JP2014060024A - 銅合金箔、リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、及び銅合金箔の製造方法 - Google Patents

銅合金箔、リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、及び銅合金箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池用負極の製造工程での熱処理を経た後であっても、バインダ樹脂との充分な結着性と充分な引張強さとを保つ。
【解決手段】 Crを0.20質量%以上0.40質量%以下含有し、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の元素を総量で0.01質量%以上0.40質量%以下含有し、残部がCuからなり、主表面に対する2θ/θ法を用いたX線回折測定から得られる{220}面の回折ピーク強度I{220}と{200}面の回折ピーク強度I{200}との比がI{220}/I{200}>2であり、全伸び法又はExtension−Under−Load−Methodで測定される1%耐力が引張強さの85%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、銅合金箔、係る銅合金箔を用いたリチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、及び銅合金箔の製造方法に関する。
電子機器の小型化、軽量化が進み、その電源としてエネルギー密度の高い二次電池が望まれている。二次電池とは、電解質を介した化学反応により正極活物質と負極活物質とが持つ化学エネルギーを電気エネルギーとして外部に取り出すものである。実用化されている中で、高いエネルギー密度を持つ二次電池としてはリチウムイオン二次電池が挙げられる。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、正極と負極とを絶縁するセパレータ、及び正極と負極との間でリチウムイオンの移動を可能にする電解液で構成される。リチウムイオンが正極活物質と負極活物質との間を出入り(インターカレーション、デインターカレーション)することで、充放電を繰り返す。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、炭素材料が主に用いられている。炭素材料が多層結晶構造を有することで、炭素材料の結晶間へのリチウムイオンの吸蔵および放出が可能となる。また、近年、リチウムイオン二次電池には、更なる大容量化が求められており、炭素材料の理論容量を大きく超える充放電容量を持つ次世代の負極活物質、すなわち、大容量負極活物質の開発がすすめられている。具体的には、シリコン(Si)やスズ(Sn)等、リチウム(Li)との合金化が可能な金属を含む材料に期待が寄せられている。
これらの負極活物質をバインダ成分と導電材と共に溶剤に分散させたスラリーを、負極集電体となる銅箔や銅合金箔上に塗布する。その後、溶剤を乾燥、除去して負極活物質層を形成し、ロールプレス機で圧縮成型してリチウムイオン二次電池用負極を製造するのが一般的である。SiやSn等の材料は、充放電時のリチウムイオンの吸蔵及び放出に伴う体積変化が大きい。このため、これらの材料を負極活物質に用いる場合、充放電サイクルによって膨張と収縮とが繰り返されることで、活物質粒子が微粉化したり、負極集電体となった銅合金箔等から剥離又は脱落してしまったりと、サイクル劣化が起こり易くなってしまう。
このため、例えば、特許文献1〜3では、負極活物質を銅合金箔に結着させる結着剤として、結着性の高いポリイミド等の熱可塑性のバインダ樹脂を使用することが提案されている。つまり、リチウムイオン二次電池用負極の製造において、バインダ樹脂の熱可塑性領域の温度以上で熱処理を行うことで、SiやSn等の活物質粒子の凹凸内へのバインダ樹脂の入り込みが大きくなって、銅合金箔との結着性を向上させることができる。結着性が高いほど、リチウムイオン二次電池用負極内の集電構造の破壊が抑制され、充放電サイクル特性が向上する。
特開2006−278123号公報 特開2006−278124号公報 国際公開第2007/114168号パンフレット
ここで、ポリイミドを用いる場合、イミド化が起こり始める150℃程度の低温では充分なイミド化に長時間を要し、生産性の低下が懸念される。そこで、ポリイミドが完全に分解してしまわない500℃以下の温度領域である350℃〜450℃で熱処理を行うことが好ましい。
しかしながら、このような高温での熱処理を行った場合、スラリーを塗布した銅合金箔に軟化が起こり、機械的強度(ここでは特に、引張強さ)が著しく低下してしまう。軟化が起こると、充放電による負極活物質の体積変化に伴って、負極集電体となった銅合金箔(負極集電銅合金箔)に塑性変形等が生じてしまい易い。よって、負極活物質層を構成するバインダ樹脂との結着性(密着性)が低下して充放電サイクル特性が低下してしまう。
熱処理による軟化後も充分な引張強さを保つため、熱処理前の銅合金箔に非常に高い引張強さを具備させようとしても、例えば合金成分を増加させねばならず、係る増加によって、負極集電銅合金箔となったときに導電率の低下が起こる。負極集電銅合金箔の導電率の低下は、リチウムイオン二次電池の内部抵抗を上昇させ、放電レート特性等を悪化させる要因となる。また、製造時の圧延工程が高コスト化し、負極集電銅合金箔の高価格化が懸念される。負極集電銅合金箔の高価格化は、リチウムイオン二次電池の価格高騰に直結し、リチウムイオン二次電池を用いた機器の一般普及の妨げになりかねない。
