JP2014062310A - 膜厚センサ並びにそれを用いた真空蒸着装置及び真空蒸着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水晶振動子の電極膜上への堆積が困難な材料である軽元素の表面への吸着効率を飛躍的に向上させ、プリコート工程の削減を実現することができる膜厚センサ並びにそれを用いた真空蒸着装置及び真空蒸着方法を提供する。
【解決手段】水晶11の両主面が電極膜13で挟まれた水晶振動子10の蒸着材料を付着させる主面側に、導電性酸化物薄膜15を成膜した膜厚センサ43である。また、該膜厚センサを用いて、成膜レートを制御する真空蒸着装置及び真空蒸着方法。
【選択図】図6
【解決手段】水晶11の両主面が電極膜13で挟まれた水晶振動子10の蒸着材料を付着させる主面側に、導電性酸化物薄膜15を成膜した膜厚センサ43である。また、該膜厚センサを用いて、成膜レートを制御する真空蒸着装置及び真空蒸着方法。
【選択図】図6
Description
本発明は、真空蒸着装置における膜厚制御、成膜レート制御に適用される、水晶振動子を利用した膜厚センサ並びにそれを用いた真空蒸着装置及び真空蒸着方法に関するものである。
有機EL表示装置や照明装置に用いられる有機EL素子は、有機材料からなる有機層を上下から陽極と陰極の一対の電極で挟み込み、電極に電圧を印加して、陽極側から正孔が陰極側から電子がそれぞれ有機層に注入し、それらを再結合させて発光する。
この有機層は、ITO(スズドープ酸化インジウム)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)などの陽極電極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層など機能が異なる多層膜を積層することで構成される。更に、有機層成膜後に銀−マグネシウム合金、カルシウム、アルミニウムなどの金属膜の陰極電極層を形成し、素子を完成させる。これらの成膜処理は一般的に真空蒸着装置を用いて行われる。
真空蒸着では、蒸発源のるつぼに蒸着材料を充填し、10-3〜10-5Pa台の高真空下でるつぼを加熱し、蒸着材料を気化させる。気化した材料は、るつぼの開口部であるノズルから蒸着対象の基板に向けて放出され、基板上に高純度な薄膜として形成される。
真空蒸着では、蒸発源のるつぼに蒸着材料を充填し、10-3〜10-5Pa台の高真空下でるつぼを加熱し、蒸着材料を気化させる。気化した材料は、るつぼの開口部であるノズルから蒸着対象の基板に向けて放出され、基板上に高純度な薄膜として形成される。
真空蒸着などの成膜法によって基板上に薄膜を形成する成膜装置においては、基板上に
形成される薄膜の膜厚を常時一定に制御する目的で、膜厚センサを成膜室(真空蒸着装置)内に設置し、常時成膜速度を検出する手法が用いられる。この膜厚センサは測定方式により種々のタイプのものがあるが、その中で広く利用されているものとして水晶振動子式膜厚センサが挙げられる。
形成される薄膜の膜厚を常時一定に制御する目的で、膜厚センサを成膜室(真空蒸着装置)内に設置し、常時成膜速度を検出する手法が用いられる。この膜厚センサは測定方式により種々のタイプのものがあるが、その中で広く利用されているものとして水晶振動子式膜厚センサが挙げられる。
この方式は、圧電性結晶である水晶振動子の固有振動が、その質量変化に依存して変化することを利用したものである。すなわち、水晶振動子に薄膜が蒸着されたことによる微小な質量変化に比例した固有振動数の単位時間あたりの変化量を常時測定しておき、膜厚、及び成膜速度(成膜レート)に換算する。
この方式は、圧電性結晶である水晶振動子を電極で挟み込み、電圧を印加して発振させておき、ノズルから放出される蒸着粒子が水晶振動子表面に付着・堆積した際の微小な重量変化により、共振周波数が減衰する現象を利用して成膜速度をモニタリングする。具体的には、成膜粒子の吸着により減衰する周波数の単位時間当りの変化量を抽出し、成膜速度に換算する。この成膜速度が常時一定となる様に、るつぼを加熱するヒータの出力をフィードバック制御する。
このフィードバック制御を安定して行う為に、蒸着材料を膜厚センサ上に安定成膜することが望まれる。安定成膜に関する従来技術を開示したものとして、特許文献1(特開2007−24909号)、特許文献2(特開2000−101387号)を挙げることができる。特許文献1にて示される膜厚センサでは、多層積層膜の形成工程における水晶振動子上の成膜層の剥離を解決する手段として、予めスパッタリングにより、成膜材料と同じ成膜材料を水晶振動子の成膜側主面に形成しておく。そして、特許文献1には、成膜材料の切替え時に、同じ成膜材料が表面に被覆された水晶振動子を選択することで、水晶振動子上の膜が剥離することを回避することが開示されている。また、特許文献2には、水晶振動子上に堆積される膜の剥離や剥れを防止し、水晶振動子の寿命を改善する手段として、Al、Zn、Sn、In、Cu、Pb、Ag、Auなどの軟質金属膜を予め水晶振動子の成膜面側電極上に設け、堆積される膜の内部応力を緩和する手段が開示されている。
膜厚センサに利用される水晶振動子としては、厚さ200〜300μm程度に切り出した水晶10の両面に、厚さ100〜200nm程度の金、銀、またはアルミニウム合金電極膜を成膜したタイプのものが広く利用されている。
