JP2014057204A - 方向性結合器および無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】広帯域に亘る使用周波数帯域内で結合度が平坦な小型低背なカプラを得る。
【解決手段】主線路、副線路、入力ポート、出力ポート、結合ポート及びアイソレーションポートを積層基板に備えたカプラで、副線路が、主線路との結合が強い第一結合部と、第一結合部より結合が弱い第二結合部と、第一結合部と第二結合部との間に延在し且つ使用周波数帯に対応した波長λの四分の一以上の長さを有する非結合部である中間線路部とを有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、方向性結合器および無線通信装置に係り、特に、広範な周波数帯域に使用可能な方向性結合器を実現する技術に関する。
伝送線路上を伝搬する電力の一部を取り出すことを可能とする方向性結合器(Directional Coupler/以下単に「カプラ」と称する)は、携帯電話機や無線LAN通信装置など各種の無線通信機器の送信回路を構成する上で不可欠な部品となっている。
例えば、カプラは送信信号のレベルが一定になるように制御する調整手段を構成するが、この調整手段は、利得を制御可能な電力増幅器(以下「PA」と言う)と、送信信号のレベルを検出するカプラと、自動出力制御回路(以下「APC回路」と言う)を備える。入力された送信信号は、PAによって増幅された後、カプラを通して出力される。カプラは、PAから出力された送信信号のレベルに対応したレベルのモニタ信号をAPC回路に出力する。APC回路は、モニタ信号のレベル(即ち送信信号のレベル)に応じてPAの出力が一定になるようにPAの利得を制御する。このようなPAのフィードバック制御により送信出力の安定化が図られる。
上記カプラは、電磁界結合するように互いに近接して配置した主線路と副線路を有し、送信信号を伝送する主線路は一端に入力ポートを、他端に出力ポートをそれぞれ備え、送信信号のレベルを検出する副線路は一端に結合ポートを、他端にアイソレーションポートをそれぞれ備えている。そして、主線路を伝送する送信信号の一部が副線路によって取り出され、結合ポートを通じモニタ信号としてAPC回路へ出力される。
一方、携帯電話機やスマートフォンに代表される携帯端末の通信周波数帯は国や地域ごとに異なるため、これらの周波数事情に柔軟に対応できるよう複数の周波数帯を利用可能な通信装置が近年提供されている。例えば、2つの周波数帯を利用可能なデュアルバンド方式や3つの周波数帯を利用可能なトリプルバンド方式、更には4つの周波数帯を利用可能なクアッドバンド方式等である。
具体的周波数帯としては、例えば、GSM(Global System for Mobile Communications/登録商標)800やDCS(Digital Communication System)、PCS(Personal Communication System)、LTE(Long Term Evolution)等の複数周波数帯に1つのコンポーネントで対応可能とするには、700〜2.7GHzに亘る広帯域で安定した特性が得られるカプラを実現する必要がある。
また、複数の通信チャネルに対応するためにカプラの広帯域化を図る技術を開示するものとして下記特許文献がある。
特開2007−194870号(特許第4599302号)公報 国際公開2010/082346号公報
ところで、送信信号として主線路を伝搬される電力と、副線路を通じて結合ポートに取り出される電力の比である結合度は、送信電力の高精度の制御(PAの正確なフィードバック制御)を実現する点でその周波数特性は平坦であることが望ましく、一般には主線路と副線路の長さを使用周波数帯のλ/4(四分の一波長)程度に設定すればその周波数帯において平坦な結合度を得ることが出来る。
しかしながら、携帯電話機等の移動体無線機器で主に用いられる準マイクロ波帯のλ/4は数cmにもなり、軽薄短小化が必要な携帯電話機等の移動体無線機器に使用するカプラにこの長さの結合線路を備えることはサイズの点から難しい。また、数cm以上の長い結合線路を使用すると挿入損失が大きくなり、電池寿命の短縮と言う移動体無線機器にとって好ましくない事態を生じる。このため、使用周波数帯のλ/4よりも短い結合線路のカプラが一般に使用されているが、このような結合線路の特性は周波数によって変動し、周波数が高くなるほど結合度が上昇してしまう傾向がある。
したがって従来、利用周波数帯が広範に及ぶ通信装置を構成する場合には、カプラを複数個備える必要があった。図13は複数の周波数帯を利用可能な携帯電話機の送受信部の一例を示すブロック図であるが、この図に示すように従来のマルチバンド方式の携帯電話機では、利用周波数帯に対応して設けられた送信回路301,401のそれぞれにカプラ311,411を備えている。なお、同図において、符号101はアンテナ、102はアンテナ101を通じて受信した電波を受信回路103,104へ振り分けるとともに、送信回路301,401から入力された送信信号をアンテナ101に送り出すスイッチをそれぞれ示す。スイッチ102は、例えばダイプレクサや高周波スイッチを組み合わせることにより構成される。
一方、このようなマルチバンド方式の通信装置においてカプラを共通化する(例えば1つにする)ことが出来れば、送信回路内の部品点数を減らし、装置の製造コストを低減することが可能となる。また、携帯通信装置のより一層の小型化を図ることも出来る。さらに、カプラの結合度を平坦化することは、送信電力のより簡便かつ検出誤差の少ない制御を行う点で好ましい。
他方、前記特許文献1に記載された発明は、カプラの広帯域化を図るものではある。しかしながらこの発明では、副線路の両端にローパスフィルタとなるコンデンサ等の回路素子を付加するものであるから、カプラを構成する部品(素子)点数が増えるうえに、付加する複数の回路素子の設定や調整が煩雑で難しいと言う問題がある。また、前記特許文献2に記載された発明は、広帯域と言っても精々2040〜2240MHz程度の帯域幅であり(同文献段落0034参照)、本願発明が意図する700〜2700MHzに亘る帯域幅について適用することは出来ない。
また、出願人は上記のような問題を解決可能な広帯域カプラに関する提案を先に行った(特願2012−083377)。その後出願人はさらに検討を進め、当該先の提案に係るカプラより一層良好な特性を得ることが出来るカプラを完成するに至った。
したがって、本発明の目的は、回路素子を付加することなく簡易な構造で広帯域に亘って良好な特性を有する小型低背なカプラを実現することにある。
前記課題を解決し目的を達成するため、本発明に係るカプラ(方向性結合器)は、高周波信号を伝送可能な主線路と、前記主線路に前記高周波信号を入力する入力ポートと、前記主線路から前記高周波信号を出力する出力ポートと、前記主線路と電磁界結合して前記高周波信号の一部を取り出す副線路と、前記副線路の一方の端部に備えられた結合ポートと、前記副線路の他方の端部に備えられたアイソレーションポートとを備えたカプラであって、前記主線路および前記副線路間で電磁界結合を行う線路部分を結合部、当該電磁界結合を行わない線路部分を非結合部とそれぞれ称した場合に、前記副線路が、電磁界結合が強い第一結合部と、当該第一結合部より電磁界結合が弱い第二結合部と、前記第一結合部と前記第二結合部との間に延在し且つ使用周波数帯に対応した波長λの四分の一以上の長さを有する非結合部である中間線路部とを有する。
本発明では、カップリング曲線(結合度の周波数特性曲線)を平坦化して広範な周波数帯域に使用可能なカプラを実現するが、このために本発明のカプラでは、電磁界結合の強さが異なる2つの結合部(第一結合部および第二結合部)を備え、副線路上のこれら結合部間に使用周波数帯に対応した波長λの四分の一以上の線路長を有する中間線路部を形成する。
そして、後に図面を参照しながら説明するように、下記(1)〜(3)を行うことにより使用周波数帯域内における結合度の周波数変動を抑制し、広帯域に亘って結合度が平坦なカプラを実現する。
