JP2014062645A - 断熱ユニット、断熱ユニットの製造方法および加熱炉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】柱状断熱部と、該柱状断熱部を被覆する被覆体とを有する断熱ユニットであって、前記柱状断熱部は、ナノ無機粒子を圧縮成形してなる板状の圧縮成形体を含み、前記被覆体は、前記柱状断熱部の少なくとも片側主表面および側面を被覆した状態で前記柱状断熱部に固定されることにより一体化されてなることを特徴とする断熱ユニットである。
【選択図】図5
Description
(1)柱状断熱部と、該柱状断熱部を被覆する被覆体とを有する断熱ユニットであって、
前記柱状断熱部は、ナノ無機粒子を圧縮成形してなる板状の圧縮成形体を含み、
前記被覆体は、前記柱状断熱部の少なくとも片側主表面および側面を被覆した状態で前記柱状断熱部に固定されることにより一体化されてなる
ことを特徴とする断熱ユニット、
(2)前記柱状断熱部が、前記板状の圧縮成形体を含む複数の板状の断熱材が積層形成されてなるものである上記(1)に記載の断熱ユニット、
(3)前記柱状断熱部が、断熱材として前記板状の圧縮成形体を二以上含む上記(1)または(2)に記載の断熱ユニット、
(4)前記柱状断熱部が、断熱材として高耐熱板状成形体を含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の断熱ユニット、
(5)前記被覆体が、内部に柱状断熱部を収容し得るように予め立体成形されてなるものである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の断熱ユニット、
(6)前記被覆体が固定具によって前記柱状断熱部に固定されてなる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の断熱ユニット、
(7)断熱ユニットを製造する方法であって、
ナノ無機粒子を圧縮成形してなる板状の圧縮成形体を含む柱状断熱部の少なくとも片側主表面および側面を被覆体で被覆し、次いで、
前記被覆体を、前記柱状断熱部に固定することにより一体化する
ことを特徴とする断熱ユニットの製造方法、および
(8)前記柱状断熱部が、前記板状の圧縮成形体を含む複数の板状の断熱材が積層形成されてなるものである上記(7)に記載の断熱ユニットの製造方法、
(9)前記被覆体を固定具によって前記柱状断熱部に固定して一体化する上記(7)または(8)に記載の断熱ユニット、
(10)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の断熱ユニットが、内壁材として複数配置されてなることを特徴とする加熱炉
を提供するものである。
本発明の断熱ユニットは、柱状断熱部と、該柱状断熱部を被覆する被覆体とを有する断熱ユニットであって、前記柱状断熱部は、ナノ無機粒子を圧縮成形してなる板状の圧縮成形体を含み、前記被覆体は、前記柱状断熱部の少なくとも片側主表面および側面を被覆した状態で前記柱状断熱部に固定されることにより一体化されてなることを特徴とするものである。
例えば、シリカの真密度は2.2×106g/m3であるため、比表面積が300m2/gであるシリカナノ粒子の平均直径(換算粒子径)は約9nmと算出される。
そして、一次粒子の平均直径が小さいナノ粒子を用いることにより、二次粒子内に形成される空隙のサイズを低減することができる。さらに、この空隙のサイズを低減することにより、第1の成形体内における空気の対流を効果的に防止することができる。したがって、例えば、一次粒子の平均直径が30nm未満であるナノ粒子を圧縮成形してなる圧縮成形体は、優れた断熱性を発揮することができる。
上記乾式加圧成形体、圧縮成形体aおよびそれ等の製造方法の詳細は、特許第4860005号公報に記載のとおりである。
より具体的には、例えば、気相法で製造されたフュームドシリカ微粒子及び/又はフュームドアルミナ微粒子を挙げることができ、中でも親水性フュームドシリカ微粒子及び/又は親水性フュームドアルミナ微粒子を好適に挙げることができる。