水晶振動子方式による膜厚モニタリングを適用した成膜工程において、成膜する材料によっては、飛来した粒子が水晶振動子電極表面に付着しづらい場合がある。特に、原子量の小さな軽元素を蒸着する場合、例えば、有機ELパネルの陰極材料として用いられることが多いマグネシウム、アルミニウム、カルシウムといった遷移金属に属さないものがある。このような遷移金属に属さない原子量が小さな軽い金属材料は、金、銀、アルミニウム合金の電極を用いた一般的な水晶振動子の電極膜上に、膜として形成されにくいという特徴を有するため、成膜速度を正確に測定する上で問題となる。この理由は、以下に示す金属表面に飛来した原子又は粒子(以下代表して原子という)の挙動に依る。
金属表面への物理蒸着においては、金属表面に飛来した原子は、ファンデルワールス力により、表面の金属原子と弱く結合した物理吸着状態となって、表面上の吸着席を酔歩的に動き回りながら気体の様な振舞いを示すことが一般的に知られている(マイグレーション)。この様な状態の原子をアド原子という。物理吸着エネルギーは、一般的に0.1〜0.2eV程度と小さいため、アド原子は、熱力学的な確率で表面から離脱し、気相へと容易に再蒸発していく。遷移金属などと比較して、移動性に富む軽元素では、特にその傾向が顕著に現れる。即ち、アド原子同士が衝突・結合して膜として成長することが難しい。表面を酔歩するアド原子の離脱を抑制し、固体成長の核となる原子として表面に留めておく為には、被成膜面への入射原子密度を高め、アド原子同士を衝突・結合させ易くして安定核を作り、安定核を起点として薄膜へと成長する確率を高めてやる必要がある。即ち、蒸気量を増やす必要がある。単位面積あたりの入射原子流束が大きいほど、生成する安定核の密度は高まり、原子団(薄膜)としての成長が促進される。
このことから、例えば、有機ELパネルの電極材料であり、水晶振動子の電極膜上への膜形成が困難なマグネシウム材料の蒸気量をモニタリングしながら、基板上の真空蒸着膜厚を制御する成膜工程において、プリコート処理と呼ばれる予備成膜工程を設けることがある。
図1は、従来の膜厚センサ構成と水晶振動子へのプリコート処理を説明する概念図である。図1(a)はプリコートしない状態を示す、図1(b)はプリコートした状態を示す。、プリコート処理は、図1(b)の様に、着工(基板に成膜を開始する)前に、水晶振動子10の電極13に到達するマグネシウム原子14の流束(蒸気密度)を大幅に増加させた状態を作り、水晶振動子10の被成膜側主面に十分に蒸着粒子を堆積し、水晶振動子の共振周波数変化が確認できる状態にする処理である。
一方、図1(a)の様に、水晶11上の電極膜12(蒸着粒子を堆積する側)へのマグネシウム原子14が少量しか到達しない場合には、表面に滞在するアド原子は、他のアド原子と結合して表面に滞在する確率よりも再離脱する確率が高く、安定核は電極膜12表面に形成されない。従って膜も形成されない。そこで、図1(b)の様に、電極13に到達するマグネシウム原子14を大幅に増加させ、電極13表面上でのアド原子同士の衝突・結合確率を高め、Mg薄膜16を形成する。
図2は、プリコート処理を含む、マグネシウム成膜工程のタイムチャートを説明する図である。図2(a)は、縦軸をるつぼ温度、横軸を時刻としたチャート、図2(b)は、縦軸を成膜レート、横軸を時刻としたチャートである。金、銀またはアルミニウム合金で構成される電極12、13で水晶11の両主面を挟み込んだ水晶振動子に電圧を印加して発振させておき、水晶振動子10をるつぼのノズルから所定位置に配置した状態で、図2(a)の様に、るつぼを昇温する。この際、図2(b)で示すように、昇温中からマグネシウムの昇華が開始する。この際、膜厚センサでは成膜レートが検出されない。るつぼ温度を着工条件であるT1よりも高いT2に設定する。ここから水晶振動子10の成膜側主面へのマグネシウム原子14のプリコートが開始され、膜厚センサの検出する成膜レートが徐々に上昇し、一定時間経過後に、R2で飽和し、プリコート処理は完了となる。この後に着工条件温度であるT1までるつぼ温度を降下させ、成膜レートR1を制御パラメータに切替え、成膜レート制御にて着工を開始する。
以上の説明からも分かるように、水晶振動子10上への予備成膜であるプリコート処理は、膜厚センサへ到達する蒸気密度を高めるために、るつぼ温度を通常の蒸着よりも大幅に高めて蒸気量を増加させる必要がある。このため、プリコートまでの昇温時間、プリコート時間、降温時間、安定待ち時間など、製品着工までに多大な時間を要する。更に、プリコートにより、多大な蒸着材料が生産に寄与せずに消費されるため、材料利用効率の観点からも大きな問題となっていた。
特に、一定の稼動時間毎に蒸発源への材料供給、膜厚センサの交換、クリーニング等を行うために一旦操業を停止し、真空開放してメンテナンスを行う有機ELパネル量産工程においては、メンテナンスサイクルごとに必ず膜厚センサのプリコートを行う必要があるため、ダウンタイムの増加、製造コストの増加、生産性の低下は大きな課題となっていた。
