JP2014062210A - 粘着シートの製造方法、および、該製造方法により得られた粘着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の粘着シートの製造方法は、2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーと、イソシアネート基を有する化合物とを、第1触媒の存在下で反応させ、ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーを形成する工程、および、該ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーと、一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物とを、第2触媒の存在下で反応させ、粘着剤層を形成する工程を含む。上記第1触媒はジルコニウム、チタン、アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属の錯体であり、上記第2触媒はアミン系触媒である。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の粘着シートの製造方法は、2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーと、イソシアネート基を有する化合物とを、第1触媒の存在下で反応させ、ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーを形成する工程、および、該ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーと、一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物とを、第2触媒の存在下で反応させ、粘着剤層を形成する工程を含む。上記第1触媒はジルコニウム、チタン、アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属の錯体であり、上記第2触媒はアミン系触媒である。
好ましい実施形態において、上記第1触媒はジルコニウム、チタン、および、アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属と、アセチルアセトンとがキレート化した金属錯体である。
好ましい実施形態において、上記第2触媒は第3級ジアミンである。
好ましい実施形態において、上記一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物は、一分子中に3以上のイソシアネート基を有する化合物である。
好ましい実施形態において、上記イソシアネート基を有する化合物が2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートである。
本発明の別の局面によれば、粘着シートが提供される。この粘着シートは上記粘着シートの製造方法により得られる。
本発明の粘着シートの製造方法は、2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーと、イソシアネート基を有する化合物とを、第1触媒の存在下で反応させ、ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーを形成する工程(以下、第1反応という)、および、該ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーと、一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物とを、第2触媒の存在下で反応させ、粘着剤層を形成する工程(以下、第2反応という)を含む。上記第1触媒は、ジルコニウム、チタン、アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属の錯体である。また、上記第2触媒は、アミン系触媒である。第1触媒として上記金属錯体を、第2触媒としてアミン系触媒を用いることにより、触媒として有機スズ化合物を用いることなく、円滑にウレタン結合を形成する反応を進めることができる。また、触媒として有機スズ化合物を用いた場合と変わらない製造効率で粘着シートを製造することができる。さらに、これらの触媒を用いることにより、触媒として有機スズ化合物を用いていた反応工程をそのまま用いて、粘着シートを製造することができる。
第1反応では、2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーと、イソシアネート基を有する化合物とを、第1触媒の存在下で反応させ、ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーを形成する。上記のとおり、第1触媒は、ジルコニウム、チタン、アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属の錯体である。第1触媒としてこれらの金属の錯体を用いることにより、有機スズ化合物を触媒として用いた場合と同様に、円滑にウレタン結合の形成反応を進行させることができる。
上記2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーは、任意の適切な(メタ)アクリル系モノマーを重合することにより得られる。上記2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくは水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマーと、水酸基を有さない(メタ)アクリル系モノマーとを共重合することにより得られるポリマーである。2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
イソシアネート基を有する化合物としては、イソシアネート基を有する任意の適切な化合物を用いることができる。例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。イソシアネート基を有する化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記のとおり、第1触媒は、ジルコニウム、チタン、および、アルミニウムから選択される金属の錯体である。第1触媒として、上記金属の錯体を用いることにより、触媒として有機スズ化合物を用いることなく、円滑にウレタン結合を形成する反応を行うことができる。また、これらの金属錯体を用いた場合であっても、有機スズ化合物を触媒として用いた場合と変わらない反応効率でウレタン結合を形成する反応を行うことができる。さらに、ジルコニウム、チタン、および、アルミニウムは安全性が高い金属であり、人体および環境への影響面からも好適に用いることができる。これらの金属錯体は、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
