JP2014062344A - 繊維製品用処理剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】変色が抑制された、酸化防止剤を含む繊維製品用処理剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)酸化防止剤と、(B)内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンとを含む繊維製品用処理剤組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、変色が抑制された、酸化防止剤を含む繊維製品用処理剤組成物に関する。
繊維製品を消臭・防臭する方法として、従来より、感覚的消臭、物理的消臭、化学的消臭、生物的消臭等によって、悪臭を減らす試みがなされており、今なお技術の向上が図られている。
防臭効果を有するものとして酸化防止剤が見出されている。しかしながら、酸化防止剤を配合することにより繊維製品用処理剤が変色するという問題がある。
これに対して、特開2010−144143号公報には、酸化防止剤を含む柔軟剤組成物に特定のケイ素化合物を添加することによって酸化防止剤の着色を抑制する方法が開示されている。また、特開2011−137252号公報には、衣料用液体柔軟剤組成物において、特定のアルデヒド香料、特定の酸化防止剤及び特定のアミン化合物等を組み合わせることによって、外観の変色を抑制する方法が開示されている。
しかしながら、特開2010−144143号公報に開示の方法では、着色抑制効果が十分ではなく、また特開2011−137252号公報に開示の方法では、特定の酸化防止剤に限定されている。
特開2010−144143号公報 特開2011−137252号公報
従って、本発明は、変色抑制効果に優れた、酸化防止剤を含む繊維製品用処理剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、酸化防止剤を含む繊維製品用処理剤組成物中に、高度環状分岐デキストリンという特定のグルカンを配合することによって、組成物の変色抑制効果が得られることを見出した。
本発明は、このような新規な知見に基づいて完成されたものである。
本発明は、
(A)酸化防止剤と、
(B)内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンと
を含む繊維製品用処理剤組成物を提供する。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(B)成分である高度環状分岐デキストリンを配合することにより組成物の変色抑制効果が得られる。
[(A)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる(A)成分である酸化防止剤としては、一般に酸化防止効果が知られている化合物であれば、特に限定されるものではない。(A)成分は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。(A)成分の具体的としては、2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール(BHA)、p−メトキシフェノール、β−ナフトール、フェニル−α−ナフチルアミン、テトラメチルジアミノジフェニルメタン、γ−オリザノール、ビタミンE(α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール)、ビタミンC(L−アスコルビン酸)、トレハロース、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)・1/3クエン酸塩、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、クェルセチン、及び4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等が挙げられる。これらの中では、フェノール系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種が好ましく、2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、p−メトキシフェノール及びγ−オリザノールから選ばれる少なくとも1種が好ましい。より好ましくは2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン、p−メトキシフェノール、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)であり、さらに好ましくは2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエンである。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(A)成分の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.005〜4質量%、さらに好ましくは0.01〜3質量%である。0.001質量%よりも少ないと、十分な防臭効果がない。5質量%よりも多く配合しても、防臭効果は特に向上しない。
柔軟剤組成物の場合、(A)成分の配合量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜4質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。
スプレー式繊維処理剤の場合、(A)成分の配合量は、好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.005〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%である。
[(B)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる(B)成分は、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンである。このようなグルカンは、高度分岐環状デキストリン又はクラスターデキストリンとも呼ばれ、本明細書においても、(B)成分を「高度分岐環状デキストリン」と言う。
本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンは、分子量が3万から100万程度であり、分子内に環状構造を1つ有し、さらにその環状部分に多数のグルカン鎖が結合した重量平均重合度2500程度のデキストリンを主に含む。
本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分は10〜100個程度のグルコースで構成されており、この内分岐環状構造部分に、非環状の多数の分岐グルカン鎖からなる外分岐構造部分が結合している。
例えば、本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの重合度は50〜5000の範囲にある。
例えば、本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの内分岐環状構造部分の重合度は、10〜100の範囲である。
例えば、本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分の重合度は、40以上である。
例えば、本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの外分岐構造部分の各単位鎖の重合度は、平均で10〜20である。
本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンは、例えば、デンプンを原料として、ブランチングエンザイムという酵素を作用させて製造される。原料であるデンプンは、グルコースがα−1、4−グルコシド結合によって直鎖状に結合したアミロースと、α−1,6−グルコシド結合によって複雑に分岐した構造をもつアミロペクチンからなり、アミロペクチンは、クラスター構造が多数連結された巨大分子である。使用酵素であるブランチングエンザイムは、動植物、微生物に広く分布するグルカン鎖転移酵素であり、アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目部分に作用し、これを環状化する反応を触媒する。