(1)結合の強い上記第一結合部の結合強度を調整することによって使用周波数帯の下端周波数において要求される結合度の下限値(例えば後の実施形態では700MHzにおける−27dB)を満たすようにカプラ全体の結合度を調整する。
(2)結合の弱い上記第二結合部の結合強度を調整することにより使用周波数帯域内においてカップリング曲線を平坦化する。
(3)上記中間線路部の長さを使用周波数帯域内の所定周波数(設定周波数)に対応した波長λの四分の一以上の長さを有するものとすることにより、使用周波数帯の下端周波数より高く且つ使用周波数帯の上端周波数以下の周波数位置に共振による減衰極を形成する。
なお、上記結合部の結合強度を調整には、例えば、結合部の長さ、結合部の線幅、および結合部(主線路の結合部と副線路の結合部)の間隔(平面から見たときの両者間の距離あるいは基板の積層方向の距離)のうちの1つ又は2以上を変更することにより行えば良い。より具体的には、結合を強くするには、結合部の長さを長くすること、線幅を広くすること、および両線路の間隔を狭くすること、のいずれか1つ又は2以上を行えば良く、結合を弱くするには、逆に、結合部の長さを短くすること、線幅を細くすること、および両線路の間隔を広くすること、のいずれか1つ又は2以上を行えば良い。
また、本発明の第一の態様に係るカプラは、前記主線路、副線路、入力ポート、出力ポート、結合ポートおよびアイソレーションポートを、絶縁層を介して積層した複数の導体層を有する積層基板に備えたもので、当該積層基板の第一導体層に主線路を配置し、当該第一導体層より上層の第二導体層に副線路の一部である第一副線路部を配置し、この第一副線路部の一端部を結合ポートおよびアイソレーションポートのうちの一方に接続し、前記第一導体層より下層の第三導体層に副線路の他の一部である第二副線路部を配置し、この第二副線路部の一端部を結合ポートおよびアイソレーションポートのうちの他方に接続し、前記第一副線路部の他端部と前記第二副線路部の他端部とを層間接続導体により電気的に接続し、主線路の少なくとも一部と前記第一副線路部の少なくとも一部とが互いに近接するように配置することにより前記第一結合部および前記第二結合部のうちの一方を形成し、主線路の少なくとも一部と前記第二副線路部の少なくとも一部とが互いに近接するように配置することにより、前記第一結合部および前記第二結合部のうちの他方を形成し、前記第一副線路部の結合部と前記層間接続導体との間に延在する副線路部分である第一中間線路部と、前記第二副線路部の結合部と前記層間接続導体との間に延在する副線路部分である第二中間線路部とにより前記中間線路部を形成する。
上記第一の態様は、複数(3層以上)の導体層を備えた多層基板を用いてカプラを構成するもので、当該態様のカプラ構造によれば、副線路を、主線路を中心として上下2つの導体層に分けて配置し、両副線路部分、すなわち、主線路より上層(第二導体層)に配置した第一副線路部と、主線路より下層(第三導体層)に配置した第二副線路部とで主線路を挟むように主線路と副線路とを電磁界結合させるから、小型低背であるにもかかわらず、主線路と副線路の十分な結合を確保し、且つ2つの結合部(第一結合部と第二結合部)の間に十分な副線路(中間線路部)の線路長をとることができ、この中間線路部の長さをλ/4(四分の一波長)以上の長さにすることによって結合度を平坦化して広範な周波数帯域に使用可能なカプラを実現することが出来る。
なお、上記第一の態様のカプラでは、第一中間線路部の長さと、第二中間線路部の長さとを略等しくすることが好ましい。副線路(中間線路部)の線路長が長くなっても、副線路を半分ずつバランス良く2層に分けて配置することにより、スペース効率良く積層基板内に当該副線路を配置し、良好な特性とともに小型低背化なカプラを得るためである。
また、上記第一の態様のカプラでは、積層基板の積層方向について第一中間線路部と第二中間線路部との間に介在されるようにグランド電極(「中間グランド」と言う)を備えても良い。このような構造によれば、上下に配置した第一中間線路部と第二中間線路部同士が干渉することを防ぐことが出来る。また、この中間グランドは、主線路と同じ導体層(第一導体層)に備えることが積層数を減らし、カプラを低背化する点で好ましい。
上記第一の態様ではさらに、第一中間線路部を覆うように第二導体層より上層にグランド電極(「上部グランド」と言う)を備えても良い。また同様に、第二中間線路部を覆うように第三導体層より下層にグランド電極(「下部グランド」と言う)を備えても良い。
このように主線路と副線路を配置したカプラ本体部(前記第二導体層、第一導体層および第三導体層)の上下面にグランド電極を設ければ、当該カプラを実装したときに、他の実装部品等の影響を受け難くすることができ、所期の良好な特性を実装後にも得ることが出来る。また、これら上部グランド及び下部グランドは、前記結合部への影響を避けるため、共に、平面から見たときに主線路の結合部、第一副線路部の結合部および第二副線路部の結合部と重ならないように形成することが好ましい。
前記第一中間線路部および第二中間線路部は、典型的には、渦巻状にそれぞれ形成する。主線路より長い副線路を積層基板内にスペース効率良く配置するためである。
また上記第一の態様に係るカプラでは、主線路および副線路の好ましい配置形態として、平面から見たときに、主線路の結合部、第一副線路部の結合部、および、第二副線路部の結合部を積層基板の一側縁部に沿って配置するとともに、前記層間接続導体を積層基板の中心部に配置し、第一中間線路部を、積層基板の一側縁部から積層基板の中心部に向け渦を巻くように形成し、第二中間線路部を、積層基板の中心部から積層基板の一側縁部に向って且つ第一中間線路部と同一の回転方向に渦を巻くように形成する。
このような形態によれば、主副両線路を効率良く配置できることに加えて、上下層に重ねて配置する第一中間線路部と第二中間線路部をそれぞれ流れる信号の伝送方向が同一方向となるから、第一中間線路部と第二中間線路部同士が干渉し合って互いに伝送を妨げるような事態が生じることを防ぐことが出来る。
さらに、前記中間線路部(第一中間線路部および第二中間線路部)について、その線幅を結合部(第一結合部および第二結合部のいずれか一方または双方)の線幅より狭くしても良い(次に述べる第二の態様においても同様)。本発明では、副線路は結合部に比べて非結合部(中間線路部)が長くなるが、このように副線路について結合部は線路幅を広く、非結合部は線路幅を狭くすれば、主線路との十分な結合を確保しながら、長い副線路(中間線路部)を小さな面積で収容することが出来る。
本発明の第二の態様に係るカプラは、前記第一の態様に係るカプラと同様に、主線路、副線路、入力ポート、出力ポート、結合ポートおよびアイソレーションポートを、絶縁層を介して積層した複数の導体層を有する積層基板に備えたものであるが、当該積層基板の第一導体層に、主線路と、副線路の一部である第一副線路部とを配置するとともに、主線路の少なくとも一部と第一副線路部の少なくとも一部とを互いに近接して配置することにより前記第二結合部を形成し、第一副線路部の一端部を結合ポートおよびアイソレーションポートのうちの一方に接続する一方、第一導体層とは異なる積層基板内の導体層である第二導体層に、副線路の他の一部である第二副線路部を配置し、この第二副線路部の少なくとも一部を、主線路の少なくとも一部に近接するように配置することにより前記第一結合部を形成し、第二副線路部の一端部を結合ポートおよびアイソレーションポートのうちの他方に接続し、第一副線路部の他端部と第二副線路部の他端部とを層間接続導体により電気的に接続することにより、第一結合部と第二結合部との間に中間線路部を形成する。
この第二の態様によれば、主線路と副線路を含むカプラ本体部を導体層2層(第一導体層と第二導体層)で配置することが出来るから、少なくとも3層の導体層を必要とした前記第一の態様よりさらにカプラの低背化が可能となる。
また、前記第一の態様では、第一結合部と第二結合部を共に層間結合(以下、異なる導体層間での線路同士の結合を「層間結合)と称する)により形成したが、この第二の態様では、第一結合部については前記第一の態様と同様に、強い結合を得る点で有利な層間結合によるものとし、第一結合部より結合を弱くする第二結合部については、同一の導体層(第一導体層)内で主副両線路を近接して配置することにより結合(以下、このような同一の導体層内での線路同士の結合を「層内結合)と称する)を行う。
