JP2014083023A - 薬剤揮散装置 - Google Patents

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智宏 柿木
Seiichi Kajima
誠一 鹿島
Yumi Kawajiri
由美 川尻
Koji Nakayama
幸治 中山
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Abstract

【課題】振り子運動を利用するとともに、従来のファン式蚊取と遜色ない揮散性能を保持する薬剤揮散装置の提供。
【課題の解決手段】揮散装置本体と、これに振り子運動可能に取付けられる振り子部材とからなり、前記振り子部材の上端部に薬剤揮散体及び下端部に永久磁石が備えられ、前記揮散装置本体には前記永久磁石と対向可能な位置に電磁石が設置されており、前記永久磁石と電磁石との吸引力並びに反発力から生じる振り子運動を利用して前記薬剤揮散体から防虫成分を揮散させる薬剤揮散装置において、
前記薬剤揮散体は、25℃における蒸気圧が1〜100mPaである揮散性ピレスロイド系防虫成分を含有したものであり、しかも前記薬剤揮散体がその振り子運動により1分間あたり動作する角度の累計(角振幅×振動数)をラジアンで表したとき、5π〜150πラジアン/分の範囲である薬剤揮散装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、蚊、ブユ等の飛翔害虫を駆除および忌避するための薬剤揮散装置に係り、更に詳しくは、振り子運動を利用して揮散性ピレスロイド系防虫成分を揮散させるための薬剤揮散装置に関するものである。
従来から、熱や風力等のエネルギーを利用し、揮散性の薬剤を空気中に揮散させることによって、害虫の駆除や忌避が行われてきた。前者の熱を利用する方法としては、蚊取線香や液体蚊取等があり、後者の風力については、電池でモーターを駆動させてファンを回転せしめ、生起する風を薬剤に当てて揮散させる、いわゆるファン式蚊取が広く普及している。しかしながら、前者の製剤は加熱を必要とすることから安全性の点で問題を有しており、一方、後者のファン式蚊取においては、モーターの耐久性や薬剤の使用期限表示の困難性等が指摘されている。
かかる状況を踏まえ、非加熱であって、モーターを駆動源として使用しない新しいタイプの薬剤揮散装置が提案されている。例えば、特許文献1(特開2000−197438号公報)には、ゼンマイを動力源とし、該ゼンマイの復元力によって殺虫剤担体から殺虫剤を揮散させる殺虫器が記載されている。しかしながら、ゼンマイの復元力をコントロールする複雑な制御機構を必要とするため、実用化が難しいのが実情である。
また、特許文献2(特開2006−68505号公報)は、永久磁石と電磁石との吸引力並びに反発力に基づく振り子運動を利用した芳香拡散装置を開示する。一般的に、振り子運動によるエネルギーはモーターを駆動源とするファンの風力に較べると小さく、振り子運動を利用する方式は揮散性の極めて高い芳香剤に適用できても防虫成分を対象とするのは困難というのが従来の知見であった。
特開2000−197438号公報 特開2006−68505号公報
しかるに、本発明者らは、鋭意試験を繰返し、特定の蒸気圧を有する防虫成分であれば、特定の振り子運動条件を組み合わせることによって、振り子運動を利用した薬剤揮散装置を実現できることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、振り子運動を利用するとともに、従来のファン式蚊取と較べてさほど遜色なく効率的に薬剤を揮散させ得る薬剤揮散装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成が前記目的を達成するために優れた効果を奏することを見出したものである。
(1)揮散装置本体と、これに振り子運動可能に取付けられる振り子部材とからなり、前記振り子部材の上端部に薬剤揮散体及び下端部に永久磁石が備えられ、前記揮散装置本体には前記永久磁石と対向可能な位置に電磁石が設置されており、前記永久磁石と電磁石との吸引力並びに反発力から生じる振り子運動を利用して前記薬剤揮散体から防虫成分を揮散させる薬剤揮散装置において、
前記薬剤揮散体は、25℃における蒸気圧が1〜100mPaである揮散性ピレスロイド系防虫成分を含有したものであり、しかも前記薬剤揮散体がその振り子運動により1分間あたり動作する角度の累計(角振幅×振動数)をラジアンで表したとき、5π〜150πラジアン/分の範囲である薬剤揮散装置。
(2)前記揮散性ピレスロイド系防虫成分が、メトフルトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、及びエムペントリンから選ばれた1種以上である(1)に記載の薬剤揮散装置。
(3)前記薬剤揮散体が、繊維状物からなる平板状の構造体である(1)又は(2)に記載の薬剤揮散装置。
(4)前記平板状の構造体が、空隙を有するメッシュ構造である(3)に記載の薬剤揮散装置。
(5)前記平板状の構造体の平面部分を振動方向に対し垂直になるように設置した(3)又は(4)に記載の薬剤揮散装置。
