JP2014058465A - 膨潤ゼラチン粒子および生理活性物質徐放用ゼラチン粒子、ならびに生理活性物質投与用デバイス - Google Patents

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【課題】 本発明は多孔質でない中実球状で特定のゼリー強度のゼラチンからなる膨潤ゼラチン粒子、およびこのゼラチン粒子に生理活性物質を溶解保持してなるゼラチン粒子、ならびに注射器内に生理食塩水と共に生理活性物質を溶解含浸保持したゼラチン粒子を分散させて使用するデバイスを提供するものである。
【解決手段】 ゼリー強度が80〜120gのゼラチンからなり、熱架橋された中実球状の膨潤ゼラチン粒子であって、膨潤ゼラチン粒子の粒径が50〜2000μmであることを特徴とする。特に、血管塞栓用途や、生理活性物質を溶解、保持して生理活性物質を徐放する用途や、注射器内に生理食塩水と共に生理活性物質徐放用ゼラチン粒子を分散、充填して体内投与用のデバイスとして用いることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、膨潤ゼラチン粒子および生理活性物質徐放用ゼラチン粒子、ならびに生理活性物質投与用デバイスに関し、詳しくは多孔質でない中実球状で特定のゼリー強度のゼラチンからなる膨潤ゼラチン粒子、およびこのゼラチン粒子に生理活性物質を溶解保持してなるゼラチン粒子、ならびに注射器内に生理食塩水と共に生理活性物質を溶解含浸保持したゼラチン粒子を分散させたデバイスに関するものである。
ゼラチンは、コラーゲンを熱処理して抽出したタンパク質であって、ゲル化剤としてゼリーなどの食品や、医薬品などに用いられたり、接着剤やフィルムなどの工業用途に用いられるなど様々な分野で利用されてきた身近な材料である。これらの各種用途のうち、医療用途に使用されている精製度の高いゼラチンやコラーゲンは、生体適合性に優れ、且つ生体内で分解して体内に吸収されるので、肝臓癌用の塞栓材料や止血用スポンジ材、経口投与用のカプセル材などの製品に幅広く利用されている。
例えば、特許文献1には生体適合性物質としてのゼラチンを水不溶化して多孔性粒子にした発明が開示されており、塞栓治療用や医薬製剤用担体として有用であるとの記載がある。この多孔性粒子は多孔部分に生理食塩水や医薬品等の溶液を含浸液として含浸するので、含浸前後での粒子径の変動が少なく、例えば塞栓材料として使用した場合、多孔性粒子なので血管内で小さい応力でも変形が容易であり、種々の血管径に対応できるというものである。しかし、多孔度の調整が難しいので、粒子単位での含浸量を均一化しがたいという問題がある。
また、特許文献2には架橋ゼラチンの多孔質または実質の粒状品が開示されており、塞栓用途に有用であるとの記載がある。このゼラチン粒状品は熱架橋することによって、生理食塩水中での溶解時間を240時間以下にコントロールして、血管内での塞栓時間を制御しようとするものであるが、粒状品の生理食塩水中での膨潤性などについて一切検討されていないものである。
さらに、特許文献3には球状架橋ゼラチン粒子を用いた血管塞栓剤についての開示があり、乾燥粒径と生理食塩水中での膨潤体積が記載されている。しかしながら、ここで開示されている球状架橋ゼラチンは、グルタルアルデヒドに代表される脂肪族系ジアールなどを架橋剤にして化学架橋を施した粒子であるので、膨潤体積が5〜100ml/gのように極めて大きく膨潤するものである。このように大きく膨潤するものでは、膨潤粒子の機械的強度が低下しすぎてしまい、保形性(機械的強度や形状保持性)の点で問題が生じる可能性がある。また、架橋剤を用いて架橋処理したゼラチン粒子を生体内に投与する場合には、ゼラチン粒子に残存する架橋剤の毒性等も考慮する必要が生じ、用いることができる架橋剤に制限がある。
特許第3879018号公報 特開2010−83788号公報 特開昭60−222045号公報
ゼラチンやコラーゲンからなる粒子の場合、多孔質形状であると生理食塩水等の含浸液を吸収しても多孔部(空隙部)に多くの含浸液が吸収されるので、その粒子径はほとんど変化せず、また含浸液の保持量は多い。但し、多孔質粒子の場合は含浸液を吸収してもその粒子形状(粒子径など)を保っているが、外部から応力がかかるによって容易に変形したり、潰れたりする。
また、ゼラチン粒子を生体内に投与する場合には、通常、生理食塩水などの分散液にゼラチン粒子を投入し、懸濁させた状態で用いる。この場合、懸濁性や体内投与性に有利な形状として粒子状であり、かつ生理活性物質等の均一吸収性、投与時の生理活性物質の徐放性、さらには体内での粒子の均一分解性の点からは、不定形状の粒子ではなく、真球度を意識した球状から略球状の形状の粒子を用いることが好ましいと判断した。