またこの第二の態様では、中間線路部のうち、第二導体層に配置した線路部分(第二副線路部)についてこれを渦巻状に且つ第一導体層に配置した線路部分(第一副線路部)より長く形成することが出来る。この場合、中間線路部の大部分を第二導体層に配置すること、つまり、中間線路部の大部分を第二副線路部により構成しても良く、このような構成によれば、前記第一の態様の中間グランドのような副線路同士の結合を防ぐグランド電極を第一副線路部と第二副線路部との間に備える必要がなくなる利点がある。
さらに、上記第二の態様においても、前記第一の態様と同様に、次のような各構成(a)〜(c)をさらに備えても良い。
(a) 第二導体層が積層基板内で第一導体層より下層に位置し、中間線路部のうち第二導体層に配置した線路部分を覆うように第一導体層または第一導体層より上層にグランド電極(上部グランド)を備える。なお、第一導体層より上層に当該上部グランドを配置する場合には、当該上部グランドは、平面から見たときに主線路の結合部、副線路の第一結合部および第二結合部と重ならないように形成することが好ましい。
(b) 第二導体層が積層基板内で第一導体層より下層に位置し、中間線路部のうち第二導体層に配置した線路部分を覆うように第二導体層より下層の導体層にグランド電極(下部グランド)を備える。なお、当該下部グランドも、平面から見たときに主線路の結合部、第一副線路部の結合部および第二副線路部の結合部と重ならないように形成することが好ましい。
(c) 平面から見たときに、主線路の結合部、副線路の第一結合部、および、副線路の第二結合部を積層基板の一側縁部に沿って配置するとともに、前記層間接続導体を積層基板の中心部に配置し、中間線路部のうち第二導体層に配置した線路部分を、積層基板の中心部を中心として渦を巻くように形成する。
本発明に係る無線通信装置は、2以上の周波数帯の送信信号を生成可能で、且つ、これらの送信信号を増幅する電力増幅器と当該電力増幅器の出力を制御する自動出力制御回路とを含む送信回路と、前記2以上の周波数帯の受信信号を処理可能な受信回路と、前記送信信号および受信信号の送受信を行うアンテナと、当該アンテナと前記送信回路および前記受信回路との間に接続され、前記アンテナを通じて受信された受信信号の前記受信回路への伝送および前記送信回路から出力された送信信号の前記アンテナへの伝送を行うスイッチと、前記電力増幅器から出力される送信信号のレベルを検出してその検出信号を前記自動出力制御回路に出力するカプラとを備え、前記カプラから入力された前記検出信号に基づいて前記電力増幅器の出力を制御する無線通信装置であり、前記カプラが、前記アンテナと前記スイッチと間に接続され、且つ、前記本発明に係るいずれかのカプラである。
従来のマルチバンド無線通信装置では、前に述べたように周波数帯ごとにカプラを備える必要があったが、本発明のカプラによれば、広い帯域で結合度を平坦化することが出来るから、上記のようにカプラを一つにする(複数の使用周波数帯に共通のものとする)ことができ、部品点数を減らして製造コストを低減することが出来るとともに、当該通信装置を小型化することが可能となる。
なお、本発明に言う上記無線通信装置は、典型的には、携帯電話機やスマートフォン、無線通信機能を備えたPDA(Personal Digital Assistants)やタブレット型コンピュータなどの携帯端末装置であるが、これらに限られるものではなく、無線LAN用の通信装置やブルートゥース(Bluetooth/登録商標)規格の通信装置などの無線通信が可能な各種の通信装置が含まれる。
本発明によれば、回路素子を付加することなく簡易な構造で広帯域に亘って良好な特性を有する小型低背なカプラを実現することが出来る。
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基づいて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。なお、以下の実施形態の説明では、本発明の前提となる先の提案に基づくカプラについてまず説明し、次に当該先の提案に係るカプラを用いて本発明の基礎となる技術事項について述べ、その後、先の提案に基づくカプラとの比較において本発明の実施形態について説明する。また、各図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
図1は、本出願人による先の提案に係るカプラを概念的に示す回路図である。 図2Aは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第1層(導体層)を示す平面図である。 図2Bは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第1絶縁層を示す平面図である。 図2Cは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第2層(導体層)を示す平面図である。 図2Dは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第2絶縁層を示す平面図である。 図2Eは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第3層(導体層)を示す平面図である。 図2Fは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第3絶縁層を示す平面図である。 図2Gは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第4層(導体層)を示す平面図である。 図2Hは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第4絶縁層を示す平面図である。 図2Iは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第5層(導体層)を示す平面図である。 図2Jは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第5絶縁層を示す平面図である。 図2Kは、前記先の提案に基づくカプラを構成する積層基板の第6層(導体層)を示す平面図(基板裏面側を透視状態で示している)である。 図3は、前記先の提案に基づくカプラの結合度の周波数特性を示す線図である。 図4は、前記先の提案に基づくカプラにおいて、2つの結合部のうちの一方の結合強度を弱めた状態を示す図(積層基板の第4層の平面図)である。 図5Aは、前記図4のように結合度を弱めた場合におけるカプラの結合度の周波数特性を示す線図である。 図5Bは、前記図4のように結合度を弱めた場合におけるカプラの結合度の周波数特性を示す線図である。 図5Cは、前記図4のように結合度を弱めた場合におけるカプラの結合度の周波数特性を示す線図である。 図6は、本発明の第1の実施形態に係るカプラを概念的に示す回路図である。 図7Aは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第1層(導体層)を示す平面図である。 図7Bは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第1絶縁層を示す平面図である。 図7Cは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第2層(導体層)を示す平面図である。 図7Dは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第2絶縁層を示す平面図である。 図7Eは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第3層(導体層)を示す平面図である。 図7Fは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第3絶縁層を示す平面図である。 図7Gは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第4層(導体層)を示す平面図である。 