より詳細には、本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンは、特開平8−134104に記載の、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンである。本明細書において、高度分岐環状デキストリンは、特開平8−134104の記載を参酌して理解され得る。
本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンは、上記の通り特定の構造を有し、かつ重合度(分子量)が大きいものであり、α−シクロデキストリン(n=6)、β−シクロデキストリン(n=7)、γ−シクロデキストリン(n=8)などのグルコースが6〜8個結合した一般的なシクロデキストリンとは異なる。
本発明の繊維製品用処理剤組成物に含まれる高度分岐環状デキストリンの具体例としては、グリコ栄養食品株式会社の「クラスターデキストリン」(登録商標)が挙げられる。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(B)成分の配合量は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.03〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜3質量%である。(B)成分の配合量が0.01質量%よりも多いと優れた黄変抑制効果を発揮し得る。(B)成分の配合量を10質量%よりも多く配合すると高温保存での安定性が悪くなる場合がある。
柔軟剤組成物の場合、(B)成分の配合量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。
スプレー式繊維処理剤の場合、(B)成分の配合量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.03〜3質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。
なお、高度環状分岐デキストリンに代えて、α−シクロデキストリン(n=6)、β−シクロデキストリン(n=7)、γ−シクロデキストリン(n=8)などのグルコースが6〜8個結合した一般的なシクロデキストリンを繊維製品用処理剤組成物中に配合しても、本発明の繊維製品用処理剤組成物と同等の優れた黄変抑制効果は得られない。
また、繊維製品用処理剤組成物中の(A)成分の含有量と(B)成分の含有量との比率((A)/(B))は、特に限定されないが、5以下が好ましく、3以下であることがさらに好ましく、1以下の範囲内であることが特に好ましい。(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の比率が5以下であることにより、優れた黄変抑制効果を発現する。
[(C)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、さらに(C)非イオン界面活性剤を含有することができる。(C)成分により、本発明の繊維製品用処理剤組成物の保存安定性を高めることができる。(C)成分は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。非イオン界面活性剤としては、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導されるもの等を挙げることができる。より具体的には、炭素数8〜36のアルキル基又はアルケニル基を有し、かつ、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均5〜100モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキル(C1〜3)エステルや、オキシエチレン基の平均付加モル数が5〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルアミン、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルポリグルコシド、オキシエチレン基の平均付加モル数が5〜100モルである硬化ヒマシ油、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸と多価アルコールとのエステル、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸と多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルとのエステルなどが挙げられる。上記アルキル基又はアルケニル基は直鎖でも分岐鎖でもよい。中でも、炭素数8〜36、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基を有し、かつ、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均5〜100モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル、オキシエチレン基の平均付加モル数が5〜100モルである硬化ヒマシ油、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸と多価アルコールとのエステル、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸と多価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルとのエステルが好ましく、炭素数8〜36、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基を有し、かつ、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均5〜100モル、好ましくは平均5〜60モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルがさらに好ましい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物において、(C)成分の配合量は、特に限定されないが、0.01〜10質量%が好ましく、0.03〜8質量%がより好ましく、0.05〜5質量%がさらに好ましい。
柔軟剤組成物の場合、(C)成分の配合量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
スプレー式繊維処理剤の場合、(C)成分の配合量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
また、本発明の繊維製品用処理剤組成物中の(A)成分の含有量と(C)成分の含有量との比率(A)/(C)は、特に限定されないが、2以下が好ましく、1以下であることがさらに好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の比率が2以下であることにより、保存安定性をより高めることができる。
[(D)成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、さらに(D)陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び陰イオン界面活性剤の少なくとも1つを含有することができる。(D)成分により、本発明の繊維製品用処理剤組成物の保存安定性を高めることができる。(D)成分は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。本発明の繊維製品用処理剤組成物は、好ましくは陽イオン界面活性剤を含む。
陽イオン界面活性剤としては、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜26の炭化水素基(以下、本明細書において「長鎖炭化水素基」ということがある)を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、オキシエチレン基の平均付加モル数が5〜100モルであるポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩等が挙げられる。中でも、分子内にエステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜26の炭化水素基を少なくとも1つ有する第3級アミンの酸塩又はその4級化物が好ましい。本発明の繊維製品用処理剤組成物において、陽イオン界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、0.01〜30質量%が好ましい。
