JP2011183586A - 複合シートおよび複合シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性を有するとともに、ガスバリア性や発塵抑制能力に優れ、高い柔軟性を有する複合シートを提供する。
【解決手段】無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなる複合シートSであって、前記粘土含有層4は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロス3に含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層5は、前記無機繊維クロス3において粘土含有層4の構成成分が含浸されずにベース層を構成してなり、前記粘度含有層4の平均厚みが5〜100μm、前記無機繊維層5の平均厚みが100〜2000μmであることを特徴とする複合シートSである。
【選択図】図1
【解決手段】無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなる複合シートSであって、前記粘土含有層4は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロス3に含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層5は、前記無機繊維クロス3において粘土含有層4の構成成分が含浸されずにベース層を構成してなり、前記粘度含有層4の平均厚みが5〜100μm、前記無機繊維層5の平均厚みが100〜2000μmであることを特徴とする複合シートSである。
【選択図】図1
Description
本発明は、複合シートおよび複合シートの製造方法に関する。
一般に、熱処理装置、工業炉、焼成炉等において、配管の外壁面や加熱室の外壁面等には断熱材が設けられており、この断熱材としては、例えば、無機繊維または無機粒子を無機バインダーで結合させてなるものが知られている。
しかしながら、設置される断熱材によっては使用時にガスや塵を発生する場合があることから、半導体やディスプレイの製造工程等、清浄な雰囲気が求められる作業環境下においては使用し難い状況にある。
しかしながら、設置される断熱材によっては使用時にガスや塵を発生する場合があることから、半導体やディスプレイの製造工程等、清浄な雰囲気が求められる作業環境下においては使用し難い状況にある。
上記技術課題を解決するために断熱材の表面に被覆材を設けることが考えられ、このような被覆材としては、ガラス繊維やシリカ繊維などの無機繊維を主原料として作製される無機繊維クロスが考えられる。しかし、無機繊維クロスは柔軟性や耐熱性は有するものの、繊維の網目を完全にシールすることができないため、ガスバリア性や発塵防止能力に劣っている。
一方、ガラス繊維からなる平織り布に天然モンモリロナイト分散液を含浸させてなる複合膜が知られており(特許文献1(特開2006−159865号公報))、この複合膜によれば、好適な耐熱性やガスバリア性が得られるとされている。
しかしながら、本発明者等が検討したところ、特許文献1記載の複合膜は、ガラス繊維からなる平織り布に天然モンモリロナイト分散液を塗布、含浸させた後、乾燥して得られるものであり、上記分散液が、平織り布の網目から布の内部深くまで浸透することから、得られる複合膜は平織り布が当初有していた柔軟性を失っており、配管外壁面に設けられる断熱材の被覆用途等には使用できないことが判明した。
このような状況下、本発明は、耐熱性が高く、ガスバリア性や発塵抑制能力に優れ、高い柔軟性を有する複合シートを提供するとともに、該複合シートを簡便に製造する方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明者等が鋭意検討を行った結果、無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなる複合シートであって、前記粘土含有層は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロスに含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層は、前記無機繊維クロスにおいて粘土含有層の構成成分が含浸されずにベース層を構成してなり、前記粘土含有層の平均厚みが5〜100μm、前記無機繊維層の平均厚みが100〜2000μmである複合シートを作製することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなる複合シートであって、
前記粘土含有層は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロスに含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層は、前記無機繊維クロスにおいて粘土含有層の構成成分が含浸されずにベース層を構成してなり、
前記粘度含有層の平均厚みが5〜100μm、前記無機繊維層の平均厚みが100〜2000μmである
ことを特徴とする複合シート、
(2)前記粘土含有層が主要構成成分として天然粘土または合成粘土を含む上記(1)に記載の複合シート、
(3)前記無機繊維クロスがシリカ繊維またはガラス繊維からなるものである上記(1)または(2)に記載の複合シート、
(4)剛軟度が20以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合シート、
(5)複合シートを製造する方法であって、
無機繊維クロスの内部に樹脂を含浸し硬化することによって樹脂含浸無機繊維クロスを作製した後、
得られた樹脂含浸無機繊維クロスの主表面に対し、粘土含有液を塗布し、乾燥して、樹脂含浸無機繊維クロス上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製し、
次いで、内部に浸透した樹脂を除去する
ことを特徴とする複合シートの製造方法、および
(6)前記無機繊維クロスに対する樹脂の含浸が平滑面上で行われ、該平滑面に対しその主表面が接するように無機繊維クロスを静置した状態で樹脂を含浸する上記(5)に記載の複合シートの製造方法、
を提供するものである。
(1)無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなる複合シートであって、
前記粘土含有層は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロスに含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層は、前記無機繊維クロスにおいて粘土含有層の構成成分が含浸されずにベース層を構成してなり、
前記粘度含有層の平均厚みが5〜100μm、前記無機繊維層の平均厚みが100〜2000μmである
ことを特徴とする複合シート、
(2)前記粘土含有層が主要構成成分として天然粘土または合成粘土を含む上記(1)に記載の複合シート、
(3)前記無機繊維クロスがシリカ繊維またはガラス繊維からなるものである上記(1)または(2)に記載の複合シート、
(4)剛軟度が20以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合シート、
(5)複合シートを製造する方法であって、
無機繊維クロスの内部に樹脂を含浸し硬化することによって樹脂含浸無機繊維クロスを作製した後、
得られた樹脂含浸無機繊維クロスの主表面に対し、粘土含有液を塗布し、乾燥して、樹脂含浸無機繊維クロス上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製し、
次いで、内部に浸透した樹脂を除去する
ことを特徴とする複合シートの製造方法、および
(6)前記無機繊維クロスに対する樹脂の含浸が平滑面上で行われ、該平滑面に対しその主表面が接するように無機繊維クロスを静置した状態で樹脂を含浸する上記(5)に記載の複合シートの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなるものであることにより、耐熱性、ガスバリア性、発塵抑制能力を有するとともに、無機繊維層の平均厚みに対する粘土含有層の平均厚みが十分に薄いものであることから、高い柔軟性を有する複合シートを提供することができる。
