図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシンDC1の要部の構成を模式的に示す断面図である。
なお、以下において、図1の紙面左側(プランジャ5によりキャビティ105に溶湯を押し出すときのプランジャ5の進む方向)を前方といい、図1の紙面右側を後方ということがある。
ダイカストマシンDC1は、例えば、固定金型101及び移動金型103を型締めする型締装置151と、型締装置151に型締めされた固定金型101及び移動金型103により構成されたキャビティ105に成形材料としての溶湯(溶融状態の金属材料)を射出・充填する射出装置1と、成形されたダイカスト品(成形品)を固定金型101又は移動金型103から押し出す不図示の押出装置と、これら各装置を制御する制御装置153とを有している。なお、制御装置153は、各装置の一部を構成していると捉えられてもよい。
型締装置151は、例えば、不図示のベースと、ベース上に固定され、固定金型101を保持する固定ダイプレート155と、ベース上において型開閉方向に移動可能であり、移動金型103を保持する不図示の移動ダイプレートとを有している。
固定ダイプレート155には、射出フレーム157が固定されている。射出フレーム157は、本来は射出装置の射出シリンダを固定するためのものである。ただし、後述するように、本実施形態では、射出フレーム157は、別の用途に利用されている。射出フレーム157は、C型やD型等の適宜な形式のものとされてよい。
(射出装置の構成)
射出装置1は、キャビティ105に通じるスリーブ3と、スリーブ3内の溶湯をキャビティ105へ押し出すプランジャ5と、プランジャ5に連結された中間ロッド7と、中間ロッド7を駆動する射出シリンダ9と、射出シリンダ9に作動液を供給する液圧装置11と、中間ロッド7を駆動する駆動装置13とを有している。
スリーブ3及びプランジャ5の構成は、公知の構成と同様でよい。スリーブ3は、例えば、固定ダイプレート155に挿通されるように設けられている。なお、スリーブ3は、固定金型101にも挿通されていてよい。プランジャ5は、スリーブ3を摺動するプランジャチップ5aと、プランジャチップ5aに固定されたプランジャロッド5bとを有している。
スリーブ3に形成された給湯口3aから溶湯がスリーブ3内に供給された状態で、プランジャチップ5aがスリーブ3内をキャビティ105に向かって摺動する(前進する)ことにより、溶湯はキャビティ105に射出、充填される。
中間ロッド7は、プランジャ5を後方へ離れた位置から駆動可能とするためのものである。すなわち、駆動装置13をスリーブ3から後方へ離して配置可能とするものである。中間ロッド7は、軸状のロッド本体7aと、駆動装置13との連結のための被当接部7bとを有している。
ロッド本体7aは、プランジャ5と同軸に配置され、その先端がカップリング15によってプランジャ5の後端と連結されている。また、ロッド本体7aは、射出フレーム157に挿通されている。
ロッド本体7aの材料、断面形状及び断面積は、射出に必要な強度が得られるように適宜に設定されてよい。例えば、ロッド本体7aは、プランジャ5と同様に金属により形成され、その断面積は円形であり、その径は、プランジャ5と同等以上とされている。
ロッド本体7aの長さも、駆動装置13をスリーブ3から離間させたい距離に応じて適宜に設定されてよい。例えば、ロッド本体7aは、プランジャ5又はそのストロークよりも短くてもよいし、長くてもよい。
被当接部7bは、例えば、ロッド本体7aの中央位置よりも後方に設けられ、フランジ状に形成されている。被当接部7bは、ロッド本体7aと一体的に形成されていてもよいし、別部材として形成されてねじ等によりロッド本体7aに固定されていてもよい。
カップリング15は、例えば、従来の射出装置において、プランジャ5と射出シリンダのピストンロッドとの連結に利用されているものと同様のものでよい。なお、この場合、中間ロッド7の先端の構成は、従来の射出シリンダのピストンロッドの先端の構成と同様とされる。
射出フレーム157には、中間ロッド7を支持するために、ブシュ159が設けられている。ブシュ159は、例えば、金属により形成された円筒状部材であり、射出フレーム157に固定されている。中間ロッド7は、ブシュ159に挿通されて、ブシュ159に軸方向へ摺動可能に支持されている。
射出シリンダ9は、例えば、単動式のシリンダ装置により構成されており、シリンダ部17と、シリンダ部17の内部を摺動可能なピストン19と、ピストン19に固定され、シリンダ部17から露出するピストンロッド21とを有している。
シリンダ部17は、例えば、内部の断面形状が円形の筒状体である。シリンダ部17の内部は、ピストン19により、ピストンロッド21側のロッド側室17rと、その反対側のヘッド側室17hとに区画されている。ヘッド側室17hに作動液が供給されることにより、ピストン19は前進(プランジャ5側へ移動)可能である。
射出シリンダ9は、例えば、中間ロッド7に対してその後方に同軸(直列)に配置されている。ピストンロッド21の先端は、中間ロッド7の後端に連結されている。シリンダ部17は、移動不可能に設置されている。従って、ピストン19がシリンダ部17内を前進すると、その駆動力は中間ロッド7を介してプランジャ5に伝達され、プランジャ5は、スリーブ3内を前進する。