さらに、ゼラチン粒子を不溶化処理することで、ゼラチン粒子の生体内における分解速度を制御することが可能となるので、血管塞栓に用いる場合は閉塞時間を制御でき、ゼラチン粒子に生理活性物質を含浸させて患部へのドラッグデリバリーに用いる場合は、生体内における生理活性物質の放出を制御できる。しかし、ゼラチン粒子を生体内に投与する場合、通常はマイクロカテーテルや注射針を用いるが、これらの径よりも大きいゼラチン粒子は通過できずに詰まってしまったり、たとえ通過したとしても粒子が通過中に変形して、通過後も変形状態になったり、通過中にゼラチン粒子が破砕してしまう恐れがある。血管塞栓用途に用いた場合に、ゼラチン粒子が血管中で破砕してしまうと、閉塞する目的の部位にゼラチン粒子が留まらずに抹消血管まで流れていく恐れがあったり、生体内での分解時間が早まってしまう恐れもあり、ドラッグデリバリー用途では徐放時間の制御ができなくなることも考えられる。
以上の点から、本発明者らは、多孔質形状ではなく中実形状であって、適度な機械的強度を有すると共に、応力変形能に優れるゼラチンの膨潤粒子を得るべく、粒子を形成するゼラチンの強度についての検討を重ねた。
その結果、用いるゼラチンのゼリー強度を一定の範囲にすることによって、熱架橋したゼラチン粒子を特定の粒径範囲に膨潤させた膨潤ゼラチン粒子が応力変形に対する変形回復能に優れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ゼリー強度が80〜120gのゼラチンからなり、熱架橋された中実球状の膨潤ゼラチン粒子であって、膨潤ゼラチン粒子の粒径が50〜2000μmであることを特徴とするゼラチン粒子を提供するものである。
特に、本発明のゼラチン粒子は、血管塞栓用途や、生理活性物質を溶解、保持して生理活性物質を徐放する用途や、注射器内に生理食塩水と共に生理活性物質徐放用ゼラチン粒子を分散、充填して体内投与用のデバイスとして用いることが好ましいものである。
本発明の膨潤ゼラチン粒子は、多孔質形状のような不定形状ではなく、生理食塩水等の含浸液を吸収して膨潤しても保形性に優れたものである。つまり、特定のゼリー強度を有するゼラチンを用いているので、保形性に優れ、膨潤後の粒子に外部応力が加わって変形してもゼラチン粒子が破砕することがなく、生体内、特に塞栓用粒子としてマイクロカテーテルや注射針を用いて血管内に投与した場合でも、これらをスムースに通過することができると共に、応力変形回復能に優れるので、砕けて小片化したゼラチン粒子が目的とする部位以外の部位へ流出するというリスクを防止することができる。
また、本発明の膨潤ゼラチン粒子は生体適合性に優れると共に、架橋剤を用いずに熱架橋しているので安全性が高いだけでなく生体内での分解性に優れ、一時的な血管塞栓用途に用いることができる。さらに、各種生理活性物質も含浸させることができるので、生体内で設計通りの分解速度で制御可能であり、ドラッグデリバリーシステムの担体や生体内足場材としても好適なものである。
本発明にて用いるゼラチンは、その種類(由来)は特に限定されない。例えば、牛骨由来、牛皮由来、豚骨由来、豚皮由来などのゼラチンを用いることができるが、生体内での安全性の点からは豚骨や豚皮由来のゼラチンを用いることが好ましい。
また、ゼラチンのゼリー強度は80〜120g、好ましくは85〜110gのゼラチンを使用することが望ましい。ゼリー強度が低すぎると熱架橋を施して不溶化して、膨潤したゼラチンの機械的強度が不足し、外部応力による変形後の変形回復能に劣るようになり、外部応力によって破砕してしまう可能性が高くなる。一方、ゼリー強度が高すぎると熱架橋したゼラチン粒子は膨潤性が低下すると共に、応力による変形が不充分、つまり、膨潤粒子径よりも小さいマイクロカテーテル内を通過する際に、カテーテル内壁に充分追従せずに詰まってしまう可能性が高くなる。
本発明のゼラチン粒子は、多孔質状ではなく中実状のものであって、球状もしくは略球状の粒子である。粒子が多孔質形状であると、血管塞栓用途では充分な機械的強度を保つことができず、外部応力を受けた際に、形状変形を起して効率よく血管を塞栓することができない可能性がある。また、徐放製剤用基材としてゼラチン粒子を用いる場合は、生理活性物質が脱落してしまい、生理活性物質の保持が不充分となって、所定量の生理活性物質を目的部位に送達することが困難になる傾向を示すので、本発明のゼラチン粒子を血管塞栓や徐放製剤用基材の用途などに用いる場合には、孔部を有さない中実状にすることが必要なのである。