また、本発明によれば、無機繊維クロスに予め樹脂を含浸、硬化させた状態で粘土含有液を塗布していることから、粘土含有液が無機繊維クロス内部深くまで浸透せず、無機繊維層の平均厚みに対する粘土含有層の平均厚みが十分に薄い複合シートを容易に製造する方法を提供することができる。
また、本発明によれば、無機繊維クロスに予め樹脂を含浸、硬化させた状態で粘土含有液を塗布していることから、粘土含有液が無機繊維クロス内部深くまで浸透せず、無機繊維層の平均厚みに対する粘土含有層の平均厚みが十分に薄い複合シートを容易に製造する方法を提供することができる。
(複合シート)
先ず、本発明の複合シートについて説明する。
本発明の複合シートは、無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなる複合シートであって、
前記粘土含有層は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロスに含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層は、前記無機繊維クロスにおいて粘土含有層の構成成分が含浸されずにベース層を構成してなり、
前記粘度含有層の平均厚みが5〜100μm、前記無機繊維層の平均厚みが100〜2000μmである
ことを特徴とするものである。
先ず、本発明の複合シートについて説明する。
本発明の複合シートは、無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなる複合シートであって、
前記粘土含有層は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロスに含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層は、前記無機繊維クロスにおいて粘土含有層の構成成分が含浸されずにベース層を構成してなり、
前記粘度含有層の平均厚みが5〜100μm、前記無機繊維層の平均厚みが100〜2000μmである
ことを特徴とするものである。
本発明の複合シートの一例を、図1(a)に概略断面図で示す。
図1(a)において、複合シートSは、無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなるものであって、粘土含有層4は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロス3に含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層5は、前記無機繊維クロス3において粘土含有層の構成成分が含浸されずにベース層を構成する。
図1(a)において、複合シートSは、無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなるものであって、粘土含有層4は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロス3に含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層5は、前記無機繊維クロス3において粘土含有層の構成成分が含浸されずにベース層を構成する。
本発明の複合シートの基材となる無機繊維クロスとしては、耐熱性および柔軟性の高いものであれば特に制限されないが、シリカ繊維、アルミナ繊維、セラミックス繊維、ガラス繊維、金属繊維から選ばれる1種以上の繊維からなるものを挙げることができる。
無機繊維クロスとしては、300〜800℃の耐熱性(最高使用温度)を有するものが好ましい。本出願書類において、無機繊維クロスの耐熱性は、無機繊維クロスを所定温度で24時間加熱し、加熱前後における無機繊維クロスの耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度を意味するものとする。
無機繊維クロスとしては、300〜800℃の耐熱性(最高使用温度)を有するものが好ましい。本出願書類において、無機繊維クロスの耐熱性は、無機繊維クロスを所定温度で24時間加熱し、加熱前後における無機繊維クロスの耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度を意味するものとする。
無機繊維クロスは、坪量が100〜1500g/m2であるものが好ましく、200〜1000g/m2であるものがより好ましく、300〜800g/m2であるものがさらに好ましい。
また、無機繊維クロスは、平均厚みが100μm〜2mmであるものが適当であり、0.2〜1.0mmであるものがより適当であり、0.3〜0.8mmであるものがさらに適当である。
本出願書類において、無機繊維クロスの平均厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡により無機繊維クロス断面の3点の厚みを測定した際の平均値を意味する。
なお、無機繊維クロスのサイズ(無機繊維クロス主表面における縦方向および横方向の長さ)は、得ようとする複合シートのサイズに応じて適宜選択することができる。このため、本出願書類において、無機繊維クロスは布状物であってもよいしテープ状物であってもよい。
本出願書類において、無機繊維クロスの平均厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡により無機繊維クロス断面の3点の厚みを測定した際の平均値を意味する。
なお、無機繊維クロスのサイズ(無機繊維クロス主表面における縦方向および横方向の長さ)は、得ようとする複合シートのサイズに応じて適宜選択することができる。このため、本出願書類において、無機繊維クロスは布状物であってもよいしテープ状物であってもよい。
本発明の複合シートにおいて、無機繊維クロスの坪量や厚みが上記範囲内にあることにより、所望の耐熱性や柔軟性を得易くなる。
本発明の複合シートにおいて、粘土含有層は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロスの主表面に含浸することによって形成されてなるものであり、本発明の複合シートにおいて、粘土含有層は、無機繊維クロスの片側主表面にのみ設けられてなるものであってもよいし、両主表面に設けられてなるものであってもよいが、製造性等を考慮すると、片側主表面にのみ粘土含有層が設けられてなる複合シートが好ましい。
本発明の複合シートにおいて、上記粘土含有層は、粘土を主要構成成分として含むものが好適であり、粘土とともに補強材を含むものであってもよい。
粘土含有層に含まれる粘土としては、層状構造を有し水中に分散させたときに粘性及び可塑性を発揮するものであれば特に限定されない。粘土含有層に含まれる粘土としては、天然粘土や合成粘土を挙げることができ、具体的には、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、及びノントロナイトから選ばれる一種以上を挙げることができる。
粘土含有層が補強材を含む場合、補強材としては、鉱物繊維、グラスウール、セラミックス繊維、植物繊維、有機高分子繊維から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明の複合シートにおいて、粘土含有層中の補強材の含有割合は、5質量%以下であることが好ましく、0質量%〜4質量%であることがより好ましく、0〜3質量%であることがさらに好ましい。
本発明の複合シートにおいて、粘土含有層中の補強材の含有割合は、5質量%以下であることが好ましく、0質量%〜4質量%であることがより好ましく、0〜3質量%であることがさらに好ましい。
本発明の複合シートにおいて、粘土含有層中の粘土の含有割合は高いほど好ましく、固形分換算したときに、90〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましく、98〜100質量%であることがさらに好ましい。粘土含有層中の粘土の含有割合が高いほど、ガスバリア性や発塵抑制能力を向上させることができる。
