JP2014058455A - 薬剤揮散体 - Google Patents

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Abstract

【課題】常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を樹脂担体に練り込み成形して得られるフィラメントをメッシュ状に構成した薬剤揮散体において、ブリード性が改善されて樹脂メッシュ表面で防虫成分によるベタツキが生じにくくなり、かつ屋外での使用に際しても光の影響を受け難い薬剤揮散体の提供。
【課題の解決手段】常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を樹脂担体に練リ込み成形して得られるフィラメントをメッシュ状に構成した薬剤揮散体において、前記フィラメントを断面に切断し、その重心を通る最長径と最短径を求める時、最短径が0.2〜3.0mmであり、かつ、最長径/最短径の比率が1.2〜5.0である薬剤揮散体。
【選択図】図1

Description

本発明は、蚊、ブユ等の飛翔害虫を駆除および忌避するための薬剤揮散体に係り、更に詳しくは、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を含有するフィラメントをメッシュ状に構成した薬剤揮散体の改良に関するものである。
従来から、常温揮散性の防虫剤を空気中に揮散させることによって、害虫の駆除や忌避を行う防虫剤が知られている。
例えば、特許文献1には、撚った糸で作製したネット状物に防虫剤成分を含浸させたものを複数枚用いた薬剤揮散体が開示されている。
また、特許文献2には、樹脂成形体の表面に複数本の溝を300μm以下の間隔で形成し、害虫防除活性成分のベタツキを防止した害虫防除用成形体が開示されている。
特開2001−200239号公報 特開2009−19015号公報
ところで、これらの防虫具は、窓や玄関などに吊り下げられて使用される場合が多いが、この場合、防虫具を邪魔に感じたり、目障りに感じたりする場合がある。これに対しては、防虫具全体の大きさを小さくしたり、厚みを薄くしたりすることにより、防虫具の存在感を減らす方法が考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載の薬剤揮散体においては、防虫剤成分は撚った糸に含浸させているものの、糸の表面付近に付着又は含浸された状態にあるだけである。従って、撚り糸を断面に切断した時、その断面の形状によっては、防虫剤成分が断面の中央部に位置し外周部まで距離を有している場合もあるが、防虫剤成分の揮散速度は極めて速い。このため、使用の初期段階において比較的高い防虫効果を発揮し得ても、100日以上に至るような長期間の使用に十分対応することができなかった。また、防虫剤成分は撚り糸の表面付近にあるので、屋外での使用に際しては光の影響を受け易く、防虫剤成分の分解ロスが避けられないという問題もあった。
一方、特許文献2に記載の害虫防除用成形体は、害虫防除活性成分が樹脂担体に混錬した状態で担持されているため、特許文献1に記載の薬剤揮散体に比べて害虫防除活性成分の揮散速度を抑え安定化できるという特徴がある。しかしながら、樹脂成形体の表面に複数本の溝を300μm以下の間隔で形成するだけでは害虫防除活性成分によるベタツキを満足のいく程度に防止できておらず、害虫防除用成形体におけるブリード性が特許文献2で十分検討されているとは言い難い。また、特許文献2の害虫防除用成形体は、屋外使用での光の影響に関して何ら言及しておらず、この点においても改良の余地を残していた。
本発明者らは、前記した従来の問題点に鑑み、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を樹脂担体に練リ込み成形して得られるフィラメントをメッシュ状に構成した薬剤揮散体において、前記フィラメントの断面形状に着目し、鋭意検討を行った。即ち、本発明は、ブリード性を改善して樹脂メッシュ表面で防虫成分によるベタツキを生じにくくし、かつ屋外での使用に際し光の影響を受け難い薬剤揮散体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成が前記目的を達成するために優れた効果を奏することを見出したものである。
(1)常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を樹脂担体に練リ込み成形して得られるフィラメントを平面状又は立体状にメッシュを構成した薬剤揮散体において、前記フィラメントを断面に切断し、その重心を通る径のうち、最も長い径を最長径、最も短い径を最短径とするとき、最短径が0.2〜3.0mmであり、かつ、最長径/最短径の比率が1.2〜5.0である薬剤揮散体。
(2)前記最長径/最短径の比率が1.3〜3.5である(1)に記載の薬剤揮散体。
(3)前記フィラメントの断面が、楕円状、もしくは多角形状である(1)又は(2)に記載の薬剤揮散体。
(4)前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分が、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、及びエムペントリンの少なくとも1種である(1)ないし(3)のいずれか1に記載の薬剤揮散体。
本発明の薬剤揮散体は、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を樹脂担体に練リ込み成形して得られるフィラメントをメッシュ状に構成してなり、前記フィラメントの断面形状を最適化することによって、ブリード性が改善されて樹脂メッシュ表面で防虫成分によるベタツキが生じにくくなり、かつ屋外で使用しても光の影響を受け難いので極めて実用性が高い。