また、上述のようなバインダ樹脂と負極集電銅合金箔との結着性を低下させる要因は他にもある。ポリイミド等の熱可塑性のバインダ樹脂は絶縁性が高い。このため、リチウムイオン二次電池における電力の高出入力を確保するには、スラリー中のバインダ成分を低減することが好ましい。しかしながら、少ないバインダ成分量では、銅合金箔との結着性がいっそう得られ難くなってしまう。
本発明の目的は、大容量の負極活物質と高結着性のバインダ樹脂とを組み合わせたリチウムイオン二次電池用負極の製造工程での熱処理を経た後であっても、バインダ樹脂との充分な結着性と充分な引張強さとが保たれる銅合金箔、係る銅合金箔を用いたリチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、及び銅合金箔の製造方法を提供することである。
本発明の第1の態様によれば、
Crを0.20質量%以上0.40質量%以下含有し、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の元素を総量で0.01質量%以上0.40質量%以下含有し、残部がCuからなり、
主表面に対する2θ/θ法を用いたX線回折測定から得られる{220}面の回折ピーク強度I{220}と{200}面の回折ピーク強度I{200}との比がI{220}/I{200}>2であり、
全伸び法又はExtension−Under−Load−Methodで測定される1%耐力が引張強さの85%以上である
銅合金箔が提供される。
本発明の第2の態様によれば、
350℃以上450℃以下の温度で1時間以上15時間以下の熱処理を施した後に、
前記主表面に対する2θ/θ法を用いたX線回折測定から得られる{220}面の回折ピーク強度I{220}と{200}面の回折ピーク強度I{200}との比がI{220}/I{200}>2であり、
全伸び法又はExtension−Under−Load−Methodで測定される1%耐力が引張強さの85%以上である
第1の態様に記載の銅合金箔が提供される。
本発明の第3の態様によれば、
Crを0.20質量%以上0.40質量%以下含有し、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の元素を総量で0.01質量%以上0.40質量%以下含有し、残部がCuからなる銅合金素材に熱間圧延を施して板材を形成する熱間圧延処理と、
前記板材に冷間圧延を施して生地を形成する冷間圧延処理と、
前記生地を850℃以上950℃以下に保持して前記生地に溶体化処理を施す生地溶体化処理と、
前記溶体化処理を施された前記生地に加工度が90%以上の冷間圧延を施す最終冷間圧延処理と、を行うことで製造される
銅合金箔が提供される。
本発明の第4の態様によれば、
20μm以下の厚さを有する
第1〜第3の態様のいずれかに記載の銅合金箔が提供される。
本発明の第5の態様によれば、
第1〜第4の態様のいずれかに記載の銅合金箔が熱処理されてなるリチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔と、
前記リチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔の少なくとも片面に形成された負極活物質層と、
前記リチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔に接続されたタブリードと、を備える
リチウムイオン二次電池用負極が提供される。
本発明の第6の態様によれば、
第5の態様に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、
リチウムイオン二次電池用正極と、
前記リチウムイオン二次電池用負極及び前記リチウムイオン二次電池用正極の間に挿入されたセパレータと、
前記セパレータが間に挿入された前記リチウムイオン二次電池用負極及び前記リチウムイオン二次電池用正極が収容され、電解液が封入された容器と、を備える
リチウムイオン二次電池が提供される。
本発明の第7の態様によれば、
Crを0.20質量%以上0.40質量%以下含有し、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の元素を総量で0.01質量%以上0.40質量%以下含有する銅合金素材に熱間圧延を施して板材を形成する熱間圧延工程と、
前記板材に冷間圧延を施して生地を形成する冷間圧延工程と、
前記生地を850℃以上950℃以下に保持して前記生地に溶体化処理を施す生地溶体化工程と、
前記溶体化処理を施された前記生地に加工度が90%以上の冷間圧延を施す最終冷間圧延工程と、を有する
銅合金箔の製造方法が提供される。
本発明の第8の態様によれば、
前記最終冷間圧延工程では、
加工度が95%以上99%以下となる冷間圧延を前記生地に施し、前記生地の厚さを20μm以下とする
第7の態様に記載の銅合金箔の製造方法が提供される。
本発明の第9の態様によれば、
前記生地溶体化工程が終了した後、前記最終冷間圧延工程が終了するまでは、前記生地を350℃未満の温度に維持する
第7又は第8の態様に記載の銅合金箔の製造方法が提供される。
