜厚が5nm以上の場合に顕著に現れるため、中間層4の平均膜厚は5nm以上であることが好ましい。また、中間層4の平均膜厚が増加するにつれて、中間層4での光吸収が増加する。このため、中間層4での光吸収を抑制するために、中間層4の平均膜厚は500nm以下であることが好ましい。そして、中間層4の平均膜厚は、より好ましくは10nm〜100nmである。ここでの平均膜厚とは、中間層4の成膜の際のバラつきを含むものである。また、中間層4は面内で膜厚がほぼ一定であることが好ましい。この中間層4の平均膜厚は、例えば電子顕微鏡、光学顕微鏡、原子間力顕微鏡等を用いた断面観察で測定することができる。
また、中間層4の平面形状は、該中間層4が形成される下層である第1光電変換層3の表面凹凸(テクスチャ)を追従している。テクスチャによる光散乱・屈折等の光閉じ込め効果により、第1光電変換層3および第2光電変換層5のそれぞれで発生する光電流を向上させて、積層型薄膜太陽電池の変換効率向上が期待できるからである。一般的には前面透明電極層2にテクスチャが形成されている場合が多く、中間層4もこのテクスチャの形状を引き継いた平面形状で形成される。
また、第1光電変換層3上に形成される中間層4を構成する材料に望まれる特性としては、少なくとも第2光電変換層5で光吸収可能な波長領域において、第1光電変換層3と屈折率が異なること、および光吸収係数が小さいことである。また、中間層において光電流が流れる部分を別個に形成する必要がないように、光電流が流れることを阻害しない程度の導電率を有していることが好ましい。すなわち、導電性を持たせた酸化シリコンを用いることが好ましい。
また、中間層4における高屈折率領域4aの占有面積比率(以下、高屈折率占有面積比率と呼ぶ)が0.5%以上の場合に、中間層4における長波長光の透過率が大きく向上し、90%以下の場合に短波長光の第1光電変換層3への高い反射効果が得られる。ここで、高屈折率占有面積比率とは、積層型薄膜太陽電池内に含まれる中間層4の平面全域において高屈折率領域4aが配置されている面積の比率である。したがって、第1光電変換層3および第2光電変換層5のいずれにおいても高い短絡電流密度を得るためには、高屈折率占有面積比率は0.5%〜90%であることが好ましい。さらに好ましくは15%〜65%である。高屈折率占有面積比率は、例えば、0.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90%である。高屈折率占有面積比率は、ここで例示した数値いずれか2つの間の範囲内であっても良い。
このような中間層4は、例えば母体として酸素含有量の小さな高屈折率領域4a(酸化シリコン)を第1光電変換層3上の全面に形成し、その後、局所的に酸素含有量を増加させることにより、低屈折率領域4bが形成される。局所的な酸素含有量の増加は、マスクプロセスを用いたイオン注入や、メタルマスキングによるイオン注入、局在プラズマによる酸素等の原子の打ち込み、レーザーによる局所的な酸素等の原子の打ち込み等により行うことができる。
なお、本実施の形態では中間層4が第1光電変換層3と第2光電変換層5との間に狭持される場合について説明しているが、3層以上の光電変換層が積層された構造を有する積層型薄膜太陽電池の場合は、上記の第1光電変換層3を「第X光電変換層」と、上記の第2光電変換層5を「第(X+1)光電変換層」と読み替えて一般化することができる。ここで、Xは積層された複数の光電変換層のうちの受光面からの順番を表す。そして、このような積層型薄膜太陽電池において、少なくとも一対の光電変換層(第X光電変換層と第(X+1)光電変換層)が酸化シリコンからなる中間層4を狭持する。
裏面透明導電膜6は、透光性導電材料からなり、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ITO等の透明性導電膜を用いることができる。なお、裏面透明導電膜6の膜中に微量の不純物が添加されていてもよい。例えば、酸化亜鉛(ZnO)が主成分である場合には5×1020〜5×1021cm−3程度のガリウム(Ga)やアルミニウム(Al)やボロン(B)といった第IIIB族元素、または銅(Cu)のようなIV族元素が含有されることにより抵抗率が低減するため、電極として使用するのに適している。裏面透明導電膜6の製法は、スパッタリング法、常圧CVD法、減圧CVD法、MOCVD法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、電析法、スプレー法等の公知の方法によって作製できる。
裏面電極層7は、裏面電極として機能するとともに、光電変換層で吸収されなかった光を反射して再度光電変換層に戻す反射層として機能するため、光電変換効率の向上に寄与する。したがって、裏面電極層7は、光反射率が大きく導電率が高い程好ましい。裏面電極層7は、例えば可視光反射率の高い銀(Ag)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)もしくはパラジウムなどの金属材料、またはこれらの金属材料の合金、これらの金属材料の窒化物、これらの金属材料の酸化物などにより形成することができる。なお、これらの裏面電極層7の具体的材料は特に限定されるものではなく、周知の材料から適宜に選択して用いることができる。