平面状ネットの例を示す斜視図 (a)立体構造体の例を示す斜視図、(b)(a)の正面図、(c)(b)のc−c断面図 (a)〜(c)この発明にかかるフィラメントの断面形状を示す図
本発明の薬剤揮散体は、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を樹脂担体に練り込んだ樹脂組成物を成形して得られる、複数のフィラメントが交差した平面状又は立体状のメッシュ構造を有する薬剤揮散体である。具体的には、前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を、好ましくは微粉末担体と共に樹脂担体に含有させた防虫成分含有樹脂組成物からなるペレットを、必要に応じて他の樹脂担体と混練後、押出成形又は射出成形してフィラメントを得、次いで、平面状又は立体状にメッシュを構成した揮散体、又は、前記の防虫成分含有樹脂組成物からなるペレットを射出成形等によって直接、平面状又は立体状にメッシュを成形した揮散体である。
[常温揮散性ピレスロイド系防虫成分]
前記の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分としては、常温において空気中に揮散する性質を有し、25℃における蒸気圧が0.001Pa以上0.1Pa以下程度であるものが好ましい。具体的には、揮散性能と安全性等の点から、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、及びエムペントリンの少なくとも1種があげられる。なお、これらの防虫成分については、各種の光学異性体または幾何異性体が存在するが、単独、混合物であれ、いずれの異性体類も使用することができる。
[樹脂担体]
前記の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を含有させる樹脂担体としては、担体の内部に混入された防虫成分が徐々に表面にブリードして揮散することができるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂のようなポリオレフィン系樹脂、あるいはこれらにカルボン酸エステル等の単量体を重合させて成形したものを挙げることができる。ここでカルボン酸エステル等の単量体は、前記防虫成分の樹脂担体表面からの揮散をコントロールするのに効果的なものであり、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル等が挙げられる。
なお、ポリオレフィン系樹脂に対するこれらのカルボン酸エステル単量体の配合比率は、一般に、カルボン酸エステル単量体配合比率が高くなるほど防虫成分のブリードの速度を遅らせる傾向があることから、使用する防虫成分の種類や含有量、あるいは使用目的等に応じ、ポリオレフィン系樹脂に対して1〜30質量%の範囲で適宜調整すればよい。
また、前記の樹脂担体は、あらかじめカルボン酸エステル単量体を多く含有するポリオレフィン系共重合体とオレフィンの単独重合体を、その含有比率を調整して混合したポリマーブレンドを用いることもできるし、さらには必要に応じて、スチレン系熱可塑性エラストマー等の他の高分子化合物を含有させることもできる。
本発明では、性能や使用性等の点から、エチレン−ビニルアセテート共重合体が好適であり、その中のエチレン単位とビニルアセテート単位との数比は、90:10〜70:30であると好ましい。ビニルアセテート単位が少なすぎると、ポリエチレンとほとんど物性が変わらなくなってしまい、本発明で必要とするブリード調整効果がほとんど期待できなくなってしまうからである。一方、ビニルアセテート単位が多すぎると樹脂ペレット状に成形しづらくなる。
また、前記のエチレン−ビニルアセテート共重合体のメルトマスフローレイト(MFR)は、5g/10min以上、50g/10min以下であると好ましい。MFRが小さすぎるとブリード調整剤としての効果が期待できなくなり、MFRが大きすぎると樹脂ペレットの物性に与える影響が無視できなくなってしまう恐れがある。
[微粉末担体]
本発明で用いる前記の微粉末担体は、樹脂ペレット内に常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を担持するために添加する成分である。例えば、いわゆるホワイトカーボンとよばれる微結晶シリカや微粉末ケイ酸、珪藻土、ゼオライト類、粘度鉱物、木粉等が挙げられる。
前記の微粉末担体の大きさは、数平均粒子径が1μm以上30μm以下であると好ましく、5μm以上20μm以下であるとより好ましい。数平均粒子径が30μmを超えると、前記範囲の含有率で存在していたとしても表面積が不足するため、担体として防虫成分を担持しにくくなり、得られる樹脂ペレットがべたつきやすくなる。一方、1μm未満の微粒子は現実的には難しく、物性が大きく変わってくるため好ましくない。
ホワイトカーボンのような微結晶シリカなどを含む微粉末担体は、防虫成分と反応せず、表面積の広い微粉末を用いることができる。これらの微粉末担体は防虫成分を担持してベタツキを抑え、その結果、樹脂成分と共に混練して得られる樹脂ペレットも、全体がべたつきにくくなりマスターバッチとして好適に利用できるものとなる。
[防虫成分含有樹脂ペレット]
前記の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を、好ましくは微粉末担体と共に樹脂担体に練り込んで含有させることにより、前記防虫成分を含有する樹脂組成物からなるペレット、すなわち、防虫成分含有樹脂ペレットが得られる。