これら量産に関する課題は、上記特許文献1及び2では解決されていない。また、上記特許文献1及び2では、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムに代表される、遷移金属に属さない原子量の小さな金属元素を水晶振動子の成膜主面に堆積するプリコート工程を短縮する、あるいは削減する手段の記載は無い。
本発明は、このような従来技術で解決されていない問題点を鑑み、水晶振動子10の電極膜上への堆積が困難な材料である軽元素の表面への吸着効率を飛躍的に向上させ、プリコート工程の削減を実現することができる膜厚センサ並びにそれを用いた真空蒸着装置及び真空蒸着方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも下記の特徴を有する。
本発明は、水晶の両主面が電極膜で挟まれた水晶振動子の蒸着材料を付着させる主面側に、導電性酸化物薄膜を成膜したことを特徴とする膜厚センサである。
また、本発明は、真空減圧容器内に設けられた基板に、蒸着材料を蒸着する蒸発源と、前記基板への成膜レートの検出する前記記載の膜厚センサと、該膜厚センサに検出結果に基づいて前記成膜レートを制御する制御手段と、を備えることを特徴とする真空蒸着装置である。
さらに、本発明は、真空減圧容器内に設けられた基板に、蒸着材料を蒸着する蒸着ステップと、前記記載の膜厚センサを用いて前記基板への成膜レートの検出する検出ステップと、該膜厚センサに検出結果に基づいて前記成膜レートを制御する制御ステップと、を備えることを特徴とする真空蒸着方法である。
本発明の原理に関し、以下詳細な説明を述べる。一般的な膜厚センサでは、電極上に直接蒸発原子を堆積する際に、ファンデルワールス力に代表される弱い物理吸着を利用して、飛翔した原子を捕獲し、膜として堆積する。一方、本発明の膜厚センサでは、酸化物薄膜中の酸素原子とのイオン結合による強力な化学吸着を利用して、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムといった蒸着原子を膜表面で捕獲し、膜として堆積していく。強力な結合様式を利用するので、吸着効率は飛躍的に向上し、更には強固な密着性が得られる。
ここでは、導電性酸化物薄膜の代表例としてスズドープ酸化インジウム(ITO)薄膜を取り上げ、酸化物薄膜による金属原子の安定吸着機構を説明する。
図3に、ITO膜中の原子構造の概念図を示す。ITO膜20は、本来絶縁体であるIn2O3のIn原子18の一部を、不純物であるSn原子19(スズ)で置換したものである。不純物が導入された膜中には、格子間原子(置換によりはじき出されたIn原子)、原子空孔、異種原子(Sn原子)等の点欠陥が多く含まれる。この様な状態は、原子同士が互いに結合手で完全に繋がれた結晶状態と比較して、未結合手を有するIn原子、Sn原子や酸素原子17が多数含まれ、エネルギーが高く不安定な状態で膜を形成している。言い換えれば、この状態は化学的に活性であり、化学反応が促進され易い状態であると考えられる。このため、ITO膜20表面にマグネシウム原子14が飛翔した際には、エネルギー的に不安定なITO内の酸素原子17は、マグネシウム原子14と結合することで未結合手17hを無くし、エネルギー的に安定な状態へ移行する振舞いを示す。元来、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムといった金属原子はイオン化傾向が強く、酸素と結合し易い性質を有しており、未結合手17hを有するエネルギー的に不安定な酸素原子17とは容易にイオン結合を形成することが可能である。
以上のことから、不純物を添加した酸化物薄膜を用いることで、元来、電極上にトラップしづらい性質を有するマグネシウム、アルミニウム、カルシウムといった金属原子の吸着効率を本質的に向上させることが可能である。この結果、本発明の膜厚センサは、従来の手法では解決することができなかったプリコート工程の削減という課題を克服することができる。例としてITOを挙げたが、他の不純物添加の導電性酸化物薄膜も無論同様の効果を得ることが可能である。
ここで、本発明の膜厚センサを用いることで得られる、プリコート工程削減以外の効果に関し説明する。酸素とマグネシウム、アルミニウム、カルシウムといった金属原子のイオン結合エネルギーは大きく、容易に結合を切り離すことはできない。例えば、ファンデルワールス力を利用した物理吸着エネルギーが押し並べて0.1〜0.2eVであるのに対し、マグネシウムと酸素のイオン結合エネルギーは、約6.2eVと遥かに大きい値を示す。このことは、下地膜(ITO膜)とその表面に形成する蒸着膜(マグネシウム膜)の界面の密着性が飛躍的に向上することを意味している。即ち、物理吸着を利用した従来構造のセンサによる膜厚モニタリング方法での重要な課題となっている、水晶振動子上の蒸着膜剥離、クラック発生等の不具合を解消し、安定した蒸着レートの検出を長時間に継続して行うことができる。
また、本発明の特徴として、前記膜厚センサとして使用する水晶振動子10の被成膜側の電極膜上に形成せしめる薄膜が、比抵抗が1×107 Ω・cm以下であることを特徴とする導電性酸化物薄膜である、とすることができる。
