JP2014169746A - 転がり軸受 - Google Patents

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JP2014169746A JP2013041848A JP2013041848A JP2014169746A JP 2014169746 A JP2014169746 A JP 2014169746A JP 2013041848 A JP2013041848 A JP 2013041848A JP 2013041848 A JP2013041848 A JP 2013041848A JP 2014169746 A JP2014169746 A JP 2014169746A
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Takuya Sato
拓也 佐藤
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Abstract

【課題】グリース潤滑の転がり軸受において、その回転を安定させながら、保持器の案内面の潤滑供給性を向上させる。
【解決手段】内外の軌道輪と、その内外の軌道輪間に周方向に沿って配置された複数の転動体3と、その転動体3を保持する保持器4とを備え、少なくとも保持器4に設けた案内面4cに対向するように軌道輪側に鍔部を設けており、鍔部5は、その鍔部5の側面のうち転動体3に面している側に開口するグリース溜まり20と、そのグリース溜まり20から保持器4の案内面4cへ臨む給脂孔21とを備える構成とした。
【選択図】図1

Description

この発明は、工作機械の主軸を支持する軸受等、一般産業機械その他種々の用途に用いられる転がり軸受に関するものである。
工作機械の主軸を支持する軸受等、一般産業機械その他種々の用途において、転がり軸受が用いられる。転がり軸受において、保持器の案内形式、すなわち、保持器の位置決めの形式には、軌道輪案内や転動体案内がある。
軌道輪案内形式の転がり軸受としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。この転がり軸受は、いわゆる外輪案内形式であり、保持器は、その外周面を案内面としており、その外周面を介して外輪の内周に対して位置決めされている。そして、保持器は、内輪の外周との間の隙間が比較的広く確保されており、その隙間を通じて潤滑油が導入されるようになっている。
軸受に隣接して潤滑油供給装置が設けられており、この潤滑油供給装置から噴射された潤滑油は、その比較的広い隙間から軸受内部に導入され、さらに、遠心力によって外輪側に潤滑油が飛ばされる。この油潤滑により、保持器の案内面への潤滑が適切に行えるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2,3に示すように、グリース潤滑の外輪案内形式の転がり軸受において、保持器の外径側に凹部を形成することにより、その凹部をグリース溜まりとして機能させた技術もある(例えば、特許文献2,3参照)。
特開2004−003577号公報 特開2002−349580号公報 特開2008−151181号公報
特許文献1に記載のように、油潤滑とした場合には、軌道輪案内形式を採用することができる。しかし、グリース潤滑とした場合には、このような構造では、特に、想定を超えるような過酷な使用条件下では、外輪の内周と保持器の案内面との間の潤滑不足による焼き付きが懸念される。
また、特許文献2,3に記載のものは、保持器によるグリースの保持性を向上させているが、案内面上のグリースが一旦切れてしまうと、グリースは新たにそこへ給脂されにくいという問題がある。このため、同じく、想定を超えるような過酷な使用条件下では、焼き付きの懸念は無くならない。
また、グリース潤滑の軸受において、軌道輪案内形式ではなく転動体案内形式とすることができるが、転動体案内形式を採用した場合、回転が安定せず、保持器の振れ回りにより振動等が問題となる場合がある。逆に、軌道輪案内形式にすると回転は安定するが、前述のように、保持器の案内面と軌道輪との潤滑不足のために、焼き付きの懸念が生じ得る。
そこで、この発明は、グリース潤滑の転がり軸受において、その回転を安定させながら、保持器の案内面の潤滑供給性を向上させることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、内外の軌道輪と、その内外の軌道輪間に周方向に沿って配置された複数の転動体と、その転動体を保持する保持器とを備え、少なくとも前記保持器に設けた案内面に対向するように前記軌道輪側に鍔部を設けており、前記鍔部は、その鍔部の側面のうち前記転動体に面している側に開口するグリース溜まりと、そのグリース溜まりから前記保持器の案内面へ臨む給脂孔とを備えることを特徴とする転がり軸受を採用した。
