JP2014055790A - 電流センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】被測定電流の周波数が変化しても精度良く測定ができる電流センサを提供することを目的とする。
【解決手段】扁平形状の電流路(12)と、電流路(12)上に配設され電流路(12)に被測定電流が流れたときに発生する磁界を検出する磁電変換素子(13)と、を備え、電流路(12)が接続される機器の被測定電流を測定する電流センサ(101)において、電流路(12)には、被測定電流の流れる向きに沿って長い穴部(12a)が設けられており、機器で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度と、機器で用いられる最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度と、が略一致する電流路(12)上の位置に、磁電変換素子(13)が配設されることを特徴としている。
【選択図】図2

Description

本発明は、各種機器に流れる被測定電流を磁電変換素子によって測定する電流センサに関し、特に、インバータ等が搭載された各種機器に流れる被測定電流の周波数が変化する場合に適した電流センサに関する。
近年、各種機器の制御や監視のために、各種機器に取り付けて各種機器に流れる被測定電流を測定する電流センサが一般に用いられている。この種の電流センサとして、電流路に流れる被測定電流から生じる磁界を感知する、磁気抵抗効果素子やホール素子等の磁電変換素子(磁気検出素子)を用いた方法が良く知られている。
上述した電流センサの内で、扁平な形状の被測定導体(電流路)と絶縁基板上に配設された磁気センサとを用いた、特許文献1に提案されているような電流測定装置(電流センサ)900が一般的に知られている。図17は、特許文献1(従来例)に開示されている電流測定装置900を説明する図であって、磁気センサ910と被測定導体901との位置関係を示す断面図である。電流測定装置900は、図17に示すように、プリント基板911に形成された被測定導体901と、プリント基板912に搭載された磁気センサ910(内部に磁気検出素子を備えている)とから構成されている。被測定導体901に被測定電流が流れた際に発生する磁界の内、磁気センサは、被測定導体901の幅方向に生じる磁界920を検出している。
ところで、このような扁平な形状の被測定導体901中を流れる被測定電流の周波数が高くなると、表皮効果により、被測定電流が被測定導体901の端部に集中し、被測定導体901の中央では電流密度が小さくなり、被測定導体901の端付近では電流密度が大きくなる。このため、磁気センサ910を被測定導体901の中央に配置した場合(図17では端部に配置)、磁気センサ910が検知する中央付近の磁界920が低下し、電流測定装置900の電流感度が下がると言う問題があった。
そこで、従来例の電流測定装置900では、図17に示すように、被測定導体901の幅方向の中央位置CLから所定距離だけ離れた位置に磁気センサ910を設けるようにしている。これにより、周波数が高い被測定電流であっても、電流感度の低下が抑えられた電流測定装置900を提供できるとしている。
特開2005−70037号公報
しかしながら、従来例では、測定する被測定電流の周波数に合わせて磁気センサ910を被測定導体901の端付近に配置するので、周波数の違う被測定電流を用いた他の機器に適用する場合や同じ機器であっても周波数が状態によって変化する場合、電流測定装置900で測定する電流感度が大きく違い、正確な測定精度が得られないと言う課題があった。なお、状態によって被測定電流の周波数が変化する場合とは、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車において、アイドリング時、加速時、回生ブレーキ時等の状態によって、被測定電流の周波数が変化する場合が挙げられる。
本発明は、上述した課題を解決するもので、被測定電流の周波数が変化しても精度良く測定ができる電流センサを提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明の電流センサは、扁平形状の電流路と、前記電流路上に配設され前記電流路に被測定電流が流れたときに発生する磁界を検出する磁電変換素子と、を備え、前記電流路が接続される機器の前記被測定電流を測定する電流センサにおいて、前記電流路には、前記被測定電流の流れる向きに沿って長い穴部が設けられており、前記機器で用いられる最低周波数の前記被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度と、前記機器で用いられる最高周波数の前記被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度と、が略一致する前記電流路上の位置に、前記磁電変換素子が配設されることを特徴としている。