シリカ微粒子のシリカ(SiO2)含有量及びアルミナ微粒子のアルミナ(Al2O3)含有量は、例えば、それぞれ95重量%以上であることが好ましい。
なお、本出願書類において、金酸化物微粒子等の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製SALD−2100)により測定された、体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径(D50)を意味する。
無機繊維としては、非生体溶解性無機繊維及び生体溶解性無機繊維の何れであってもよく、例えば、上記ケイ酸アルカリ土類金属塩繊維は、生体溶解性の無機繊維である。
有機繊維として、具体的には、例えば、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維及びポリオレフィン繊維からなる群より選択される1種以上を挙げることができる。
なお、本出願書類において、平均繊維長および平均繊維径とは、測定試料300〜500本の繊維径と繊維長を光学顕微鏡で測定したときのそれぞれの算術平均値を意味する。
すなわち、乾式加圧成形体は、例えば、50〜98質量%の金属酸化物微粒子と2〜20質量%の補強繊維とを含むものであってもよいし、65〜80質量%の金属酸化物微粒子と5〜18質量%の補強繊維とを含むものであってもよい。
乾式加圧成形体が結合材を含まず、強度が不足する場合は、後述する養生工程を施し圧縮成形体aとすることによって、強度を効果的に向上させることができる。
輻射散乱材は、輻射による伝熱を低減することのできるものであれば特に限定されず、例えば、炭化珪素、ジルコニア、珪酸ジルコニウム及びチタニアからなる群より選択される1種以上を挙げることができる。
具体的には、例えば、水を収容した加熱可能な密閉容器(具体的には、例えば、到達温度が100℃以上の所定値に設定されたオートクレーブ)内に乾式加圧成形体を載置し、当該乾式加圧成形体を100℃以上の温度に加熱された密閉状態で所定時間保持することにより、当該乾式加圧成形体を養生する。
すなわち、圧縮成形体aは、平均粒径50nm以下の金属酸化物微粒子の一次粒子が、分子間力等により会合して二次粒子を形成し、当該二次粒子が補強繊維間に散在した構造を有し、金属酸化物微粒子によって、その内部に、空気分子の平均自由行程よりも小さい(径がナノメートルオーダーの)孔が形成された孔構造を有しており、低温域から高温域までの幅広い温度範囲で優れた断熱性能を発揮することができる。
圧縮成形体aが上記(a)の嵩密度及び圧縮強度を有する場合、当該嵩密度は、例えば、200kg/m3以上であってもよい。より具体的に、圧縮成形体aは、例えば、嵩密度が200kg/m3〜250kg/cm3であって0.6MPa以上(例えば、0.6MPa〜1.5MPa)であってもよく、嵩密度が250kg/m3を超え300kg/cm3以下の場合においては0.8MPa以上(例えば、0.8MPa〜2.0MPa)であってもよい。
圧縮成形体aは、例えば、800℃における熱伝導率が0.09W/(m・K)以下であるものが好ましく、0.06W/(m・K)以下であるものがより好ましく、0.05W/(m・K)以下であるものがさらに好ましい。
圧縮成形体aは、例えば、1000℃における熱伝導率が0.10W/(m・K)以下であるものが好ましい。
また、圧縮成形体の厚みは、得ようとする断熱ユニットの厚みや断熱ユニットに付与する断熱性等に応じて適宜決定すればよいが、20〜350mmであるものが適当であり、圧縮成形体を複数使用する場合、圧縮成形体一枚当たり20〜60mmであるものがより適当である。
上記圧縮成形体以外の断熱材としては、高耐熱板状成形体や、珪酸カルシウムを主成分とする珪酸カルシウム質板状成形体であってもよい。
なお、本出願書類において、「耐熱性無機繊維を主成分とする」とは、無機繊維集合体を構成する全繊維に対する耐熱性無機繊維の含有割合が、80〜100質量%であることを意味するものとする。