この規定の根拠に関し、以下に記載する。本来絶縁物である酸化物に不純物イオンを添加すると、格子置換によって余剰電子が膜中に増加し、膜の比抵抗が下がる現象が観察される。例えばITO薄膜の場合、3価のIn原子を4価のSn原子で置換するため、余剰な電子が一つ放出される。つまり、膜中を自由に動くことができる電子数が増加する。この現象は、巨視的には比抵抗値の低下という形で観察される。一般的にノンドープ酸化物薄膜の比抵抗値は1×107Ω・cm以上と規定される。この条件に適合する酸化物薄膜(例えばアルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)シリカ(SiO2)等)は、共有結合、イオン結合等で酸素と強固に結びついており、エネルギー的に安定、即ち化学的に不活性であるため、本発明で設定した課題解決には適していない。マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等の軽い金属元素の吸着効率改善、という課題を解決するのに適している酸化物薄膜は、不純物元素添加により膜の比抵抗値が1×107Ω・cm以下で規定される導電性を有する酸化物薄膜であることが望ましい。
また、本発明の特徴として、前記膜厚センサに使用する水晶振動子の被成膜側の電極膜上に形成せしめる導電性酸化物薄膜として、In2O3:Sn(スズドープ酸化インジウム:略称ITO)、ZnO:Al(アルミニウムドープ酸化亜鉛:略称AZO)、ZnO:Ga(ガリウムドープ酸化亜鉛:略称GZO)、In2O3:F(フッ素ドープ酸化インジウム:略称IFO)、SnO2:F(フッ素ドープ酸化スズ:略称FTO)、SnO2:F(フッ素ドープ酸化スズ:略称FTO)、SnO2:Sb(アンチモンドープ酸化スズ)In2O3:W(タングステンドープ酸化インジウム)、In2O3:Mo(モリブデンドープ酸化インジウム)、SnO2(酸化チタン)、In2O3(酸化インジウム)、ZnO(酸化亜鉛)、IGZO(酸化インジウムガリウム亜鉛化合物)のいずれかより選択する、とすることができる。
なお、本発明は、上記の構成および後述する実施形態に開示される構成に限定されるものでなく、本発明の技術思想を逸脱することなく構成される発明も本発明に含まれることは言うまでもない。
本発明によれば、電極膜上に導電性酸化物膜を形成した水晶振動子を膜厚センサとして採用することで、難成膜材料を水晶振動子表面に強力に密着させることができる。
その結果、例えばマグネシウム、アルミニウム、カルシウム等、遷移金属に属さない原子量の小さな金属元素を基板上に成膜する際に、プリコート処理工程を削減できる真空蒸着装置又は真空蒸着方法を提供できる。
また、無駄な蒸着を避けることでき、メンテナンス後の着工開始までに要する時間を最小限に抑え、生産性向上に寄与できる真空蒸着装置を提供できる。
また、プリコート処理の削減により材料利用効率を高めることができるので、製造コスト低減に効果がある。
また、プリコート処理の削減により材料利用効率を高めることができるので、製造コスト低減に効果がある。
さらにまた、蒸着原子と水晶振動子との密着性が向上するので、水晶振動子上の蒸着膜剥離、クラック発生等の不具合を解消し、高安定な膜厚モニタリングを長時間に渉り実現することができるを提供できる。。
本発明にかかる膜厚センサの一例として、有機ELデバイスの製造に適用した例を説明する。なお、本発明は説明する実施形態や実施例に限定されるものではない。
有機ELデバイス製造装置は、単に発光材料層(EL層)を形成し電極で挟むだけの構造ではなく、陽極の上に正孔注入層や輸送層、陰極の上に電子注入層や輸送層など様々な材料が薄膜としてなる多層構造を形成したり、基板を洗浄したりする。図4はその製造装置の一例を示したものである。
本実施形態における有機ELデバイス製造装置100は、大別して処理対象の基板Pを搬入するロードチャンバ3、基板Pを処理する4つのクラスタ(A〜D)、各クラスタ間又はクラスタとロードチャンバ3あるいは次工程(封止工程)との間の設置された5つの受渡室4から構成されている。次工程の後方には基板を搬出するために少なくとも後述するロード室31のようなアンロード室(図示せず)がある。
ロードチャンバ3は、前後に真空を維持するためにゲート弁10を有するロード室31と、ロード室31から基板P(以下、単に基板という)を受取り、旋回して受渡室4aに基板Pを搬入する搬送ロボット5aからなる。各ロード室31及び各受渡室4は前後にゲート弁10を有し、当該ゲート弁10の開閉を制御し真空を維持しながらロードチャンバ3あるいは次のクラスタ等へ基板を受渡する。
各クラスタ(A〜D)は、一台の搬送ロボット5を有する搬送チャンバ2と、搬送ロボット5から基板を受取り、所定の処理をする図面上で上下に配置された2つの処理チャンバ1au〜1dd(第1の添え字a〜dはクラスタを示し、第2の添え字u、dは上側下側を示す)を有する。搬送チャンバ2と処理チャンバ1の間にはゲート弁10が設けてある。また、各処理チャンバ1au〜1ddは2つの処理部を備える。以下の説明では、基板に蒸着処理する真空蒸着装置1auを説明する。但し、煩雑さを避けるために1処理部として説明し、また、の添え字auは省略する。
次に、真空蒸着装置1の構成と、本発明の特徴である真空成膜工程における膜厚センサ及びその膜厚センサを用いた蒸着方法を説明する。本発明の膜厚センサは、水晶振動子10の成膜側の電極膜上に、酸化物薄膜を形成し、膜厚制御、成膜レート制御に用いることを最も主要な特徴とする。