上記第1反応は、任意の適切な方法により行うことができる。例えば、以下のようにして行われる。任意の適切な反応容器に、2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーと、イソシアネート基を有する化合物と、第1触媒と、必要に応じて2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーおよびイソシアネート基を有する化合物と重合可能なモノマーと、任意の適切な溶媒を添加し、乾燥空気流入下で、反応させることにより行われる。
第2反応では、ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーと、一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物とを、第2触媒の存在下で反応させ、粘着シートの粘着剤層を形成する。
ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーは、上記第1反応で得られるポリマーである。ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物は、架橋剤として機能し得る。上記ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーは、第1反応で未反応の水酸基を含み得る。この水酸基と一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基を第2触媒の存在下で反応させることにより、粘着剤層が形成される。一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、任意の適切な化合物を用いることができる。一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物は、好ましくは一分子中に3以上のイソシアネート基を有する化合物である。一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2触媒としては、任意の適切なアミン系触媒が用いられる。第2触媒として、アミン系触媒を用いることにより、有機スズ化合物を触媒として用いた場合と同様に、円滑にウレタン結合の形成反応を進行させることができる。アミン系触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデンセン−7、ビス(2,2’−ジメチルアミノ)エチルエーテル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N’−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジンオキシド等が挙げられる。触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記粘着剤層は、第2触媒による反応促進効果を損なわない範囲で、さらにその他の成分を含んでいてもよい。当該その他の成分としては、例えば、イソシアネート化合物以外の架橋剤、光重合開始剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤等が挙げられる。その他の成分の種類および使用量は、目的に応じて適切に選択され得る。
光重合開始剤としては、任意の適切な光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤をさらに添加することにより、得られた粘着シートに紫外線を照射することにより、粘着剤層をより速やかに硬化させることが可能となり、軽剥離性が向上した粘着シートを提供することができる。
第2反応は任意の適切な方法により行われる。例えば、上記ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーと、一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物とを第2触媒および必要に応じて任意の適切な他の成分の存在下で反応させることにより行うことができる。
本発明の粘着シートの製造方法は、必要に応じて、上記第1反応および第2反応以外の任意の適切な他の工程を含み得る。例えば、粘着シートに任意の適切な他の層を形成する工程が挙げられる。上記他の層としては、例えば、粘着シートに耐熱性を付与し得る表面層(耐熱層)、帯電防止層、背面軽剥離化処理層、摩擦低減層、易接着処理層等が挙げられる。これらの層は、任意の適切な方法により形成することができる。
本発明の粘着シートは、上記粘着シートの製造方法により得られる。本発明の粘着シートは、代表的には基材層および粘着剤層を備える。本発明の粘着シートは、さらに任意の適切な他の層を備え得る。他の層としては、例えば、粘着シートに耐熱性を付与し得る表面層(耐熱層)、帯電防止層、背面軽剥離化処理層、摩擦低減層、易接着処理層等が挙げられる。
1Lの丸底セパラブルフラスコ、セパラブルカバー、分液ロート、温度計、窒素導入管、リービッヒ冷却器、バキュームシール、撹拌棒および撹拌翼を備えた重合用実験装置に、アクリル酸2−エチルへキシル(東亜合成社製)80重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(東亜合成社製)20重量部、溶剤(トルエン)100重量部、および、熱重合開始剤として過酸化ベンゾイル(日本油脂株式会社製、商品名「ナイパーBW」)0.2重量部を投入した。投入した混合物を撹拌しながら、常温で窒素置換を1時間行った。次いで、窒素流入下、撹拌しながら、ウォーターバスで実験装置内の溶液温度を62℃±2℃となるように制御しながら、12時間保持した。なお、重合工程中の温度制御のため、適宜トルエンを添加した。その後、常温まで冷却し、2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液を得た。
(第1反応)
得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工社製、商品名「カレンズMOI」)20重量部、第1触媒として、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル社製、商品名「オルガチックスZC−150」)0.05重量部を投入し、乾燥空気流入下、反応温度が50℃±2℃となるよう制御した。2時間ごとに反応容器から1ccのサンプルを抜き取り、FT−IRで2270cm−1の吸収の有無を確認し、イソシアネート基の残存有無を確認した。なお、反応時間は、10時間であった。
(第2反応)
得られたウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマー溶液100重量部(固形分)に対して、ポリイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)1重量部、第2触媒として、トリエチレンジアミン(東ソー社製、商品名「TEDA」)0.05重量部、光重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア651」)3重量部を添加し、粘着剤層形成材料を得た。