本発明によれば、大容量の負極活物質と高結着性のバインダ樹脂とを組み合わせたリチウムイオン二次電池用負極の製造工程での熱処理を経た後であっても、バインダ樹脂との充分な結着性と充分な引張強さとが保たれる銅合金箔、係る銅合金箔を用いたリチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、及び銅合金箔の製造方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る銅合金箔の主表面の模式図であり、(a)は{200}面における銅原子の配列の様子を示す図であり、(b)は{220}面における銅原子の配列の様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係る銅合金箔の製造工程を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る銅合金箔及びリチウムイオン二次電池用負極の平面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の斜視断面図である。 本発明の実施例における2θ/θ法を用いたX線回折の測定方法の概要を示す図である。
<本発明者等が得た知見>
上述のように、リチウムイオン二次電池用負極に用いる銅箔や銅合金箔では、充分な引張強さが得られていなかった。また、バインダ樹脂との結着性も不充分であった。
本発明者等は、リチウムイオン二次電池用負極の集電体として、例えば銅−クロム(Cu−Cr)系合金素材が圧延された銅合金箔等を用いることとした。このような銅合金箔においては、母相であるCu中にCrが析出した状態にあると、銅合金箔の引張強さおよび導電率を向上させる働きがある。Crは、例えば上述のようなリチウムイオン二次電池用負極の製造工程での熱処理により、母相のCu中に多く析出させることができる。
一方で、本発明者等は、母相のCu中にCrが固溶した状態にあると、銅合金箔の耐熱性を向上させ、例えば上述のような熱処理において、銅合金箔の軟化を抑制する働きがあることを見いだした。
つまり、本発明者等によれば、熱処理前の銅合金箔の状態では、母相中の固溶Cr量が高い状態に保たれていることが重要である。また、熱処理後には、このような固溶Crが多く析出し、銅合金が硬化して引張強さおよび導電率の高い状態となっていることが重要である。
さらに、本発明者等は、鋭意研究の結果、銅合金箔の主表面における結晶粒(結晶組織)の方位や配向状態が、銅合金箔とバインダ樹脂との結着性に相関があるとの知見を得た。
本発明は、発明者等が見いだしたこれらの知見に基づくものである。
なお、本明細書において、銅合金箔とは、原則、リチウムイオン二次電池用負極の製造工程における熱処理を施される前の状態のものを指す。また、リチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔とは、原則、リチウムイオン二次電池用負極の製造工程における熱処理を施された後の状態のものを指す。
<本発明の一実施形態>
(1)リチウムイオン二次電池の概略構成
まずは、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の概略構成について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る銅合金箔10及びリチウムイオン二次電池用負極1の平面図である。図4は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池50の斜視断面図である。
図4に示すように、リチウムイオン二次電池50は、図示しない電解液が封入された容器としての電池外挿缶5を備えている。電池外挿缶5には、タブリード13を備えたリチウムイオン二次電池用負極1(以下、単に「負極1」ともいう)と、タブリード23を備えたリチウムイオン二次電池用正極2(以下、単に「正極2」ともいう)とが、間にセパレータ3が挿入された状態で収容されている。
また、図3に示すように、負極1は、例えば銅合金箔10からなるリチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔11(以下、単に「負極集電銅合金箔11」ともいう)と、例えばその片面または両面に形成された負極活物質層12とを備える。上述のタブリード13は、負極集電銅合金箔11の露出領域11sに直接接続されている。リチウムイオン二次電池50及びリチウムイオン二次電池用負極1の詳細の構成については後述する。
(2)銅合金箔の構成
本発明の一実施形態に係る銅合金箔10は、例えば後述するように、少なくとも片面に負極活物質層12が形成される際に所定の熱処理が施され、リチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔11となるよう構成されている。以下に、本発明の一実施形態に係る銅合金箔10について説明する。
(銅合金箔の組成)
銅合金箔10は、例えばクロム(Cr)等の所定の合金元素を含有し、残部が銅(Cu)からなるCu−Cr系合金の素材が圧延された銅合金箔として、例えば20μm以下の厚さに形成されている。銅合金箔10は、係る所定の合金元素として、例えば、上述のCrを0.20質量%以上0.40質量%以下含有し、また、銀(Ag)、スズ(Sn)、インジウム(In)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)のうち1種類以上の元素を総量で0.01質量%以上0.40質量%以下含有する。これらの合金元素には、銅合金箔10や熱処理後の負極集電銅合金箔11の引張強さや耐熱性等を向上させる働きがある。
すなわち、上述のように、Crは母相中に固溶した状態になっていることで銅合金箔10の耐熱性を向上させ、熱処理による軟化を抑制する。また、固溶状態にあるCrは熱処理によって単体で母相中に析出し、引張強さや導電率を向上させる。上述のように、Crを0.20質量%以上とすることで、固溶Crをより多く確実に析出させることができる。また、Crを0.40質量%以下としているので、後述する溶体化処理時に、未固溶Crが粗粒第2相析出物を形成するのが抑制される。よって、固溶Crの析出に伴う銅合金箔10の引張強さの向上が阻害されたり、加工性が低下してしまったりすることを低減できる。
