JP2014062554A - 噛合式係合装置の制御装置 - Google Patents

噛合式係合装置の制御装置 Download PDF

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洋人 橋本
Yuji Iwase
雄二 岩瀬
Hiroaki Ebuchi
弘章 江渕
Hidekazu Nagai
秀和 永井
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Abstract

【課題】係合に要する時間を低減することができる噛合式係合装置の制御装置を提供する。
【解決手段】一組の噛合歯に対して係合方向の押付荷重を作用させる駆動装置を備え、
押付荷重による一組の噛合歯の相対移動距離が、移動開始前における一組の噛合歯の互いに対向する先端面間の係合方向の距離となる(S60−Y)と、押付荷重を一時的に低減する(S70)。一組の噛合歯が係合方向において所定距離オーバーラップする(S80−Y)と、押付荷重を増大させる(S90)ようにしてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、噛合式係合装置の制御装置に関する。
従来、噛合式係合装置が公知である。例えば、特許文献1には、スリーブを遊転ギアに締結させる際に、スリーブの締結位置への移動を指令してから、スリーブが締結したと判断できる所定位置範囲に移動するまでの間において、スリーブがシンクロナイザ近傍で固着している場合にスリーブへの押付け荷重を増加させるとともに、スリーブが遊転ギア近傍で固着している場合にスリーブを一旦中立位置に戻してスリーブを遊転ギアに再締結させる自動変速機の制御装置および制御方法の技術が開示されている。
特開2008−232200号公報
噛合式係合装置の係合に要する時間を低減することについて、なお改良の余地がある。例えば、一組の噛合歯が軸方向において互いに対向する先端面をそれぞれ有する場合に、先端面同士の固着を抑制し、係合に要する時間を低減できることが好ましい。
本発明の目的は、係合に要する時間を低減することができる噛合式係合装置の制御装置を提供することである。
本発明の噛合式係合装置の制御装置は、一組の噛合歯に対して係合方向の押付荷重を作用させる駆動装置を備え、前記押付荷重による前記一組の噛合歯の相対移動距離が、移動開始前における前記一組の噛合歯の互いに対向する先端面間の前記係合方向の距離となると、前記押付荷重を一時的に低減することを特徴とする。
上記噛合式係合装置の制御装置において、前記押付荷重を一時的に低減した後、前記一組の噛合歯が前記係合方向において所定距離オーバーラップすると、前記押付荷重を増大させることが好ましい。
上記噛合式係合装置の制御装置において、前記一組の噛合歯の一方を回転駆動しながら前記駆動装置によって前記一組の噛合歯に対して前記押付荷重を作用させることが好ましい。
本発明に係る噛合式係合装置の制御装置は、押付荷重による一組の噛合歯の相対移動距離が、移動開始前における一組の噛合歯の互いに対向する先端面間の係合方向の距離となると、押付荷重を一時的に低減する。本発明に係る噛合式係合装置の制御装置によれば、先端面同士が当接したままとなることを抑制し、係合に要する時間を低減することができるという効果を奏する。
図1は、第1実施形態の係合制御に係るフローチャートである。 図2は、第1実施形態に係る車両のスケルトン図である。 図3は、第1実施形態に係るクラッチの要部を示す図である。 図4は、第1実施形態に係る係合制御の概要を示す図である。 図5は、第1実施形態の係合制御に係る推力の推移を示す図である。 図6は、第1実施形態に係る第二規定ストロークの説明図である。 図7は、第2実施形態の係合制御に係るフローチャートである。 図8は、第3実施形態に係るクラッチの概略構成図である。 図9は、第3実施形態の係合制御に係るフローチャートである。 図10は、各実施形態の変形例にかかるピースを示す斜視図である。 図11は、各実施形態の変形例に係るスリーブを示す斜視図である。
以下に、本発明の実施形態に係る噛合式係合装置の制御装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1から図6を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、噛合式係合装置の制御装置に関する。図1は、本発明の第1実施形態の係合制御に係るフローチャート、図2は、第1実施形態に係る車両のスケルトン図、図3は、第1実施形態に係るクラッチの要部を示す図、図4は、第1実施形態に係る係合制御の概要を示す図、図5は、第1実施形態の係合制御に係る推力の推移を示す図、図6は、第1実施形態に係る第二規定ストロークの説明図である。
矩形歯、台形歯等の噛合歯を有する噛合式係合機構の係合過渡時に、歯先頂面(例えば、図3に示す歯先面45a,46a)同士が当接したままロックする可能性がある。本実施形態に係る噛合式係合装置の制御装置1−1は、クラッチ40を係合させるときに、歯先面45a,46aが当接する位置(図4(b)参照)までスリーブ43が移動すると、アクチュエータの推力を一時的に低減する。これにより、頂面ロックを抑制し、クラッチ40を完全に係合するために要する時間を低減することができる。
図2に示すように、車両100は、エンジン1、第一回転機MG1、第二回転機MG2を有するハイブリッド車両である。車両100は、外部電源により充電可能なプラグインハイブリッド(PHV)車両であってもよい。本実施形態に係る噛合式係合装置の制御装置1−1は、ECU50、アクチュエータ44および第一回転機MG1を含んで構成されている。