前記樹脂担体の配合量は、前記防虫成分含有樹脂ペレット全体に対して、10質量%以上含有すると好ましく、20質量%以上であるとより好ましい。10質量%未満では、前記防虫成分含有樹脂ペレット状態において過度なブリードを抑制する効果が不十分になってしまう。一方、上限は90質量%以下であると好ましく、60質量%以下であるとより好ましい。多すぎると、前記防虫成分含有樹脂ペレットをマスターバッチとして用い、前記他の樹脂担体と混練して得られた樹脂成形体においてもブリードを抑制しすぎてしまい、本来の目的である常温揮散性ピレスロイド系防虫成分の揮散による防虫効果が過度に低減される恐れを有するためである。本発明によれば、10質量%以上90質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体及び/又はエチレン−メタクリル酸メチル共重合体と混練させることにより、得られる樹脂ペレットのブリードを適度な範囲で調整することが可能となる。
前記微粉末担体の含有量は、前記防虫成分含有樹脂ペレット全体に対して、10質量%以上30質量%以下であると好ましく、15質量%以上25質量%以下であるとより好ましい。10質量%未満では微粉末担体として少なすぎて、防虫成分を担持しきれず、防虫成分のブリードが過大になる恐れがある。一方、30質量%を超えると、樹脂担体との配合比上、前記防虫成分含有樹脂ペレットとしての形を維持するのが難しくなってしまう。また、前記防虫成分含有樹脂ペレットを用いた成形品にも含有されることになるので、多すぎると薬剤揮散体の物性に影響を及ぼす危惧が避けられない。
[他の樹脂担体]
更に、前記防虫成分含有樹脂ペレットの重量調整や物性の調整のために、前記のエチレン−ビニルアセテート共重合体等の樹脂担体の他に、他の樹脂担体を混練させてもよい。他の樹脂担体として、ポリオレフィン系樹脂やスチレン系樹脂を含有してもよい。このポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などがあげられるが、エチレン−ビニルアセテート共重合体やエチレン−メタクリル酸メチル共重合体との親和性から、ポリエチレンが好ましく、成形性の点で特に低密度ポリエチレン、具体的には分岐低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。
[防虫成分含有樹脂ペレットの製造]
この防虫成分含有樹脂ペレットは、前記樹脂担体を加熱し、ここに前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分、必要に応じて、微粉末担体や、加熱した他の樹脂担体を混練して樹脂組成物を得、これをペレット化して冷却することにより製造することができる。
この加熱温度は、使用する樹脂担体の樹脂の種類や、他の樹脂担体の樹脂の種類によるが、通常100〜140℃程度が適当である。例えば、後記するエチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン710)の融点は70℃であり、十分な混練が可能である。140℃を超えて加熱温度を高くし過ぎると前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分の熱分解や蒸散ロスを招く恐れがあるので好ましくない。
前記を踏まえ、防虫成分含有樹脂ペレットを構成する樹脂組成物の代表的な組成としては、10質量%以上60質量%以下の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と、10質量%以上30質量%以下の微粉末担体と、10質量%以上60質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体等の樹脂担体とを含有させた組合せがあげられる。
[他の樹脂担体の混合時期]
ところで、上記の他の樹脂担体は、前記の通り、前記防虫成分含有樹脂ペレットの製造段階に含有させてもよく、また、この他の樹脂担体を含有させずに前記防虫成分含有樹脂ペレットを成形し、次いで、この防虫成分含有樹脂ペレットを前記他の樹脂担体を用いて希釈し、混練・成形することにより、前記薬剤揮散体を得てもよい。
このときの希釈倍率は、1.5倍以上で上限は5倍程度が好ましい。1.5倍より小さいと希釈する工程上のメリットがなくなり、一方、5倍を越えると当然のことながら防虫成分の含有量が低くならざるを得ないという問題を生じる。
[薬剤揮散体]
前記の防虫成分含有樹脂ペレットは、成形されて薬剤揮散体とする。また、前記の通り、前記の防虫成分含有樹脂ペレットに前記他の樹脂担体が含有されていない場合は、前記防虫成分含有樹脂ペレットを前記他の樹脂担体を用いて希釈し、混練・成形して薬剤揮散体としてもよい。
この薬剤揮散体の形状は、前記防虫成分が表面から自然に揮散する状態になっていればよい。揮散効率の点から、前記の防虫成分含有樹脂ペレットを平面状又は立体状にメッシュを構成するように成形することが好ましい。この成形方法としては、まず、前記の防虫成分含有樹脂ペレットを押出成形や射出成形等によって成形してフィラメントを得、次いで、平面状又は立体状にメッシュを構成する方法や、前記の防虫成分含有樹脂ペレットを射出成形等によって直接、複数のフィラメントを交差させた、平面状又は立体状のメッシュを成形する方法があげられる。なお、フィラメントとは、一方向に長い線状体をいう。
前記のメッシュ構造の例としては、図1に示すような平面状のネット1や、図2(a)〜(c)に示すような、立体状の構造体2をあげることができる。なお、前記のメッシュ構造を有する薬剤揮散体の形状としては、これらの例に限定されるものではない。
図1に示す平面状のネットは、前記フィラメントを、格子状に交差させて、平面状の格子構造を形成させたものである。