また、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の元素が銅合金箔10中に含有されることで、銅合金箔10の引張強さや耐熱性の維持および向上の機能が更に強化される。Crが母相中に析出すると銅合金箔10に析出硬化(析出強化)が起こる一方、母相中の固溶Crの量が低下するため、母相の再結晶による軟化が起こり易くなる。銅合金箔10中のAg,Sn,In,Ti,Zr等は、Crが析出した後の軟化を抑制し、銅合金箔10の引張強さや耐熱性を維持し、あるいは向上させる。
したがって、上述のように、これら元素の総量を例えば0.01質量%以上とすることで、引張強さおよび耐熱性を維持、向上させる充分な効果が得られる。
また、これら元素の総量の上限を例えば0.40質量%以下とすることで、以下の効果が得られる。すなわち、AgやInは高価な元素であるため、含有量を抑えることでコストの低減に繋がる。また、Sn,Ti,Zrには銅合金箔10の導電率を低下させてしまう作用もあるため、上述のように含有量を抑えれば、導電率の低下を抑制することができる。よって、銅合金箔10を用いたリチウムイオン二次電池50の内部抵抗を低く抑えて放電レート特性等の電池特性を向上させることができる。
なお、銅合金箔10には、引張強さや耐熱性を向上させる他の合金元素や、銅合金箔10の他の特性を制御する合金元素が更に添加されていてもよい。また、銅合金箔10には、この他にも、不可避的な不純物が含まれる場合がある。
(バインダ樹脂との結着性)
上述のように、大容量だが体積変化の大きいSiやSn等を用いた負極活物質層は、負極集電銅合金箔から剥離したり脱落したりし易い。これを抑制するため、例えば高い結着性が得られる熱可塑性のバインダ樹脂を結着剤として用いることが考えられる。このような熱可塑性のバインダ樹脂は、高い絶縁性を有している。よって、リチウムイオン二次電池負極内の導電率の低下を抑制するには、スラリー中のバインダ成分量を抑え、バインダ樹脂の量を低減するとよい。
しかしながら、このようにバインダ成分量の少ないスラリーを塗布して負極活物質層を形成すると、負極活物質層を構成するバインダ樹脂と負極集電銅合金箔との充分な結着性(密着性)が得られ難い。
本実施形態においては、銅合金箔10が以下の構成を備えることで、バインダ成分量が少ないスラリーを塗布して負極活物質層12を形成した場合でも、バインダ樹脂との高い結着性が得られる。
すなわち、銅合金箔10は、熱処理前の状態において、銅合金箔10の主表面としての圧延面に対する2θ/θ法を用いたX線回折測定から得られる{220}面の回折ピーク強度I{220}と{200}面の回折ピーク強度I{200}との比がI{220}/I{200}>2となるよう構成されている。
また、銅合金箔10は、熱処理を施され、負極集電銅合金箔11となった状態においても、各ピーク強度がI{220}/I{200}>2の関係を保つよう構成されている。なお、2θ/θ法を用いたX線回折測定方法の詳細については後述する。
銅合金箔10が上述のような結晶面を有することで、バインダ樹脂との結着性が向上するのは、以下の理由によると考えられる。
つまり、銅合金箔10の圧延面において、各ピーク強度がI{220}/I{200}>2となっていることにより、所定の原子間距離を有する銅(Cu)原子の配列と、バインダ樹脂が有する周期的な分子構造とが、互いに安定な状態にあると推察される。
これについて、図1を用いて詳述する。図1は銅合金10の圧延面の模式図であり、(a)は{200}面における銅原子の配列の様子を示す図であり、(b)は{220}面における銅原子の配列の様子を示す図である。
図1に示すように、銅合金箔10の圧延面のCuの結晶粒の方位や配向状態により、銅合金箔10の圧延面にみられる銅原子の配列状態が異なって、原子間距離が変化する。すなわち、図1(a)に示すように、{200}面においては、所定の方向とそれに垂直な方向との両方向について、銅原子同士が最も近接した間隔となる距離、つまり、最近接間距離で配列される。一方、図1(b)に示すように、{220}面においては、最近接間距離となる所定方向に対し、それと垂直な方向については最近接間となる距離より離れた距離、つまり、次近接間距離で銅原子同士が配列される。
銅合金箔10の圧延面においては、バインダ樹脂を構成する原子や分子と、銅合金箔10を構成する銅原子との間に働く原子間力や分子間力、およびバインダ樹脂を構成する分子間に働く分子間力などによって、銅合金箔10の圧延面上におけるバインダ樹脂の安定状態が決定される。銅合金箔10の圧延面にスラリーが塗布されると、スラリー中のバインダ成分は、このような安定状態で、銅合金箔10上にて固化すると考えられる。
上述のI{220}/I{200}>2の状態、つまり、{220}面が優位な状態では、これに応じた原子間距離となっている銅原子の配列と、バインダ樹脂の有する所定周期の分子構造との適合性が良好であると考えられる。このため、上述のような安定状態が得られ易く、銅合金箔10と負極活物質層12に含有されるバインダ樹脂との結着性が向上すると推察される。
(銅合金箔の引張強さ)
一方で、上述のようにバインダ樹脂との結着性を向上させることで、SiやSn等の負極活物質の膨張・収縮による負極集電銅合金箔の塑性変形が、いっそう起こり易くなるおそれがある。塑性変形した負極集電銅合金箔は、永久伸びが生じた状態となり、負極活物質の膨張・収縮に追従できなくなってしまう。よって、負極活物質層の剥離や脱落が生じてサイクル特性が劣化したり、リチウムイオン二次電池の全体が変形(膨張)してしまったりすることがある。