これによれば、本発明の電流センサは、電流路には、被測定電流の流れる向きに沿って長い穴部が設けられているので、機器で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度と、最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度と、を近づけてより一致させることができる。このため、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、磁電変換素子を配設することができる。このことにより、被測定電流の周波数が変化しても精度良く電流値を測定することができる。
また、本発明の電流センサは、前記電流路が、前記穴部によって2つに分流した第1分流路と第2分流路を形成し、前記磁電変換素子が、前記第1分流路上に配設されるとともに、前記第1分流路の長手方向の中央近傍に配設されることを特徴としている。
これによれば、磁電変換素子が第1分流路上で、しかも第1分流路の長手方向の中央近傍に配設されるので、第1分流路と第2分流路との分岐点や合流点と離れているとともに穴部上の部分ではないため、第1分流路の中央近傍は、磁束の向きが第1分流路の幅方向に一定している領域になっている。このことにより、磁束の向きと、磁電変換素子の感度方向とがより一致し、正確に電流値を測定することができる。
また、本発明の電流センサは、前記第1分流路の厚みが、前記第2分流路の厚みより小さいことを特徴としている。
これによれば、第1分流路の厚みが第2分流路の厚みより小さいので、第1分流路上の最低周波数磁束密度が低くなるとともに、表皮効果の影響が低減することから第1分流路上の最高周波数磁束密度のピークが第1分流路の外側から穴部側へスライド移動する。このことにより、第1分流路の厚みを小さくすることで、最低周波数磁束密度と最高周波数磁束密度とが略一致する位置を、電流路の中央側に移動させることができる。このため、磁電変換素子を搭載する絶縁基板が電流路から大きくはみ出すことを防止できる。
また、本発明の電流センサは、前記第1分流路の厚みをD1、前記第1分流路の抵抗率をρ、前記第1分流路の透磁率をμ、被測定電流の周波数をfとした場合に、D1<(2ρ/2πfμ)1/2を満たすことを特徴としている。
これによれば、第1分流路の厚みが、第1分流路に流れる高周波の被測定電流に生じる表皮効果による、表皮深さ未満なので、第1分流路上の磁束密度が表皮効果の影響を受けることがない。このことにより、第1分流路上の磁束の向きと、磁電変換素子の感度方向とがより一層一致し、より正確に電流値を測定することができる。
本発明の電流センサは、電流路には、被測定電流の流れる向きに沿って長い穴部が設けられているので、機器で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度と、最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度と、を近づけてより一致させることができる。このため、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、磁電変換素子を配設することができる。このことにより、被測定電流の周波数が変化しても精度良く電流値を測定することができる。
本発明の第1実施形態の電流センサを説明する分解斜視図である。 本発明の第1実施形態の電流センサを説明する斜視図である。 本発明の第1実施形態の電流センサを説明する構成図であって、図2に示すZ1側から見た上面図である。 本発明の第1実施形態の電流センサを説明する構成図であって、図3に示すIV−IV線における断面図である。 本発明の第1実施形態の電流センサのシミュレーションに用いた3つのモデルの電流路の断面図であって、図5A,図5B及び図5Cにそれぞれ示している。 本発明の第1実施形態の電流センサのシミュレーション結果であって、図5Bに示すモデルにおける電流路の周囲の磁場の様子を示した模式図である。 本発明の第1実施形態の電流センサのシミュレーション結果であって、図5A,図5B及び図5Cに示したモデルに対応したグラフである。 本発明の第2実施形態の電流センサを説明するする分解斜視図である。 本発明の第2実施形態の電流センサを説明する斜視図である。 本発明の第2実施形態の電流センサを説明する構成図であって、図9に示すZ1側から見た上面図である。 本発明の第2実施形態の電流センサを説明する構成図であって、図10に示すXI−XI線における断面図である。 本発明の第2実施形態の電流センサのシミュレーションに用いた3つのモデルの電流路の断面図であって、図12A,図12B及び図12Cにそれぞれ示している。 本発明の第2実施形態の電流センサのシミュレーション結果であって、図12A,図12B及び図12Cに示したモデルに対応したグラフである。 