JP2014062564A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内輪10と、外輪20と、複数の転動体31とを備える。内輪軌道面12と、外輪軌道面22とのうち、少なくとも一方の軌道面には、液体潤滑剤27が保留される多数の内側ディンプル26と、固体潤滑剤29が保留される多数の外側ディンプル28とがそれぞれ形成される。多数の内側ディンプル26は、転動体31に対する軌道面の接触領域13又は非接触領域14のうちの接触領域13に近い側に配設され、多数の外側ディンプル28は、多数の内側ディンプル26の外側に配設されている。
【選択図】図3
Description
潤滑油の攪拌抵抗の増加を抑えるために、例えば、特許文献1に開示された転がり軸受が知られている。
これにおいては、内輪、及び外輪に、軸方向に延びる軌道輪延長部がそれぞれ設けられ、軸受冷却媒体を兼ねる潤滑油を、軸受内に供給すると共に軸受外に排出する給排油機構が軌道輪延長部に設けられている。
また、攪拌抵抗を抑えるために、液体潤滑剤ではなく、固体潤滑剤を軸受における玉の軌道面に配置させる技術も知られている。
一方、液体潤滑剤の代わりに、固体潤滑剤を用いた場合の課題として、固体潤滑剤は放熱特性が液体潤滑剤と比較して劣ること、又は摩耗粉が潤滑に悪影響を及ぼす恐れがあることなどがあげられる。
前記内輪軌道面と、前記外輪軌道面とのうち、少なくとも一方の軌道面には、液体潤滑剤が保留される多数の内側ディンプルと、固体潤滑剤が保留される多数の外側ディンプルとがそれぞれ形成され、
前記多数の内側ディンプルは、前記転動体に対する前記軌道面の接触領域又は非接触領域のうちの前記接触領域に近い側に配設され、
前記多数の外側ディンプルは、前記多数の内側ディンプルの外側に配設されていることを特徴とする。
また、外側ディンプルに保留された固体潤滑剤によっても転動体を潤滑することができる。
前記したようにして、軌道面の接触領域又は非接触領域のうちの接触領域に近い側に形成された内側ディンプルの液体潤滑剤と、外側ディンプルの固体潤滑剤によって転動体を潤滑することができる。このため、転がり軸受の重量増加や大型化をまねくことなく、潤滑効率よく転動体を潤滑することができる。この結果、潤滑剤の攪拌抵抗の抑制や、潤滑剤の不足による焼き付きの発生防止することができ、耐久性の向上を図ることができる。
また、固体潤滑剤は、外側ディンプルにのみ配置されるため、固体潤滑剤が使用されることによることによる、放熱特性への悪影響及び摩耗粉による潤滑への悪影響が引き起こされることについても抑えられる。
外側ディンプルに保留された固体潤滑剤は、多孔質の固体潤滑剤によって構成されていることを特徴とする。
この実施例では転がり軸受が深溝玉軸受である場合を例示する。
図1に示すように、転がり軸受としての深溝玉軸受は、内輪10と、外輪20と、転動体としての複数の玉31と、保持器35とを備えている。
内輪10は、円筒状に形成され、その外周面11の軸方向中央部には、円弧状の環状溝をなす内輪軌道面12が形成されている。
複数の玉31は、保持器35によって保持された状態で内輪軌道面12と外輪軌道面22との間に転動可能に配設されている。
なお、図2と図3に示される接触楕円40は、軸方向に直交する方向に軽荷重が作用している場合を表している。この場合、接触楕円40の長径寸法は、接触領域13(又は23)の幅寸法よりも小さくなる。また、接触楕円40は、玉31にかかる荷重の大きさに応じて非接触領域14(又は24)にはみ出す場合がある。例えば、玉31にかかる荷重が中程度(中荷重)である場合には、接触楕円40の長径方向における外縁は、次に述べる内側ディンプル16の配置領域に達し、玉31にかかる荷重が重程度(重荷重)である場合には、接触楕円40の長径方向における外縁は、次に述べる外側ディンプル18の配置領域に達する。
また、多数の内側ディンプル16は、内輪軌道面12の接触領域13又は非接触領域14のうちの接触領域13に近い側に配設され、多数の外側ディンプル18は、内側ディンプル16の外側に配設されている。
この実施例1では、内側ディンプル16は、接触領域13に近い側、すなわち非接触領域14における接触領域13側に配置されている。
このような、多数の内側ディンプル16及び多数の外側ディンプル18は、ショットブラスト加工によって容易に形成することができる。この際、多数の内側ディンプル16の内側に位置する接触領域13はマスキング処理される。
なお、多数の内側ディンプル16は、玉31の転動性能を悪化させることがないように、接触領域13内の外側部分や、接触領域13外の非接触領域14に配設されることが望ましい。
