JP7163330B2 - 積層断熱材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
1.無機繊維を含む第1断熱材と、
無機繊維を含み、前記第1断熱材より、600℃における熱伝導率が低く、圧縮率25%における圧縮応力が高い第2断熱材との積層物を含む積層断熱材であって、
前記第1断熱材の積層方向の厚さをA、前記第2断熱材の積層方向の厚さをBとしたとき、前記AとBの比が以下の式(1)を満たし、かつ、Bが10mm以下であることを特徴とする積層断熱材。
1<A/B<5 (1)
2.前記第1断熱材の圧縮率25%における圧縮応力は50kPa以下であり、前記第2断熱材の圧縮率25%における圧縮応力は100kPa以上である1に記載の積層断熱材。
3.前記第1断熱材の積層方向の厚さAが10mmを超え、
前記積層断熱材の積層方向の厚さが30mm未満である1又は2に記載の積層断熱材。
4.前記第1断熱材の引張強さが35.0N/50mm/25mm以上であり、前記第2断熱材の引張強さが500N/25mm/10mm以下であり、前記積層断熱材の引張強さは、800N/25mm/17.5mmから2000N/25mm/17.5mmである1乃至3の何れか一項に記載の積層断熱材。
5.前記積層断熱材を外径33.3mmの管に巻きつけ、前記積層断熱材の内面の少なくとも一部が前記管の外面と接しているとき、前記積層断熱材の内面と前記管の外面との最大離隔距離が10mm未満である1乃至4の何れか一項に記載の積層断熱材。
6.前記積層物を包装する包装材を備え、前記包装材は、前記第1断熱材と前記第2断熱材より、引張強さが高い1乃至5の何れか一項に記載の積層断熱材。
7.前記包装材が、片面が樹脂コートされたシリカクロスである6に記載の積層断熱材。
8.無機繊維を含み、厚さAを有する第1断熱材と、
無機繊維を含み、前記第1断熱材より、600℃における熱伝導率が低く、圧縮率25%における圧縮応力が高い第2断熱材であって、10mm以下である厚さBを有し、前記AとBの比が以下の式(1)を満たす第2断熱材とを、
積層することを、含む積層断熱材の製造方法。
1<A/B<5 (1)
尚、本発明の積層断熱材は、我が国の原子力発電所だけで無く、海外の原子力発電所にも使用でき、また、原子力発電所に限定されず、耐火が求められる全ての場所(施設)に使用できる。
1<A/B<5 (1)
1.5≦A/B≦3.5 (2)
より好ましくは、AとBの比が以下の式(3)を満たす。
2.0≦A/B≦2.5 (3)
第1断熱材の600℃における熱伝導率は、例えば0.01W/(m・K)以上、0.05W/(m・K)以上、又は0.13W/(m・K)以上である。下限は例えば1.0W/(m・K)以下又は0.5W/(m・K)以下である。熱伝導率が低いと断熱性が良くなる。また、第1断熱材の耐熱温度(8時間加熱して収縮率4%以下の温度)は、好ましくは1000℃以上であり、より好ましくは1300℃以上であり、さらに好ましくは1500℃以上である。上限は例えば1700℃とできる。
圧縮率25%における圧縮応力は、好ましくは50kPa以下であり、より好ましくは40kPa以下であり、さらに好ましくは25kPa以下である。下限は例えば5kPaとできる。圧縮応力が低いと施工性が良くなる。
生体溶解性繊維は、一般に、主成分として、シリカ及び/又はアルミナに、アルカリ金属酸化物(Na2O,K2O等)、アルカリ土類金属酸化物(CaO等)、マグネシア、ジルコニア、チタニアから選択される1以上を含む。他の酸化物も含むことができる。
SiO2とZrO2とAl2O3とTiO2との合計 50重量%~82重量%
アルカリ金属酸化物とアルカリ土類金属酸化物との合計 18重量%~50重量%
SiO2 50重量%~82重量%
CaOとMgOとの合計 10重量%~43重量%
[組成1]
SiO2 70~82重量%
CaO 1~9重量%
MgO 10~29重量%
Al2O3 3重量%未満
[組成2]
SiO2 70~82重量%
CaO 10~29重量%
MgO 1重量%以下