この構成によれば、軸受の回転時に転動体により掻き出されたグリースは、その転動体と軌道面の間から横へ(軸方向外側へ)逃げ、グリース溜まりに滞留する。さらに、そのグリース溜まりでは、転動体側から後から押し出されてくるグリースによって圧がかかることにより、給脂孔を通じて、保持器の案内面と、その案内面に向かい合う鍔部の対向面との間にグリースがスムーズに供給される。
この給脂により、保持器を軌道輪案内とした構成においても、グリース潤滑によって、回転を安定させながらその案内面の潤滑供給性を向上させることができる。すなわち、グリース潤滑で軌道輪案内とすることができ、転動体案内に比べ高速回転化が可能となる。
なお、鍔部は、内外の軌道輪のうち、内輪のみに設けた構成、外輪のみに設けた構成、あるいは、内外輪の両方に設けた構成等がある。また、鍔部は、通常、一の軌道輪に対して転動体を挟んで軸方向両側に設けられるが、これを軸方向片側だけとした構成も考えられる。
また、鍔部は、軌道輪に一体に形成することもできるし、その軌道輪とは別体の鍔輪に形成することもできる。鍔部が鍔輪によって形成されるものであれば、グリース溜まりや給脂孔の加工が容易である。グリース溜まりは、鍔輪に凹部を形成してもよいし、軌道輪の側面と鍔輪の側面との間にできた隙間や空間によって形成してもよい。
これらの各構成において、鍔部を、軌道輪とは別体の鍔輪によって形成した場合に、前記鍔輪は、前記軌道輪の側面よりも軸受中心側に入り込む突出部を備えた構成を採用することができる。
この構成によれば、その別体に設けた鍔輪の突出部によって、保持器の案内面に向かい合う鍔部の対向面を形成することができる。
また、この構成によれば、例えば、鍔部を外輪側に設けた場合は、その外輪の内面と鍔輪の突出部外面との間にできた隙間や空間をグリース溜まりとすることができ、鍔部を内輪側に設けた場合は、その内輪の外面と鍔輪の突出部内面との間にできた隙間や空間をグリース溜まりとすることもできる。
さらに、鍔部を、軌道輪とは別体の鍔輪によって形成した構成において、前記鍔部は、前記軌道輪の軸方向両側に設けられ、前記保持器は、その軸方向中程に前記鍔部間に入り込む突部を備えた構成を採用することができる。
このように、鍔部が、軌道輪とは別体の鍔輪である場合に、保持器の断面形状を凸形状とすることで、グリースが軸受空間の容積内に占める割合を減らし、攪拌抵抗やそれに起因する発熱を低減することができる。
すなわち、突部の介在によって、保持器が軸受内の空間に占める割合を増やすことで、潤滑剤が、軸受の空間容積に占める割合、特に、潤滑剤が、回転時に転動体が通過する動空間容積に占める割合が減少する。一般に、動空間内にグリースが多くあると、攪拌抵抗やそれに起因する発熱が起きるため、このように、潤滑剤が軸受の空間容積に占める割合を減らすことで、その抵抗や発熱を減らすことができる。
保持器の突部の具体的構成としては、内輪固定、外輪回転時で内輪側に鍔部(鍔輪)を設けた場合は、例えば、その鍔部の外径よりも保持器の柱部の内径を小さく設定し、その柱部を前記鍔部間に入り込む前記突部とすることができる。
また、外輪固定、内輪回転時で外輪側に鍔部(鍔輪)を設けた場合は、例えば、その鍔部の内径よりも保持器の柱部の外径を大きく設定し、その柱部を前記鍔部間に入り込む前記突部とすることができる。
これらの各構成において、前記保持器の案内面が向く側の前記軌道輪は外輪であり、前記グリース溜まりの前記転動体側の開口の外径が、前記外輪の軌道径よりも大径である構成を採用することができる。
また、前記保持器の案内面が向く側の前記軌道輪は内輪であり、前記グリース溜まりの前記転動体側の開口の内径が、前記内輪の軌道径よりも小径である構成を採用することができる。
このように、外輪案内(外径案内)の場合において、グリース溜まりの外径を外輪軌道径よりも大径に、又は、内輪案内(内径案内)の場合において、グリース溜まりの内径を内輪軌道径よりも小径にすることで、転動体により掻き出されたグリースが、軌道面上に溜まってしまうことを防止できる。このため、攪拌抵抗や発熱をより確実に抑えることができ、また、グリースをスムーズに循環させることができる。
これらの各構成において、前記給脂孔は、一つの鍔部に対して(転動体を挟んで一方の鍔部に対して)その周方向いずれかの箇所に少なくとも一箇所あればよいが、これを、複数備えた構成とすることが望ましい。
このように、給脂孔を、鍔部の周上に複数設けておくことにより、案内面への潤滑性能が高められる。また、特に、軸受が横軸にて使用される場合において、仮に、運転中にグリースが不足して、グリース溜まりからの給脂の圧が低くなった場合でも、軸受の上側に位置する給脂孔からグリースが染み出すことによって、案内面の潤滑状態を保つことができる。