図7Hは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第4絶縁層を示す平面図である。 図7Iは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第5層(導体層)を示す平面図である。 図7Jは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第5絶縁層を示す平面図である。 図7Kは、前記第1実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第6層(導体層)を示す平面図(基板裏面側を透視状態で示している)である。 図8は、前記第1実施形態に係るカプラの結合度の周波数特性を示す線図である。 図9は、本発明の第2の実施形態に係るカプラを概念的に示す回路図である。 図10Aは、本発明の第2の実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第1層(導体層)を示す平面図である。 図10Bは、前記第2実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第1絶縁層を示す平面図である。 図10Cは、前記第2実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第2層(導体層)を示す平面図である。 図10Dは、前記第2実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第2絶縁層を示す平面図である。 図10Eは、前記第2実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第3層(導体層)を示す平面図である。 図10Fは、前記第2実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第3絶縁層を示す平面図である。 図10Gは、前記第2実施形態に係るカプラを構成する積層基板の第4層(導体層)を示す平面図(基板裏面側を透視状態で示している)である。 図11は、前記第2実施形態に係るカプラの結合度の周波数特性を示す線図である。 図12は、本発明に係るカプラを備えたマルチバンド方式の携帯電話機の構成例を示すブロック図である。 図13は、従来のマルチバンド方式の携帯電話機の構成例を示すブロック図である。
〔先の提案に係るカプラ〕
図1は、本出願人の先の提案(特願2012−083377)に基づいて構成したカプラ(以下単に「先のカプラ」と言うことがある)を示すものであるが、同図に示すようにこのカプラは、高周波電力を伝送する主線路12と、当該主線路12を伝送される高周波電力の一部を取り出す副線路13とを備え、これら主線路12と副線路13を近接して配置することにより両線路12,13を電磁界結合させたものである。主線路12は、一端に入力ポートP1を、他端に出力ポートP2をそれぞれ有し、副線路13は、一端に結合ポートP3を、他端にアイソレーションポートP4をそれぞれ有する。
副線路13は、異なる導体層に配置し且つビアホール(以下「ビア」と言う)V1で互いに電気的に接続した第一副線路部13aと第二副線路部13bとからなり、副線路13の一端部と他端部、即ち、第一副線路部13aの一端部と第二副線路部13bの一端部の2箇所に主線路12(主線路の結合部22)と電磁界結合を行う結合部23a,24aをそれぞれ形成する。また、副線路13の長さは、主線路12より長く、所定周波数(設定周波数)で共振が生じる長さを有するものとする。詳しくは次のとおりである。
当該カプラ11は、使用周波数帯を700MHz(下端周波数)〜2.7GHz(上端周波数)とし、この使用周波数帯の高域側(上端周波数より高い周波数領域)の近傍位置(本実施形態の場合3.2GHz付近)に共振点を発生させて使用周波数帯域内の結合を平坦化する。
図3は当該先のカプラの結合度の周波数特性を示すものであるが、この図に示すように、使用周波数帯700MHz〜2.7GHzの高域側の設定周波数3.2GHzに副線路13の共振による減衰極を生じさせるため、副線路13の長さを、当該設定周波数3.2GHzで共振が生じる長さ(例えば当該周波数3.2GHzに対応する波長をλとし、nを正の整数とすると、(λ/4)×nの長さ)を有するものとする。なお、主線路12は、副線路13の長さより短く、副線路13との電磁界結合を行うことが出来る(結合部22を形成できる)長さとすれば良い。
一方、このように従来の一般的なカプラと比べて長い副線路13を備えても、以下のように主線路12と副線路13のパターン形状および積層基板への配置を工夫することにより、カプラの大型化(平面形状の増大や積層数の増加)を招くことなく小型低背なカプラを実現することが出来る。
図2A〜図2Kは、当該先の提案に基づいて構成したカプラの基板各層を示すもので、当該カプラは、複数の導体層を備えた長方形の平面形状を有する積層基板の内部配線層(導体層)に前述した主線路、副線路、各ポートおよび各グランドを配置する。なお、これら図2A〜図2Kは当該基板の各層を上層(基板表面側)から下層(基板裏面側)に向け順に示している。またこれらの図のうち、図2A、図2C、図2E、図2G、図2I及び図2Kは、導体パターンを配置した導体層(第1層〜第6層)を示し、図2Bは第1層と第2層との間の絶縁層(「第1絶縁層」と称する)を示している。また同様に、図2Dは第2層と第3層との間の絶縁層(第2絶縁層)を、図2Fは第3層と第4層との間の絶縁層(第3絶縁層)を、図2Hは第4層と第5層との間の絶縁層(第4絶縁層)を、図2Jは第5層と第6層との間の絶縁層(第5絶縁層)をそれぞれ示すものである。なお、後述の実施形態(図7A〜図7K,図10A〜図10G)についても同様である。
先のカプラでは、図2Eに示すように基板の第3層に、主線路12と入力ポートP1と出力ポートP2と中間グランドG1を備える。入力ポートP1は、平面から見たときに当該第3層の左上角部に、出力ポートP2は右上角部にそれぞれ配置する。主線路12は、基板の一側縁部に沿って(当該一側縁と平行に)入力ポートP1と出力ポートP2との間に直線状に延びる。
主線路12の中間部22は、副線路13と電磁界結合を行う結合部とする。具体的には、当該中間部22は、後に述べる第4層の第一副線路部13aの結合部23aならびに第2層の第二副線路部13bの結合部24aと平面から見たときに重なるように配置してあり、これにより主線路12と副線路13の両端部とを電磁界結合させる。
また、中間グランドG1は、後に述べる第一副線路部13aの非結合部23bと、第二副線路部13bの非結合部24bとの間に介在されるように、基板の四隅部および主線路を配置した基板一側縁部を除いて当該第3層の略全面に広がるように形成してある。
図2Gに示すように第4層には、結合ポートP3と第一副線路部13aを配置する。結合ポートP3は第4層の左下角部に配置し、この結合ポートP3を配置した基板の他側縁部から前記一側縁部へ第一副線路部13aを引き回し、基板一側縁部の中央部において当該第一副線路部13aが、前記第3層に配置した主線路12と平面から見たときに重なるように配置することにより結合部23aを形成する。
そして、第4層において上記結合部23aに続いて第一副線路部13aを基板中心部へ向け渦巻状に巻き回し、主線路12とは結合を行わない第一副線路部13aの非結合部23bを形成する。基板中心部には第3絶縁層および第2絶縁層を貫通して第2層まで延びるビアV1を設け、第4層においてこのビアV1に、前記第一副線路部13aの非結合部23bを接続する。
図2Cに示すように第2層には、アイソレーションポートP4と第二副線路部13bを配置する。アイソレーションポートP4は第2層の右下角部に配置し、このアイソレーションポートP4を配置した基板の他側縁部から前記基板の一側縁部へ第二副線路部13bを引き回し、基板一側縁部の中央部において当該第二副線路部13bが、前記第3層に配置した主線路12と平面から見たときに重なるように配置することにより結合部24aを形成する。