また、図2(a)〜(c)に示す立体状の構造体2は、図2(c)に示される矩形状の波状体21のフィラメントを、頂部において2本の波状体21をほぼ直角に交差するようにしたものである。また、前記立体構造体2においては、1つの頂部含有面に含まれる少なくとも2つの頂部同士を直線状の棒状体からなる補強材22で補強される。この頂部含有面とは、前記立体構造体を構成する面であって、頂部が配される面をいう。
このような立体構造体2は、平面状のネット1に比べて、一定の体積内に存在するフィラメントの表面積を増加させることができる。さらに、前記補強材22を用いると、前記フィラメントの表面積をより増加させることができ、かつ、立体構造体の強度も向上させることができる。
なお、周縁部は、立体構造体の強度、形状、外部容器等との関係で、適宜決定される。
[フィラメントの断面形状]
本発明は、樹脂担体中のブリード性の最適化と、屋外での使用に際し防虫成分が光の影響を受け難い形状を実現することを目的とする。これらの目的を達成するため、前記フィラメントを断面に切断し、その重心を通る径のうち、最も長い径を最長径(a)、最も短い径を最短径(b)とするとき、最短径(b)及び最長径(a)/最短径(b)の比率が次の条件を満たすことが必要となる。なお、「径」とは、図形の差し渡しの長さのことをいう。
具体的には、最短径(b)は、0.2mm以上が必要である。0.2mm未満であると、フィルム状に近い形状となり、ブリードが過度に速い状態や光の影響を受けて防虫成分の分解ロスを生じることが避けられない。一方、最短径(b)の上限は、3.0mmが必要である。3mmを越えると、ブリードが抑えられる傾向が強まり、また、後記する樹脂メッシュの網目(目開き)の大きさ(開孔率)が狭まって揮散効率の低下を招く恐れを生じる。
さらに、最長径(a)/最短径(b)の比率は、1.2以上が必要で、1.3以上が好ましい。一方、(a)/(b)の比率の上限は、5.0が必要で、3.5が好ましい。従来の知見では、前記フィラメントの断面は、円形(即ち、断面の重心を通る最長径(a)と最短径(b)の比率、最長径(a)/最短径(b)が1.0)が標準とされていたが、本発明者らが鋭意検討した結果によれば、最長径/最短径の比率が1.2〜5.0、好ましくは1.3〜3.5である時に、防虫成分が樹脂メッシュ内部から効率的にブリードし、樹脂メッシュ表面にベタツキを生じにくくなることが認められた。
前記のような条件を満たす前記フィラメントの断面形状としては、図3(a)に示す楕円状や、図3(b)に示す正方形状、図3(c)に示すひし形状、図示しないが長方形状や台形状等の多角形状等があげられるが、これらに限定されない。なお、図3(a)〜(c)において、aは最長径を示し、bは最短径を示す。
また、メッシュの網目(目開き)の大きさ(開孔率)は、前記平面状のネット1の場合、その条件から見たときにおいて、また、前記立体構造体2の場合、図2(b)に示すような上面から見たときにおいて、揮散効率と通気性の点から40〜85%の範囲にすることが好ましく、更には50〜75%にすることがより好ましい。
また、メッシュの網目の形状については、図1に示す四角形や、図2(a)〜(c)に示す三角形状に限定されるものではなく、必要に応じて角形、ひし形、六角形など適宜設定することができる。
[飛翔害虫忌避香料組成物]
ところで、本発明の薬剤揮散体には、前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分に加えて、特に使用の初期段階における香りの付与と防虫効果の補強を目的として、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分に加えて、飛翔害虫忌避香料組成物を含有することができる。
前記の飛翔害虫忌避香料組成物は、飛翔害虫忌避香料、及び忌避効果持続成分を含む組成物である。
前記飛翔害虫忌避香料としては、下記の一般式(I)で表される酢酸エステル化合物、及び/又は一般式(II)で表されるアリルエステル化合物から選ばれる1種又は2種以上の香料成分(a)と、モノテルペン系アルコールもしくは炭素数が10の芳香族アルコールから選ばれる1種又は2種以上の香料成分(b)を含有する成分があげられる。
CH−COO−R (I)
(式中、Rは炭素数が6〜12のアルコール残基を示す。)
−CH−COO−CH−CH=CH (II)
(式中、Rは炭素数が4〜7のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、又はフェノキシ基を示す。)
前記一般式(I)で表される酢酸エステル化合物の具体例としては、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、o−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、p−tert−ペンチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ベンジルアセテート、フェニルエチルアセテート、スチラリルアセテート、アニシルアセテート、シンナミルアセテート、テルピニルアセテート、ジヒドロテルピニルアセテート、リナリルアセテート、エチルリナリルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、ボルニルアセテート、及びイソボルニルアセテート等があげられる。
また、一般式(II)で表されるアリルエステル化合物の具体例としては、アリルヘキサノエート、アリルヘプタノエート、アリルオクタノエート、アリルイソブチルオキシアセテート、アリルn−アミルオキシアセテート、アリルシクロヘキシルアセテート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、アリルフェノキシアセテート等があげられる。