上述したように、実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池においては、高屈折率領域4aと低屈折率領域4bとを有し、面内方向において屈折率分布を有する中間層4が第1光電変換層3と第2光電変換層5との間に狭持されている。これにより、中間層4における反射光量と透過光量とを調整して、入射光の利用効率を高めることができる。すなわち、第1光電変換層3と中間層4との界面における短波長光の光反射を大きくして、第1光電変換層3へ反射される光量を増加させることにより第1光電変換層3で発生する光電流を増大させることができる。
また、高屈折率領域4aを備えることにより、該高屈折率領域4aに入射する入射光の反射(散乱)が抑制され、高い光透過率で入射光が中間層4(高屈折率領域4a)を透過し、第2光電変換層5への入射光量が増加する。これにより、第1光電変換層3における光電変換に寄与しない長波長光の利用効率を高めることができる。したがって、第1光電変換層3と第2光電変換層5との短絡電流密度を等しくするように高屈折率領域4aと低屈折率領域4bとを面内方向に配置することで、第1光電変換層3および第2光電変換層5ともに高い電流値を実現することができる。
また、中間層4は、面内において開口部を有さない、すなわち該開口部を形成するためのエッチング工程などが施されていないため、第1光電変換層3および中間層4の表面におけるテクスチャが崩れずに形成されており、良好な光閉じこめ効果を有する。また、開口部を形成するためのエッチング工程などが施されていないため、エッチング工程などによるダメージが第1光電変換層3のn型半導体層に与えられておらず、該ダメージによる再結合中心の生成が発生しない。
したがって、実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池においては、光電変換特性に優れた積層型薄膜太陽電池が実現されている。
次に、上記のように構成された本実施の形態にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法について図2−1〜図2−5を参照して説明する。図2−1〜図2−5は、実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。なお、図2−1〜図2−5においては、テクスチャの記載は省略する。
まず、透光性基板1を用意する。ここでは、透光性基板1として例えば平板状の白板ガラスを用いる。この透光性基板1上に前面透明電極層2を公知の方法で形成する。例えば、透光性基板1上に酸化亜鉛(ZnO)膜からなる前面透明電極層2をスパッタリング法により形成する(図2−1)。また、成膜方法として、CVD法などの他の成膜方法を用いてもよい。そして、例えばウェットエッチングにより前面透明電極層2の表面にテクスチャを形成する(図示せず)。
次に、前面透明電極層2上に第1光電変換層3としてp型半導体層3a、i型半導体層3b、およびn型半導体層3cを例えばプラズマCVD法により順次積層形成する(図2−2)。
次に、第1光電変換層3上の全面に中間層4の母体であり、酸素含有量の小さな高屈折率領域4aとなる酸化シリコン膜を一様に形成する。その後、局所的に酸素含有量が多くなるように酸化シリコン膜の酸素含有量を局所的に調整して、低屈折率領域4bを形成する。これにより、中間層4が得られる(図2−3)。
酸化シリコン膜の酸素含有量の調整(増加)は、マスクプロセスを用いたイオン注入や、メタルマスキングによるイオン注入、局在プラズマによる酸素等の原子の打ち込み、レーザーによる局所的な酸素等の原子の打ち込み等により行うことができる。なお、母体が酸化シリコンであっても、屈折率を低下させることができればよいため、打ち込む元素は特に酸素に限定されない。
次に、中間層4上に、第2光電変換層5としてp型半導体層5a、i型半導体層5b、およびn型半導体層5cを例えばプラズマCVD法により順次積層形成する(図2−4)。次に、第2光電変換層5上に裏面透明導電膜6を公知の方法で形成する。例えば、第2光電変換層5上に酸化亜鉛(ZnO)膜からなる裏面透明導電膜6をスパッタリング法により形成する。また、成膜方法として、CVD法などの他の成膜方法を用いてもよい。
続いて、裏面透明導電膜6上に裏面電極層7を公知の方法で形成する。例えば、裏面透明導電膜6上に高反射率を有する銀(Ag)膜からなる裏面電極層7をスパッタリング法により形成する(図2−5)。以上の処理により、図1に示す本実施の形態にかかる積層型薄膜太陽電池が得られる。
