JP2014058874A - ラッシュアジャスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ボディの内周面とプランジャの外周面との間を通じたオイルの漏出を抑制する一方、高圧室内に混入した空気を外部に好適に排出することができる。
【解決手段】プランジャ20の外周面には撥油性を有する第1皮膜61と第1皮膜61よりも上側に位置するとともに撥油性を有する第2皮膜62とがプランジャ20の軸線方向Cにおいて互いに離間して設けられている。また、ボディ10の内周面には撥油性を有する第3皮膜63が設けられている。そして、第3皮膜63と第1皮膜61とが対向するとともに第3皮膜63の上端が第2皮膜62の下端よりも下側に位置する一方、ボディ10内にプランジャ20が沈み込んだときには第3皮膜63と第2皮膜62とが対向するとともに第3皮膜63の下端が第1皮膜61の上端よりも上側に位置するように第1皮膜61、第2皮膜62、及び第3皮膜63が設けられている。
【選択図】図3
【解決手段】プランジャ20の外周面には撥油性を有する第1皮膜61と第1皮膜61よりも上側に位置するとともに撥油性を有する第2皮膜62とがプランジャ20の軸線方向Cにおいて互いに離間して設けられている。また、ボディ10の内周面には撥油性を有する第3皮膜63が設けられている。そして、第3皮膜63と第1皮膜61とが対向するとともに第3皮膜63の上端が第2皮膜62の下端よりも下側に位置する一方、ボディ10内にプランジャ20が沈み込んだときには第3皮膜63と第2皮膜62とが対向するとともに第3皮膜63の下端が第1皮膜61の上端よりも上側に位置するように第1皮膜61、第2皮膜62、及び第3皮膜63が設けられている。
【選択図】図3
Description
本発明は、内燃機関に設けられる油圧式のラッシュアジャスタに関する。
例えば特許文献1に記載のラッシュアジャスタが周知である。ラッシュアジャスタは、シリンダヘッドに取り付けられた筒状のボディと、ボディの軸線方向に沿って同ボディ内をスライド可能な筒状のプランジャとを備えている。プランジャには隔壁が設けられており、この隔壁によってプランジャ内が低圧室に区画され、プランジャとボディとの間が高圧室に区画されている。隔壁に設けられた逆止弁を介してプランジャ内からのオイルが高圧室に供給可能とされている。ラッシュアジャスタは高圧室内の油圧によってロッカアームからプランジャに作用する荷重に抗することによってロッカアームの支点として機能する。
ここで、高圧室内からボディの内周面とプランジャの外周面との間を通じて漏出するオイル量を低減するために、ボディの内周面とプランジャの外周面とのクリアランスが小さく設定されている。
ところで、例えば機関高回転時において機関の各部においてオイルが泡立ち、そうしたオイルがラッシュアジャスタ内に導入され、高圧室内に空気を多く含むオイルが混入すると、ロッカアームからプランジャに作用する荷重に対して高圧室内の油圧が抗することができず、プランジャがボディ内に沈み込んでしまう。その結果、ラッシュアジャスタがロッカアームの支点として機能することができず、機関バルブの開閉動作が不安定となる。
ここで、高圧室と低圧室との間には逆止弁が設けられているために高圧室内に混入した空気を低圧室に戻すことができない。
また前述したように、ボディの内周面とプランジャの外周面とのクリアランスはオイルの漏出を抑制するために小さく設定されているため、これらの間を通じて高圧室内の気泡を外部に排出することは困難である。
また前述したように、ボディの内周面とプランジャの外周面とのクリアランスはオイルの漏出を抑制するために小さく設定されているため、これらの間を通じて高圧室内の気泡を外部に排出することは困難である。
そのため、従来のラッシュアジャスタにおいては、プランジャ内に導入されたオイルに含まれる気泡が高圧室内に混入しないように、プランジャの軸線方向における長さをある程度長く設定しなければならない。従って、ラッシュアジャスタの体格を小さくすることには自ずと限界がある。
