JP2014061546A - ロックピン、ロックピン回動工具および連結開放構造 - Google Patents

ロックピン、ロックピン回動工具および連結開放構造 Download PDF

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Abstract

【課題】一人で回動させることが可能で作業工数を削減できるロックピン、ロックピン回動工具および連結開放構造を提供すること。
【解決手段】ロックピン3に、頭部31と、軸32と、係合突起33とを形成する。上記係合突起33に、頭部31に連なると共に、回転方向に係合可能な回転方向係合部50と、回転方向係合部50に連なると共に、軸方向に係合可能な係合フランジ部51とを形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ロックピン、ロックピン回動工具および連結開放構造に関する。また、本発明は、例えば、圧延機の圧延ロールを、駆動軸に連結されたカップリングに連結する連結構造等に好適に使用できるロックピン、ロックピン回動工具および連結開放構造に関する。
従来、ロックピンとしては、特開平2−229607号公報(特許文献1)に記載の連結構造に使用されているものがある。このロックピンは、圧延機のロールと、駆動軸に取り付けたカップリングとの連結に使用されている。このロックピンは、軸方向の中央部に凹部である切欠部を有する。
このロックピンは、上記切欠部を、カップリングのロールネック嵌合孔側に向けた状態で、カップリングのロックピン挿通孔に挿通されるようになっている。そして、この状態で、ロールネック部をカップリングのロールネック嵌合孔に挿入するようになっている。そして、その後、ロックピンを回動して、ロックピンの周部を、ロールネック部の係合溝に係合することにより、ロールネック部の軸方向への移動を規制するようになっている。
また、上記ロールネック部の軸方向の移動を確実に防止するため、ロックピンの周部を、ロールネック部の係合溝に係合している状態で、ロックピンの回り止めを行っている。この回り止めは、ロックピンのボルトの頭部に突出部を形成すると共に、カップリングに上記突出部に対応する凹部を形成して、上記突出部を上記凹部に係止することにより行っている。上記回り止めは、付勢部材で、上記突出部を上記凹部の方に常時付勢することにより、解除されないようになっている。そして、ロックピンの先端にナットを螺合している。
ところで、上記従来のロックピンでは、ロックピンの係合を解除する場合、ロックピンの先端のナット側の作業員が、ロックピンの軸をロックピンの頭部側に付勢部材の付勢力に打ち勝つように押圧して、上記突出部を上記凹部から引き離す。その状態で、ロックピンの頭部側のもう一人の作業員が、ロックピンをレンチ等で回動させて、ロックピンの係合を解除している。
しかしながら、上記従来のロックピンでは、ロックピンを回動させるのに、作業員が、ロックピンの先端のナット側と頭部側との両端に一人ずつ計二人必要であって、作業工数がかかるという問題がある。
特開平2−229607号公報
そこで、本発明の課題は、一人で係合を解除することが可能で作業工数を削減できるロックピン、ロックピン回動工具および連結開放構造を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のロックピンは、
頭部と、
上記頭部に連なると共に、切欠部と、切欠部よりも先端側に位置するねじ部とを有する軸と、
上記頭部の上記ねじ部側とは反対側に連なる係合突起と
を備え、
上記係合突起は、
上記頭部に連なると共に、回転方向に係合可能な回転方向係合部と、
上記回転方向係合部に連なると共に、軸方向に係合可能な係合フランジ部と
を有することを特徴としている。