本発明の第1実施形態の電流センサの変形例を説明する図であって、図14Aは、変形例1のモデル図であり、図14Bは、変形例2のモデル図であり、図14Cは、変形例3のモデル図である。 本発明の第2実施形態の電流センサの変形例を説明する図であって、図15Aは、変形例4の断面図であり、図15Bは、変形例5の断面図である。 本発明の第1実施形態の電流センサと比較した図であって、図16Aは、シミュレーションに用いた比較例のモデル図であって、図16Bは、そのシミュレーション結果のグラフである。 従来例における電流測定装置を説明する図であって、磁気センサと被測定導体との位置関係を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する分解斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する斜視図である。なお、説明を容易にするため、絶縁基板19を省略している。図3は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する構成図であって、図2に示すZ1側から見た上面図である。図4は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する構成図であって、図3に示すIV−IV線における断面図である。
本発明の第1実施形態の電流センサ101は、図1ないし図4に示すように、扁平形状の電流路12と、電流路12上に配設される磁電変換素子13と、を備えて構成されている。他に、電流センサ101には、電流路12と対向して配設された絶縁基板19や、図示はしていないが、電流センサ101への電力の供給や電流センサ101からの信号取り出しのために、外部制御機器と接続するコネクタが備えられている。
電流路12は、銅(Cu)等の導電性の良い金属製の材質を用い、図1ないし図4に示すように、被測定電流の流れる向き(図2に示すY方向)に沿って長い穴部12aが設けられており、この穴部12aによって2つに分流した第1分流路12sと第2分流路12tが形成されている。また、図示していない機器(被測定機器)の被測定電流路(測定したい電流路)と接続し固定するために、貫通孔12hが電流路12の両端側に設けられている。
磁電変換素子13は、電流路12に被測定電流が流れたときに発生する磁界を検出する素子であって、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気検出素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子と言う)を用い、図2ないし図4に示すように、磁気センサパッケージ14内にパッケージングされ、第1分流路12s上に配設されているとともに、第1分流路12sの長手方向の中央近傍に配設されている。そして、磁電変換素子13の感度方向が図3に示すX方向になるように配設されている。
この磁気センサパッケージ14は、GMR素子をシリコン基板上に作製した後、切り出されたGMR素子のチップと信号の取り出しのためのリード端子14rとを電気的に接続して、熱硬化性の合成樹脂でパッケージングして作製されている。そして、磁気センサパッケージ14は、リード端子14rにより、回路基板である絶縁基板19にはんだ付けされて、図示していない配線パターンとコネクタを介して、外部制御機器と接続されている。なお、磁電変換素子13をパッケージングして、磁気センサパッケージ14として絶縁基板19に配設したが、例えば磁電変換素子13をそのまま配設、所謂ベアチップ実装して配設しても良い。
絶縁基板19は、一般に広く知られている片面のプリント配線板を用いており、ガラス入りのエポキシ樹脂のベース基板に、ベース基板上に設けられた銅(Cu)等の金属箔をパターニングして、配線パターンを形成している。絶縁基板19には、図3及び図4に示すように、磁電変換素子13がパッケージングされた磁気センサパッケージ14が1個搭載されるようになっている。なお、絶縁基板19にガラス入りのエポキシ樹脂からなるプリント配線板を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばセラミック配線板、フレキシブル配線板でも良い。また、本発明の第1実施形態では、絶縁基板19として回路基板を好適に用いたが、回路基板に限るものではなく、絶縁基板19上に回路基板を重ね合わせて、磁気センサパッケージ14を搭載する構成にしても良い。