本発明の目的は、ボディの内周面とプランジャの外周面との間を通じたオイルの漏出を抑制する一方、高圧室内に混入した空気を外部に好適に排出することのできるラッシュアジャスタを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に従うラッシュアジャスタは、内燃機関に設けられる油圧式のものであり、筒状のボディと、ボディ内に収容されるとともにその軸線方向に沿ってスライド可能な筒状のプランジャと、を備え、プランジャに設けられた隔壁によりボディとの間に区画されるとともにプランジャ内のオイルが逆止弁を介して供給可能とされる高圧室を有し、高圧室内の油圧によってプランジャに作用する荷重に抗する。また、ボディの軸線方向においてボディからプランジャが進出する方向を上方とし、ボディ内にプランジャが沈み込む方向を下方と定義するとき、プランジャの外周面には撥油性を有する第1皮膜と第1皮膜よりも上側に位置するとともに撥油性を有する第2皮膜とがプランジャの軸線方向において互いに離間して設けられ、ボディの内周面には撥油性を有する第3皮膜が設けられ、第3皮膜と第1皮膜とが対向するとともに第3皮膜の上端が第2皮膜の下端よりも下側に位置する一方、ボディ内にプランジャが沈み込んだときには第3皮膜と第2皮膜とが対向するとともに第3皮膜の下端が第1皮膜の上端よりも上側に位置するように第1皮膜、第2皮膜、及び第3皮膜が設けられている。
同構成によれば、通常時においてはボディの内周面に設けられた撥油性を有する第3皮膜とプランジャの外周面に設けられた撥油性を有する第1皮膜とが対向する。このため、これら互いに対向する撥油性の皮膜によってオイルがはじかれることによりこれら皮膜間におけるオイルの流通抵抗が増大する。これにより、高圧室内からボディの内周面とプランジャの外周面との間を通じてボディの外部にオイルが漏出することが好適に抑制される。
一方、例えば機関高回転時において機関の各部においてオイルが頻繁に撹拌されることでオイルが泡立ち、そうしたオイルがラッシュアジャスタ内に導入され、高圧室内に空気を多く含むオイルが混入すると、高圧室内の圧力が低くなり、プランジャに作用する荷重が相対的に大きくなることによってプランジャがボディ内に沈み込む。このとき、上記構成によれば、ボディの内周面に設けられた第3皮膜とプランジャの外周面に設けられた第2皮膜とが対向するとともに第3皮膜の下端が第1皮膜の上端よりも上側に位置する。このため、高圧室内からボディの内周面とプランジャの外周面との間を通じて移動してきた気泡の一部が第1皮膜と第2皮膜との間に捕集される。その後、プランジャに作用していた荷重が低減してプランジャが上昇すると、第2皮膜の下端が第3皮膜の上端よりも上側に位置する。これにより、第1皮膜と第2皮膜との間に捕集されていた気泡がボディの内周面とプランジャの外周面との間を通じて外部に排出される。
従って、ボディの内周面とプランジャの外周面との間を通じたオイルの漏出を抑制する一方、高圧室内に混入した空気を外部に好適に排出することができる。
この場合、第1皮膜、第2皮膜、及び第3皮膜はプランジャ或いはボディの周方向全体にわたって設けられている、といった態様が好ましい。
この場合、第1皮膜、第2皮膜、及び第3皮膜はプランジャ或いはボディの周方向全体にわたって設けられている、といった態様が好ましい。
同態様によれば、第3皮膜と第1皮膜との協働によるオイルの漏出抑制や第3皮膜と第2皮膜との協働によるオイルの漏出抑制が周方向全体にわたって行なわれる。また、第1皮膜と第2皮膜との間による気泡の捕集が周方向全体にわたって行なわれる。従って、オイルの漏出抑制及び空気の排出促進の双方を好適に図ることができる。
また、第3皮膜と第1皮膜とがボディの軸線方向全体にわたって対向する一方、ボディ内にプランジャが沈み込んだときには第3皮膜と第2皮膜とがボディの軸線方向全体にわたって対向するように、第1皮膜、第2皮膜、及び第3皮膜のボディの軸線方向における幅が互いに同一とされている、といった態様が好ましい。
同態様によれば、第3皮膜と第1皮膜との協働によるオイルの漏出抑制がこれら皮膜の軸線方向全体にわたって行なわれる。また、第3皮膜と第2皮膜との協働によるオイルの漏出抑制がこれら皮膜の軸線方向全体にわたって行なわれる。従って、各皮膜の幅を無駄なく的確に設定することができる。
また、プランジャの周壁には高圧室内とボディの内周面とプランジャの外周面との間とを連通する連通孔が形成されている、といった態様が好ましい。
同構成によれば、高圧室内に混入した気泡が連通孔を通じてボディの内周面とプランジャの外周面との間に排出される。従って、高圧室内に混入した気泡を外部に好適に排出することができる。
同構成によれば、高圧室内に混入した気泡が連通孔を通じてボディの内周面とプランジャの外周面との間に排出される。従って、高圧室内に混入した気泡を外部に好適に排出することができる。