本発明の薬剤揮散装置は、非加熱であって、駆動源としてモーターではなくエネルギー的に小さな振り子運動を利用しながら、従来のファン式蚊取と較べてさほど遜色なく効率的に薬剤を揮散させ得るのでその実用性は極めて高い。
本発明の薬剤揮散装置の一例の斜視図を示す。 本発明で用いる平面状の薬剤揮散体の斜視図を示す。 本発明で用いる立体状の薬剤揮散体の斜視図を示す。
本発明の薬剤揮散装置(1)は、揮散装置本体(11)と、これに振り子運動可能に取付けられる振り子部材(12)とからなり、前記振り子部材の上端部に薬剤揮散体(13)及び下端部に永久磁石(14)が備えられ、前記揮散装置本体には前記永久磁石と対向可能な位置に電磁石(15)が設置される。
[揮散性ピレスロイド系防虫成分]
本発明において、前記薬剤揮散体(13)に含有される薬剤は、25℃における蒸気圧が1〜100mPaである揮散性ピレスロイド系防虫成分に特定される。従来、振り子運動を利用した薬剤揮散装置に適用される薬剤としては、揮散性が極めて高く、25℃における蒸気圧が100mPaを超えるような香料成分に限られると考えられていたが、本発明者らは振り子運動の動態を種々検討する過程で、振り子運動のある条件を組み合わせれば蒸気圧が1〜100mPaの揮散性ピレスロイド系防虫成分であれば本薬剤揮散方式に十分適用可能であることを知見し、本発明を完成するに至ったものである。
揮散性ピレスロイド系防虫成分の具体例としては、メトフルトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、エムペントリン、フラメトリン、テラレスリン等があげられるが、揮散性能、防虫効力と安全性等の点から、メトフルトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、及びエムペントリンから選ばれる1種以上が好ましい。なお、これらの防虫成分については、各種の光学異性体または幾何異性体が存在するが、単独、混合物であれ、いずれの異性体類も使用することができる。
[振り子運動]
本発明がエネルギー源として利用する振り子運動は、前記振り子部材の下端部に備えられた永久磁石(14)と、これと対向可能なように揮散装置本体に設置された電磁石(15)との吸引力並びに反発力から生起される。
即ち、電池(16)等の電源のセットにより電磁石が作動状態にあるとき、振り子部材の永久磁石に初期振動を与えることによって振り子運動を開始させると、該永久磁石がその最下位置の死点に向かう時期に電磁石が作動して、該永久磁石との吸引作用により振り子部材に振り子運動の継続運動エネルギーを与える。又は、振り子部材が前記死点から離れる時期に該永久磁石に反発作用が生じるように電磁石を作動させるなどして、振り子部材に同様に振り子運動の継続運動エネルギーを与えるものである。
上記振り子運動の原理は、振り子時計や特許文献2等から既によく知られたものであり、振り子部材下端部の永久磁石と、揮散装置本体に設置された電磁石が、前述の死点位置で間隙を有するように配設されるとともに、振り子運動の継続運動エネルギーが確保される限りその形態は限定されない。例えば、振り子部材の下端部をコの字型に形成し、コの字の対向面にそれぞれ1〜2個の永久磁石を取付けるとともに、コの字型の中空部分に揮散装置本体の電磁石(エナメル線を500〜2000巻程度巻装した電磁コイル)を配設してもよいし、あるいは、平板状の振り子部材の永久磁石を挟み、揮散装置本体の両側に前記したような電磁石をS極、N極相互に切替え可能に配しても構わない。
また、電磁コイルに接続される電源としては、乾電池、充電池、交流電源のほか、太陽電池等のいずれも使用可能である。
本発明は、薬剤揮散体に含有される揮散性ピレスロイド系防虫成分の25℃における蒸気圧が1〜100mPaであることに対応して、上記振り子運動エネルギーにつき、1分間あたり動作する角度の累計(角振幅×振動数)をラジアンで表したとき、5π〜150πラジアン/分の範囲に設定したことに特徴を有する。
即ち、蒸気圧が1〜100mPaである揮散性ピレスロイド系防虫成分と、振り子運動係数が5π〜150πラジアン/分である振り子型揮散装置を組み合わせることによって実用的な防虫効力を奏する揮散性能が得られることを新たに見出したものである。
振り子運動エネルギーは、ファンによる風力と較べると非常に小さく、かかる振り子運動エネルギーが効果的な理由を説明するのは難しいが、ファンによる風を当てるような画一的な運動と異なり、振り子部材の往復運動によって攪拌気流が生起し、薬剤を効率的に拡散させるものと推定される。
[薬剤揮散体]
本発明を構成する薬剤揮散体は、振り子部材の上端部に備えられるが、通常これと永久磁石の間に振り子運動の支点部位が位置することになる。薬剤揮散体は、天然繊維、合成繊維、プラスチック樹脂等からなり、これらの繊維状物が平板状に形成されたものが好ましい。上記繊維状物は、繊維状に構成されたものをいい、長繊維(フィラメント)そのものや、長繊維や短繊維を撚り合わせて繊維状としたもの等があげられる。本発明においては、長繊維(フィラメント)を用いるのがよく、特に材料として後述する樹脂担体を含有する樹脂組成物を用いて成形して得られる樹脂製の長繊維(樹脂フィラメント)を用いると、耐久性が高くなる傾向を有する。