以上のように構成された電流センサ101について、周波数の違う被測定電流が流れた場合の磁場の変化に関して、有限要素法解析システムを用いた磁場解析を行った。図5は、本発明の第1実施形態の電流センサ101のシミュレーションに用いたモデルの電流路12の断面図であって、図5Aは、モデルA1であり、図5Bは、モデルA2であり、図5Cは、モデルA3である。また、このシミュレーションに用いた数値は、電流路12の長さを100(mm)、幅(W1+W2+W3)を20(mm)、厚みを4(mm)とし、第1分流路12sの厚みD1及び第2分流路12tの厚みD2を4(mm)とし、穴部12aの長さを60(mm)、幅W3を5(mm)として、全てのモデルについて同じにした。一方、モデルA1について、第1分流路12sの幅W1を7.5(mm)及び第2分流路12tの幅W2を7.5(mm)とし、モデルA2について、第1分流路12sの幅W1を5(mm)及び第2分流路12tの幅W2を10(mm)とし、モデルA3について、第1分流路12sの幅W1を3(mm)及び第2分流路12tの幅W2を12(mm)として、可変させた。なお、図1ないし図4に示す電流センサ101は、このモデルA2を具現化したものである。
また、図6は、本発明の第1実施形態の電流センサ101のシミュレーション結果であって、図5Bに示すモデルA2における電流路12の周囲の磁場MFの様子を示した模式図である。図7は、本発明の第1実施形態の電流センサ101のシミュレーション結果であって、図5AのモデルA1,図5BのモデルA2及び図5CのモデルA3に対応したグラフである。グラフの横軸は、電流路12の幅であり、中心からの距離(左右それぞれ10(mm))を示しており、グラフの縦軸は、電流路12上における磁束密度を示している。なお、図中のP1は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(Hz)と、想定される最低周波数の場合の最低周波数磁束密度を示し、図中のP2は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(kHz)と、想定される最高周波数の場合の最高周波数磁束密度を示している。
また、比較のため、電流路12に穴部12aが無い従来の構成についてもシミュレーションを行った。図16は、本発明の第1実施形態の電流センサ101と比較した図であって、図16Aは、シミュレーションに用いた比較例のモデルD101の図であって、図16Bは、モデルD101のシミュレーション結果のグラフである。なお、比較例のモデルD101について、電流路D12の長さを100(mm)、厚みH1を4(mm)、幅H2を20(mm)と、同じサイズにした。
その結果、図16Bのような被測定電流の低周波数と高周波数との違いで磁束密度が大きく差が生じる場合と比較して、図7に示すように、穴部12aが設けられている近傍で、被測定電流の低周波数と高周波数との違いによる磁束密度の差、つまり最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2との差が小さくなっていた。これは、図6に示すように、穴部12aを設けたことにより、電流路12の周囲の磁場MFに変化が見られたためと考えられる。したがって、被測定電流の流れる向きに沿って長い穴部12aを設けることにより、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とを近づけて、より一致させることができる。
このことにより、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが略一致する電流路12上の位置に、磁電変換素子13が配設されるのが好適である。例えば、図7に示すように、モデルA1の場合は、電流路12の第1分流路12s上で、中心からの距離が約9(mm)の位置に磁電変換素子13を配設するのが望ましく、モデルA2の場合は、電流路12の第1分流路12s上で、中心からの距離が約8(mm)の位置に磁電変換素子13を配設するのが望ましく、モデルA3の場合は、電流路12上(穴部12a上)で、中心からの距離が約6(mm)の位置に磁電変換素子13を配設するのが望ましい。このように、本発明の電流センサ101は、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、磁電変換素子13を配設することができるので、被測定電流の周波数が変化しても精度良く電流値を測定することができる。
一方、従来例の電流測定装置900では、電流感度の低下を抑えるために、図16Bに示す最高周波数磁束密度P2のピーク(図16BのR部分)の位置(中心からの距離が約9(mm)の位置)に、磁気センサ910を設けるとしているので、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2との差が大きいものとなっている。このため、周波数の違う被測定電流を用いた他の機器に適用する場合や同じ機器であっても周波数が状態によって変化する場合、電流測定装置900で測定する電流感度が大きく違い、正確な測定精度が得られなくなる。