中間ロッド7とピストンロッド21との連結は適宜な方法によりなされてよい。例えば、中間ロッド7の後端に雄ねじ部が形成され、ピストンロッド21の先端に雌ねじ部が形成され、雄ねじ部が雌ねじ部に螺合されることにより、中間ロッド7はピストンロッド21に連結されている。
プランジャ5と射出シリンダ9との間に中間ロッド7が介在していることにより、シリンダ部17は、従来よりも後方に位置している。すなわち、従来は、シリンダ部は、その前端部が射出フレーム157に固定されるところ、本実施形態では、シリンダ部17は、射出フレーム157から離間して配置されている。
液圧装置11は、特に図示しないが、例えば、作動液を貯留するタンク、該タンクの作動液を送出するポンプ、該ポンプを駆動する電動機、蓄圧された作動液を保持するアキュムレータを有している。また、液圧装置11は、特に図示しないが、タンク、ポンプ、アキュムレータ及び射出シリンダ9を適宜に接続するとともに、これらの間の作動液の流れを制御する複数の弁を有している。
液圧装置11は、例えば、アキュムレータからヘッド側室17hへ作動液を供給することによりピストン19を前進させることが可能であり、また、このとき、ロッド側室17rから流出する作動液の流量又はヘッド側室17hに流入する作動液の流量を流量制御弁により制御することにより、ピストン19の速度を制御可能である。
駆動装置13は、電動機23と、当該電動機23の駆動力を伝達する伝達機構25と、当該伝達機構25から伝達された駆動力により前後方向に駆動されるとともに、中間ロッド7に対して着脱可能な着脱部27とを有している。
電動機23は、例えば、回転式の電動機である。電動機23は、直流モータでも交流モータでもよいし、誘導モータでも同期モータでもよい。電動機23は、ブレーキ付きの電動機であることが好ましい。電動機23は、サーボモータとして構成されており、電動機23の回転を検出するエンコーダ29と、電動機23に電力を供給するサーボアンプ31と共にサーボ機構を構成している。電動機23は、出力軸をいずれの方向に向けて配置されてもよいが、例えば、出力軸をピストンロッド21に平行にして配置されている。
電動機23は、適宜な出力のものが選定されてよい。本実施形態では、後述するように、大きな射出力が必要な高速射出及び増圧は、液圧装置11により行われることから、電動機23として、比較的出力が小さい電動機を選定可能である。例えば、電動機23として、定格出力で駆動されたときのプランジャ5の前進力が射出装置1の最大射出力の1/10以上3/10以下となるように電動機が選択されてよい。
なお、定格出力は、例えば、電動機23又は射出装置1の仕様書乃至は説明書の記載から特定可能である。また、定格出力は、一般的な試験方法に従って、電動機23の試験を行って特定されてもよい。また、最大射出力についても同様に、射出装置1の仕様書乃至は説明書の記載等から特定可能である。
伝達機構25は、電動機23の駆動力の伝達に加えて、電動機23の回転の並進運動への変換も行う。伝達機構25は、例えば、電動機23の出力軸に固定された第1プーリ33と、第1プーリ33に掛架されたベルト35と、ベルト35が掛架された第2プーリ37と、第2プーリ37が固定されたねじ軸39と、ねじ軸39に螺合されたナット41とを有している。なお、ねじ軸39及びナット41は、例えば、ボールねじ機構を構成している。
ねじ軸39は、ピストンロッド21に平行に配置されている。また、ねじ軸39は、不図示の軸受等に支持されることにより、軸方向(前後方向)の移動が規制されるとともに軸回りの回転が許容されている。一方、ナット41は、着脱部27に固定されることなどにより、軸回りの回転が規制されるとともに前後方向の移動が許容されている。
従って、電動機23の回転が第1プーリ33、ベルト35及び第2プーリ37を介してねじ軸39に伝達され、ねじ軸39が回転すると、ナット41は、前後方向に移動する。
着脱部27は、基部43と、基部43に揺動可能に支持されたフック45と、フック45を駆動するアクチュエータ47とを有している。
基部43は、ナット41と固定されている。従って、基部43は、電動機23の駆動力によりナット41と共に前後方向に駆動される。また、基部43の前後方向の移動により、基部43に支持されているフック45及びアクチュエータ47も前後方向に移動する。
基部43は、例えば、中間ロッド7(ロッド本体7a)の後端が挿通される孔部が形成された板状部分を有しており、被当接部7bに対して後方から当接可能である。すなわち、基部43は、被当接部7bに対する当接により、ピストンロッド21に対する相対的な前進が規制されるとともに、その当接位置から後方におけるピストンロッド21に対する相対的な後退が許容される。
従って、基部43が被当接部7bに対して当接した状態で基部43を前進させることにより、プランジャ5を前進させることができる。すなわち、電動機23の駆動力によりプランジャ5を前進させることができる。また、ヘッド側室17hへ作動液を供給してピストンロッド21を比較的高速に移動させることなどにより、プランジャ5を基部43に対して相対的に前進させることが可能である。
