JP2014062784A - 表示機構、時計用ムーブメント、及び機械式時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】曜回し爪14と、曜回し爪14に噛合される曜伝え車17と、曜伝え車17の回転に伴って回転する作動カム21と、作動カム21に形成されているカム面22に接触し、作動カム21の回転に伴って揺動するカム従節25と、カム従節25の揺動に伴って往復動する曜針6とを備え、作動カム21を逆転方向へ回転させるように曜回し爪14が回転する際、この曜回し爪14と曜伝え車17との噛合いを解除することにより作動カム21の逆転方向への回転が抑制される抑制機構50を備えた。
【選択図】図2
Description
レトログラード表示機構としては、例えば、筒車からの回転が伝達される24時間車と、この24時間車と一体となって回転する曜回し爪(曜送り爪)と、曜回し爪に噛合される曜伝え車(曜中間車)と、曜伝え車と同軸上に配置され、この曜伝え車と一体的に回転する作動カムと、この作動カムに接触するカム従節(レバー)とを備えたものがある。そして、カム従節の変位に伴って指針が運針されるようになっている。
例えば、曜回し爪を弾性変形可能に構成し、曜伝え車を一方向(正転方向)に回転させる際には、この曜伝え車と曜回し爪とが噛合され、曜伝え車を他方向(逆転方向)に回転させる際には、曜回し爪が弾性変形して曜伝え車と噛合されないように構成されたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、曜回し爪が弾性変形したままの状態で曜回し車が停止すると、曜回し爪に応力がかかり続け、曜回し爪が損傷してしまう虞があるという課題がある。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る時計の一例である機械式時計のコンプリート表側の平面図である。尚、以下の説明において、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。ムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」又は「カバーガラス側」又は「文字板側」と称する。地板の両側のうち、時計ケースの裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」又は「裏蓋側」と称する。
図2は、曜レトログラード表示機構の平面図、図3は、曜レトログラード表示機構の断面図である。
図2、図3に示すように、曜レトログラード表示機構10は、時針4aが取り付けられている筒車11に外嵌固定され、筒車11と一体となって回転する中間歯車12を有している。この中間歯車12は、曜レトログラード表示機構10を駆動するための通常運針輪列の歯車としての役割を有している。
すなわち、図2において、曜伝え車17の回転中心C2は、24時間車13、及び曜回し爪14の回転中心C3と中間歯車12の回転中心C1とを結ぶ直線L2よりも右側に位置しており、24時間車13、及び曜回し爪14が右側に変位したとき、曜回し爪14の2つの爪部16a,16bと曜伝え車17の歯部17aとが噛合される。これに対し、24時間車13、及び曜回し爪14が左側に変位したとき、曜回し爪14の2つの爪部16a,16bと曜伝え車17の歯部17aとの噛合が解除される。
軸部18は、軸本体19と、この軸本体19の両端に突設されたほぞ20a,20bとが一体成形されたものである。軸本体19は、軸方向略中央に段差により拡径形成された拡径部19aと、この拡径部19aよりも第二地板130側(図3における下側)に形成されたフランジ部19bとを有している。そして、拡径部19aに曜伝え車17が外嵌固定されている。曜伝え車17は、フランジ部19bにより軸方向の位置決めが行われている。
一方、第二地板130に設けられた軸受部133は、第二地板130にほぞ30bを挿通可能な挿通孔133aを形成し、軸受部133として機能させている。これにより、第二地板130にほぞ30bが回転自在に支持される。
さらに、軸部30には、曜表示車29よりも第二地板130側にぜんまいばね31が設けられている。ぜんまいばね31により、曜表示車29が、作動レバー23を作動カム21側に向かって回転させる方向に付勢されている。すなわち、図2において、曜表示車29は、ぜんまいばね31によって矢印Y2方向(反時計回り方向)に向かって回転するように付勢されている。
次に、図2〜図4に基づいて、曜レトログラード表示機構10の動作について説明する。
図4は、曜レトログラード表示機構を構成する24時間車、及び曜回し爪の挙動を示す説明図であって、図2に対応している。
まず、図2、図3に基づいて、24時間車13、及び曜回し爪14の回転方向が、作動カム21を正転方向Y1(図2における時計回り方向)に回転させる方向となる場合、つまり、24時間車13が図2における反時計回り方向(矢印Y4参照)に向かって回転し、機械式時計1が通常運針される場合について説明する。
このとき、24時間車13の筒車11と噛合されている箇所(図2におけるAr1部参照)には、図2における右向きの力F1が作用するので、24時間車13が外嵌固定されている軸部15のホゾ15a,15bが、それぞれ第二輪列受120に形成されている長孔120a、及び第二地板130に形成されている長孔130aの右側に移動する。換言すれば、図2において、24時間車13、及び曜回し爪14は、曜伝え車17に近づく方向である右側に変位する。
ここで、24時間車13、及び曜回し爪14は、24時間で1回転するので、24時間経過すると、曜回し爪14の2つの爪部16a,16bによって、曜伝え車17が2歯分回転する。曜伝え車17の歯部17aは、14枚の歯により構成されているので、曜伝え車17は、1週間で1回転することになる。