無機粉末としては、例えば、アルミナ、ムライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、チタニア、ジルコニア等のセラミックス粉末、カーボンブラック等の炭素粉末等から選ばれる一種以上が挙げられる。
バインダーとしては、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾルといった無機バインダーや、アクリル樹脂、澱粉、ポリアクリルアミドといった有機バインダーから選ばれる1種以上を挙げることができる。
また、600℃における熱伝導率が0.3W/mK以下であることが好ましく、0.2W/mK以下であることがより好ましく、0.1W/mK以下であることがさらに好ましい。
なお、こうした結晶の有無は、X線回析により各種結晶に特有の回析ピークが得られるため、珪酸カルシウム質板状成形体の表面をX線回析すれば容易に判断することができる。
上記珪酸カルシウム質板状成形体は、上記充填材を、珪酸カルシウム100質量部に対して、0〜20質量部含むものが好ましく、0〜10質量部含むものがより好ましい。
上記珪酸カルシウム質板状成形体は、上記補強繊維を、珪酸カルシウム100質量部に対して、0〜20質量部含むものが好ましく、5〜10質量部含むものがより好ましい。
上記珪酸カルシウム質板状成形体は、上記軽量骨材を、珪酸カルシウム100質量部に対して、0〜20質量部含むものが好ましく、5〜10質量部を含むものがより好ましい。
また、600℃における熱伝導率が0.2W/mK以下であることが適当であり、0.18W/mK以下であることがより適当であり、0.16W/mK以下であることがさらに適当である。
また、高耐熱板状成形体や珪酸カルシウム質板状成形体等の断熱材の厚みは、断熱ユニットの厚みや断熱ユニットに付与する断熱性等に応じて適宜決定すればよいが、20〜350mmであるものが適当であり、上記断熱材を複数使用する場合、断熱材一枚当たり20〜60mmであることがより適当である。
本発明の断熱ユニットにおいて、柱状断熱部は、断熱材として板状の圧縮成形体を二以上含むものであってもよいし、板状の圧縮成形体とともに板状の圧縮成形体以外の断熱材を含むものであってもよい。
本発明の断熱ユニットにおいて、柱状断熱部は、板状の圧縮成形体を含む複数の板状の断熱材が積層形成されてなるものであってもよく、この場合、柱状断熱部は、複数の板状の圧縮成形体が積層形成されてなるものであってもよいし、板状の圧縮成形体と共に板状の圧縮成形体以外の板状の断熱材が積層形成されてなるものであってもよい。板状の圧縮成形体以外の板状の断熱材としては、上述した高耐熱板状成形体や珪酸カルシウム質板状成形体等を挙げることができる。
例えば、本発明の断熱ユニットにおいて、板状の圧縮成形耐と高耐熱板状成形体とを併用する場合、一般に、板状の圧縮成形体に比較して高耐熱板状成形体の方が耐熱性が高いことから、高耐熱板状成形体を配置した後、板状の圧縮成形体を積層する(あるいは板状の圧縮成形体を配置した後、高耐熱板状成形体を積層する)ことが好ましい。
このように耐熱性が高いものから(あるいは耐熱性が低いものから)順番に積層し、炉材等として使用する際に耐熱性の高い断熱材を配置した側を炉内部側(加熱室側)に向けて設置することにより、断熱ユニットの耐熱性を効果的に向上させることができる。
例えば、本発明の断熱ユニットにおいて、板状の圧縮成形耐と高耐熱板状成形体とを併用する場合、一般に、板状の圧縮成形体に比較して高耐熱板状成形体の方が耐食性が高いことから、高耐熱板状成形体を配置した後、板状の圧縮成形体を積層する(あるいは板状の圧縮成形体を配置した後、高耐熱板状成形体を積層する)ことが好ましい。
このように耐食性が高いものから(あるいは耐食性が低いものから)順番に積層し、炉材等として使用する際に耐食性の高い断熱材を配置した側を炉内部側(加熱室側)に向けて設置することにより、断熱ユニットの耐食性を効果的に向上させることができる。
本発明の断熱ユニットにおいて、柱状断熱部のサイズは、本発明の断熱ユニットに付与しようとする特性(断熱性、耐熱性、耐食性等)や、本発明の断熱ユニットを配置するスペースによって適宜規定される。
