以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態以降において、既に説明された実施形態の構成と同一若しくは類似する構成については、既に説明された実施形態の符号と同一の符号を付し、説明を省略することがある。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るダイカストマシンDC1の要部の構成を模式的に示す側面図(一部に断面図を含む)である。
なお、以下において、図1の紙面左側(プランジャ5によりキャビティ105に溶湯を押し出すときのプランジャ5の進む方向)を前方といい、図1の紙面右側を後方ということがある。
ダイカストマシンDC1は、例えば、固定金型101及び移動金型103を型締めする型締装置151と、型締装置151に型締めされた固定金型101及び移動金型103により構成されたキャビティ105に成形材料としての溶湯(溶融状態の金属材料)を射出・充填する射出装置1と、成形されたダイカスト品を固定金型101又は移動金型103から押し出す不図示の押出装置と、これら各装置を制御する制御装置153とを有している。なお、制御装置153は、各装置の一部を構成していると捉えられてもよい。
型締装置151は、例えば、不図示のベースと、ベース上に固定され、固定金型101を保持する固定ダイプレート155と、ベース上において型開閉方向に移動可能であり、移動金型103を保持する移動ダイプレート157とを有している。
固定ダイプレート155には、射出フレーム159が固定されている。射出フレーム159は、本来は射出装置の射出シリンダを固定するためのものである。ただし、後述するように、本実施形態では、射出フレーム159は、別の用途に利用されている。射出フレーム159は、C型やD型等の適宜な形式のものとされてよい。なお、射出フレーム159は、後述するように、射出装置1の一部の部材の支持に供されるから、射出装置1の一部と捉えられてよい。
(射出装置の構成)
図2は、射出装置1の要部の構成を模式的に示す側面図(一部に断面図を含む)である。
射出装置1は、キャビティ105に通じるスリーブ3と、スリーブ3内の溶湯をキャビティ105へ押し出すプランジャ5と、プランジャ5に連結された中間ロッド7と、中間ロッド7を駆動する射出シリンダ9と、射出シリンダ9に作動液を供給する液圧装置11と、中間ロッド7を駆動する駆動装置13とを有している。
スリーブ3及びプランジャ5の構成は、公知の構成と同様でよい。スリーブ3は、例えば、固定ダイプレート155に挿通されるように設けられている。なお、スリーブ3は、固定金型101にも挿通されていてよい。プランジャ5は、スリーブ3を摺動するプランジャチップ5aと、プランジャチップ5aに固定されたプランジャロッド5bとを有している。
なお、本願においては、原則として、「固定」は、互いに別個に形成された2以上の部材が固定される場合だけでなく、2以上の部材が一体的に形成されることにより固定されている場合を含み得るものとし、「連結」は、互いに別個に形成された2以上の部材が固定されている場合を指し、2以上の部材が一体的に形成されることにより固定されている場合を含まないものとする。
スリーブ3に形成された給湯口3aから溶湯がスリーブ3内に供給された状態で、プランジャチップ5aがスリーブ3内をキャビティ105に向かって摺動する(前進する)ことにより、溶湯はキャビティ105に射出、充填される。
なお、プランジャ5のストロークの後端は、例えば、図1に示すように、プランジャチップ5aの前側部分がスリーブ3の後端に挿入された状態となる位置とされる。また、プランジャ5のストロークの前端は、適宜なビスケット厚が確保される位置とされる。
プランジャ5の長さは、概略、プランジャ5のストロークと同等である。ただし、プランジャ5の長さは、プランジャ5がストロークの前端に位置するときに、プランジャロッド5bの後端部分(中間ロッド7と連結された部分)がスリーブ3外に位置する長さとされている。
中間ロッド7は、プランジャ5を後方へ離れた位置から駆動可能とするためのものである。すなわち、駆動装置13をスリーブ3から後方へ離して配置可能とするものである。中間ロッド7は、軸状のロッド本体7aと、駆動装置13との連結のための被当接部7bとを有している。
ロッド本体7aは、プランジャ5と同軸に配置され、その先端がカップリング17によってプランジャ5の後端と連結されている。また、ロッド本体7aは、射出フレーム159に挿通されている。
ロッド本体7aの材料、断面形状及び断面積は、射出に必要な強度が得られるように適宜に設定されてよい。例えば、ロッド本体7aは、プランジャ5と同様に金属により形成され、その断面積は円形であり、その径は、プランジャ5と同等以上とされている。
ロッド本体7aの長さも、駆動装置13をスリーブ3から離間させたい距離に応じて適宜に設定されてよい。例えば、ロッド本体7aは、プランジャ5又はそのストロークよりも短くてもよいし、長くてもよい。ただし、本実施形態では、ロッド本体7aは、射出フレーム159に挿通されており、また、カップリング17及び被当接部7bは、射出フレーム159を通過不可能であるから、中間ロッド7の長さは、プランジャ5のストロークよりも長くされている。
被当接部7bは、例えば、ロッド本体7aの中央位置よりも後方に設けられ、フランジ状に形成されている。被当接部7bは、ロッド本体7aと一体的に形成されていてもよいし、別部材として形成されてねじ等によりロッド本体7aに固定されていてもよい。
カップリング17は、例えば、従来の射出装置において、プランジャと射出シリンダのピストンロッドとの連結に利用されているものと同様のものでよい。なお、この場合、中間ロッド7の先端の構成は、従来の射出シリンダのピストンロッドの先端の構成と同様とされる。
カップリング17は、例えば、スペーサ19と、ケース21とを含んでいる。スペーサ19は、プランジャ5の後端のフランジと、中間ロッド7の先端のフランジとの間に介在し、ケース21は、これらを収容している。
射出フレーム159には、中間ロッド7を支持するために、ブシュ161が設けられている。ブシュ161は、例えば、金属により形成された円筒状部材であり、射出フレーム159に固定されている。中間ロッド7は、ブシュ161に挿通されて、ブシュ161に軸方向へ摺動可能に支持されている。
射出シリンダ9は、例えば、単動式のシリンダ装置により構成されており、シリンダ部23と、シリンダ部23の内部を摺動可能なピストン25と、ピストン25に固定され、シリンダ部23から露出するピストンロッド27とを有している。
シリンダ部23は、例えば、内部の断面形状が円形の筒状体である。シリンダ部23の内部は、ピストン25により、ピストンロッド27側のロッド側室23rと、その反対側のヘッド側室23hとに区画されている。ヘッド側室23hに作動液が供給されることにより、ピストン25は前進(プランジャ5側へ移動)可能である。
射出シリンダ9は、中間ロッド7に対してその後方に同軸(直列)に配置されている。ピストンロッド27の先端は、中間ロッド7の後端に連結されている。シリンダ部23は、移動不可能に設置されている。従って、ピストン25がシリンダ部23内を前進すると、その駆動力は中間ロッド7を介してプランジャ5に伝達され、プランジャ5は、スリーブ3内を前進する。
中間ロッド7とピストンロッド27との連結は適宜な方法によりなされてよい。例えば、中間ロッド7の後端に雄ねじ部が形成され、ピストンロッド27の先端に雌ねじ部が形成され、雄ねじ部が雌ねじ部に螺合されることにより、中間ロッド7はピストンロッド27に連結されている。