一方、当該第2層の中心部に配置した前記第4層から当該第2層まで延びるビアV1から、上記第二副線路部13bの結合部24aに向け、次第に外方へ広がるように第二副線路部13bを渦巻状に巻き回すことにより、主線路12とは結合を行わない第二副線路部13bの非結合部24bを形成する。この第二副線路部13bの非結合部24bは、基板の一側縁部で前記結合部24aに続くこととなる。
さらに、図2Aに示すように第1層には、当該導体層の略全面に広がるグランド電極(上部グランド)G2を、また、図2Iに示すように第5層には、当該導体層の略全面に広がるグランド電極(下部グランド)G3をそれぞれ設ける。これらのグランド電極G2,G3は、実装時に近接して配置される他の部品や部材の影響をカプラ1が受けることを防ぐものである。また、図2Kに示すように第6層には外部接続用の端子T1,T2,T3,T4,TGを備える。
〔本発明の基礎となる技術事項〕
先の提案に係る上記カプラによれば、前記図3に示すように、使用周波数帯域内(0.7GHz〜2.7GHz)における結合度の最小値は0.7GHzのときの−26.93dB、最大値は1.7GHzのときの−23.19dBで、結合度の変動幅Δは3.7dBとなり、従来から一般に求められてきた変動幅6dB以下を満たすことは可能である。しかしながら、更なる特性向上を目指した場合、例えば図3において符号S1で示すような変動幅3dB以下の要求を満たすことは出来ない。
そこで、本件発明者は更なる検討を重ねる中で、2つの結合部のうちの一方の結合強度を弱めることを試みた。具体的には、図4に示すように、第4層に配置した第一副線路部13aの結合部23aを基板中心部方向(図4の矢印A方向)へずらすことにより主線路との結合強度を弱めた。
図5A〜図5Cはそれぞれ、結合部23aを図4の符号23a−1で示す位置、符号23a−2で示す位置、および符号23a−3で示す位置にずらした場合の結合度を示すものである。これらの線図から分かるように、結合を弱めると減衰極が浅くなり、結合を弱める度合い(結合部をずらす量)を大きくすればするほど減衰極がより浅くなってカプラ全体の結合度が平坦になっていく。本発明では、副線路の共振による減衰極を使用周波数帯域内に形成することに加えて、このような結合度の調整によるカップリング曲線の平坦化を利用し、広帯域に亘って結合度が平坦なカプラを実現する。以下、図6〜図11を参照して本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図6に示すように本発明の第1の実施形態に係るカプラ11は、前記先の提案に基づくカプラ1と同様に、一端に入力ポートP1を、他端に出力ポートP2をそれぞれ有して高周波電力を伝送する主線路12と、一端に結合ポートP3を、他端にアイソレーションポートP4をそれぞれ有して主線路12を伝送される高周波電力の一部を取り出す副線路13とを備え、これら主線路12と副線路13を近接して配置することにより両線路12,13を電磁界結合させたものであるが、副線路13に含まれる2つの結合部23a,24aの結合強度を異なるものとした。
より具体的には、副線路13は2つ(2箇所)の結合部23a,24aを有するが、これらの結合部23a,24aの一方を結合が強い第一結合部24aとし、他方を結合が弱い第二結合部23aとする。なお、この実施形態では、結合ポートP3に近い側の結合部23aを結合の弱い第二結合部とし、アイソレーションポートP4に近い側の結合部24aを結合の強い第一結合部としたが、逆に、第一結合部を結合ポートP3に近い側に、第二結合部をアイソレーションポートP4に近い側に配置しても同様の特性を得ることが出来る。
積層基板への配置構造は、次のとおりである。なお、本実施形態に係るカプラ11は、第2層(図7C)および第4層(図7G)のパターンのみが前記図2A〜図2Kに示した先のカプラ1と相違し、他の層は同一の構造を有する。
図7Eに示すように本実施形態のカプラ11では、前記先のカプラ1と同様に、積層基板の第3層に主線路12、入力ポートP1、出力ポートP2および中間グランドG1を備えるが、主線路12は、後に述べる第2層の第二副線路部13bの結合部24aと平面から見たときに重なるように配置するとともに、後に述べる第4層の第一副線路部13aの結合部23aと平面から見たときに近接するように配置してあり、これにより主線路12と副線路13の両端部とを電磁界結合させる。
一方、中間グランドG1は、後に述べる第一副線路部13aの非結合部(中間線路部)23bと、第二副線路部13bの非結合部(中間線路部)24bとの間に介在されるように、基板の四隅部および主線路12を配置した基板の一側縁部を除いて当該第3層の略全面に広がるように形成してある。
図7Gに示すように第4層には、結合ポートP3と第一副線路部13aを配置する。前記先のカプラ1(図2G)と同様に、結合ポートP3は第4層の左下角部に配置し、この結合ポートP3を配置した基板の他側縁部から前記一側縁部へ第一副線路部13aを引き回し、基板一側縁部の中央部において当該第一副線路部を、前記第3層に配置した主線路12に近接させることにより結合部(第二結合部)23aを形成する。
ただし、この第二結合部23aは、先のカプラ1(図2G)と異なり、平面から見たときに主線路12と重なっておらず、基板中心部方向(矢印A参照)へずらして配置してある。このため、先のカプラ1(主線路12と丁度重なるように配置した場合)と比べて、あるいは後に述べる第2層の第一結合部24aと比べて主線路12との結合が弱い。
そして、第4層において上記第二結合部23aに続いて第一副線路部13aを基板中心部へ向け渦巻状に巻き回し、主線路12とは結合を行わない第一副線路部13aの非結合部23bを形成する。この非結合部23bは、後に述べる第二副線路部13bの非結合部24bと共に本発明に言う中間線路部を構成する。基板中心部には第3絶縁層、第3層および第2絶縁層を貫通して第2層まで延びるビアV1を設け、第4層においてこのビアV1に、上記第一副線路部13aの非結合部23bの端部を接続する。
図7Cに示すように第2層には、アイソレーションポートP4と第二副線路部13bを配置する。具体的には、先のカプラ1(図2C)と同様に、アイソレーションポートP4は第2層の右下角部に配置し、このアイソレーションポートP4を配置した基板の他側縁部から前記基板の一側縁部へ第二副線路部13bを引き回し、基板一側縁部の中央部において当該第二副線路部13bが、前記第3層に配した主線路12と平面から見たときに重なるように配置することにより結合部(第一結合部)24aを形成する。
この第一結合部24aは、第4層の結合部(第二結合部)23aに比べて主線路12との結合強度が強く、また先のカプラ1(図2C)と比べてもその長さが長く、主線路12の略全長と重なり合うから先のカプラ1の結合部24a(図2C)より強い結合が得られる。したがって、本実施形態では、結合部の一方(第二結合部23a)について主線路12との結合を弱めても、カプラ全体としては主線路12−副線路13間の十分な結合を確保することが可能である。
なお、主線路12(結合部22)、副線路13の第一結合部24aおよび第二結合部23aは、いずれも副線路13の非結合部(中間線路部)23b,24bに比べて線路幅が広く、副線路13の非結合部(中間線路部)23b,24bは結合部22,23a,24aと比べて線路幅が狭い。これは、結合部22,23a,24aについては、短い線路長で効率良く結合を行う(強い結合を得る)一方で、線路長が長くなる中間線路部については、線路幅を狭くして小さな面積で長い線路を収容できるようにするためである。また、同様にスペース効率の点から、本実施形態では、第一副線路部13aと第二副線路部13bは略同一の長さを有するものとし、長い副線路13(中間線路部23b,24b)を2つの層(第4層と第2層)に均等に分けて配置している。
一方、第2層において基板中心部に配置した前記第4層から当該第2層まで延びるビアV1から、第二副線路部13bの結合部24aに向け、次第に外方へ広がるように第二副線路部13bを渦巻状に巻き回すことにより、主線路12とは結合を行わない第二副線路部13bの非結合部24bを形成する。この第二副線路部13bの非結合部24bは、基板の一側縁部で前記結合部24aに連続することとなる。また、当該第二副線路部13bの非結合部24bは、前記第4層の第一副線路部13aの非結合部23bとビアV1を介して電気的に接続されることにより、本発明に言う中間線路部を構成する。