また、図7に示す結果から、穴部12aの配設位置を変えることにより、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置を変えることができる。これにより、磁電変換素子13の配設位置を任意に設定することもできる。また、図示していないが、穴部12aの形状、例えば、幅や長さ、或いはコーナーの面形状等を変えることによっても、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置を変えることができ、磁電変換素子13の配設位置を任意に設定することができる。
また、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが略一致する電流路12上の位置に、磁電変換素子13が配設されるのが好適であるが、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが同等となる領域に対応する電流路12上の位置に、磁電変換素子13が配設されても良い。例えば、図7Bに示すように、モデルA2の場合は、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが同等となる領域、つまり中心からの距離が4(mm)から9(mm)の間、好ましくは5(mm)から8(mm)の間に磁電変換素子13を配設しても良い。このように、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが同等となる領域が広くなるように、穴部12aを設けることができる。このことにより、磁電変換素子13をこの領域の範囲内で任意に配設することができるので、例えば車載用途において、電流センサ101を配置できる位置が限られる場合であっても、磁電変換素子13を最良な位置に配設することができる。
また、磁電変換素子13は、図3に示すように、第1分流路12s上で、しかも第1分流路12sの長手方向の中央近傍に配設されているので、第1分流路12sと第2分流路12tとの分岐点や合流点と離れているとともに、穴部12a上の部分ではないため、第1分流路12sの中央近傍は、磁束の向きが第1分流路12sの幅方向に一定している領域になっている。このことにより、磁束の向きと、磁電変換素子13の感度方向とがより一致し、正確に電流値を測定することができる。
以上により、本発明の第1実施形態の電流センサ101は、電流路12には、被測定電流の流れる向きに沿って長い穴部12aが設けられているので、機器(被測定機器)で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度P1と、最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度P2と、を近づけてより一致させることができる。このため、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、磁電変換素子13を配設することができる。このことにより、被測定電流の周波数が変化しても精度良く電流値を測定することができる。
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する分解斜視図である。図9は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する斜視図である。なお、説明を容易にするため、絶縁基板19を省略している。図10は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する構成図であって、図9に示すZ1側から見た上面図である。図11は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する構成図であって、図10に示すXI−XI線における断面図である。また、第2実施形態の電流センサ102は、第1実施形態に対し、電流路22の形状が異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第2実施形態の電流センサ102は、図8ないし図11に示すように、扁平形状の電流路22と、電流路22上に配設される磁電変換素子13と、を備えて構成されている。他に、電流センサ102には、電流路22と対向して配設された絶縁基板19や、図示はしていないが、電流センサ102への電力の供給や電流センサ102からの信号取り出しのために、外部制御機器と接続するコネクタが備えられている。
電流路22は、銅(Cu)等の導電性の良い金属製の材質を用い、図8ないし図11に示すように、被測定電流の流れる向き(図8に示すY方向)に沿って長い穴部22aが設けられており、この穴部22aによって2つに分流した第1分流路22sと第2分流路22tが形成されている。また、図示していない機器(被測定機器)の被測定電流路(測定したい電流路)と接続し固定するために、貫通孔22hが電流路22の両端側に設けられている。
また、電流路22は、図8、図9及び図11に示すように、第1分流路22sの厚みが、第2分流路22tの厚みより小さく形成され、図11に示すように、第2分流路22tの厚み方向の中心位置と、第1分流路22sの厚み方向の中心位置とが、一致するように形成されている。