射出シリンダ9のストロークは、例えば、プランジャ5のストロークよりも若干長い。好ましくは、プランジャ5は、ピストン25が後退限に位置するときに、プランジャチップ5aの先端側部分がスリーブ3の後端に挿入されている状態となり、ピストン25が前進限の若干手前に位置するときに、適宜なビスケット厚が確保される位置に位置する。
プランジャ5と射出シリンダ9との間に中間ロッド7が介在していることにより、シリンダ部23は、従来よりも後方に位置している。すなわち、従来は、シリンダ部は、その前端部が射出フレーム159に固定されるところ、本実施形態では、シリンダ部23は、射出フレーム159から離間して配置されている。
また、別の観点では、従来は、シリンダ部(の前端)は、概ね、プランジャ5の長さでスリーブ3(の後端)から離間していたところ、本実施形態では、シリンダ部23は、概ね、プランジャ5の長さと中間ロッド7の長さとを足し合わせた長さでスリーブ3から離間している。
プランジャ5の長さは、概ね、射出シリンダ9のストロークと同等である。従って、更に別の観点では、従来は、シリンダ部は、スリーブ3から射出シリンダ9のストロークと同等の距離で離間していたところ、本実施形態では、シリンダ部23は、それよりも長い距離でスリーブ3から離間している。例えば、シリンダ部23は、射出シリンダ9のストロークの2倍よりも長い距離でスリーブ3から離間している。
液圧装置11は、作動液を貯留するタンク29と、タンク29の作動液を送出するポンプ31と、ポンプ31を駆動するポンプ用電動機33と、蓄圧した作動液を供給するアキュムレータ35と、これらの要素及び射出シリンダ9を互いに接続する液圧回路37とを有している。
タンク29は、例えば、開放タンクであり、大気圧下で作動液を保持している。タンク29は、例えば、液圧回路37を介して射出シリンダ9における作動液の過不足を解消し、また、ポンプ31及び液圧回路37を介してアキュムレータ35に作動液を供給する。
ポンプ31は、歯車ポンプやベーンポンプ等のロータの回転により作動液を吐出するロータリポンプであってもよいし、アキシャル型のプランジャポンプやラジアル式のプランジャポンプ等のピストンの往復により作動液を吐出するプランジャポンプであってもよい。ポンプ31は、ロータやピストンの1周期の運動における吐出量が固定された定容量ポンプによって構成されていてもよいし、当該吐出量が可変とされた可変容量ポンプによって構成されていてもよい。また、ポンプ31は、1方向に作動液を吐出できれば十分であるが、双方向(2方向)ポンプと構造が同一であってもよい。
ポンプ用電動機33は、回転式の電動機である。ポンプ用電動機33は、直流モータでも交流モータでもよいし、誘導モータでも同期モータでもよい。ポンプ用電動機33は、オープンループにおいて設けられた定速電動機として機能するものであってもよいし、クローズドループにおいて設けられたサーボモータとして機能するものであってもよい。
なお、後述する動作の説明において、ポンプ用電動機33が停止しているとき、ポンプ用電動機33は、トルクフリーの状態とされてもよいし、(サーボモータの場合は)一定位置に停止するように制御されてもよいし、ブレーキを含んで構成され、ブレーキが使用されてもよい。ポンプ用電動機33が停止される状況等に応じて適切な停止方法が選択されてよい。
アキュムレータ35は、重量式、ばね式、気体圧式(空気圧式含む)、シリンダ式、プラダ式などの適宜な形式のアキュムレータにより構成されてよい。例えば、アキュムレータ35は、気体圧式、シリンダ式又はプラダ式のアキュムレータであり、アキュムレータ35内に保持されている気体(例えば空気若しくは窒素)が圧縮されることにより蓄圧される。蓄圧された作動液は、液圧回路37を介して射出シリンダ9に供給される。
液圧回路37は、特に図示しないが、射出シリンダ9、タンク29、ポンプ31及びアキュムレータ35を互いに接続する複数の流路、及び、当該複数の流路における作動液の流れを制御する複数の弁を有している。複数の流路は、例えば、鋼管、可撓性のホース又は金属ブロックにより構成されている。複数の弁は、例えば、パイロット式でない又はパイロット式の逆止弁、切換弁、流量制御を行うサーボバルブである。液圧回路37は、後述する作動液の流れが実現されるように適宜に構成されてよい。
図2では、ロッド側室23rから排出される作動液の流量を制御するサーボバルブ39を例示している。サーボバルブ39は、メータアウト回路を構成している。すなわち、サーボバルブ39によりロッド側室23rから排出される作動液の流量が制御されることにより、ピストンロッド27の前進速度は制御される。
駆動装置13は、駆動電動機41と、当該駆動電動機41の駆動力を伝達する伝達機構43と、当該伝達機構43から伝達された駆動力により前後方向に駆動されるとともに、中間ロッド7に対して着脱可能な着脱部45と、着脱部45を前後方向に移動可能に支持する支持部46とを有している。
駆動電動機41は、回転式の電動機である。駆動電動機41は、直流モータでも交流モータでもよいし、誘導モータでも同期モータでもよい。駆動電動機41は、ブレーキ付きの電動機であることが好ましい。駆動電動機41は、サーボモータとして構成されており、駆動電動機41の回転を検出するエンコーダ47と、駆動電動機41に電力を供給する不図示のサーボドライバと共にサーボ機構を構成している。駆動電動機41は、出力軸をいずれの方向に向けて配置されてもよいが、例えば、出力軸をピストンロッド27に平行にして配置されている。
なお、後述する動作の説明において、駆動電動機41が停止しているとき、駆動電動機41が停止される状況等に応じて適切な停止方法が選択されてよいことは、ポンプ用電動機33と同様である。
伝達機構43は、駆動電動機41の回転を並進運動に変換して着脱部45に伝達する。伝達機構43は、例えば、駆動電動機41の出力軸に固定された第1プーリ49と、第1プーリ49に掛架されたベルト51と、ベルト51が掛架された第2プーリ53と、第2プーリ53が固定されたねじ軸55と、ねじ軸55に螺合されたナット57とを有している。なお、ねじ軸55及びナット57は、例えば、ボールねじ機構により構成されている。
ねじ軸55は、ピストンロッド27に平行に配置されている。また、ねじ軸55は、不図示の軸受等に支持されることにより、軸方向(前後方向)の移動が規制されるとともに軸回りの回転が許容されている。一方、ナット57は、着脱部45に固定されることなどにより、軸回りの回転が規制されるとともに前後方向の移動が許容されている。
従って、駆動電動機41の回転が第1プーリ49、ベルト51及び第2プーリ53を介してねじ軸55に伝達され、ねじ軸55が回転すると、ナット57は、前後方向に移動する。
着脱部45は、基部59と、基部59に揺動可能に支持されたフック61と、フック61を駆動するアクチュエータ63とを有している。
基部59は、ナット57と固定されている。従って、基部59は、駆動電動機41の駆動力によりナット57と共に前後方向に駆動される。また、基部59の前後方向の移動により、基部59に支持されているフック61及びアクチュエータ63も前後方向に移動する。
基部59は、中間ロッド7(ロッド本体7a)の後端が挿通される孔部が形成された板状部分を有しており、被当接部7bに対して後方から当接可能である。すなわち、基部59は、被当接部7bに対する当接により、ピストンロッド27に対する相対的な前進が規制されるとともに、その当接位置から後方におけるピストンロッド27に対する相対的な後退が許容される。