なお、給脂孔を設ける周方向位置、軸方向位置、給脂孔の数は、軸受の用途や仕様により自由に設定できる。このため、例えば、鍔部の周方向一箇所に対し、給脂孔を軸方向に沿って複数並列して設けることも可能である。また、例えば、鍔部の周方向に沿って、2列の給脂孔を千鳥配置とすることも可能である。
また、これらの各構成において、前記給脂孔は、軸受の軸方向中心軸に対して角度を持って形成されている構成を採用することができる。
このように、給脂孔が斜めに設けられていることで、グリース溜まりのサイズや場所に関わらず、保持器の案内面の最適な箇所に、グリースを供給することが可能となる。すなわち、グリース溜まりの大きさや場所を設定するための設計上の自由度が高まるので好ましい。
これらの各構成において、前記保持器の案内面はテーパ形状を成しており、その案内面は、軸受中心側に向かって径が大きくなる形状である構成を採用することができる。このとき、保持器の案内面が向かい合う鍔部の対向面も、その案内面と同方向のテーパ面である。このように、保持器の案内面を、軸受中心側に向かって径が大きくなるテーパ形状にすることで、軸受の回転に伴ってグリースが転動体側へ誘導され、転動体の潤滑状態を良好に保つことができる。
これらの各構成において、前記保持器の案内面が向かい合う鍔部の対向面に、軸受の周方向及び軸方向に対して角度を持った溝が形成されている構成を採用することができる。
このように、鍔部の対向面に斜め方向の溝を設けることで、軸受の回転に伴ってグリースを軸方向に誘導することができる。特に、その溝の方向を、軸受の回転に伴って、グリースが転動体側へ誘導される方向とすれば、転動体の潤滑状態を良好に保つことができる。
これらの各構成において、軸受の組み立て時において、グリース溜まり内に予めグリースを充填させておくことで、使用時のグリース封入量不足の防止や、初期の潤滑状態の向上を図ることができる。
この発明は、グリース潤滑の転がり軸受において、その回転を安定させながら、保持器の案内面の潤滑供給性を向上させることができる。
この発明の第1の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第2の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第3の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第4の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第5の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第6の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第7の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第8の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第9の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第10の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第11の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第12の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第13の実施形態を示す要部拡大断面図 この発明の第14の実施形態を示す要部拡大断面図
この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、いずれも、外側の軌道輪である外輪1と、内側の軌道輪である内輪2と、その外輪1と内輪2との間の軸受空間に周方向に沿って配置された複数の転動体3と、その転動体3を保持する保持器4とを備えた転がり軸受6である。ここでは、転動体3として円筒ころを用いた円筒ころ軸受を例に、この発明の構成を説明する。
図1に第1の実施形態を示す。この第1の実施形態の転がり軸受6は、いわゆる外輪案内形式のものである。保持器4は、並列する二つの円環部4aと、その円環部4a同士を結ぶ複数の柱部4bを備え、その両側の円環部4aの外周面を、それぞれ案内面4cとしている。
外輪1側には、転動体3を挟んで軸方向両側に鍔部5が設けられている。この実施形態では、鍔部5は、外輪1とは別体の鍔輪10によって形成されている。なお、内輪2側にも、転動体3を挟んで軸方向両側に鍔部が設けられているが、内輪2側の鍔部は、その内輪2と一体に形成されている。