なお、基部43は、被当接部7bに当接する部分として、被当接部7bとの反発係数が基部43の他の部分に比較して小さい材料からなる緩衝部49を有していることが好ましい。
フック45は、例えば、概ねL字状に形成されるとともに、一端が基部43によって回転可能に支持されている。そして、フック45は、被当接部7bに対してプランジャ5の後退方向に係合可能な位置(「ON」の位置)と、当該係合が解除される位置(「OFF」の位置)との間で移動可能である。なお、フック45は、ONの位置において、基部43とで被当接部7bを挟持可能である。
フック45がOFF(係合解除)されることにより、プランジャ5を着脱部27に対して相対的に前進させることが可能である。また、フック45がON(係合)されることにより、着脱部27の後退に伴ってプランジャ5を後退させることができる。すなわち、電動機23の駆動力によりプランジャ5を後退させることができる。
駆動装置13は、例えば、ピストン19のストロークの全体に亘ってフック45を被当接部7bに係合可能に構成及び配置されている。例えば、ナット41のストロークは、射出シリンダ9のストロークと同等とされており、駆動装置13は、ピストン19が後退限に位置するときにナット41も後退限に位置するように配置されている。
アクチュエータ47は、例えば、往復動(別の観点では伸縮)を行うアクチュエータにより構成されている。アクチュエータ47は、例えば、リニアモータ、空圧シリンダ若しくは液圧シリンダである。アクチュエータ47の往復動によって、フック45はON若しくはOFFされる。
なお、図示の便宜上、駆動装置13は、射出シリンダ9の下方に示されているが、駆動装置13は、射出シリンダ9の下方に限らず、射出シリンダ9の側方や上方等に位置してもよい。また、図示の便宜上、ねじ軸39及び電動機23が共に射出シリンダ9の下方に示されているが、ねじ軸39が射出シリンダ9の側方に位置する一方で電動機23は射出シリンダ9の下方または上方に位置するなど、駆動装置13内の各部材の位置関係も適宜に設定されてよい。
射出装置1は、更に、プランジャ潤滑装置51と、チップ冷却水供給装置53とを有している。
プランジャ潤滑装置51は、プランジャチップ5aとスリーブ3との摺動抵抗を低減するための潤滑剤をプランジャチップ5a又はスリーブ3に供給する。その具体的構成は、公知の適宜なものとされてよい。例えば、プランジャ潤滑装置51は、射出前にノズルを給湯口3aからスリーブ3内に移動させてスリーブ3内に潤滑剤を噴射するものでもよいし、スリーブ3に形成された専用の供給口を介して射出前にプランジャチップ5a表面に潤滑剤を供給するものでもよいし、プランジャ5内部に形成された供給路を介して射出前又は射出中にプランジャチップ5a表面に潤滑剤を供給するものでもよいし、射出前にスリーブ3の後端側からプランジャチップ5a表面に潤滑剤を供給するものでもよい。
また、プランジャ潤滑装置51は、自己に異常が生じているか否かを診断する機能を有している。例えば、プランジャ潤滑装置51は、潤滑剤を送出する流路において潤滑剤の流量を計測する不図示の流量センサを有しており、その検出値に基づいて異常を検出する。より具体的には、例えば、プランジャ潤滑装置51は、検出された流量が所定の閾値を下回った場合には、異常と判定する。また、例えば、プランジャ潤滑装置51は、潤滑剤を貯留する不図示のタンクの液面を検出する液面センサを有しており、その検出値に基づいて異常を検出する。より具体的には、例えば、プランジャ潤滑装置51は、検出された液面が所定の閾値を下回った場合には、異常と判定する。
チップ冷却水供給装置53は、プランジャチップ5aを冷却するための冷却水をプランジャチップ5a内に形成された不図示の流路に供給する。また、チップ冷却水供給装置53は、プランジャ潤滑装置51と同様に、自己に異常が生じているか否かを診断する機能を有している。例えば、チップ冷却水供給装置53は、冷却水を送出する流路において冷却水の流量を計測する不図示の流量センサを有しており、その検出値に基づいて異常を検出する。より具体的には、例えば、チップ冷却水供給装置53は、検出された流量が所定の閾値を下回った場合には、異常と判定する。
制御装置153は、例えば、CPU161、メモリ163、入力部165、及び、出力部167を含んで構成されている。制御装置153は、入力された各種の入力信号に基づいて、各部を制御するための制御信号を出力する。
制御装置153に信号を入力するのは、例えば、作業者(ユーザ)の入力操作を受け付ける入力装置169、エンコーダ29、サーボアンプ31、プランジャ5の位置を検出するための位置センサ55、適宜な位置において作動液の圧力を検出する不図示の圧力センサ、プランジャ潤滑装置51及びチップ冷却水供給装置53である。
制御装置153が信号を出力するのは、例えば、作業者に情報を表示する表示装置171、サーボアンプ31、液圧装置11、アクチュエータ47(又はそのドライバ)、プランジャ潤滑装置51及びチップ冷却水供給装置53である。