従って、基部59が被当接部7bに対して当接した状態で基部59を前進させることにより、プランジャ5を前進させることができる。すなわち、駆動電動機41の駆動力によりプランジャ5を前進させることができる。また、ヘッド側室23hへ作動液を供給してピストンロッド27を比較的高速に移動させることなどにより、プランジャ5を基部59に対して相対的に前進させることが可能である。
なお、基部59は、被当接部7bに当接する部分として、被当接部7bとの反発係数が基部59の他の部分に比較して小さい材料からなる緩衝部60を有していることが好ましい。
フック61は、例えば、概ねL字状に形成されるとともに、一端が基部59によって回転可能に支持されている。そして、フック61は、被当接部7bに対してプランジャ5の後退方向に係合可能な位置(「ON」の位置)と、当該係合が解除される位置(「OFF」の位置)との間で移動可能である。なお、フック61は、ONの位置において、基部59とで被当接部7bを挟持可能である。
フック61がOFF(係合解除)されることにより、プランジャ5を基部59に対して相対的に前進させることが可能である。また、フック61がON(係合)されることにより、基部59の後退に伴ってプランジャ5を後退させることができる。すなわち、駆動電動機41の駆動力によりプランジャ5を後退させることができる。
駆動装置13は、ピストン25のストロークの全体に亘ってフック61を被当接部7bに係合可能に構成及び配置されている。例えば、ナット57のストロークは、射出シリンダ9のストロークと同等とされており、駆動装置13は、ピストン25が後退限に位置するときにナット57も後退限に位置するように配置されている。
アクチュエータ63は、例えば、往復動(別の観点では伸縮)を行うアクチュエータにより構成されている。アクチュエータ63は、例えば、リニアモータ、空圧シリンダ若しくは液圧シリンダである。アクチュエータ63の往復動によって、フック61はON若しくはOFFされる。
なお、上述のように、被当接部7bは、中間ロッド7の中央位置よりも後方に設けられているから、基部59の被当接部7bに対する当接又は着脱部45の被当接部7bに対する着脱も、中間ロッド7の中央位置よりも後方において行われることになる。また、被当接部7bは、ピストン25が前進限に位置したとしても射出フレーム159よりも後方に位置するから、上記の当接又は着脱も、射出フレーム159よりも後方にて行われることになる。また、ピストン25が前進限に位置したとしても、被当接部7bのスリーブ3からの距離は、例えば、ピストン25のストロークよりも長く、上記の当接又は着脱は、スリーブ3からピストン25のストロークよりも長い距離で離間した範囲で行われる。
支持部46は、例えば、レールを含んで構成されており、基部59の被支持部とでリニアガイドを構成している。従って、基部59は、前後方向の移動のみが許容されている。なお、支持部46は、基部59がナット57から受ける力と基部59が被当接部7bから受ける力(慣性力)とによって生じる基部59を回転させるモーメントに好適に抗する構成とされることが好ましい。
なお、図示の便宜上、駆動装置13は、射出シリンダ9の下方に示されているが、駆動装置13は、射出シリンダ9の下方に限らず、射出シリンダ9の側方や上方等に位置してもよい。また、図示の便宜上、ねじ軸55及び駆動電動機41が共に射出シリンダ9の下方に示されているが、ねじ軸55が射出シリンダ9の下方に位置する一方で駆動電動機41は射出シリンダ9の側方に位置するなど、駆動装置13内の各部材の位置関係も適宜に設定されてよい。後述する他の実施形態においても同様である。
制御装置153(図1)は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置、入力回路、及び、出力回路を含んで構成されている。制御装置153は、入力された各種の入力信号に基づいて、各部を制御するための制御信号を出力する。
制御装置153に信号を入力するのは、例えば、ユーザの入力操作を受け付ける不図示の入力装置、エンコーダ47、プランジャ5の位置を検出するための第1位置センサ65、着脱部45(基部59)の位置を検出するための第2位置センサ67、適宜な位置において作動液の圧力を検出する不図示の圧力センサである。
制御装置153が信号を出力するのは、例えば、ユーザに情報を表示する不図示の表示器、ポンプ用電動機33や駆動電動機41に電力を供給する不図示のドライバ、液圧回路37(サーボバルブ39含む)、アクチュエータ63(又はそのドライバ)である。
第1位置センサ65は、例えば、不図示のスケール部とともにリニアエンコーダを構成している。例えば、第1位置センサ65は、中間ロッド7の近くに固定的に設けられ、スケール部は、中間ロッド7に設けられ、その軸方向に延びている。そして、第1位置センサ65は、中間ロッド7とともに移動するスケール部の位置を検出することによってプランジャ5の位置を間接的に検出する。なお、第1位置センサ65、又は、制御装置153は、検出した位置を微分することにより、速度を検出することが可能である。
第2位置センサ67は、例えば、不図示のスケール部とともにリニアエンコーダを構成している。例えば、第2位置センサ67は、基部59に設けられ、スケール部は、支持部46に設けられ、前後方向に延びている。そして、第2位置センサ67は、基部59とともに移動して、スケール部との相対位置を検出することによって基部59の位置を検出する。なお、第2位置センサ67、又は、制御装置153は、検出した位置を微分することにより、速度を検出することが可能である。
圧力センサは、適宜な位置に設けられる。例えば、特に図示しないが、ヘッド側室23hの圧力を検出する圧力センサ及びロッド側室23rの圧力を検出する圧力センサが設けられ、制御装置153は、これらの圧力センサの検出値に基づいて、プランジャ5が溶湯に加える圧力を特定可能である。また、例えば、特に図示しないが、アキュムレータ35の圧力を検出する圧力センサが設けられ、制御装置153は、その検出値に基づいて、アキュムレータ35の充填完了を判定可能である。
(射出装置の動作)
図3は、射出装置1の動作を説明する図である。図3において、横軸は時間を示している。また、実線Lvは射出速度の変化を示し、実線Lpは射出圧力の変化を示している。実線Lv及びLpが描かれたグラフにおいて、縦軸は射出速度及び射出圧力の大きさを示している。また、当該グラフの下方においては、射出シリンダ9のピストン25、駆動電動機41、着脱部45、サーボバルブ39、ポンプ用電動機33及びアキュムレータ35の動作を示している。図3のさらに下方においては、駆動電動機41の負荷を示している。
なお、サーボバルブ39の「ON/OFF」は、開口度が制御されている状態/開口度が制御されずに開かれている若しくは閉じられている状態を示している。また、アキュムレータ35の「充填」は、アキュムレータ35を充填可能な状態を示している(「充填」とされた範囲全体に亘って充填が行われている必要は無い)。
射出装置1は、概観すると、低速射出、高速射出、及び、増圧(昇圧)を順に行う。すなわち、射出装置1は、射出の初期段階においては、溶湯の空気の巻き込みを防止するために比較的低速でプランジャ5を前進させ、次に、溶湯の凝固に遅れずに溶湯を充填するため等の観点から比較的高速でプランジャ5を前進させる。その後、射出装置1は、成形品のヒケをなくすために、プランジャ5の前進する方向の力によりキャビティ内の溶湯を増圧する。具体的には、以下のとおりである。
(低速射出:t0〜t1)