磁電変換素子13は、電流路22に被測定電流が流れたときに発生する磁界を検出する素子であって、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気検出素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子と言う)を用い、図11に示すように、磁気センサパッケージ14内にパッケージングされている。また、磁気センサパッケージ14は、図11に示すように、リード端子14rにより、回路基板である絶縁基板19にはんだ付けされて、図9及び図10に示すように、電流路22上で、穴部22aと第1分流路22sとにまたがって配設されているとともに、第1分流路22sの長手方向の中央近傍になる位置に配設されている。そして、磁電変換素子13の感度方向が図10に示すX方向になるように配設されている。
以上のように構成された電流センサ102について、周波数の違う被測定電流が流れた場合の磁場の変化に関して、有限要素法解析システムを用いた磁場解析を行った。図12は、本発明の第2実施形態の電流センサ102のシミュレーションに用いたモデルの電流路22の断面図であって、図12Aは、モデルB1であり、図12Bは、モデルB2であり、図12Cは、比較のため、第1実施形態で説明したモデルA2である。また、このシミュレーションに用いた数値は、電流路22の長さを100(mm)、幅(W1+W2+W3)を20(mm)、厚みを4(mm)とし、第1分流路22sの幅W1を5(mm)とし、第2分流路22tの厚みD2を4(mm)、幅W2を10(mm)とし、穴部22aの長さを60(mm)、幅W3を5(mm)として、全てのモデルについて同じにした。一方、モデルB1について、第1分流路22sの厚みD1を1(mm)とし、モデルB2について、第1分流路22sの厚みD1を2(mm)として、可変させた。モデルA2は、第1分流路22sの厚みD1が4(mm)である。なお、図8ないし図11に示す電流センサ102は、このモデルB2を具現化したものである。
また、図13は、本発明の第2実施形態の電流センサ102のシミュレーション結果であって、図13AのモデルB1,図13BのモデルB2,図13CのモデルA2に対応したグラフである。グラフの横軸は、電流路22の幅であり、中心からの距離(左右それぞれ10(mm))を示しており、グラフの縦軸は、電流路22上における磁束密度を示している。なお、図中のP1は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(Hz)と、想定される最低周波数の場合の最低周波数磁束密度を示し、図中のP2は、機器(被測定機器)で用いられる被測定電流の周波数が10(kHz)と、想定される最高周波数の場合の最高周波数磁束密度を示している。
その結果、図16Bのような被測定電流の低周波数と高周波数との違いで磁束密度が大きく差が生じる場合と比較して、図13に示すように、穴部22aが設けられている近傍で、被測定電流の低周波数と高周波数との違いによる磁束密度の差、つまり最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2との差が小さくなっていた。これは、穴部22aを設けたことにより、電流路22の周囲の磁場に変化が見られたためと考えられる。したがって、被測定電流の流れる向きに沿って長い穴部22aを設けることにより、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とを近づけて、より一致させることができる。
このことにより、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが略一致する電流路22上の位置に、磁電変換素子13が配設されるのが好適である。例えば、図13に示すように、モデルB1の場合は、電流路22の穴部22a上で、中心からの距離が約4(mm)の位置に磁電変換素子13を配設するのが望ましく、モデルB2の場合は、電流路22上で、穴部22aと第1分流路22sとにまたがった、中心からの距離が約5(mm)の位置に磁電変換素子13を配設するのが望ましく、モデルA2の場合は、前述したが、電流路12の第1分流路12s上で、中心からの距離が約8(mm)の位置に磁電変換素子13を配設するのが望ましい。このように、本発明の電流センサ102は、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、磁電変換素子13を配設することができるので、被測定電流の周波数が変化しても精度良く電流値を測定することができる。