保持器4は、その案内面4cが、その案内面4cが向く側の軌道輪である外輪1側に設けた鍔部5の内周面(対向面)5cに対向している。すなわち、保持器4は、その案内面4cを介して、外輪1の内周に対して位置決めされている。
この外輪1と鍔輪10とからなる外方部材に、鍔部5の側面のうち、転動体3に面している側の側面5aに開口するグリース溜まり20と、そのグリース溜まり20から鍔部5の対向面5c、すなわち、保持器4の案内面4cへ臨む給脂孔21とが備えられている。グリース溜まり20は、周方向全周に連続的に設けられている。また、給脂孔21は、鍔部5の周方向に沿って、複数個が等間隔で設けられている。
このグリース溜まり20や給脂孔21は、遠心力の影響を考慮し、非回転輪側に設けることが望ましい。この実施形態では、外輪1側が非回転輪であるので、グリース溜まり20や給脂孔21は外輪1側に設けられている。
このグリース溜まり20や給脂孔21を備えたことにより、軸受の回転時に転動体3により掻き出されたグリースは、その転動体3と外輪1の軌道面1aの間から横へ(軸方向両側へ)逃げ(図1の矢印A参照)、グリース溜まり20に滞留する。さらに、そのグリース溜まり20では、転動体3側から後から押し出されてくるグリースによって圧がかかることにより、給脂孔21を通じて、グリース溜まり20から、保持器4の案内面4cと、その案内面4cが向かい合う鍔部5の対向面5cとの間にグリースがスムーズに供給される(図1の矢印B参照)。
この給脂により、保持器4を軌道輪案内とした構成においても、グリース潤滑によって、回転を安定させながらその案内面の潤滑供給性を向上させることができる。すなわち、グリース潤滑で軌道輪案内とすることができ、転動体案内に比べ高速回転化が可能となる。
また、この実施形態では、保持器4は、その軸方向中程に、外径側に突出し、両側の鍔部5,5間に入り込む突部4dを備えている。すなわち、突部4dは、保持器4の柱部4bの外径を円環部4aの外径、鍔部5の対向面5cの内径よりも大きく設定することで構成され、その柱部4bを、両側の鍔部5,5間に入り込む構成としている。
このように、保持器4の断面形状を凸形状とすることで、グリースが軸受空間の容積内に占める割合を減らし、攪拌抵抗やそれに起因する発熱を低減することができる。
第2の実施形態を図2に示す。この第2の実施形態において、主要な構成は、前述の第1の実施形態と同様であるので、以下、第1の実施形態との差異点を中心に説明する(以下、後述の各実施形態においても同じ)。
この実施形態は、鍔輪10の形状を、第1の実施形態の単純な円筒形状のものに代えて、断面L字状としたものである。鍔輪10は、外輪1の側面よりも軸受中心側に入り込む突出部11を備えている。
この実施形態では、外輪1の内面と鍔輪10の突出部11の外面との間にできた空間をグリース溜まり20としている。グリース溜まり20は、周方向全周に連続的に設けられている。また、給脂孔21は、鍔部5の周方向に沿って、複数個が等間隔で設けられている点は同様である。その他の主要な構成は第1の実施形態と同様である。
第3の実施形態を図3に示す。この第3の実施形態は、第1の実施形態において、外輪1側に設けられていたグリース溜まり20や給脂孔21を、内輪2側に設けたものである。
内輪2と鍔輪10とからなる内方部材に、鍔部5の側面のうち、転動体3に面している側の側面5aに開口するグリース溜まり20と、そのグリース溜まり20から鍔部5の対向面5c、すなわち、保持器4の案内面4cへ臨む給脂孔21とが備えられている。
なお、この実施形態では、内輪2側が非回転輪であるので、グリース溜まり20や給脂孔21は内輪2側に設けられている。
また、この実施形態では、保持器4は、その軸方向中程に、内径側に突出し、両側の鍔部5,5間に入り込む突部4dを備えている。すなわち、突部4dは、保持器4の柱部4bの内径を円環部4aの内径、鍔部5の対向面5cの外径よりも小さく設定することで構成され、その柱部4bを、両側の鍔部5,5間に入り込む構成としている。
第4の実施形態を図4に示す。この第4の実施形態は、第2の実施形態において、外輪1側に設けられていたグリース溜まり20や給脂孔21を、内輪2側に設けたものである。
鍔輪10の形状は、第2の実施形態と同様、断面L字状のものを採用している。鍔輪10は、内輪2の側面よりも軸受中心側に入り込む突出部11を備え、内輪2の外面と鍔輪10の突出部11の内面との間にできた空間をグリース溜まり20としている。