なお、かかる繊維状物は十分な通気性を確保できる点で、メッシュ構造に形成されるのが好ましい。また、大きさとしては、縦40〜100mm、横20×60mm、高さ0.5〜20mm程度のものが使い易い。重さは、平面状か立体状か、あるいは網目の大きさ等によって異なるので適宜決定しなければならないが、概ね0.5〜10g程度である。
上記樹脂フィラメントに前記揮散性ピレスロイド系防虫成分を含有させる方法としては、後記樹脂担体にこの揮散性ピレスロイド系防虫成分を混練させて、後記樹脂組成物を調製し、次いで成形して樹脂フィラメントを得る方法や、まず、後記樹脂組成物を成形して樹脂フィラメントを得、次いで、この樹脂フィラメントを撚り合わせてメッシュを構成し、そして、上記揮散性ピレスロイド系防虫成分を含浸させる方法等が挙げられる。
後記樹脂組成物を成形する方法としては、後記樹脂組成物を押出成形又は射出成形して樹脂フィラメントを得、次いで、メッシュを形成する方法や、後記樹脂組成物を射出成形等によって直接、樹脂フィラメントを有するメッシュを形成する方法等があげられる。
[樹脂組成物]
樹脂組成物は、樹脂担体に、必要に応じて微粉末担体、及び他の樹脂担体を混練したものである。なお、この樹脂組成物は、一旦、ペレットに成形された後、上記の成形を行うことが効率上好ましい。
[樹脂担体]
樹脂担体としては、揮散性ピレスロイド系防虫成分を練り込むか、又は含浸させるかによって幾分異なる。即ち、前者の場合、担体の内部に混入された防虫成分が徐々に表面にブリードして揮散することができるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂のようなポリオレフィン系樹脂、あるいはこれらにカルボン酸エステル等の単量体を重合させて成形したものを挙げることができる。ここでカルボン酸エステル等の単量体は、前記防虫成分の樹脂担体表面からの揮散をコントロールするのに効果的なものであり、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル等が挙げられる。
なお、ポリオレフィン系樹脂に対するこれらのカルボン酸エステル単量体の配合比率は、一般に、カルボン酸エステル単量体配合比率が高くなるほど防虫成分のブリードの速度を遅らせる傾向があることから、使用する防虫成分の種類や含有量、あるいは使用目的等に応じ、ポリオレフィン系樹脂に対して1〜30質量%の範囲で適宜調整すればよい。
また、前記の樹脂担体は、あらかじめカルボン酸エステル単量体を多く含有するポリオレフィン系共重合体とオレフィンの単独重合体を、その含有比率を調整して混合したポリマーブレンドを用いることもできるし、さらには必要に応じて、スチレン系熱可塑性エラストマー等の他の高分子化合物を含有させることもできる。
本発明では、性能や使用性等の点から、エチレン−ビニルアセテート共重合体が好適であり、その中のエチレン単位とビニルアセテート単位との数比は、90:10〜70:30であると好ましい。ビニルアセテート単位が少なすぎると、ポリエチレンとほとんど物性が変わらなくなってしまい、本発明で必要とするブリード調整効果がほとんど期待できなくなってしまうからである。一方、ビニルアセテート単位が多すぎると樹脂ペレット状に成形しづらくなる。
また、前記のエチレン−ビニルアセテート共重合体のメルトマスフローレイト(MFR)は、5g/10min以上、50g/10min以下であると好ましい。MFRが小さすぎるとブリード調整剤としての効果が期待できなくなり、MFRが大きすぎると樹脂ペレットの物性に与える影響が無視できなくなってしまう恐れがある。
他方、揮散性ピレスロイド系防虫成分を含浸させるタイプの薬剤揮散体においては、樹脂担体として、通常ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等の防虫成分に対して非吸着性の樹脂を主体に用いるのが一般的である。
平面状もしくは立体状であれ、平板状メッシュを構成した樹脂担体の表面に防虫成分を担持させ揮散に供するのであるが、かかる樹脂に上記したポリオレフィン系樹脂やスチレン系熱可塑性エラストマー、あるいはレーヨン等の樹脂を混紡して樹脂担体を改質し、防虫成分の揮散性を調整することもできる。
以下、揮散性ピレスロイド系防虫成分を練り込むタイプの薬剤揮散体について詳述する。
[微粉末担体]
本発明で用いる前記の微粉末担体は、樹脂ペレット内に常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を担持するために添加する成分である。例えば、いわゆるホワイトカーボンとよばれる微結晶シリカや微粉末ケイ酸、珪藻土、ゼオライト類、粘度鉱物、木粉等が挙げられる。
前記の微粉末担体の大きさは、数平均粒子径が1μm以上30μm以下であると好ましく、5μm以上20μm以下であるとより好ましい。数平均粒子径が30μmを超えると、前記範囲の含有率で存在していたとしても表面積が不足するため、担体として防虫成分を担持しにくくなり、得られる樹脂ペレットがべたつきやすくなる。一方、1μm未満の微粒子は現実的には難しく、物性が大きく変わってくるため好ましくない。
