JP2011032418A - 粘着剤及び粘着フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、帯電防止機能の優れた粘着剤であって、透明性に優れ、剥離時の静電気の発生が少なく、被着体汚染(剥離による粘着剤の残り)のない粘着剤、及び粘着フィルムの提供を目的とする。
【解決手段】アクリル系共重合体(A)100重量部と、pKa=−8.0〜4.0の酸性化合物(B)を0.5〜30重量部とを含む粘着剤であって、上記アクリル系共重合体(A)が、アミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)を1〜35重量%含むエチレン性不飽和化合物を共重合してなることを特徴とする粘着剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性および帯電防止能に優れ、ディスプレイ用途等に用いる光学フィルム等に好適な粘着剤および粘着フィルムに関する。
近年のエレクトロニクスの飛躍的な進歩により、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、リアプロジェクションディスプレイ(RPJ)、ELディスプレイ、発光ダイオ−ドディスプレイなどの様々なフラットパネルディスプレイ(FPD)が、様々な分野で表示装置として使用されようになってきた。例えば、これらFPDは、パーソナルコンピューターのディスプレイや液晶テレビをはじめ屋内で使用されるばかりでなく、カーナビゲーション用ディスプレイ等のように車両に搭載して使用される場合もある。
このような表示装置には、通常、外部光源からの反射を防ぐための反射防止フィルムや、表示装置の表面の傷付き防止のための保護フィルム(プロテクトフィルムともいう)など、用途に応じて様々なフィルムが使用されており、例えば、LCDを構成する液晶セル用部材においては、偏光フィルムや位相差フィルムが積層されている。
一方、FPDは、表示装置として利用するだけではなく、その表面にタッチパネルの機能を設けて、入力装置として利用されることもある。このタッチパネルにも、反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されており、その最表面には製造や輸送等での傷つき防止のため保護フィルムが貼付されている。このようなフィルムは、粘着剤を介して被着体に貼着して使用されている。当該粘着剤は、まず透明性に優れることが要求されるので、アクリル系樹脂を主剤とする粘着剤が一般に使用されている。
一般的に、粘着フィルムは、粘着層の保護を目的として、剥離フィルムが粘着層に貼り合わされており、使用に際しては、剥離フィルムを剥離して被着体に貼り付けられる。
また、LCD製造工程での液晶セル用のガラス面に偏光フィルムを貼り付けた積層体の検品工程においては、積層時のエアーや粉塵の巻き込み等があるものは、偏光フィルム等を剥がして新しい偏光フィルム等が貼り直される。この貼り直しを「リワーク」ともいう。
しかし、剥離フィルムを剥離する際やリワークする際に生じる静電気により液晶や電子回路にトラブルを起こす場合がある。また、前記したように剥離フィルムを剥離する際に生じる静電気により、偏光フィルムが帯電し液晶セル用のガラス面に貼り付けるときにも、同様なトラブルが発生することが指摘されている。さらには、静電気の存在は、埃やクズを吸引してしまい、異物による欠点を引き起こす問題も有り、早期の解決が望まれていた。
また、保護フィルムは、偏光フィルムやそれに準ずる積層体等の光学部品等に、表面保護用として用いられ、例えばLCD等に組み込みが完了した後に光学部品等から剥離除去される。しかし、上記同様、剥離する際に生じる静電気により液晶や電子回路が破壊されるトラブルの発生が問題となり、剥離時に発生する静電気の抑制(帯電防止性能)が要求されていた。
このような帯電防止の要求に対して、従来、様々な手法の粘着剤が提案されてきた。
例えば、積層される部材に対して帯電防止性能を付与するためには、保護フィルムに帯電防止剤による処理が行われていることが多い。帯電防止剤の利用され方によって、表面処理と内部処理に大別される。
表面処理とは、基材フィルムの表面に対して、塗布・浸漬・吹きつけなどの手法を用いて帯電防止剤を処理するものである。水溶性界面活性剤等がその代表であるが、時間の経過とともにその帯電防止能が低下するといった欠点を持つ。
内部処理とは、粘着剤中に帯電防止剤を添加する手法である。この手法における代表的な帯電防止剤としては、導電性微粒子、界面活性剤、アルカリ金属塩やイオン液体などが挙げられる。
前記導電性微粒子としては、金属粉、ITOやATOといった金属酸化物微粒子さらにはカーボン等が例示されているが(特許文献1〜3参照)、これらの材料を用いて帯。また、その添加量の多さゆえ、透明性が失われたり粘着フィルムが着色してしまう問題があった。
前記界面活性剤としては、アニオン系・カチオン系・ノニオン系などの化合物があり、安価なため様々な用途で利用されている(特許文献4参照)。しかし、アニオン系では、樹脂に対しての相溶性に欠け、均一分散が困難であり耐熱性も低い。またカチオン系では、帯電防止性は問題ないが、熱的安定性が低い。そしてノニオン系では、高分子への相溶性が低いなど問題があった。
前記アルカリ金属塩としては、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含む制電性樹脂組成物が開示されている(特許文献5参照)。しかし、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、ある程度の量を含有しなければ、帯電防止性能が不十分となり、また高価な材料のため、コスト面で不利であった。