無機繊維質被覆体としては、例えば、無機繊維ブランケット、無機繊維フェルト、無機繊維モールド成形品、無機繊維クロス、無機繊維ペーパー等を挙げることができる。
無機繊維ブランケットは、耐熱性無機繊維からなるものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、ニチアス(株)製ファインフレックス(登録商標)ブランケット TOMBO No.5120、5220、5320等を挙げることができる。
本発明の断熱ユニットにおいて、被覆体が無機繊維ブランケットである場合、無機繊維ブランケットは一定の伸縮性を有するために、複数の断熱ユニットを並置しつつ施工したときに、断熱ユニットを構成する無機繊維ブランケットが圧縮され、隣接する断熱ユニット間に形成される目地(隙間)を好適に塞ぐことによって、所望の断熱性を容易に発揮することができる。
無機繊維フェルトは、耐熱性無機繊維からなるものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、ニチアス(株)製ファインフレックス(登録商標)1300フェルト TOMBO No.5110等を挙げることができる。
無機繊維モールド成形品は、耐熱性無機繊維からなるものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、ニチアス(株)製ファインフレックス(登録商標)モールド品 TOMBO No.5410等を挙げることができる。
また、無機繊維ウェットフェルトは、上記無機繊維ブランケットに無機バインダーを含浸させ、袋内に保存して湿潤状態を保持させたものであり、容易に曲面加工し得るものである。
無機繊維ウェットフェルトは、耐熱性無機繊維からなるものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、ニチアス(株)製ファインフレックス(登録商標)1300ウェットフェルト TOMBO No.5115等を挙げることができる。
本発明の断熱ユニットにおいて、被覆体が無機繊維モールド成形品である場合、無機繊維モールド成形品は予め所定形状に成形されてなるものであることから、柱状断熱部を被覆する際に被覆体による合わせ目を形成することなく被覆することができることから、被覆体の合わせ目に目地(隙間)を形成することなく柱状断熱部を被覆することができる。
無機繊維クロスは、耐熱性無機繊維からなるものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、ニチアス(株)製ファインフレックス(登録商標)紡織品クロス TOMBO No.8450等を挙げることができる。
無機繊維ペーパーは、耐熱性無機繊維からなるものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、ニチアス(株)製ファインフレックス(登録商標)1300ペーパー−T TOMBO No.5130−T等を挙げることができる。
また、特許文献1記載の断熱材を炉材として使用する場合、焼成対象となる部材によっては、炉内においてリチウムガスやナトリウムガスなどのアルカリガスが発生する場合があったり、各種金属のロウ付けを行う際に炉内の雰囲気を還元雰囲気にする必要があり、上記アルカリガスや還元雰囲気ガスによって工業炉内部の炉材が侵食されて、剥離、クラック、脱落等の損耗を受け易くなる。
これに対して、本発明の断熱ユニットにおいて、被覆材が無機繊維質被覆体である場合には、無機微粒子の飛散を抑制し得るとともに、耐熱性や耐食性に優れることから、断熱ユニットとして好適に使用することができる。
有機材料製被覆体は、有機繊維をシート状に加工してなるものを意味する。
本発明の断熱ユニットにおいて、有機材料製被覆体としては、例えば、有機フィルム、有機繊維クロス、有機繊維不織布等を挙げることができる。