本発明の複合シートが、無機繊維クロスの片側主表面にのみ粘土含有層が設けられてなるものである場合、粘土含有層の平均厚みは5〜100μmであることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましく、30〜100μmであることがさらに好ましい。
また、本発明の複合シートが、無機繊維クロスの両側主表面に粘土含有層が設けられてなるものである場合、2つの粘土含有層の厚みの合計が上記範囲内にあることが好ましい。
また、本発明の複合シートが、無機繊維クロスの両側主表面に粘土含有層が設けられてなるものである場合、2つの粘土含有層の厚みの合計が上記範囲内にあることが好ましい。
なお、本出願書類において、粘土含有層の平均厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡により粘土含有層断面の3点の厚みを測定した際の平均値を意味する。
本発明の複合シートにおいて、粘土含有層は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロスに含浸して被覆層を構成する。
本発明の複合シートは、無機繊維クロス主表面上の少なくとも一部において粘土含有層の構成成分が無機繊維クロスに含浸されてなるものであるが、無機繊維クロス主表面の全面において粘土含有層の構成成分が無機繊維クロスに含浸されてなるものであることが好ましい。
本発明の複合シートは、図1(b)に概略断面図で示すように、粘土含有層4が、片側主表面を外部に露出させた状態で、その全構成成分が無機繊維クロス3に含浸してなるものであってもよい。
本発明の複合シートは、図1(b)に概略断面図で示すように、粘土含有層4が、片側主表面を外部に露出させた状態で、その全構成成分が無機繊維クロス3に含浸してなるものであってもよい。
粘土含有層構成成分の無機繊維クロスに対する含浸深さ(粘土含有層の構成成分が無機繊維クロスに含浸されることにより形成される含浸層の厚み)は、好適には、5〜100μmであり、より好適には5〜50μmであり、さらに好適には5〜30μmである。
図1(a)において、符号tで表記されるものが上記含浸深さ(含浸層の厚み)に対応し、図1(b)に示すように、本発明の複合シートが、粘土含有層4の全体が無機繊維クロス3に含浸されてなるものである場合、粘土含有層4の厚みと上記含浸深さ(含浸層の厚み)tは等しくなる。
なお、本出願書類において、上記含浸深さ(含浸層の厚み)は、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡により含浸層断面の3点の厚みを測定した際の平均値を意味する。
図1(a)において、符号tで表記されるものが上記含浸深さ(含浸層の厚み)に対応し、図1(b)に示すように、本発明の複合シートが、粘土含有層4の全体が無機繊維クロス3に含浸されてなるものである場合、粘土含有層4の厚みと上記含浸深さ(含浸層の厚み)tは等しくなる。
なお、本出願書類において、上記含浸深さ(含浸層の厚み)は、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡により含浸層断面の3点の厚みを測定した際の平均値を意味する。
本発明の複合シートにおいて、無機繊維層は、無機繊維クロスにおける粘土含有層の構成成分が含浸されずにベース層を構成してなる。
無機繊維層の平均厚みは、100〜2000μmであり、100〜1000μmであることが好ましく、100〜800μmであることがより好ましい。
本発明の複合シートにおいて、無機繊維層の平均厚みが上記範囲内にあることにより、粘土含有層の平均厚みに対して十分な厚みを確保して、高い柔軟性を有する複合シートを提供することができる。
無機繊維層の平均厚みは、100〜2000μmであり、100〜1000μmであることが好ましく、100〜800μmであることがより好ましい。
本発明の複合シートにおいて、無機繊維層の平均厚みが上記範囲内にあることにより、粘土含有層の平均厚みに対して十分な厚みを確保して、高い柔軟性を有する複合シートを提供することができる。
なお、本出願書類において、無機繊維層の平均厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡により無機繊維層断面の3点の厚みを測定した際の平均値を意味する。
本発明の複合シートは、平均厚みが100〜2100μmであることが好ましく、200〜1100μmであることがより好ましく、300〜900μmであることがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、上記複合シートの平均厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡により複合シート断面の3点の厚みを測定した際の平均値を意味する。
なお、本出願書類において、上記複合シートの平均厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡により複合シート断面の3点の厚みを測定した際の平均値を意味する。
本発明の複合シートは、粘土含有層の構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロス内部に入り込んだ状態で固定されていることから、粘土含有層が無機繊維クロスに十分に密着固定されるとともに、粘土含有層の平均厚みが無機繊維層の平均厚みに比較して十分に薄いものであることから、無機繊維クロスが有する柔軟性(折り曲げ性)を損なわず、柔軟性に優れた複合シートとすることができる。
本発明の複合シートは、300℃以上の耐熱性(最高使用温度)を有することが好ましく、400〜800℃の耐熱性を有するものであることがより好適であり、500〜800℃の耐熱性を有するものであることがさらに好適である。
なお、本出願書類において、複合シートの耐熱性は、無機繊維クロスを所定温度で24時間加熱し、加熱前後における無機繊維クロスの耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度を意味するものとする。
なお、本出願書類において、複合シートの耐熱性は、無機繊維クロスを所定温度で24時間加熱し、加熱前後における無機繊維クロスの耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度を意味するものとする。
本発明の複合シートは、ガスバリア性として、室温におけるヘリウムガスに対する透過係数が1×10−12cm2s−1cmHg−1以下であるものが好適である。
本発明の複合シートは、剛軟度が20以上であることが好ましく、25〜100であることがより好ましく、30〜100であることがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、剛軟度は、JIS L 1018の剛軟度B法(スライド法)により測定することができる。この試験法は、短冊状に切り出した試験片を、長手方向の一端を固定した状態でぶら下げたときの、試験片の固定端と自由端との垂直距離(mm)を測定するものであり、その値が大きいほど柔軟性が高いことを意味している。例えば、直径10mm(φ10)の円筒に巻き付ける際に必要とされる剛軟度は25以上であり、直径20mm(φ20)の円筒に巻き付ける際に必要とされる剛軟度は20以上である。
なお、本出願書類において、剛軟度は、JIS L 1018の剛軟度B法(スライド法)により測定することができる。この試験法は、短冊状に切り出した試験片を、長手方向の一端を固定した状態でぶら下げたときの、試験片の固定端と自由端との垂直距離(mm)を測定するものであり、その値が大きいほど柔軟性が高いことを意味している。例えば、直径10mm(φ10)の円筒に巻き付ける際に必要とされる剛軟度は25以上であり、直径20mm(φ20)の円筒に巻き付ける際に必要とされる剛軟度は20以上である。
本発明によれば、無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなるものであることにより、耐熱性、ガスバリア性、発塵抑制能力を有するとともに、無機繊維層の平均厚みに対する粘土含有層の平均厚みが十分に薄いものであることから、高い柔軟性を有する複合シートを提供することができる。