第5の実施形態を図5に示す。この第5の実施形態は、外輪1の軌道面1aと鍔部5とのコーナー部にぬすみ部を設け、そのぬすみ部をグリース溜まり20としたものである。鍔部5は外輪1と一体に形成されており、そのぬすみ部から、保持器4の案内面4c、その案内面4cが向かい合う鍔部5の対向面5cへ臨む給脂孔21が通じている。
また、この実施形態では、給脂孔21は、軸受の軸方向中心軸に対して角度を持って形成されている。すなわち、給脂孔21は、グリース溜まり20側から保持器4の案内面4c側に向かうにつれて、徐々に軸方向外側へ向かう方向へ直線状に伸びている。
このように、給脂孔21が斜めに設けられていることで、グリース溜まり20のサイズや場所に関わらず、保持器4の案内面4cの最適な箇所に、グリースを供給することが可能となる。すなわち、グリース溜まり20の大きさや場所を設定するための設計上の自由度が高まるので好ましい。
第6の実施形態を図6に示す。この第6の実施形態は、図中左側に示す一方の鍔部5側において、その鍔部5を外輪1と一体の部材とするとともに、第5の実施形態と同様のグリース溜まり20及び給脂孔21としている。また、図中右側に示す他方の鍔部5側において、その鍔部5を外輪1と別体の部材である鍔輪10によって形成するとともに、第1の実施形態と同様のグリース溜まり20及び給脂孔21としている。
なお、前記の第5の実施形態、第6の実施形態における外輪1側のグリース溜まり20及び給脂孔21の構成を、内輪2側に設けることも可能である。これは、後述の各実施形態においても同様である。
第7の実施形態を図7に示す。この第7の実施形態は、第2の実施形態における鍔輪10の形状を変更し、グリース溜まり20として機能する空間を、相対的に大きく確保したものである。この実施形態では、鍔輪10の転動体3に近い側の側面に設けた段部が、外輪1の内径部に圧入されている。
第8の実施形態を図8に示す。この第8の実施形態は、グリース溜まり20の転動体3側の開口(鍔部5の転動体3側の側面5aへの開口)の外径を、外輪1の軌道面1aの内径、すなわち、軌道径よりも大径としたものである。
外輪案内(外径案内)の場合において、このようにグリース溜まり20の外径を外輪1軌道径よりも、図中の寸法L1だけ大径にすることで、転動体3により掻き出されたグリースが、軌道面1a上に溜まってしまうことを防止できる。このため、攪拌抵抗や発熱をより確実に抑えることができ、また、グリースをスムーズに循環させることができる。
なお、保持器4の案内面4cが向く側の軌道輪が内輪2である場合には、グリース溜まり20の転動体3側の開口の内径が、内輪2の軌道径よりも小径である構成とすれば、同様の効果が期待できる。
第9の実施形態を図9に示す。この第9の実施形態は、第1の実施形態におけるグリース溜まり20及び給脂孔21の位置及び形状を変更し、グリース溜まり20の軸方向の奥行きを相対的に浅くするとともに、給脂孔21は、軸受の軸方向中心軸に対して角度を持って形成されている。すなわち、給脂孔21は、グリース溜まり20側から保持器4の案内面4c側に向かうにつれて、徐々に軸方向外側へ向かう方向へ直線状に伸びている。
第10の実施形態を図10に示す。この第10の実施形態は、保持器4の案内面4c、及び、その案内面4cが向かい合う鍔部5の対向面5cを、それぞれテーパ形状としたものである。その案内面4c及び対向面5cは、軸受中心側に向かって径が大きくなる形状である。
このように、保持器4の案内面4c、及び、外輪1側の鍔部5の対向面5cを、それぞれ軸受中心側に向かって径が大きくなるテーパ形状にすることで、軸受の回転に伴ってグリースが転動体3側へ誘導され、転動体3の潤滑状態を良好に保つことができる。
なお、保持器4の案内面4cが向く側の軌道輪が内輪2である場合には、保持器4の案内面4c、及び、内輪2側の鍔部5の対向面5cを、それぞれ軸受中心側に向かって径が大きくなるテーパ形状にすることで、同様の効果が期待できる。
第11の実施形態を図11に、第12の実施形態を図12に示す。この第11及び第12の実施形態は、保持器4の案内面4cが向かい合う鍔部5の対向面5cに、軸受の周方向及び軸方向に対して角度を持った溝22を形成したものである。
このように、鍔部5の対向面5cに斜め方向の溝22を設けることで、軸受の回転に伴ってグリースを軸方向に誘導することができる。特に、その溝の方向を、軸受の回転に伴って、グリースが転動体3側へ誘導される方向とすれば、転動体の潤滑状態を良好に保つことができる。
図11は、鍔部5の対向面5cに、軸受の周方向及び軸方向に対して角度を持った溝22を複数本形成したものである。溝22は、軸方向一方側の縁から他方側の縁に至る。また、図12は、溝22の形状を、軸方向一方側の縁から周方向に沿って進むにつれてその鍔部5の幅方向中心(軸方向中心)に至り、その後、軸方向一方側の縁に戻る形態としたものである。いずれの場合も、給脂孔21は溝22内に開口していることが望ましいが、溝22以外の部分に開口していてもよい。