例えば、本発明の膨潤ゼラチン粒子を塞栓治療用途に用いた場合は、血管の塞栓部位の内径に応じた粒径の中実球形状の膨潤ゼラチン粒子とすることによって、目的箇所の塞栓を確実に行えると共に、球形状であるために血管内壁の損傷も防ぐことができるので、患者に対する痛みも軽減することができるのである。さらに、中実球形状の膨潤ゼラチン粒子の場合は、膨潤ゼラチン粒子の外周部分から徐々に溶解していくが、中実でない多孔質形状の膨潤ゼラチン粒子の場合には、塞栓した血管内での溶解・分解に際して、膨潤ゼラチン粒子の一部が分離脱落して微小粒子となる場合があり、それらの微小粒子が血流に運ばれて目的部位以外の血管を塞栓する恐れがある。一方、中実球形状の膨潤ゼラチン粒子の場合にはゼラチン粒子の一部が分離脱落するというような問題が発生する可能性が少ないという利点がある。
また、形状が球状でないと、生理活性物質を含浸する場合、均一な含浸性を確保できなかったり、ゼラチン粒子が徐々に溶解する際に、含浸する生理活性物質の経時的放出量にバラツキを生じるなどの不具合を生じる恐れがある。そこで、本発明のような球状粒子にすると、粒子単位での表面積が略一定となるので、生理活性物質の均一含浸性や目的部位での均一な徐放性を確保できるので好ましい。本発明における球状や略球状とは、粒子を投影した時に生じる円の円形度が0.8以上、好ましくは円形度0.8以上の粒子が、粒子全体の70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上含有する粒子である。円形度が0.8に満たない粒子の場合は、凝集粒子や付着粒子が大木なって不定形状と鳴っている可能性が高いので使用するには好ましくない。なお、本発明における円形度とは、上記のように粒子を投影した後に二値化画像処理して得られる値であって、粒子を投影した際の円の面積(S)と周囲長(L)により、4πS/Lの式にて得られ、真円に近いほど1に近づく値を意味するものである。
なお、本発明の上記膨潤ゼラチン粒子は、膨潤時の粒径が50〜2000μm、好ましくは70〜1000μmであることが、生体内に投与する際の治療手技の点から望ましい。50μmに満たない粒径の場合は、例えば塞栓治療用途などに用いた場合、目的部位以外に移動してしまって、例えば末梢血管などを詰まらせてしまい、血行障害を起こす可能性があるので好ましくなく、また、2000μmを超える粒径の場合は、ゼラチン粒子を作製する際に、粒子表面に所謂、皮貼り現象が生じて粒子内に残存する油脂や各種有機溶剤などを洗浄や乾燥などの手段を用いても完全に除去することが難しくなり、さらに所望する球形状のゼラチン粒子を得難くなる傾向を示す。
なお、乾燥粒径の大きなゼラチン粒子は、例えば骨再生医療などの広範囲に対して大量に使用する用途に適しているので、注射針などの狭径の管を通して使用する用途には適しておらず、また、形状も本発明のような球状のものを用いる必要はなく、ゲル状のゼラチンやシート状のゼラチンが適しているのである。
上記のような膨潤ゼラチン粒子を得るには、熱架橋の程度にもよるが、膨潤前の乾燥粒子の粒径は20〜1600μm程度とすることが好ましい。なお、本発明の膨潤ゼラチン粒子は上記膨潤粒径の範囲のものであれば各種用途に使用することができるが、例えば、シリンジやカテーテルなどを通過させる用途の場合には、カテーテルやシリンジの内径、投与部位などを考慮すると、用いるゼラチン粒子の粒度分布を狭くするために、作製したゼラチン粒子を各種サイズに篩分けして用いることが好ましい。具体的には血管塞栓用粒子の場合には、膨潤後のゼラチン粒子の粒径が50〜130μm、150〜300μm、425〜2000μmなどの範囲に入るようにサイズ分けしておくことが実用的である。
本発明の膨潤ゼラチン粒子は水系溶媒に対して不溶性にするために膨潤前のゼラチン粒子に架橋処理を施したものであり、一般的に用いられている架橋剤による架橋ではなく、加熱処理による熱架橋を施したものである。即ち、架橋剤による架橋処理の場合、ゼラチン粒子に架橋剤反応物(残渣)が結合するので、本発明の膨潤ゼラチン粒子を生体内に用いる場合には毒性等の検討も慎重に行わなければならず、使用できる架橋剤にも制限が生じる。しかしながら、加熱処理によって熱架橋した場合は、上記のような懸念はなく、また、架橋剤による架橋処理よりもマイルドな架橋処理になり、架橋度の制御も容易となる。従って、本発明のような熱架橋処理したゼラチン粒子の場合には、生理食塩水などの水系溶媒に浸漬した際の膨潤度の調整や完全溶解するまでの時間の制御も容易となるのである。