本発明によれば、頭部に連なる係合突起が、回転方向に係合可能な回転方向係合部と、軸方向に係合可能な係合フランジ部とを有している。したがって、回転方向係合部に回転方向に係合可能な回転力付与部と、係合フランジ部に軸方向に係合可能な軸力付与部とを有する工具を用意することができて、その軸力付与部を、係合フランジに軸方向に係合させると共に、回転力付与部を、回転方向係合部に係合させることができる。したがって、工具からロックピンに軸方向に力を付与して、頭部とロックピン挿通部材との間に摩擦力が働かない状態にした後、工具からロックピンに回転力(トルク)を付与して、ロックピンを回動させることができるから、一人でロックピンを回動させることができて、ロックピンを用いた係合の作業工数を削減できる。
また、一実施形態では、
上記係合フランジ部は、互いに略平行な第1側面部および第2側面部を有し、
上記回転方向係合部は、上記係合フランジ部を上記軸側に上記軸方向に移動したときに上記係合フランジ部が通過する領域内に位置すると共に、上記第1側面部と上記第2側面部との距離に略一致する距離だけ離れて位置する互いに略平行な第1側面部および第2側面部を有し、
上記回転方向係合部の上記軸方向に垂直な平面での切断面は、上記係合フランジ部の上記軸方向に垂直な平面での切断面よりも小さい。
上記実施形態によれば、ロックピンを回動する工具として、上記係合フランジ部の軸方向の端面に略一致する断面を有して、上記係合フランジ部が通過可能な第1穴と、その第1穴の内周面にその内周面から径方向の外方側に延在する段部を介して連なる内周面を有して、上記第1穴の上記断面よりも大きな断面を有する第2穴とを有し、上記第1穴の長さが、上記回転方向係合部の軸方向の厚さよりも短くなっている工具を採用できる。
詳しくは、係合フランジの第1側面部および第2側面部に対応する第1穴の二つの側面部を、上記第1側面部および第2側面部を挟み込むように配置することで、工具に対して回転方向係合部を、回転方向に略相対移動不可に係合させることができる。また、この状態で工具を引っ張ることにより、工具の段部の少なくとも一部を、係合フランジ部の軸方向の回転方向係合部側の端面の少なくとも一部に軸方向に摩擦係合させた上、さらに、ロックピンの頭部がロックピン挿入部材に接触しないようにできて、ロックピンを円滑に回動させることができる。上記実施形態によれば、一人で回動させることが可能で作業工数を削減できるロックピンを簡単な構造で構築できる。
また、一実施形態では、
上記係合フランジ部は、略小判状の形状を有する一方、上記回転方向係合部は、四つの辺の長さが略同一の平行四辺形の断面形状を有し、
上記回転方向係合部の四つの角部のうちの一の角部の上記回転方向の位置は、上記係合フランジ部の上記第1側面部の中央の上記回転方向の位置に略一致し、上記四つの角部のうちの他の一の角部の上記回転方向の位置は、上記係合フランジ部の上記第2側面部の中央の上記回転方向の位置に略一致している。
上記実施形態によれば、上記工具の段部において、上記係合フランジ部の軸方向の回転方向係合部側の端面に摩擦係合する領域を大きくできて、軸方向の係合をより確実に行うことができる。
また、本発明のロックピン回動工具は、
本発明のロックピンを回動させるためのロックピン回動工具であって、
本体部と、
上記本体部を上記回転方向に回転させるためのトルク付与部と
を備え、
上記本体部は、
上記係合フランジ部の上記軸方向の端面に略一致する断面を有して、上記係合フランジ部が通過可能な第1穴と、
上記第1穴の内周面にその内周面から径方向の外方側に延在する段部を介して連なる内周面を有して、上記第1穴の上記断面よりも大きな断面を有する第2穴と
を有し、
上記第1穴の長さは、上記回転方向係合部の上記軸方向の厚さよりも短いことを特徴としている。
本発明によれば、ロックピン回動工具を、係合フランジ部の側面と、その側面に対応する第1穴の側面とを互いに対向するように配置することで、回転方向係合部を、工具に対して回転方向に略相対移動不可に係合させることができる。また、この状態で工具を引っ張ることにより、工具の段部の少なくとも一部を、係合フランジ部の軸方向の回転方向係合部側の端面の少なくとも一部に軸方向に摩擦係合することができると共に、ロックピンを引っ張り上げることができる。したがって、ロックピンの頭部がロックピン挿入部材に接触しないようにできて、ロックピンを円滑に回動させることができる。一実施形態では、ロックピンの回り止めを解除することができる。したがって、一人でロックピンを回動することができて、作業工数を削減できる。