ホワイトカーボンのような微結晶シリカなどを含む微粉末担体は、防虫成分と反応せず、表面積の広い微粉末を用いることができる。これらの微粉末担体は防虫成分を担持してベタツキを抑え、その結果、樹脂成分と共に混練して得られる樹脂組成物も、全体がべたつきにくくなりマスターバッチとして好適に利用できるものとなる。
[他の樹脂担体]
更に、前記樹脂組成物の重量調整や物性の調整のために、前記のエチレン−ビニルアセテート共重合体等の樹脂担体の他に、他の樹脂担体を混練させてもよい。他の樹脂担体として、ポリオレフィン系樹脂やスチレン系樹脂を含有してもよい。このポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などがあげられるが、エチレン−ビニルアセテート共重合体やエチレン−メタクリル酸メチル共重合体との親和性から、ポリエチレンが好ましく、成形性の点で特に低密度ポリエチレン、具体的には分岐低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。
[配合割合]
前記樹脂担体の配合量は、前記樹脂組成物全体に対して、10質量%以上含有すると好ましく、20質量%以上であるとより好ましい。10質量%未満では、過度なブリードを抑制する効果が不十分になってしまう。一方、上限は90質量%以下であると好ましく、60質量%以下であるとより好ましい。多すぎると、前記樹脂組成物のペレットをマスターバッチとして用い、前記他の樹脂担体と混練して得られた樹脂成形体においてもブリードを抑制しすぎてしまい、本来の目的である常温揮散性ピレスロイド系防虫成分の揮散による防虫効果が過度に低減される恐れを有するためである。本発明によれば、10質量%以上90質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体及び/又はエチレン−メタクリル酸メチル共重合体と混練させることにより、得られる樹脂ペレットのブリードを適度な範囲で調整することが可能となる。
前記微粉末担体の含有量は、前記樹脂組成物全体に対して、10質量%以上30質量%以下であると好ましく、15質量%以上25質量%以下であるとより好ましい。10質量%未満では微粉末担体として少なすぎて、防虫成分を担持しきれず、防虫成分のブリードが過大になる恐れがある。一方、30質量%を超えると、樹脂担体との配合比上、前記樹脂組成物をペレット化したとき、ペレットとしての形を維持するのが難しくなってしまう。また、前記樹脂組成物を用いた成形品にも含有されることになるので、多すぎると薬剤揮散体の物性に影響を及ぼす危惧が避けられない。
[樹脂組成物及びペレットの製造]
上記樹脂組成物は、前記樹脂担体を加熱し、ここに前記揮散性ピレスロイド系防虫成分、必要に応じて、微粉末担体や、加熱した他の樹脂担体を混練することにより得られる。そして、これをペレット化して冷却することによりペレットを得ることができる。
この加熱温度は、使用する樹脂担体の樹脂の種類や、他の樹脂担体の樹脂の種類によるが、通常100〜140℃程度が適当である。例えば、後記するエチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン710)の融点は70℃であり、十分な混練が可能である。140℃を超えて加熱温度を高くし過ぎると前記揮散性ピレスロイド系防虫成分の熱分解や蒸散ロスを招く恐れがあるので好ましくない。
前記を踏まえ、樹脂組成物の代表的な組成としては、10質量%以上60質量%以下の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と、10質量%以上30質量%以下の微粉末担体と、10質量%以上60質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体等の樹脂担体とを含有させた組合せがあげられる。
[他の樹脂担体の混合時期]
ところで、上記の他の樹脂担体は、前記の通り、前記樹脂組成物のペレットの製造段階に含有させてもよく、また、この他の樹脂担体を含有させずに前記樹脂組成物のペレットを成形し、次いで、このペレットを前記他の樹脂担体を用いて希釈し、混練・成形することにより、前記薬剤揮散体を得てもよい。
このときの希釈倍率は、1.5倍以上で上限は5倍程度が好ましい。1.5倍より小さいと希釈する工程上のメリットがなくなり、一方、5倍を越えると当然のことながら防虫成分の含有量が低くならざるを得ないという問題を生じる。
[薬剤揮散体の成形]
前記の樹脂組成物からなるペレットは、成形されて薬剤揮散体とする。また、前記のとおり、前記の防虫成分含有樹脂ペレットに前記他の樹脂担体が含有されていない場合は、前記防虫成分含有樹脂ペレットを前記他の樹脂担体を用いて希釈し、混練・成形して薬剤揮散体としてもよい。
この薬剤揮散体は、樹脂フィラメントを組み合わせて好ましくは立体状メッシュに構成した形状を有する構造体である。この成形方法としては、まず、前記ペレットを押出成形や射出成形等によって成形して樹脂フィラメントを得、次いで、メッシュを構成する方法や、前記の防虫成分含有樹脂ペレットを射出成形等によって直接、複数の樹脂フィラメントを交差させてメッシュを成形する方法があげられる。