本発明の複合シートは、本発明の複合シートの製造方法により好適に作製することができる。
(複合シートの製造方法)
先ず、本発明の複合シートの製造方法について説明する。
本発明の複合シートの製造方法は、無機繊維クロスの内部に樹脂を含浸し硬化することによって樹脂含浸無機繊維クロスを作製した後、得られた樹脂含浸無機繊維クロスの主表面に対し、粘土含有液を塗布し、乾燥して、樹脂含浸無機繊維クロス上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製し、次いで、内部に浸透した樹脂を除去することを特徴とするものである。
先ず、本発明の複合シートの製造方法について説明する。
本発明の複合シートの製造方法は、無機繊維クロスの内部に樹脂を含浸し硬化することによって樹脂含浸無機繊維クロスを作製した後、得られた樹脂含浸無機繊維クロスの主表面に対し、粘土含有液を塗布し、乾燥して、樹脂含浸無機繊維クロス上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製し、次いで、内部に浸透した樹脂を除去することを特徴とするものである。
本発明の製造方法において、無機繊維クロスとしては、上述したものと同様のものを挙げることができる。
本発明の製造方法においては、先ず、無機繊維クロスの内部に樹脂を含浸し硬化することによって樹脂含浸無機繊維クロスを作製する。
無機繊維クロス内部に含浸する樹脂としては、水溶性樹脂または非水溶性樹脂を挙げることができ、含浸処理の容易性を考慮すると水溶性樹脂が好ましい。
水溶性樹脂としては、セルロースエーテルや、エポキシ樹脂類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、アクリル系ポリオール等のポリオール類、ポリウレタン系樹脂エマルジョン及びディスパージョン、カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合エマルジョン等の水性エマルジョン/水性ラテックス、ユリアーホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、水溶性ナイロン樹脂、アリルアミン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂等から選ばれる一種以上を挙げることができ、これ等の水溶性樹脂のうち、セルロースエーテルが好ましい。
セルロースエーテルとしては、セルロースを苛性ソーダで処理した後、塩化メチル、酸化プロピレンあるいは酸化エチレン等のエーテル化剤と反応させ、洗浄、乾燥、粉砕して得られる非イオン性のものが好ましく、具体的には、信越化学工業(株)製のメトローズまたはhiメトローズを挙げることができる。
水溶性樹脂としては、粘度が5000〜30000mPa・sであるものが適当である。
非水溶性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド、AS樹脂、ABS樹脂、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート、アセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
非水溶性樹脂としては、粘度が5000〜30000mPa・sであるものが適当である。
無機繊維クロスに含浸する樹脂は、常温で液体状である場合にはそのまま含浸させてもよいし、適当な分散媒体で希釈して粘度調整した上で含浸させてもよい。分散媒体としては水性媒体が好ましく、水性媒体としては、水や、水を主成分としてエタノールやエーテル類を含むものが挙げられる。
本発明の製造方法においては、無機繊維クロスに対し、樹脂とともに硬化剤を含浸させてもよいが、硬化剤を使用する場合、無機クロス中に含浸させた樹脂は後工程で除去するため、樹脂の除去処理が容易になるように硬化剤の種類や使用量を制御して、硬化の程度を制御することが好ましい。硬化剤としては、例えば、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物が挙げられる。
本発明の製造方法において、無機繊維クロスに対する樹脂の含浸は、平滑面上で行うことが好ましく、該平滑面に対してその主表面が接するように無機繊維クロスを静置した状態で樹脂を含浸することが適当である。
図2および図3は、本発明の製造方法の一例を示す図であり、以下、本発明の製造方法を、適宜図2および図3を使用しつつ説明するものとする。なお、図2(c)〜(f)および図3(b)〜(f)には、右側に断面図もあわせて示している(なお、図2(c)の左図においては、説明の都合上、無機繊維クロス3の上下面配置を図2(d)〜図2(f)の左図と相違させており、図3(b)〜(c)の左図においては、説明の都合上、無機繊維クロス3の上下面配置を図3(d)〜(f)の左図と相違させている)。
無機繊維クロスに対する樹脂の含浸は、例えば、図2(a)に示すように、表面が平滑な薄膜1を用い、図2(b)に示すように、薄膜1の表面を平滑面として含浸目的物である樹脂を含む樹脂液2を塗布した後、図2(c)に示すように無機繊維クロス3を静置することにより、無機繊維クロス3に樹脂液2を含浸させる(滲み込ませる)ことにより行うことができる。また、図3(a)に示すように、表面が平滑な薄膜1を用い、図3(b)に示すように、薄膜1の表面を平滑面として無機繊維クロス3を静置した後、これに樹脂液2を塗布することにより、図3(c)に示すように、無機繊維クロス3に樹脂液2を含浸させ(滲み込ませ)てもよい。図2(c)や図3(c)において、無機繊維クロスの内部に樹脂を含浸させた後、自然乾燥または加熱乾燥して樹脂液2中に含まれる樹脂を硬化し、得られた硬化物から薄膜1を剥離することにより、図2(d)や図3(d)に示す樹脂含浸無機繊維クロスを得ることができる。
薄膜1としては、樹脂液2に含まれる樹脂と反応性が低いものであれば特に制限されず、例えば、PETフィルム等の樹脂フィルムや、金属フィルムを挙げることができる。薄膜1は、厚みが100〜500μm程度、表面粗さRyが0.1〜5μm程度であるものが好ましい。
無機繊維クロスに対する樹脂の含浸を平滑面上で行うことにより、樹脂硬化後に(平滑面と接する)無機繊維クロスの主表面を容易に露出させることができるため、後述するように、無機繊維クロスに対し粘土含有層を強固に固定することができる。
無機繊維クロスに対する樹脂の含浸を平滑面上で行うことにより、樹脂硬化後に(平滑面と接する)無機繊維クロスの主表面を容易に露出させることができるため、後述するように、無機繊維クロスに対し粘土含有層を強固に固定することができる。
図2(c)や図3(c)に示す態様において、樹脂液2を含浸させた状態で、無機繊維クロス3の薄膜1と接する主表面とは反対側主表面からも別途薄膜1を押し当て、無機繊維クロス3を2枚の薄膜1でサンドイッチした状態で樹脂を硬化させてもよく、この場合、硬化後に2枚の薄膜1を剥離することによって無機繊維フィルムの両主表面を露出することができるため、無機繊維フィルムの両面に粘土含有層を設ける場合に、それぞれ粘土含有層を強固に固定することができる。
本発明の製造方法において、無機繊維クロスに含浸させる樹脂量は、無機繊維クロスの一主表面から反対側主表面まで充分に浸透する量とすることが適当であるが、得ようとする粘土含有層の厚みに応じて適宜調整することが好ましい。また、樹脂量が多すぎると後述する除去作業が煩雑となることから、含浸させる樹脂量を算出した上で適当量を含浸させることが好ましい。
無機繊維クロスに含浸させた樹脂の硬化は、20〜100℃の温度雰囲気下、10〜1440分間乾燥処理することにより行うことができる。
無機繊維クロスに含浸させた樹脂は、後工程で除去し易いように、樹脂の硬化反応が一定範囲内に収まるように硬化温度や硬化時間を選択することが好ましい。
なお、本出願書類において、樹脂の硬化には、樹脂の付加、重合反応によるものの他、単なる乾燥による固化も含むものとする。
無機繊維クロスに含浸させた樹脂は、後工程で除去し易いように、樹脂の硬化反応が一定範囲内に収まるように硬化温度や硬化時間を選択することが好ましい。