前記イオン液体としては、フッ素原子を含むイオン性液体を含有する粘着剤が開示されている(特許文献6参照)。しかし、粘着剤に含有した場合には、相溶性が良くないために、被着体との界面に移行(いわゆる「ブリード」ともいう)し、被着体表面を汚染するため、帯電防止性能を十分に発揮できる量を使用できないという問題があった。
さらに導電性微粒子、界面活性剤、アルカリ金属塩やイオン液体などを有した粘着剤は、湿度の影響を大きく受けやすく、高湿度条件下においては、水分の影響で凝集力が低下し、被着体に粘着層が残りやすい(いわゆる「糊残り」し易い)。また、これらを含有する粘着剤は、相溶性が良好ではないため、塗膜の透明性を損なったり、ブリードが起こったり、着色が見られたり、あるいは粘着力が低下する等の粘着剤本来の性能を低下させる問題もあった。
一方、帯電防止剤を添加する手法以外に、イオン性基を含有するエチレン性不飽和化合物を用いる手法、側鎖に導入した3級アミノ基と4級化剤を反応させる手法や、側鎖に導入したカルボキシル基と4級塩を塩交換する手法など、酸塩基結合に伴う帯電防止性能を樹脂骨格に組み込む手法が検討されてきた。
例えば、イオン性基を含有するエチレン性不飽和化合物を用いる手法としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩化物を用いた共重合により、側鎖に4級アンモニウム基を含有する樹脂組成物が開示されている(特許文献7参照)。しかし、4級アンモニウム基を含有するエチレン性不飽和化合物は有機溶媒への溶解度が低く、水や親水性の高いメタノールなどの低級アルコールを溶媒に用いる必要があるため、高分子量化が困難であった。また、アルコールを含有しているため、イソシアネート系の硬化剤が使用できないという欠点もあった。
また例えば、側鎖に導入した3級アミノ基と4級化剤を反応させる手法には、ジメチルアミノエチルメタクリレートを用いた共重合により側鎖に3級アミノ基を含有したアクリル系共重合体を作成した後、ジメチル硫酸を加えることで3級アミノ基の4級塩化を行い、側鎖に4級アンモニウム基を含有する樹脂組成物が開示されている(特許文献8参照)。しかし、ジメチルアミノエチルメタクリレートのような3級アミノ基を含有した化合物の共重合は、ラジカルの連鎖移動が起こりやすいため分子量が上がりにくく、また、アミノ基に起因して共重合体が黄色に着色しやすいという欠点があった。
また例えば、上記のような共重合体の側鎖に導入したカルボキシル基と4級塩を塩交換する手法には、アクリル酸を用いた共重合により側鎖にカルボキシル基を含有した共重合体を作成した後、メチルトリエチルアンモニウム・モノメチル炭酸塩を加えることで塩交換を行い、側鎖に4級アンモニウム基を含有する粘着剤が開示されている(特許文献9参照)。しかし、塩交換反応により発生する二酸化炭素を除去する必要があり、専用の設備が必要なため汎用性にかけるという欠点があった。
これらの帯電防止性能を共重合体の骨格に組み込んだ粘着剤は、上記したように、被着体表面を汚染し難いが、酢酸エチルのような低沸点溶剤に溶解困難であったり、架橋剤を配合した場合には3級アミノ基の硬化触媒効果によりポットライフが短かったりするため、塗工時や接着時の作業性がかなり劣る。さらに3級アミノ基に起因する着色が著しいため、光学部材用途には適さないという問題があった。
特開平01−221481号公報 特開平05−070760号公報 特開2005−330409号公報 特開平04−007350号公報 特開2003−261774号公報 特開2005−330464号公報 特開2008−56872号公報 特開2008−81671号公報 特開平09−255932号公報
本発明は、帯電防止機能の優れた粘着剤であって、透明性に優れ、剥離時の静電気の発生が少なく、被着体汚染(剥離による粘着剤の残り)のない粘着剤、及び粘着フィルムの提供を目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
即ち、第1の発明は、アクリル系共重合体(A)100重量部と、pKa=−8.0〜4.0の酸性化合物(B)0.5〜30重量部とを含む粘着剤であって、
上記アクリル系共重合体(A)が、アミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)を1〜35重量%含むエチレン性不飽和化合物を共重合してなることを特徴とする粘着剤に関する。
また、第2の発明は、さらに硬化剤(D)を含むことを特徴とする上記発明の粘着剤に関する。
また、第3の発明は、基材(E)上に、上記発明の粘着剤からなる粘着層を形成してなる粘着フィルム。に関する。
また、第4の発明は、基材(E)が、光学部材であることを特徴とする上記発明の粘着フィルムに関する。
本発明により、帯電防止機能の優れた粘着剤であって、透明性に優れ、剥離時の静電気の発生が少なく、被着体汚染(剥離による粘着剤の残り)のない粘着剤及び粘着剤を用いた粘着フィルムを提供することができるようになった。
本発明の粘着剤は、アクリル系共重合体(A)と酸性化合物(B)とを含むことが重要である。このアクリル系共重合体(A)は、アミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)を含むエチレン性不飽和化合物を共重合して得られる。
そして、本発明の粘着剤を、例えば粘着フィルムの粘着層として用いた場合、アクリル系共重合体(A)のアミド結合と酸性化合物(B)との相互作用により、帯電防止剤を含まないのにも係らず、良好な帯電防止機能を発現する驚くべき効果を見出した。
アクリル系共重合体(A)の共重合に用いるアミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)は、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、などの複素環を含有した化合物。(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、などの(メタ)アクリルアミド系の化合物、