また、本発明の連結開放構造は、
本発明のロックピンと、
上記ロックピンを回動させるためのロックピン回動工具と
を備え、
上記ロックピン回動工具は、
本体部と、
上記本体部を上記回転方向に回転させるためのトルク付与部と
を備え、
上記本体部は、
上記係合フランジ部の上記軸方向の端面に略一致する断面を有して、上記係合フランジ部が通過可能な第1穴と、
上記第1穴の内周面にその内周面から径方向の外方側に延在する段部を介して連なる内周面を有して、上記第1穴の上記断面よりも大きな断面を有する第2穴と
を有し、
上記第1穴の長さは、上記回転方向係合部の上記軸方向の厚さよりも短くなっており、
上記第1穴の内面が、上記回転方向係合部の側面に上記回転方向に係合可能であり、
上記段部のうちの少なくとも一部が、上記係合フランジ部の上記軸方向の回転方向係合部側の端面のうちの少なくとも一部に上記軸方向に係合可能であることを特徴としている。
本発明によれば、ロックピンを一人で回動できる連結開放構造を実現できる。
本発明によれば、一人で回動させることが可能で作業工数を削減できるロックピン、ロックピン回動工具および連結開放構造を実現できる。
本発明の一実施形態の圧延ロールとカップリングとの連結構造を示す模式断面図である。 上記連結構造を、ロックピンの中心軸と、圧延ロールの軸方向に垂直な方向とを含む平面で切断したときの模式断面図である。 上記ロックピンの斜視図である。 ロックピンの頭部側の端部を示す斜視図であり、ロックピンの係合突起周辺の斜視図である。 回転方向係合部を軸方向に垂直な切断面で切断したときの断面図である。 ロックピンの頭部側の端部を図4とは違う方向から見たときの斜視図である。 ロックピンを、カップリングに対して回動不可にするロックピンの回り止め構造を説明するための模式図である。 ロックピンを回動させるときに使用するロックピン回動工具を示す図である。 変形例のロックピンの係合突起を、軸方向の外方側から見たときの模式図である。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の圧延ロール1とカップリング2との連結構造を示す模式断面図である。
この連結構造は、圧延ロール1と、カップリング2と、ロックピン3とを備える。上記圧延ロール1は、ロールネック部43を有する一方、カップリング2は、ロールネック嵌合孔41を有する。上記ロールネック部43は、ロールネック嵌合孔41に嵌合している。図1に示すように、上記圧延ロール1は、ロールネック部43の外周面20に圧延ロール1の軸方向に垂直な方向に延在する溝21を有し、カップリング2は、ロールネック嵌合孔41の内周面22に上記軸方向に垂直な方向に延在する溝23を有する。
図1に示すように、上記圧延ロール1の溝21およびカップリング2の溝23の夫々は、断面略半円状の形状を有し、互いに相俟って断面略円形のロックピン挿通穴39を構成している。図1の断面図において、上記ロックピン挿通穴39は、ロールネック部43の外周面20の接線方向に延在している。上記ロックピン3は、ロックピン挿通穴39に挿通されている。上記ロックピン3は、圧延ロール1が、カップリング2に対して圧延ロール1の軸方向に相対移動することを防止する役割を担っている。また、上記ロックピン3は、切欠部35を有する。ロックピン3の役割および切欠部35の構造については、この後詳述する。
図2は、上記連結構造を、ロックピン3の中心軸と、圧延ロール1の軸方向に垂直な方向とを含む平面で切断したときの模式断面図である。
図2に示すように、この連結構造は、圧延ロール1と、カップリング2と、ロックピン3とに加え、ばね部材4と、ワッシャ5と、ナット6とを備える。上記ロックピン3は、頭部31と、軸32と、係合突起33とを有し、軸32は、頭部31に連なっている。上記軸32は、切欠部35と、ねじ部36とを有している。上記ねじ部36は、軸32の頭部31側とは反対側の先端部に位置している。上記切欠部35は、頭部31と、ねじ部36との間に位置している。上記切欠部35は、図2に示す断面の紙面において、左右対称な皿状の形状を有している。