この中間線路部は、使用周波数帯域内の設定周波数に対応した波長λの四分の一以上の長さを有するものとすることにより、共振を生じさせ、当該使用周波数帯域内に共振点(減衰極)を形成する。上記設定周波数としては、使用周波数帯域(本実施形態の場合、700MHz〜2.7GHz)内で且つ上端周波数(本実施形態の場合、2.7GHz)に近い周波数(例えば2.3GHz付近)とすれば良い。なお、この点については、本発明に係るカプラの設計方法として、後にさらに詳しく述べる。
また、上記第二副線路部13bを巻き回す方向(第一副線路部13aと接続されるビアV1から結合部24aへ向かう回転方向)は、前記第一副線路部13aの回転方向(結合部23aから第二副線路部13bと接続されるビアV1に向かう回転方向)と同一の方向(図示の例の場合時計回り)としてある。これは、2層に分けて配置し且つ平面から見たときに略重なり合っている第一副線路部13aの非結合部23bと、第二副線路部13bの非結合部24bとが互いに干渉する(相互に信号伝送を阻害する)ことを防ぐためである。また同様に、このような副線路13の非結合部(中間線路部)23b,24b同士の干渉を防ぐため、本実施形態では、第一副線路部13aの非結合部23bと第二副線路部13bの非結合部24bとの間に介在されるように前記中間グランドG1を第3層に備えている。
また、図7Aに示すように第1層には、当該導体層の略全面に広がるグランド電極(上部グランド)G2を設ける。この上部グランドG2は、実装時に近接して配置される他の部品や部材の影響をカプラ11が受けることを防ぐもので、平面から見たときに前記結合部22,23a,24aを配置した領域Bを避けつつ副線路13の非結合部(中間線路部)23b,24bを覆うように形成する。
さらに、図7Iに示すように第5層には、当該導体層の略全面に広がるグランド電極(下部グランド)G3を備える。この下部グランドG3も上部グランドG2と同様に、平面から見たときに前記結合部22,23a,24aを配置した領域Bを避けながら副線路13の非結合部(中間線路部)23b,24bを覆うように形成する。
また、図7Kに示すように第6層には外部接続用の端子T1,T2,T3,T4,TGを備える。すなわち、前記各ポートP1〜P4の配置位置に対応するように(これらP1〜P4の各直下位置に)、外部接続端子T1〜T4を配置し、基板を垂直に貫通するビアVを介してこれら外部接続端子T1,T2,T3,T4と前記入力ポートP1,出力ポートP2,結合ポートP3,アイソレーションポートP4をそれぞれ接続する。
第6層の基板側縁部中央に備えた外部接続端子TGは、グランド電極(上部グランドG2,中間グランドG1,下部グランドG3)用の端子であり、当該グランド用端子TGと第5層の下部グランドG3とをビアVを介して接続する。また、第3層の中間グランドG1は、第3絶縁層、第4層及び第4絶縁層(図7F〜図7H)を垂直に貫通するように基板中心部に設けたビアVにより第5層の下部グランドG3に接続し、この下部グランドG3を介してグランド端子TGに接続を行う。さらに、第1層の上部グランドG2は、第1絶縁層、第2層及び第2絶縁層(図7B〜図7D)を垂直に貫通するように基板中心部に設けたビアVにより第3層の中間グランドG1に接続することにより、中間グランドG1及び下部グランドG3を介してグランド端子TGに接続を行う。
図8は、本実施形態のカプラの結合度の周波数特性を示す線図である。この図から分かるように本実施形態によれば、使用周波数帯域内(700MHz〜2.7GHz)における結合度の最小値は700MHzのときの−26.68dB、最大値は2.7GHzのときの−24.42dBで、結合度の変動幅Δは2.26dBとなり、変動幅3dB以下の要求を満たすことが可能となった。
図8を参照しながら、本発明に係るカプラの設計方法について説明する。なお、図8において、点X1〜X4はカップリング曲線上の点で、X1は使用周波数帯の下端周波数における結合度を、X2は使用周波数帯域内における結合度の極大値を、X3は使用周波数帯域内における結合度の極小値(減衰極)を、X4は使用周波数帯の上端周波数における結合度をそれぞれ示しており、これら点が要求仕様S1を満たすように下記(1)〜(3)の操作を行えば良い。
(1)結合が強い第一結合部24aの結合強度を調整することによって使用周波数帯の下端周波数(実施形態では700MHz)における結合度の下限要求値(実施形態では−27dB)を満たすようにカプラ全体の結合度を調整し、点X1が当該下限要求値を下回らないようにする。
(2)結合の弱い第二結合部23aの結合強度を調整することにより使用周波数帯域(実施形態では700MHz〜2.7GHz)内におけるカップリング曲線の平坦化を図る。このとき、減衰極X3の深さ(結合度の値)が前記X1と略等しくなるように(実施形態では略−27dBとなるように)当該第二結合部23aの結合度の調整を行い、カップリング曲線を平坦化する。
なお、第二結合部23aの結合強度を下げると点X1も多少低下するが、カプラ全体としては結合が強い第一結合部24aの結合度が支配的となっているから、当該低下分は小さく、点X1の位置に対する影響は少ない(第一結合部24aによる点X1の調整時に多少の余裕を持たせるか、第一結合部24aを再度調整すれば良い)。
(3)中間線路部の長さ(非結合部23bと非結合部24bの合計長さ)を使用周波数帯域(700MHz〜2.7GHz)内の所定周波数(設定周波数:例えば2.3GHz付近)に対応した波長λの四分の一以上の長さを有するものとすることにより、使用周波数帯の下端周波数(700MHz)より高く且つ使用周波数帯の上端周波数(2.7GHz)以下の周波数位置に共振点(カップリング曲線における減衰極)X3を形成する。
なお、上記減衰極X3は、中間線路部の長さを長くするほど低周波数側に移動するが、減衰極X3が低周波数側に行き過ぎると、上端周波数における結合度が大きくなって点X4が上端周波数(2.7GHz)における上限要求値(−24dB)を超えてしまうから、当該共振による減衰極X3は使用周波数帯の中心周波数(実施形態の場合1.7GHz)より高域側に位置せしめることが好ましく、使用周波数帯域内における結合度の極大値X2と、上端周波数における結合度X4とが略等しくなるように上記中間線路部の長さを調整することが好ましい。
〔第2実施形態〕
図9に示すように本発明の第2の実施形態に係るカプラ21は、前記第1実施形態のカプラ11と同様に、主線路12、副線路13、入力ポートP1、出力ポートP2、結合ポートP3およびアイソレーションポートP4を備え、副線路13に主線路12との結合強度が異なる2つの結合部(第一結合部24aと第二結合部23a)を設けたものであるが、結合の弱い第二結合部23aを主線路12と同一の導体層に配置して層内結合を行う。
また、第1実施形態では中間線路部を2つの導体層に略半分ずつ分けて配置したが、本実施形態では、一つの導体層に中間線路部の略全長が収まるように配置する。なお、本実施形態では、結合の弱い第二結合部23aを結合ポートP3に近い側に、結合の強い第一結合部24aをアイソレーションポートP4に近い側に配置したが、これとは逆に、第一結合部24aを結合ポートP3に近い側に、第二結合部23aをアイソレーションポートP4に近い側に配置しても良いことは、前記第1実施形態と同様である。
本実施形態の積層基板への具体的な配置構造は、次のとおりである。
図10Aに示すように、積層基板の第1層には、前記第1実施形態と同様に基板一側縁部に入力ポートP1と出力ポートP2を配置し、これらの間に延びる主線路12を備えるが、さらに、結合ポートP3と、第一副線路部13aと、上部グランドG2を配置する。