位置センサ55は、例えば、不図示のスケール部とともにリニアエンコーダを構成している。例えば、位置センサ55は、中間ロッド7の近くに固定的に設けられ、スケール部は、中間ロッド7に設けられ、その軸方向に延びている。そして、位置センサ55は、中間ロッド7とともに移動するスケール部の位置を検出することによってプランジャ5の位置を間接的に検出する。なお、位置センサ55、又は、制御装置153は、検出した位置を微分することにより、速度を検出することが可能である。
サーボアンプ31は、例えば、電動機23に供給している電力の電流値の情報を制御装置153に出力する。制御装置153は、その電流値に基づいて電動機23の発生しているトルクを特定可能である。なお、電動機23の発生するトルクは、加速トルクと負荷トルク(摩擦トルクを含むものとする。)との合計と等しい。従って、定速領域においては、電動機23の発生するトルクの特定は、負荷の特定と等価である。
プランジャ潤滑装置51及びチップ冷却水供給装置53は、上述のように、自己の異常を検出可能であり、その異常の有無の情報を制御装置153に出力する。
(射出装置の動作)
図2は、射出装置1の動作を説明する図である。図2において、横軸は時間を示している。また、実線Lvは射出速度の変化を示し、実線Lpは射出圧力の変化を示している。実線Lv及びLpが描かれたグラフにおいて、縦軸は射出速度及び射出圧力の大きさを示している。また、当該グラフの下方においては、電動機23、着脱部27及び液圧装置11の動作を示している。図2のさらに下方においては、電動機23の負荷を示している。
射出装置1は、概観すると、低速射出(t0〜t2)、高速射出(t2〜t4)、増圧(t4〜t5)及び保圧(t5〜t7)を順に行う。すなわち、射出装置1は、射出の初期段階においては、溶湯の空気の巻き込みを防止するために比較的低速でプランジャ5を前進させ、次に、溶湯の凝固に遅れずに溶湯を充填するため等の観点から比較的高速でプランジャ5を前進させる。その後、射出装置1は、成形品のヒケをなくすために、プランジャ5の前進する方向の力によりキャビティ内の溶湯を増圧し、その圧力を溶湯が凝固するまで維持する。具体的には、以下のとおりである。
(低速射出:t0〜t2)
型締装置151により固定金型101及び移動金型103の型締めが行われ、給湯口3aを介してスリーブ3に溶湯が供給されるなど、所定の射出開始条件が満たされると、低速射出が開始される。
低速射出は、電動機23の駆動力により行われる。具体的には、例えば、制御装置153は、電動機23の回転数が所定の目標値となるように電動機23の制御を行う。この制御では、例えば、フィードバック制御が行われる。また、目標値は、例えば、距離または時間で規定される所定の範囲において一定の値とされている。図2の例では、プランジャ5の後退限から高速切換位置までの範囲(又は当該範囲から初期の加速に必要な範囲を除いた範囲)において、目標値は一定とされている。
電動機23の駆動力は、伝達機構25、着脱部27及び中間ロッド7(被当接部7b)を介してプランジャ5に伝達される。そして、プランジャ5は、速度の立ち上がり期間(t0〜t1)を経た後、一定の速度で前進する(t1〜t2)。
この間、着脱部27は、ON(係合)されていてもよいし、OFF(係合解除)されていてもよい。図2では、OFFされている場合を例示している。なお、着脱部27がONされている場合、例えば、減速を含む多段制御を行ったときに、慣性力によってプランジャ5が基部43から離間して前進してしまうことを防止できる。
また、低速射出の間、液圧装置11は、ピストン19の前進に伴って生じるロッド側室17r及びヘッド側室17hの作動液の過不足を適宜に解消する。例えば、液圧装置11は、容積が縮小するロッド側室17rから排出される作動液を、不図示のランアラウンド回路を介してヘッド側室17hに還流する、又は、不図示のタンクに受け入れる。また、液圧装置11は、例えば、容積が拡大するヘッド側室17hに不図示のタンク又は不図示のポンプから作動液を供給する。なお、ポンプによる作動液の供給は、ヘッド側室17hの負圧を速やかに無くす程度のものであってもよいし、電動機23によるプランジャ5の駆動をアシストする程度のものであってもよい。
(高速射出:t2〜t4)
高速射出は、液圧装置11の駆動力により行われる。具体的には、例えば、制御装置153は、不図示のアキュムレータから高圧の作動液をヘッド側室17hに供給するように液圧装置11を制御する。さらに、制御装置153は、低速射出から引き続き着脱部27をOFF(係合解除)とし、又は、低速射出においてONであった着脱部27をOFFとする。
これにより、ピストン19、ピストンロッド21、中間ロッド7及びプランジャ5は比較的高速で前進する。このとき、着脱部27の係合が解除されているから、プランジャ5等は、比較的低速で移動する着脱部27及びナット41を置き去りにして前進する。従って、駆動装置13は、プランジャ5等の前進を妨げる負荷とはならない。そして、スリーブ3の溶湯が高速でキャビティ105に射出される(t2〜t3)。