エンジン1は、燃料の燃焼エネルギーを出力軸1aの回転運動に変換して出力する。出力軸1aは、遊星歯車機構10のキャリア14に接続されている。遊星歯車機構10は、エンジン1の動力を第一回転機MG1側と出力側とに分配する動力分配機構としての機能を有している。本実施形態の遊星歯車機構10は、シングルピニオン式であり、サンギヤ11、ピニオンギヤ12、リングギヤ13およびキャリア14を有する。
リングギヤ13は、サンギヤ11と同軸上であってかつサンギヤ11の径方向外側に配置されている。ピニオンギヤ12は、サンギヤ11とリングギヤ13との間に配置されており、サンギヤ11およびリングギヤ13とそれぞれ噛み合っている。ピニオンギヤ12は、キャリア14によって回転自在に支持されている。キャリア14は、出力軸1aと連結されており、出力軸1aと一体回転する。従って、ピニオンギヤ12は、出力軸1aと共に出力軸1aの中心軸線周りに回転(公転)可能であり、かつキャリア14によって支持されてピニオンギヤ12の中心軸線周りに回転(自転)可能である。
サンギヤ11には、第一回転機MG1の回転軸31が接続されている。回転軸31は、出力軸1aと同軸上であって、かつサンギヤ11に対してエンジン1側と反対側に配置されている。回転軸31は、第一回転機MG1のロータと連結されており、第一回転機MG1の出力トルク(以下、単に「MG1トルク」)をサンギヤ11に伝達する。また、回転軸31は、サンギヤ11から入力されるトルクを第一回転機MG1のロータに伝達する。
回転軸31におけるサンギヤ11側と反対側の端部には、クラッチ40が配置されている。クラッチ40は、回転軸31の回転を規制する規制装置としての機能を有している。クラッチ40は、噛合式の係合装置であり、車体側円筒部材41、ピース42、スリーブ43およびアクチュエータ44を含んで構成されている。
車体側円筒部材41は、円筒形状の部材であり、車体側に回転不能に固定されている。本実施形態では、クラッチ40は、図示しないカバーにより覆われている。車体側円筒部材41は、このカバーに固定されている。カバーは、遮音カバーおよび保温カバーとしての機能を有している。カバーは、アクチュエータ44のモータの作動音を遮断し、車室内への作動音の侵入を抑制することができる。また、カバーによって、アクチュエータ44内の作動油の温度低下が抑制されることで、低温始動時のアクチュエータ44の動作がスムーズなものとなる。
ピース42は、回転軸31におけるサンギヤ11側と反対側の端部に接続されている。スリーブ43は、車体側円筒部材41によって、軸方向に移動自在に支持されている。車体側円筒部材41とスリーブ43とは、例えば、スプライン嵌合しており、軸方向に相対移動可能、かつ周方向に相対回転不能である。車体側円筒部材41の外周面には、軸方向に延在する外歯が形成されている。スリーブ43の内周面には、軸方向に延在する内歯が形成されている。車体側円筒部材41の外歯と、スリーブ43の内歯とが互いに噛み合っている。スリーブ43は、ピース42に対してエンジン1側と反対側に位置しており、軸方向においてピース42を挟んでエンジン1と対向している。
アクチュエータ44は、一組の噛合歯(図3参照。後述する第一ドグ歯45、第二ドグ歯46)に対して係合方向の押付荷重を作用させる駆動装置である。本実施形態のアクチュエータ44は、一組の噛合歯の一方である第二ドグ歯46(スリーブ43)に対して押付荷重を作用させる。本明細書において、係合方向とは、軸方向において、ピース42とスリーブ43とを互いに接近させる方向を示す。本実施形態では、スリーブ43が軸方向に移動してピース42と係合する。従って、本実施形態の係合方向は、軸方向においてスリーブ43からピース42に向かう方向、言い換えるとスリーブ43をエンジン1に向けて軸方向に移動させる方向である。
スリーブ43は、リターンスプリング等の付勢部材によって、係合方向と反対方向の付勢力を受けている。アクチュエータ44は、この付勢力に抗してスリーブ43に対して係合方向に移動させる押付荷重を作用させる。アクチュエータ44は、スリーブ43に対する押付荷重を制御可能なものである。アクチュエータ44は、ソレノイド等、減速機を有せず、等価質量が軽いものが好ましい。
クラッチ40は、アクチュエータ44が発生させる押付荷重によってスリーブ43を係合方向に移動させて、スリーブ43とピース42とを係合させることができる。スリーブ43とピース42とが係合すると、両者は相対回転不能に連結される。これにより、車体側円筒部材41と、ピース42とは、スリーブ43を介して相対回転不能に連結されることとなる。従って、係合状態のクラッチ40は、回転軸31の回転を規制し、第一回転機MG1の回転を規制する。アクチュエータ44による押付荷重の発生を停止すると、付勢部材の付勢力によって、スリーブ43は係合方向と反対方向(以下、「開放方向」とも記載する。)に移動する。これにより、スリーブ43とピース42との係合が解除され、クラッチ40は開放状態となる。スリーブ43とピース42との係合が解除された後、スリーブ43は、付勢部材の付勢力により所定の停止位置まで開放方向に移動する。クラッチ40は、スリーブ43を所定の停止位置で停止させるストッパ等を有している。
遊星歯車機構10のリングギヤ13には、カウンタドライブギヤ15が接続されている。カウンタドライブギヤ15は、カウンタドリブンギヤ16と噛み合っている。カウンタドリブンギヤ16は、カウンタシャフト17を介してドライブピニオンギヤ18と接続されている。ドライブピニオンギヤ18は、デフ装置19のデフリングギヤ19aと噛み合っている。デフ装置19は、左右の駆動軸20を介して図示しない左右の駆動輪とそれぞれ接続されている。