得られた粘着剤層形成材料を離型処理されたポリエステルフィルム(三菱樹脂社製、商品名「ダイアホイルMRF38」)に塗布し、120℃で2分間乾燥し、厚み20μmの粘着剤層を形成した。該粘着剤層の表面にポリエステルフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS10#50」)を気泡が発生しないよう貼り付け、積層体を得た。得られた積層体を50℃のオーブンでエージング(第2反応)させた。12時間ごとに粘着剤層のイソシアネート基の有無をFT−IRで2270cm−1の吸収の有無により確認した。イソシアネート基が無くなった時点で反応を終了し、粘着シートを得た。第2反応の反応時間は48時間であった。
製造に使用した触媒および反応時間を表1に示す。
第1触媒の使用量を0.1重量部にした以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。実施例2において、第1反応の反応時間は8時間、第2反応の反応時間は48時間であった。製造に使用した触媒および反応時間を表1に示す。
第1触媒の使用量を0.2重量部にした以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。実施例3において、第1反応の反応時間は6時間、第2反応の反応時間は48時間であった。製造に使用した触媒および反応時間を表1に示す。
第1触媒として、チタンテトラアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル社製、商品名「オルガチックスTC−401」)0.1重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。実施例4において、第1反応の反応時間は12時間、第2反応の反応時間は48時間であった。製造に使用した触媒および反応時間を表1に示す。
第1触媒として、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)(川研ケミカル社製、商品名「アルミキレートD」)0.1重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。実施例5において、第1反応の反応時間は24時間、第2反応の反応時間は48時間であった。製造に使用した触媒および反応時間を表1に示す。
第2触媒として、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(マツモトファインケミカル社製、商品名「オルガチックスZC−150」)0.05重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。比較例1において、第1反応の反応時間は10時間、第2反応の反応時間は288時間であった。製造に使用した触媒および反応時間を表1に示す。
第1触媒として、トリエチレンジアミン(東ソー社製、商品名「TEDA」)0.05重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。比較例2において、第1反応の反応時間は72時間、第2反応の反応時間は48時間であった。製造に使用した触媒および反応時間を表1に示す。
第1触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(IV)(和光純薬工業社製)を0.05重量部用い、第2触媒を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。参考例1において、第1反応の反応時間は10時間、第2反応の反応時間は48時間であった。製造に使用した触媒および反応時間を表1に示す。
実施例および比較例で得られた粘着シートを幅20mm、長さ150mmに切断し、試験片とした。該試験片をシリコンミラーウエハに貼り付け、室温で30分間放置した後、剥離角度90度、剥離速度300mm/分にて粘着力を測定した。いずれの粘着シートの粘着力も1.0N/20mmであり、粘着シートとして適用可能なものであった。
同様に、各試験片をシリコンミラーウエハに貼り付け、室温で30分間放置した後、粘着シートの背面(シリコンミラーウエハと対向していない面)からUV照射装置(日東精機社製、商品名「UM−810」)を用いてUV照射(照度:60mW/cm2、光量:300mJ/cm2)を行った後、同様に粘着力を測定した。いずれの粘着シートの粘着力も0.1N/20mmであり、軽剥離性を有していた。
Claims (6)
- 2以上の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系ポリマーと、イソシアネート基を有する化合物とを、第1触媒の存在下で反応させ、ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーを形成する工程、および、
該ウレタン結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーと、一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物とを、第2触媒の存在下で反応させ、粘着剤層を形成する工程を含む、粘着シートの製造方法であって、
該第1触媒がジルコニウム、チタン、アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属の錯体であり、
該第2触媒がアミン系触媒である、粘着シートの製造方法。 - 前記第1触媒がジルコニウム、チタン、および、アルミニウムから選択される少なくとも1種の金属と、アセチルアセトンとがキレート化した金属錯体である、請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
- 前記第2触媒が第3級ジアミンである、請求項1または2に記載の粘着シートの製造方法。
- 前記一分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物が、一分子中に3以上のイソシアネート基を有する化合物である、請求項1から3のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
- 前記イソシアネート基を有する化合物が2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートである、請求項1から4のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の粘着シートの製造方法により得られた、粘着シート。
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