上記のような熱架橋処理は、W/O分散法や、マイクロリアクター法、スプレードライ法、噴霧凍結乾燥法、粉砕法などの公知の造粒法によって得られたゼラチン粒子を一旦、送風乾燥や自然乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの乾燥手段を用いて乾燥させ、その後、100〜200℃、好ましくは120〜180℃の温度範囲で、2〜48時間、好ましくは2〜8時間、加熱乾燥することによってゼラチン粒子を熱架橋することができるのである。但し、静置条件下での加熱乾燥の場合は、130〜170℃±5℃の温度範囲で、4〜5時間程度の加熱処理を行うことが好ましい。このとき、常圧下で乾燥させてもよいが、本来水溶性であるゼラチンは、大気中の酸素や水分などの影響を受けやすいので、再現性よく均一な熱架橋を行うためには、真空下での加熱処理が好ましい。なお、本発明における真空下とは、絶対真空(0kPa)を基準に、通常の真空乾燥機にて達成できる10kPa以下の範囲の圧力条件(真空度)を意味するものである。
以下に、造粒法の一例としてのW/O分散法を用いたゼラチン粒子の製造方法について、具体的に説明する。この製造方法の場合は、ゼラチン水溶液を油脂中に分散してゼラチン水溶液の液滴を形成する液滴形成工程と、ゼラチン水溶液の液滴を冷却してゲル化させるゲル化工程と、脱水工程、洗浄工程、乾燥工程、および架橋工程を含む製造方法によってゼラチン粒子を得ることができる。
まず、液滴形成工程にてゼラチン水溶液の液滴を形成する。具体的には、ゼラチンを約0℃の水中に投入し、攪拌機や振盪機などを用いてゼラチンを水中に均一に溶解させてゼラチン水溶液を調製する。このときの水温を40〜60℃程度に加温することによって短時間でゼラチンを溶解することができるので好ましい。このようにして得られたゼラチン水溶液のゼラチン濃度は、形成する液滴の粘度を調整して種々の粒径で粒度分布の狭いゼラチン粒子を得やすくするために、2〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲に設定する。
液滴形成工程では、上記のように調製したゼラチン水溶液を油脂中に分散させて液滴を形成させる。例えば、攪拌翼を備えたフラスコ中に過剰量の油脂を投入、攪拌しながら上記のように調製したゼラチン水溶液を投入し、任意の時間攪拌して油脂中にゼラチン水溶液を液滴状態で均一分散させる。このときの油脂の温度を0〜60℃に加温することによって油脂の凝固を防ぎながらゼラチンを均一に分散でき、しかもゼラチンの変性を防ぐことができて好ましい。
ゼラチン水溶液を投入する油脂としては、ゼラチン水溶液の液滴を作成するにはゼラチン水溶液と相溶性の乏しい油脂を用いる必要があり、例えば動物油、植物油、鉱物油、シリコーン油、脂肪酸、脂肪酸エステル、および有機溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一種類を用いることができる。これらのうち、好ましくは、トリカプリル酸グリセリドやオリーブオイル、イソステアリン酸イソセチル、2−エチルヘキサン酸セチルなどを用いることが人体に対する無毒性の点から望ましいものである。
上記液滴形成工程に続いてゲル化工程を行う。ゲル化工程ではゼラチン水溶液の液滴を冷却することでゼラチン液滴をゲル化させる。ここでゲル化とは、ゲル化したゼラチン液滴を油脂中から濾別して取り出した場合に、液滴の球形状を保持できる程度の流動性のない状態を意味する。ゲル化工程での冷却操作によって液滴中のゼラチンをゲル化させるには、液滴が分散している油脂を冷却すればよい。例えば、フラスコ内にて油脂中に分散したゼラチン液滴を形成させている場合には、フラスコを冷却水中に浸漬し、フラスコ外壁を通じて内部の油脂およびゼラチン液滴を冷却すればよい。冷却温度の設定は、確実なゲル化のためには、0〜3℃の温度範囲に設定することが好ましい。つまり、ゼラチンの液滴をこの温度範囲内に冷却することによって、液滴中の水が凝固せず、しかもゲル化したゼラチン液滴の機械的強度が向上する。その結果、後述する脱水工程や洗浄工程でのゼラチン粒子の変形が少なくなり、後工程である洗浄工程で表面上の油脂分が洗浄されやすくなるのである。
上記ゲル化工程での冷却時間は、0〜3℃の設定温度に達してから、15〜90分間、好ましくは30〜60分間程度にする。冷却時間が短すぎると、ゼラチン液滴のゲル化が不充分となる傾向を示す。一方、長すぎる場合はゲル化が充分に進んでいるので、時間の無駄となり製造効率が悪くなる傾向を示す。
なお、上記のゲル化工程にて用いる油脂は、その種類によっては冷却操作による温度低下によって油脂が凝固したり、油脂粘度が上昇したりする恐れがあるので、その場合には凝固点が低く、溶液粘度も低い脱水溶剤を添加することでこれらの問題を防ぐことができるので好ましい。