低速射出の開始直前において、射出装置1は、図1及び図2に示す状態となっている。すなわち、射出シリンダ9のピストン25及び駆動装置13のナット57は、後退限等の初期位置に位置している。この初期位置において、基部59は中間ロッド7の被当接部7bに当接しており、また、フック61は被当接部7bに係合可能である。ただし、必ずしも係合がなされている必要はなく、本実施形態では、係合は解除(OFF)されているものとする。また、駆動電動機41は停止している。ポンプ用電動機33は、アキュムレータ35の充填が完了しているのであれば停止されており、充填が完了していないのであれば駆動されている。液圧回路37は、アキュムレータ35からの作動液の放出を禁止している。サーボバルブ39は閉じられている。
固定金型101及び移動金型103の型締が終了し、溶湯がスリーブ3に供給されるなど、所定の低速射出開始条件が満たされると、制御装置153は、駆動電動機41を駆動する。その駆動力は、伝達機構43及び基部59を介して被当接部7bに伝達される。これにより、プランジャ5、中間ロッド7及びピストンロッド27が前進する。すなわち、駆動装置13の駆動力によって低速射出が行われる。
なお、制御装置153は、ピストン25の前進に伴って、ロッド側室23rからの作動液の排出及びヘッド側室23hへの作動液の補給が適宜に行われるように、液圧回路37を制御する。
例えば、液圧回路37は、ロッド側室23rから排出される作動液をタンク29に排出し、又は、不図示のランアラウンド回路を介してヘッド側室23hに還流する。低速射出の間、サーボバルブ39は、例えば全開とされる。なお、ランアラウンド回路を利用する場合においても、ヘッド側室23hは、ロッド側室23rよりも受圧面積が大きいから、ヘッド側室23hへの作動液の補給は必要である。
また、例えば、液圧回路37は、タンク29からヘッド側室23hへの作動液の流れを許容し、ヘッド側室23hへ作動液を補給する。アキュムレータ35の充填を低速射出前に終了させ、ポンプ31からヘッド側室23hへ作動液を補給してもよい。若しくは、不図示のアシスト用のアキュムレータからヘッド側室23hへ作動液を補給してもよい。なお、ポンプ31若しくはアキュムレータから作動液を補給する場合、ヘッド側室23hに負圧が生じない程度に作動液が補給されてもよいし(この場合も駆動装置13のみにより低速射出を行っているといえる)、駆動装置13によるプランジャ5の駆動をアシストするように(例えばプランジャ5を駆動する駆動力の数十%を生じるように)作動液が補給されてもよい。
プランジャ5の速度は、駆動電動機41の回転数の調整により制御される。具体的には、制御装置153は、第2位置センサ67(第1位置センサ65でもよい)により検出されるプランジャ5の速度に基づいて、駆動電動機41の回転数をフィードバック制御する。
アキュムレータ35の充填は、アキュムレータ35の圧力を検出する不図示の圧力センサの検出値が所定の充填完了圧力に到達したときに、ポンプ用電動機33が停止(OFF)されることにより終了する。ポンプ31の容量、ポンプ用電動機33の回転数及び/又は充填完了圧力等は、後述するアキュムレータ35の充填開始時点後、低速射出が終了するまでの適宜な時期において、アキュムレータ35の充填が完了するように適宜に設定されている。
なお、図3では、着脱部45がOFF(係合解除)された状態で低速射出が行われている場合を例示しているが、着脱部45はONされていてもよい。この場合、例えば、減速を含む多段制御を行ったときに、慣性力によってプランジャ5が基部59から離間して前進してしまうことを防止できる。
(高速射出:t1〜t2)
制御装置153は、第2位置センサ67(第1位置センサ65でもよい)の検出値に基づくプランジャ5の位置が所定の高速切換位置に到達すると、アキュムレータ35からヘッド側室23hへ作動液が供給されるように液圧回路37を制御する。また、制御装置153は、サーボバルブ39を適宜な開度に調整する。さらに、制御装置153は、低速射出から引き続き着脱部45をOFF(係合解除)とし、若しくは、低速射出においてONであった着脱部45をOFFとする。
これにより、ピストン25、ピストンロッド27、中間ロッド7及びプランジャ5は比較的高速で前進する。このとき、着脱部45の係合が解除されているから、プランジャ5等は、比較的低速で移動する着脱部45及びナット57を置き去りにして前進する。従って、駆動装置13は、プランジャ5等の前進を妨げる負荷とはならない。そして、スリーブ3の溶湯が高速でキャビティ105に射出される。
なお、射出シリンダ9によってプランジャ5が駆動されることにより、駆動装置13の駆動電動機41の負荷は低速射出時よりも低下する。
プランジャ5の速度は、サーボバルブ39の開口度の調整により制御される。なお、制御装置153は、第1位置センサ65により検出されるプランジャ5の速度に基づいて、サーボバルブ39の開口度をフィードバック制御してもよい。
(減速射出:t2〜t3)
溶湯がキャビティ105にある程度充填されると、プランジャ5は、その充填された溶湯から反力を受けて減速され、その一方で、射出圧力は、急激に上昇していく。なお、各部の動作は、高速射出時と同様である。ただし、充填時の衝撃を緩和するために、プランジャ5が所定の減速位置に到達するなど所定の減速開始条件が満たされたときにサーボバルブ39の開口度を小さくするなど、適宜な減速制御がなされてもよい。
(増圧:t3〜t4)
所定の増圧開始条件が満たされると、制御装置153は、増圧工程を開始するように液圧回路37を制御する。増圧開始条件は、例えば、ヘッド側室23hの圧力を検出する不図示の圧力センサ(及び必要に応じてロッド側室23rの圧力を検出する不図示の圧力センサ)の検出値に基づく射出圧力が所定の値に到達したこと、又は、第1位置センサ65により検出されるプランジャ5の検出位置が所定の位置に到達したことである。
液圧回路37は、増圧開始のために、例えば、射出工程においてランアラウンド回路によりロッド側室23rから排出される作動液をヘッド側室23hへ還流していたのであれば、ランアラウンド回路をオフし、ロッド側室23rをタンク29に接続してタンク圧とする。これにより、ヘッド側室23hの圧力はアキュムレータ35の圧力と同等となるまで上昇し、射出圧力は終圧に到達する。また、射出速度は、キャビティ105に溶湯が完全に充填されることにより0となる。なお、射出工程においてロッド側室23rが既にタンク圧とされているような場合においては、増圧工程において射出工程と異なる動作が特に行われなくてもよい。
(保圧:t4〜t6)
制御装置153は、射出圧力が終圧となっている状態を維持する。この間に、溶湯は冷却されて凝固する。溶湯が凝固すると、制御装置153は、アキュムレータ35からヘッド側室23hへの液圧の供給を停止するとともに、ロッド側室23rからタンク29への作動液の排出を停止するように液圧回路37を制御し、保圧は終了する。
なお、制御装置153は、適宜に溶湯が凝固したか否かを判定する。例えば、制御装置は、終圧が得られた時点等の所定の時点から所定の時間が経過したか否かにより、溶湯が凝固したか否か判定する。
(着脱部の到達:t5)
増圧が開始されてプランジャ5の速度が低下し、さらには、保圧が開始されてプランジャ5が停止することにより、駆動装置13によって低速射出から引き続き駆動されていた着脱部45(基部59)は被当接部7bに追いつく。換言すれば、着脱部45は、係合可能な状態となる。着脱部45が被当接部7bに到達する時点は、好ましくは保圧完了前である。
制御装置153は、第1位置センサ65及び第2位置センサ67の検出値に基づいて着脱部45の被当接部7bへの到達を検出すると、駆動電動機41を停止させる。