N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち特に、重量平均分子量50万〜180万のアクリル系共重合体を容易に製造できる点からN−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましい。またアミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)は、分子内にアミノ基を有するものはアクリル系共重合体(A)が着色する恐れがあるので、光学用途に用いる場合は、分子内にアミノ基を有しないことが必要である。
また、アクリル系共重合体(A)の共重合に用いるエチレン性不飽和化合物は、アミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)以外の化合物であり、架橋性官能基を含むエチレン性不飽和化合物、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類及び他のアルケニル基含有化合物が好ましい。これらのエチレン性不飽和化合物の中でも、少なくとも架橋性官能基を含むエチレン性不飽和化合物を用いることが、硬化剤(D)との架橋反応の面から好ましい。
前記架橋性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、ニトリル基、オキシラン基、アルコキシシリル基、アリル基などが好ましい。その中でも硬化剤(D)との架橋反応性から、水酸基やカルボキシル基が好ましい。
水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、などのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが、重量平均分子量50万〜180万のアクリル系共重合体を容易に製造できる点から好ましい。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、p−カルボキシベンジル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性(付加モル数:2〜18)フタル酸(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、マレイン酸、モノエチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち特に(メタ)アクリル酸が、重量平均分子量50万〜180万のアクリル系共重合体を容易に製造できる点から好ましい。
上記アクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート〔メチルアクリレートとメチルメタクリレートとを併せて「メチル(メタ)アクリレート」と表記する。以下同様。〕、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち特に、ブチル(メタ)アクリレートが良好な接着性能を得やすいという点と、重量平均分子量50万〜180万のアクリル系共重合体を容易に製造できる点で好ましい。
アルケニル基含有化合物としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
アミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)の使用量は、使用するエチレン性不飽和化合物の合計100重量%中、1〜35重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。アミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)が1重量%未満であると、アクリル系共重合体(A)と酸化合物(B)との相溶性が不良となり粘着剤塗膜が白化する恐れがあり、35重量%を超えると、凝集力が強すぎ、十分な粘着力が得られない恐れがある。
架橋性官能基を含むエチレン性不飽和化合物の使用量は、共重合に用いるエチレン性不飽和化合物の合計100重量%中0.01〜30重量%であることが好ましい。0.01重量%未満では充分な架橋構造が得られないため、粘着層の凝集力が低く、リワーク性が劣る恐れがある。また、30重量%を超えた場合、粘着層の凝集力が高くなりすぎるため、積層されたガラス面との間で、環境変化により剥離し易くなる恐れがある。
アクリル系共重合体(A)は、上記のエチレン性不飽和化合物を、重合開始剤を用いてラジカル重合することで得ることができる。ラジカル重合は、溶液重合、塊状重合、乳化重合や懸濁重合など公知の重合方法で行うことができるが、本発明では溶液重合で行うのが好ましい。用いる溶剤は、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アニソール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどが好ましい。また必要な重合平均分子量の観点から、重合温度は60〜120℃の範囲が好ましく、重合時間は5〜12時間が好ましい。
本発明におけるアクリル系共重合体(A)は、重量平均分子量が30万〜200万が好ましく、50万〜180万がより好ましい。重量平均分子量が30万未満であると、被着体との密着性や高温・高湿下での耐久性が不十分となり、被着体からの浮きや剥がれなどが生じるおそれある。一方、重量平均分子量が200万を超えると、粘着剤の流動性が不良となって、粘着フィルムを作製することが困難となる恐れがある。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。本発明の粘着剤においてアクリル系共重合体(A)は1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤は、エチレン性不飽和化合物100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜2重量部の割合で使用することができる。