この場合、前記連通孔はプランジャの径方向外側ほど上側に位置するように傾斜している、といった態様が好ましい。
以下、図1〜図6を参照して、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関80の機関バルブ91にはリテーナ92が取り付けられており、このリテーナ92とシリンダヘッド81との間にはバルブスプリング93が設けられている。このバルブスプリング93によって機関バルブ91は閉弁方向に常時付勢されている。
図1に示すように、内燃機関80の機関バルブ91にはリテーナ92が取り付けられており、このリテーナ92とシリンダヘッド81との間にはバルブスプリング93が設けられている。このバルブスプリング93によって機関バルブ91は閉弁方向に常時付勢されている。
動弁機構は、機関バルブ91を開閉駆動するピボット式の機構であり、内燃機関80のクランクシャフト(図示略)の回転が伝達されるカムシャフト82と、このカムシャフト82に固設されたカム83と、このカム83の回転に伴って駆動されるロッカアーム84とを備えている。
ロッカアーム84は、その一端部(図中右端部)がシリンダヘッド81に設けられた油圧式のラッシュアジャスタ1の先端部により支持され、その他端部(図中左端部)が機関バルブ91の基端部91aにより支持されている。また、ロッカアーム84はローラ85により回転可能に支持されている。このローラ85はカム83に当接している。
そして、カム83の回転によってローラ85が押圧されると、ロッカアーム84がラッシュアジャスタ1の先端部によって支持された他端部を支点として揺動する。これにより、機関バルブ91の基端部91aが押圧されて機関バルブ91が開弁する。
内燃機関80には、クランクシャフトにより駆動されるオイルポンプ71が設けられており、このオイルポンプ71から吐出されたオイルは供給通路72を通じてラッシュアジャスタ1に供給される。
次に、ラッシュアジャスタ1の構造について説明する。
図2に示すように、ラッシュアジャスタ1は、有底筒状のボディ10と、ボディ10の軸線方向Cに沿って同ボディ10内をスライド可能な筒状のプランジャ20と、を備えている。尚、以降において、ボディ10の軸線方向Cを単に軸線方向Cと称する。また、軸線方向Cにおいてボディ10からプランジャ20が進出する方向を上方とし、ボディ10内にプランジャ20が沈み込む方向を下方と称する。
図2に示すように、ラッシュアジャスタ1は、有底筒状のボディ10と、ボディ10の軸線方向Cに沿って同ボディ10内をスライド可能な筒状のプランジャ20と、を備えている。尚、以降において、ボディ10の軸線方向Cを単に軸線方向Cと称する。また、軸線方向Cにおいてボディ10からプランジャ20が進出する方向を上方とし、ボディ10内にプランジャ20が沈み込む方向を下方と称する。
プランジャ20の周壁21の内部には隔壁24が設けられており、この隔壁24によってプランジャ20の内部が低圧室51に区画されるとともにプランジャ20とボディ10との間が高圧室52に区画されている。また、この隔壁24の中央には低圧室51と高圧室52とを連通する弁孔25が形成されている。
高圧室52内には筒状のリテーナ31が設けられている。また、ボディ10の底面とリテーナ31の上端に設けられたフランジ31aとの間には第1ばね41が設けられており、第1ばね41の付勢力によってリテーナ31のフランジ31aを介してプランジャ20が上方に常時付勢されている。
このリテーナ31内には弁孔25を閉塞可能な球状の弁体30が収容されている。また、このリテーナ31の底面と弁体30との間には弁孔25が閉塞される方向に弁体30を付勢する第2ばね42が設けられている。尚、リテーナ31の底部には孔31bが形成されており、リテーナ31の内部と外部とが連通されている。
また、ボディ10の周壁11及びプランジャ20の周壁21には導入孔12、22が形成されており、供給通路72を通じて供給されるオイルがこれら導入孔12、22を通じて低圧室51内に導入される。尚、プランジャ20の外周面には全周にわたって凹部23が形成されており、プランジャ20の変位に伴ってボディ10の導入孔22とプランジャ20の導入孔22との軸線方向Cにおける位置関係がずれた場合であっても供給通路72からのオイルが低圧室51内に導入されるように構成されている。