本実施形態では、銅合金箔10が以下のように規定される充分な機械的強度を備えることで、バインダ樹脂との結着性を高めた状態においても、塑性変形が抑制される。
すなわち、銅合金箔10は、熱処理前の状態において、全伸び法又はExtension−Under−Load−Methodで測定される1%耐力が引張強さの85%以上である。
また、銅合金箔10は、熱処理を施され、負極集電銅合金箔11となった状態においても、上述の1%耐力が引張強さの85%以上に保たれるよう構成されている。
ここで、1%耐力は、例えばJIS Z2241に規定の「全伸び法」により求めたものを用いることができる。或いは、ASTMインターナショナル(旧・米国材料試験協会:American Society for Testing and Materials) E345(Standard Test Methods of Tension Testing of Metallic Foil)に規定の「Extension−Under−Load−Method」により求めたものを用いることができる。
銅合金箔10の機械的強度をこのように規定することで、以下に説明するように、バインダ樹脂との高い結着性を有する銅合金箔10の塑性変形を抑制することができる。
すなわち、銅合金箔10は、後述する銅合金箔10の製造工程における溶体化処理等のいわゆる焼鈍を施されていることで、圧延等により生じた加工硬化が緩和され、引張強さに対する1%耐力は低下する傾向にある。銅合金箔10は、例えばリチウムイオン二次電池50の負極集電銅合金箔11として好適な引張強さである400N/mmを備えている。これに対し、加工硬化が完全に取り除かれ、かつ加工組織が再結晶し軟化するよう銅合金箔10をフルアニール(完全焼鈍)すると、銅合金箔10の1%耐力は例えば80N/mm程度になる。
このように、1%耐力が引張強さに対してどれくらいの値となっているかにより、熱処理における銅合金箔10の軟化具合(どの程度軟化したか)を見積もることができる。銅合金箔10は、熱処理前には、後述する所定の処理を経て加工硬化した状態にある。このような銅合金箔10の状態は、例えば上述のように1%耐力が引張強さの85%以上となっていることで規定される。
同様に、熱処理後の負極集電銅合金箔11においても、加工硬化が緩和され、少なくとも一部が再結晶し、或いは軟化した状態となって、引張強さに対する1%耐力が低下する。よって、引張強さに対する1%耐力の値により、負極集電銅合金箔11に対する熱処理の影響を見積もることができる。
本実施形態においては、上述の規定に従う構成とすることにより、負極集電銅合金箔11となった後にも、加工硬化の緩和、再結晶、あるいは軟化が抑制された状態にあり、塑性変形が起こり難い状態を保っているといえる。
なお、1%耐力を規定値として用いたのは、以下の理由による。
降伏点を明確に示さない銅箔や銅合金箔では、みかけの降伏応力として0.2%耐力を用いることが多い。0.2%耐力は、単位ひずみあたりの応力に係るヤング率を用いて求められる。しかし、銅合金箔では、例えば引張試験にて、荷重計(ロードセル)の移動距離を用いてひずみを算出しており、ひずみやこれにより算出されるヤング率の測定精度が低い。よって、本実施形態では、測定精度において優れる全伸び法又はExtension−Under−Load−Methodで測定される1%耐力を用いることとした。
(3)銅合金箔の製造方法
次に、図2を参照しながら、銅合金箔10の製造方法について説明する。図2は、本実施形態に係る銅合金箔10の製造工程を示すフロー図である。
(銅合金素材準備工程S10)
図2に示すように、まずは、原材料となる銅合金素材としてのインゴット(鋳塊)を用意する。係るインゴットは、Crが0.20質量%以上0.40質量%以下含有され、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の元素が総量で0.01質量%以上0.40質量%以下含有されるよう、Crに、Ag,Sn,In,Ti,Zrを適宜加え、Cuと溶解して鋳造されたものである。母材となるCuには、例えば無酸素銅(OFC:Oxygen-Free Copper)やタフピッチ銅等を用いることができる。
(熱間圧延工程S20)
次に、係るインゴットに対し、熱間圧延を施して板材を形成する。なお、熱間圧延工程S20に先んじて、鋳造組織中に生じている偏析を均質化する加熱処理を行っておくことが望ましい。具体的には、平衡状態で均質な固溶状態となる温度以上の温度域に30分以上、インゴットを保持する。加熱温度は、例えば800℃以上950℃以下が好ましい。
(繰り返し工程S30)
続いて、熱間圧延を施された板材に対し、冷間圧延工程S31と生地溶体化工程S32とを複数回繰り返す繰返し工程S30を行う。
冷間圧延工程S31は、例えば50%以上の加工度で行う。ここで、加工度は、熱間圧延工程S20前の加工対象物(銅の板材)の厚さをTとし、熱間圧延工程S20後の加工対象物の厚さをTとすると、加工度(%)=[(T−T)/T]×100で表わされる。
生地溶体化工程S32では、溶体化処理を所定温度で施すことで、生地中に固溶Cr量を充分に確保させる。一方で、上述のように、Crの含有量を0.40質量%以下としているので、未固溶Crによる粗粒第2相析出物の形成が抑制され、高い引張強さと加工性を維持することができる。
溶体化処理における最適温度は合金組成によって多少変動するが、例えば850℃以上950℃以下とする。係る温度で溶体化処理を施すことで、リチウムイオン二次電池用負極1の製造工程での熱処理により、析出Crが充分に生成して析出硬化が起こり、高い引張強さと導電率とを備えた負極集電銅合金箔11が得られる。