その後、溶湯がキャビティ105にある程度充填されると、プランジャ5は、その充填された溶湯から反力を受けて減速され、その一方で、射出圧力は、急激に上昇していく(t3〜t4)。なお、充填時の衝撃を緩和するために、液圧装置11からの作動液の供給量を縮小するなどして、適宜な減速制御がなされてもよい。
(増圧及び保圧:t4〜t7)
増圧及び保圧は、高速射出に引き続き、液圧装置11の駆動力により行われる。具体的には、例えば、制御装置153は、ロッド側室17rをタンク圧とし、ヘッド側室17hに不図示のアキュムレータの作動液が供給されるように液圧装置11を制御する。これにより、ヘッド側室17hの圧力はアキュムレータの圧力と同等となるまで上昇する。すなわち、増圧が行われる。また、その状態が維持されることにより、保圧が行われる。
その後、溶湯が凝固すると、保圧は終了する。例えば、制御装置153は、ヘッド側室17hへの液圧の供給を停止するように液圧装置11を制御する(t7)。なお、制御装置153は、適宜に溶湯が凝固したか否かを判定する。例えば、制御装置は、終圧が得られた時点等の所定の時点から所定の時間が経過したか否かにより、溶湯が凝固したか否か判定する。
保圧が終了すると、型締装置151により型開きが行われ、不図示の押出装置により、ダイカスト品が金型から押し出される。
(プランジャ後退:t7後)
図2では図示を省略しているが、プランジャ5の後退は、例えば、電動機23の駆動力により行われる。具体的には、まず、低速射出の終了後(t2〜)も、電動機23の回転は継続される。増圧が開始されてプランジャ5の速度が低下し、さらには、保圧が開始されてプランジャ5が停止することにより、着脱部27は被当接部7bに追いつく。その後、着脱部27は、ON(係合)される。そして、制御装置153は、保圧終了後の適宜な時期に、低速射出時の回転方向とは逆方向へ電動機23を回転させて、プランジャ5を後退させる。
なお、プランジャ後退の間、液圧装置11は、ピストン19の後退に伴って生じるロッド側室17r及びヘッド側室17hの作動液の過不足を適宜に解消する。例えば、液圧装置11は、ヘッド側室17hから排出される作動液をロッド側室17rへ還流し、さらに余剰となる作動液については、不図示のタンクに受け入れる。
図3は、図2のt0〜t2付近について、射出速度及び電動機23の負荷を拡大して示す図である。
実線Lnは、正常時の電動機23の負荷を示している。上述のように、低速射出は、電動機23により行われる。そして、正常な場合、負荷は、加速トルクが必要な立ち上がり領域(t0〜t1)において一時的に高くなり、その後、定速領域(t1〜t2)においては、一定値となる。なお、高速射出(t2〜)においては、プランジャ5は液圧装置11により駆動されるから、電動機23の負荷は、伝達機構25において生じる負荷のみとなる。
2点鎖線Laは、異常時の電動機23の負荷を示している。プランジャチップ5aのかじり等が生じると、異常時の負荷は、正常時に対して高くなる。また、定速領域においても、負荷は変動する。
従って、電動機23の負荷が所定の基準負荷(閾値)を超えたか否か、及び/又は、電動機23の負荷の変動量が所定の基準変動量(閾値)を超えたか否かを判定することにより、異常の有無を判定することができる。
これらの閾値は、射出装置1の製造者又は作業者において、射出装置1の試運転又は他の射出装置のデータ等に基づいて、適宜に設定されてよい。例えば、基準負荷としては、電動機23の定格出力を用いてもよい。なお、上述のように電動機23の電流値から負荷トルクを算出する場合、回転数を用いて、負荷トルクを出力に換算し、又は、定格出力をトルクに換算し、負荷と定格出力とを比較する。
立ち上がり領域における摺動抵抗は、正常な場合であってもサイクル間の変動及び/又はサイクル内の変動が比較的大きい。一方、定速領域における摺動抵抗は、正常な場合、サイクル間の変動及びサイクル内の変動が比較的小さい。従って、定速領域における電動機23の負荷に基づいて上記の判定をすることにより、正確に異常の有無を判定できる。
図4は、上記のような異常検出に係る処理を含む、制御装置153が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図4の左側に示すステップS1〜S9は、主としてダイカストマシンDC1の基本動作に関わる手順を示しており、図4の右側に示すステップS10〜S18は、主として異常検出に関わる処理の手順を示している。点線で囲んだステップS2及びS7は、型締装置151に関わる処理であり、それ以外は射出装置1又はダイカストマシンDC1全体に関わる処理である。具体的には、以下のとおりである。
ステップS1では、ダイカストマシンDC1の稼働が開始される。例えば、作業者が入力装置169に対して所定の操作を行うことにより、繰り返し行われる成形サイクルの開始が制御装置153に対して指示される。
ステップS2〜S7は、成形の1サイクルの処理の手順の概要を示している。