図3(a)、(b)に示すように、プランジャ20の外周面には、撥油性を有する第1皮膜61がプランジャ20の周方向全体にわたって設けられている。また、プランジャ20の外周面において第1皮膜61よりも上側には、撥油性を有する第2皮膜62がプランジャ20の周方向全体にわたって設けられている。第1皮膜61と第2皮膜62とは軸線方向Cにおいて互いに離間して設けられている。また、ボディ10の内周面には撥油性を有する第3皮膜63がボディ10の周方向全体にわたって設けられている。これら皮膜61、62、63としては例えばFAS材料、すなわちフルオロアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランを加水分解・縮合することによって生成された材料が好ましい。
図3(a)に示すように、ボディ10内にプランジャ20が沈み込んでいない通常の状態においては、第3皮膜63と第1皮膜61とが軸線方向C全体にわたって対向している。また、第3皮膜63の上端は第2皮膜62の下端よりも下側に位置している。
図3(b)に示すように、ボディ10内にプランジャ20が沈み込んでいる状態においては、第3皮膜63と第2皮膜62とが対向している。また、第3皮膜63の下端が第1皮膜61の上端よりも上側に位置している。
通常の状態と沈み込んでいる状態とにおける各皮膜61、62、63の上記の対抗関係が満たされるように、本実施形態では第1皮膜61、第2皮膜62、及び第3皮膜63の軸線方向Cにおける幅は互いに同一とされるとともに、第1皮膜61と第2皮膜62との間の距離が設定されている。
また、図4に示すように、プランジャ20の周壁21には高圧室52内とボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間とを連通する連通孔27が形成されている。連通孔27は、リテーナ31よりも径方向外側において上記周壁21の内周面に開口しており、プランジャ20の径方向外側ほど上側に位置するように傾斜している。
次に、ラッシュアジャスタ1の基本的な動作態様について説明する。
カム83の回転に伴ってそのカム山がローラ85から離れようとすると、すなわち機関バルブ91が閉弁され始めると、ロッカアーム84の一端部(図1における右端部)がプランジャ20の先端から離れようとする。このとき、第1ばね41が伸びてボディ10内からプランジャ20が進出することによりロッカアーム84がカム83に押し付けられた状態とされる。このようにしてロッカアーム84がカム83に追従することにより、ロッカアーム84とカム83との間にクリアランスが生じることが抑制される。
カム83の回転に伴ってそのカム山がローラ85から離れようとすると、すなわち機関バルブ91が閉弁され始めると、ロッカアーム84の一端部(図1における右端部)がプランジャ20の先端から離れようとする。このとき、第1ばね41が伸びてボディ10内からプランジャ20が進出することによりロッカアーム84がカム83に押し付けられた状態とされる。このようにしてロッカアーム84がカム83に追従することにより、ロッカアーム84とカム83との間にクリアランスが生じることが抑制される。
ここで、ボディ10内からプランジャ20が進出するときには、高圧室52の容積が拡大しようとして高圧室52内の圧力が低下する。これにより、弁体30を閉弁方向に付勢する力が低下し、弁体30が開弁する。そして、低圧室51内のオイルが高圧室52内に流入する結果、高圧室52内の圧力が上昇し、弁体30が再び閉弁方向に変位することで弁孔25が再び閉塞される。
一方、カム83の回転に伴ってそのカム山がローラ85を押そうとする、すなわち機関バルブ91が開弁され始めると、ロッカアーム84の一端部(図1における右端部)がプランジャ20の先端を押そうとする。これにより、ボディ10内にプランジャ20が沈み込もうとする。ただしこのときには、弁孔25が弁体30により閉塞されているため、高圧室52内から低圧室51内へオイルが流入しない。そして、高圧室52内のオイルの圧力によってボディ10内へのプランジャ20の沈み込みが制限される。このようにしてラッシュアジャスタ1はロッカアーム84からプランジャ20に作用する荷重に抗することによってロッカアーム84の支点として機能する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図5(a)に示すように、通常時においてはボディ10の内周面に設けられた第3皮膜63とプランジャ20の外周面に設けられた第1皮膜61とが対向する。このため、これら互いに対向する撥油性の皮膜61、63によってオイルがはじかれることによりこれら皮膜61、63間におけるオイルの流通抵抗が増大する。これにより、高圧室52内からボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間を通じてボディ10の外部にオイルが漏出することが好適に抑制される。