上述したように、本実施の形態にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法においては、高屈折率領域4aと低屈折率領域4bとを有し、面内方向において屈折率分布を有する中間層4を第1光電変換層3と第2光電変換層5との間に形成する。これにより、第1光電変換層3と中間層4との界面における短波長光の光反射を大きくして、第1光電変換層3へ反射される光量を増加させることにより第1光電変換層3で発生する光電流を増大させることができる。
また、本実施の形態にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法においては、高屈折率領域4aを形成することにより、該高屈折率領域4aに入射する入射光の反射(散乱)が抑制され、高い光透過率で入射光が中間層4(高屈折率領域4a)を透過し、第2光電変換層5への入射光量が増加する。これにより、第1光電変換層3における光電変換に寄与しない長波長光の利用効率を高めることができる。したがって、第1光電変換層3と第2光電変換層5との短絡電流密度を等しくするように高屈折率領域4aと低屈折率領域4bとを面内方向に配置することで、第1光電変換層3および第2光電変換層5ともに高い電流値を実現することができる。
また、本実施の形態にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法においては、中間層4を形成するに際して、その面内において開口部を形成しない。すなわち、中間層4を形成するに際して、開口部を形成するためのエッチング工程などが施されていない。このため、第1光電変換層3および中間層4の表面におけるテクスチャは、その形状が崩されることがなく、良好な光閉じこめ効果を有する。また、開口部を形成するためのエッチング工程などが施されていないため、エッチング工程などにより第1光電変換層3のn型半導体層にダメージを与えることがなく、該ダメージによる再結合中心の生成が発生しない。また、リソグラフィ工程などが不要なため、工程が簡便である。
したがって、本実施の形態にかかる積層型薄膜太陽電池の製造方法においては、光電変換特性に優れた積層型薄膜太陽電池を作製することができる。
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2にかかる薄膜太陽電池である積層型薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図3において実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池と同じ構成については図1と同じ符号を付すことで詳細な説明は省略する。実施の形態2にかかる積層型薄膜太陽電池が実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池と異なる点は、中間層4の代わりに窒化シリコンからなる中間層14を備える点であり、それ以外は実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池と同じ構成を有する。
すなわち、図3に示すように、実施の形態2にかかる積層型薄膜太陽電池は、透光性基板1、前面透明電極層2、第1光電変換層3、中間層14、第2光電変換層5、裏面透明導電膜6、裏面電極層7、が順次積層された構造を有する。この積層型薄膜太陽電池においては、透光性基板1側が光入射側である。
中間層14は、窒化シリコンからなり、隣接する第1光電変換層3と第2光電変換層5との間に狭持される。成膜順としては、中間層14は透光性基板1側から見て第2光電変換層5の上に形成されることになる。ここで窒化シリコンとは、主としてシリコン(Si)原子と窒素(N)原子とを含むものを意味し、シリコン(Si)、窒素(N)の化学量論比を限定するものではなく、また非晶質、多結晶、結晶のいずれをも含む。また、主成分の他に、酸素(O)原子や、水素(H)原子等の他の原子をも含ませることができる。窒化シリコンからなる中間層14は、プラズマCVD法により形成されることが一般的であり、シリコン(Si)原子を含むガスおよび窒素(N)原子を含むガスが使用される。
また、窒化シリコンは、膜中の窒素濃度を調整することによって屈折率を1.6〜3.6程度とされており、隣接する第1光電変換層3と比較してその値を小さくされている。例えば、窒化シリコンの波長600nmの光に対する屈折率は、1.6〜3.6程度とされる。
そして、中間層14は、該中間層14に隣接する一対の光電変換層が有する2つの屈折率の間の範囲内とされた屈折率を有し、且つ面内方向において屈折率分布を有することを特徴とする。すなわち、中間層14には、その面内方向において、異なる2種類の屈折率を有する領域を有する。中間層14は、その面内方向において相対的に屈折率の高い高屈折率領域14aと、相対的に屈折率の低い低屈折率領域14bとを有する。そして、2種類の屈折率、すなわち高屈折率領域14aの屈折率と低屈折率領域14bの屈折率とは、それぞれ中間層14を狭持している第1光電変換層3のn型半導体層3cの屈折率n1と第2光電変換層5のp型半導体層5aの屈折率n2と間の屈折率とされる。ここで、高屈折率領域14aの屈折率をn11’、低屈折率領域4bの屈折率をn12’とすると、これらの屈折率の大小関係は以下の式(2)で表される。