カウンタドリブンギヤ16には、リダクションギヤ33が噛み合っている。リダクションギヤ33は、第二回転機MG2の回転軸32に接続されており、第二回転機MG2のロータと一体回転する。第二回転機MG2の出力トルクは、リダクションギヤ33からカウンタドリブンギヤ16に伝達される。すなわち、エンジン1側からカウンタドライブギヤ15を介して伝達されるトルクと、第二回転機MG2からリダクションギヤ33を介して伝達されるトルクとは、カウンタドリブンギヤ16において合成されてドライブピニオンギヤ18から出力される。リダクションギヤ33は、カウンタドリブンギヤ16よりも小径であり、第二回転機MG2の回転を減速してカウンタドリブンギヤ16に出力する。
第一回転機MG1および第二回転機MG2は、それぞれモータ(電動機)としての機能と、発電機としての機能とを備えている。第一回転機MG1および第二回転機MG2は、インバータを介してバッテリと接続されている。第一回転機MG1および第二回転機MG2は、バッテリから供給される電力を機械的な動力に変換して出力することができると共に、入力される動力によって駆動されて機械的な動力を電力に変換することができる。回転機MG1,MG2によって発電された電力は、バッテリに蓄電可能である。第一回転機MG1および第二回転機MG2としては、例えば、交流同期型のモータジェネレータを用いることができる。
ECU50は、コンピュータを有する電子制御ユニットである。ECU50は、エンジン1、第一回転機MG1、第二回転機MG2およびクラッチ40のアクチュエータ44と電気的に接続されており、エンジン1、第一回転機MG1、第二回転機MG2およびアクチュエータ44を制御することができる。ECU50には、クラッチ40のストロークSを検出するストロークセンサが接続されている。ストロークセンサの検出結果を示す信号は、ECU50に入力される。また、ECU50には、第一回転機MG1の回転数(以下、「MG1回転数」と称する。)を検出するMG1回転数センサの検出結果を示す信号、および第二回転機MG2の回転数(以下、「MG2回転数」と称する。)を検出するMG2回転数センサの検出結果を示す信号が入力される。
車両100では、ハイブリッド(HV)走行あるいはEV走行を選択的に実行可能である。HV走行とは、エンジン1を動力源として車両100を走行させる走行モードである。HV走行では、エンジン1に加えて、更に第二回転機MG2を動力源としてもよい。EV走行は、第二回転機MG2を動力源として走行する走行モードである。EV走行では、エンジン1を停止して走行することが可能である。
本実施形態の車両100では、クラッチ40によって回転軸31の回転を規制して走行することが可能である。クラッチ40は、例えば、HV走行において係合されて回転軸31の回転を規制する。回転軸31の回転が規制されると、サンギヤ11はエンジントルクに対する反力受けとして機能し、エンジントルクをリングギヤ13から出力させることができる。従って、第一回転機MG1によって反力トルクを発生させる場合と異なり、電気パスを介さずに機械的な伝達によりエンジントルクを駆動軸20に出力することが可能である。
図3には、開放状態のクラッチ40が示されている。ピース42は、ピース本体42aと、第一ドグ歯45とを有している。ピース本体42aは、第一回転機MG1の回転軸31に接続されている。スリーブ43は、スリーブ本体43aと、第二ドグ歯46とを有する。スリーブ本体43aは、車体側円筒部材41によって、軸方向に移動自在かつ相対回転不能に支持されている。
第一ドグ歯45は、ピース本体42aの端面42bに設けられており、端面42bからスリーブ43に向けて突出している。第二ドグ歯46は、スリーブ本体43aの端面43bに設けられており、端面43bからピース42に向けて突出している。ピース本体42aの端面42bと、スリーブ本体43aの端面43bとは係合方向において互いに対向している。端面42bは、ピース本体42aにおけるスリーブ43側の端面である。また、端面43bは、スリーブ本体43aにおけるピース42側の端面である。
第一ドグ歯45は、ピース本体42aに複数設けられている。第一ドグ歯45は、ピース本体42aの回転軸線を中心として周方向に所定の間隔で配置されている。第二ドグ歯46は、スリーブ本体43aに複数設けられている。第二ドグ歯46は、スリーブ本体43aの回転軸線を中心として周方向に所定の間隔で配置されている。クラッチ40は、第一ドグ歯45と第二ドグ歯46とが噛み合うことにより係合状態となり、回転軸31の回転を規制する。本実施形態では、第一ドグ歯45および第二ドグ歯46がそれぞれ噛合歯である。また、複数の第一ドグ歯45と、複数の第二ドグ歯46とによって一組の噛合歯が構成されている。
本実施形態の噛合式係合装置の制御装置1−1は、クラッチ40を係合するときに、第一回転機MG1によってピース42を回転させる。つまり、クラッチ40を係合させるときには、ピース42とスリーブ43との間には一定以上の相対トルクが働いている。第一回転機MG1は、ピース42の回転数を自由に変更可能なモータである。ECU50は、第一回転機MG1によってピース42および第一ドグ歯45を回転駆動しながら、アクチュエータ44によって押付荷重Fをスリーブ43に作用させる。クラッチ40を係合するときのピース42の回転方向(以下、単に「係合時回転方向」とも記載する。)は、例えば、正回転方向である。ここで、正回転方向は、エンジン1が運転状態であるときのキャリア14の回転方向、すなわち車両100が前進するときのリングギヤ13の回転方向と同方向とすることができる。
第一ドグ歯45は、歯先面45aと、チャンファ面45bと、面取り面45cとを有する。歯先面45aは、第一ドグ歯45における軸方向の先端面である。歯先面45aは、係合方向と直交する面である。チャンファ面45bおよび面取り面45cは、それぞれ第一ドグ歯45の肩部に形成された傾斜面である。チャンファ面45bは、第一ドグ歯45における係合時回転方向の後方側の肩部に形成された後方傾斜面である。チャンファ面45bは、係合時回転方向の後方側へ向かうに従いスリーブ43から離間する方向の傾斜を有している。