なお、高速射出開始から着脱部45が被当接部7bに到達するまでの着脱部45の速度は、低速射出時の速度と同等であってもよいし、異なっていてもよい。また、基部59がプランジャ5に衝撃を与えないように、適宜に減速制御が行われてもよい。
(押出追従:t7〜t9)
保圧終了後、制御装置153は、不図示の型締装置に型開きを行わせるとともに、不図示の押出装置により固定金型101から成形品を押し出す。このとき、制御装置153は、着脱部45を前進させる方向へ駆動電動機41を駆動して、プランジャ5によりビスケットを押し出す。なお、射出シリンダ9及び液圧回路37等における作動液の流れは、例えば、低速射出時と同様とされてよい。
制御装置153は、駆動電動機41に流れる電流(負荷)が所定の設定値以上となる場合は、射出シリンダ9を併用してプランジャ5を前進させる。具体的には、例えば、アキュムレータ35からヘッド側室23hに作動液を供給するように液圧回路37を制御する。なお、ロッド側室23rの作動液は、ヘッド側室23hに還流されてもよいし、タンク29に排出されてもよい。一方、制御装置153は、負荷が設定値未満となる場合は、射出シリンダ9を併用せずに、駆動電動機41のみによるプランジャ5の前進を行う。
なお、試運転において設定値以上か否かの判定が行われ、その後の複数の成形サイクルに対して一律に併用するか否かが決定されてもよいし、成形サイクル毎に設定値以上か否かの判定が行われ、各成形サイクルにおいて設定値以上となった以後若しくは設定値以上となっている間において併用が行われてもよい。
また、併用は、押出追従の全体に亘って行われてもよいし、負荷が大きくなる初期のみにおいて行われてもよい。なお、ここでいう押出追従の初期は、押出追従において、プランジャ5が前進を開始する時点を含み、プランジャ5の前進が停止する時点を含まない範囲であり、例えば、押出追従におけるプランジャ5のストロークのうち最初の1/5〜1/2の範囲に相当する期間である。
なお、図3では、射出シリンダ9を併用している場合を例示するとともに、予め射出シリンダ9が併用されることが決定され、駆動電動機41の回転開始と同時にアキュムレータ35の放出が開始され、また、押出追従の初期(t7〜t8)のみにおいて併用が行われる場合を例示している。
(プランジャ後退:t10〜t11)
制御装置153は、着脱部45が被当接部7bに到達した以後(t5以後)からの適宜な時期、好適には、保圧終了後(t6後)、より好適には押出追従の開始時(t7)において、着脱部45をON(係合)状態とする。そして、制御装置153は、押出追従が完了すると、着脱部45を後退させる方向に駆動電動機41を駆動する。これにより、プランジャ5が後退する。
なお、ピストン25の後退に伴ってヘッド側室23hから排出される作動液は、例えば、液圧回路37を介してロッド側室23rへ還流される。ロッド側室23rにおける作動液の余剰分は、例えば、液圧回路37を介してタンク29へ排出される。ヘッド側室23hから排出される作動液は、アキュムレータ35の充填に供されることも可能である。
(アキュムレータ充填:t9〜t11〜t1)
アキュムレータ35の充填は、アキュムレータ35の放出が行われる高速射出、増圧及び保圧、並びに、アキュムレータ35の放出が行われる可能性のある押出追従を除いて、適宜な時期に行われてよい。
例えば、制御装置153は、押出追従が完了すると(t9)、ポンプ用電動機33の駆動を開始し、アキュムレータ35の充填を開始する。アキュムレータ35の充填完了時期は、既に述べたように、低速射出終了までの間の適宜な時期とされる。
以上のとおり、本実施形態では、射出装置1は、キャビティ105に通じるスリーブ3と、スリーブ3内の溶湯をキャビティ105に押し出すプランジャ5と、プランジャ5の後端に同軸に連結された中間ロッド7と、中間ロッド7の後端に同軸に連結された射出シリンダ9と、射出シリンダ9に並列配置された駆動装置13とを有する。駆動装置13は、中間ロッド7の中央位置よりも後方における当接又は着脱により、ピストンロッド27に対する相対的な前進が規制されるとともに、ピストンロッド27に対する相対的な後退が許容される基部59(又は着脱部45)を有し、基部59をピストンロッド27の移動方向に駆動可能である。
従って、駆動装置13をスリーブ3から離して配置することができる。その結果、飛散した溶湯又は潤滑剤が駆動装置13(例えば着脱部45やねじ軸55)に付着して、駆動装置13の性能低下又は寿命短縮が生じることが抑制される。駆動装置13の後方配置は、中間ロッド7の介在によって実現されていることから、プランジャ5又はピストンロッド27を長くする場合(図9(a)及び図9(b)参照)に比較して、従来のプランジャ5等をそのまま利用することができるという利点がある。また、中間ロッド7の交換を行うこともできる。
また、本実施形態では、射出装置1は、キャビティ105を構成する固定金型101を保持する固定ダイプレート155に固定された射出フレーム159を更に有する。射出シリンダ9のシリンダ部23は、射出フレーム159から後方へ離間している。駆動装置13の当接又は着脱は、射出フレーム159よりも後方において行われる。
従って、基部59(又は着脱部45)の当接又は着脱は、十分にスリーブ3から離間した範囲において行われることになる。その結果、飛散した溶湯又は潤滑剤の駆動装置13への付着がより確実に抑制される。また、溶湯又は潤滑剤の駆動装置13への飛散が射出フレーム159により遮られることも期待される。
また、本実施形態では、射出装置1は、射出フレーム159に設けられ、中間ロッド7を支持するブシュ161を更に有する。
従って、射出装置1は、本来は射出シリンダを取り付けるために設けられた射出フレーム159を積極的に他の用途に利用することにより、単に従来の構成に対する設計変更を少なくするだけでなく、中間ロッド7の芯出し等を好適に行い、射出の好適化を図ることができる。
また、本実施形態では、射出シリンダ9のシリンダ部23は、ピストンロッド27のストロークの2倍よりも長い距離でスリーブ3から後方へ離間しており、駆動装置13の当接又は着脱は、ピストンロッド27のストロークよりも長い距離でスリーブ3から後方へ離間した範囲において行われる。
従って、基部59(又は着脱部45)の当接又は着脱は、十分にスリーブ3から離間した範囲において行われることになる。その結果、飛散した溶湯又は潤滑剤の駆動装置13への付着がより確実に抑制される。
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態に係る射出装置201の要部の構成を模式的に示す側面図(一部に断面図を含む)である。
射出装置201は、射出シリンダのピストンロッド及びピストンの構成のみが第1の実施形態の射出装置1と相違する。具体的には、射出装置201の射出シリンダ209においては、ピストンロッド227及びピストン225は、中空形状とされている。
このような中空形状は、例えば、ピストンロッド227及びピストン225の外周面を構成する概略筒状の部材と、その筒状の部材のピストン225側の開口を塞ぐ部材とにより、ピストンロッド227及びピストン225を構成することにより実現される。なお、ピストンロッド227の先端側の開口は、例えば、中間ロッド7の後端により塞がれている。
以上の第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、中間ロッド7が設けられていることから、着脱部45及びねじ軸55等を含む駆動装置13を後方に配置し、その動作環境を向上できる。