結合ポートP3は第1層の左下角部に配置し、この結合ポートP3を配置した基板の他側縁部から前記基板一側縁部へ第一副線路部13aを引き回し、基板一側縁部に沿って延びる主線路12に平行に且つ近接して延びるように当該第一副線路部13aを配置することにより、主線路12との結合(層内結合)を行う。この主線路12と平行に延びる第一副線路部13aの線路部分は、後に述べる第一結合部24aより結合が弱い第二結合部23aを形成するもので、互いに並行する当該第二結合部23aと主線路12との距離を調整することにより第二結合部23aの結合強度を調整することが可能である。
そして、上記第二結合部23aから基板の中心部に向け第一副線路部13aを引き回し、基板中心部に備えたビアV1に当該第一副線路部13aを接続する。このビアV1は、第1絶縁層を貫通して第2層まで延びており、第2層において第二副線路部13bに接続する。
また、上部グランドG2は、主線路12や第二結合部23aを配置した基板一側縁部、基板角部に配置した結合ポートP3やビアV、並びに、基板中央のビアV1と第二結合部23aとを接続する第一副線路部13aの非結合部23bを除いて第1層の略全面に広がるように形成してある。この上部グランドG2は、前記第1実施形態の上部グランドG2と同様の機能を果たすものである(後述の下部グランドG3についても同様)。
図10Cに示すように第2層には、アイソレーションポートP4と第二副線路部13bを配置する。アイソレーションポートP4は、第2層の右下角部に配置し、このアイソレーションポートP4を配置した基板の他側縁部から前記基板一側縁部へ第二副線路部13bを引き回し、基板一側縁部において当該第二副線路部13bが、前記第1層に配した主線路12と平面から見たときに重なるように配置することにより第一結合部24aを形成する。
そして、第一結合部24aに続いて、基板中心部のビアV1に向けて第二副線路部13bを渦巻状に巻き回す。この渦巻状の線路部分は、前記第一結合部24aと基板中心部のビアV1とを接続し、前記第1層の第二結合部23aとビアV1とを接続する第一副線路部の非結合部23bと電気的に接続されて当該第1層の非結合部23bとともに中間線路部を構成するものである。
また、図10Eに示すように第3層には、前記第1実施形態の第5層と同様に下部グランドG3を備え、図10Gに示すように第4層には、前記第1実施形態の第6層と同様に外部接続用の端子T1,T2,T3,T4,TGを備える。また、上部グランドG2および下部グランドG3とグランド端子TGとの接続、ならびに、各ポートP1〜P4と外部接続端子T1〜T4との接続は、絶縁層を貫通して基板の積層方向に延びるビアVを介して行う。
図11は、本実施形態のカプラ21の結合度の周波数特性を示す線図である。この図から分かるように本実施形態によれば、使用周波数帯域内(700MHz〜2.7GHz)における結合度の最小値は700MHzのときの−26.77dB、最大値は1.3GHzのときの−24.51dBで、結合度の変動幅Δは2.26dBとなり、変動幅3dB以下の要求を満たすことが出来る。
さらに、本実施形態のカプラ21によれば、第二結合部23aは層内結合であるから主線路12を副線路13で上下から挟む必要がない(第一副線路部13aを主線路12と同層に配置することが出来る)うえに、上下に配置した副線路同士(中間線路部同士)の干渉を防ぐ中間グランドG1を省くことが出来るから、積層数が少なくて済み、第1実施形態よりカプラを低背化することが可能である。
〔マルチバンド無線通信装置〕
上記各実施形態によれば、結合度を広帯域に亘って平坦化することが出来るから、マルチバンド方式の無線通信装置におけるカプラの配設個数を減らすことが可能となる。
例えば、800MHz帯と2GHz帯の2つの通信周波数帯を利用可能なデュアルバンド方式の携帯電話機を構成することを考えた場合、従来であれば800MHz帯と2GHz帯とでは結合度が大きく変動してしまうため、各周波数帯(800MHz帯と2GHz帯)でそれぞれ結合度がほぼ等しくなるように調整した2つのカプラを各周波数帯の送信回路に各々設ける必要があったが(前記図13参照)、本実施形態によれば両周波数帯(800MHz帯と2GHz帯)に亘って結合度を平坦にすることが出来るから、共通のカプラを1つ設ければ良く、部品点数を減らして送信回路を単純化することが出来る。
具体的には、図12に示すように本発明によれば、アンテナ101とスイッチ102との間にカプラ11(又は21)を1つ設ければ良く、従来(図13)と比べて送信回路201を簡素化することが出来る。
なお、PA202は第一の通信周波数帯(この例では800MHz帯)の送信信号を増幅し、PA203は第二の通信周波数帯(この例では2GHz帯)の送信信号を増幅する。カプラ11(又は21)により得られたモニタ信号(送信信号のレベルに対応した信号)はAPC回路204に入力され、APC回路204が当該モニタ信号のレベル(即ち送信信号のレベル)に応じてPA202およびPA203の出力が一定になるようにPA202とPA203の利得を制御する。また、スイッチ102は、アンテナ101を通じて受信した電波を受信回路103,104へ振り分けるとともに、送信回路201から入力された送信信号をアンテナ101に送り出す機能を果たすもので、例えばダイプレクサや高周波スイッチを組み合わせることにより構成すれば良い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者に明らかである。
例えば、本願明細書中において記載した周波数の数値は、一例を示すものであって、本発明ではこれら以外にも様々なものであって良い。また、使用周波数帯域内における減衰極の形成位置(設定周波数)についても、使用周波数帯の値(下端周波数の値や上端周波数の値)、帯域幅、要求される仕様等により上記以外の様々な値をとることがある。
また、積層基板の層番号(例えば「第1層」、「第1導体層」、「第2層」…)は、積層の順序(積層方向に関する相対的な位置関係)を表すものであって、必ずしも第1層が当該積層基板の最上層であることを意味するものではない(例えば第1層の上に更に絶縁層や導体層が積層されていても構わない)。さらに、基板各層の導体パターンの形状や大きさ、ポートP1〜P4や端子T1〜T4,TGの位置、ビアV,V1による接続構造等も図示した以外にも特許請求の範囲内で様々な変更が可能である。
1,11,21 カプラ(方向性結合器)
12 主線路
13 副線路
13a 第一副線路部
13b 第二副線路部
22 主線路の結合部
23a,24a 副線路の結合部
23b,24b 副線路の非結合部(中間線路部)
101 アンテナ
102 スイッチ
103,104 受信回路
201,301,401 送信回路
202,203,302,402 PA(電力増幅器)
204,303,403 APC回路(自動出力制御回路)
G1 中間グランド
G2 上部グランド
G3 下部グランド
P1 入力ポート
P2 出力ポート
P3 結合ポート
P4 アイソレーションポート
S1 要求仕様
T1,T2,T3,T4,TG 外部接続用端子
V,V1 ビアホール
X1,X2,X3,X4 カップリング曲線上の点

Claims (22)

  1. 高周波信号を伝送可能な主線路と、
    前記主線路に前記高周波信号を入力する入力ポートと、
    前記主線路から前記高周波信号を出力する出力ポートと、
    前記主線路と電磁界結合して前記高周波信号の一部を取り出す副線路と、
    前記副線路の一方の端部に備えられた結合ポートと、
    前記副線路の他方の端部に備えられたアイソレーションポートと
    を備えた方向性結合器であって、
    前記主線路および前記副線路間で電磁界結合を行う線路部分を結合部、当該電磁界結合を行わない線路部分を非結合部とそれぞれ称した場合に、
    前記副線路が、
    電磁界結合が強い第一結合部と、
    当該第一結合部より電磁界結合が弱い第二結合部と、
    前記第一結合部と前記第二結合部との間に延在し且つ使用周波数帯に対応した波長λの四分の一以上の長さを有する非結合部である中間線路部と
    を有する
    ことを特徴とする方向性結合器。
  2. 前記中間線路部を備えることにより、使用周波数帯の下端周波数より高く且つ使用周波数帯の上端周波数以下の周波数位置に共振点を形成した
    請求項1に記載の方向性結合器。
  3. 前記共振点を、前記使用周波数帯の中心周波数以上で上端周波数以下の周波数位置に形成した