有機フィルムとして、具体的には、アイオノマーフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクソロニトリルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、エチレン-メタクリル酸共重合体フィルム、ナイロンフィルム、セロファンフィルムから選ばれる一種以上を挙げることができる。
有機フィルムとしては、熱収縮性、すなわち加熱により収縮する性質を有するフィルム(熱収縮シート)であることが好ましく、熱収縮シートで柱状断熱部を被覆した後、加熱して収縮させることにより、柱状断熱部に密着した状態で容易に被覆することができ、高い生産性の下で断熱ユニットを作製することができる。
有機繊維クロスとして、具体的には、木綿、絹、麻、モヘヤ、ウール、カシミア、アセテート、キュプラ、レーヨン、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、フィストップ、カーボン等から選ばれる一種以上の有機繊維から構成される布を挙げることができる。
紙として、具体的には、和紙、洋紙、板紙等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
不織布として、具体的には、アラミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、カーボン繊維等から選ばれる一種以上の繊維からなるものを挙げることができる。
例えば、無機繊維質被覆体が無機繊維ブランケットである場合、平均厚みは、1〜25mmであることが好ましく、3〜25mmであることがより好ましく、3〜12.5mmであることがさらに好ましい。また、無機繊維質被覆体が無機繊維クロスである場合、平均厚みが0.1〜2mmであることが好ましく、0.2〜2mmであることがより好ましく、0.2〜1mmであることがさらに好ましい。
また、例えば、有機材料製被覆体が有機フィルムである場合、平均厚みは、0.005〜25.0mmであることが好ましく、0.005〜15mmであることがより好ましい。
有機材料製被覆体は、施工した後、使用時の熱により消失し易く、均一な断熱性を長期に亘って発揮する上では、使用時の熱によって消失し易い薄膜状のものであることが好ましい。
本発明の断熱ユニットにおいて、被覆体の厚みが上記範囲内にあることにより、製造時または施工時における柱状断熱部からの無機微粒子の飛散を効果的に抑制することができる。また、被覆体が無機繊維質被覆体である場合には、被覆体の厚みが上記範囲内にあることにより、耐熱性や耐食性を効果的に発揮することができる。
また、本発明の断熱ユニットにおいて、被覆体が無機繊維質被覆体であり、無機繊維質被覆体が例えば無機繊維クロスである場合、その坪量は、200〜2500g/m2であることが好ましく、400〜2000g/m2であることがより好ましく、500〜1200g/m2であることがさらに好ましい。
本発明の断熱ユニットにおいて、被覆体が有機材料製被覆体であり、有機材料製被覆体が有機フィルムである場合、その密度は、0.5〜2.0g/cm3であることが好ましく、0.6〜1.9g/cm3であることがより好ましく、0.7〜1.8g/cm3であることがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、上記引張強度S(MPa)は、幅W(mm)、厚さT(mm)である試験片の両端を保持した状態で荷重速度20mm/分で試験片に引張負荷を与えたときに、試験片に切断、はがれ等の変化が生じる最大負荷荷重値F(MPa)を求め、次式により算出した値を意味する。
S=F/W×T
このため、被覆体の組み付け時に形成される合わせ目は、接着剤等で塞ぐことにより封止することが好ましい。
上記接着剤としては、例えば、有機バインダーと、無機バインダーと、無機充填材と、必要に応じて溶媒を含む組成物を挙げることができ、具体的には、アルミナおよびシリカを主構成成分として含むものが好ましく、アルミナ75〜95質量%、シリカ4〜24質量%を含むものがより好ましく、アルミナ80〜90質量%、シリカ9〜19質量%を含むものがさらに好ましい。