Al2O3 3重量%未満
加熱後においても溶解性が高い観点から、組成2が好ましい。
SiO2、MgO及びCaOの3成分を主成分とし、以下の組成を有する無機繊維。
SiO2:73.6重量%~85.9重量%
MgO:9.0重量%~15.0重量%
CaO:5.1重量%~12.4重量%
Al2O3:0重量%以上2.3重量%未満
Fe2O3:0重量%~0.50重量%
SrO:0.1重量%未満
主成分とは、無機繊維が含む全ての成分のうち最も含有量(重量%)の高い3成分(1番含有量が高い成分、2番目に含有量が高い成分、及び3番目に含有量が高い成分の3成分)がSiO2、MgO及びCaOであることを意味する。
第2断熱材の600℃における熱伝導率は、例えば0.5W/(m・K)以下、0.3W/(m・K)以下、又は0.13W/(m・K)以下である。下限は例えば0.1W/(m・K)とできる。
圧縮率25%における圧縮応力は、例えば80kPa以上、又は100kPa以上であり、上限は例えば400kPaとできる。
第2断熱材は、第1断熱材で説明した無機繊維を含むことができる。
好ましくは、特表2004-517222号公報に記載されるようなエアロゲルと無機繊維の複合材を用いることができる。
この複合材は、エアロゲルマトリックスが、無機繊維の不織バットにより補強されたものである。無機繊維として、ガラス繊維、セラミックス繊維等を用いることができる。第1断熱材に用いる生体溶解性繊維も用いてもよい。
繊維バットに用いる繊維と微細繊維は、例えば、ガラス繊維、石英等の無機繊維である。繊維バットと微細繊維は、同じ繊維を用いてもよいし異なる繊維を用いてもよい。
・熱伝導率
第1断熱材の熱伝導率は、特開2016-065360号公報に記載の周期加熱法により測定した。
第2断熱材の熱伝導率は、ASTM C177に準拠し、1.41N/cm2積荷で測定した。
縦75mm×横75mmのサンプルを準備した。
圧縮応力を、以下の式に従い、サンプル圧縮時の荷重値を、サンプルの面積(縦寸法と横寸法)で除算して求めた。圧縮時の荷重は、材料試験機(オートグラフ、島津製作所)を用いて所定の圧縮率(厚さ)まで圧縮(2mm/min)した際の荷重値とした。
圧縮応力(kPa)=測定荷重(N)÷サンプル面積(m2)÷1000
第1断熱材は、材料試験機(オートグラフ、島津製作所)を用いて引張速度20mm/minで試験した。第1断熱材の試験体サイズは150mm×50mm×25mmとした。引張強さは以下の式に従い、サンプル破断時の荷重値に、サンプルの横寸法と厚さを併記して記載した。
引張強さ=測定荷重(N)/横寸法(mm)/厚さ(mm)
引張強さ=測定荷重(N)/横寸法(mm)/厚さ(mm)
以下の断熱材A、断熱材Bを用いて、図2に示す積層物100を作製し、加熱試験を実施した。
・断熱材A(第1断熱材):生体溶解性繊維ブランケット(生体溶解性繊維組成:SiO2含有量約77質量%、CaO含有量約9質量%、MgO含有量約13質量%、Al2O3含有量約1質量%)(密度130kg/m3、耐熱温度1300℃、600℃における熱伝導率0.17W/(m・K)、800℃における熱伝導率0.22W/(m・K)、圧縮率25%のときの圧縮応力16.4kPa、引張強さ37.5N/50mm/25mm)
・断熱材B(第2断熱材):エアロゲル・無機繊維複合材(パイロジェルXT、アスペン(株))(耐熱温度700℃以上、600℃における熱伝導率0.089W/(m・K)、圧縮率25%のときの圧縮応力201.3kPa、引張強さ500N/50mm/25mm)
熱電対を電気炉内のヒーターと積層断熱材の間(図2の220)、断熱材Aと断熱材Bの間(図2の230)、断熱材Bの外側の面(断熱材Aと接する面と反対側の面)(図2の240)に設置した。断熱材Bの外側の面に設置した熱電対が周囲の空気(対流)の影響を受けないように、生体溶解性繊維ブランケット(繊維の組成は断熱材Aの繊維と同じ)からなる対流対策材300を断熱材Bの外側にさらに被せた。