柔軟剤組成物として応用する場合には、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜26の炭化水素基を分子内に1〜3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。特に、長鎖炭化水素基の炭素数は、17〜26が好ましく、19〜24がより好ましい。炭素数が10以上であると柔軟性が良好で、26以下であるとハンドリング性が良好である。
長鎖炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合には、その二重結合の位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央値を中心に分布していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
長鎖炭化水素基は、エステル基(−COO−)又はアミド基(−NHCO−)で分断されていてもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、その炭素鎖中に、エステル基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも1種の分断基を有し、該分断基によって炭素鎖が分断されたものであってもよい。該分断基を有すると、生分解性が向上する等の点から好ましい。
該分断基を有する場合、1つの長鎖炭化水素基が有する分断基の数は1つであっても2つ以上であってもよい。すなわち、長鎖炭化水素基は、分断基によって1ヶ所が分断されていてもよく、2ヶ所以上が分断されていてもよい。分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、炭素鎖中に分断基を有する場合、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントするものとする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用することにより導入される。
前記アミン化合物としては、2級アミン化合物又は3級アミン化合物が好ましく、3級アミン化合物がより好ましい。
前記アミン化合物として、より具体的には、下記一般式(D1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014062344
[式中、R1〜R3はそれぞれ独立に、炭素数10〜26の炭化水素基、−CH2CH(Y)OCOR4(Yは水素原子又はCH3であり、R4は炭素数7〜21の炭化水素基である。)、−(CH2nNHCOR5(nは2又は3であり、R5は炭素数7〜21の炭化水素基である。)、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH2CH(Y)OH、又は−(CH2nNH2であり、R1〜R3のうちの少なくとも1つは、炭素数10〜26の炭化水素基、−CH2CH(Y)OCOR4、又は−(CH2nNHCOR5である。]
式(D1)中、R1〜R3における炭素数10〜26の炭化水素基の炭素数は、17〜26が好ましく、19〜24がより好ましい。該炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。該炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
−CH2CH(Y)OCOR4中、Yは水素原子又はCH3であり、水素原子が特に好ましい。
4は炭素数7〜21の炭化水素基、好ましくは炭素数15〜19の炭化水素基である。式(D1)で表される化合物中にR4が複数存在するとき、該複数のR4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
4の炭化水素基は、炭素数8〜22の脂肪酸(R4COOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R4のもととなる脂肪酸(R4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。なかでも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した衣類に良好な吸水性を付与するために、R4のもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10〜0/100が好ましく、80/20〜0/100より好ましい。
4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60〜100/0が好ましく、70/30〜90/10が特に好ましい。
4のもととなる脂肪酸として具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。中でも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)〜(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10〜0/100、より好ましくは80/20〜0/100である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60〜100/0、より好ましくは70/30〜90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21〜22の脂肪酸が1質量%未満である。
−(CH2nNHCOR5中、nは2又は3であり、3が特に好ましい。
5は炭素数7〜21の炭化水素基、好ましくは炭素数15〜19の炭化水素基である。式(D1)で表される化合物中にR5が複数存在するとき、該複数のR5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
5としては、R4と同様のものが具体的に挙げられる。
1〜R3のうち、少なくとも1つは長鎖炭化水素基(炭素数10〜26の炭化水素基、−CH2CH(Y)OCOR4、又は−(CH2nNHCOR5)であり、2つが長鎖炭化水素基であることが好ましい。
1〜R3のうち、1つ又は2つが長鎖炭化水素基である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、−CH2CH(Y)OH、又は−(CH2nNH2であり、炭素数1〜4のアルキル基、−CH2CH(Y)OH、又は−(CH2nNH2であることが好ましい。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。−CH2CH(Y)OHにおけるYは、−CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。−(CH2nNH2におけるnは、−(CH2nNHCOR5中のnと同様である。
前記一般式(D1)で表される化合物の好ましい例として、下記一般式(D1−1)〜(D1−8)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2014062344
[式中、R7及びR8はそれぞれ独立に、炭素数10〜26の炭化水素基である。R9及びR10はそれぞれ独立に、炭素数7〜21の炭化水素基である。]
7及びR8における炭化水素基としては、前記R1〜R3における炭素数10〜26の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
9、R10における炭素数7〜21の炭化水素基としては、前記R4における炭素数7〜21の炭化水素基と同様のものが挙げられる。式中にR9が複数存在するとき、該複数のR9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
アミン化合物の塩は、アミン化合物を酸で中和することにより得られる。アミン化合物の中和に用いる酸としては、有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は、公知の方法により実施できる。
アミン化合物の4級化物は、該アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。アミン化合物の4級化に用いる4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