また、図13に示すように、第1分流路22sの厚みを小さくすることにより、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが略一致する位置が、電流路22の中央側に移動している。これは、第2分流路22tの厚みより第1分流路22sの厚みが小さいことから、第1分流路22s上の最低周波数磁束密度P1が低くなるとともに、表皮効果の影響が低減して第1分流路22s上の最高周波数磁束密度P2のピークが第1分流路22sの外側から穴部22a側へスライド移動するためと考える。以上により、第1分流路22sの厚みを小さくすることで、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが略一致する位置を、電流路22の中央側に移動させることができる。このため、絶縁基板19が電流路22から大きくはみ出すことを防止できる。
また、上述する効果が存在することによって、次のような課題が解決できる。先ず、電流路22の中央側に磁電変換素子13を配設することができるので、従来例のように被測定導体(電流路)901の外側に磁気センサ(磁電変換素子)910を配置した場合に、隣り合う電流路等からの外部磁場の影響を受けやすいという課題を解決することができる。また、第1分流路22sの厚みを変化させることで、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが略一致する位置を任意に変えることができるので、例えば車載用途において、電流センサを配置できる位置が限られ、従来例のような電流測定装置900では、磁気センサ(磁電変換素子)910を最良な位置に配設できないという課題を解決することができる。
また、図12に示すモデルでは、第1分流路22sの厚みを2(mm)或いは1(mm)として、シミュレーションを行ったが、被測定電流の周波数に対応して、第1分流路22sの厚みを任意に変えることができる。その際には、第1分流路22sの厚みをD1、第1分流路22sの抵抗率をρ、第1分流路22sの透磁率をμ、被測定電流の周波数をfとした場合に、以下の式を満たすようにするのが好適である。
D1<(2ρ/2πfμ)1/2
例えば、第1分流路22sに銅(Cu)を用い、被測定電流の最高の周波数fが10(kHz)の場合、第1分流路22sの厚みD1は、0.66(mm)未満にし、例えば、第1分流路22sに銅(Cu)を用い、被測定電流の最高の周波数fが100(kHz)の場合、第1分流路22sの厚みD1は、0.21(mm)未満にするのが良い。
これにより、第1分流路22sの厚みが、第1分流路22sに流れる高周波の被測定電流に生じる表皮効果による、表皮深さ未満なので、第1分流路22s上の磁束密度が表皮効果の影響を受けることがない。このことにより、第1分流路22s上の磁束の向きと、磁電変換素子13の感度方向とがより一層一致し、より正確に電流値を測定することができる。
また、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが略一致する電流路22上の位置に、磁電変換素子13が配設されるのが好適であるが、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが同等となる領域に対応する電流路22上の位置に、磁電変換素子13が配設されても良い。例えば、図13Bに示すように、モデルB2の場合は、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが同等となる領域、つまり中心からの距離が2(mm)から8(mm)の間、好ましくは3(mm)から7(mm)の間に磁電変換素子13を配設しても良い。このように、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが同等となる領域が広くなるように、穴部22aを設けることができる。このことにより、磁電変換素子13をこの領域の範囲内で任意に配設することができるので、例えば車載用途において、電流センサ102を配置できる位置が限られる場合であっても、磁電変換素子13を最良な位置に配設することができる。
以上により、本発明の第1実施形態の電流センサ102は、電流路22には、被測定電流の流れる向きに沿って長い穴部22aが設けられているので、機器(被測定機器)で用いられる最低周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度P1と、最高周波数の被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度P2と、を近づけてより一致させることができる。このため、周波数変化に伴う磁束密度の変化が小さい位置に、磁電変換素子13を配設することができる。このことにより、被測定電流の周波数が変化しても精度良く電流値を測定することができる。