一方、中間ロッド7が設けられると、駆動装置13及び射出シリンダ9によって駆動される部材全体の重量が増加する。そこで、本実施形態のように、ピストンロッド227及びピストン225を中空形状とすることにより、駆動装置13等によって駆動される部材全体の軽量化を図り、駆動装置13等の負担を軽減することができる。
<第3の実施形態>
図5は、第3の実施形態に係る射出装置301の要部の構成を模式的に示す平面図(一部に断面図を含む)である。
射出装置301は、駆動装置の構成のみが第2の実施形態と相違する。具体的には、射出装置301の駆動装置313は、2組のねじ機構(ねじ軸55及びナット57)により駆動電動機41の駆動力を中間ロッド7に伝達するように構成されている。その詳細は、以下のとおりである。
2本のねじ軸55は、中間ロッド7を挟んで並列に配置されている。より具体的には、2本のねじ軸55及び中間ロッド7は、同一平面内に配置されており、2本のねじ軸55は、中間ロッド7を対称軸として線対称に配置されている。なお、各ねじ軸55が中間ロッド7に対して平行に配置されていること等は既述の実施形態と同様である。また、既に述べたように、ねじ軸55は、中間ロッド7に対して下方、側方、上方等の適宜な位置に配置されてよいが、本実施形態では、2本のねじ軸55は、左右側方に配置されていることが好ましい。
駆動装置313の伝達機構343は、1つの駆動電動機41の駆動力を2本のねじ軸55に伝達するために、例えば、駆動電動機41の出力軸に固定され、2本のベルト51を掛架可能な第1プーリ349を有している。そして、第1プーリ349と、各ねじ軸55に固定された第2プーリ53との間にはベルト51が掛架されている。
なお、図示の便宜上、駆動電動機41は、2本のねじ軸55のうちの一方のねじ軸55寄りに配置されているが、ねじ軸55を射出シリンダ9の左右に配置する一方で駆動電動機41を射出シリンダ9の下方又は上方に配置するなどしてもよい。また、駆動電動機41の前後方向の向き(ベルト51に対する前後方向の位置)は、第2の実施形態とは逆になっているが、第2の実施形態と同様とされてもよい。
駆動装置313の着脱部345は、2本のねじ軸55に螺合する2つのナット57を保持可能に、第2の実施形態の基部59に比較して大きな基部359を有している。着脱部345のその他の構成は、第2の実施形態の着脱部45と同様である。
以上の第3の実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様に、中間ロッド7が設けられていることから、着脱部45やねじ軸55等を含む駆動装置13を後方に配置し、その動作環境を向上できる。
さらに、本実施形態のように、射出シリンダ209を挟んで射出シリンダ209に並列に配置され、基部359を駆動する1対のねじ機構(ねじ軸55及びナット57)が設けられることにより、ねじ軸55と中間ロッド7との距離に応じて生じるモーメントの発生が抑制される。その結果、プランジャ5の前後進が円滑に行われる。
<第4の実施形態>
図6は、第4の実施形態に係る射出装置401の要部の構成を模式的に示す平面図(一部に断面図を含む)である。
射出装置401は、駆動装置の構成のみが第3の実施形態と相違する。具体的には、射出装置401の駆動装置413は、2組のねじ機構(ねじ軸55及びナット57)に対応して、2つの駆動電動機41を有している。その詳細は、以下のとおりである。
2組のねじ機構及び着脱部345の構成及び配置は、例えば、第3の実施形態と同様である。各駆動電動機41からねじ軸55へ至る構成は、例えば、第1の実施形態と同様である。すなわち、射出装置401は、第1の実施形態の駆動電動機41及び伝達機構43を2組有している。
以上の第4の実施形態においても、第1〜第3の実施形態と同様に、中間ロッド7が設けられていることから、着脱部45やねじ軸55等を含む駆動装置13を後方に配置し、その動作環境を向上できる。また、第3の実施形態と同様に、意図しないモーメントの発生を抑制できる。
また、本実施形態では、複数(本実施形態では2つ)の駆動電動機41によりプランジャ5を駆動していることから、1つの駆動電動機41によりプランジャ5を駆動する場合に比較して、駆動電動機41を小型化することができる。必要とされるトルクが大きい場合、1つの大型の電動機よりも、同等のトルクを生じる2つの小型の電動機の方が安価となる。従って、本実施形態は、大型のダイカストマシンのコスト削減に有利である。
<第5の実施形態>
図7は、第5の実施形態に係る射出装置501の要部の構成を模式的に示す平面図(一部に断面図を含む)である。
第1〜第4の実施形態においては、プランジャ5と射出シリンダとの間に中間ロッド7を設けることにより、着脱部を含む駆動装置を後方に配置した。これに対して、本実施形態においては、射出シリンダ509の後方に後部ロッド507を設けることにより、着脱部545を含む駆動装置513を後方に配置する。具体的には、以下のとおりである。
射出シリンダ509は、プランジャ5の後方においてプランジャ5に同軸に配置されている。そして、射出シリンダ509のピストンロッド527の先端は、プランジャ5の後端にカップリング17により連結されている。なお、ピストンロッド527は、例えば、第2の実施形態のピストンロッド227及びピストン225の外周面を構成した部材と同様の部材の先端に、先端部材528が固定されることにより構成されており、中空形状とされている。
後部ロッド507は、射出シリンダ509の後方において射出シリンダ509に同軸に配置されている。そして、後部ロッド507の先端は、射出シリンダ509のシリンダ部523の後端に形成された孔部を介して、ピストン525に固定されている。
なお、固定は適宜な方法によりなされてよい。例えば、ピストン525は、第2の実施形態のピストンロッド227及びピストン225の外周面を構成した部材と同様の部材により構成されており、後方に開口する雌ねじ部が形成されている。一方、後部ロッド507の先端には、雄ねじ部が形成されている。そして、雄ねじ部が雌ねじ部に螺合されることにより、後部ロッド507は、ピストン525に固定される。なお、後部ロッド507の先端側の一部を含んでピストン525が構成されていると捉えられてもよい。
後部ロッド507は、軸状のロッド本体507aと、駆動装置513との連結のための被当接部507bとを有している。
ロッド本体507aの材料、断面形状及び断面積は、中間ロッド7のロッド本体7aと同様に、射出に必要な強度が得られるように適宜に設定されてよい。また、ロッド本体507aの長さは、中間ロッド7のロッド本体7aと同様に、駆動装置513をスリーブ3から離間させたい距離に応じて適宜に設定されてよい。ただし、ロッド本体507aは、ピストン525と共に移動して、シリンダ部523に対して出し入れされるから、射出シリンダ509のストロークと同等以上の長さが必要である。
被当接部507bは、例えば、後部ロッド507の後端を構成しており、また、ロッド本体507aよりも径が大きい。被当接部507bは、ロッド本体507aと一体形成されていてもよいし、ロッド本体507aに環状若しくは円盤状の部材がねじ等により固定されて構成されていてもよい。
駆動装置513は、例えば、概ね、第3の実施形態(図5)の駆動装置313と同様とされている。ただし、着脱部545の基部559は、後部ロッド507の後端(被当接部507b)に当接するように構成されている。なお、基部559は、第1の実施形態の基部59と同様に、被当接部507bに当接する部分として、基部559の他の部分よりも反発係数が低い緩衝部560を有していることが好ましい。