なお、本出願書類において、樹脂の硬化には、樹脂の付加、重合反応によるものの他、単なる乾燥による固化も含むものとする。
本発明の製造方法においては、無機繊維クロスの内部に樹脂を含浸し硬化することによって樹脂含浸無機繊維クロスを作製した後、得られた樹脂含浸無機繊維クロスの主表面に対し、粘土含有液を塗布し、乾燥して、樹脂含浸無機繊維クロス上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製する。
粘土含有液は、得ようとする粘土含有層を形成する粘土を含有する分散液(懸濁液)であって、粘土としては、上述したものと同様のものを挙げることができる。
粘土含有液の分散媒としては、水性媒体を挙げることができ、水性媒体としては、水や、水を主成分としてエタノールやエーテル等を含むものが挙げられる。
粘土含有液に含まれる粘土の濃度は、1〜10質量%であることが適当であり、2〜8質量%であることがより好ましく、3〜7質量%であることがさらに好ましい。
粘土の濃度が1質量%未満であると、粘土含有液を効率的に塗布し難くなり、10質量%を超えると、粘土の分散性(均一性)が低下し易くなる。
粘土の濃度が1質量%未満であると、粘土含有液を効率的に塗布し難くなり、10質量%を超えると、粘土の分散性(均一性)が低下し易くなる。
樹脂含浸無機繊維クロスに対する粘土含有液の塗布は、例えば、図2(e)や図3(e)に示すようにスポイト等で行うことができ、後述する乾燥処理を経て粘土含有層4を形成することができる。
粘土含有液の塗布量は、作製しようとする粘土含有層の厚みに対応した量であることが適当である。粘土含有層の厚みの好適な範囲は、上述したとおりである。
粘土含有液の塗布量は、作製しようとする粘土含有層の厚みに対応した量であることが適当である。粘土含有層の厚みの好適な範囲は、上述したとおりである。
本発明の製造方法においては、樹脂含浸無機繊維クロスに対して粘土含有液を塗布した後、乾燥処理することにより、樹脂含浸無機繊維クロス上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを得ることができる。
乾燥処理は、粘土含有液の分散媒を除去することができれば特に制限されないが、例えば、40〜60℃で1〜5時間行うことが好ましい。
乾燥処理は、粘土含有液の分散媒を除去することができれば特に制限されないが、例えば、40〜60℃で1〜5時間行うことが好ましい。
本発明の製造方法においては、無機繊維クロスではなく、予め内部に樹脂を含浸、硬化させた樹脂含浸無機繊維クロスに対して粘土含有液を塗布していることから、粘土含有液が無機繊維クロス内部深くまで浸透せず、その表面近傍にのみ粘土含有層を形成することができる。そして、無機繊維クロスの表面近傍において粘土含有層が適度に含浸して、粘土含有層の接合強度を好適に向上させることができる。
本発明の製造方法においては、上記樹脂含浸複合シートの内部に浸透した樹脂を除去する。
上記樹脂の除去は、樹脂含浸複合シートに対して溶出処理または焼成処理を施すことによって、行うことができる。
上記樹脂の除去は、樹脂含浸複合シートに対して溶出処理または焼成処理を施すことによって、行うことができる。
溶出処理に用いる溶出液としては、上記樹脂を除去し得るものであれば特に制限されないが、例えば、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
溶出処理は、例えば、溶出液を満たした容器中に、上記樹脂含浸複合シートを、10〜90℃の温度条件下、0.5〜3.0時間ディッピング処理することにより行うことができる。さらに、溶出処理を数回繰返してもよい。
また、焼成処理は、例えば、空気または酸素雰囲気下、樹脂含浸複合シートを250〜450℃で0.5〜3.0時間処理することにより行うことができる。
上記溶出処理または焼成処理によって樹脂含浸複合シートの内部に浸透した樹脂を除去することにより、図2(f)や図3(f)に示すように、無機繊維層5上に粘土含有層4が積層されてなり、粘土含有層4の構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロス3に含浸されてなる複合シートを簡便に作製することができる。
本発明の製造方法により得られる複合シートは、本発明の複合シートの説明で詳述したとおりである。
本発明の製造方法によれば、無機繊維クロスに予め樹脂を含浸、硬化させた状態で粘土含有液を塗布していることから、粘土含有液が無機繊維クロス内部深くまで浸透せず、無機繊維層の平均厚みに対する粘土含有層の平均厚みが十分に薄い複合シートを容易に製造することができる。
本発明の製造方法で得られる複合シートは、無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなるものであることにより、耐熱性、ガスバリア性、発塵抑制能力を有するとともに、無機繊維層の平均厚みに対する粘土含有層の平均厚みが十分に薄いものであることから、高い柔軟性を有することができる。
本発明の製造方法で得られる複合シートは、無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなるものであることにより、耐熱性、ガスバリア性、発塵抑制能力を有するとともに、無機繊維層の平均厚みに対する粘土含有層の平均厚みが十分に薄いものであることから、高い柔軟性を有することができる。
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
図2(a)に示すような、縦横の長さがいずれも200mmより一回り大きい厚さ0.2mmのPETフィルム上に、図2(b)に示すように、スキージを用いて厚さが一定になるようにエポキシ樹脂(JER社製グレード828、粘度120〜150P/25℃)を塗布量450g/m2(後述するシリカ繊維クロスの気孔が完全に閉塞できる相当量)コーティングした。
その上に、図2(c)に示すように、縦200mm×横200mmサイズのシリカ繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:シルテックスクロス700、平均厚さ0.55mm、坪量550g/m2)を空気層が出来ないように載せて、クロス細孔内にエポキシ樹脂を浸透させた。その後、室温で5時間以上放置してエポキシ樹脂を硬化させた後、PETフィルムを剥離して、図2(d)に示すような樹脂含浸無機繊維クロスを得た。
次に、粘土粒子(クニミネ工業社製、クニピアF)を固形分濃度4質量%となるように精製水に添加した後、十分に攪拌し、粘土粒子が均一に分散した粘土含有液を得、図2(e)に示すように、エポキシ樹脂で気孔を閉塞した上記樹脂含浸無機繊維クロス表面に、上記粘土含有液を1000g/m2となるよう均一に滴下塗布した後、室温で15時間以上風乾することにより、樹脂含浸無機繊維クロスの片側主表面上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製した。
その後、上記樹脂含浸複合シートを450℃で3時間焼成することでエポキシ樹脂を消失させることにより、図2(f)に示すような、無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなる縦200mm、横200mmの複合シートを得た。
得られた複合シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1(a)や図2(f)の右図に示すような、無機繊維クロス3との界面近傍においてのみ粘土含有層4の構成成分が無機繊維クロス3に含浸されてなるものであった。また、粘土含有層4の平均厚みは50μmであり、含浸層の平均厚みtは10μmであり、無機繊維層5の平均厚みは0.54mmであり、複合シートの平均厚みは0.59mmであった。
図2(a)に示すような、縦横の長さがいずれも200mmより一回り大きい厚さ0.2mmのPETフィルム上に、図2(b)に示すように、スキージを用いて厚さが一定になるようにエポキシ樹脂(JER社製グレード828、粘度120〜150P/25℃)を塗布量450g/m2(後述するシリカ繊維クロスの気孔が完全に閉塞できる相当量)コーティングした。