また、溶体化処理を上述のような温度で行うことで、溶体化処理による固溶硬化(Crが固溶することによる硬化)が得られ、1%耐力が引張強さの85%以上となった銅合金箔10が得られる。また、負極1の製造工程における熱処理後の負極集電銅合金箔11においても、1%耐力が引張強さの85%以上の状態を維持することができる。
(最終冷間圧延工程S40)
次に、繰返し工程S30を経て溶体化処理を施された生地に、最終冷間圧延工程S40を施して、所定の厚さ、例えば20μm以下の圧延銅合金箔とする。このとき、加工度を90%以上とすることが好ましく、95%以上99%以下とすることがより好ましい。これにより、最終冷間圧延工程S40後において、圧延面に{220}面が優先的に配向し、I{220}/I{200}>2となった生地が得られる。また、溶体化処理後の導電率も概ね維持される。
なお、上述の生地溶体化工程S32が終了した後、少なくとも最終冷間圧延工程S40が終了するまでは、生地を350℃未満の温度に維持しておく。これにより、最終冷間圧延により生地を加工硬化させ、その状態を銅合金箔10においても維持することができる。また、上述のような所定の熱処理後も、I{220}/I{200}>2を満たす状態が維持される。
以上の工程を経た生地に、例えば粗化処理および防錆処理等の所定の表面処理を施してもよい。
以上により、銅合金箔10が製造される。
(4)リチウムイオン二次電池用負極の製造方法
次に、図3に示す構成を備えるリチウムイオン二次電池用負極1の製造方法について説明する。
(スラリー塗布工程)
まずは、銅合金箔10にスラリーを塗布する方法について説明する。係る工程は、例えばコイル・ツー・コイル方式の連続ラインにより、銅合金箔10にスラリーを塗布するアプリケータ等の装置を用いて行う。
具体的には、例えば負極活物質、バインダ溶液、及び必要に応じて導電助剤を混練したスラリーを、銅合金箔10の片面または両面に塗布し、例えば70℃〜130℃で数分間〜数十分間、乾燥する。
スラリーに含まれる負極活物質としては、例えばSiやSn等の合金、或いは化合物等の粉末を用いることができる。個々の粉末の直径は、例えば数μm〜数十μmである。また、バインダ溶液としては、ポリイミド(PI)等のイミド系樹脂やその他の樹脂の前駆体等のバインダ成分の溶液を用いることができる。
(熱処理工程)
次に、例えば赤外線加熱炉等を用い、スラリーが塗布された銅合金箔10に対し、バインダ成分の熱可塑性領域の温度以上となる高温かつ長時間の熱処理を施す。具体的には、350℃以上450℃以下での熱処理を1時間以上15時間以下施す。これにより、例えばイミド系樹脂等の前駆体からなるバインダ成分は、負極活物質粒子の凹凸内へと入り込みつつイミド化反応が進行して固化する。
また、上述の熱処理によって、銅合金箔10中の固溶Crは単体でCuの母相中に析出し、析出Crとなる。このように、充分な析出Cr量が得られることで析出硬化が起こる。よって、高温、長時間での熱処理による軟化を抑制しつつ、充分な引張強さを備える負極集電銅合金箔11となる。
一方で、上述のような350℃以上450℃以下で1時間以上15時間以下といった高温、長時間の熱処理を施すと、圧延面に配向していた{220}面が{200}面へと変化し、銅合金箔の再結晶が起こってしまい易い。
しかしながら、本実施形態では、上述のように、生地溶体化工程S32の終了後、最終冷間圧延工程S40の終了まで、生地を350℃未満の温度に維持している。これにより、各合金元素によって耐熱性が維持された状態で上述の熱処理が施されるため、{200}面への配向が起こり難く、熱処理後においても、I{220}/I{200}>2を満たす状態が維持される。これにより、負極集電銅合金箔11の片面または両面に、負極活物質及びイミド化されたバインダ樹脂を含む負極活物質層12が、高い結着性をもって形成される。
(圧縮成型工程)
続いて、負極集電銅合金箔11の片面または両面に形成された負極活物質層12を圧縮成型する。係る工程では、例えばコイル・ツー・コイル方式のロールプレス機等を用い、負極活物質層12を略均一の厚みに均して成型する。
(タブリード接続工程)
次に、図3を参照しながら、負極集電銅合金箔11にタブリード13を接続する方法について説明する。
図3に示すように、片面または両面に負極活物質層12が形成され、例えば圧延方向に沿って短冊状に切り離された負極集電銅合金箔11は、少なくとも片面或いは両面の一端に、負極活物質層12が形成されていない露出領域11sを有する。リチウムイオン二次電池50が備える電池外挿缶5と電気的接続を取るため、この負極集電銅合金箔11の露出領域11sに例えば溶接によりタブリード13を接続する。
すなわち、負極集電銅合金箔11の露出領域11sと、例えばNi又はNiめっき銅等からなるタブリード13とを重ね合わせ、例えば超音波溶接機にて、所定の加圧力、負荷エネルギーを加えつつ、所定の負荷時間で溶接処理を行う。これにより、負極集電銅合金箔11とタブリード13とが接続される。
以上により、銅合金箔10が熱処理されてなるリチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔11と、負極集電銅合金箔11の片面または両面に形成された負極活物質層12と、負極集電銅合金箔11に接続されたタブリード13と、を備えるリチウムイオン二次電池用負極1が製造される。
(5)リチウムイオン二次電池の製造方法
次に、図4を参照しながら、リチウムイオン二次電池50の製造方法について説明する。ここでは、図4に示す円筒型のリチウムイオン二次電池50を例にとって説明するが、リチウムイオン二次電池は、角型、ラミネート型等、他の形態を有していてもよい。