面取り面45cは、第一ドグ歯45における係合時回転方向の前方側の肩部に形成された前方傾斜面である。面取り面45cは、係合時回転方向の前方側へ向かうに従いスリーブ43から離間する方向の傾斜を有している。軸方向と直交する面に対するチャンファ面45bの傾斜角度θ1は、軸方向と直交する面に対する面取り面45cの傾斜角度θ2よりも小さい。また、チャンファ面45bの係合時回転方向の幅は、面取り面45cの係合時回転方向の幅よりも大きい。チャンファ面45bの係合時回転方向の後方端45dは、面取り面45cの係合時回転方向の前方端45eよりも端面42b寄りに位置している。
第二ドグ歯46は、歯先面46aと、チャンファ面46bと、面取り面46cとを有する。歯先面46aは、第二ドグ歯46における軸方向の先端面である。歯先面46aは、係合方向と直交する面である。つまり、本実施形態では、第一ドグ歯45の歯先面45aと、第二ドグ歯46の歯先面46aとは、係合方向において互いに対向する先端面である。チャンファ面46bおよび面取り面46cは、それぞれ第二ドグ歯46の肩部に形成された傾斜面である。チャンファ面46bは、第二ドグ歯46における係合時回転方向の前方側の肩部に形成された前方傾斜面である。チャンファ面46bは、係合時回転方向の前方側へ向かうに従いピース42から離間する方向の傾斜を有している。
面取り面46cは、第二ドグ歯46における係合時回転方向の後方側の肩部に形成された後方傾斜面である。面取り面46cは、係合時回転方向の後方側へ向かうに従いピース42から離間する方向の傾斜を有している。軸方向と直交する面に対するチャンファ面46bの傾斜角度θ3は、軸方向と直交する面に対する面取り面46cの傾斜角度θ4よりも小さい。また、チャンファ面46bの係合時回転方向の幅は、面取り面46cの係合時回転方向の幅よりも大きい。チャンファ面46bの係合時回転方向の前方端46dは、面取り面46cの係合時回転方向の後方端46eよりも端面43b寄りに位置している。
符号P0で示す位置は、開放状態におけるスリーブ43の端面43bの係合方向の位置である。図3には、所定の停止位置(初期位置)にあるスリーブ43が示されている。すなわち、図3に示すスリーブ43の位置は、付勢部材の付勢力によって、スリーブ43が最も開放方向まで移動したときの位置である。アクチュエータ44の押付荷重Fが作用すると、スリーブ43は、図3に示す所定の停止位置から係合方向に移動する。本明細書では、所定の停止位置からのスリーブ43の係合方向の移動量をストロークSと称する。ストロークSは、アクチュエータ44の押付荷重Fによる第一ドグ歯45と第二ドグ歯46との係合方向の相対移動距離である。
ここで、図4を参照して、本実施形態の噛合式係合装置の制御装置1−1による係合制御について説明する。係合制御では、図4(b)に示すように、クラッチ40のストロークSが第一規定ストロークS1となると、押付荷重Fが一時的に低減される。これにより、歯先面45aと歯先面46aとが当接したままとなることが抑制される。本明細書では、クラッチ40を係合させるときに歯先面45aと歯先面46aとが当接したままとなる状態を「頂面ロック」と称する。頂面ロックが生じると、歯先面45aと歯先面46aとが相対回転しなくなり、動作不可となる可能性や、歯先面45aと歯先面46aとの相対回転速度が低下し、係合完了までの所要時間が増加する可能性がある。
本実施形態に係る係合制御では、ストロークSが第一規定ストロークS1となると、押付荷重Fが低減される。第一規定ストロークS1の大きさは、図3に示すように、スリーブ43が所定の停止位置にあるときの第一ドグ歯45の歯先面45aと第二ドグ歯46の歯先面46aとの係合方向の距離に等しい。つまり、第一規定ストロークS1は、アクチュエータ44の推力による移動開始前における第一ドグ歯45と第二ドグ歯46の互いに対向する先端面(歯先面45a,46a)間の係合方向の距離である。言い換えると、第一規定ストロークS1は、歯先面45aと歯先面46aとの係合方向の距離が0となるストロークSである。
第一規定ストロークS1において押付荷重Fが低減されることにより、歯先面45aと歯先面46aとが当接したとしても、歯先面45a,46aの間に発生する摩擦力が小さくなる。これにより、ピース42とスリーブ43とはスムーズに相対回転し、歯先面45a,46aの当接が解消されて第一ドグ歯45と第二ドグ歯46とが噛み合うことができる。従って、本実施形態の係合制御によれば、頂面ロックの発生を未然に抑制することが可能となる。
また、本実施形態の係合制御では、第一規定ストロークS1で押付荷重Fが一時的に低減された後、第一ドグ歯45と第二ドグ歯46が係合方向において所定距離オーバーラップすると、押付荷重Fが増大する。第一ドグ歯45と第二ドグ歯46とが係合方向においてオーバーラップしているということは、少なくとも頂面ロックの状態ではなく噛み合った状態である。この状態から押付荷重Fを増大させることで、第一ドグ歯45と第二ドグ歯46とをより確実に噛み合わせることが可能となる。また、クラッチ40を完全係合するまでの時間を短縮することができる。
本実施形態では、ストロークSが第二規定ストロークS2となると押付荷重Fが増大される。第二規定ストロークS2の大きさは、図6に示すように、第一ドグ歯45の面取り面45cの前方端45eと、所定の停止位置(初期位置)にある第二ドグ歯46の面取り面46cの後方端46eとの係合方向の距離に等しい。ストロークSが第二規定ストロークS2となったときには、図4(c)に示すように、面取り面45cの前方端45eと、面取り面46cの後方端46eとが係合方向の同じ位置にある。つまり、ストロークSが第二規定ストロークS2以上であるということは、面取り面45cと面取り面46cとが当接可能なストロークSの範囲を超えて第一ドグ歯45と第二ドグ歯46とが噛み合っていることを示す。面取り面45cと面取り面46cとが当接した状態で押付荷重Fを増大させてしまうと、完全係合するまでの時間を短縮できない可能性がある。