上記のようにしてゼラチン液滴を冷却操作によってゲル化させた後、脱水工程にて液滴中の水分を除去する。具体的にはゲル化したゼラチン粒子が溶解しないように、脱水工程ではゼラチンのゲル化温度以下(具体的には、15℃以下)に冷却しながら脱水溶剤を投入し、ゲル化したゼラチン粒子内の水分と置換することによって脱水処理を行う。完全な水分の除去は後述する乾燥工程にて行うが、脱水工程ではゲル化した液滴から水分を脱水溶剤に置換させることを目的としており、通常、脱水工程は15分以上行うことが好ましい。脱水工程にてゼラチン粒子中の水分を脱水溶剤と置換して水分を除去することによって、後述する架橋工程にて均一な粒子内架橋を施すことができ、得られるゼラチン粒子同士の凝集を防止できるのである。
脱水工程では、上記のように液滴内の水分と脱水溶剤とを置換することによって脱水する必要があるので、用いる脱水溶剤としては、水に対する溶解度が少なくとも10重量%、好ましくは30重量%以上の溶解度を有する親水性溶剤を用いることが望ましい。具体的な脱水溶剤としては、例えばアセトン、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、およびテトラヒドロフランなどを一種もしくは二種以上を併用することができる。これらの脱水溶剤のうち、水との置換容易性の点からは、アセトンやイソプロピルアルコール、テトラヒドロフランなどの比較的自由に水と混ざり合うような親水性有機溶剤を用いることがよい。
次に、上記した脱水工程に続いて洗浄工程を行う。冷却ゲル化したゼラチン粒子には脱水工程で水分と置換された脱水溶剤が含有されているが、洗浄工程を経ることによって、ゼラチン粒子表面に付着する油脂などを除去することができる。洗浄工程に用いる洗浄溶剤としては、具体的にはゲル化したゼラチン粒子が溶解しない有機溶剤を用いることが好ましく、脱水溶剤と同様、ゼラチンのゲル化温度以下に冷却しながら洗浄溶剤を投入する。なお、洗浄操作を行うに際して、濾過や遠心分離などの方法を併用しながら、複数回の洗浄を繰り返すことが好ましい。例えば、約2〜15g程度のゼラチン粒子を洗浄する場合は、約200〜300mlの洗浄溶剤を用いて15〜30分間洗浄する操作を、4〜6サイクル程度繰り返すことで完全な洗浄が達成される。
具体的な洗浄溶剤としては、上記した脱水溶剤と同様の溶剤を用いることができるが、ゼラチン粒子の脱水をより確実にするという点からは、アセトンなどのケトン系溶剤、イソプロピルアルコールのようなアルコール系溶剤、テトラヒドロフランを用いることが好ましい。
上記のように脱水工程、洗浄工程を経て得られるゼラチン粒子に対して、粒子表面に付着している余分な脱水溶剤や洗浄溶剤を除去すると共に、完全に水分を除去するために、乾燥工程を行う。乾燥工程に用いる乾燥手段としては、例えば通風乾燥、減圧乾燥(真空乾燥含む)、凍結乾燥などの一般的な乾燥手段を用いることができる。なお、減圧乾燥を行う場合には、加熱によるゼラチンの架橋が生じないようにするために、5〜25℃程度の温度で、6〜12時間程度の乾燥を行うことが好ましい。
乾燥工程にて脱水乾燥されたゼラチン粒子は、架橋工程にてゼラチン粒子を架橋させる。例えば、塞栓治療用途のようにゼラチン粒子を体内に導入する場合には、人体に対して無害な粒子にすることが必要であるので、架橋剤などの外部架橋剤を用いた架橋手段を採用することは好ましくなく、加熱による架橋を施す必要がある。加熱架橋する場合は、例えば80〜250℃、好ましくは130〜170℃で、0.5〜120時間、好ましくは3〜24時間加熱することでゼラチン粒子を架橋することができる。なお、加熱温度や加熱時間を調整することによってゼラチン粒子の架橋の程度を調整できるので、水溶液内や血管内で完全に溶解するまでの時間(生分解時間など)を調整することができる。
以上のようにして得られた乾燥ゼラチン粒子は、塞栓治療用途に用いて血管を塞栓しようとする場合、ゼラチン粒子を生理食塩水などに浸漬して膨潤させたものを用い、血管閉塞して血流を遮断させた後、徐々に膨潤ゼラチン粒子が生分解して血流を再開通させるまでの時間を調整する、即ち、塞栓時間を調整することができるのである。具体的には、肝癌などの腫瘍を壊死させるためには、2〜3日間の血管塞栓で充分なので、血流が再疎通するまでの塞栓期間、つまり膨潤ゼラチン粒子の生分解するまでの期間は、3〜7日間程度とすることが塞栓部位の臓器や正常細胞へのダメージが少なくなり好ましい。通常、3〜7日間程度の塞栓期間に設定する場合、架橋工程での加熱条件としては、100〜180℃で1〜24時間とすることが好ましい。なお、架橋工程では加熱操作を行う際にゼラチン粒子が酸化変性する恐れがあるので、通常は、減圧下や不活性ガス雰囲気下で架橋工程を行うことが好ましい。
本発明の膨潤ゼラチン粒子は、上記したような血管塞栓用途に用いた場合には、例えば、大腿部動脈等からカテーテルを塞栓治療予定部位まで造影剤を投与しながら挿入し、その後、任意形状のゼラチン粒子を生理食塩水中に分散、平衡膨潤させた膨潤ゼラチン粒子の分散液をカテーテル内に注入し、目的とする塞栓治療部位に膨潤ゼラチン粒子を送り込んで塞栓を行うことができる。