(D)成分としては、前記一般式(D1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、前記一般式(D1−1)〜(D1−8)、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、(D1−4)〜(D1−6)、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
式(D1)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
例えば、一般式(D1−2)で表される化合物(以下「化合物(D1−2)」と言う)及び一般式(D1−3)で表される化合物(以下「化合物(D1−3)」と言う)は、上記脂肪酸組成物、または該脂肪酸組成物における脂肪酸を該脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性を良好にする観点から、「化合物(D1−2)/化合物(D1−3)」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性の観点から「化合物(D1−2)の4級化物/化合物(D1−3)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
一般式(D1−4)で表される化合物(以下「化合物(D1−4)」と言う)、一般式(D1−5)で表される化合物(以下「化合物(D1−5)」と言う)及び一般式(D1−6)で表される化合物(以下「化合物(D1−6)」と言う)は、上記脂肪酸組成物または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(D1−4)、(D1−5)、(D1−6)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性の観点から、化合物(D1−4)が1〜60質量%、化合物(D1−5)が5〜98質量%、化合物(D1−6)が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(D1−4)が30〜60質量%、化合物(D1−5)が10〜55質量%、化合物(D1−6)が5〜35質量%であることがより好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(D1−4)、(D1−5)、(D1−6)の各4級化物の存在比率は、柔軟性の観点から質量比で、化合物(D1−4)の4級化物が1〜60質量%、化合物(D1−5)の4級化物が5〜98質量%、化合物(D1−6)の4級化物が0.1〜40質量%であることが好ましく、化合物(D1−4)の4級化物が30〜60質量%、化合物(D1−5)の4級化物が10〜55質量%、化合物(D1−6)の4級化物が5〜35質量%であることがより好ましい。また、化合物(D1−4)、(D1−5)、(D1−6)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30〜99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
一般式(D1−7)で表される化合物(以下「化合物(D1−7)」と言う)及び一般式(D1−8)で表される化合物(以下「化合物(D1−8)と言う」)は、上記脂肪酸組成物とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、「化合物(D1−7)/化合物(D1−8)」で表される存在比率が質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。またその4級化物を用いる場合には4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(D1−7)の4級化物/化合物(D1−8)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1〜50/50となるように合成することが好ましい。
陽イオン界面活性剤の含有量は、柔軟剤組成物の総質量に対し、5〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、8〜22質量%が特に好ましい。5質量%以上であると、充分な柔軟性付与効果が得られる。30質量%以下であると、保存安定性が良好である。
繊維製品用処理剤組成物をスプレー式繊維処理剤として応用する場合、陽イオン界面活性剤は、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜14の炭化水素基を分子内に2個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜18の炭化水素基を分子内に1個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。中でも、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜14の炭化水素基を分子内に2個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物が特に好ましい。陽イオン界面活性剤の含有量は、スプレー式繊維処理剤の総質量に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.03〜8質量%がさらに好ましく、0.05〜5質量%が特に好ましい。
両性界面活性剤としては、炭素数10〜24のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数10〜24のアルカノイル基を有するアルカノイルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、炭素数10〜24のアルキル基を有するN−アルキル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、炭素数10〜24のアルキル基を有するN−アルキル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、炭素数10〜24のアルカノイル基を有するN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アンモニウムベタイン、炭素数10〜24のアルカノイル基を有するN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等を挙げることができる。両性界面活性剤の含有量は、繊維製品用処理剤組成物の総質量に対し、0.01〜10質量%が好ましい。
柔軟剤組成物の場合、両性界面活性剤の配合量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.3〜3質量%である。
スプレー式繊維処理剤の場合、両性界面活性剤の配合量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
陰イオン界面活性剤としては、炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜24のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜24のα−オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸の炭素数が10〜24のα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、炭素数10〜24のアルキル基と数平均付加モル数1〜6のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。中でも、炭素数10〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。陰イオン界面活性剤の含有量は、繊維製品用処理剤組成物の総質量に対し、0.01〜25質量%が好ましい。
柔軟剤組成物の場合、陰イオン界面活性剤の配合量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜4質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。