前記のメッシュ構造の例としては、図2に示すような平面状のネット(2)や、図3(a)〜(c)に示すような、立体状の構造体2をあげることができる。なお、前記のメッシュ構造を有する薬剤揮散体の形状としては、これらの例に限定されるものではない。
図2に示す平面状のネットは、前記フィラメントを、格子状に交差させて、平面状の格子構造を形成させたものである。
また、図3(a)〜(c)に示す立体状の構造体(3)は、図3(c)に示される矩形状の波状体(31)のフィラメントを、頂部において2本の波状体(31)をほぼ直角に交差するようにしたものである。また、前記立体構造体2においては、1つの頂部含有面に含まれる少なくとも2つの頂部同士を直線状の棒状体からなる補強材22で補強される。この頂部含有面とは、前記立体構造体を構成する面であって、頂部が配される面をいう。
このような立体構造体(3)は、平面状のネット(2)に比べて、一定の体積内に存在するフィラメントの表面積を増加させることができる。さらに、前記補強材22を用いると、前記フィラメントの表面積をより増加させることができ、かつ、立体構造体の強度も向上させることができる。
なお、周縁部は、立体構造体の強度、形状、外部容器等との関係で、適宜決定される。
[メッシュの大きさ]
上記メッシュの大きさは、前記構造体のメッシュ部分の目の大きさ、すなわち、前記構造体のメッシュ部分であって、各樹脂フィラメントで囲まれた1つの目(最小網目)が構成する表面積(周囲の樹脂フィラメントの中心線で囲まれた面積)は、10mm〜200mm程度が適当である
[飛翔害虫忌避香料組成物]
ところで、本発明の薬剤揮散体には、特に使用の初期段階における香りの付与と防虫効果の補強を目的として、揮散性ピレスロイド系防虫成分に加え、飛翔害虫忌避香料組成物を含有することができる。
前記の飛翔害虫忌避香料組成物は、飛翔害虫忌避香料、及び忌避効果持続成分を含む組成物である。
前記飛翔害虫忌避香料としては、下記の一般式(I)で表される酢酸エステル化合物、及び/又は一般式(II)で表されるアリルエステル化合物から選ばれる1種又は2種以上の香料成分(a)と、モノテルペン系アルコールもしくは炭素数が10の芳香族アルコールから選ばれる1種又は2種以上の香料成分(b)を含有する成分があげられる。
CH−COO−R (I)
(式中、Rは炭素数が6〜12のアルコール残基を示す。)
−CH−COO−CH−CH=CH (II)
(式中、Rは炭素数が4〜7のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、又はフェノキシ基を示す。)
前記一般式(I)で表される酢酸エステル化合物の具体例としては、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、o−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、p−tert−ペンチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ベンジルアセテート、フェニルエチルアセテート、スチラリルアセテート、アニシルアセテート、シンナミルアセテート、テルピニルアセテート、ジヒドロテルピニルアセテート、リナリルアセテート、エチルリナリルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、ボルニルアセテート、及びイソボルニルアセテート等があげられる。
また、一般式(II)で表されるアリルエステル化合物の具体例としては、アリルヘキサノエート、アリルヘプタノエート、アリルオクタノエート、アリルイソブチルオキシアセテート、アリルn−アミルオキシアセテート、アリルシクロヘキシルアセテート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、アリルフェノキシアセテート等があげられる。
更に、(b)成分の具体例としては、テルピネオール、ゲラニオール、ジヒドロミルセノール、ボルネオール、メントール、シトロネロール、ネロール、リナロール、エチルリナロール、チモール、オイゲノール、及びp−メンタン−3,8−ジオール等があげられる。
前記(a)の前記(b)に対する配合比率は、0.1〜1.0倍量が好ましい。この範囲であれば飛翔害虫に対して高い忌避効果を奏することが認められた。
なお、前記飛翔害虫忌避香料としては、前記以外の香料成分、例えば、リモネン等のモノテルペン系炭化水素、メントン、カルボン、プレゴン、カンファー、ダマスコン等のモノテルペン系ケトン、シトラール、シトロネラール、ネラール、ペリラアルデヒド等のモノテルペン系アルデヒド、シンナミルフォーメート、ゲラニルフォーメート等のエステル化合物、フェニルエチルアルコール、ジフェニルオキサイド、インドールアロマ、もしくは、前記香料成分を含む種々精油類、例えば、ジャスミン油、ネロリ油、ペパーミント油、ベルガモット油、オレンジ油、ゼラニウム油、プチグレン油、レモン油、シトロネラ油、レモングラス油、シナモン油、ユーカリ油、レモンユーカリ油、タイム油等を適宜添加しても構わない。