上記ばね部材4は、軸32を取り囲むように配置されている。上記カップリング2のロックピン挿通穴39における軸32が嵌合される側の端部は、径方向の外方に延在する段部24を有している。上記ロックピン挿通穴39の段部24よりも軸方向の外方側に位置する内周面部の内径は、段部24よりも軸方向の内方側の内周面部よりも大径になっている。このようにして、軸32を取り囲むばね部材4の一部を、大径の内周面部内に収容できるようにして、ばね部材4の一端部が段部24から反力を得られるようにしている。
図2に示すように、上記ワッシャ5は、軸32を取り囲むように配置されており、ばね部材4の他端部に当接している。また、上記ナット6は、軸32のねじ部36に螺合してワッシャ5を頭部31側に締め付けている。詳述しないが、図2において、参照番号25は、ライナであり、参照番号26〜29は、ねじである。上記ライナ25は、ねじ26〜29によって固定されている。上記ライナ25によってロールネック部43の互いに略平行な平坦面83,84を挟持することにより、圧延ロール1とロールネック嵌合孔41とが同心になるようにしている。尚、図1の模式断面図は、図2において、左右対称な皿状の切欠部35を垂直に二等分する断面に一致し、図2のAA線断面図に一致している。
図3は、上記ロックピン3の斜視図である。
図3に示すように、上記ロックピン3は、切欠部35とねじ部36との間に段部85を有している。図2を参照して、ワッシャ5は、ナット6によってこの段部85に押圧されている。また、図3に示すように、ロックピン3は、頭部31側にピン挿通孔80を有している。このピン挿通孔80の役割については、後に詳述する。
上記連結構造は、例えば次のように形成されることができる。詳しくは、先ず、ロックピン3の切欠部35がロールネック嵌合孔41側に向いている状態で、ロックピン3を、ロックピン挿通穴39に挿通する。その後、圧延ロール1のロールネック部43を、ロールネック嵌合孔41に挿入する。最後に、以下に詳述する手法で、ロックピン3を回動することにより、ロックピン3の周部47(図2,図3参照)を、ロールネック部43の係合溝48(図2参照)に係合して、ロールネック部43の軸方向の移動の規制を行い、連結構造を形成する。
図4は、ロックピン3の頭部31側の端部を示す斜視図であり、ロックピン3の係合突起33周辺の斜視図である。
上記係合突起33は、回転方向係合部50と、係合フランジ部51とを有し、回転方向係合部50は、頭部31に連なる一方、係合フランジ部51は、回転方向係合部50に連なっている。
図4に示すように、係合フランジ部51は、陸上のトラックの形状の軸方向の端面を有し、略小判型の形状をしている。上記係合フランジ部51は、互いに略平行な第1側面部60および第2側面部61を有し、第1側面部60と、第2側面部61とは、略同一であり、矩形の形状をしている。上記第1側面部60は、第1側面部60の法線方向に第2側面部61に略完全に重なっている。上記第1側面部60と、第2側面部61との距離(二面幅)は、d[cm]に設定されている。
上記係合フランジ部51の側面は、第1および第2側面部60,61と、第1湾曲面部62と、第2湾曲面部63とからなっている。上記第1湾曲面部62は、第1側面部60の一端と、第2側面部61の一端との間に存在しており、第2湾曲面部63は、第1側面部60の他端と、第2側面部61の他端との間に存在している。
上記回転方向係合部50は、係合フランジ部51を軸32側に軸方向に移動したときに係合フランジ部51が通過する領域内に位置している。図5は、回転方向係合部50を軸方向に垂直な切断面で切断したときの断面図である。図5に示すように、上記回転方向係合部50は、四つの辺の長さが略同一の平行四辺形の断面形状を有している。正確には、回転方向係合部50は、断面が四つの辺の長さが略同一の平行四辺形の形状である角柱の各角部を、面取りしたような形状になっていて、略レモン状の断面形状を有している。
上記回転方向係合部50は、係合フランジ部51の第1側面部60と第2側面部61との距離d[cm]に略一致する距離d[cm]だけ離れて位置する互いに略平行な第1側面部71および第2側面部72を有している。また、上記回転方向係合部50は、係合フランジ部51の第1側面部60と第2側面部61との距離d[cm]に略一致する距離d[cm]だけ離れて位置する互いに略平行な第3側面部73および第4側面部74を有している。