スプレー式繊維処理剤の場合、陰イオン界面活性剤の配合量は、好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.03〜2質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。
[任意成分]
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)〜(D)成分以外の他の成分を含有してもよい。
該他の成分としては、繊維製品用処理剤組成物において公知の成分を適宜配合することができる。例えば、水、水溶性溶剤、糖系化合物、シリコーン、香料、染料及び/又は顔料、防腐剤、紫外線吸収剤、抗菌剤などを含有させることができる。
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、好ましくは水性組成物であり、水を含むことが好ましい。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができる。中でもイオン交換水が好適である。
水は、本発明の繊維製品用処理剤組成物中に、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上配合される。水の含有割合が前記下限値以上であれば、ハンドリング性が良好となる。
本発明の繊維製品用処理剤組成物は、水に加えて、水溶性溶剤を含むことが好ましい。
水溶性溶剤としては、低級(炭素数1〜4)アルコール、グリコールエーテル系溶剤、多価アルコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。具体的には、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び下記一般式(X)で表わされる水溶性溶剤から選ばれる溶媒成分を配合することが好ましい。
11−O−(C24O)y−(C36O)z−H ・・・(X)
式中、R11は、炭素数1〜6(好ましくは2〜4)のアルキル基又はアルケニル基である。yおよびzは平均付加モル数であり、yは1〜10、好ましくは2〜5、zは0〜5、好ましくは0〜2の数を示す。
水溶性溶剤として、上記に挙げた中でも、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
水溶性溶剤は、繊維製品用処理剤組成物中に、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0.01〜25質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%配合される。
糖系化合物としては、安定性向上の点から重合度が40以下の糖系化合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。好ましい糖系化合物としては、単糖、二糖、オリゴ糖、または糖アルコールが挙げられる。具体的には、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、タロース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、及び天然多糖の部分加水分解から得られるオリゴ糖、並びにこれらの糖に置換基を導入した化合物(糖誘導体)である。単糖又はオリゴ糖としては、糖骨格の繰り返し単位の数(重合度)が1〜40のものが望ましく、1〜20が更に望ましく、1〜5(すなわち、単糖及び重合度1超5以下のオリゴ糖)が特に望ましい。導入可能な置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、ヒドロキシアルキル基、アミン基、4級アンモニウム基、カルボキシル基等が挙げられ、これらの中でも、特にアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基が望ましい。置換基としては、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基もしくはアルケニル基もしくはアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルケニル基もしくはアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。糖系化合物としては、重合度1〜5である単糖もしくはオリゴ糖、及び 重合度1〜5である単糖もしくはオリゴ糖の少なくとも一つの水酸基の水素原子がアルキル基で置換された化合物から選ばれる1種以上が好ましい。また、糖アルコールとしては、エリトリトール、トレイトール、ペンチトール、ヘキシトール、ダルシトール、ソルビトール、マンニトール、ボレミトール、ペルセイユトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール等が挙げられる。
シリコーン化合物は、その種類に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよいし、また、架橋していてもよい。また、シリコーン化合物は変性シリコーン化合物であってもよく、前記変性シリコーン化合物は、1種の有機官能基により変性されたものであってもよいし、2種以上の有機官能基により変性されたものであってもよい。
シリコーン化合物は、オイルの状態で使用することができ、また任意の乳化剤によって分散された乳化物の状態でも使用することができる。
シリコーン化合物の具体例としては、例えば、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどが挙げられる。
これらの中でも、汎用性、消臭防臭効果の向上の観点から、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチルシリコーンなどが好ましく、効果、製造時の取り扱いの観点からは、特にポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、例えば、アルキルシロキサンとポリオキシアルキレンとの共重合体などが挙げられる。なお、前記アルキルシロキサンのアルキル基の炭素数としては、1〜3が好ましく、また、前記ポリオキシアルキレンのアルキレン基の炭素数としては、2〜5が好ましい。これらの中でも、前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体等)との共重合体が好ましい。このようなポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物、下記一般式(II)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2014062344
前記一般式(I)中、M、N、a、及びbは、平均重合度を表し、Rは、水素又はアルキル基を表す。ここで、Mは、10〜10,000であることが好ましく、100〜300がより好ましい。Nは、1〜1,000であることが好ましく、1〜100がより好ましい。更に、M>Nであることが好ましい。aは、2〜100であることが好ましく、2〜50がより好ましい。bは、0〜50であることが好ましく、0〜10がより好ましい。Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
前記一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えば、ポリオキシアルキレンアリルエーテル等の炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを、白金触媒下、付加反応させることにより製造することができる。したがって、前記ポリエーテル変性シリコーン中には未反応のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやSi−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがわずかに含まれる場合がある。Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは反応性が高いため、前記ポリエーテル変性シリコーン中での存在量としては、30ppm以下(Si−Hの量として)であることが好ましい。
Figure 2014062344