前記忌避効果持続成分としては、20℃における蒸気圧が0.2〜20Paのグリコール及び/又はグリコールエーテルの1種又は2種以上を用いるのが好ましい。従来、グリコール及び/又はグリコールエーテルは、エタノール、イソプロパノールや灯油等と同列に溶剤として羅列され、また、飛翔害虫に対する効果は何ら言及されていないのであるが、本発明者らは、当該グリコール及び/又はグリコールエーテルが溶剤としてのみならず、飛翔害虫忌避香料に対して特異的に忌避効果の持続作用を奏し、芳香性の飛翔害虫忌避香料を用いた場合には初期の香調をも持続させ得ることを知見したものである。
前記忌避効果持続成分の具体的代表例(20℃における蒸気圧を併記)としては、プロピレングリコール(10.7Pa)、ジプロピレングリコール(1.3Pa)、トリプロピレングリコール(0.67Pa)、ジエチレングリコール(3Pa)、トリエチレングリコール(1Pa)、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール(6.7Pa)、ベンジルグリコール(2.7Pa)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(3Pa)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルがあげられ、なかんずく、ジプロピレングリコールが好適である。
前記忌避効果持続成分の前記飛翔害虫忌避香料に対する配合比率は、0.2〜10倍量が好ましい。この範囲であれば飛翔害虫忌避香料に対してその忌避効果を十分持続させ得ることを認めた。
ところで、前記飛翔害虫忌避香料組成物を配合する場合、それの前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分に対する配合比率は、0.2〜2倍量程度が適当である。香料組成物の配合量が少ないと香りを付与する目的が達せられないし、一方、多すぎると香りが強すぎたり、防虫成分の揮散に影響を及ぼす恐れがあるので好ましくない。
前記飛翔害虫忌避香料組成物を用いる場合においては、前記防虫成分含有樹脂ペレットを調製する際に、飛翔害虫忌避香料組成物を含有させてもよいが、前記防虫成分含有樹脂ペレットと飛翔害虫忌避香料成分含有ペレットをそれぞれ調製した後、両ペレットを混練させる方が好ましい。これは、飛翔害虫忌避香料成分含有ペレット製造時の加熱温度は90〜130℃で、防虫成分含有樹脂ペレットの場合の110〜140℃に較べて低く、別々にペレットを調製する方が、揮散性の高い香料組成物に対してはロスを低減させる上で有利だからである。
[揮散性ピレスロイド系防虫成分の含有量]
前記薬剤揮散体の樹脂担体に担持される前記揮散性ピレスロイド系防虫成分の含有量は、使用する防虫成分の種類、使用環境、使用条件などによって変動することから、特に限定されるものではない。しかしながら、防虫効果に必要な防虫成分量を確保し、また防虫成分を練り込んだ後の成形を容易にするため、さらに樹脂担体の表面に防虫成分が過剰にブリードしてベタツキを起こすことを防止するために、0.5〜20質量%の範囲にすることが好ましい。
防虫成分の含有量が0.5質量%未満の場合には、防虫効果を奏するに必要な防虫成分量を確保することが困難となり、一方、防虫成分の含有量が20質量%を超える場合には、防虫成分を練り込んだ後の成型が困難となり、さらに樹脂担体の表面に防虫成分が過剰にブリードしてベタツキを起こしやすくなる。
ここで、前記揮散性ピレスロイド系防虫成分の含有量を例示すれば、30〜200日程度の使用期間に対応して30〜1400mg程度の量をあげることができる。
すなわち、含有量を設定するに当たっては、使用する防虫成分の種類により異なるものの、例えば、メトフルトリン単独を使用した場合では、防虫効果が発現するのに必要な最低の揮散量は0.03mg/hr以上であり、プロフルトリン単独では0.03mg/hr以上であり、トランスフルトリン単独では0.06mg/hr以上であることから、30日〜200日における含有量についてはメトフルトリンでは30〜700mg、プロフロトリンでは30〜700mg、トランスフルトリンでは60〜1400mgの範囲で設定すればよいことになる。
[他の添加物]
本発明の薬剤揮散体は、前述したとおり、特に使用の初期段階における香りの付与と防虫効果の補強を目的として、前記飛翔害虫忌避香料組成物を含有することができるが、加えて、より長期間にわたり芳香を持続させうる持続性香料成分、例えば、ガラクソリド、ムスクケトン、エチレンブラシレート、メチルアトラレート等を必要に応じて配合しても構わない。
更に、共力剤、忌避剤、抗菌剤、防黴剤、他の機能性成分等も同時に使用可能であり、例えば、前記共力剤としては、イソボルニルチオシアノアセテート(商品名:IBTA)、N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド(商品名:サイネピリン222)、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ〔2,2,2〕オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(商品名:サイネピリン500)等が挙げられる。