(実施例)
本実施例では、マグネシウムの蒸着を行う場合を例として取り上げ、本発明の効果を説明する。図5は、本実施形態の有機ELデバイス製造装置100における真空蒸着装置1の基本構成を説明する模式図である。真空蒸着装置1は、真空減圧容器41と、被成膜対象である基板Pに蒸着材料を蒸着する蒸発源42と、膜厚センサ43と、膜厚センサの出力に基づいて成膜レート制御を行う成膜レート制御部44と、真空蒸着装置1内の真空度を制御する真空制御部45と、を備える。
本実施例では、マグネシウムの蒸着を行う場合を例として取り上げ、本発明の効果を説明する。図5は、本実施形態の有機ELデバイス製造装置100における真空蒸着装置1の基本構成を説明する模式図である。真空蒸着装置1は、真空減圧容器41と、被成膜対象である基板Pに蒸着材料を蒸着する蒸発源42と、膜厚センサ43と、膜厚センサの出力に基づいて成膜レート制御を行う成膜レート制御部44と、真空蒸着装置1内の真空度を制御する真空制御部45と、を備える。
蒸発源42は、マグネシウム蒸着材料を充填したるつぼ42rと、るつぼを加熱するヒータ42hと、加熱され気化したマグネシウム蒸着材料が放出されるノズル42nと、るつぼの温度を測定する熱電対42tと、を備える。
成膜レート制御部44は、膜厚センサ43からの信号を成膜レートに変換する膜厚制御計44mと、熱電対42tで検出した電圧信号をるつぼ温度へと変換する温度調節器44tと、膜厚検出計と温度調節器の出力とに基づいて、ヒータ42hを制御する制御用PC44cと、を備える。なお、ヒータ42hの制御は、成膜レート制御部43を構成するヒータ電源44dを介して行われる。制御用PC44cは、上記制御の他、レート値やヒータ温度等の蒸着データを記録する。
成膜レート制御部44は、膜厚センサ43からの信号を成膜レートに変換する膜厚制御計44mと、熱電対42tで検出した電圧信号をるつぼ温度へと変換する温度調節器44tと、膜厚検出計と温度調節器の出力とに基づいて、ヒータ42hを制御する制御用PC44cと、を備える。なお、ヒータ42hの制御は、成膜レート制御部43を構成するヒータ電源44dを介して行われる。制御用PC44cは、上記制御の他、レート値やヒータ温度等の蒸着データを記録する。
真空制御部45は、真空蒸着装置1の真空度を測定する真空計45vと、真空計の出力に基づいて真空ポンプ45pを制御して、真空蒸着装置1を所定の真空度に維持する制御用PC45cと、真空蒸着装置1内のガス成分を分析するためのガス分析装置45gと、を備える。真空ポンプ45pは、真空蒸着装置1内を10-2Pa程度まで減圧するための粗引きドライポンプ45aと、10-4〜10-6Paの高真空まで減圧するクライオポンプ、あるいはターボ分子ポンプ45sとを備える。制御用PC45cは、真空度及びガス分析結果等の蒸着データを記録する。
本実施例では、マグネシウム蒸着材料として純度99.9%のφ6mm×長さ6mmのワイヤカット材を用いた。また、膜厚センサ43に用いる水晶振動子10として、成膜面側電極膜の上に錫を10at%ドープした酸化インジウム薄膜(以下ITO膜と表記)を150nm堆積させたものを使用した。るつぼ42r内に設置したマグネシウム蒸着材料を、ヒータ42hにより加熱し気化させ、ノズルを通して気化したマグネシウムを被成膜対象基板P方向へと放出し、基板P上への成膜を行う。
着工中のヒータ加熱制御は、熱電対42tにより測定するるつぼ42rの温度を一定とする様な制御を行っても良いし、膜厚モニタ43で検出される成膜速度(成膜レート)を一定とする様な制御を行っても良い。いづれにしても基板上へ堆積される膜厚が一定とする制御であればどのような方法でも構わない。しかし、一般的には、次の2段階による方式が採用される。まず、蒸着材料が気化するまでの昇温中は、熱電対45で計測するるつぼ42rの温度を制御パラメータとした温度制御を行う。次に、材料が気化され、ノズルから放出される蒸気量が十分に安定した後に、膜厚センサ43で検出される成膜レートを制御パラメータとして制御し、実際に基板Pに蒸着する着工が行われる。制御パラメータの切替えは制御PC44c内で行われる。
成膜レート制御は、ノズルより放出された蒸着材料の蒸気量を、水晶振動子10を用いた膜厚センサ43を所定位置に配置し、検出する蒸気量が常時一定となるようにヒータ電源50の出力を調整し、加熱量を調整する制御を意味する。膜厚センサ43としては、水晶振動子タイプのものを適用する。一般的には、水晶振動子10としては、水晶を挟む電極膜材料としてAu、Ag、Al合金のものを適用する。本発明では、膜厚センサ43として水晶振動子10の成膜面側の電極膜上に、未結合手を有する酸素が多く含まれる酸化物薄膜を形成したものを用いる。
図6は、本実施例の膜厚センサの構造を説明する模式図である。本実施例の膜厚センサ43は、水晶11の両主面を金、銀、アルミニウム合金のいずれか一つの材料により形成された電極膜12、13で挟まれた水晶振動子10の蒸着材料を付着させる主面側に、導電性酸化物薄膜15を成膜した構造を有する。酸化物薄膜15は、膜厚として一般に10nm〜500nm程度が適当である。膜厚が厚いほど効果的に本発明の目的を達成しうるが、この膜厚をあまり厚くしすぎると膜厚センサとして使用可能な周波数が狭くなるため、500nm程度が限度である。逆に10nm程度より薄いと、本発明の目的を達成することが難しくなる。本実施例の膜厚センサ43でモニタリングできる堆積膜は、その形成方法に制限はなく、例えば真空蒸着、スパッタリングなどにおいて形成される膜が含まれる。