具体的には、まず、制御装置153は、型締装置151を制御して、型閉じ及び型締めを行う(ステップS2)。次に、制御装置153は、不図示の給湯装置を用いて不図示の炉で溶融した溶湯を給湯口3aを介してスリーブ3内に供給する。次に、制御装置153は、射出装置1を制御して、低速射出を開始する(ステップS3)。その後、制御装置153は、位置センサ55の検出値に基づいて、プランジャ5が高速切換位置に到達したか否か判定し(ステップS4)、到達したと判定すると、高速射出を行う(ステップS5)。その後、制御装置153は、増圧及び保圧を行い(ステップS6)、溶湯が凝固すると、型開きを行う(ステップS7)。そして、ダイカスト品が取り出される。
サイクルが終了すると、制御装置153は、図4の右側に示す異常検出に関わる処理により、停止フラグが立てられているか否かを判定する(ステップS8)。そして、制御装置153は、停止フラグが立てられていないと判定した場合は、ステップS2に戻り、次サイクルを開始する。一方、制御装置153は、停止フラグが立てられていると判定した場合は、次サイクルへの移行を停止する(ステップS9)。すなわち、ダイカストマシンDC1の動作は停止される。
なお、特に図示しないが、制御装置153は、適宜な時期に、プランジャ5への潤滑剤の供給及びプランジャ5の冷却水の循環が行われるように、プランジャ潤滑装置51及びチップ冷却水供給装置53を制御する。例えば、制御装置153は、サイクル毎に、ステップS7の後(最初のサイクルにあってはステップS1の後)、溶湯がスリーブ3内に供給される前まで、または低速射出が開始されるまでの適宜な時期にプランジャ5への潤滑剤の供給を行うようにプランジャ潤滑装置51を制御する。また、例えば、制御装置153は、最初のサイクルが開始される前に冷却水の循環が開始され、その後、複数サイクルに亘って冷却水が循環されるようにチップ冷却水供給装置53を制御する。
ステップS10〜S18の異常検出に関わる処理は、上記の基本動作と並行して行われる。具体的には、以下のとおりである。
ステップS10では、制御装置153は、射出工程が低速射出の定速領域に到達したか否かを判定する。そして、制御装置153は、定速領域に到達したと判定すると、ステップS11に進む。
なお、当該判定は、適宜なパラメータに基づいて行われてよい。例えば、位置センサ55の検出値に基づくプランジャ5の検出速度が、予め設定された低速射出の定速速度(目標値)に到達したか否かによりなされてもよい。また、例えば、位置センサ55の検出値に基づく加速度が所定の範囲に収束したか否かによりなされてもよい。また、例えば、位置センサ55の検出値に基づくプランジャ5の位置が、定速領域が開始されるべき位置に到達したか否かによりなされてもよい。
ステップS11では、制御装置153は、電動機23の負荷の検出を開始する。具体的には、例えば、制御装置153は、電動機23に供給されている電流の情報を所定の時間刻みでサーボアンプ31から取得し、メモリ163に記憶していく。
その後、ステップS4にて高速切換位置に到達したと判定されると、制御装置153は、当該情報の取得及び記憶を終了する(ステップS12)。このように、制御装置153は、低速射出の定速領域についてのみ、電動機23の負荷の情報を取得及び記憶する。
ステップS13では、制御装置153は、取得した低速射出の定速領域における電動機23の負荷の情報に基づいて、異常が生じているか否か判定する。すなわち、図3を参照して説明したように、電動機23の負荷が所定の基準負荷を超えているか否か、及び/又は、変動量が所定の基準変動量を超えているか否かを判定する。
制御装置153は、異常が生じていないと判定した場合は、ステップS14に進み、停止フラグを落とす(又は立てない)。この場合、既に述べたように、次のサイクルが開始される(ステップS8のNo)。
一方、制御装置153は、異常が生じたと判定した場合は、ステップS15に進み、このような異常が生じたとの判定が、複数サイクルに亘って連続したか否かを判定する。なお、この判定において閾値となるサイクル数は、射出装置1の製造者又は作業者において、経験等に基づいて適宜に設定されてよい。また、稼働開始(ステップS1)からのサイクル数がこの判定におけるサイクル数に満たない場合には、複数サイクルに亘って連続していないと判定される。
制御装置153は、異常判定が複数サイクルに亘って連続していないと判定した場合は、ステップS14に進み、停止フラグを落とす(又は立てない)。従って、異常が生じていないと判定された場合と同様に、次のサイクルが開始される(ステップS8のNo)。
一方、制御装置153は、異常判定が複数サイクルに亘って連続していると判定した場合は、ステップS16に進み、停止フラグを立てる。この場合、既に述べたように、次のサイクルへの移行は行われない(ステップS8のYes及びステップS9)。
このように制御装置153は、電動機23の負荷に基づく異常が1サイクルにおいてのみ検出されても、マシン停止は行わず、異常が複数サイクルに亘って連続して検出された場合にのみ、マシン停止を行う。
また、制御装置153は、異常が複数サイクルに亘って連続して生じたことを作業者に報知するための処理を行う(ステップS17)。この報知処理は、例えば、表示装置171に特定の文字又は特定の図形を表示させる処理、不図示のランプを点灯若しくは点滅させる処理、又は、不図示のスピーカ若しくはベルから特定の音を出力させる処理である。