その上に、図2(c)に示すように、縦200mm×横200mmサイズのシリカ繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:シルテックスクロス700、平均厚さ0.55mm、坪量550g/m2)を空気層が出来ないように載せて、クロス細孔内にエポキシ樹脂を浸透させた。その後、室温で5時間以上放置してエポキシ樹脂を硬化させた後、PETフィルムを剥離して、図2(d)に示すような樹脂含浸無機繊維クロスを得た。
次に、粘土粒子(クニミネ工業社製、クニピアF)を固形分濃度4質量%となるように精製水に添加した後、十分に攪拌し、粘土粒子が均一に分散した粘土含有液を得、図2(e)に示すように、エポキシ樹脂で気孔を閉塞した上記樹脂含浸無機繊維クロス表面に、上記粘土含有液を1000g/m2となるよう均一に滴下塗布した後、室温で15時間以上風乾することにより、樹脂含浸無機繊維クロスの片側主表面上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製した。
その後、上記樹脂含浸複合シートを450℃で3時間焼成することでエポキシ樹脂を消失させることにより、図2(f)に示すような、無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなる縦200mm、横200mmの複合シートを得た。
得られた複合シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1(a)や図2(f)の右図に示すような、無機繊維クロス3との界面近傍においてのみ粘土含有層4の構成成分が無機繊維クロス3に含浸されてなるものであった。また、粘土含有層4の平均厚みは50μmであり、含浸層の平均厚みtは10μmであり、無機繊維層5の平均厚みは0.54mmであり、複合シートの平均厚みは0.59mmであった。
<剛軟度>
また、JIS L 1018の規定に準拠して、剛軟度B法(スライド法)にて得られた複合シートの柔軟性を評価したところ、縦方向で30、横方向で10であり、細径の円筒に巻き付けることができるレベルであった。
<耐熱性>
得られた複合シートにおいて、400℃から800℃まで50℃間隔で各々24時間加熱処理し、加熱前後における複合シート耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度は700℃であった。
<発塵抑制性>
ナノパーティクルを発塵しやすいエアロゲル断熱材(アスペンエアロゲル(Aspen Aerogel)社製、製品名:Pyrogel-XT、厚さ6mm)の発塵抑制性を評価した。
試験体としては、上記エアロゲル断熱材を実施例1で得られた複合シートで被覆した断熱材Aとともに、上記エアロゲル断熱材をシリカ繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:シルテックスクロス700、厚さ0.55mm、坪量550g/m2)で被覆した比較断熱材Bを用いた。
上記各試験体をクリーン化したチャンバー内に設置した後、チャンバー内に空気を流通させつつ各試験体に荷重をかけたときの、パーティクルカウンター(リオンテック株式会社製、KC−22B)で1分間あたり計測される、空気300cc中の粒子量(個/300cc)を測定した。結果を表1に示す。
また、JIS L 1018の規定に準拠して、剛軟度B法(スライド法)にて得られた複合シートの柔軟性を評価したところ、縦方向で30、横方向で10であり、細径の円筒に巻き付けることができるレベルであった。
<耐熱性>
得られた複合シートにおいて、400℃から800℃まで50℃間隔で各々24時間加熱処理し、加熱前後における複合シート耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度は700℃であった。
<発塵抑制性>
ナノパーティクルを発塵しやすいエアロゲル断熱材(アスペンエアロゲル(Aspen Aerogel)社製、製品名:Pyrogel-XT、厚さ6mm)の発塵抑制性を評価した。
試験体としては、上記エアロゲル断熱材を実施例1で得られた複合シートで被覆した断熱材Aとともに、上記エアロゲル断熱材をシリカ繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:シルテックスクロス700、厚さ0.55mm、坪量550g/m2)で被覆した比較断熱材Bを用いた。
上記各試験体をクリーン化したチャンバー内に設置した後、チャンバー内に空気を流通させつつ各試験体に荷重をかけたときの、パーティクルカウンター(リオンテック株式会社製、KC−22B)で1分間あたり計測される、空気300cc中の粒子量(個/300cc)を測定した。結果を表1に示す。
表1より、断熱材Aから発生した粒子量と比較断熱材Bから発生した粒子量とを、ブランクの粒子量(チャンバー内に断熱材がない場合の粒子量)と対比することにより、実施例1で得られた複合シートを被覆してなる断熱材Aは、断熱材内部から生じる発塵を好適に抑制することができるのに対し、比較断熱材Bは断熱材内部から生じる発塵を充分に抑制できないものであることが分かる。
(実施例2)
実施例1において、PETフィルム上に塗布するエポキシ樹脂量を450g/m2から300g/m2(シリカ繊維クロス全気孔のうち2/3閉塞できる相当量)に変更した以外は、実施例1と同様にして、無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなる縦200mm、横200mmの複合シートを得た。
得られた複合シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1(b)に示すような、粘土含有層4全体が無機繊維クロス3中に含浸されてなるものであった。また、粘土含有層4の平均厚みは90μmであり(含浸層の平均厚みtは90μmであり)、無機繊維層5の平均厚みは0.46mmであり、複合シートの平均厚みは0.55mmであった。
実施例1において、PETフィルム上に塗布するエポキシ樹脂量を450g/m2から300g/m2(シリカ繊維クロス全気孔のうち2/3閉塞できる相当量)に変更した以外は、実施例1と同様にして、無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなる縦200mm、横200mmの複合シートを得た。
得られた複合シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1(b)に示すような、粘土含有層4全体が無機繊維クロス3中に含浸されてなるものであった。また、粘土含有層4の平均厚みは90μmであり(含浸層の平均厚みtは90μmであり)、無機繊維層5の平均厚みは0.46mmであり、複合シートの平均厚みは0.55mmであった。
<剛軟度>
また、JIS L 1018の規定に準拠して、剛軟度B法(スライド法)にて得られた複合シートの柔軟性を評価したところ、縦方向で27、横方向で9であり、細径の円筒に巻き付けることができるレベルであった。
<耐熱性>
得られた複合シートにおいて、400℃から800℃まで50℃間隔で各々24時間加熱処理し、加熱前後における複合シート耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度は700℃であった。
また、JIS L 1018の規定に準拠して、剛軟度B法(スライド法)にて得られた複合シートの柔軟性を評価したところ、縦方向で27、横方向で9であり、細径の円筒に巻き付けることができるレベルであった。
<耐熱性>
得られた複合シートにおいて、400℃から800℃まで50℃間隔で各々24時間加熱処理し、加熱前後における複合シート耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度は700℃であった。
(実施例3)
図2(a)に示すような、縦横の長さがいずれも200mmより一回り大きい厚さ0.2mmのPETフィルム上に、図2(b)に示すように、スキージを用いて厚さが一定になるように水溶性セルロースエーテル溶液(信越化学社製ハイメトローズhi90SH、固形分濃度2質量%、粘度12000mPa・s/20℃)を塗布量330g/m2(後述するシリカ繊維クロスの気孔が完全に閉塞できる相当量)コーティングした。