また、本発明の膨潤ゼラチン粒子は、生理活性物質を内部に含浸、保持するようにして、生理活性物質徐放用途に用いることもできる。この場合、例えば、注射器内に生理活性物質と共に、生理活性物質徐放用ゼラチンを分散、充填することで、生理活性物質投与用デバイスとして使用することができる。
なお、本発明における上記生理活性物質投与用デバイスは、使用時の状態でのデバイスである。例えば、予め注射器内にゼラチン粒子だけを充填しておき、使用に際して生理食塩水を注射器内に吸入してゼラチン粒子を分散させる場合や、バイヤル内にゼラチン粒子を充填しておき、使用に際して生理食塩水を投入してゼラチン粒子を分散させ、これを注射器内に吸入する場合などの態様、いわゆる用時調製によって得られる生理活性物質投与用デバイスも含むものである。
本発明の膨潤ゼラチン粒子に保持させる生理活性物質としては、各種疾患治療用の薬物の他、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)や肝細胞増殖因子(HGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)などの各種増殖因子、インターフェロンやインターロイキンなどに代表されるサイトカインなどが挙げられる。これらのうち、例えば、bFGFなどを保持したゼラチン粒子は、下肢虚血疾患治療用に用いることができる。
以上のようにして得られる本発明の膨潤ゼラチン粒子は、23℃の生理食塩水中に浸漬した場合に、乾燥粒子の平均体積の200〜2000%、好ましくは400〜800%の平均体積膨潤率を有するものである。生理食塩水中での膨潤は、乾燥粒子の同心円状に拡大し、200〜600%の平均体積膨潤率の範囲で平衡状態になるものである。平均体積膨潤率が小さすぎる、即ち生理食塩水中での膨潤が少なすぎると、含浸液や生理活性物質の内部保持が困難となるだけでなく、充分に弾力性のあるゲル状粒子とはならず、治療する際の手技においても医療機器との併用性への障害となる傾向を示して好ましくない。一方、平均体積膨潤率が大きすぎる、即ち、生理食塩水中で激しく膨潤すると、膨潤粒子としての機械的強度が低下してしまうので、治療手技中の粒子崩壊や生体内に投与されてからの粒子崩壊につながり、目的とする血管塞栓性や徐放性基材としての性能が得られない恐れがあると共に、血流中に崩壊した微小片が混入して目的部位以外の箇所で血栓となる可能性もある。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の記載によって限定されるものではない。
<実施例1>
撹拌翼を設けた1000mlのフラスコ内に、油脂としてトリカプリル酸グリセリド300gを投入し、これにゼラチン水溶液(ゼリー強度87gの豚皮由来ゼラチン、ゼラチン濃度5.0重量%)50gを添加して、120rpmにて30分間撹拌し、トリカプリル酸グリセリド中にゼラチン水溶液の液滴を形成した。
次に、このフラスコを5℃の冷水に浸漬することによってトリカプリル酸グリセリドを冷却しながら、180rpmにて60分間撹拌を行い、ゼラチン水溶液の液滴の冷却を行い、液滴のゲル化を行った。
次いで、フラスコ内に氷冷(−10℃)したアセトン100mlを添加し、300rpmで30分間撹拌を行い、ゲル化したゼラチン水溶液の液滴中の水分をアセトンと置換脱水して、ゼラチン粒子を得た。
得られたゼラチン粒子を濾別し、氷冷(−10℃)した過剰量のアセトンで5回洗浄し、ゼラチン粒子に付着したトリカプリル酸グリセリドを除去したのち、24時間真空乾燥して残存溶媒を除去したゼラチン粒子を得た。
最後に、得られたゼラチン粒子を分級した後、150℃の真空下(5kPa)で4時間熱架橋を施して、熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を得た。
<実施例2>
実施例1における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから104gとした以外は、実施例1と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<実施例3>
実施例1における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから117gとした以外は、実施例1と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<実施例4>