次に、酸性化合物(B)について説明する。酸性化合物(B)は、水溶液中で水素イオンを生じ、塩基を中和して塩を生じるような物質(アレニウス酸)である。そして酸性化合物(B)は、アクリル系共重合体(A)に存在するアミド基の窒素原子のローンペアと相互作用を起こし、摩擦、圧力、熱などの外的刺激が加わった際に、電子に偏りを生じさせながらアクリル系共重合体(A)中の窒素原子間を移動することでイオン伝導を生じて導電性が発現し、結果として帯電防止機能を有するに至ったと推測している。
本発明の粘着剤は、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して酸性化合物(B)0.5〜30重量部含有することが必要であり、1〜15重量部含有することがより好ましい。0.5重量部未満の場合は、共重合体中の窒素原子との相互作用が不十分となり帯電防止性能の発現が困難になる恐れがある。一方、30重量部を超える場合は帯電防止性能は十分有するものの、タックの低下、凝集力の低下が起こり粘着物性が低下する恐れがある。
酸性化合物(B)としては、例えば、塩酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、炭酸、フッ化水素酸、チオシアン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸などの無機酸類、ギ酸、酢酸 、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、などの飽和カルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸類。メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スルファミン酸などのスルホン酸類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また酸性化合物(B)は、さらにpKa=−8.0〜4.0であることが重要である。さらにpKa=−4.0〜3.0であることがより好ましく、pKa=−4.0〜1.0が特に好ましい。pKa=−8.0より低い場合は酸性強度が非常に高く、アミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)の窒素原子との相互作用は十分であるが、アクリル系共重合体(A)の側鎖エステル結合の分解による粘着剤劣化を引き起こすため好ましくなく、pKa=4.0を超える場合は酸性強度が弱く、窒素原子との相互作用が不十分となり、帯電防止性能が低いため好ましくない。これらのなかでも、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸が帯電防止性能が高く、粘着剤の劣化が起こらない点からより好ましい。
なお、本発明においてpKaとは酸性化合物の解離定数の逆数の常用対数のことであり、25℃水中での値とする。また、硫酸のように多段階解離する化合物は、第一段階解離における値pK1のことである。
次に硬化剤(D)について説明する。
本発明の粘着剤は、アクリル共重合体(A)中の架橋性官能基と反応し得る架橋剤(D)を含有することが好ましい。本発明に用いられる硬化剤(D)としては、分子内に官能基を2個以上有する、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物及び金属キレート化合物などが好ましい。
アクリル共重合体(A)中の架橋性官能基がカルボキシル基の場合、硬化剤(D)はポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物などを用いるのが好ましい。
またアクリル共重合体(A)中の架橋性官能基が水酸基の場合は、硬化剤(D)はポリイソシアネート化合物、N−メチロール基含有化合物などを用いるのが好ましい。
これらの化合物の中でも、特にポリイソシアネート化合物は、架橋反応後の粘着層が被着体への密着性に優れていることから好ましく用いられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートなどを挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができる。
また上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアヌレート環を有する3量体等も併用することができる。ポリフェニルメタンポリイソシアネート(PAPI)、ナフチレンジイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物などを使用し得る。なおポリイソシアネート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基のいずれかの基、またはこれらの基の2種以上を有する変性物を使用できる。ポリオールとジイソシアネートの反応物もポリイソシアネートとして使用することができる。
これらポリイソシアネート化合物の内、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)、キシリレンジイソシネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:水添MDI)などの無黄変型または難黄変型のポリイシソアネート化合物を用いると耐候性、耐熱性あるいは耐湿熱性の点から、特に好ましい。