更に、(b)成分の具体例としては、テルピネオール、ゲラニオール、ジヒドロミルセノール、ボルネオール、メントール、シトロネロール、ネロール、リナロール、エチルリナロール、チモール、オイゲノール、及びp−メンタン−3,8−ジオール等があげられる。
前記(a)の前記(b)に対する配合比率は、0.1〜1.0倍量が好ましい。この範囲であれば飛翔害虫に対して高い忌避効果を奏することが認められた。
なお、前記飛翔害虫忌避香料としては、前記以外の香料成分、例えば、リモネン等のモノテルペン系炭化水素、メントン、カルボン、プレゴン、カンファー、ダマスコン等のモノテルペン系ケトン、シトラール、シトロネラール、ネラール、ペリラアルデヒド等のモノテルペン系アルデヒド、シンナミルフォーメート、ゲラニルフォーメート等のエステル化合物、フェニルエチルアルコール、ジフェニルオキサイド、インドールアロマ、もしくは、前記香料成分を含む種々精油類、例えば、ジャスミン油、ネロリ油、ペパーミント油、ベルガモット油、オレンジ油、ゼラニウム油、プチグレン油、レモン油、シトロネラ油、レモングラス油、シナモン油、ユーカリ油、レモンユーカリ油、タイム油等を適宜添加しても構わない。
前記忌避効果持続成分としては、20℃における蒸気圧が0.2〜20Paのグリコール及び/又はグリコールエーテルの1種又は2種以上を用いるのが好ましい。従来、グリコール及び/又はグリコールエーテルは、エタノール、イソプロパノールや灯油等と同列に溶剤として羅列され、また、飛翔害虫に対する効果は何ら言及されていないのであるが、本発明者らは、当該グリコール及び/又はグリコールエーテルが溶剤としてのみならず、飛翔害虫忌避香料に対して特異的に忌避効果の持続作用を奏し、芳香性の飛翔害虫忌避香料を用いた場合には初期の香調をも持続させ得ることを知見したものである。
前記忌避効果持続成分の具体的代表例(20℃における蒸気圧を併記)としては、プロピレングリコール(10.7Pa)、ジプロピレングリコール(1.3Pa)、トリプロピレングリコール(0.67Pa)、ジエチレングリコール(3Pa)、トリエチレングリコール(1Pa)、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール(6.7Pa)、ベンジルグリコール(2.7Pa)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(3Pa)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルがあげられ、なかんずく、ジプロピレングリコールが好適である。
前記忌避効果持続成分の前記飛翔害虫忌避香料に対する配合比率は、0.2〜10倍量が好ましい。この範囲であれば飛翔害虫忌避香料に対してその忌避効果を十分持続させ得ることを認めた。
ところで、前記飛翔害虫忌避香料組成物を配合する場合、それの前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分に対する配合比率は、0.2〜2倍量程度が適当である。香料組成物の配合量が少ないと香りを付与する目的が達せられないし、一方、多すぎると香りが強すぎたり、防虫成分の揮散に影響を及ぼす恐れがあるので好ましくない。
前記飛翔害虫忌避香料組成物を用いる場合においては、前記防虫成分含有樹脂ペレットを調製する際に、飛翔害虫忌避香料組成物を含有させてもよいが、前記防虫成分含有樹脂ペレットと飛翔害虫忌避香料成分含有ペレットをそれぞれ調製した後、両ペレットを混練させる方が好ましい。これは、飛翔害虫忌避香料成分含有ペレット製造時の加熱温度は90〜130℃で、防虫成分含有樹脂ペレットの場合の110〜140℃に較べて低く、別々にペレットを調製する方が、揮散性の高い香料組成物に対してはロスを低減させる上で有利だからである。
[常温揮散性ピレスロイド系防虫成分の含有量]
前記薬剤揮散体の樹脂担体に担持される前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分の含有量は、使用する防虫成分の種類、使用環境、使用条件などによって変動することから、特に限定されるものではない。しかしながら、防虫効果に必要な防虫成分量を確保し、また防虫成分を練り込んだ後の成形を容易にするため、さらに樹脂担体の表面に防虫成分が過剰にブリードしてベタツキを起こすことを防止するために、0.5〜20質量%の範囲にすることが好ましい。
防虫成分の含有量が0.5質量%未満の場合には、防虫効果を奏するに必要な防虫成分量を確保することが困難となり、一方、防虫成分の含有量が20質量%を超える場合には、防虫成分を練り込んだ後の成型が困難となり、さらに樹脂担体の表面に防虫成分が過剰にブリードしてベタツキを起こしやすくなる。
ここで、前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分の含有量を例示すれば、30〜200日程度の使用期間に対応して30〜1400mg程度の量をあげることができる。
すなわち、含有量を設定するに当たっては、使用する防虫成分の種類により異なるものの、例えば、メトフルトリン単独を使用した場合では、防虫効果が発現するのに必要な最低の揮散量は0.03mg/hr以上であり、プロフルトリン単独では0.03mg/hr以上であり、トランスフルトリン単独では0.06mg/hr以上であることから、30日〜200日における含有量についてはメトフルトリンでは30〜700mg、プロフロトリンでは30〜700mg、トランスフルトリンでは60〜1400mgの範囲で設定すればよいことになる。
[他の添加物]