この膜厚センサの酸化物薄膜15の主面を成膜面として、膜面上に蒸着材料を堆積し、共振周波数の変化量を読み取ることで膜厚のモニタリングを行う。一般的に水晶振動子タイプの膜厚センサには寿命があり、一主面に成膜される膜がある程度の厚さまで堆積すると、膜中応力により水晶振動子10から膜が剥離する、膜にクラックが発生するなどの現象が起こり、膜厚検出が出来なくなる。このため、複数枚の水晶振動子10をセットできるセンサヘッドを用意し、水晶振動子10が寿命に到達した段階で、回転、スライドさせ未使用の水晶振動子10に切り替えるような機構を付けてもよい。膜厚センサの寿命規定は、一定の経過時間毎の切替でも良いし、初期周波数からの周波数減衰量が規定値に到達した段階で行っても良いし、あるいはインピーダンス等の水晶振動子10の電気的パラメータが所定の数値から外れた段階で行っても良い。
るつぼ温度を制御パラメータとして、るつぼをヒータ42hにより加熱し380℃まで昇温した。この温度は、実施例の真空蒸着装置において、ノズル42nの表面と基板間距離を450mmに設定し、基板Pとノズル42nを相対的に30mm/sで一方向に移動させ、基板上にマグネシウムを蒸着した際に、薄膜が120Å堆積される条件であることは予め確認している。この時、本実施例では、ITO膜付き膜厚センサ43を、ノズル42nから所定位置に配置し、成膜レート検出を行った。
具体的には、図5に示すように、膜厚センサ43の表面から伸ばした法線と、ノズル42nから基板に垂直に伸ばした直線に対してθ=70°傾けた直線と一致させる様に設定した。また、ノズル42nと膜厚センサ43の水晶振動子の直線距離Lを444mmに設定した。昇温開始後、350℃付近からITO膜付き水晶振動子10である膜厚センサ43の成膜レートは上昇し、380℃に到達した際、成膜レートが0.5Å/sで安定した。検出した成膜レートを制御パラメータに設定し、成膜レート制御による連続蒸着を実施した。3時間の間隔をあけて2枚蒸着した膜厚を測定したところ、面間の平均膜厚が、±1.8%の偏差内に収まることを確認した。即ち、ITO膜付きの膜厚センサ43を用いてマグネシウム蒸着膜厚を高精度で制御できることが分かった。
本実施例では、膜厚センサ43として、水晶振動子10の成膜面側電極上にITO薄膜を形成したものを用いて膜厚モニタリングを実施したが、これ以外にも、ZnO:Al(アルミニウムドープ酸化亜鉛:略称AZO)、ZnO:Ga(ガリウムドープ酸化亜鉛:略称GZO)、In2O3:F(フッ素ドープ酸化インジウム:略称IFO)、SnO2:F(フッ素ドープ酸化スズ:略称FTO)、SnO2:F(フッ素ドープ酸化スズ:略称FTO)、SnO2:Sb(アンチモンドープ酸化スズ)In2O3:W(タングステンドープ酸化インジウム)、In2O3:Mo(モリブデンドープ酸化インジウム)、SnO2(酸化チタン)、In2O3(酸化インジウム)、ZnO(酸化亜鉛)、IGZO(酸化インジウムガリウム亜鉛化合物)等、導電性のある酸化物薄膜を成膜面側に形成して膜厚モニタリングを実施しても同じ効果が得られる。ここで、導電性のある酸化物薄膜とは、膜の比抵抗値が1×107Ω・cm以下の酸化物薄膜であることを意味する。
(比較例)
膜厚センサ43を、ITO膜付き水晶振動子から通常の金電極タイプの膜厚センサに変更する以外、実施例と同様の条件でマグネシウム蒸着を行った。温度制御にてるつぼ温度を380℃に保持したところ、金電極の水晶振動子10では成膜レートが0のままで、全く反応を示さなかった。制御温度380℃に保持したまま、基板Pとノズル42nとを相対的に移動させ基板上への蒸着を行ったところ、金電極の水晶振動子10では成膜レートが0にも拘らず120Åのマグネシウム膜が蒸着されていた。即ち、マグネシウム材料は、380℃の規定条件で気化されており、実施例で示したITO膜付き膜厚センサ43では正常に成膜レートが検出できるが、金電極の膜厚センサでは正常な成膜レート検出ができないことがわかった。
膜厚センサ43を、ITO膜付き水晶振動子から通常の金電極タイプの膜厚センサに変更する以外、実施例と同様の条件でマグネシウム蒸着を行った。温度制御にてるつぼ温度を380℃に保持したところ、金電極の水晶振動子10では成膜レートが0のままで、全く反応を示さなかった。制御温度380℃に保持したまま、基板Pとノズル42nとを相対的に移動させ基板上への蒸着を行ったところ、金電極の水晶振動子10では成膜レートが0にも拘らず120Åのマグネシウム膜が蒸着されていた。即ち、マグネシウム材料は、380℃の規定条件で気化されており、実施例で示したITO膜付き膜厚センサ43では正常に成膜レートが検出できるが、金電極の膜厚センサでは正常な成膜レート検出ができないことがわかった。