硬化剤(D)としてポリイソシアネート化合物を使用する場合、反応促進のため、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。例えば三級アミン系化合物、有機金属系化合物などが挙げられ、単独、もしくは併用することもできる。
硬化剤(D)のうち、エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1、3−ビス(N、N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
硬化剤(D)のうち、アミン化合物としては、好ましくは1級アミノ基を2個以上有するポリアミンであり、硬化速度が優れる点から、芳香環に直接結合していない1級アミノ基を2個以上有するポリアミンである脂肪族系ポリアミン(その骨格に芳香環を含んでも良い)が好ましい
脂肪族系ポリアミンとしては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、分子両末端のプロピレン分岐炭素にアミノ基が結合したポリプロピレングリコール(プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミン)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノプロパン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、H2N(CH2CH2O)2(CH22NH2(エチレングリコール骨格のジアミン)等のアミン窒素にメチレン基が結合したポリエーテル骨格のジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ポリアミドアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミンなどを挙げることができる。これらの中でも、特に硬化速度が高いことから、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン、H2N(CH2CH2O)2(CH22NH2(エチレングリコール骨格のジアミン)、プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミン、ポリアミドアミンが好ましい。
また、これらのポリアミンとケトンとの反応物であるケチミンもアミノ系化合物に含まれ、安定性、反応性の調整および重ね塗り性の観点から、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンとメタキシリレンジアミンとから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンと、エチレングリコール骨格またはプロピレン骨格のジアミンであるジェファーミンEDR148、ジェファーミンD230、ジェファーミンD400など、または、プロピレン骨格のトリアミンであるジェファーミンT403などとから得られるものなどを挙げることができる。
硬化剤(D)のうち、アジリジン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ジフェニルメタン−4,4−ビス−N,N′−エチレンウレア、1,6−ヘキサメチレンビス−N,N′−エチレンウレア、2,4,6−(トリエチレンイミノ)−Syn−トリアジン、ビス[1−(2−エチル)アジリジニル]ベンゼン−1,3−カルボン酸アミドなどが挙げられる。
硬化剤(D)のうち、カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド基を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられ、公知のポリカルボジイミドを用いることができる。また、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。
高分子量ポリカルボジイミドとしては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられ、これらを単独または2種以上の併用もできる。
カルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドを挙げることができる。
硬化剤(D)のうち、オキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン基を2個以上有する化合物が好ましく用いられ、例えば、2′−メチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−プロピレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−フェニレンビス−2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)などを挙げることができる。または、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンや、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリンなどのエチレン性不飽和化合物と、これらのエチレン性不飽和化合物と共重合し得る他の単量体との共重合体でもよい。
硬化剤(D)のうち、メラミン化合物としては、トリアジン環を分子内に有する化合物であり、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、メチルグアナミン、ビニルグアナミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。また、これらの低縮合化物やアルキルエーテル化ホルムアルデヒド樹脂やアミノプラスト樹脂を使用しても良い。