本発明の薬剤揮散体は、前述したとおり、特に使用の初期段階における香りの付与と防虫効果の補強を目的として、前記飛翔害虫忌避香料組成物を含有することができるが、加えて、より長期間にわたり芳香を持続させうる持続性香料成分、例えば、ガラクソリド、ムスクケトン、エチレンブラシレート、メチルアトラレート等を必要に応じて配合しても構わない。
更に、共力剤、忌避剤、抗菌剤、防黴剤、他の機能性成分等も同時に使用可能であり、例えば、前記共力剤としては、イソボルニルチオシアノアセテート(商品名:IBTA)、N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド(商品名:サイネピリン222)、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ〔2,2,2〕オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(商品名:サイネピリン500)等が挙げられる。
前記忌避剤としては、N,N−ジエチル−m−トルアミド(商品名:ディート)、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2−エチル−1,3−へキサンジオール、1,4,4a,5a,6,9,9a,9b−オクタヒドロジベンゾフラン−4a−カルバルデヒド、p−メンタン−3,8−ジオール等が挙げられる。
前記抗菌剤としては、ヒノキチオール、テトラヒドロリナロール、オイゲノール、シトロネラール、アリルイソチオシアネート等が挙げられる。
前記防黴剤としては、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール等が挙げられる。
前記他の機能性成分としては、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合のストレス軽減成分などが挙げられる。
更に、着色剤(着色顔料)、帯電防止剤などを適宜配合してもよく、色彩を付加したり、タイムインジケーターを装着して使用終了時点を視認できるようにすれば、商品価値をより高めることができる。
本発明で用いる常温揮散性ピレスロイド系防虫成分は、いずれも十分な安定性を有しているが、更に安定性を高めるため、酸化防止剤等の安定剤を添加することも可能であり、例えば、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、BHT、BHA、3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール等を用いることができる。
また、紫外線吸収阻害剤としてパラアミノ安息香酸類、桂皮酸類、サリチル酸類、ベンゾフェノン類及びベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤を用いることにより、保管時、使用時の耐光性を一段と向上させることができる。
[収納容器]
本発明において、薬剤揮散体は、収納容器に収納されて使用される。この薬剤揮散体を収納するプラスチック容器としては、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を安定的に揮散できるものであれば、特に形状や大きさには限定されないが、揮散効率の点から、開口部の容器に占める比率(開口率)が、容器の全表面積に対し10〜50%の範囲となるようにすることが好ましい。
なお、開口部の面積が前記の範囲であれば、開口部が容器の正面、背面にあるものだけでなく側面や上面、下面に開口するものでもよく、また、開口部の形状についても特に限定されるものではない。
前記プラスチック容器の形状についても特に限定されず、樹脂担体が円筒状であれば、これに対応させて容器も円筒状にしても構わないし、例えば、空気清浄機取付け用に適用するような場合には、容器を適宜簡略化し、樹脂担体を保持するだけで用いることもできる。
前記プラスチック容器の構造としては、例えば、平面シート状のプラスチック部材を折り曲げたものや、プラスチックの一体成形品等があげられる。
前記の平面シート状のプラスチック部材を折り曲げたものは、容器は前記折り曲げた部材の2つを一組として用い、それぞれの部材の折り曲げ面が重なり合うように組み立てられる。
さらに、前記折り曲げた部材の折り曲げ面の端部には切り目を入れた舌片部を設けて、折り返し立上げが可能なようにフック部を延設することもできる。なお、この場合には、背面上方には前記フック部が折り込まれるための収納窓を設けていてもよい。これによって、各種の使用方法に応じた使い方が可能となる。
すなわち、ここで示したフック部の先端部分を前記の容器の、例えば上面部分に係止すると、屋外で使用の場合には容器が風などで飛ばされたり、屋内で吊るした場合には使用時に誤って落下するなどの問題がなくなり、使用したい場所で確実な効果を期待することができるのである。
次に、前記のプラスチックの一体成形品とは、通常の射出成形または真空成形で成形したもの等であれば成形方法は問わないが、上面と下面、正面と背面をヒンジを用いて一体としたり、嵌合したりすることによって一体とすれば、製造工程をより簡略化することができる。また、この場合、容器の上面部分には立上げ可能にフック部が設けられているとより効果的に使用することができる。
すなわち、前述と同様に、ここで示したフック部の先端部分を使用時に前記の容器の一部、例えば上面に設けた開口部や凹部に係止できる構成にすると、屋外で使用の場合には容器が風などで飛ばされたり、屋内で吊るした場合には使用時に誤って落下するなどの問題がなくなり、使用したい場所で確実な効果を期待することができる。
また、容器のどの部分に係止するかは、製造する際に適宜選択する事項ではあるが、フック部が設けられている面と同一面上に係止すれば、使用時に容器が設置位置から移動してしまうことを防止することができるので好ましい。