しかしながら、本実施形態の係合制御では、ストロークSが第二規定ストロークS2となると押付荷重Fが増加される。従って、面取り面45cと面取り面46cとが当接した状態で押付荷重Fを増大させてしまうことが抑制され、速やかにスリーブ43を最大ストロークの位置まで移動させてクラッチ40の係合を完了させることができる。本実施形態において押付荷重Fを増大させるときの第一ドグ歯45と第二ドグ歯46とのオーバーラップ量(所定距離L)は、図4(c)に示すように、ストロークSが第二規定ストロークS2であるときの歯先面45aと歯先面46aとの係合方向の距離、すなわち、歯先面45aと前方端45eとの係合方向の距離に、歯先面46aと後方端46eとの係合方向の距離を加えた距離である。
図1を参照して、本実施形態に係る噛合式係合装置の制御装置1−1による係合制御の動作を説明する。図1に示す制御フローは、回転軸31の回転をロックして走行する走行状態への移行判定がなされたときに実行される。
まず、ステップS10では、ECU50により、回転軸31のロック指令がなされる。ステップS10が実行されると、ステップS20に進む。
ステップS20では、ECU50により、MG1回転数の同期制御がなされる。ECU50は、クラッチ40を係合するために、スリーブ43とピース42との回転数を同期させるようにMG1回転数を制御する。ECU50は、例えば、MG1回転数を0とし、あるいはMG1回転数の絶対値を所定回転数以下とするように、第一回転機MG1を制御する。本実施形態では、ECU50は、ピース42を係合時回転方向に所定の回転数で回転させるように、第一回転機MG1の目標回転数を定める。ECU50は、定めた目標回転数を実現するように、第一回転機MG1を制御する。ステップS20が実行されると、ステップS30に進む。
ステップS30では、ECU50は、MG1同期判定を行う。ECU50は、MG1回転数がステップS20で定めた目標回転数であるかを判定する。MG1回転数が目標回転数である場合(ステップS30−Y)には同期判定がなされてステップS40に進み、そうでない場合(ステップS30−N)にはステップS30の判定が繰り返される。
ステップS40では、ECU50により、クラッチ40の係合指令がなされる。ステップS40が実行されると、ステップS50に進む。
ステップS50では、ECU50により、アクチュエータ44がONとされる。ECU50は、予め定められた第一の推力(押付荷重)F1(図5参照)までアクチュエータ44の推力を増加させる。ステップS50が実行されると、ステップS60に進む。
ステップS60では、ECU50により、ストロークSが第一規定ストロークS1であるか否かが判定される。その判定の結果、ストロークSが第一規定ストロークS1であると判定された場合(ステップS60−Y)にはステップS70に進み、そうでない場合(ステップS60−N)にはステップS60の判定が繰り返される。
ステップS70では、ECU50により、アクチュエータ44の推力が低減される。ECU50は、予め定められた第二の推力F2(図5参照)までアクチュエータ44の推力を低減する。第二の推力F2は、頂面ロックを抑制できる値である。第二の推力F2は、例えば、第一ドグ歯45の歯先面45aと第二ドグ歯46の歯先面46aとが当接したとしてもスリーブ43とピース42とが相対回転できる押付荷重Fである。第二の推力F2は、アクチュエータ44の推力が第一の推力F1であるときよりも、ピース42とスリーブ43との相対回転数を増加させることができるものであってもよい。
第二の推力F2は、例えば、歯先面45aと歯先面46aとの摩擦係数と、歯先面45aと歯先面46aとの係合方向の距離と、スリーブ43とピース42との相対回転数とに基づいて定められる。アクチュエータ44の推力が第二の推力F2に低減されることで、歯先面45aと歯先面46aとが当接したとしても、歯先面45aと歯先面46aとに滑りが生じ、頂面ロックが抑制される。ステップS70が実行されると、ステップS80に進む。
ステップS80では、ECU50により、ストロークSが第二規定ストロークS2であるか否かが判定される。その判定の結果、ストロークSが第二規定ストロークS2であると判定された場合(ステップS80−Y)にはステップS90に進み、そうでない場合(ステップS80−N)にはステップS80の判定が繰り返される。
ステップS90では、ECU50により、アクチュエータ44の推力が復帰される。ECU50は、アクチュエータ44の推力を増大させる。ECU50は、例えば、第一規定ストロークS1において推力を低減させる前の推力、すなわち第一の推力F1までアクチュエータ44の推力を増加させる。ステップS90が実行されると、ステップS100に進む。
ステップS100では、ECU50により、クラッチ40の係合が完了したか否かが判定される。ECU50は、ストロークSが予め定められた係合完了ストロークS3となると、クラッチ40の係合が完了したと判定する。ステップS100の判定の結果、クラッチ40の係合が完了したと判定された場合(ステップS100−Y)にはステップS110に進み、そうでない場合(ステップS100−N)にはステップS100の判定が繰り返される。
ステップS110では、ECU50により、MG1トルクが0とされる。ステップS110が実行されると、ステップS120に進む。