前記忌避剤としては、N,N−ジエチル−m−トルアミド(商品名:ディート)、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2−エチル−1,3−へキサンジオール、1,4,4a,5a,6,9,9a,9b−オクタヒドロジベンゾフラン−4a−カルバルデヒド等が挙げられる。
前記抗菌剤としては、ヒノキチオール、テトラヒドロリナロール、オイゲノール、シトロネラール、アリルイソチオシアネート等が挙げられる。
前記防黴剤としては、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール等が挙げられる。
前記他の機能性成分としては、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合のストレス軽減成分などが挙げられる。
更に、着色剤(着色顔料)、帯電防止剤などを適宜配合してもよく、色彩を付加したり、タイムインジケーターを装着して使用終了時点を視認できるようにすれば、商品価値をより高めることができる。
本発明で用いる常温揮散性ピレスロイド系防虫成分は、いずれも十分な安定性を有しているが、更に安定性を高めるため、酸化防止剤等の安定剤を添加することも可能であり、例えば、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、BHT、BHA、3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール等を用いることができる。
また、紫外線吸収阻害剤としてパラアミノ安息香酸類、桂皮酸類、サリチル酸類、ベンゾフェノン類及びベンゾトリアゾール類などの紫外線吸収剤を用いることにより、保管時、使用時の耐光性を一段と向上させることができる。
[揮散装置本体]
本発明においては、揮散装置本体には、前記電磁石や電源、振り子部材取付け具をはじめ、磁性調整機構やスイッチ機構等が適宜付設される。
本発明の薬剤揮散装置は、ファン式蚊取りに較べると使用電力は少ないので、電池の替わりに太陽電池の活用も現実的で、資源節約の点からもメリットが大きい。
[収納袋]
本発明の薬剤揮散体は、着脱自在に振り子部材に取付けられるようにしてもよい。即ち、薬剤揮散体を薬剤非透過性フィルム袋に収容して市販し、使用時に袋から取り出された薬剤揮散体を振り子部材に装填するようにすれば便利である。ここで、薬剤非透過性フィルム袋の材質としては、ポリエステル(PET、PBTなど)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアクリルニトリルなどがあげられ、その肉厚は可撓性を損なわない範囲で決定される。なお、ヒートシール性を付与するために、これら薬剤非透過性フィルムの内面をポリエチレンやポリプロピレンフィルム等でラミネートすることもできる。
[用途]
本発明によって調製される薬剤揮散体は、使用直後からおよそ200日間までのその設計仕様に応じた所定期間にわたり、リビングや和室、玄関などの室内、倉庫、飲食店、工場や作業場内部やその出入り口、鶏舎、豚舎等の畜舎、犬小屋、ウサギ小屋等のペット小屋やその周辺、浄化槽やマンホールの内部、キャンプなどにおけるテント内部やその出入り口、バーベキュー、釣り、ガーデニング等の野外活動場所やその周辺などで、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類、ブユ、ユスリカ類、ハエ類、チョウバエ類、イガ類等に対して優れた防虫効果を奏する。特に、揮散装置本体もしくは振り子部材に、動物やキャラクター等の装飾物を付与すれば、リビングや和室、玄関などの室内でインテリア商品としても最適なものとなり、極めて実用的である。
次に、実施例を用いて、本発明の薬剤揮散装置を説明する。なお、以下に述べる実施例は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
まず、使用した薬剤、及び性能の評価方法について説明する。
<使用薬剤>
・メトフルトリン(住友化学(株)製:エミネンス)
・トランスフルトリン(住友化学(株)製:バイオスリン)
・プロフルトリン(住友化学(株)製:フェアリテール)
・プラレトリン(住友化学(株)製:エトック)
・微結晶シリカ(EVONIK社製:カープレックス#80、ホワイトカーボン、平均粒子径:15μm、以降「シリカ」と記す。)
・エチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン710、エチレン:酢酸ビニル単位比=72:28、以降「EVA」と記す。)
・低密度ポリエチレン(旭化成(株)製:サンテックLDM6520、以降「LDPE−A」と記す。)
・低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製:ノバテックLDLJ802、以降「LDPE−B」と記す。)