n1>n11’>n12’>n2 ・・・(2)
高屈折率領域14aは、高屈折率領域4aと同様に、反射光よりも透過光を増やすことで、ボトムセルへの入射光量を増幅させる機能を有する。すなわち、中間層14の面内方向において高屈折率領域14aが配置されていることにより、この高屈折率領域14aに入射する入射光の反射(散乱)が抑制され、入射光は高い光透過率で中間層14(高屈折率領域14a)を透過する。これにより、第2光電変換層5への入射光量が増加する。一方、低屈折率領域14bは、低屈折率領域4bと同様に、主として入射光を反射させることによってトップセル内での実質的な光路長を伸ばす役割を果たす。
したがって、第1光電変換層3と第2光電変換層5との短絡電流密度が等しくなるように、高屈折率領域14aと低屈折率領域14bとを面内方向に配置することで、高効率な積層型薄膜太陽電池を得ることができる。なお、中間層14における各屈折率領域の数は特に限定されず、上記の効果が得られれば、単数、複数の区別をしない。また、各屈折率領域の形状および大きさにおいても特に限定はなく、上記の効果が得られれば任意の形状、任意の大きさとすることができる。
本実施の形態においても、中間層14内の高屈折率領域14aにおいて長波長光を効率的に透過させることができ、第2光電変換層5における光電変換に寄与させることができる。このように本実施の形態においては、第1光電変換層3における光電変換に寄与しない長波長光の利用効率を高めることができる。また、各屈折率領域の大きさまたは面積比を調整することによって、第1光電変換層3および第2光電変換層5ともに高い電流値を実現できるため、光電変換効率が高い積層型薄膜太陽電池を得ることができる。
中間層14による第1光電変換層3への光反射効果は、中間層14の平均膜厚が5nm以上の場合に顕著に現れるため、中間層14の平均膜厚は5nm以上であることが好ましい。また、中間層14の平均膜厚が増加するにつれて、中間層14での光吸収が増加する。このため、中間層14での光吸収を抑制するために、中間層14の平均膜厚は500nm以下であることが好ましい。そして、中間層14の平均膜厚は、より好ましくは10nm〜100nmである。ここでの平均膜厚とは、中間層14の成膜の際のバラつきを含むものである。また、中間層14の平面形状は、中間層4と同様に該中間層14が形成される下層である第1光電変換層3の表面凹凸(テクスチャ)を追従している。
また、中間層14における高屈折率領域14aの占有面積比率(以下、高屈折率占有面積比率と呼ぶ)が0.5%以上の場合に、中間層14における長波長光の透過率が大きく向上し、90%以下の場合に短波長光の第1光電変換層3への高い反射効果が得られる。ここで、高屈折率占有面積比率とは、積層型薄膜太陽電池内に含まれる中間層14の平面全域において高屈折率領域14aが配置されている面積の比率である。したがって、第1光電変換層3および第2光電変換層5のいずれにおいても高い短絡電流密度を得るためには、高屈折率占有面積比率は0.5%〜90%であることが好ましい。さらに好ましくは15%〜65%である。高屈折率占有面積比率は、例えば、0.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90%である。高屈折率占有面積比率は、ここで例示した数値いずれか2つの間の範囲内であっても良い。
このような中間層14は、例えば母体として窒素含有量の小さな高屈折率領域14a(窒化シリコン)を第1光電変換層3上の全面に形成し、その後、局所的に窒素含有量を増加させることにより、低屈折率領域14bが形成される。局所的な窒素含有量の増加は、マスクプロセスを用いたイオン注入や、メタルマスキングによるイオン注入、局在プラズマによる酸素等の原子の打ち込み、レーザーによる局所的な酸素等の原子の打ち込み等により行うことができる。なお、実施の形態2にかかる積層型薄膜太陽電池は、中間層14を形成すること以外は、実施の形態1にかかる積層型薄膜太陽電池と同様にして作製することができる。
上述したように、実施の形態2にかかる積層型薄膜太陽電池においては、高屈折率領域14aと低屈折率領域14bとを有し、面内方向において屈折率分布を有する窒化シリコンからなる中間層14が第1光電変換層3と第2光電変換層5との間に狭持されている。これにより、中間層14における反射光量と透過光量とを調整して、入射光の利用効率を高めることができる。すなわち第1光電変換層3と中間層14との界面における短波長光の光反射を大きくして、第1光電変換層3へ反射される光量を増加させることにより第1光電変換層3で発生する光電流を増大させることができる。
また、高屈折率領域14aを備えることにより、該高屈折率領域14aに入射する入射光の反射(散乱)が抑制され、高い光透過率で入射光が中間層14(高屈折率領域14a)を透過し、第2光電変換層5への入射光量が増加する。これにより、第1光電変換層3における光電変換に寄与しない長波長光の利用効率を高めることができる。したがって、第1光電変換層3と第2光電変換層5との短絡電流密度を等しくするように高屈折率領域14aと低屈折率領域14bとを面内方向に配置することで、第1光電変換層3および第2光電変換層5ともに高い電流値を実現することができる。