ステップS13において、電動機23の負荷に異常が生じたと判定された場合、制御装置153は、ステップS18に進み、その原因を判別するための処理も行う。
図5は、ステップS18の具体的な手順を示すフローチャートである。
ステップS21では、制御装置153は、プランジャ5の冷却水の循環に異常が生じたか否かを判定する。この判定は、例えば、既に述べたチップ冷却水供給装置53による異常判定結果を取得することにより行われる。そして、異常が生じたと判定した場合は、その旨を報知するための処理を行う(ステップS22)。
また、ステップS21と並行して行われるステップS23では、制御装置153は、プランジャ5への潤滑剤の供給に異常が生じたか否かを判定する。この判定は、例えば、既に述べたプランジャ潤滑装置51による異常判定結果を取得することにより行われる。そして、異常が生じたと判定した場合は、その旨を報知するための処理を行う(ステップS24)。
また、ステップS25では、制御装置153は、上記の冷却水の異常及び潤滑剤の異常の少なくとも一方が生じたか否かを判定する。そして、いずれの異常も生じていないと判定した場合は、他の原因により電動機23の負荷の異常が生じたものとして判別し、その旨を報知するための処理を行う(ステップS26)。
なお、ステップS22、S24及びS26の報知は、ステップS17と同様に、表示装置171等を用いて作業者の視覚を通じて行われてもよいし、不図示のスピーカ等を用いて作業者の聴覚を通じて行われてもよい。また、ステップS22及びS24の報知は、同一サイクルにつき、双方が行われてもよい。
ステップS22、S24及びS26の報知は、電動機の負荷の異常の原因を報知するから、当然に、電動機23の負荷に異常が生じたことも間接的に報知している。もちろん、ステップS22、S24及びS26において、又は、ステップS13のYes判定後にステップS22、S24及びS26とは別個に、電動機23の負荷に異常が生じたことが文字又は音声等により直接的に報知されてもよい。
ステップS13の異常の有無の判定においては、既に述べたように、基準負荷(閾値)として、電動機23の定格出力を用いてよい。この場合、上記のような間接的又は直接的な負荷の異常の報知は、電動機23の負荷が定格出力に達したことを間接的に報知していることになる。もちろん、電動機23の負荷が定格出力に達したことが直接的に報知されてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、射出装置1は、キャビティ105に通じるスリーブ3と、スリーブ3内の成形材料(溶湯)をキャビティ105に押し出すプランジャ5と、プランジャ5を駆動可能な駆動機構(射出シリンダ9、液圧装置11及び駆動装置13)と、該駆動機構を制御する制御装置153とを有している。駆動機構は、電動機23を含む。制御装置153は、電動機23を駆動することにより低速射出を行い、低速射出の定速領域(t1〜t2)における電動機23の負荷に基づいて異常を検出し(ステップS11〜S13)、複数サイクルにおいて異常を検出した場合には、1回のサイクルにおいてのみ異常を検出した場合には行われない、停止フラグを立てる処理(ステップS16)を行う。
従って、例えば、次サイクルの前においてプランジャ5の潤滑がなされることにより次サイクルは正常に行われるような場合においてもマシン停止がなされてしまう不都合が解消される。その結果、稼働率を不合理に低下させてしまうことがない。
また、本実施形態では、制御装置153は、各サイクルにおいて異常を検出した場合(ステップS13のYes)には、次サイクルへの移行を停止する処理を含まない所定の処理(ステップS18:S21〜S26)を行う。
従って、例えば、不合理に稼働率が低下することを抑制しつつも、マシン停止が必要な異常の可能性に対して早期に対処することができる。その結果、例えば、マシン保全と稼働率の確保とのバランスが好適に保たれる。
また、本実施形態では、上記の各サイクルにおいて異常を検出した場合の処理は、プランジャ潤滑装置51及びチップ冷却水供給装置53の少なくとも一方における異常の有無を判定する処理(ステップS21、S23)を含む。
従って、電動機23の負荷の異常が生じた原因を特定することができる。その結果、マシン停止が必要な異常の可能性に対する早期の対処が、適切且つ迅速に行われる。ひいては、マシン保全が確保された上での稼働率の向上が期待される。
また、本実施形態では、電動機23が定格出力で駆動されたときのプランジャ5の前進力は、最大射出力(本実施形態では液圧装置11により実現される)の1/10以上3/10以下である。すなわち、電動機23の出力は比較的小さい。
従って、プランジャ5のかじり等が発生し、その抵抗が比較的大きい場合には、プランジャ5は停止する。その結果、強引にプランジャ5が駆動されてプランジャ5又はスリーブ3に変形等が生じることが抑制される。
なお、以上の実施形態において、射出シリンダ9、液圧装置11及び駆動装置13の組み合わせは、本発明のプランジャを駆動可能な駆動機構の一例であり、ステップS16の停止フラグを立てる処理、ステップS9のマシン停止、及び、ステップS17の報知処理はそれぞれ、複数サイクル異常発生時処理の一例であり、ステップS18の原因判別処理は、本発明の単数サイクル異常発生時処理の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、横型締縦射出であってもよい。作動液は、油に限定されず、例えば水でもよい。