前記一般式(II)中、A、B、h、及びiは、平均重合度であり、Rは、アルキル基を表し、R’は、水素又はアルキル基を表す。ここで、Aは、5〜10,000であることが好ましく、Bは、2〜10,000であることが好ましい。hは、2〜100であることが好ましく、iは、0〜50であることが好ましい。Rは、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。R’は、水素又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
前記一般式(II)で表される線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。このようなポリエーテル変性シリコーンは、側鎖のポリオキシアルキレン鎖が長く、ポリシロキサン鎖の重合度が大きいものほど粘度が高くなるので、製造時の作業性改善及び水性組成物への配合を容易にするために、水溶性有機溶剤とのプレミックスの形で配合に供することが好ましい。該水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール等が挙げられる。
前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、より具体的には、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の、SH3772M、SH3775M、FZ−2166、FZ−2120、L−720、SH8700、L−7002、L−7001、SF8410、FZ−2164、FZ−2203、FZ−2208、信越化学工業(株)製の、KF352A、KF615A、X−22−6191、X−22−4515、KF−6012、KF−6004等、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4460等が挙げられる。
アミノ変性シリコーンとしては、ジメチルシリコーン骨格の末端あるいは側鎖にアミノ基を導入したシリコーンオイルであり、アミノ基以外に水酸基、アルキル基、フェニル基等の置換基が置換されていてもよい。また、オイルの形態でも良ければ、ノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤を乳化剤として乳化させたアミノ変性シリコーンエマルジョンの形態でも良い。好ましいアミノ変性シリコーンのオイルまたは、エマルジョンの場合の基油オイルは、次の一般式(III)で表される。
Figure 2014062344
式(III)中、R1、R6は互いに同一でも、異なっていてもよく、メチル基、水酸基、水素のいずれかを表す。R2は、−(CH2n−A1、及び−(CH2n−NHCO−(CH2m−A1のいずれかを表す。A1は、−N(R3)(R4)、及び−N+(R3)(R4)(R5)・X-のいずれかを表す。R3〜R5は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、及び−(CH2n−NH2のいずれかを表す。X-は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸メチルイオン、及び硫酸エチルイオンのうちのいずれかを表す。m及びnの値は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、0〜12の整数を表す。p及びqの値は、ポリシロキサンの重合度を表し、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、pは0〜20000、好ましくは10〜10000、qは1〜500、好ましくは1〜100を表す。
本発明の繊維製品用処理剤組成物で用いるアミノ変性シリコーンのオイルの場合、25℃における動粘度が50〜20000mm2/sであることが好ましく、100〜10000mm2/sであることがより好ましい。動粘度がこの範囲にあると、高い風合い付与効果が発現されるとともに、製造性が良好であり、組成物の取り扱いも容易になるため好ましい。
アミノ変性シリコーンとしては商業的に入手できるものを使用することができ、例えば、アミノ変性シリコーンオイルとしては、東レ・ダウコーニング株式会社から、SF―8417、BY16−892、BY16−890で販売されているもの、信越化学工業株式会社から、KF−864、KF−860、KF−8004、KF−8002、KF−8005、KF−867、KF−861、KF−880、KF−867Sなどが挙げられる。
アミノ変性シリコーンエマルジョンタイプのものとしては、東レ・ダウコーニング株式会社から、SM8904、BY22−079、FZ−4671、FZ−4672で販売されているもの、信越化学工業株式会社から、Polonシリーズで販売されているPolonMF−14、PolonMF−29、PolonMF−14D、PolonMF−44、PolonMF−14EC、PolonMF−52で販売されているものがあげられる。
ジメチルシリコーンの動粘度としては、特に制限はなく、1〜100,000,000mm2/sが好ましく、10〜10,000,000mm2/sがより好ましく、100〜1,000,000mm2/sが更に好ましい。また、オイルであっても、エマルジョンであってもよい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物には、芳香を付与するために香料を添加することができる。特に限定されるものではないが、使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
染料及び/又は顔料は、本発明の繊維製品用処理剤組成物の外観を向上する目的で配合することができる。好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。
添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
本発明の繊維製品用処理剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料、反応性染料が好ましく、その配合量は組成物全体に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
本発明の繊維製品用処理剤組成物に用いられる染料としては、特開平6−123081号公報、特開平6−123082号公報、特開平7−18573号公報、特開平8−27669号公報、特開平9−250085号公報、特開平10−77576号公報、特開平11−43865号公報、特開2001−181972号公報又は特開2001−348784号公報などに記載されている染料を用いることもできる。
防腐剤は、主に、防腐力、殺菌力を強化し、長期保存中の防腐性を保つために本発明の繊維製品用処理剤組成物において用いられ得る。
防腐剤としては、例えば、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、又はこれらの混合物などが挙げられる。なかでも、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)、又はこれらの混合物などが挙げられる。中でも、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
本発明の繊維製品用処理剤組成物中、防腐剤の配合量は、繊維製品用処理剤組成物の総量に対して0.0001〜1質量%であることが好ましい。防腐剤の配合量が下限値未満であると、防腐剤の添加効果が得られにくく、上限値を超えると、保存安定性が低下するおそれがある。
紫外線吸収剤は、紫外線を防御する効果のある薬剤であり、紫外線を吸収し、赤外線や可視光線等に変換して放出する成分である。
紫外線吸収剤としては、例えば、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物;4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
抗菌剤は、繊維上での菌の増殖を抑え、さらには微生物の分解物由来の嫌なにおいの発生を抑える効果を有する成分である。
抗菌剤としては、例えば、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)などのカチオン性殺菌剤、ダイクロサン、トリクロサン、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8−オキシキノリン、ポリリジン等が挙げられる。