    請求項2に記載の方向性結合器。
  4. 絶縁層を介して積層した複数の導体層を有する積層基板に、前記主線路、前記副線路、前記入力ポート、前記出力ポート、前記結合ポート、および、前記アイソレーションポートを備えた請求項1または2に記載の方向性結合器であって、
    前記積層基板の第一導体層に、前記主線路を配置し、
    前記第一導体層より上層の第二導体層に、前記副線路の一部である第一副線路部を配置し、
    この第一副線路部の一端部を前記結合ポートおよび前記アイソレーションポートのうちの一方に接続し、
    前記第一導体層より下層の第三導体層に、前記副線路の他の一部である第二副線路部を配置し、
    この第二副線路部の一端部を前記結合ポートおよび前記アイソレーションポートのうちの他方に接続し、
    前記第一副線路部の他端部と前記第二副線路部の他端部とを層間接続導体により電気的に接続し、
    前記主線路の少なくとも一部と前記第一副線路部の少なくとも一部とが互いに近接するように配置することにより、前記第一結合部および前記第二結合部のうちの一方を形成し、
    前記主線路の少なくとも一部と前記第二副線路部の少なくとも一部とが互いに近接するように配置することにより、前記第一結合部および前記第二結合部のうちの他方を形成し、
    前記第一副線路部の結合部と前記層間接続導体との間に延在する副線路部分である第一中間線路部と、前記第二副線路部の結合部と前記層間接続導体との間に延在する副線路部分である第二中間線路部とにより、前記中間線路部を形成した
    方向性結合器。
  5. 前記積層基板の積層方向について前記第一中間線路部と前記第二中間線路部との間に介在されるように配置したグランド電極である中間グランドを備えた
    請求項3に記載の方向性結合器。
  6. 前記中間グランドを、前記第一導体層に配置した
    請求項5に記載の方向性結合器。
  7. 前記第一中間線路部を覆うように前記第二導体層より上層に配置したグランド電極である上部グランドを備えた
    請求項4から6のいずれか一項に記載の方向性結合器。
  8. 前記上部グランドは、平面から見たときに前記主線路の結合部、第一副線路部の結合部および第二副線路部の結合部と重ならないように形成してある
    請求項7に記載の方向性結合器。
  9. 前記第二中間線路部を覆うように前記第三導体層より下層に配置したグランド電極である下部グランドを備えた
    請求項4から8のいずれか一項に記載の方向性結合器。
  10. 前記下部グランドは、平面から見たときに前記主線路の結合部、第一副線路部の結合部および第二副線路部の結合部と重ならないように形成してある
    請求項9に記載の方向性結合器。
  11. 前記第一中間線路部の長さと、前記第二中間線路部の長さとが略等しい
    請求項4から10のいずれか一項に記載の方向性結合器。
  12. 前記第一中間線路部および前記第二中間線路部を、渦巻状にそれぞれ形成した
    請求項4から11のいずれか一項に記載の方向性結合器。
  13. 平面から見たときに、
    前記主線路の結合部、前記第一副線路部の結合部、および、前記第二副線路部の結合部を前記積層基板の一側縁部に沿って配置するとともに、
    前記層間接続導体を前記積層基板の中心部に配置し、
    前記第一中間線路部を、前記積層基板の一側縁部から前記積層基板の中心部に向け渦を巻くように形成し、
    前記第二中間線路部を、前記積層基板の中心部から前記積層基板の一側縁部に向って且つ前記第一中間線路部と同一の回転方向に渦を巻くように形成した
    請求項12に記載の方向性結合器。
  14. 絶縁層を介して積層した複数の導体層を有する積層基板に、前記主線路、前記副線路、前記入力ポート、前記出力ポート、前記結合ポート、および、前記アイソレーションポートを備えた請求項1または2に記載の方向性結合器であって、
    前記積層基板の第一導体層に、前記主線路と、前記副線路の一部である第一副線路部とを配置するとともに、当該主線路の少なくとも一部と当該第一副線路部の少なくとも一部とを互いに近接して配置することにより前記第二結合部を形成し、
    前記第一副線路部の一端部を前記結合ポートおよび前記アイソレーションポートのうちの一方に接続する一方、
    前記第一導体層とは異なる前記積層基板内の導体層である第二導体層に、前記副線路の他の一部である第二副線路部を配置し、
    この第二副線路部の少なくとも一部を、前記主線路の少なくとも一部に近接するように配置することにより前記第一結合部を形成し、
    前記第二副線路部の一端部を前記結合ポートおよび前記アイソレーションポートのうちの他方に接続し、
    前記第一副線路部の他端部と前記第二副線路部の他端部とを層間接続導体により電気的に接続することにより、前記第一結合部と前記第二結合部との間に、前記中間線路部を形成した
    方向性結合器。
  15. 前記第二導体層は、前記積層基板内で前記第一導体層より下層に位置し、
    前記中間線路部のうち前記第二導体層に配置した線路部分を覆うように前記第一導体層または前記第一導体層より上層に形成したグランド電極である上部グランドを備えた
    請求項14に記載の方向性結合器。
  16. 前記上部グランドは、前記積層基板内において前記第一導体層より上層に配置され、且つ、平面から見たときに前記主線路の結合部、前記副線路の前記第一結合部および前記第二結合部と重ならないように形成してある
    請求項15に記載の方向性結合器。
  17. 前記第二導体層は、前記積層基板内で前記第一導体層より下層に位置し、
    前記中間線路部のうち前記第二導体層に配置した線路部分を覆うように前記第二導体層より下層の導体層に形成したグランド電極である下部グランドを備えた
    請求項14から16のいずれか一項に記載の方向性結合器。
  18. 前記下部グランドは、平面から見たときに前記主線路の結合部、第一副線路部の結合部および第二副線路部の結合部と重ならないように形成してある
    請求項17に記載の方向性結合器。
  19. 前記中間線路部のうち、前記第二導体層に配置した線路部分は、前記第一導体層に配置した線路部分より長く且つ渦巻状に形成してある
    請求項14から18のいずれか一項に記載の方向性結合器。
  20. 平面から見たときに、
    前記主線路の結合部、前記副線路の前記第一結合部、および、前記副線路の前記第二結合部を前記積層基板の一側縁部に沿って配置するとともに、
    前記層間接続導体を前記積層基板の中心部に配置し、
    前記中間線路部のうち前記第二導体層に配置した線路部分を、前記積層基板の中心部を中心として渦を巻くように形成した
    請求項19に記載の方向性結合器。
  21. 前記中間線路部の線路幅が、前記第一結合部および前記第二結合部のいずれか一方または双方の線路幅より狭い
    請求項1から20のいずれか一項に記載の方向性結合器。
  22. 2以上の周波数帯の送信信号を生成可能で、且つ、これらの送信信号を増幅する電力増幅器と当該電力増幅器の出力を制御する自動出力制御回路とを含む送信回路と、
    前記2以上の周波数帯の受信信号を処理可能な受信回路と、
    前記送信信号および受信信号の送受信を行うアンテナと、
    当該アンテナと、前記送信回路および前記受信回路との間に接続され、前記アンテナを通じて受信された受信信号の前記受信回路への伝送および前記送信回路から出力された送信信号の前記アンテナへの伝送を行うスイッチと、
    前記電力増幅器から出力される送信信号のレベルを検出してその検出信号を前記自動出力制御回路に出力する方向性結合器と
    を備え、
    前記方向性結合器から入力された前記検出信号に基づいて前記電力増幅器の出力を制御する無線通信装置であって、
    前記方向性結合器は、前記アンテナと前記スイッチと間に接続され、且つ、前記請求項1から21のいずれか一項に記載の方向性結合器である
    ことを特徴とする無線通信装置。
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