図4に示すように、上記回転方向係合部50の軸方向に垂直な平面での切断面は、係合フランジ部51の軸方向に垂直な平面での切断面よりも小さくなっている。また、図4および図5を参照して、上記回転方向係合部50の四つの角部のうちの一の角部76の回転方向の位置(位相)は、係合フランジ部51の第1側面部60の中央の回転方向の位置(位相)に略一致し、上記四つの角部のうちの他の一の角部77の回転方向の位置(位相)は、係合フランジ部51の第2側面部61の中央の回転方向の位置(位相)に略一致している。
図6は、ロックピン3の頭部31側の端部を図4とは違う方向から見たときの斜視図である。
図6に示すように、ロックピン3の頭部31側の端部は、頭部31と、軸32とに跨って存在するピン挿入孔80を有している。このピン挿入孔80には、ロックピン3の回り止め用のピン(図示せず)が挿入されるようになっている。
図7は、ロックピン3を、カップリング2に対して回動不可にするロックピン3の回り止め構造を説明するための模式図である。尚、図7において、88は、図6に80で示すピン挿入孔に挿通されているピンを示している。
図7に示すように、上記カップリング2は、ピン88の頭部の曲率に略一致する略半円状の切欠部90を有している。この実施形態では、人が、ロックピン3を、カップリング2に対して図7に矢印Aで示す方向に、ロックピン3の軸方向に移動させることにより、切欠部90に嵌りこんで切欠部90に係合していたピン88の頭部を、切欠部90から引き離すことができて、ロックピン3の回り止めを解除できる。
一方、図2を参照して、人が、ロックピン3に力を付与しない場合には、ばね部材4によってワッシャ5が受ける図7に矢印Bで示す方向の軸方向の力により、ピン88の頭部が切欠部90に嵌り込んで、ロックピン3が、カップリング2に対して回動できないようになっている。このようにして、連結構造において、ロールネック部43の軸方向の移動を規制するようになっている。
尚、上記切欠部90は、カップリング2におけるロックピン挿通穴39の周囲に、180度の位相差を設けた状態で2箇所形成されている。このことから、上記ロックピン3は、カップリング2に対するロールネック部43の軸方向の移動を規制する軸方向規制位置と、ロールネック部43が、カップリング2に挿通可能な軸挿入可能位置とで、回り止めされることが可能になっている。
図8は、上記ロックピン3を回動させるときに使用するロックピン回動工具を示す図である。
このロックピン回動工具(以下、単に工具という)は、本体部の一例としての円柱部99と、軸部91と、トルク付与部92とを有し、軸部91は、円柱部99の一端につながっており、トルク付与部92は、軸部91の円柱部99側とは反対側の端につながっている。上記円柱部99の軸方向と、軸部91の軸方向とは、略一致している。また、上記トルク付与部92は、軸部91の延在方向に垂直な一方向に延在している。人がトルク付与部92を回転させることにより、円柱部99を回動させることができるようになっている。
上記円柱部99は、その軸方向の軸部91側とは反対側の端面に開口する穴を有している。詳しくは、上記円柱部99は、第1穴94と、第2穴95とを有し、第1穴94は、円柱部99の軸方向の端面に開口している。
上記第1穴94は、図5に参照番号51で示す係合フランジ部の軸方向の端面に略一致する断面(係合フランジ部51の軸方向の端面よりも僅かに大きい断面)を有して、係合フランジ部51が通過可能になっている。上記第2穴95は、第1穴94に段部を介して連なっている。上記第2穴95は、第1穴94の内周面にその内周面から径方向の外方側に延在する段部を介して連なる内周面を有している。上記第2穴95は、第1穴94の上記断面よりも大きな断面を有している。