ステップS120では、ECU50により、アクチュエータ44の推力が低減される。ECU50は、クラッチ40の係合を維持できる推力として予め定められた推力まで、アクチュエータ44の推力を低減する。ステップS120が実行されると、本制御フローは終了する。
なお、第一ドグ歯45の形状および第二ドグ歯46の形状は、本実施形態で例示したものには限定されない。第一ドグ歯45は、歯先面45aを有するものであればよく、第二ドグ歯46は、歯先面46aを有するものであればよい。
[第1実施形態の第1変形例]
第1実施形態の第1変形例について説明する。上記第1実施形態では、検出されたストロークSが第一規定ストロークS1である場合にアクチュエータ44の推力が低減された。本変形例では、ストロークSに代えて、アクチュエータ44をONとしてからの時間に基づいてアクチュエータ44の推力が低減される。
アクチュエータ44をONとしてからの経過時間に対してアクチュエータ44の推力を同じように推移させた場合、スリーブ43の速度は同じ様に推移し、ストロークSも同じ様に推移する。従って、アクチュエータ44をONとしてからの経過時間に基づいてストロークSを推定することが可能である。本変形例では、ECU50は、アクチュエータ44をONとしてからの経過時間に基づいて推定ストロークSが第一規定ストロークS1となると、アクチュエータ44の推力を低減する。なお、ECU50は、ストロークSを推定することに代えて、アクチュエータ44をONとしてからの経過時間が予め定められた第一の経過時間となるとアクチュエータ44の推力を低減するようにしてもよい。
また、ECU50は、アクチュエータ44をONとしてからの経過時間に基づいて、ストロークSが第二規定ストロークS2となったことを推定することができる。第一規定ストロークS1でアクチュエータ44の推力が低減されることで、第一ドグ歯45の歯先面45aと第二ドグ歯46の歯先面46aとに滑りが生じ、スリーブ43とピース42とが相対回転する。従って、ストロークSが第一規定ストロークS1となったときに歯先面45aと歯先面46aとが当接したとしても、一定以上の時間が経過すれば、当接状態が解消され、ストロークSが少なくとも第二規定ストロークS2に達していると推定することができる。
ECU50は、アクチュエータ44をONとしてからの経過時間に基づいて、ストロークSが第二規定ストロークS2となったと判定すると、アクチュエータ44の推力を増加させる。なお、ECU50は、ストロークSを推定することに代えて、アクチュエータ44をONとしてからの経過時間が予め定められた第一の経過時間となるとアクチュエータ44の推力を増加させるようにしてもよい。
ECU50は、ストロークSに代えて、MG1回転数に基づいてクラッチ40の係合が完了したか否かを判定することができる。ECU50は、クラッチ40の係合が完了したか否かを判定する場合に、MG1トルクを振ってみて第一回転機MG1が回転するか否かに基づいて係合判定を行う。MG1トルクを正方向と負方向とに交互に変化させた場合に、第一回転機MG1が回転しなければ、クラッチ40の係合が完了したと判定することができる。一方で、MG1トルクを正方向と負方向とに交互に変化させた場合に、第一回転機MG1が回転する場合、クラッチ40の係合が完了していないと判定することができる。
[第1実施形態の第2変形例]
第1実施形態の第2変形例について説明する。上記第1実施形態の係合制御で、ストロークSが第一規定ストロークS1となってアクチュエータ44の推力を一時的に低減するときに、更に、MG1トルクを一時的に増減させるようにしてもよい。例えば、ピース42の係合時回転方向の回転速度を増加させるように、MG1トルクの指令値を変化させるようにしてもよい。ストロークSが第一規定ストロークS1よりも増加したときや、ストロークSが第二規定ストロークS2となったときに、MG1トルクを元の値に戻すようにしてもよい。
[第2実施形態]
図7を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図7は、第2実施形態の係合制御に係るフローチャートである。本実施形態の係合制御において、上記第1実施形態の係合制御と異なる点は、第一規定ストロークS1に所定時間以上停滞している場合にアクチュエータ44の推力を低減する点である。
図7を参照して、本実施形態の係合制御について説明する。図7に示す制御フローは、回転軸31の回転をロックして走行する走行状態への移行判定がなされたときに実行される。
ステップS210からステップS250までは、上記第1実施形態に係る係合制御(図1)のステップS10からステップS50までと同様とすることができる。ECU50は、ステップS210で回転軸31のロック指令を行い、ステップS220でMG1回転数の同期制御を行い、MG1同期判定がなされる(ステップS230−Y)とステップS240で係合指令を行い、ステップS250でアクチュエータ44の推力を第一の推力F1とする。
次に、ステップS260では、ECU50により、クラッチ40の係合が完了したか否かが判定される。ECU50は、例えば、ストロークSが係合完了ストロークS3である場合に肯定判定を行う。ステップS260の判定の結果、クラッチ40の係合が完了したと判定された場合(ステップS260−Y)にはステップS290に進み、そうでない場合(ステップS260−N)にはステップS270に進む。
ステップS270では、ECU50により、頂面ロックが発生しているか否かが判定される。ECU50は、例えば、ストロークSが第一規定ストロークS1である状態が所定時間以上継続している場合に、ステップS270で肯定判定を行う。所定時間は、例えば、予め定められた目標係合時間とされてもよい。目標係合時間は、アクチュエータ44をONとしてからクラッチ40の係合が完了するまでの目標時間である。ステップS270の結果、頂面ロックが発生していると判定された場合(ステップS270−Y)にはステップS280に進み、そうでない場合(ステップS270−N)にはステップS260の判定が繰り返される。