これら平面シート状のプラスチック部材やプラスチックの一体成型品に用いられるプラスチックの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド等、種々のプラスチック材料が使用可能であるが、強度やその性質を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いた方が好ましい。
また、これらのプラスチックの厚みは、種々のものが使用可能であるが、樹脂担体の形状やその揮散性能との関係、経済性などの点から、0.05〜2mmのものを使用することが好ましい。
[収納袋]
本発明の薬剤揮散体は、一般的に収納容器に収納後、薬剤非透過性フィルム袋に収容されて市販され、使用時に開袋して用いられる。もちろん、薬剤揮散体のみを薬剤非透過性フィルム袋に収容して市販し、使用時に袋から取り出された薬剤揮散体を収納容器に装填するようにしてもよい。ここで、薬剤非透過性フィルム袋の材質としては、ポリエステル(PET、PBTなど)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアクリルニトリルなどがあげられ、その肉厚は可撓性を損なわない範囲で決定される。なお、ヒートシール性を付与するために、これら薬剤非透過性フィルムの内面をポリエチレンやポリプロピレンフィルム等でラミネートすることもできる。
[用途]
本発明によって調製される薬剤揮散体は、使用直後からおよそ200日間までのその設計仕様に応じた所定期間にわたり、リビングや和室、玄関などの室内、倉庫、飲食店、工場や作業場内部やその出入り口、鶏舎、豚舎等の畜舎、犬小屋、ウサギ小屋等のペット小屋やその周辺、浄化槽やマンホールの内部、キャンプなどにおけるテント内部やその出入り口、バーベキュー、釣り、ガーデニング等の野外活動場所やその周辺などで、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類、ブユ、ユスリカ類、ハエ類、チョウバエ類、イガ類等に対して優れた防虫効果を奏する。また、室内と室外を隔てる窓やベランダ等の場所で、例えばそのフック部をカーテンレール等に引っ掛けたり、物干し竿に吊るして使用すれば、屋外から屋内へのこれら害虫の侵入を効果的に防ぐこともでき、極めて実用的である。
さらに、薬剤揮散体を円筒状に形成してペット犬のリード装着用としたり、適宜容器を簡略化して空気清浄機等の取付け用として用いることもできる。
[薬剤揮散体の特徴]
本発明の薬剤揮散体は、前記の構成を有することにより、品質上安定して製造することができる。
次に、実施例を用いて、本発明の薬剤揮散体を説明する。なお、以下に述べる実施例は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
まず、使用した薬剤、及び性能の評価方法について説明する。
<使用薬剤>
・メトフルトリン(住友化学(株)製:エミネンス)
・トランスフルトリン(住友化学(株)製:バイオスリン)
・プロフルトリン(住友化学(株)製:フェアリテール)
・微結晶シリカ(EVONIK社製:カープレックス#80、ホワイトカーボン、平均粒子径:15μm、以降「シリカ」と記す。)
・エチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン710、エチレン:酢酸ビニル単位比=72:28、以降「EVA−A」と記す。)
・エチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン541、エチレン:酢酸ビニル単位比=90:10、以降「EVA−B」と記す。)
・エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)製:アクリフトWK307、以降「EMMA」と記す。)
・低密度ポリエチレン(旭化成(株)製:サンテックLDM6520、以降「LDPE−A」と記す。)
・低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製:ノバテックLDLJ802、以降「LDPE−B」と記す。)
<樹脂メッシュのブリード性試験>
常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を所定量含有させた樹脂メッシュ(約5g)をアルミ製袋に入れ密封した。40℃で7日間保存後、樹脂メッシュの表面に染み出した油浮きの状況を目視で観察し、下記の基準で評価した。
油浮きなし;○、
表面がテカる程度;△、
はっきりした油浮きが見られる;×。
<樹脂メッシュの光安定性試験>
常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を所定量含有させた樹脂メッシュ(約5g)の一部を試料とし、これを直径7cmのガラスシャーレに入れ、蓋をして防虫成分が系外に揮散しないようにした。5月から7月の晴れた10日間、屋外で午前9時から午後4時まで太陽光線に曝した後、樹脂メッシュ中の防虫成分量をガスクロマトグラフィにより分析して回収率を求めた。
<揮散性薬剤の揮散性評価試験>
常温揮散性ピレスロイド系防虫成分の揮散量は、所定期間経過後に薬剤揮散体に含まれる防虫成分量をガスクロマトグラフィにより分析して測定した。
<防虫効力試験>
所定期間経過後の薬剤揮散体を8畳(33m)の部屋に置き、25℃で風を循環させながら、アカイエカ雌成虫100匹を放ち、その後の経時的なノックダウン数を2時間後まで観察し、プロビット法によりKT50値を求めた。
(実施例1)
<樹脂ペレットの製造方法>