また、第1分流路22sの厚みが第2分流路22tの厚みより小さいので、第1分流路22s上の最低周波数磁束密度P1が低くなるとともに、表皮効果の影響が低減することから第1分流路22s上の最高周波数磁束密度P2のピークが第1分流路22sの外側から穴部22a側へスライド移動する。このことにより、第1分流路22sの厚みを小さくすることで、最低周波数磁束密度P1と最高周波数磁束密度P2とが略一致する位置を、電流路22の中央側に移動させることができる。このため、絶縁基板19が電流路22から大きくはみ出すことを防止できる。
また、第1分流路22sの厚みが、第1分流路22sに流れる高周波の被測定電流に生じる表皮効果による、表皮深さ未満なので、第1分流路22s上の磁束密度が表皮効果の影響を受けることがない。このことにより、第1分流路22s上の磁束の向きと、磁電変換素子13の感度方向とがより一層一致し、より正確に電流値を測定することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
図14は、本発明の第1実施形態の電流センサ101の変形例を説明する図であって、図14Aは、変形例1のモデルAC1であり、図14Bは、変形例2のモデルAC2であり、図14Cは、変形例3のモデルAC3である。図15は、本発明の第2実施形態の電流センサ102の変形例を説明する図であって、図15Aは、変形例4の電流センサC104の断面図であり、図15Bは、変形例5の電流センサC105の断面図である。
<変形例1><変形例2><変形例3>
上記第1実施形態では、第1分流路12sの厚みと第2分流路12tの厚みを同じ厚みにしたが、図14に示すモデル図のように、第1分流路C52s、第1分流路C62s及び第1分流路C72sを第2分流路12tの厚みより小さい構成にしても良い。
<変形例4><変形例5>
上記第2実施形態では、磁電変換素子13が、電流路22上で穴部22aと第1分流路22sとにまたがって配設されるように、好適に構成にしたが、図15Aに示すように、磁電変換素子13が、第1分流路22sの短手方向の中央近傍に配設される構成であっても良い。また、第1分流路22sの厚みが小さい際には、図15Bに示すように、磁電変換素子13が、電流路22の穴部22a上に配設される構成であっても良い。
<変形例6>
上記実施形態では、電流路(12、22)に穴部(12a、22a)を一つ設けて、分流路が2つになるように構成したが、穴部(12a、22a)を複数設けて、分流路を3つ以上にする構成でも良い。
<変形例7>
上記実施形態では、磁電変換素子13としてGMR素子を好適に用いたが、磁界を検知できる磁気検出素子であれば良く、MR(Magneto Resistive)素子、AMR(Anisotropic Magneto Resistive)素子、TMR(Tunnel Magneto Resistive)素子、ホール素子等であっても良い。但し、ホール素子等の場合は、GMR素子やMR素子の感度軸と異なるので、使用するホール素子の感度軸に合わせて、パッケージングに工夫が必要である。
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
12、22 電流路
12a、22a 穴部
12s、22s、C52s、C62s、C72s 第1分流路
12t、22t 第2分流路
13 磁電変換素子
101、102、C104、C105 電流センサ
P1 最低周波数磁束密度
P2 最高周波数磁束密度

Claims (4)

  1. 扁平形状の電流路と、前記電流路上に配設され前記電流路に被測定電流が流れたときに発生する磁界を検出する磁電変換素子と、を備え、
    前記電流路が接続される機器の前記被測定電流を測定する電流センサにおいて、
    前記電流路には、前記被測定電流の流れる向きに沿って長い穴部が設けられており、
    前記機器で用いられる最低周波数の前記被測定電流を流した場合における磁束密度である最低周波数磁束密度と、
    前記機器で用いられる最高周波数の前記被測定電流を流した場合における磁束密度である最高周波数磁束密度と、が一致する前記電流路上の位置に、前記磁電変換素子が配設されることを特徴とする電流センサ。
  2. 前記電流路は、前記穴部によって2つに分流した第1分流路と第2分流路を形成し、
    前記磁電変換素子が、前記第1分流路上に配設されるとともに、前記第1分流路の長手方向の中央近傍に配設されることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
  3. 前記第1分流路の厚みは、前記第2分流路の厚みより小さいことを特徴とする請求項2に記載の電流センサ。
  4. 前記第1分流路の厚みをD1、前記第1分流路の抵抗率をρ、前記第1分流路の透磁率をμ、被測定電流の周波数をfとした場合に、
    D1<(2ρ/2πfμ)1/2
    を満たすことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電流センサ。
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