前記の化合物以外に、機能向上剤として、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、ポリビニルピロリドンなどの移染防止剤、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、4,4−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャルティケミカルズ製チノパールCBS−X)などの蛍光増白剤、染料固定剤、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどの退色防止剤、染み抜き剤、繊維表面改質剤としてセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ケラチナーゼなどの酵素、抑泡剤、水分吸放出性など絹の風合い・機能を付与できるものとしてシルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、乳化分散液、具体的にはK−50、K−30、K−10、A−705、S−702、L−710、FPシリーズ(出光石油化学)、加水分解シルク液(上毛)、シルクゲンGソルブルS(一丸ファルコス)、アルキレンテレフタレートおよび/またはアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位からなる非イオン性高分子化合物、例えば互応化学工業製FR627、クラリアントジャパン製SRC−1などの汚染防止剤などを配合することができる。
[pH]
本発明の繊維製品用処理剤組成物のpHは特に限定されないが、柔軟剤組成物の場合には、保存経日に伴う(C)成分の陽イオン界面活性剤の加水分解を抑制する等の観点から、25℃におけるpHが1〜6の範囲内であることが好ましく、2〜4の範囲内であることがより好ましい。スプレー式繊維処理剤の場合には、繊維製品のダメージを抑える観点から、25℃におけるpHが3〜8であることが好ましく、4〜7であることがより好ましい。
pH調整を行う場合、pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジメチルアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
[粘度]
本発明の繊維製品用処理剤組成物の粘度は、柔軟剤組成物の場合には、1000mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)未満であることが好ましい。保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好である。スプレー式繊維処理剤の場合には、ハンドリング性の点から、25℃における粘度が10mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以下であることがさらに好ましい。該粘度は、(B)成分や水の配合量、(C)成分の種類・配合量等により調節できる。
[製造方法]
本発明の繊維製品用処理剤組成物の調製方法は特に限定されない。柔軟剤組成物の場合には、公知の方法、例えば主剤として陽イオン界面活性剤を用いる従来の柔軟剤組成物の製造方法と同様の方法により製造できる。
例えば、(A)成分及び(C)成分を含む油相と、(B)成分を含む水相とを、(C)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後、必要に応じて、得られた乳化物に他の成分を添加、混合することにより製造することができる。油相は、(C)成分の融点以上の温度で、(A)成分と(C)成分と必要に応じて任意成分とを混合することにより調製できる。水相は、水と(B)成分と必要に応じて任意成分とを混合することにより調製できる。より効果を高めるために、(C)成分を含む油相と、水相とを、(C)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、その後、(A)成分を水溶性溶剤に溶かした溶液と、(B)成分の水溶液を事前に混合しておいたものを添加し、必要に応じて、得られた乳化物に他の成分を添加混合することにより製造することが好ましい。
スプレー式繊維処理剤の場合には、常法に従って調製できる。たとえば、上記各成分を、必要に応じて水とともに混合することにより調製できる。より効果を高めるために、(A)成分を水溶性溶剤に溶かした溶液と、(B)成分の水溶液を事前に混合しておき、そこへ(C)成分及び任意成分の水溶液を添加し、混合する方法が好ましい。
[用途・使用方法]
本発明の繊維製品用処理剤組成物の用途は特に限定されないが、洗浄剤組成物、漂白剤組成物、柔軟剤組成物、スプレー式繊維処理剤等に応用することができる。中でも、柔軟剤組成物もしくはスプレー式繊維処理剤として応用することが好ましい。
本発明の繊維製品用処理剤組成物による衣類等の繊維製品の処理方法は特に制限されるものではなく、従来知られている洗剤、仕上げ剤(柔軟剤、糊剤等)、スプレー式繊維処理剤等と同様に行うことができる。
柔軟剤組成物の場合、本発明の繊維製品用処理剤組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば洗濯のすすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行う。あるいは、たらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法があるが、その場合は適度な濃度に希釈して使用される。その場合、浴比(繊維製品に対する処理液の重量比)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。具体的には、柔軟処理を行う際は、全使用水量に対し、(C)成分の濃度が0.01ppm〜1000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは0.1ppm〜300ppmとなるような量で使用される。
スプレー式繊維処理剤の場合、本発明の繊維製品用処理剤組成物の使用方法は特に限定されないが、たとえば該処理剤組成物を、トリガー式スプレー容器やディスペンサータイプのポンプスプレー容器に収容し、繊維製品に直接噴霧することにより実施できる。噴霧後、必要に応じて乾燥処理を行ってもよい。繊維製品としては、特に制限されるものではなく、たとえば衣類、カーテン、ソファー、カーペット、タオル、ハンカチ、シーツ、マクラカバー等が挙げられる。繊維製品に対する処理剤組成物の塗布量は、繊維製品100gあたり、0.5〜10gが好ましく、1〜5gがより好ましい。
スプレー式繊維処理剤は、トリガー式スプレー容器(以下、トリガー容器という。)に収容したものが好ましい。トリガー容器としては、特に限定されず、一般に、衣類等の繊維製品に対して香りや消臭効果などの付与等を行うために用いられている繊維処理剤製品に用いられているトリガー容器と同様のものを使用できる。トリガー容器としては、噴霧性状、スプレーパターンが良好であること、アフタードローが発生しないとの観点から、蓄圧式のトリガー容器が好ましい。また、1回の噴霧量は、処理剤組成物を散布した繊維製品にしみが発生することを防ぐ観点、また、手に過度の疲労感を与えずに好ましい効果を付与するとの観点から、0.2〜0.6gであることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
[(A)成分]
A−1:ブチル化ヒドロキシトルエン(ジャパンケムテック(株)社製 商品名アイオノールCP)
A−2:2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール) (アルドリッチ)
A−3:p−メトキシフェノール(川口化学工業社製 商品名MQ−F)
A−4:γ−オリザノール(一丸ファルコス(株)社製 商品名オリザガンマーV)
[(B)成分]
B−1:クラスターデキストリン(登録商標、グリコ栄養食品株式会社製)
クラスターデキストリン(登録商標)の主成分は、分子量が3万から100万程度であり、分子内に環状構造を1つ有し、さらにその環状部分に多数のグルカン鎖が結合した重量平均重合度2500程度のデキストリンである。環状構造部分は16〜100個程度のグルコースで構成されており、この環状構造に非環状の分岐グルカン鎖が多数結合しているものである。
B−2:ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(日本食品化工(株)製 商品名セルデックスHP−β−CD)
[(C)成分]