その後、460℃まで温度上昇させて保持したところ、金電極膜厚センサの検出レートは120分程上昇を続け、およそ2.5Å/sと、規定蒸着条件の5倍程度の値で飽和した。成膜レートと膜厚の整合性を確認する為に、この条件でマグネシウムを基板Pへ蒸着させたところ、平均膜厚は700Åと5〜6倍であった。この後、所定の蒸着条件、即ち460℃から380℃までるつぼ温度設定を戻したところ、検出される成膜レートは2.5Å/sから0.5Å/s程度に低下し安定した。温度制御から成膜レート制御に切替えて、十分にレートを安定させた後に蒸着を行ったところ膜厚は120Åであった。
この一連の結果は、460℃までるつぼを加熱し、蒸気量を通常5倍程度まで高め、2時間以上プリコートを行うことで、金電極の水晶振動子での膜厚センサが可能となることを示唆している。即ち、規定蒸着条件である0.5Å/s程度の蒸気密度では、金電極上のマグネシウムのアド原子は吸着よりも離脱する確率が高く、安定核が形成されない。蒸気密度を5倍以上高めることで、金電極基板上のアド原子の離脱確率が下がり、核が成長し、膜厚センサができる様になったものと推定される。
比較例のプリコート処理を経て成膜レート制御での蒸着を実施するまでに要する時間を見積もったところ、380℃〜460℃まで昇温する時間1時間、460℃で金電極へMg膜をプリコートする時間2時間、温度を所定の蒸着条件まで下げ、膜厚センサで検出されるレートが十分に安定するまでの待ち時間が3時間の合計5時間程度であった。上述したように、膜厚センサの使用可能時間は限られているため、水晶振動子を切替ながら着工を一定時間継続する。このため、連続着工時間に合わせて、例えば12枚の水晶振動子を切替えて使用する場合は、予め全ての膜厚センサにプリコート処理を施さなければならない。12枚の膜厚センサのプリコート処理は2時間/枚の処理で、1合計28(=1+2x12+3)時間程度を要する。
以上で酸化物薄膜を被成膜側の電極上に被覆した膜厚センサ43及び膜厚モニタリング方法の実施例についての説明を終わる。
前述した本発明の実施形態に係る成膜中の膜厚モニタリング方法は、基板上に自発光素子の成膜要素を成膜する自発光素子の製造方法に採用することができる。以下、前述した真空成膜工程における膜厚モニタリング方法を含む有機エレクトロルミネセンス(EL)素子を用いた表示装置の製造工程について説明する。図7は本実施形態における有機ELディスプレイ生産工程の一例を示した工程図である。図8は完成した有機EL素子の構造を示す断面図である。これらの図に示すように、ガラス基板401上にバリア膜として機能するSiN膜402およびSiO膜403をCVD等の手段により薄く堆積し、その上にトランジスタのチャネル部分を構成するアモルファスシリコン膜もしくはIGZO膜404を50nm程度の厚さにCVD法で堆積し、必要に応じてレーザアニール等、膜質を変換する処理を行う。ここで記載した、バリア膜の層構成、膜厚およびトランジスタチャネルを構成する薄膜の膜厚、膜質等については一例であり、かかる記載が本発明を制限するものではないことは強調されるべきである。
上記のように形成したチャネル膜405を所定の回路になるようにアイランド形状にエッチングし、ゲート絶縁膜(図示せず)、ゲート配線406を形成後、イオン打ち込みによる不純物拡散、および不純物拡散領域の活性化アニールを行い、ソース、ドレイン配線407、層間絶縁膜408、パシベーション膜409、透明電極410を順次、形成することで、トランジスタ回路を画素部に配置したアクティブマトリクス基板が形成できる。
有機EL素子を駆動するために必要となる画素あたりのトランジスタ数は2乃至5が選択され、トランジスタを組み合わせた最適な回路構成を用いれば良い。かかる回路にはCMOS回路で形成した低電流駆動回路が一例として推奨される。かかる回路、電極形成にかかわる加工技術の詳細は当該業者には周知である。またトランジスタ回路の製造工程の途中にイオン打ち込み、活性化アニール等の工程の追加が必要であることも周知である。
有機EL素子を駆動するために必要となる画素あたりのトランジスタ数は2乃至5が選択され、トランジスタを組み合わせた最適な回路構成を用いれば良い。かかる回路にはCMOS回路で形成した低電流駆動回路が一例として推奨される。かかる回路、電極形成にかかわる加工技術の詳細は当該業者には周知である。またトランジスタ回路の製造工程の途中にイオン打ち込み、活性化アニール等の工程の追加が必要であることも周知である。
次に、アクティブマトリクス基板上の透明電極410の周辺部に素子分離帯411を形成する。かかる素子分離帯411には絶縁性が求められ、ポリイミド等の有機材料を用いることもできるし、SiO2、SiNなどの無機材料を用いてもよい。かかる素子分離帯411の成膜およびパターン形成法についても当該業者に周知である。
ついで前述したように、透明電極410上に有機EL材料の正孔輸送層412、発光層413、電子輸送層(図示せず)、陰極414を順次形成する。この際に、有機層含む多層構造の膜は、マスクを用いて真空蒸着で成膜しても良いし、レーザ転写方式により一括転写してもよい。また、発光色の異なる発光層413を、レーザ転写とマスク蒸着を用いて特定の透明電極410上に塗り分けてもよい。これにより多色のディスプレイが形成できることは周知である。