ステップS280では、ECU50により、アクチュエータ44の推力が低減される。ECU50は、例えば、アクチュエータ44の推力を第二の推力F2に低減する。ステップS280が実行されると、ステップS260に移行する。
ステップS290およびステップS300は、上記第1実施形態の係合制御(図1)のステップS110およびステップS120とそれぞれ同様とすることができる。ECU50は、ステップS290でMG1トルクを0とし、ステップS300でアクチュエータ44の推力を低減する。ステップS300が実行されると、本制御フローは終了する。
本実施形態に係る係合制御によれば、第一ドグ歯45と第二ドグ歯46とがうまく噛み合ったときには、アクチュエータ44の推力を低減することなくクラッチ40の係合を完了させることができる。
[第3実施形態]
図8および図9を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記の各実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図8は、第3実施形態に係るクラッチの概略構成図、図9は、第3実施形態の係合制御に係るフローチャートである。本実施形態に係るクラッチ40は、ピース42がバネ42dを有しており、ピース本体42aが軸方向に移動可能である。本実施形態に係る係合制御では、頂面ロックを回避する場合に、アクチュエータ44の推力を低減することに代えて、ストロークSが低減される。
図8に示すように、ピース42は、ピース本体42a、連結部42c、バネ42dおよび第一ドグ歯45を有する。連結部42cは、回転軸31に固定されている。連結部42cは、回転軸31に対して相対回転不能かつ軸方向に相対移動不能である。バネ42dは、連結部42cとピース本体42aとを接続している。ピース本体42aは、回転軸31に対して相対回転不能かつ軸方向に相対移動自在である。バネ42dは、ピース本体42aを軸方向のスリーブ43側へ向けて押圧する付勢力Fkを発生させる。
ピース42は、バネ42dが所定以上に伸張することを規制する図示しないストッパを有している。ストッパは、第一ドグ歯45の歯先面45aを図8に示す歯先位置Tで停止させる。クラッチ40は、歯先面45aが歯先位置Tにある状態からのピース本体42aのストローク(以下、「ピースストローク」と称する。)を検出する図示しない第二のストロークセンサを有している。ピースストロークは、歯先面45aが歯先位置Tにあるときのピース本体42aの位置(所定位置)からのピース本体42aの係合方向の移動量である。第二のストロークセンサの検出結果を示す信号は、ECU50に出力される。
本実施形態のクラッチ40は、ストッパ47を有する。ストッパ47は、スリーブ43の最大ストロークを規定するものである。スリーブ43は、ストッパ47と係合する係合部43cを有している。ストッパ47および係合部43cは、第一ドグ歯45と第二ドグ歯46とが正常に噛み合った場合にクラッチ40の係合が完了するストローク、すなわち係合完了ストロークS3でスリーブ43を停止させることができる。なお、上記第1実施形態のクラッチ40と同様に、スリーブ43は回転が規制されている。
図8には、スリーブ43のストロークSが係合完了ストロークS3となった状態が示されている。第二ドグ歯46の歯先面46aが第一ドグ歯45の歯先面45aに当接し、ピース本体42aを係合方向に押し込んでいる。このため、歯先面45aは、歯先位置Tよりも係合方向に位置しており、バネ42dは押し縮められている。このように、本実施形態のクラッチ40では、頂面ロックが生じるとバネ42dが押し縮められる。このため、歯先面45a,46a間に発生する垂直抗力は、アクチュエータ44の推力ではなく、バネ42dのバネ力によって決まる。言い換えると、垂直抗力は、スリーブ43のストロークSによって決まる。
本実施形態の係合制御では、頂面ロックが発生したと判定された場合に、ストロークSが若干下げられる。これにより、実質的な推力が低減し、歯先面45a,46a間の垂直抗力が低減することで、頂面ロックの解消が図られる。
図9を参照して、本実施形態の係合制御について説明する。図9に示す制御フローは、回転軸31の回転をロックして走行する走行状態への移行判定がなされたときに実行される。
ステップS410からステップS450までは、上記第1実施形態に係る係合制御(図1)のステップS10からステップS50までと同様とすることができる。ECU50は、ステップS410で回転軸31のロック指令を行い、ステップS420でMG1回転数の同期制御を行い、MG1同期判定がなされる(ステップS430−Y)とステップS440で係合指令を行い、ステップS450でアクチュエータ44の推力を第一の推力F1とする。
次に、ステップS460では、ECU50により、クラッチ40の係合が完了したか否かが判定される。ECU50は、例えば、ストロークSが係合完了ストロークS3であり、かつピースストロークが0である場合にステップS460で肯定判定を行う。ステップS460の判定の結果、クラッチ40の係合が完了したと判定された場合(ステップS460−Y)にはステップS490に進み、そうでない場合(ステップS460−N)にはステップS470に進む。
ステップS470では、ECU50により、頂面ロックが発生しているか否かが判定される。ECU50は、例えば、ストロークSが係合完了ストロークS3であり、かつピースストロークが0でない状態が所定時間以上継続している場合に、ステップS470で肯定判定を行う。所定時間は、例えば、上記第2実施形態の係合制御のステップS270の所定時間と同様とすることができる。ステップS470の判定の結果、頂面ロックが発生していると判定された場合(ステップS470−Y)にはステップS480に進み、そうでない場合(ステップS470−N)にはステップS460の判定が繰り返される。