その上に、図2(c)に示すように、縦200mm×横200mmサイズのシリカ繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:シルテックスクロス700、厚さ0.55mm、坪量550g/m2)を空気層が出来ないように載せて、クロス細孔内に水溶性セルロース溶液を浸透させた。その後、室温で5時間以上放置して水溶性セルロース樹脂を硬化させた後、PETフィルムを剥離して、図2(d)に示すような樹脂含浸無機繊維クロスを得た。
次に、粘土粒子(クニミネ工業社製、クニピアF)を固形分濃度4質量%となるように精製水に添加した後、十分に攪拌し、粘土粒子が均一に分散した粘土含有液を得、図2(e)に示すように、水溶性セルロース樹脂で気孔を閉塞した上記樹脂含浸無機繊維クロス表面に、上記粘土含有液を1000g/m2となるよう均一に滴下塗布した後、室温で15時間以上風乾することにより、樹脂含浸無機繊維クロスの片側主表面上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製した。
その後、上記樹脂含浸複合シートを450℃で3時間焼成することで水溶性セルロース樹脂を消失させることにより、図2(f)に示すような、無機繊維クロス層5上に粘土含有層4が形成されてなる縦200mm、横200mm、厚さ0.59mmの複合シートを得た。
得られた複合シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1(a)や図2(f)の右図に示すような、無機繊維クロス3との界面近傍においてのみ粘土含有層4の構成成分が無機繊維クロス3に含浸されてなるものであった。また、粘土含有層4の平均厚みは50μmであり、含浸層の平均厚みtは10μmであり、無機繊維層5の平均厚みは0.54mmであり、複合シートの平均厚みは0.59mmであった。
図2(a)に示すような、縦横の長さがいずれも200mmより一回り大きい厚さ0.2mmのPETフィルム上に、図2(b)に示すように、スキージを用いて厚さが一定になるように水溶性セルロースエーテル溶液(信越化学社製ハイメトローズhi90SH、固形分濃度2質量%、粘度12000mPa・s/20℃)を塗布量330g/m2(後述するシリカ繊維クロスの気孔が完全に閉塞できる相当量)コーティングした。
その上に、図2(c)に示すように、縦200mm×横200mmサイズのシリカ繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:シルテックスクロス700、厚さ0.55mm、坪量550g/m2)を空気層が出来ないように載せて、クロス細孔内に水溶性セルロース溶液を浸透させた。その後、室温で5時間以上放置して水溶性セルロース樹脂を硬化させた後、PETフィルムを剥離して、図2(d)に示すような樹脂含浸無機繊維クロスを得た。
次に、粘土粒子(クニミネ工業社製、クニピアF)を固形分濃度4質量%となるように精製水に添加した後、十分に攪拌し、粘土粒子が均一に分散した粘土含有液を得、図2(e)に示すように、水溶性セルロース樹脂で気孔を閉塞した上記樹脂含浸無機繊維クロス表面に、上記粘土含有液を1000g/m2となるよう均一に滴下塗布した後、室温で15時間以上風乾することにより、樹脂含浸無機繊維クロスの片側主表面上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製した。
その後、上記樹脂含浸複合シートを450℃で3時間焼成することで水溶性セルロース樹脂を消失させることにより、図2(f)に示すような、無機繊維クロス層5上に粘土含有層4が形成されてなる縦200mm、横200mm、厚さ0.59mmの複合シートを得た。
得られた複合シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1(a)や図2(f)の右図に示すような、無機繊維クロス3との界面近傍においてのみ粘土含有層4の構成成分が無機繊維クロス3に含浸されてなるものであった。また、粘土含有層4の平均厚みは50μmであり、含浸層の平均厚みtは10μmであり、無機繊維層5の平均厚みは0.54mmであり、複合シートの平均厚みは0.59mmであった。
<剛軟度>
JIS L 1018の規定に準拠して、剛軟度B法(スライド法)にて得られた複合シートの柔軟性を評価したところ、縦方向で31、横方向で10であり、細径の円筒に巻き付けることができるレベルであった。
<耐熱性>
得られた複合シートにおいて、400℃から800℃まで50℃間隔で各々24時間加熱処理し、加熱前後における複合シート耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度は700℃であった。
JIS L 1018の規定に準拠して、剛軟度B法(スライド法)にて得られた複合シートの柔軟性を評価したところ、縦方向で31、横方向で10であり、細径の円筒に巻き付けることができるレベルであった。
<耐熱性>
得られた複合シートにおいて、400℃から800℃まで50℃間隔で各々24時間加熱処理し、加熱前後における複合シート耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度は700℃であった。
(実施例4)
図2(a)に示すような、縦横の長さがいずれも200mmより一回り大きい厚さ0.2mmのPETフィルム上に、図2(b)に示すように、スキージを用いて厚さが一定になるように水溶性セルロースエーテル溶液(信越化学社製ハイメトローズhi90SH、固形分濃度2質量%、粘度12000mPa・s/ 20℃)を塗布量334g/m2(後述するガラス繊維クロスの気孔が完全に閉塞できる相当量)コーティングした。
その上に、図2(c)に示すように、縦200mm×横200mmサイズのガラス繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:マリンテックスクロス0.5A、厚さ0.5mm、坪量390g/m2)を空気層が出来ないように載せて、クロス細孔内に水溶性セルロース溶液を浸透させた。その後、室温で5時間以上放置して水溶性セルロース樹脂を硬化させた後、PETフィルムを剥離して、図2(d)に示すような樹脂含浸無機繊維クロスを得た。
次に、粘土粒子(クニミネ工業社製、クニピアF)を固形分濃度4質量%となるように精製水に添加した後、十分に攪拌し、粘土粒子が均一に分散した粘土含有液を得、図2(e)に示すように、水溶性セルロース樹脂で気孔を閉塞した上記樹脂含浸無機繊維クロス表面に、上記粘土含有液を1000g/m2となるよう均一に滴下塗布した後、室温で15時間以上風乾することにより、樹脂含浸無機繊維クロスの片側主表面上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製した。
その後、上記樹脂含浸複合シートを450℃で3時間焼成することで水溶性セルロース樹脂を消失させることにより、図2(f)に示すような、無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなる縦200mm、横200mmの複合シートを得た。
得られた複合シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1(a)や図2(f)の右図に示すような、無機繊維クロス3との界面においてのみ粘土含有層4の構成成分が無機繊維クロスに含浸されてなるものであった。また、粘土含有層4の平均厚みは58μmであり、含浸層の平均厚みtは8μmであり、無機繊維層5の平均厚みは0.49mmであり、複合シートの平均厚みは0.55mmであった。
図2(a)に示すような、縦横の長さがいずれも200mmより一回り大きい厚さ0.2mmのPETフィルム上に、図2(b)に示すように、スキージを用いて厚さが一定になるように水溶性セルロースエーテル溶液(信越化学社製ハイメトローズhi90SH、固形分濃度2質量%、粘度12000mPa・s/ 20℃)を塗布量334g/m2(後述するガラス繊維クロスの気孔が完全に閉塞できる相当量)コーティングした。