硬化剤(D)のうち、金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの多価金属がアセチルアセトンやアセト酢酸エチルに配位した化合物が挙げられる。
これらの硬化剤(D)は、単独で用いてもよいし、あるいは複数を使用することもできる。
本発明の粘着剤は、アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、硬化剤(D)を0.001〜50重量部用いることが好ましく、0.01〜30重量部用いることがより好ましい。硬化剤(D)の使用量が、0.001重量部未満では、充分な架橋構造が得られないため、粘着層の凝集力が低下する恐れがあり、硬化剤(D)の使用量が、50重量部を越えると得られる粘着層の接着性が低下する恐れがある。
なお本発明の粘着剤には、被着体汚染性や外観が低下しない範囲内であれば、帯電防止剤を併用しても良い。
本発明の粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、各種樹脂、軟化剤、染料、顔料、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、充填剤及び老化防止剤などを配合しても良い。
本発明の粘着フィルムは、基材(E)上に、上述の粘着剤からなる粘着層が形成されたものである。粘着フィルムは、例えば、基材上に粘着剤を塗工、乾燥することにより製造できる。粘着層は基材の少なくとも一方の面に設けられていれば良い。
基材(E)としては、セロハン、プラスチックシート、ゴム、発泡体、布帛、ゴムびき布、樹脂含浸布、ガラス板、木材等が好ましく、板状であってもフィルム状であっても良い。又、基材は単独でも用いることもできるし、複数のものを積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。更に基材の表面を剥離処理したものを用いることもできる。
前記プラスチックシートとしては、プラスチックフィルムともいわれ、ポリビニルアルコールフィルムやトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルム、ポリカーボネート系樹脂のフィルム、ポリノルボルネン系樹脂のフィルム、ポリアリレート系樹脂のフィルム、アクリル系樹脂のフィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂のフィルム、ポリスチレン樹脂のフィルム、ビニル系樹脂のフィルム、ポリアミド系樹脂のフィルム、ポリイミド系樹脂のフィルム、エポキシ系樹脂のフィルムなどが挙げられる。
基材(E)として、光学部材を用いることも好ましい。具体的には、例えば液晶ディスプレイなどに使用される偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム等が挙げられる。
偏光フィルムは、偏光板とも呼ばれ、ポリビニルアルコール(PVA)系偏光子の両面を2枚のトリアセチルセルロース系保護フィルム(以下、「TACフィルム」という)や2枚のシクロオレフィ系フィルムで挟んだ多層構造フィルムである。
本発明の粘着剤の塗工方法としては、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等が挙げられる。乾燥方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては粘着剤の硬化形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、通常60〜180℃程度の熱風加熱でよい。
粘着層の厚さは、0.1〜200μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましい。0.1μm未満では十分な粘着力が得られないことがあり、200μmを超えても粘着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
以下、この発明を具体的に実施例を比較例により説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。又、下記実施例及び比較例中、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
<アクリル系共重合体の合成>
(合成例1)
重合槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた重合反応装置の重合槽に、下記エチレン性不飽和化合物、重合開始剤、溶剤をそれぞれ下記の比率で仕込んだ。
ブチルアクリレート95部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部、酢酸エチル100部を仕込んだ。この重合槽を80℃に加熱し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02部を添加し、3時間反応させた。更に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部、酢酸エチル50部を添加し、その後5時間反応させた。反応終了後、重合槽を冷却しトルエン150部を加え、アクリル系共重合体溶液を得た。
(合成例2〜8)
表1の重量比率に従って各種原料を仕込み、合成例1と同様の方法でアクリル系共重合体溶液を合成した。
又、合成例1〜8により得られたアクリル系共重合体溶液について、溶液の外観、重量平均分子量(Mw)を以下の方法に従って求めた。その結果を表1に示す。