第13の実施形態を図13に示す。この第13の実施形態は、給脂孔21の位置を、鍔部5の外縁側(幅方向外側)へ寄せたものである。図中に示すように、保持器4の円環部4aの軸方向幅L2×2に対する軸方向中心線を基準とした場合に、給脂孔21の中心線は、軸方向外側に距離L3だけ偏心している。
給脂孔21は、このように、保持器4の各円環部4aの幅方向中心よりも端面寄り(軸方向外側寄り)に設けられることが好ましい。保持器4と案内面4cの鍔部5への接触は、主に端面寄りの位置でおきるからである。
第14の実施形態を図14に示す。この第14の実施形態は、鍔部5の周上に複数の給脂孔21を設けた場合において、図中に示すように、給脂孔21の軸方向位置をずらしておくことで、保持器4が回転するのに伴い、案内面4cの広い範囲に均等に給脂することを可能としたものである。
なお、給脂孔21を、鍔部5の周上に複数設けておくことにより、特に、軸受が横軸にて使用される場合において、仮に、運転中にグリースが不足して、グリース溜まり20からの給脂の圧が低くなった場合でも、軸受の上側に位置する給脂孔21からグリースが染み出すことによって、案内面4cの潤滑状態を保つことができる。
また、給脂孔21を設ける周方向位置、軸方向位置、給脂孔の数は、軸受の用途や仕様により自由に設定でき、鍔部5の周方向一箇所に対し、給脂孔21を軸方向に沿って複数並列して設けることも可能であるし、この第14の実施形態のように、鍔部5の周方向に沿って、2列の給脂孔21を千鳥配置とすることも可能である。
ただし、転動体3を挟んで両側の鍔部5における保持器4の案内面4cに対する潤滑状態、及び、グリースと保持器4が接触する際におけるバランスが崩れないよう、給脂孔21は、左右の鍔部5で同じ角度位置(軸周り方位)に設けることが好ましい。
これらの実施形態では、転動体3として円筒ころ3を採用した円筒ころ軸受について説明したが、この発明の適用は、円筒ころ軸受には限定されず、例えば、転動体3としてボールを用いた玉軸受や、その他構成からなる転がり軸受6に適用できる。
1 外輪
1a 軌道面
2 内輪
2a 軌道面
3 転動体
4 保持器
4a 円環部
4b 柱部
4c 案内面
4d 突部
5 鍔部
5a,5b 側面
5c 対向面
6 転がり軸受
10 鍔輪
11 突出部
20 グリース溜まり
21 給脂孔
22 溝

Claims (5)

  1. 内外の軌道輪と、その内外の軌道輪間に周方向に沿って配置された複数の転動体(3)と、その転動体(3)を保持する保持器(4)とを備え、少なくとも前記保持器(4)に設けた案内面(4c)に対向するように前記軌道輪側に鍔部(5)を設けており、前記鍔部(5)は、その鍔部(5)の側面のうち前記転動体(3)に面している側に開口するグリース溜まり(20)と、そのグリース溜まり(20)から前記保持器(4)の案内面(4c)へ臨む給脂孔(21)とを備えることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記鍔部(5)は、鍔輪(10)に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 前記鍔輪(10)は、前記軌道輪の側面よりも軸受中心側に入り込む突出部(11)を備えることを特徴とする請求項2に記載の転がり軸受。
  4. 前記鍔部(5)は、前記軌道輪の軸方向両側に設けられ、前記保持器(4)は、その軸方向中程に前記鍔部(5)間に入り込む突部(4d)を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の転がり軸受。
  5. 前記保持器(4)の案内面(4c)が向く側の前記軌道輪は外輪(1)であり、前記グリース溜まり(20)の前記転動体(3)側の開口の外径が、前記外輪(1)の軌道径よりも大径であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の転がり軸受。
JP2013041848A 2013-03-04 2013-03-04 転がり軸受 Pending JP2014169746A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018088571A1 (ja) * 2016-11-14 2018-05-17 日本精工株式会社 円筒ころ軸受
CN117823522A (zh) * 2024-01-04 2024-04-05 中国航发湖南动力机械研究所 一种特殊结构轴承

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