実施例1における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから104gとし、ゼラチン水溶液の液滴形成時の攪拌速度を120rpmから140rpmとした以外は、実施例1と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<実施例5>
実施例1における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから89gとし、ゼラチン水溶液の液滴形成時の攪拌速度を120rpmから160rpmとした以外は、実施例1と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<実施例6>
実施例1における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから104gとし、ゼラチン水溶液の液滴形成時の攪拌速度を120rpmから180rpmとした以外は、実施例1と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<実施例7>
実施例1におけるゼラチン水溶液の液滴形成時の攪拌速度を120rpmから550rpmとし、ゼラチン水溶液の液滴の冷却時の攪拌速度を180rpmから550rpmとした以外は、実施例1と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<実施例8>
実施例7における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから104gとした以外は、実施例7と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<実施例9>
実施例7における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから117gとした以外は、実施例7と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<比較例1>
実施例1における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから68gとした以外は、実施例1と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<比較例2>
実施例1における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから135gとした以外は、実施例1と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<比較例3>
実施例5における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を89gから60gとした以外は、実施例5と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<比較例4>
実施例5における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を89gから150gとした以外は、実施例5と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<比較例5>
実施例7における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから68gとした以外は、実施例7と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<比較例6>
実施例7における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を87gから135gとした以外は、実施例7と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<比較例7>
実施例5における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を89gから217gとした以外は、実施例5と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
<比較例8>
実施例5における豚皮由来ゼラチンのゼリー強度を89gから292gとした以外は、実施例5と同様にして熱架橋された中実球状のゼラチン粒子を作製した。
上記のようにして作製した実施例および比較例のゼラチン粒子を生理食塩水中に浸漬して膨潤させて、マイクロカテーテルまたは注射針内の通過性を以下に示す方法にて確認し、表1に記載した。さらに、実施例5および比較例7、比較例8にて作製したゼラチン粒子を膨潤させた後の粒子の30%圧縮応力を以下の方法にて測定し、表1に併記した。