上記接着剤としては、例えばニチアス株式会社製FF接着剤等を市場から入手することもできる。
上記被覆体の立体成形物は、型内で押圧成形されてなるものであってもよいし、コテ等で成形されてなるものであってもよい。
例えば、柱状断熱部の形状が図1に示すように四角柱形状である場合、被覆体の形状は、予め上方が開放された箱形状に成すように型内で立体成形されてなるものであることが好ましい。
本発明の断熱ユニットにおいては、柱状断熱部の全面が被覆体で被覆されてなるものであってもよい。
上記止着具は、強度および耐熱性等を考慮して、ステンレス鋼(SUS)製のものや、ジルコニア、アルミナ、ムライトといったセラミック製のもの等が好ましい。
帯部材の厚みや幅は、被覆体のサイズ等に応じて適宜選択することができる。
また、帯部材の数も特に制限されず、一本または複数本であってよい。
帯部材は、適宜締付具やストッパーを用いて帯部材を締付けることにより、柱状断熱部に固定することができる。
上記接着剤としては、例えばニチアス株式会社製FF接着剤等を市場から入手することもできる。
なお、本出願書類において、強熱減量(質量%)は、質量WR(g)のルツボ中に試験片を入れ、20℃の温度下において相対湿度65%で24時間保持したときの試験片を含むルツボの質量をW(g)とし、この試験片を含むルツボを1000℃で30分加熱し、放冷したときの試験片を含むルツボの質量をW1(g)としたときに、下記式により算出される値を意味する。
強熱減量(質量%)={(W−W1)/(W−WR)}×100
なお、強熱減量の算出にあたり、WR(g)、W(g)、W1(g)は、それぞれ小数点以下3桁まで測定される。
また、被覆体として無機繊維質被覆体を使用する場合には、さらに耐熱性や耐食性を容易に付与することができる。
本発明の断熱ユニットの製造方法は、ナノ無機粒子を圧縮成形してなる板状の圧縮成形体を含む柱状断熱部の少なくとも片側主表面および側面を被覆体で被覆し、次いで、前記被覆体を、前記柱状断熱部に固定することにより一体化することを特徴とするものである。
また、ナノ無機粒子を圧縮成形してなる板状の圧縮成形体を含む柱状断熱部の詳細も、上述したとおりである。
本発明の断熱ユニットの製造方法において、被覆体の詳細も、上述したとおりである。
固定具を固定する器具は、固定具の種類によって適宜選定されるが、例えば、タッカー、ホチキス、金槌、インパクトドライバー、締付具、ストッパー等を挙げることができる。
あるいは、図6に示すように、帯部材Oとして、無機材料製クロスバンドを2本使用して(図示しない)締付具により被覆体Cを締め付け、柱状断熱部Bに被覆体Cを固定することにより、目的とする断熱ユニットを得ることができる。
また、被覆体として無機繊維質被覆体を使用する場合には、さらに耐熱性や耐食性を有する断熱ユニットを容易に作製することができる。
例えば、図7に示すように、断熱材P1、断熱材P2および断熱材P3を積層して柱状断熱部Bを形成する際に、予め上記断熱材P1、断熱材P2および断熱材P3を貫通するピン孔rを設けておき、上記断熱材の何れか(図7に示す例では断熱材P1)のピン孔rの周囲を一部削り落して凹部を形成した上で、当該凹部に対し、図7に示すように金属バネ板からなる係合部材n1を有する受材部材nを差し込んで、断熱材間に受座部材nが固定された柱状断熱部Bを成し、さらに得られた柱状断熱部Bの外表面に被覆体Cを固定して断熱ユニットを成す。
図7に示すように、この断熱ユニットの設置位置に予め複数の微小突起m1を有するピンmを立設した状態で、上記ピン孔rにピンmを案内するようにして上記断熱ユニットをピンmに押し入れる。
図8は、図7に示す断熱ユニットをピンmに押し入れ固定する際の形態を示す部分断面の模式図(拡大図)である。
図8(a)に示すように、ピン孔rにピンmを案内するようにして上記断熱ユニットをピンmに押し入れると、断熱ユニットの押し入れ時には、上記金属バネ板からなる係合部材n1がピンmに押し退けられつつ円滑に押し入れることができ、図8(b)に示すように、断熱ユニットの押し入れを停止すると、弾性反発力により係合部材n1の先端はピンmの微小突起m1に係合し、断熱ユニットを強固に固定することができる。