図5(a)に示すように、通常時においてはボディ10の内周面に設けられた第3皮膜63とプランジャ20の外周面に設けられた第1皮膜61とが対向する。このため、これら互いに対向する撥油性の皮膜61、63によってオイルがはじかれることによりこれら皮膜61、63間におけるオイルの流通抵抗が増大する。これにより、高圧室52内からボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間を通じてボディ10の外部にオイルが漏出することが好適に抑制される。
一方、例えば機関高回転時において内燃機関80の各部においてオイルが頻繁に撹拌されることでオイルが泡立ち、そうしたオイルがラッシュアジャスタ1内に導入され、高圧室52内に空気を多く含むオイルが混入すると、高圧室52内の圧力が低くなる。これにより、プランジャ20に作用する荷重が相対的に大きくなり、プランジャ20がボディ10内に沈み込む。
このとき、図6に示すように、混入した気泡はプランジャ20の周壁21に形成された連通孔27を通じてボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間に排出される。尚、図6では便宜上、第1ばね41の図示が省略されている。
またこのとき、図5(b)に示すように、ボディ10の内周面に設けられた第3皮膜63とプランジャ20の外周面に設けられた第2皮膜62とが対向するとともに第3皮膜63の下端が第1皮膜61の上端よりも上側に位置するようになる。このため、高圧室52内からボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間を通じて移動してきた気泡の一部が第1皮膜61と第2皮膜62との間に捕集される。
その後、図5(c)に示すように、プランジャ20に作用していた荷重が低減してプランジャ20が上昇すると、第2皮膜62の下端が第3皮膜63の上端よりも上側に位置するようになる。これにより、第1皮膜61と第2皮膜62との間に捕集されていた気泡がボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間を通じて外部に排出される。
以上説明した本実施形態に係るラッシュアジャスタによれば、以下に示す効果(1)〜(4)が得られる。
(1)プランジャ20の外周面には撥油性を有する第1皮膜61と第1皮膜61よりも上側に位置するとともに撥油性を有する第2皮膜62とがプランジャ20の軸線方向Cにおいて互いに離間して設けられている。また、ボディ10の内周面には撥油性を有する第3皮膜63が設けられている。そして、第3皮膜63と第1皮膜61とが対向するとともに第3皮膜63の上端が第2皮膜62の下端よりも下側に位置する一方、ボディ10内にプランジャ20が沈み込んだときには第3皮膜63と第2皮膜62とが対向するとともに第3皮膜63の下端が第1皮膜61の上端よりも上側に位置するように第1皮膜61、第2皮膜62、及び第3皮膜63が設けられている。こうした構成によれば、ボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間を通じたオイルの漏出を抑制する一方、高圧室52内に混入した空気を外部に好適に排出することができる。
(1)プランジャ20の外周面には撥油性を有する第1皮膜61と第1皮膜61よりも上側に位置するとともに撥油性を有する第2皮膜62とがプランジャ20の軸線方向Cにおいて互いに離間して設けられている。また、ボディ10の内周面には撥油性を有する第3皮膜63が設けられている。そして、第3皮膜63と第1皮膜61とが対向するとともに第3皮膜63の上端が第2皮膜62の下端よりも下側に位置する一方、ボディ10内にプランジャ20が沈み込んだときには第3皮膜63と第2皮膜62とが対向するとともに第3皮膜63の下端が第1皮膜61の上端よりも上側に位置するように第1皮膜61、第2皮膜62、及び第3皮膜63が設けられている。こうした構成によれば、ボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間を通じたオイルの漏出を抑制する一方、高圧室52内に混入した空気を外部に好適に排出することができる。