電動機を含む駆動機構は、電動系と液圧系(射出シリンダ等)とを含むものに限定されない。例えば、駆動機構は、低速射出用の電動機と、高速射出用の電動機とを有するなど、液圧系を有さず、全電動とされてもよい。
駆動機構が電動系と液圧系とを含む場合において、駆動機構は、着脱部を有するものに限定されない。例えば、駆動機構は、実施形態において着脱部を有さない構成(ナットとピストンロッドとが固定された構成)であってもよいし、電動系により、射出シリンダ全体を前後に移動させる構成であってもよいし、電動系により射出シリンダのピストンの後端を押す構成であってもよい。
また、駆動機構が電動系と液圧系とを含む場合において、その役割分担も適宜に設定されてよい。例えば、実施形態では、電動系により低速射出及びプランジャ後退を行い、液圧系により高速射出及び増圧を行ったが、電動系により増圧を行ったり、液圧系によりプランジャ後退を行ったりしてもよい。また、実施形態では記載していない、成形品の押し出し時におけるプランジャの追従を電動系又は液圧系により行ってよい。
射出シリンダは、単動式のものに限定されず、増圧式のものであってもよい。例えば、射出シリンダは、小径部と大径部とを有するシリンダ部と、ピストンロッドに固定され、小径部を摺動する射出ピストンと、その後方にて小径部と大径部とを摺動する増圧ピストンとを有するものであってもよい。
電動機は、回転式のものに限定されず、リニアモータであってもよい。なお、リニアモータの場合には、伝達機構を介さずに、リニアモータの駆動力が直接にプランジャに伝達されてもよい。
電動機が回転式のものである場合において、電動機の回転を並進運動に変換する変換機構は、ねじ機構に限定されず、例えば、ラック・ピニオン機構であってもよい。また、ねじ機構は、ねじ軸が前後方向に移動するように利用されてもよい。
回転式の電動機とその回転を並進運動に変換する変換機構(ねじ機構等)との間には、プーリ・ベルト機構に代えて歯車機構が介在してもよい。また、電動機の出力軸とねじ軸とを一体化若しくは連結するなど、電動機と変換機構とを直接に接続してもよい。
低速射出を行う電動機は、複数設けられてもよい。例えば、実施形態において、ねじ軸39に対して同軸に複数の第2プーリ37を固定し、複数組の第1プーリ33及びベルト35を介して複数の電動機23の駆動力をねじ軸39に伝達してもよい。また、例えば、実施形態において、複数の駆動装置13を並列に設けてもよい。
なお、低速射出を行う電動機が複数設けられる場合においては、複数の電動機は、その全てが定格出力で駆動されたときのプランジャの前進力が最大射出力の1/10以上3/10以下となるように選定されてよい。
異常の検出が複数サイクルにおいてなされたか否かの判定は、連続した複数サイクルに関してなされるものに限定されない。例えば、連続していなくても、一定の頻度で異常の検出がなされた場合には、マシン停止等の複数サイクル異常発生時処理が行われてもよい。ただし、連続する複数サイクルにおいて異常が検出された場合に複数サイクル異常発生時処理を行うこととすれば、複数サイクル異常発生時処理の実行に至るプロセスが簡素であり、また、マシン停止等の必要性が高い状況において確実に適切な処理を行うことができる。
実施形態では、低速射出の定速領域において負荷を時系列で記録しておき、そのデータに基づいて異常の有無を判定したが、定速領域である間に負荷の情報が取得される度に異常の有無を判定してもよい(リアルタイムで異常の有無を判定してもよい。)。また、異常判定が定速領域の負荷に基づいて行われればよいのであり、負荷の取得自体又は負荷の記録自体は定速領域以外においても行われてよい。
電動機の出力(負荷)が定格出力に達したか否かの判定及びその判定結果に基づく報知は、複数サイクル異常発生時処理及び単数サイクル異常発生時処理に係る異常検出(ステップS13)とは無関係に行われてもよい。例えば、ステップS13においては定格出力とは別の適宜な閾値が用いられ、ステップS11〜S12の間にリアルタイムに電動機の負荷(出力に換算されたもの)が定格出力を超えたか否かを判定し、その判定結果に基づく報知がなされてもよい。
また、出力が定格出力に達したか否かの判定は、低速射出の定速領域に加えて他の速度領域を含む範囲において行われてもよいし、低速射出の定速領域以外の領域においてのみ行われてもよい。
複数サイクル異常発生時処理は、単数サイクル異常発生時処理において行われない処理であればよく、マシン停止を含む処理に限定されない。例えば、複数サイクル異常発生時処理は、単数サイクル異常発生時処理において表示される文字又は図形とは異なる文字又は図形を表示する処理のみであってもよい。
単数サイクル異常発生時処理は、マシン停止を含まなければよく、負荷の異常の原因判別及び報知を含む処理に限定されない。例えば、単数サイクル異常発生時処理は、潤滑剤を多くしたり、冷却水の流量を多くする処理であってもよい。