C−1:ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルEO60モル(BASF社製ルテンゾールTO3にエチレンオキサイドを付加させたもの(EO60モルは、エチレンオキサイドの平均付加モル数が60であることを示す))
C−2:ポリオキシエチレンラウリルエーテルEO20モル(日本エマルジョン社製 商品名エマレックス720(EO20モルは、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20であることを示す))
C−3:ポリオキシエチレンラウリルエーテルEO8モル(日本乳化剤社製 商品名ニューコール1100(EO8モルは、エチレンオキサイドの平均付加モル数が8であることを示す))
C−4:グリセリンモノステアリン酸エステル(日本エマルジョン社製 商品名エマレックスGMS−F)
[(D)成分]
D−1:カチオン界面活性剤(特開2003−12471 実施例4に記載の化合物)
D−2:カチオン界面活性剤(特開2002−167366 実施例1に記載の化合物)
D−3:以下の手順で製造したカチオン界面活性剤
ステアリン酸に代えて硬化牛脂脂肪酸を使用し、4級化しなかったこと以外は特開平5−230001号公報の実施例1の記載に従って3級アミン(前記一般式(D1−7)で表される化合物)300gを得た。
得られた反応物の酸価、ケン化価、水酸基価、全アミン価、3級アミン価を測定し、反応物の組成を調べた結果、ジアルキル体が86質量%、モノアルキルアミド体が10質量%、未反応脂肪酸が4質量%であった。また、ガスクロマトグラフィーによる分析から、未反応のN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンが反応物中に0.1質量%含有されていた。最後に53gの99%合成エタノール(日本エタノール(株))を加え、固形分が85質量%のエタノール溶液を調製した。
D−4:ジデシルジメチルアンモニウム塩(ライオンアクゾ社製 商品名アーカード210)
D−5:N−ラウロイルアミドプロピル−N,N−ジメチルアミンオキシド(川研ファインケミカル(株)製 商品名ソフタゾリンLAO)
D−6:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライオン社製 商品名ライポンLH−200)
[その他の共通成分]
E−1:
・95%合成エタノール(純正化学)
柔軟剤組成物中、配合量が3%となる量で使用した。
・塩化カルシウム(商品名:粒状塩化カルシウム、(株)トクヤマ製)
柔軟剤組成物中、配合量が0.5%となる量で使用した。
・香料成分
下記の表1に組成が示される香料組成物Aを、柔軟剤組成物中0.8質量%の量になるように配合した。
・イソチアゾロン液(ロームアンドハース社製 商品名:ケーソンCG−ICP)
柔軟剤組成物中、配合量が100ppmとなる量で使用した。
E−2:
・95%合成エタノール(純正化学)
スプレー式繊維処理剤中、配合量が10%となる量で使用した。
・香料成分
下記の表1に組成が示される香料組成物Bを、スプレー式繊維処理剤中0.2質量%の量になるように配合した。
Figure 2014062344

Figure 2014062344
表中の数値は質量%を表す。
[柔軟剤組成物の調製方法]
内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、各成分の配合量を、下記表2に記載の通り調整して、次の手順により柔軟剤組成物を調製した。まず、(A)成分、(C)成分、(D)成分、さらに共通成分である香料組成物を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、(B)成分をバランス用イオン交換水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、980gから油相混合物と(B)成分の合計量を差し引いた残部に相当する。次に、(C)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(C)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、共通成分である塩化カルシウムを添加し、必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の柔軟剤組成物を得た。
[外観変化の評価]
柔軟剤組成物を軽量ガラスビン(PS−No.11、田沼硝子工業所製)に70g入れて密栓して評価用のサンプルとし、40℃で60日間保持した。
上記耐久試験後のサンプルについて、25℃における液色調を5℃保存品と比較した。評価は20人のパネラーが下記基準に基づき目視評価し平均化した。商品価値上、△以上を合格とした。
<評価基準>
◎◎◎:色調の変化が認められたと評価した人が20人中1〜2人
◎◎:色調の変化が認められたと評価した人が20人中3〜4人
◎:色調の変化が認められたと評価した人が20人中5〜6人
○:色調の変化が認められたと評価した人が20人中7〜8人
△:色調の変化が認められたと評価した人が20人中9〜10人
×:色調の変化が認められたと評価した人が20人中11人以上
Figure 2014062344
Figure 2014062344
Figure 2014062344
[スプレー式繊維処理剤の調製方法]
500mlビーカーを用いて、(A)成分を共通成分である95%合成エタノールに溶かした溶液と、(B)成分の水溶液とを事前に混合しておき、そこへ(C)成分及び他の共通成分を溶解させたイオン交換水(必要に応じて、希硫酸(試薬0.1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬0.1mol/L、関東化学)を適量添加してpH5.0に調整し、全量が400gとなるようにイオン交換水の量を調整)を撹拌条件下にて添加して、目的のスプレー式繊維処理剤を得た。各スプレー式繊維処理剤について、柔軟剤組成物と同様に外観変化を評価した。
Figure 2014062344
Figure 2014062344
Figure 2014062344

Claims (9)

  1. (A)酸化防止剤と、
    (B)内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50から10000の範囲にあるグルカンであって、ここで、内分岐環状構造部分とは、α−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分であり、外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である、グルカンと
    を含む繊維製品用処理剤組成物。
  2. (A)成分の含有量が0.001〜5質量%であり、(B)成分の含有量が0.01〜10質量%であり、(A)/(B)が5以下である、請求項1に記載の繊維製品用処理剤組成物。
  3. (A)成分がフェノール系酸化防止剤である、請求項1又は2に記載の繊維製品用処理剤組成物。
  4. (C)非イオン界面活性剤をさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の繊維製品用処理剤組成物。
  5. (A)成分が2,6−ジ−t−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、p−メトキシフェノール、又は2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維製品用処理剤組成物。
  6. (C)成分が、炭素数8〜36のアルキル基又はアルケニル基を有し、かつ、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均5〜100モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維製品用処理剤組成物。
  7. (D)陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び陰イオン界面活性剤の少なくとも1つをさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の繊維製品用処理剤組成物。
  8. (D)成分として陽イオン界面活性剤を含む請求項7に記載の繊維製品用処理剤組成物。
  9. 請求項7に記載の繊維製品用処理剤組成物をスプレー容器に充填してなるスプレー式繊維処理剤。
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