まず、リチウムイオン二次電池用負極1とリチウムイオン二次電池用正極2とをセパレータ3を介して重ね合わせ、図示しない巻芯に巻き取った捲回体4を製作する。正極2は、リチウムイオン二次電池用正極集電金属箔と、正極集電金属箔の例えば片面または両面に形成された正極活物質層と(いずれも図示せず)、正極集電金属箔に接続されたタブリード23と、を備える。正極集電金属箔を構成する金属は、例えばアルミニウム(Al)やその他の金属等である。正極活物質層は、例えばLiを含む金属複合酸化物等からなる。セパレータ3は、例えば多孔質の樹脂等からなる。
次に、容器としての電池外挿缶5に、図示しない下部絶縁板と、捲回体4とをこの順に収容する。続いて、図示しないマンドレル(芯金)を捲回体4の中心に挿入し、上部絶縁板を電池外挿缶5に収容した後に、電池外挿缶5に溝6を形成(溝入れ)する。この後、乾燥を行って電池外挿缶5内の水分を飛ばす。電池外挿缶5内が充分に乾燥したら、図示しない電解液を注入する。次に、電池外挿缶5の溝6近傍にガスケット7を装着し、負極1のタブリード13を電池外挿缶5に、正極2のタブリード23をキャップ8の備える端子8tにそれぞれ溶接し、キャップ8を電池外挿缶5にクリンプ(圧着)して電解液を封入する。
以上により、セパレータ3が間に挿入されたリチウムイオン二次電池用負極1及びリチウムイオン二次電池用正極2が収容され、電解液が封入された電池外挿缶5を備えるリチウムイオン二次電池50が製造される。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
本発明の実施例に係る銅合金箔の種々の評価結果について以下に説明する。
(1)銅合金箔の製作
まずは、以下に述べる手順に従い、実施例1〜15、比較例1〜6および参考例1に係る銅合金箔を製作した。
評価に用いる銅合金箔として、無酸素銅を母材とし、Crと、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の合金元素を適宜含有させた厚さが10μmの銅合金箔を、上述の実施形態と同様の手順及び手法により製作し、実施例1〜15、比較例1〜6および参考例1とした。ただし、最終冷間圧延工程での加工度は90%〜95%の範囲とし、その他、比較例1〜6のいずれにも、上述の構成と外れる条件が含まれることとした。
実施例1〜15、比較例1〜6および参考例1に係る銅合金箔に対し、リチウムイオン二次電池用負極の製造工程での熱処理工程を模して熱処理を施した。このとき、所定温度に対し、ばらつきが±1℃以内に収まるよう温度を制御した。係る制御は、K熱電対(クロメル−アルメル熱電対)の有する接合点のうち測温接点を銅合金箔に当てて、銅合金箔の実際の温度を測定しながら行った。熱処理後、銅合金箔から、圧延方向に幅15mm、長さ200mmの試料片を切り出した。
上述の負極の製造工程を模した熱処理前後の各試料片に対し、2θ/θ法によるX線回折測定を行った。すなわち、図5に示すように、各銅合金箔の試料片30を、走査軸であるθ軸回りに回転可能に配置する。このような状態で、入射X線に対して試料片30と検出器とをθ軸で走査(θ軸周りに回転)する。このとき、試料片30の走査角を角度θとし、検出器の走査角を角度2θとする。これにより、上述の通り、角度θで入射X線が入射され、角度2θで回折された回折X線が検出される。以上により、{220}面および{200}面の回折ピークを測定し、その強度比(I{220}/I{200})を求めた。
また、上述の負極の製造工程を模した熱処理前後に、各試料片の引張強さを評価した。具体的には、ASTMインターナショナル E345に準拠した引張試験を行って、圧延方向と平行に引張強さを測定した。
また、上述の負極の製造工程を模した熱処理前後の各試料片の1%耐力を評価した。1%耐力は、JIS Z2241の規定に準拠した「全伸び法」により測定した。なお、このとき、ASTMインターナショナル E345に規定の「Extension−Under−Load−Method」により測定した1%耐力も、同等の結果となった。
また、実施例1〜15、比較例1〜6および参考例1に係る熱処理前の銅合金箔に、バインダ樹脂に見立てたポリイミドの層を形成した。すなわち、ポリイミドの前駆体をバインダ成分として含む溶液を各銅合金箔に塗布し、熱処理条件を種々に変更してポリイミドを乾燥固化させた。
このように製作したポリイミド付き銅合金箔それぞれに対し、JIS K5600−5−6に規定の「クロスカット法」を実施してポリイミド層と銅合金箔との密着性(結着性)を調べた。具体的には、ポリイミド付き銅合金箔を1mm間隔でカットして25個の1mm角の碁盤目状とした。この上にセロハン粘着テープを付着させたのち引き剥がし、ポリイミド層の剥離がみられた碁盤目の個数を数えた。係る試験を各銅合金箔に対して20回行った。
(2)銅合金箔の評価結果
各試料片の各種測定結果を以下の表1に示す。表中、クロスカット法による試験結果は、各銅合金箔に対して行った20回の試験のうち、ポリイミド層の剥離数の合計がゼロのものを○、10個未満のものを△、10個以上のものを×、として示した。また、所定値から外れる構成要件や特性値は、下線付きの太字で示した。
表1に示すように、実施例1〜15においては、合金元素の含有量や、熱処理条件等は所定値内となっている。よって、熱処理前後とも、各回折ピークの強度比や、1%耐力の引張強さに対する比も所定値内となった。また、熱処理後のクロスカット法による試験結果も良好であった。
このように、上述の各種条件を全て満していれば、熱処理後であっても、良好な機械的強度や結着性が得られることがわかった。
一方で、比較例1〜5においては、1つ又は複数の構成要件が所定値から外れている。よって、熱処理前後とも、諸特性値が所定値から外れる結果となった。また、熱処理条件が所定値から外れる比較例6においても、諸特性値が所定値から外れる結果となった。