下記に記載の混合比で、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分、微粒末担体、エチレン−ビニルアセテート共重合体及び/又はエチレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びその他の樹脂を混合した。即ち、50℃に加温したメトフルトリン28重量部をホワイトカーボン16重量部に担持させた後、これにエチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA−A)40重量部、及びLDPE(LDPE−A)16重量部を、(株)テクノベル製:二軸押出し成形機を用いて、120〜140℃で混練・押出成形し、直径3mm、長さ5mmのメトフルトリン含有樹脂ペレットを製造した。
<成形体の製造>
前記メトフルトリン含有樹脂ペレット100重量部とLDPE(LDPE−B)300重量部(着色剤ペレット10重量部を含む)を120〜140℃で混練後、インジェクション成形機に投入し、図2に示す立体構造体からなる薬剤揮散体(10g)を得た。
この立体構造体を構成する矩形波状体21及び補強材22のフィラメントの断面形状は、1.3mm×1.3mmの正方形で、最短径(b)が1.3mm、最長径(a)/最短径(b)の比率は1.4であった。なお、この立体構造体を構成する矩形波状体1の第1頂部1aと第2頂部1bとの間の距離は10mm、第1頂部21a及び第2頂部21bの長さはいずれも8mmとし、薬剤揮散体全体の大きさを、95mm×160mm×12mmとした。
得られた薬剤揮散体につき、ブリード性試験及び光安定性試験を行ったところ、樹脂メッシュ表面においてベタツキは全く観察されず、防虫成分・メトフルトリン回収率も98%で良好であった。
また、当該薬剤揮散体を開口部を有するプラスチック容器に入れて室内に吊るし、25℃、風速0.5mの条件下で、揮散性薬剤の揮散量ならびに揮散時間を測定した。
その結果、メトフルトリンの揮散時間はおよそ200日で、全期間を通じた平均の揮散量は2.3mg/日であった。更に、150日経過後の防虫効力試験の結果も、KT50値が33分で優れたものであった。
(実施例2)
実施例1に準じ、表1に示す薬剤揮散体を用いて、平面状ネットタイプの130日用薬剤揮散体(4.8g)を調製した。なお、薬剤揮散体は、他の樹脂担体として、LDPE(LDPE−B)を用いて調製し、防虫成分がトランスフルトリンの場合は、薬剤揮散体保存時の結晶析出防止成分としてジブチルサクシネートも併せて配合した。
このネットは、網目が4mm×4mmの筒状形状を有し、筒状を平らに押さえた時の全体の大きさは80mm×150mmであった。
各供試薬剤揮散体につき、ブリード状態及び光安定性を調べ、更に所定期間使用後、揮散性評価試験及び防虫効力試験を行った。これらの結果を併せて表2に示す。
Figure 2014058455
Figure 2014058455
試験の結果、本発明の薬剤揮散体、即ち、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を樹脂担体に練リ込み成形して得られるフィラメントをメッシュ状に構成した薬剤揮散体において、前記フィラメントを断面に切断し、その重心を通る最長径と最短径を求める時、最短径が0.2〜3.0mmであり、かつ、最長径/最短径の比率が1.2〜5.0である薬剤揮散体は、樹脂メッシュ内の防虫成分ブリード性及び屋外使用での光安定性に優れ、使用100日後における防虫成分揮散量、ならびに防虫効力も満足のいくものであった。なお、フィラメント断面の形状としては、最長径/最短径の比率が1.3〜3.5の略楕円形状や略多角形状のものがより好ましかった。
これに対し、フィラメント断面が円形の比較例1では、略楕円状に較べてベタツキを生じやすい傾向があった。また、比較例2のように、最短径が0.2mm未満で実質フィルム状のものは屋外で光の影響を受けて防虫成分の分解ロスを生じ、一方、最短径が3.0mmを超える比較例3の場合、最長径/最短径の比率が1.3〜3.5の範囲内であっても防虫成分が効率よくブリードせず本発明の目的に合致しなかった。
本発明は、薬剤揮散体を用いた害虫防除分野において須らく利用可能である。
1 平面状ネット
2 立体構造体
21 矩形波状体
21a 第1頂部
21b 第2頂部
22 補強材
a 最長径
b 最短径

Claims (4)

  1. 常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を樹脂担体に練り込んだ樹脂組成物を成形して得られる、複数のフィラメントが交差した平面状又は立体状のメッシュ構造を有する薬剤揮散体において、
    前記フィラメントを断面に切断し、その重心を通る径のうち、最も長い径を最長径、最も短い径を最短径とするとき、
    最短径が0.2〜3.0mmであり、かつ、最長径/最短径の比率が1.2〜5.0であることを特徴とする薬剤揮散体。
  2. 前記最長径/最短径の比率が1.3〜3.5であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤揮散体。
  3. 前記フィラメントの断面が、楕円状、もしくは多角形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤揮散体。
  4. 前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分が、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、及びエムペントリンの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤揮散体。
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