(2)第1皮膜61、第2皮膜62、及び第3皮膜63はプランジャ20或いはボディ10の周方向全体にわたって設けられている。こうした構成によれば、第3皮膜63と第1皮膜61との協働によるオイルの漏出抑制や第3皮膜63と第2皮膜62との協働によるオイルの漏出抑制が周方向全体にわたって行なわれる。また、第1皮膜61と第2皮膜62との間による気泡の捕集が周方向全体にわたって行なわれる。従って、オイルの漏出抑制及び空気の排出促進の双方を好適に図ることができる。
(3)第3皮膜63と第1皮膜61とがボディ10の軸線方向C全体にわたって対向する一方、ボディ10内にプランジャ20が沈み込んだときには第3皮膜63と第2皮膜62とがボディ10の軸線方向C全体にわたって対向するように、第1皮膜61、第2皮膜62、及び第3皮膜63のボディ10の軸線方向Cにおける幅は互いに同一とされている。こうした構成によれば、第3皮膜63と第1皮膜61との協働によるオイルの漏出抑制がこれら皮膜63、61の軸線方向C全体にわたって行なわれる。また、第3皮膜63と第2皮膜62との協働によるオイルの漏出抑制がこれら皮膜63、62の軸線方向C全体にわたって行なわれる。従って、各皮膜61、62、63の幅を無駄なく的確に設定することができる。
(4)プランジャ20の周壁には高圧室52内とボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間とを連通する連通孔27が形成されている。連通孔27はプランジャ20の径方向外側ほど上側に位置するように傾斜している。こうした構成によれば、高圧室52内に混入した気泡が連通孔27を通じてボディ10の内周面とプランジャ20の外周面との間に排出される。従って、高圧室52内に混入した気泡を外部に好適に排出することができる。
尚、本発明に係るラッシュアジャスタは、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施形態では、各皮膜61、62、63がFAS材料からなるものとしたが、撥油性を有する皮膜の材料はこれに限られるものではなく、他に例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂によって形成することもできる。
・上記実施形態では、各皮膜61、62、63がFAS材料からなるものとしたが、撥油性を有する皮膜の材料はこれに限られるものではなく、他に例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂によって形成することもできる。
・上記実施形態では、図2のA部に対して各皮膜61、62、63を設けるようにしたが、これら皮膜をA部よりも下側に設けるようにしてもよい。また、これら皮膜を1組とした場合、こうした皮膜の組みを軸線方向Cにおいて複数設けるようにしてもよい。
・図7に示すように、連通孔127を、リテーナ131よりも径方向内側において隔壁124の下面に開口するものとしてもよい。
・上記実施形態及びその変形例ではプランジャ20、120の周壁21、121に連通孔27、127が形成される構成について例示したが、本発明はこれに限られるものではなく、こうした連通孔を有しないものであってもよい。
・上記実施形態及びその変形例ではプランジャ20、120の周壁21、121に連通孔27、127が形成される構成について例示したが、本発明はこれに限られるものではなく、こうした連通孔を有しないものであってもよい。
・上記実施形態では、各皮膜61、62、63の軸線方向Cにおける幅が互いに同一なものについて例示したが、これら皮膜の幅を互いに異ならせることもできる。
・上記実施形態では、各皮膜61、62、63がボディ10の周方向全体にわたって設けられるものについて例示したが、これら皮膜が周方向における一部において設けられない構成とすることもできる。
・上記実施形態では、各皮膜61、62、63がボディ10の周方向全体にわたって設けられるものについて例示したが、これら皮膜が周方向における一部において設けられない構成とすることもできる。
1…ラッシュアジャスタ、10…ボディ、11…周壁、12…導入孔、20,120…プランジャ、21,121…周壁、22…導入孔、23…凹部、24,124…隔壁、25,125…弁孔、27,127…連通孔、30…弁体、31,131…リテーナ、31a,131a…フランジ、31b…孔、41,141…第1ばね、42…第2ばね、51…低圧室、52,152…高圧室、61…第1皮膜、62…第2皮膜、63…第3皮膜、71…オイルポンプ、72…供給通路、80…内燃機関、81…シリンダヘッド、82…カムシャフト、83…カム、84…ロッカアーム、85…ローラ、91…機関バルブ、91a…基端部、92…リテーナ、93…バルブスプリング。