上記第1穴94の長さh2[cm]は、図4に参照番号50で示す回転方向係合部の軸方向の厚さh1[cm]よりも短くなっている。上記第1穴94の内面は、回転方向係合部50の側面に回転方向に係合可能になっている。詳しくは、上記第1穴94は、係合フランジ部51の軸方向の端面に略一致する断面を有し、係合フランジ部51の第1側面部および第2側面部に対応する二面幅がd[cm]の二つの側面部を有している。一方、上記回転方向係合部50も、二面幅がd[cm]の第1側面部71および第2側面部72を有し、また、二面幅がd[cm]の第3側面部73および第4側面部74を有している。したがって、第1穴94における二面幅がd[cm]の二つの側面部を、回転方向係合部50の第1側面部71および第2側面部72を挟み込むように配置するか、または、回転方向係合部50の第3側面部73および第4側面部74を挟み込むように配置することにより、工具に対して回転方向係合部50を、回転方向に略相対移動不可に係合させることができるのである。
また、上述のように、上記回転方向係合部50は、係合フランジ部51を軸32側に軸方向に移動したときに係合フランジ部51が通過する領域内に位置し、かつ、回転方向係合部50の軸方向に垂直な平面での切断面は、係合フランジ部51の軸方向に垂直な平面での切断面よりも小さくなっている。したがって、工具に対して回転方向係合部50を、回転方向に略相対移動不可に係合した状態で、ユーザが工具を引っ張ることにより、第1穴94と第2穴95とをつなぐ段部の一部を、係合フランジ部51の軸方向の回転方向係合部50側の端面のうちの少なくとも一部に、軸方向に摩擦係合することができて、工具と、係合フランジ部51とを軸方向に係合させることができる。
したがって、上記段部の一部を、係合フランジ部51の軸方向の回転方向係合部50側の端面のうちの少なくとも一部に、軸方向に係合している状態で、更に、ユーザが工具を引っ張ることにより、図7で説明したロックピン3の回り止めを解除することができ、更に、この状態で、ユーザが、工具のトルク付与部92(図8参照)を回転させることにより、ロックピン3を回動させることができる。
上記実施形態によれば、工具からロックピン3に軸方向に力を付与して、回り止めを解除した後、工具からロックピン3にトルクを付与して、ロックピン3を回動させることができるから、一人でロックピン3を回動させることができて、ロックピン3を用いた係合の作業工数を削減できる。
また、上記実施形態によれば、係合フランジ部51の第1側面部60および第2側面部61に対応する第1穴94の二つの側面部を、回転方向係合部50の第1側面部71および第2側面部72を挟み込むように配置するか、または、回転方向係合部50の第3側面部73および第4側面部74を挟み込むように配置することにより、工具に対して回転方向係合部50を、回転方向に略相対移動不可に係合させることができる。また、この状態で工具を引っ張ることにより、工具の段部の少なくとも一部を、係合フランジ部51の軸方向の回転方向係合部50側の端面の少なくとも一部に軸方向に摩擦係合することができて、ロックピン3の回り止めを解除することができる。上記実施形態によれば、一人で回動させることが可能で作業工数を削減できるロックピン3を簡単な構造で構築できる。また、上記実施形態によれば、ロックピン3と、工具とからなると共に、ロックピン3を一人で回動できる連結開放構造を実現できる。
また、上記実施形態によれば、係合フランジ部51が、略小判型の形状を有する一方、回転方向係合部50が、四つの辺の長さが略同一の平行四辺形の断面形状を有しているから、係合フランジ部51の軸方向の回転方向係合部50側の端面に摩擦係合する領域を大きくできて、軸方向の係合をより確実に行うことができる。
また、上記実施形態によれば、ロックピン3の頭部31に係合突起33を連ねるだけで良いから、ロックピン3がカップリング2の外周面の径方向の外方側に飛び出ないようにすることができて、回転の振り径が大きくならないようにすることができる。