駆動装置513において、ねじ軸55に対するベルト51の前後方向の位置は、第1〜第4の実施形態の伝達機構と逆になっているが、第1〜第4の実施形態と同様とされてもよい。なお、射出装置501が前後方向に大型化することを抑制する観点からは、ねじ軸55に対するベルト51及び駆動電動機41の位置は、本実施形態の位置、又は、第3及び第4の実施形態の位置が好ましい。
射出シリンダ509は、特に図示しないが、従来の射出装置と同様に、射出フレーム159に固定されてもよい。射出装置501のその他の構成及び動作は、第1〜第4の実施形態と同様でよい。
以上のとおり、本実施形態では、射出装置501は、キャビティ105に通じるスリーブ3(図1参照)と、スリーブ3内の成形材料をキャビティ105に押し出すプランジャ5と、プランジャ5の後端に同軸に連結された射出シリンダ509と、射出シリンダ509の後方に同軸に配置され、ピストン525に固定された後部ロッド507と、射出シリンダ509に並列に配置された駆動装置513とを有する。駆動装置513は、後部ロッド507(又は後部ロッド507に固定された部材)に対する当接又は着脱により、ピストンロッド527に対する相対的な前進が規制されるとともに、ピストンロッド527に対する相対的な後退が許容される基部559(又は着脱部545)を有し、基部559をピストンロッド527の移動方向に駆動可能である。
従って、特許文献1又は2では射出シリンダの前方において行われていた当接又は着脱が、射出シリンダ509よりも後方において行われることになる。すなわち、駆動装置513をスリーブ3から離して配置することができる。その結果、第1〜第4の実施形態と同様に、飛散した溶湯又は潤滑剤が駆動装置513(例えば着脱部545やねじ軸55)に付着して、駆動装置513の性能低下又は寿命短縮が生じることが抑制される。
また、第1〜第4の実施形態においては、プランジャ5及び中間ロッド7の後方にて当接又は着脱が行われるのに対して、本実施形態では、プランジャ5、ピストンロッド527及びピストン525並びに後部ロッド507の後方にて当接又は着脱が行われることから、第1〜第4の実施形態よりも、駆動装置を後方へ位置させることが容易である。さらに、射出シリンダ509とプランジャ5との間に中間ロッド7が介在しないことから、増圧時等において射出シリンダ509から溶湯へ比較的大きな力を加えるための強度確保も容易である。
なお、第1〜第4の実施形態は、本実施形態に比較して、射出シリンダとして従来と同様のものを使用することができる、射出シリンダとして増圧式のものを使用することも容易である、ピストンのヘッド側室における受圧面積を確保することが容易である、等の利点がある。
<第6の実施形態>
図8は、第6の実施形態に係る射出装置601の要部の構成を模式的に示す平面図(一部に断面図を含む)である。
射出装置601は、駆動装置の構成のみが第5の実施形態と相違する。具体的には、第3の実施形態(図5)に対する第4の実施形態(図6)の相違と同様に、射出装置601の駆動装置613は、2組のねじ機構(ねじ軸55及びナット57)に対応して、2つの駆動電動機41を有している。
以上の第6の実施形態においても、第1〜第5の実施形態と同様に、着脱部545やねじ軸55等を含む駆動装置613を後方に配置し、その動作環境を向上できる。また、第5の実施形態と同様に、後部ロッド507により駆動装置613の後方配置を実現したことによる効果が得られる。
<第7の実施形態>
図9(a)は、第7の実施形態に係る射出装置701の要部の構成を模式的に示す側面図(一部に断面図を含む)である。
射出装置701は、第1の実施形態の中間ロッド7及びピストンロッド27に代えて、これらが一体化されたピストンロッド727を有している。別の観点では、本実施形態においては、中間ロッドとピストンロッドとは、必ずしも明確に区別できない。
なお、プランジャ5とピストンロッド727とは、例えば、カップリング17により連結されている。ピストンロッド727には、第1の実施形態において中間ロッド7に被当接部7bが設けられたのと同様に、被当接部727bが設けられている。射出装置701のその他の構成は、第1の実施形態の射出装置1と概ね同様である。
本実施形態においても、中間ロッドが設けられた場合と同様に、駆動装置を後方に配置し、駆動装置の動作環境を向上させることができる。なお、従来に比較して駆動装置が後方に配置されていること(従来よりもピストンロッドが長いこと)は、例えば、本実施形態と第1〜第4の実施形態とで共通する以下の特徴により、特定可能である。
まず、一の観点では、射出装置701は、固定ダイプレート155(図1参照)に固定された射出フレーム159を有する。ピストンロッド727は、中間ロッド7と同様に、射出フレーム159に設けられたブシュ161に支持されている。そして、被当接部727bは、その射出フレーム159よりも後方に位置している(当接又は着脱は、射出フレーム159よりも後方において行われる。)。
また、他の観点では、射出シリンダ709のシリンダ部723は、例えば、ピストンロッド727のストロークの2倍よりも長い距離でスリーブ3から後方へ離間している。被当接部727bは、例えば、ピストンロッド727のストロークよりも長い距離でスリーブ3から後方へ離間している(当接又は着脱は、ピストンロッド727のストロークよりも長い距離でスリーブ3から後方へ離間した範囲において行われる。)。
なお、通常、ピストンロッドは、例えば、ダイカストマシンを前後方向において小型化したり、芯出しを容易化したりするために、必要最小限の長さとされる。従って、上記の2つの観点から特定されるように、ピストンロッドを際立って長く形成することは、単なる設計事項ではない。
<第8の実施形態>
図9(b)は、第8の実施形態に係る射出装置801の要部の構成を模式的に示す側面図(一部に断面図を含む)である。
射出装置801は、第1の実施形態のプランジャ5及び中間ロッド7に代えて、これらが一体化されたプランジャ805を有している。別の観点では、本実施形態においては、プランジャと中間ロッドとは、必ずしも明確に区別できない。
なお、プランジャ805と射出シリンダ809のピストンロッド827とは、例えば、カップリング17により連結されている。カップリング17は、中間ロッド7に設けられた被当接部7bと同様に、着脱部45と連結される部分として機能する。射出装置801のその他の構成は、第1の実施形態の射出装置1と概ね同様である。
本実施形態においても、中間ロッドが設けられた場合と同様に、駆動装置を後方に配置し、駆動装置の動作環境を向上させることができる。なお、従来に比較して駆動装置が後方に配置されていること(従来よりもプランジャが長いこと)は、例えば、本実施形態と第1〜第4の実施形態とで共通する以下の特徴により、特定可能である。
まず、一の観点では、射出装置801は、固定ダイプレート155(図1参照)に固定された射出フレーム159を有する。プランジャ805は、中間ロッド7と同様に、射出フレーム159に設けられたブシュ161に支持されている。そして、被当接部(カップリング17)は、その射出フレーム159よりも後方に位置している(当接又は着脱は、射出フレーム159よりも後方において行われる。)。
また、他の観点では、射出シリンダ809のシリンダ部823は、例えば、ピストンロッド827のストロークの2倍よりも長い距離でスリーブ3から後方へ離間している。被当接部(カップリング17)は、例えば、ピストンロッド827のストロークよりも長い距離でスリーブ3から後方へ離間している(当接又は着脱は、ピストンロッド827のストロークよりも長い距離でスリーブ3から後方へ離間した範囲において行われる。)。