(1)溶液外観
アクリル系共重合体溶液の外観を目視にて評価した。溶液の外観に関しては、下記の3段階の評価基準に基づいて評価を行った。
○:「溶液は無色透明であり、良好である。」
×:「溶液は黄変しており、実用不可である。」
(2)重量平均分子量(Mw)の測定
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、ポリスチレン換算によってMwの算出を行った。
Figure 2011032418
表中の略字は、次の通りある。BA:ブチルアクリレート、VP:ビニルピロリドン、DMAA:ジメチルアクリルアミド、DMAPMA:ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート、AA:アクリル酸。
<粘着フィルムの作成>
(実施例1)
合成例1のアクリル系共重合体溶液100部に、酸性化合物の10%酢酸エチル溶液を34部、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体の37%酢酸エチル溶液2部を配合し、更に溶剤として酢酸エチルを加えて不揮発分を20%に調整して粘着剤を得た。
前記粘着剤を、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製の剥離フィルムの剥離層上に、乾燥後の厚さが25μmになるように塗布したのち、100℃で2分間乾燥処理して粘着層を形成した。粘着層にポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡エステルフィルムE5100、厚さ50μm)を貼り合わせ、次いで、温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成させて粘着フィルムを得た。
(実施例2〜8、比較例1〜6)
表2の配合比に従って、実施例1と同様にして粘着フィルムを得た。
Figure 2011032418
表中の略字は、次の通りある。MSA:メタンスルホン酸(pKa=−0.6)10%酢酸エチル溶液、PTSA:p−トルエンスルホン酸(pKa=−2.8)10%酢酸エチル溶液、OcA:オクタン酸(pKa=4.9)10%酢酸エチル溶液、TDI−TMP:トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体37%酢酸エチル溶液、BMPTFMS:1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート10%酢酸エチル溶液。
実施例1〜8および比較例1〜6で得られた粘着剤及び粘着フィルムを以下の方法で評価した。その結果を表3に示す。
(1)粘着力
上記粘着フィルムから、25mm幅、100mm長のサンプルを切り出し、剥離フィルムを剥がして、無アルカリガラス[コーニング社製「1737」]に貼付したのち、栗原製作所製オートクレーブにて、0.5MPa、50℃、20分間の条件で処理した。その後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間放置したのち、同環境下で、引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着力を測定した。
(2)塗膜外観
上記粘着層の外観を目視にて評価を行った。下記の3段階の評価基準に基づいて評価を行った。
◎:「塗膜は透明で良好である。」
△:「塗膜はわずかに白化あるいはわずかに黄変しており、実用不可である。」
×:「塗膜は白化あるいは黄変しており、実用不可である。」
(3)汚染性
上記の粘着力の測定後の無アルカリガラスの表面状態を目視にて評価を行った。下記の3段階の評価基準に基づいて評価を行った。
○:「ガラス表面に糊残りはなく、良好である。」
△:「ガラス表面にわずかに糊残りがあり、実用不可である。」
×:「ガラス表面に糊残りがあり、実用不可である。」
(4)HAZE
上記粘着フィルムから、剥離フィルムを剥がして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)を含む粘着層を「NDH−300A」[日本電色工業(株)社製]でHAZEを測定した。
なお、HAZEは3.5以下を実用域とした。
(5)表面抵抗値
上記粘着フィルムから、剥離フィルムを剥がして、露出した粘着層表面の表面抵抗値を、23℃−、55%RHの条件下で、表面抵抗値測定装置(三菱化学株式会社製:MCT−HT450)を用いて測定した。
Figure 2011032418
表中の略字は、次の通りある。AT:粘着層の全面転着。
表3より比較例1、3、6は、HAZEが高い、あるいは黄変により塗膜外観が不良であり、比較例2は粘着力を維持することができず、比較例4、5は帯電防止性能が不十分であり、また、比較例6は被着体汚染があるといった不具合があった。
実施例1〜8に示すように、本発明の粘着剤とその粘着フィルムは、透明性と優れた帯電防止性能および適切な粘着特性を有していることが分かる。

Claims (4)

  1. アクリル系共重合体(A)100重量部と、pKa=−8.0〜4.0の酸性化合物(B)0.5〜30重量部とを含む粘着剤であって、
    上記アクリル系共重合体(A)が、アミド結合含有エチレン性不飽和化合物(C)を1〜35重量%含むエチレン性不飽和化合物を共重合してなることを特徴とする粘着剤。
  2. さらに硬化剤(D)を含むことを特徴とする請求項1記載の粘着剤。
  3. 基材(E)上に、請求項1または2記載の粘着剤からなる粘着層を形成してなる粘着フィルム。
  4. 基材(E)が、光学部材であることを特徴とする請求項3記載の粘着フィルム。
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