その上に、図2(c)に示すように、縦200mm×横200mmサイズのガラス繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:マリンテックスクロス0.5A、厚さ0.5mm、坪量390g/m2)を空気層が出来ないように載せて、クロス細孔内に水溶性セルロース溶液を浸透させた。その後、室温で5時間以上放置して水溶性セルロース樹脂を硬化させた後、PETフィルムを剥離して、図2(d)に示すような樹脂含浸無機繊維クロスを得た。
次に、粘土粒子(クニミネ工業社製、クニピアF)を固形分濃度4質量%となるように精製水に添加した後、十分に攪拌し、粘土粒子が均一に分散した粘土含有液を得、図2(e)に示すように、水溶性セルロース樹脂で気孔を閉塞した上記樹脂含浸無機繊維クロス表面に、上記粘土含有液を1000g/m2となるよう均一に滴下塗布した後、室温で15時間以上風乾することにより、樹脂含浸無機繊維クロスの片側主表面上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製した。
その後、上記樹脂含浸複合シートを450℃で3時間焼成することで水溶性セルロース樹脂を消失させることにより、図2(f)に示すような、無機繊維層5上に粘土含有層4が形成されてなる縦200mm、横200mmの複合シートを得た。
得られた複合シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図1(a)や図2(f)の右図に示すような、無機繊維クロス3との界面においてのみ粘土含有層4の構成成分が無機繊維クロスに含浸されてなるものであった。また、粘土含有層4の平均厚みは58μmであり、含浸層の平均厚みtは8μmであり、無機繊維層5の平均厚みは0.49mmであり、複合シートの平均厚みは0.55mmであった。
<剛軟度>
また、JIS L 1018の規定に準拠して、剛軟度B法(スライド法)にて得られた複合シートの柔軟性を評価したところ、縦方向で27、横方向で25であり、細径の円筒に巻き付けることができるレベルであった。
<耐熱性>
得られた複合シートにおいて、400℃から600℃まで50℃間隔で各々24時間加熱処理し、加熱前後における複合シート耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度は550℃であった。
また、JIS L 1018の規定に準拠して、剛軟度B法(スライド法)にて得られた複合シートの柔軟性を評価したところ、縦方向で27、横方向で25であり、細径の円筒に巻き付けることができるレベルであった。
<耐熱性>
得られた複合シートにおいて、400℃から600℃まで50℃間隔で各々24時間加熱処理し、加熱前後における複合シート耐折強さ試験をJIS P 8115の規定に従って測定したときの、加熱前の耐折回数(試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数)に対する加熱後の耐折回数が50%以上を維持し得る最高温度は550℃であった。
(比較例1)
粘土粒子(クニミネ工業社製、クニピアF)を固形分濃度4質量%となるように精製水に添加した後、十分に攪拌し、粘土粒子が均一に分散した粘土含有液を得た。
この粘土含有液を、縦200mm×横200mmサイズのシリカ繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:シルテックスクロス700、厚さ0.55mm、坪量550g/m2)表面に1000g/m2となるように均一に滴下塗布した後、室温で15時間以上風乾することにより、シリカ繊維クロス内部まで粘土が十分に含浸された粘土含浸複合シートを作製した。
得られた粘土含浸複合シートの剛軟度を実施例1と同様にして測定したところ、剛軟度は縦方向10、横方向2であり、柔軟性はほとんどなく、細径円筒に巻付けできないレベルであった。
粘土粒子(クニミネ工業社製、クニピアF)を固形分濃度4質量%となるように精製水に添加した後、十分に攪拌し、粘土粒子が均一に分散した粘土含有液を得た。
この粘土含有液を、縦200mm×横200mmサイズのシリカ繊維クロス(ニチアス(株)製、製品名:シルテックスクロス700、厚さ0.55mm、坪量550g/m2)表面に1000g/m2となるように均一に滴下塗布した後、室温で15時間以上風乾することにより、シリカ繊維クロス内部まで粘土が十分に含浸された粘土含浸複合シートを作製した。
得られた粘土含浸複合シートの剛軟度を実施例1と同様にして測定したところ、剛軟度は縦方向10、横方向2であり、柔軟性はほとんどなく、細径円筒に巻付けできないレベルであった。
実施例1〜実施例4で得られた複合シートと、比較例1で得られた粘土含浸複合シートとを比較することにより、実施例1〜実施例4で得られた複合シートは、無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなるものであることにより、耐熱性、ガスバリア性、発塵抑制能力を有するとともに、無機繊維層の平均厚みに対する粘土含有層の平均厚みが十分に薄いものであることから、高い柔軟性を有するものであることが分かる。
また、実施例1〜実施例4においては、無機繊維クロスに予め樹脂を含浸、硬化させた状態で粘土含有液を塗布していることから、粘土含有液が無機繊維クロス内部深くまで浸透せず、粘土含有層の構成成分が無機繊維クロスの界面近傍においてのみ含浸されてなる複合シートを容易に製造できることが分かる。
また、実施例1〜実施例4においては、無機繊維クロスに予め樹脂を含浸、硬化させた状態で粘土含有液を塗布していることから、粘土含有液が無機繊維クロス内部深くまで浸透せず、粘土含有層の構成成分が無機繊維クロスの界面近傍においてのみ含浸されてなる複合シートを容易に製造できることが分かる。
本発明によれば、耐熱性が高く、ガスバリア性や発塵抑制能力に優れ、高い柔軟性を有する複合シートを提供するとともに、該複合シートを簡便に製造する方法を提供することができる。
1 薄膜
2 樹脂液
3 無機繊維クロス
4 粘土含有層
5 無機繊維層
2 樹脂液
3 無機繊維クロス
4 粘土含有層
5 無機繊維層
Claims (6)
- 無機繊維層上に粘土含有層が形成されてなる複合シートであって、
前記粘土含有層は、その構成成分の少なくとも一部が無機繊維クロスに含浸して被覆層を構成し、前記無機繊維層は、前記無機繊維クロスにおいて粘土含有層の構成成分が含浸されずにベース層を構成してなり、
前記粘度含有層の平均厚みが5〜100μm、前記無機繊維層の平均厚みが100〜2000μmである
ことを特徴とする複合シート。 - 前記粘土含有層が主要構成成分として天然粘土または合成粘土を含む請求項1に記載の複合シート。
- 前記無機繊維クロスがシリカ繊維またはガラス繊維からなるものである請求項1または請求項2に記載の複合シート。
- 剛軟度が20以上である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の複合シート。
- 複合シートを製造する方法であって、
無機繊維クロスの内部に樹脂を含浸し硬化することによって樹脂含浸無機繊維クロスを作製した後、
得られた樹脂含浸無機繊維クロスの主表面に対し、粘土含有液を塗布し、乾燥して、樹脂含浸無機繊維クロス上に粘土含有層が積層された樹脂含浸複合シートを作製し、
次いで、内部に浸透した樹脂を除去する
ことを特徴とする複合シートの製造方法。 - 前記無機繊維クロスに対する樹脂の含浸が平滑面上で行われ、該平滑面に対しその主表面が接するように無機繊維クロスを静置した状態で樹脂を含浸する請求項5に記載の複合シートの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2010048894A JP2011183586A (ja) | 2010-03-05 | 2010-03-05 | 複合シートおよび複合シートの製造方法 |
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2010
- 2010-03-05 JP JP2010048894A patent/JP2011183586A/ja active Pending
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