固体潤滑剤19は、電着処理加工によって、多数の内側ディンプル16の外側部分に膜状をなして形成される。この際、多数の内側ディンプル16が配設される部分や接触領域13はマスキングされる。
また、固体潤滑剤19の電着処理加工によって、図5に示すように、多数の外側ディンプル18に固体潤滑剤19が保留されると共に、これら多数の外側ディンプル18以外の部分に対しても固体潤滑剤の膜19aが形成される。
この固体潤滑剤の膜19aは、エアロラップ仕上げ等の超仕上げ加工によって除去される(図6参照)。
また、固体潤滑剤19の電着処理加工の後、150℃程度の低い焼成温度で固体潤滑剤19を焼成することによって、固体潤滑剤19を多孔質化(ポーラス化)することができる。
そして、固体潤滑剤19を多孔質とすることで、固体潤滑剤19内に液体潤滑剤を含浸させることが望ましい。
このような構造であるため、玉31にかかる荷重に応じて、接触楕円40が接触領域13内に収まる場合には、多数の内側ディンプル16に保留された液体潤滑剤17が少量ずつ接触領域13に流れ出て潤滑に作用する。つまり、少量の液体潤滑剤17で潤滑が行われる。
また、玉31にかかる荷重に応じて、接触楕円40の外縁が非接触領域14まではみ出して、内側ディンプル16の配設領域に達する場合には、玉31の圧力が直接、内側ディンプル16に作用するため、内側ディンプル16内の液体潤滑剤17は、玉31の圧力を受けて染み出しやすくなる。具体的に、玉31の圧力は、軌道面における内側(接触領域13側)に、より大きく作用する。このため、内側ディンプル16に液体潤滑剤17が保持されることにより、内側ディンプル16内の液体潤滑剤17は少量であっても染み出しやすくなり、効率的に潤滑のための油膜が形成される。つまり、内側ディンプル16内の液体潤滑剤17は少量であっても有効に用いられ、接触楕円40が大きくなるにもかかわらず、液体潤滑剤17の使用量を抑えつつ、十分に潤滑を行うことができる。
このように、接触楕円40の外縁が外側ディンプル18の配設領域に達する場合には、液体潤滑剤17と固体潤滑剤19とが潤滑剤として併用されるため、液体潤滑剤17の量を抑えて攪拌抵抗を生じにくくしつつも、潤滑性が損なわれることによる焼き付きが生じることが抑えられる。
また、このような形態を実現するにあたって、軌道面の加工のみを行えばよいため、特殊な機構は不要であり、軸受の重量増加、大型化することが抑えられる。さらに、固体潤滑剤19は外側ディンプル18に部分的に配置されるのみであるため、固体潤滑剤19が使用されることによる、放熱特性への悪影響及び摩耗粉による潤滑への悪影響が引き起こされることについても抑えられる。
例えば、前記実施例1においては、内輪軌道面12に多数の内側ディンプル16と、多数の外側ディンプル18とがそれぞれ形成される場合を例示したが、内輪軌道面12及び/又は外輪軌道面22に多数の内側ディンプルと、多数の外側ディンプルとがそれぞれ形成されてもこの発明を実施することができる。
また、前記実施例1においては、転がり軸受が深溝玉軸受である場合を例示したが、アンギュラ玉軸受であってもよく、ころ軸受けであってもよい。
但し、転がり軸受がころ軸受である場合には、ころがクラウニング形状に形成される。
12 内輪軌道面(軌道面)
13 接触領域
14 非接触領域
16 多数の内側ディンプル
17 液体潤滑剤
18 多数の外側ディンプル
19 固体潤滑剤
20 外輪
22 外輪軌道面(軌道面)
23 接触領域
24 非接触領域
31 玉(転動体)
Claims (2)
- 内輪と、この内輪の外周に環状空間を隔てて同一中心線上に配設された外輪と、前記内輪の外周面に形成された内輪軌道面と前記外輪の内周面に形成された外輪軌道面との間に転動可能に配設された複数の転動体とを備えた転がり軸受であって、
前記内輪軌道面と、前記外輪軌道面とのうち、少なくとも一方の軌道面には、液体潤滑剤が保留される多数の内側ディンプルと、固体潤滑剤が保留される多数の外側ディンプルとがそれぞれ形成され、
前記多数の内側ディンプルは、前記転動体に対する前記軌道面の接触領域又は非接触領域のうちの前記接触領域に近い側に配設され、
前記多数の外側ディンプルは、前記多数の内側ディンプルの外側に配設されていることを特徴とする転がり軸受。 - 請求項1に記載の転がり軸受であって、
外側ディンプルに保留された固体潤滑剤は、多孔質の固体潤滑剤によって構成されていることを特徴とする転がり軸受。
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