また、中間層14は、面内において開口部を有さない、すなわち該開口部を形成するためのエッチング工程などが施されていないため、第1光電変換層3および中間層14の表面におけるテクスチャが崩れずに形成されており、良好な光閉じこめ効果を有する。また、開口部を形成するためのエッチング工程などが施されていないため、エッチング工程などによるダメージが第1光電変換層3のn型半導体層に与えられておらず、該ダメージによる再結合中心の生成が発生しない。また、リソグラフィ工程などが不要なため、工程が簡便である。
したがって、実施の形態2にかかる積層型薄膜太陽電池においては、実施の形態1の場合と同様に、光電変換特性に優れた積層型薄膜太陽電池が実現されている。
以上のように、本発明にかかる薄膜太陽電池は、光電変換効率に優れた積層型薄膜太陽の実現に有用である。
1 透光性基板
2 前面透明電極層
3 光電変換層
3a p型半導体層
3b i型半導体層
3c n型半導体層
4 中間層
4a 高屈折率領域
4b 低屈折率領域
5 光電変換層
5a p型半導体層
5b i型半導体層
5c n型半導体層
6 裏面透明導電膜
7 裏面電極層
14 中間層
14a 高屈折率領域
14b 低屈折率領域

Claims (8)

  1. 透光性基板上に、透明導電膜からなる第1電極層と、第1のp型半導体層と第1のi型半導体層と第1のn型半導体層とが前記第1電極層側から順次積層されてなり光電変換を行う第1光電変換層と、中間層と、第2のp型半導体層と第2のi型半導体層と第2のn型半導体層とが前記第1電極層側から順次積層されてなり光電変換を行う第2光電変換層と、第2電極層と、をこの順で有する薄膜太陽電池であって、
    前記中間層は、前記第1のn型半導体層の屈折率と前記第2のp型半導体層の屈折率との間の範囲内とされた屈折率を有し、且つ面内方向において屈折率分布を有すること、
    を特徴とする薄膜太陽電池。
  2. 前記中間層は、互いに屈折率が異なる屈折率領域として、相対的に屈折率の高い第1の屈折率領域と、相対的に屈折率の低い第2の屈折率領域と、を有すること、
    を特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池。
  3. 前記中間層は、主としてシリコン原子と酸素原子とを含む酸化シリコンからなること、
    を特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池。
  4. 前記中間層は、主としてシリコン原子と窒素原子とを含む窒化シリコンからなること、
    を特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池。
  5. 透光性基板上に、透明導電膜からなる第1電極層と、第1のp型半導体層と第1のi型半導体層と第1のn型半導体層とが前記第1電極層側から順次積層されてなり光電変換を行う第1光電変換層と、中間層と、第2のp型半導体層と第2のi型半導体層と第2のn型半導体層とが前記第1電極層側から順次積層されてなり光電変換を行う第2光電変換層と、第2電極層と、がこの順で積層された薄膜太陽電池の製造方法であって、
    前記透光性基板上に、前記第1電極層を形成する第1工程と、
    前記第1電極層上に、前記第1光電変換層を形成する第2工程と、
    前記第1光電変換層上に、前記第1のn型半導体層の屈折率と前記第2のp型半導体層の屈折率との間の範囲内とされた屈折率を有するとともに面内方向において屈折率分布を有する前記中間層を形成する第3工程と、
    前記中間層上に、前記第2光電変換層を形成する第4工程と、
    前記第2光電変換層上に、前記第2電極層を形成する第5工程と、
    を含むことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 前記中間層は、互いに屈折率が異なる屈折率領域として、相対的に屈折率の高い第1の屈折率領域と、相対的に屈折率の低い第2の屈折率領域と、を有すること、
    を特徴とする請求項5に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 前記中間層は、主としてシリコン原子と酸素原子とを含む酸化シリコンからなること、
    を特徴とする請求項5に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  8. 前記中間層は、主としてシリコン原子と窒素原子とを含む窒化シリコンからなること、
    を特徴とする請求項5に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
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