なお、通常、プランジャは、例えば、ダイカストマシンを前後方向において小型化したり、芯出しを容易化したりするために、必要最小限の長さとされる。従って、上記の2つの観点から特定されるように、プランジャを際立って長く形成することは、単なる設計事項ではない。
<第9の実施形態>
図9(c)は、第9の実施形態に係る射出装置901の要部の構成を模式的に示す側面図(一部に断面図を含む)である。
射出装置901は、第1の実施形態のように中間ロッド907が設けられる構成である。ただし、中間ロッド907は、カップリング17によりピストンロッド827と連結されている。そして、中間ロッド907とピストンロッド827とを連結するカップリング17は、第8の実施形態と同様に、着脱部45が当接又は着脱するための被当接部として機能する。射出装置901のその他の構成は、第1の実施形態の射出装置1と同様である。
このような構成であれば、プランジャ5及び射出シリンダ809として、従来の射出装置のものを利用できる蓋然性が高くなると期待される。
<駆動装置の変形例>
図10は、変形例に係る駆動装置1013の要部を示す図である。
既述の実施形態では、1つの駆動電動機41及び1本のねじ機構の組み合わせ(図2、図4)、1つの駆動電動機41及び2本のねじ機構の組み合わせ(図5、図7)、2つの駆動電動機41及び2本のねじ機構の組み合わせ(図6、図8)を例示した。
一方、変形例に係る駆動装置1013は、2つ(複数)の駆動電動機41により、1本のねじ機構を駆動するように構成されている。具体的には、例えば、駆動装置1013は、各駆動電動機41の出力軸に固定された第1プーリ49と、各第1プーリ49に掛架されたベルト51と、ねじ軸55に固定され、2本のベルト51が掛架された第2プーリ1053とを有している。
このような構成によれば、必要とされるトルクが大きい場合に、駆動電動機41が小型化されることにより、一つの大型の電動機を用いる場合よりもコストが削減されることが期待される。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
上述した実施形態は、適宜に組み合わされてもよい。例えば、中実又は中空のピストンロッドは、いずれの実施形態に適用されてもよい。また、例えば、実施形態では、ねじ機構の数:駆動電動機の数が1:1、2:1、2:2、又は、1:2とされた駆動装置を例示したが、これらのいずれの駆動装置が、中間ロッドを有する射出装置、後部ロッドを有する射出装置、中間ロッドとプランジャが一体化された射出装置、又は、中間ロッドとピストンロッドが一体化された射出装置に設けられてもよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、プラスチック射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、横型締縦射出であってもよい。作動液は、油に限定されず、例えば水でもよい。
射出シリンダは、単動式のものに限定されず、増圧式のものであってもよい。例えば、射出シリンダは、小径部と大径部とを有するシリンダ部と、ピストンロッドに固定され、小径部を摺動する射出ピストンと、その後方にて小径部と大径部とを摺動する増圧ピストンとを有するものであってもよい。
駆動装置は、好適には電動機を含むものである。ただし、駆動装置は、必ずしも電動機を含むものに限定されず、駆動力を生じる種々の方式のものとされてよい。例えば、駆動装置は、電動機、ポンプ及びシリンダ装置がユニット化された電動シリンダ(ハイブリッドシリンダ)であってもよい。
電動機は、回転式のものに限定されず、リニアモータであってもよい。なお、リニアモータの場合には、伝達機構を介さずに、リニアモータの駆動力が直接に射出ピストンロッドに伝達されてもよい。
電動機が回転式のものである場合において、電動機の回転を並進運動に変換する変換機構は、ねじ機構に限定されず、例えば、ラック・ピニオン機構であってもよい。また、ねじ機構は、ねじ軸が前後方向に移動するように利用されてもよい。
回転式の電動機とその回転を並進運動に変換する変換機構(ねじ機構等)との間には、プーリ・ベルト機構に代えて歯車機構が介在してもよい。また、電動機の出力軸とねじ軸とを一体化若しくは連結するなど、電動機と変換機構とを直接に接続してもよい。
駆動装置及び射出シリンダは、適宜に単独で又は共に利用されてよい。
例えば、駆動装置は、プランジャの後退及び押出追従に利用されなくてもよい。具体的には、特許文献1において開示されているように、駆動装置は、低速射出から高速射出への切り換えのときに停止され、プランジャの後退及び押出追従は、シリンダ装置のみによって行われてもよい。
この場合、駆動装置は、低速射出のストロークで駆動可能であればよく、小型化が図られる。例えば、ねじ機構のねじの長さを短くすることができる。また、当接又は着脱が行われる範囲もプランジャ等のストロークの後方の範囲だけでよくなり、駆動装置をスリーブから離しやすくなる。
また、例えば、上記とは逆に、駆動装置は、射出シリンダを補助するように、増圧及び/又は保圧に利用されてもよい。このような駆動装置及びシリンダ装置の協働は、一の工程の一部分のみにおいて行われてもよい。
上述のように、駆動装置は、必ずしもプランジャの後退に供されなくてもよいから、射出装置は、被駆動部(実施形態では基部59等)のプランジャ(ピストンロッド)に対する相対的な前進を規制可能且つ被駆動部のプランジャに対する相対的な後退を許容可能に構成されればよく、被駆動部のプランジャに対する相対的な後退をも規制可能な構成(着脱部)は必須ではない。例えば、実施形態において、フック61及びアクチュエータ63は省略可能である。
また、着脱部が設けられる場合において、着脱部は、少なくとも被駆動部のピストンロッドに対する相対的な後退を許容するように連結を解除できれば十分であるが、被駆動部のピストンロッドに対する相対的な前進及び後退の双方を許容するような連結解除を行うものであってもよい。例えば、着脱部は、ピストンロッドに対して前進方向及び後退方向の双方に対して係合する位置と当該係合位置から退避した位置との間で移動可能な係合部材と、当該係合部材を駆動するアクチュエータとを有するものであってもよい。
また、着脱部が設けられる場合において、着脱部は、ピストンロッド又はピストンロッドに固定された部材に対して後方から当接する部材(実施形態では基部59等)を含んでいなくてもよい。例えば、着脱部は、ピストンロッド若しくはピストンロッドに固定された所定部材を側方から挟持したり、所定部材に側方から吸着したりして、摩擦力のみによって着脱部(被駆動部)のピストンロッドに対する前後方向の相対移動を規制するものであってもよい。その他、被駆動部とピストンロッドとの相対移動は適宜に規制若しくは許容されてよい。例えば、特許文献1に開示されている種々の態様が適用されてよい。
液圧装置は、適宜に構成することができ、種々の流路の接続及び共用、並びに、種々の弁の配置は、適宜に変更可能である。例えば、実施形態では、メータアウト回路を構成するサーボバルブ39を設けたが、サーボバルブ39に代えて若しくは追加してメータイン回路を構成するサーボバルブが設けられてもよい。
射出装置(成形機)は、射出フレームを有さないものであってもよい。換言すれば、ピストンロッド又はピストンロッドに固定された部材に対する当接又は着脱は、射出フレームよりも後方において行われる必要は無い。
同様に、射出シリンダのシリンダ部は、ピストンロッドのストロークの2倍よりも長い距離でスリーブから後方へ離れている必要は無いし、ピストンロッド又はピストンロッドに固定された部材に対する当接又は着脱は、ピストンロッドのストロークよりも長い距離でスリーブから後方へ離れた範囲において行われる必要は無い。