ここで、作動面22aは、正転方向Y1(図2における時計回り方向)に回転したとき、その回転中心C2から外周方向に向かう半径が漸次大きくなるように滑らかに形成されている。このため、作動カム21が正転方向Y1に回転すると、回転中心C2から接触点P3が離間する方向に向かって変位する。すなわち、作動レバー23が軸部26を中心にして、図2における反時計回り方向(矢印Y5参照)に向かって回動する。
ここで、段差面22bは、作動面22aにおける回転中心C2からの半径が最小となる位置P1と最大となる位置P2とを結ぶように形成されている。これに加え、曜表示車29を支持する軸部30に作用するぜんまいばね31の復元力が作用し、再び作動面22aのうち、回転中心C2からの半径が最小となる位置P1とほぼ同位置に、カム従節25の接触点P3が位置するように、作動レバー23が速やかに図2における時計回り方向(矢印Y7参照)に向かって回転する。
尚、上述の動作は、時刻を調整すべく、24時間車13、及び曜回し爪14を正転方向Y1に向かって回転させるように、竜頭7を操作する場合も同様である。
このとき、24時間車13の筒車11と噛合されている箇所(図4におけるAr2部参照)には、図4における左向きの力F2が作用するので、24時間車13が外嵌固定されている軸部15のホゾ15a,15bが、それぞれ第二輪列受120に形成されている長孔120a、及び第二地板130に形成されている長孔130aの左側に移動する。換言すれば、図4において、24時間車13、及び曜回し爪14は、曜伝え車17から離れる方向である左側に変位する。
すなわち、24時間車13、及び曜回し爪14を支持する軸部15と、この軸部15を回転自在に支持し、長孔120a,130aが形成されている第二輪列受120、及び第二地板130と、曜回し爪14を付勢する揺動押さえばね41は、曜伝え車17、及び作動カム21の逆転方向Y1’への回転を抑制するための抑制機構50として機能している。
したがって、上述の実施形態によれば、曜伝え車17(作動カム21)の逆転方向Y1’への回転を防止するために、従来のように、曜回し爪14や曜伝え車17の剛性を弱める必要がなく、作動カム21の回転位置を精度よく調整することができると共に、曜回し爪14、曜伝え車17、作動レバー23の損傷を防止することができる。
例えば、上述の実施形態では、機械式時計1の文字板2の1時から5時に至る間に、曜日に関する情報を示す略扇形の曜レトログラード表示領域5を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、文字板2の1時から5時に至る間以外の領域に曜レトログラード表示領域5を設けてもよい。
5 曜レトログラード表示領域(表示部)
6 曜針(表示部)
10 曜レトログラード表示機構(表示機構)
11 筒車(動力部)
13 24時間車
14 曜回し爪
15 軸部(駆動軸)
17 曜伝え車(従動軸)
21 曜レトログラード作動カム(作動カム)
22 カム面
22a 作動面
22b 段差面
25 カム従節
32 曜ジャンパ
41 揺動押さえばね
50 抑制機構
100 ムーブメント(動力部、時計用ムーブメント)
120 第二輪列受(支持板)
120a,130a 長孔
130 第二地板(支持板)
C1,C2,C3 回転中心
P3 接触点
Y1 正転方向(一方向)
Y1’ 逆転方向(他方向)
Claims (7)
- 外部からの動力に応じて回転する駆動歯車と、
前記駆動歯車に噛合される従動歯車と、
前記従動歯車の回転に伴って回転し、カム従節が接触するカム面が形成されている作動カムと、
前記カム従節の変位に伴って揺動し、表示部に情報を表示するための指示部とを備え、
前記カム面には、
前記従動歯車が一方向に回転されたときに、前記作動カムの回転中心から前記カム従節との接触点を離間させる方向に向かって前記カム従節を変位させる作動面が形成されていると共に、
前記従動歯車が一方向に回転されたときに、前記作動カムの回転中心から前記接触点を接近させる方向に向かって前記カム従節を変位させる段差面が形成され、
前記従動歯車を他方向へ回転させる前記外部からの動力が、前記駆動歯車に伝達される際、この駆動歯車と前記従動歯車との噛合いを解除することにより前記従動歯車の他方向への回転が抑制される抑制機構を備えたことを特徴とする表示機構。 - 前記抑制機構は、前記駆動歯車を揺動させることにより、この駆動歯車と前記従動歯車との噛合いを解除するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示機構。
- 前記抑制機構は、
前記駆動歯車を支持する駆動軸と、
前記駆動軸の両端を回転自在に支持する一対の支持板と、
前記駆動歯車に摩擦抵抗力を付勢する揺動押さえばねとにより構成され、
前記一対の支持板に、前記駆動軸の径方向への揺動を許容する長孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の表示機構。 - 前記作動カムの前記カム面は、前記作動カムの回転中心から外周方向へ向かう半径が、最小値から最大値の間の値をとって、円周方向に連続して変化するように形成されており、
この連続して変化する面を前記作動面とすると共に、前記段差面を前記作動面の最大値と最小値とを結ぶ面としたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の表示機構。 - 前記駆動歯車は、24時間車、及び曜回し爪であり、
前記従動歯車は、曜伝え車であり、
前記指示部は、曜日を表示するように構成され、
前記曜伝え車の回転を規制する曜ジャンパを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の表示機構。 - 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の表示機構と、
前記駆動歯車を駆動させる動力部とを備えたことを特徴とする時計用ムーブメント。 - 請求項6に記載の時計用ムーブメントを備えたことを特徴とする機械式時計。
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