図9に示すように、この断熱ユニットの設置位置に予め端部外表面にネジ山が設けられたピンmを立設した状態で、上記ピン孔rにピンmを案内するようにして上記断熱ユニットをピンmに押し入れ、ピンmの端部にナットoを螺合してピン孔rの内径拡大部で締め付けることにより、断熱ユニットを強固に固定することもできる。
本発明の加熱炉は、本発明の断熱ユニットが、内壁材として複数配置されてなることを特徴とするものである。
このような加熱炉としては、例えば、周囲が外壁材で囲まれた炉の内側の壁の一部または全体に、内壁材として本発明の断熱ユニットを無機繊維質被覆体を設けた主表面が炉内部側に面するように複数配置してなることにより、炉の内部(加熱室)の形状が規定されてなるものを挙げることができる。
被覆体が無機繊維質被覆体である場合、加熱炉の内壁材として配置された断熱ユニットを構成する無機繊維質被覆体の嵩密度は、160〜400kg/m3であることが好ましく、200〜350kg/m3であることがより好ましく、200〜300kg/m3であることがさらに好ましい。
ナノ無機粒子を圧縮成形してなる板状の圧縮成形体として、ニチアス(株)製ロスリムボードGH(嵩密度250kg/m3、800℃における熱伝導率0.044W/(m・K)、圧縮強度(10%圧縮歪)1.02MPa、縦200mm、横200mm、厚さ50mm)を2枚用意するとともに、珪酸カルシウムを主成分とする珪酸カルシウム質板状成形体として、日本ケイカル(株)製ケイカルエクセル(嵩密度150kg/m3、600℃における熱伝導率0.108W/(m・K)、圧縮強度1.10MPa、縦200mm、横200mm、厚さ50mm)を1枚用意した。
図1に示すように、断熱材P1およびP2として上記板状の圧縮成形体を積層し、断熱材P3として上記珪酸カルシウム質板状成形体を積層配置することにより、柱状断熱部を形成した。
Claims (10)
- 柱状断熱部と、該柱状断熱部を被覆する被覆体とを有する断熱ユニットであって、
前記柱状断熱部は、ナノ無機粒子を圧縮成形してなる板状の圧縮成形体を含み、
前記被覆体は、前記柱状断熱部の少なくとも片側主表面および側面を被覆した状態で前記柱状断熱部に固定されることにより一体化されてなる
ことを特徴とする断熱ユニット。 - 前記柱状断熱部が、前記板状の圧縮成形体を含む複数の板状の断熱材が積層形成されてなるものである請求項1に記載の断熱ユニット。
- 前記柱状断熱部が、断熱材として前記板状の圧縮成形体を二以上含む請求項1または請求項2に記載の断熱ユニット。
- 前記柱状断熱部が、断熱材として高耐熱板状成形体を含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載の断熱ユニット。
- 前記被覆体が、内部に柱状断熱部を収容し得るように予め立体成形されてなるものである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の断熱ユニット。
- 前記被覆体が固定具によって前記柱状断熱部に固定されてなる請求項1〜請求項5のいずれかに記載の断熱ユニット。
- 断熱ユニットを製造する方法であって、
ナノ無機粒子を圧縮成形してなる板状の圧縮成形体を含む柱状断熱部の少なくとも片側主表面および側面を被覆体で被覆し、次いで、
前記被覆体を、前記柱状断熱部に固定することにより一体化する
ことを特徴とする断熱ユニットの製造方法。 - 前記柱状断熱部が、前記板状の圧縮成形体を含む複数の板状の断熱材が積層形成されてなるものである請求項7に記載の断熱ユニットの製造方法。
- 前記被覆体を固定具によって前記柱状断熱部に固定して一体化する請求項7または請求項8に記載の断熱ユニット。
- 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の断熱ユニットが、内壁材として複数配置されてなることを特徴とする加熱炉。
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