ステップS480では、ECU50により、スリーブ位置が後退させられる。ECU50は、アクチュエータ44の推力を低減させ、バネ42dのバネ力およびスリーブ43の付勢部材の付勢力によって、スリーブ43のストロークSを低減させる。ステップS480におけるストロークSの目標値は、頂面ロックを抑制できる値である。目標ストロークは、例えば、歯先面45aと歯先面46aとの摩擦係数と、歯先面45aと歯先面46aとの係合方向の距離と、スリーブ43とピース42との相対回転数とに基づいて定められる。
なお、ステップS480でスリーブ位置を後退させるときに、クラッチ40の係合が完了するまで、徐々にスリーブ43のストロークSを低減するようにしてもよい。言い換えると、クラッチ40の係合が完了するまで、スリーブ43の目標ストロークを徐々に低減していくようにしてもよい。ステップS480が実行されると、ステップS490に進む。
ステップS490およびステップS500は、上記第1実施形態の係合制御(図1)のステップS110およびステップS120とそれぞれ同様とすることができる。ECU50は、ステップS490でMG1トルクを0とし、ステップS500でアクチュエータ44の推力を低減する。ステップS500が実行されると、本制御フローは終了する。
[各実施形態の変形例]
上記第1実施形態乃至第3実施形態の変形例について説明する。図10は、各実施形態の変形例にかかるピースを示す斜視図、図11は、各実施形態の変形例に係るスリーブを示す斜視図である。本変形例に係るクラッチ40は、内歯と外歯とが噛み合うものである。
図10に示すように、ピース142は、円筒形状のピース本体142aを有する。第一ドグ歯145は、ピース本体142aの外周面に形成されており、径方向の外側に向けて突出している外歯である。第一ドグ歯145は、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。第一ドグ歯145における軸方向の先端部には、先端面145aが形成されている。先端面145aは、第一ドグ歯145における係合方向と反対方向の先端に形成されている。先端面145aは、軸方向と直交する面である。第一ドグ歯145は、上記第1実施形態の第一ドグ歯45のチャンファ面45bと同様のチャンファ面や、面取り面45cと同様の面取り面を有していてもよい。
図11に示すように、スリーブ143は、円筒形状のスリーブ本体143aを有する。第二ドグ歯146は、スリーブ本体143aの内周面に形成されており、径方向の内側に向けて突出している内歯である。第二ドグ歯146は、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。第二ドグ歯146における軸方向の先端部には、先端面146aが形成されている。先端面146aは、第二ドグ歯146における係合方向の先端に形成されている。先端面146aは、軸方向と直交する面である。第二ドグ歯146は、上記第1実施形態の第二ドグ歯46のチャンファ面46bと同様のチャンファ面や、面取り面46cと同様の面取り面を有していてもよい。
第一ドグ歯145の歯筋の向き、および第二ドグ歯146の歯筋の向きは、いずれも軸方向である。ピース142とスリーブ143とは、同軸上に、かつクラッチ40の開放状態において先端面145aと先端面146aとが軸方向において互いに対向するように配置される。図示しないアクチュエータが発生させる推力によってスリーブ143が係合方向に移動し、第一ドグ歯145と第二ドグ歯146とが噛み合う。こうしたクラッチ40においても、クラッチ40を係合させるときに先端面145aと先端面146aとが当接したままとなる頂面ロックが発生する可能性がある。
これに対して、上記第1実施形態乃至第3実施形態の係合制御によって、クラッチ40の係合に要する時間を低減することが可能である。なお、本変形例では第一ドグ歯145が外歯で第二ドグ歯146が内歯であったが、これとは逆に第一ドグ歯145が内歯、第二ドグ歯146が外歯であってもよい。
上記の各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
1−1 噛合式係合装置の制御装置
40 クラッチ
42 ピース
43 スリーブ
44 アクチュエータ(駆動装置)
45 第一ドグ歯
45a 歯先面
45b チャンファ面
45c 面取り面
46 第二ドグ歯
46a 歯先面
46b チャンファ面
46c 面取り面
MG1 第一回転機
F 押付荷重
F1 第一の推力
F2 第二の推力
S ストローク
S1 第一規定ストローク
S2 第二規定ストローク
S3 係合完了ストローク

Claims (3)

  1. 一組の噛合歯に対して係合方向の押付荷重を作用させる駆動装置を備え、
    前記押付荷重による前記一組の噛合歯の相対移動距離が、移動開始前における前記一組の噛合歯の互いに対向する先端面間の前記係合方向の距離となると、前記押付荷重を一時的に低減する
    ことを特徴とする噛合式係合装置の制御装置。
  2. 前記押付荷重を一時的に低減した後、前記一組の噛合歯が前記係合方向において所定距離オーバーラップすると、前記押付荷重を増大させる
    請求項1に記載の噛合式係合装置の制御装置。
  3. 前記一組の噛合歯の一方を回転駆動しながら前記駆動装置によって前記一組の噛合歯に対して前記押付荷重を作用させる
    請求項1または2に記載の噛合式係合装置の制御装置。
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