<膨潤粒子のマイクロカテーテルまたは注射針内の通過性>
各実施例および比較例にて作製した乾燥粒子の粒子径を、マイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−500、倍率100〜700倍)にて50個測定した。その際の平均粒子径を乾燥粒径とした。
この乾燥粒子を染色液(ゲンチアナバイオレット5重量%水溶液)に10分間浸漬して染色後、生理食塩水に浸漬し、余分な染色液を洗浄する操作を行い、計30分間生理食塩水液に浸漬して膨潤した粒子の粒子径をマイクロスコープにて50個測定した。その際の平均粒子径を膨潤粒径とした。
表1に示す各内径のマイクロカテーテルもしくは注射針をシリンジに接続し、上記の操作によって膨潤させたゼラチン粒子を生理食塩水ごとシリンジ内に投入し、吐出させた。膨潤ゼラチン粒子がマイクロカテーテルもしくは注射針内を通過する際および通過後の状態をマイクロスコープにて観察し、膨潤粒子の通過性を判定した。
◎:マイクロカテーテルもしくは注射針内をスムースに通過し、通過後の粒子形状は略球状であった。
○:マイクロカテーテルもしくは注射針内を若干詰まりながらも通過し、通過後の粒子形状は略球状であった。
△:マイクロカテーテルもしくは注射針内をスムースに通過するが、通過後の粒子形状は変形または破砕していた。
×:マイクロカテーテルもしくは注射針内に詰まってしまい、粒子が通過できなかった。
<30%圧縮応力>
精製水にて20分間膨潤させたゼラチン粒子の30%圧縮応力を測定した。測定には微小圧縮試験機(島津製作所社製、MCT−211)を用い、以下の条件で測定した。
加圧圧子の種類:FLAT500
対物レンズの倍率:10倍
試験モード:圧縮試験
試験終了条件:設定試験力到達
試験力:20mN
負荷速度:1(1.1155mN/秒)
負荷保持時間:0秒
Figure 2014058465
表2の結果から、各実施例の膨潤ゼラチン粒子はいずれも膨潤粒子径よりも小さな径のマイクロカテーテルもしくは注射針内を通過し、通過後に略球形に戻ったことから、応力回復能を有し、通過性に優れる粒子であることが明らかである。一方、比較例1、比較例3、比較例5の膨潤ゼラチン粒子はマイクロカテーテルや注射針内を通過する際に砕けて破砕、もしくは変形したままの状態であった。これは粒子を形成するゼラチンのゼリー強度が80gに満たなかったため、変形後の応力回復能が低く、変形後の形状回復に至らなかったものと考えられる。また、比較例2、比較例4、比較例6はマイクロカテーテルまたは注射針を通過する際にマイクロカテーテルや注射針内で詰まってしまった。これは粒子を形成するゼラチンのゼリー強度が120gを超えるために、膨潤粒子が変形する際の応力が高すぎたためと考えられる。さらに、比較例7および比較例8においては、マイクロカテーテルまたは注射針内でゼラチン粒子が詰まってしまい、通過不可能であった。これはゼラチンのゼリー強度が200g以上と大きかったために、膨潤したゼラチン粒子がマイクロカテーテルや注射針内を通過する際に高い応力が加わり、充分な変形ができなかったものと推定される。
なお、ゼラチンの膨潤粒径が50μmの粒子においても、ゼリー強度が80g〜120gであれば、各実施例と同様の結果が得られるものと推測されるが、現在、医療用にて販売されているマイクロカテーテルや注射針の最小径以下の膨潤粒径であるので、通過性の評価を実施しなかった。

Claims (8)

  1. ゼリー強度が80〜120gのゼラチンからなり、熱架橋された中実球状の膨潤ゼラチン粒子であって、膨潤ゼラチン粒子の粒径が50〜2000μmであることを特徴とする膨潤ゼラチン粒子。
  2. 含浸液が生理食塩水である請求項1記載の膨潤ゼラチン粒子。
  3. 膨潤前の乾燥粒径が20〜1600μmである請求項1記載の膨潤ゼラチン粒子。
  4. 膨潤ゼラチン粒子が、20mNの試験力で負荷速度1.1155mN/秒、負荷保持時間0秒の圧縮応力を加えて変形させたのち圧縮応力を解放した際に、略球形状に変形回復する請求項1記載の膨潤ゼラチン粒子。
  5. 熱架橋が、膨潤前の乾燥ゼラチン粒子を真空下での加熱処理にて行われている請求項1記載の膨潤ゼラチン粒子。
  6. 膨潤ゼラチン粒子が、血管塞栓用ゼラチン粒子である請求項1記載の膨潤ゼラチン粒子。
  7. 請求項1記載の膨潤ゼラチン粒子に生理活性物質が溶解、保持されてなる生理活性物質徐放用ゼラチン粒子。
  8. 注射器内に生理食塩水と共に、請求項7記載の生理活性物質徐放用ゼラチン粒子を分散、充填したことを特徴とする生理活性物質投与用デバイス。
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