なお、表中に示す参考例1によれば、Cr以外の合金元素の含有については、必ずしも必須の要件ではないことがわかった。つまり、Cr以外の合金元素が含まれない比較例5において、機械的強度や結着性の悪化が認められた一方で、同じくCr以外の合金元素を含まない参考例1では、すべての特性値が所定値内となった。参考例1では、Crの含有量が高い(上限値である)ことが有利に働いたものと考えられる。
1 リチウムイオン二次電池用負極
2 リチウムイオン二次電池用正極
3 セパレータ
4 捲回体
5 電池外挿缶(容器)
6 溝
7 ガスケット
8 キャップ
8t 端子
10 銅合金箔
11 リチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔
12 負極活物質層
13,23 タブリード
30 試料片
50 リチウムイオン二次電池

Claims (9)

  1. Crを0.20質量%以上0.40質量%以下含有し、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の元素を総量で0.01質量%以上0.40質量%以下含有し、残部がCuからなり、
    主表面に対する2θ/θ法を用いたX線回折測定から得られる{220}面の回折ピーク強度I{220}と{200}面の回折ピーク強度I{200}との比がI{220}/I{200}>2であり、
    全伸び法又はExtension−Under−Load−Methodで測定される1%耐力が引張強さの85%以上である
    ことを特徴とする銅合金箔。
  2. 350℃以上450℃以下の温度で1時間以上15時間以下の熱処理を施した後に、
    前記主表面に対する2θ/θ法を用いたX線回折測定から得られる{220}面の回折ピーク強度I{220}と{200}面の回折ピーク強度I{200}との比がI{220}/I{200}>2であり、
    全伸び法又はExtension−Under−Load−Methodで測定される1%耐力が引張強さの85%以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の銅合金箔。
  3. Crを0.20質量%以上0.40質量%以下含有し、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の元素を総量で0.01質量%以上0.40質量%以下含有し、残部がCuからなる銅合金素材に熱間圧延を施して板材を形成する熱間圧延処理と、
    前記板材に冷間圧延を施して生地を形成する冷間圧延処理と、
    前記生地を850℃以上950℃以下に保持して前記生地に溶体化処理を施す生地溶体化処理と、
    前記溶体化処理を施された前記生地に加工度が90%以上の冷間圧延を施す最終冷間圧延処理と、を行うことで製造される
    ことを特徴とする銅合金箔。
  4. 20μm以下の厚さを有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銅合金箔。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の銅合金箔が熱処理されてなるリチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔と、
    前記リチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔の少なくとも片面に形成された負極活物質層と、
    前記リチウムイオン二次電池用負極集電銅合金箔に接続されたタブリードと、を備える
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
  6. 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、
    リチウムイオン二次電池用正極と、
    前記リチウムイオン二次電池用負極及び前記リチウムイオン二次電池用正極の間に挿入されたセパレータと、
    前記セパレータが間に挿入された前記リチウムイオン二次電池用負極及び前記リチウムイオン二次電池用正極が収容され、電解液が封入された容器と、を備える
    ことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  7. Crを0.20質量%以上0.40質量%以下含有し、Ag,Sn,In,Ti,Zrのうち1種類以上の元素を総量で0.01質量%以上0.40質量%以下含有し、残部がCuからなる銅合金素材に熱間圧延を施して板材を形成する熱間圧延工程と、
    前記板材に冷間圧延を施して生地を形成する冷間圧延工程と、
    前記生地を850℃以上950℃以下に保持して前記生地に溶体化処理を施す生地溶体化工程と、
    前記溶体化処理を施された前記生地に加工度が90%以上の冷間圧延を施す最終冷間圧延工程と、を有する
    ことを特徴とする銅合金箔の製造方法。
  8. 前記最終冷間圧延工程では、
    加工度が95%以上99%以下となる冷間圧延を前記生地に施し、前記生地の厚さを20μm以下とする
    ことを特徴とする請求項7に記載の銅合金箔の製造方法。
  9. 前記生地溶体化工程が終了した後、前記最終冷間圧延工程が終了するまでは、前記生地を350℃未満の温度に維持する
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の銅合金箔の製造方法。
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