尚、上記実施形態では、ロックピン3に固定されたピン88の頭部をカップリング2の切欠部90に嵌合することにより、ロックピン3の回り止めを行った。しかしながら、この発明では、ロックピンの頭部のロックピン挿通部材側の面を、周方向に交互に凹凸が現れるように加工すると共に、その頭部の面に接触するロックピン挿通部材の面を、上記凹凸に係合する凹凸状に加工して、上記頭部の面の凹凸と、上記ロックピン挿通部材の面の凹凸とを嵌合うことによりロックピンの回り止めを行っても良い。また、上記実施形態では、ロックピン3の回り止めを、ロックピン3に凸部と、カップリング2の凹部とを係合することにより行ったが、この発明では、ロックピンに凹部を形成すると共に、カップリングに凸部を形成して、ロックピンの凹部とカップリングの凸部とを係合することにより、ロックピンの回り止めを行っても良い。このように、回り止め機構は、ロックピンが、ロックピン挿通部材に対して相対回転不可になる構造であれば、如何なる構造でも良い。
また、この発明では、カップリングの回り止め機構が存在しなくても良い。回り止め機構がなくても、摩擦力により、ロックピンが回りにくくすることができ、この場合に、ロックピンをカップリングから引き離すことで、その摩擦力が働かなくすることができるからである。
また、上記実施形態では、工具の本体部が、円柱形状をしていたが、この発明では、工具の本体部は、角柱形状等、如何なる形状であっても良い。
また、上記実施形態では、係合フランジ部51が、断面略陸上のトラックの形状を有すると共に、回転方向係合部50が、断面略レモンの形状(断面略平行四辺形の形状)を有していたが、この発明では、例えば、図9、すなわち、変形例のロックピン103の係合突起133を、軸方向の外方側から見たときの模式図に示すように、係合フランジ部151を、略矩形の断面形状にすると共に、回転方向係合部150を、正六角形において一対の二面幅のみを短くした六角形の断面形状とし、さらに、両断面形状の中心を一致させ、さらに、略矩形の断面形状の幅方向の長さd[cm]と、上記六角形の断面形状の長い方向の二面幅d[cm]とを略一致させるようにしても良い。
これに限らず、この発明では、係合フランジ部が、互いに略平行な第1側面部および第2側面部を有し、さらに、回転方向係合部が、上記係合フランジ部を軸側に軸方向に移動したときに上記係合フランジ部が通過する領域内に位置すると共に、上記第1側面部と上記第2側面部との距離に略一致する距離だけ離れて位置する互いに略平行な第1側面部および第2側面部を有し、さらに、上記回転方向係合部の軸方向に垂直な平面での切断面が、上記係合フランジ部の軸方向に垂直な平面での切断面よりも小さければ、係合突起は、如何なる形状を有していても良い。
また、本発明では、係合フランジ部および回転方向係合部は、必ずしも互いに略平行な側面部を有している必要がなく、係合突起は、頭部に連なると共に、回転方向に係合可能な回転方向係合部と、その回転方向係合部に連なると共に、軸方向に係合可能な係合フランジ部とを有していれば良い。そして、例えば、回転方向係合部における工具の穴との係合箇所は、互いに対向する略ハ字状の二つの側面部等であっても良い。
また、本発明の工具は、上記実施形態に限らず、ロックピンの係合フランジ部の軸方向の端面に略一致する断面を有して、係合フランジ部が通過可能な第1穴を有すると共に、第1穴の内周面にその内周面から径方向の外方側に延在する段部を介して連なる内周面を有して、上記第1穴の上記断面よりも大きな断面を有する第2穴を有し、上記第1穴の長さが、上記回転方向係合部の上記軸方向の厚さよりも短く設定されていれば良い。
また、本発明の連結開放構造は、ロックピンと、ロックピンを回動させるための工具とを備え、上記工具は、ロックピンの係合フランジ部の軸方向の端面に略一致する断面を有して、係合フランジ部が通過可能な第1穴を有すると共に、その第1穴の内周面にその内周面から径方向の外方側に延在する段部を介して連なる内周面を有して、上記第1穴の上記断面よりも大きな断面を有する第2穴を有し、さらに、上記第1穴の長さが、上記回転方向係合部の上記軸方向の厚さよりも短くなっており、上記第1穴の内面が、上記回転方向係合部の側面に回転方向に係合可能であり、上記段部のうちの少なくとも一部が、上記係合フランジ部の軸方向の回転方向係合部側の端面のうちの少なくとも一部に軸方向に係合可能であれば良い。
また、本発明のロックピンを、圧延機の圧延ロールを、駆動軸に連結されたカップリングに連結する連結構造以外の用途で使用できることは、勿論である。
3,103 ロックピン
31 頭部
32 軸
33,133 係合突起