実施例1で用いた断熱材Aと断熱材Bを積層して積層物を作製し、さらにシリカクロス(目付け:590~750g/m2、引張強さ:縦1423.8N/25mm、横435.8N/25mm)で包装して積層断熱材(引張強さ:縦1780N/25mm/17.5mm、横833.7N/25mm/17.5mm)を作製した。比較例4だけは断熱材Bだけを用いて包装した。実施例2、比較例4~6で用いた断熱材Aと断熱材Bの厚さは表2に示す。
この積層断熱材を用いて巻き付け試験を実施した。具体的には、積層断熱材を、外径33.3mmの管に巻き付け、積層断熱材の内面の少なくとも一部が管の外面と接している状態において、積層断熱材の内面と管の外面との最大離隔距離を測定した。結果を表2に示す。
11 積層断熱材の管側の内面
20 管
21 管の積層断熱材側の外面
100 積層物
110 断熱材A(第1断熱材)
120 断熱材B(第2断熱材)
200 電気炉
210 ヒーター
220,230,240 熱電対の位置
300 対流対策材
Claims (10)
- 無機繊維を含む第1断熱材と、
無機繊維を含み、前記第1断熱材より、600℃における熱伝導率が低く、圧縮率25%における圧縮応力が高い第2断熱材との積層物を含む積層断熱材であって、
前記第1断熱材の600℃における熱伝導率が0.13W/(m・K)以上であり、前記第2断熱材の600℃における熱伝導率が0.13W/(m・K)以下であり、
前記第1断熱材の積層方向の厚さをA、前記第2断熱材の積層方向の厚さをBとしたとき、前記AとBの比が以下の式(1)を満たし、かつ、Aが10mmを超え、Bが10mm以下であり、災害に対する耐火構造として用いられることを特徴とする積層断熱材。
1<A/B<5 (1) - 前記積層断熱材の密度が80kg/m3以上200kg/m3未満である請求項1に記載の積層断熱材。
- 前記第2断熱材が無機繊維を20~70重量%含む請求項1又は2に記載の積層断熱材。
- 前記第1断熱材の圧縮率25%における圧縮応力は50kPa以下であり、前記第2断熱材の圧縮率25%における圧縮応力は100kPa以上である請求項1乃至3の何れか一項に記載の積層断熱材。
- 前記積層断熱材の積層方向の厚さが30mm未満である請求項1乃至4の何れか一項に記載の積層断熱材。
- 前記第1断熱材の引張強さが横寸法50mm、厚さ25mm及び測定荷重35.0Nから算出される0.028N/mm2以上であり、前記第2断熱材の引張強さが横寸法25mm、厚さ10mm及び測定荷重500Nから算出される2N/mm2以下であり、前記積層断熱材の引張強さは、横寸法25mm、厚さ17.5mm及び測定荷重800Nから算出される1.8N/mm2から横寸法25mm、厚さ17.5mm及び測定荷重2000Nから算出される4.6N/mm2である請求項1乃至5の何れか一項に記載の積層断熱材。
- 前記積層断熱材を外径33.3mmの管に巻きつけ、前記積層断熱材の内面の少なくとも一部が前記管の外面と接しているとき、前記積層断熱材の内面と前記管の外面との最大離隔距離が10mm未満である請求項1乃至6の何れか一項に記載の積層断熱材。
- 前記積層物を包装する包装材を備え、前記包装材は、前記第1断熱材と前記第2断熱材より、引張強さが高い請求項1乃至7の何れか一項に記載の積層断熱材。
- 前記包装材が、片面が樹脂コートされたシリカクロスである請求項8に記載の積層断熱材。
- 無機繊維を含み、10mmを超える厚さAを有する第1断熱材と、
無機繊維を含み、前記第1断熱材より、600℃における熱伝導率が低く、圧縮率25%における圧縮応力が高い第2断熱材であって、10mm以下である厚さBを有し、前記AとBの比が以下の式(1)を満たす第2断熱材とを、
積層することを、含み、
前記第1断熱材の600℃における熱伝導率が0.13W/(m・K)以上であり、前記第2断熱材の600℃における熱伝導率が0.13W/(m・K)以下である、災害に対する耐火構造として用いられる積層断熱材の製造方法。
1<A/B<5 (1)
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