画素エリアにのみスクリーン印刷などの手段で充填材415を塗布し、該充填材416上に封止板(図示せず)を積層して封止が完了する。このようにして形成された有機EL表示装置に対して点灯検査を行う。点灯検査において、黒点、白点等の欠陥が生じている場合でも欠陥修正可能なものは修正を行う。この後、必要に応じて筐体に格納するモジュール工程を経て有機EL表示装置が完成する。
本発明は上記で説明した有機層をレーザ転写および真空蒸着で形成する、いわゆる低分子型のディスプレイにのみ有効なわけではなく、いわゆる高分子型と称される有機ELディスプレイにも有効である。さらに本発明は、前述したようなガラス基板上に透明電極と有機層と陰極を順次に積層してEL発光をガラス基板側に取り出す、いわゆるボトムエミッション型の有機ELの製造にのみ有効なわけではなく、ガラス基板上に陰極と有機層と透明電極を順次に積層してEL発光を封止基板側に取り出す、いわゆるトップエミッション型の有機ELの製造にも有効である。
1au〜1dd:処理チャンバ 1:真空処理装置
3:ロードチャンバ 2:搬送チャンバ
5、5a:搬送ロボット 10:水晶振動子
11:水晶 12:電極膜
13:電極膜 14:マグネシウム(Mg)原子
16:マグネシウム(Mg)薄膜 17:酸素原子
17h:未結合手を有する酸素原子 18:インジウム(In)3価原子
19:スズ(Sn)4価原子 20:ITO(スズドープ酸化インジウム)膜
41:真空減圧容器 42:蒸発源
42h:ヒータ 42n:ノズル
42r:るつぼ 42t:熱電対
43:膜厚センサ 44:成膜レート制御部
44c:制御用PC 44d:ヒータ電源
44m:膜厚制御計 44t:温度調節器
45:真空制御部 45c:制御用PC
45g:ガス分析装置 45p:真空ポンプ
45v:真空計 P:(被処理)基板
3:ロードチャンバ 2:搬送チャンバ
5、5a:搬送ロボット 10:水晶振動子
11:水晶 12:電極膜
13:電極膜 14:マグネシウム(Mg)原子
16:マグネシウム(Mg)薄膜 17:酸素原子
17h:未結合手を有する酸素原子 18:インジウム(In)3価原子
19:スズ(Sn)4価原子 20:ITO(スズドープ酸化インジウム)膜
41:真空減圧容器 42:蒸発源
42h:ヒータ 42n:ノズル
42r:るつぼ 42t:熱電対
43:膜厚センサ 44:成膜レート制御部
44c:制御用PC 44d:ヒータ電源
44m:膜厚制御計 44t:温度調節器
45:真空制御部 45c:制御用PC
45g:ガス分析装置 45p:真空ポンプ
45v:真空計 P:(被処理)基板
Claims (8)
- 水晶の両主面が電極膜で挟まれた水晶振動子の蒸着材料を付着させる主面側に、導電性酸化物薄膜を成膜したことを特徴とする膜厚センサ。
- 請求項1記載の膜厚センサであって、
前記導電性酸化物薄膜は、In2O3:Sn(スズドープ酸化インジウム:略称ITO)、ZnO:Al(アルミニウムドープ酸化亜鉛:略称AZO)、ZnO:Ga(ガリウムドープ酸化亜鉛:略称GZO)、In2O3:F(フッ素ドープ酸化インジウム:略称IFO)、SnO2:F(フッ素ドープ酸化スズ:略称FTO)、SnO2:F(フッ素ドープ酸化スズ:略称FTO)、SnO2:Sb(アンチモンドープ酸化スズ)In2O3:W(タングステンドープ酸化インジウム)、In2O3:Mo(モリブデンドープ酸化インジウム)、SnO2(酸化チタン)、In2O3(酸化インジウム)、ZnO(酸化亜鉛)、IGZO(酸化インジウムガリウム亜鉛化合物)のいずれかにより構成されることを特徴とする膜厚センサ。 - 請求項1記載の膜厚センサであって、
前記導電性酸化物薄膜は、その比抵抗が1×107 Ω・cm以下であることを特徴とする膜厚センサ。 - 請求項1乃至3に記載の膜厚センサであって、
前記電極膜は、金、銀、アルミニウム合金のいずれか一つの材料により形成されたことを膜厚センサ。 - 真空減圧容器内に設けられた基板に、蒸着材料を蒸着する蒸発源と、
前記基板への成膜レートの検出する請求項1乃至4記載のいずれかに記載の膜厚センサと、
該膜厚センサに検出結果に基づいて前記成膜レートを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする真空蒸着装置。 - 請求項5記載の真空蒸着装置であって、
前記蒸着材料は、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムといった遷移金属に属さない金属であることを特徴とする真空蒸着装置。 - 真空減圧容器内に設けられた基板に、蒸着材料を蒸着する蒸着ステップと、
請求項1乃至4記載のいずれかに記載の膜厚センサを用いて前記基板への成膜レートの検出する検出ステップと、
該膜厚センサに検出結果に基づいて前記成膜レートを制御する制御ステップと、
を備えることを特徴とする真空蒸着方法。 - 請求項7記載の真空蒸着方法であって、
前記蒸着材料は、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムといった遷移金属に属さない金属であって、
前記蒸着材料が加熱によって蒸着可能な温度に達した時から前記蒸着ステップを開始することを特徴とする真空蒸着方法。
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