Claims (5)
- 内燃機関に設けられる油圧式のラッシュアジャスタであって、筒状のボディと、ボディ内に収容されるとともにその軸線方向に沿ってスライド可能な筒状のプランジャと、を備え、プランジャに設けられた隔壁によりボディとの間に区画されるとともにプランジャ内のオイルが逆止弁を介して供給可能とされる高圧室を有し、高圧室内の油圧によってプランジャに作用する荷重に抗するようにしたラッシュアジャスタにおいて、
ボディの軸線方向においてボディからプランジャが進出する方向を上方とし、ボディ内にプランジャが沈み込む方向を下方と定義するとき、
プランジャの外周面には撥油性を有する第1皮膜と第1皮膜よりも上側に位置するとともに撥油性を有する第2皮膜とがプランジャの軸線方向において互いに離間して設けられ、
ボディの内周面には撥油性を有する第3皮膜が設けられ、
第3皮膜と第1皮膜とが対向するとともに第3皮膜の上端が第2皮膜の下端よりも下側に位置する一方、ボディ内にプランジャが沈み込んだときには第3皮膜と第2皮膜とが対向するとともに第3皮膜の下端が第1皮膜の上端よりも上側に位置するように第1皮膜、第2皮膜、及び第3皮膜が設けられている、
ことを特徴とするラッシュアジャスタ。 - 第1皮膜、第2皮膜、及び第3皮膜はプランジャ或いはボディの周方向全体にわたって設けられている、
請求項1に記載のラッシュアジャスタ。 - 第3皮膜と第1皮膜とがボディの軸線方向全体にわたって対向する一方、ボディ内にプランジャが沈み込んだときには第3皮膜と第2皮膜とがボディの軸線方向全体にわたって対向するように、第1皮膜、第2皮膜、及び第3皮膜のボディの軸線方向における幅が互いに同一とされている、
請求項1又は請求項2に記載のラッシュアジャスタ。 - プランジャの周壁には高圧室内とボディの内周面とプランジャの外周面との間とを連通する連通孔が形成されている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のラッシュアジャスタ。 - 前記連通孔はプランジャの径方向外側ほど上側に位置するように傾斜している、
請求項4に記載のラッシュアジャスタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012202941A JP2014058874A (ja) | 2012-09-14 | 2012-09-14 | ラッシュアジャスタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012202941A JP2014058874A (ja) | 2012-09-14 | 2012-09-14 | ラッシュアジャスタ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2014058874A true JP2014058874A (ja) | 2014-04-03 |
Family
ID=50615564
Family Applications (1)
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JP2012202941A Pending JP2014058874A (ja) | 2012-09-14 | 2012-09-14 | ラッシュアジャスタ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2014058874A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015098818A (ja) * | 2013-11-19 | 2015-05-28 | 株式会社オティックス | ラッシュアジャスタ |
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2012
- 2012-09-14 JP JP2012202941A patent/JP2014058874A/ja active Pending
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