・ポリエチレンテレフタレート((株)ベルポリエステルプロダクツ製:ベルペットIP121B、以降「PET」と称す。)
<揮散性薬剤の揮散性評価試験>
得られた薬剤揮散装置を25℃の室内で揮散させた。揮散性ピレスロイド系防虫成分の揮散量は、所定期間(有効期間の中間時点)経過後に薬剤揮散体に含まれる防虫成分量をガスクロマトグラフィにより分析して測定した。
<殺虫効力試験>
8畳(33m3)の広さで25℃の部屋に供試薬剤揮散装置を置いた。所定期間(有効期間の中間時点)経過後に、アカエイカ雌成虫100匹を放ち、その後の経時的なノックダウン数を2時間後まで観察し、プロビット法によりKT50値を求めた。
(実施例、比較例)
<樹脂ペレットの製造方法>
揮散性ピレスロイド系防虫成分・メトフルトリン10重量部を50℃に加温してシリカ6重量部に担持させた後、これにEVA40重量部、及びLDPE−A44重量部を、(株)テクノベル製:二軸押出し成形機を用いて、120〜140℃で混練・押出成形し、直径3mm、長さ5mmのメトフルトリン含有樹脂ペレットを製造した。
<成形体の製造>
前記メトフルトリン含有樹脂ペレット100重量部とLDPE−B300重量部(着色剤ペレット10重量部を含む)を120〜140℃で混練後、インジェクション成形機に投入し、図2に示す立体構造体からなる薬剤揮散体を得た。
なお、上記に準じて製造した各薬剤揮散体の重量、大きさ、最小網目の面積は、表1に示すとおりである。


<薬剤揮散装置の作製>
得られた薬剤揮散体を表2に示す仕様の振り子部材に取り付け、揮散装置本体にセットして供試用の薬剤揮散装置を作製した。なお、振り子部材は、図1に示すようにコの字型下端部の両面に永久磁石を配するタイプとし、電源としては1.5Vの乾電池を2個用いた。上記の方法に基づいて、揮散性評価試験及び殺虫効力試験を行った結果を併せて表2に示す。

試験の結果、25℃における蒸気圧が1〜100mPaである揮散性ピレスロイド系防虫成分を含有した薬剤揮散体を用い、しかもその薬剤揮散体がその振り子運動により1分間あたり動作する角度の累計(角振幅×振動数)が5π〜150πラジアン/分の範囲である本発明の薬剤揮散装置は、従来のファン式蚊取り(比較例5)と較べると運動エネルギーが小さいため防虫成分の揮散量が低いにも拘わらず、実用的に十分な殺虫効力を示した。なお、薬剤揮散体としては、繊維状物からなる平板状の構造体で、空隙を有するメッシュ構造であり、また、平板状の構造体の平面部分を振動方向に対し垂直になるように設置したものが好ましいことも確認された。
これに対し、25℃における蒸気圧が100mPaを超える忌避香料を用いた比較例1の場合、初期の揮散量が過大なため有効期間の中間時点で既に揮散量が激減した。また、蒸気圧が1mPa未満のプラレトリンを用いた薬剤揮散装置(比較例2及び3)は、揮散性能が劣り、更に、防虫成分の蒸気圧が適性であっても、振り子運動の動作角度の累計が5πラジアン未満では本発明の目的に合致しなかった。
本発明は、薬剤揮散体を振り子運動と組合わせた害虫防除分野において須らく利用可能である。
1 薬剤揮散装置
11 揮散装置本体
12 振り子部材
13 薬剤揮散体
14 永久磁石
15 電磁石(電磁コイル)
16 電池
2 平面状ネット
3 立体構造体
31 矩形波状体
31a 第1頂部
31b 第2頂部
32 補強材

Claims (5)

  1. 揮散装置本体と、これに振り子運動可能に取付けられる振り子部材とからなり、前記振り子部材の上端部に薬剤揮散体及び下端部に永久磁石が備えられ、前記揮散装置本体には前記永久磁石と対向可能な位置に電磁石が設置されており、前記永久磁石と電磁石との吸引力並びに反発力から生じる振り子運動を利用して前記薬剤揮散体から薬剤を揮散させる薬剤揮散装置において、
    前記薬剤揮散体は、25℃における蒸気圧が1〜100mPaである揮散性ピレスロイド系防虫成分を含有したものであり、しかも前記薬剤揮散体がその振り子運動により1分間あたり動作する角度の累計(角振幅×振動数)をラジアンで表したとき、5π〜150πラジアン/分の範囲であることを特徴とする薬剤揮散装置。
  2. 前記揮散性ピレスロイド系防虫成分が、メトフルトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、及びエムペントリンから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤揮散装置。
  3. 前記薬剤揮散体が、繊維状物からなる平板状の構造体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤揮散装置。
  4. 前記平板状の構造体が、空隙を有するメッシュ構造であることを特徴とする請求項3に記載の薬剤揮散装置。
  5. 前記平板状の構造体の平面部分を振動方向に対し垂直になるように設置したことを特徴とする請求項3又は4に記載の薬剤揮散装置。
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