35 切欠部
36 ねじ部
50,150 回転方向係合部
51,151 係合フランジ部
60 係合フランジ部の第1側面部
61 係合フランジ部の第2側面部
71 回転方向係合部の第1側面部
72 回転方向係合部の第2側面部
76 回転方向係合部の四つの角部のうちの一の角部
77 回転方向係合部の四つの角部のうちの他の一の角部
94 工具の第1穴
95 工具の第2穴

Claims (5)

  1. 頭部と、
    上記頭部に連なると共に、切欠部と、切欠部よりも先端側に位置するねじ部とを有する軸と、
    上記頭部の上記ねじ部側とは反対側に連なる係合突起と
    を備え、
    上記係合突起は、
    上記頭部に連なると共に、回転方向に係合可能な回転方向係合部と、
    上記回転方向係合部に連なると共に、軸方向に係合可能な係合フランジ部と
    を有することを特徴とするロックピン。
  2. 請求項1に記載のロックピンにおいて、
    上記係合フランジ部は、互いに略平行な第1側面部および第2側面部を有し、
    上記回転方向係合部は、上記係合フランジ部を上記軸側に上記軸方向に移動したときに上記係合フランジ部が通過する領域内に位置すると共に、上記第1側面部と上記第2側面部との距離に略一致する距離だけ離れて位置する互いに略平行な第1側面部および第2側面部を有し、
    上記回転方向係合部の上記軸方向に垂直な平面での切断面は、上記係合フランジ部の上記軸方向に垂直な平面での切断面よりも小さいことを特徴とするロックピン。
  3. 請求項2に記載のロックピンにおいて、
    上記係合フランジ部は、略小判状の形状を有する一方、上記回転方向係合部は、四つの辺の長さが略同一の平行四辺形の断面形状を有し、
    上記回転方向係合部の四つの角部のうちの一の角部の上記回転方向の位置は、上記係合フランジ部の上記第1側面部の中央の上記回転方向の位置に略一致し、上記四つの角部のうちの他の一の角部の上記回転方向の位置は、上記係合フランジ部の上記第2側面部の中央の上記回転方向の位置に略一致していることを特徴とするロックピン。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載のロックピンを回動させるためのロックピン回動工具であって、
    本体部と、
    上記本体部を上記回転方向に回転させるためのトルク付与部と
    を備え、
    上記本体部は、
    上記係合フランジ部の上記軸方向の端面に略一致する断面を有して、上記係合フランジ部が通過可能な第1穴と、
    上記第1穴の内周面にその内周面から径方向の外方側に延在する段部を介して連なる内周面を有して、上記第1穴の上記断面よりも大きな断面を有する第2穴と
    を有し、
    上記第1穴の長さは、上記回転方向係合部の上記軸方向の厚さよりも短いことを特徴とするロックピン回動工具。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載のロックピンと、
    上記ロックピンを回動させるためのロックピン回動工具と
    を備え、
    上記ロックピン回動工具は、
    本体部と、
    上記本体部を上記回転方向に回転させるためのトルク付与部と
    を備え、
    上記本体部は、
    上記係合フランジ部の上記軸方向の端面に略一致する断面を有して、上記係合フランジ部が通過可能な第1穴と、
    上記第1穴の内周面にその内周面から径方向の外方側に延在する段部を介して連なる内周面を有して、上記第1穴の上記断面よりも大きな断面を有する第2穴と
    を有し、
    上記第1穴の長さは、上記回転方向係合部の上記軸方向の厚さよりも短くなっており、
    上記第1穴の内面が、上記回転方向係合部の側面に上記回転方向に係合可能であり、
    上記段部のうちの少なくとも一部が、上記係合フランジ部の上記軸方向の回転方向係合部側の端面のうちの少なくとも一部に上記軸方向に係合可能であることを特徴とする連結開放構造。
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