JP2014055379A - 機能性アクリロニトリル系繊維および該繊維を含有する繊維構造物、ならびにその製造方法 - Google Patents

機能性アクリロニトリル系繊維および該繊維を含有する繊維構造物、ならびにその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光触媒を含有させたアクリロニトリル系繊維について多くの提案がなされているが、光触媒作用による繊維の劣化抑制、光触媒の有効利用、光触媒の脱落抑制あるいは製造工程の簡素化などの点において課題を残すものであった。これらの課題を解決することができ、さらに、可視光領域の光に対しても光触媒作用を示すことのできる機能性アクリロニトリル系繊維を提供する。
【解決手段】アクリロニトリル系重合体100重量部に対して、平均粒子径50〜200nmの可視光応答型光触媒微粒子を0.5〜3.0重量部を含有している機能性アクリロニトリル系繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性アクリロニトリル系繊維およびその製造方法に関する。
アクリロニトリル系繊維に酸化チタンなどの光触媒を含有させ、消臭、防汚、抗菌、抗黴などの機能を付与することは従来より行われている。しかし、光触媒作用によって繊維自体が劣化をしてしまうという問題点を有している。
かかる問題点について、特許文献1には、光触媒を0.5〜10重量%含有するアクリロニトリル系重合体を鞘部とし、抗酸化剤を0.1〜10重量%含有するアクリロニトリル系重合体を芯部とする鞘芯構造を有し、鞘部の重合体の比率が1〜50重量%であることを特徴とする消臭性アクリル繊維に関する技術が開示されている。かかる技術は、光触媒を局在化させ、光触媒作用による影響を受ける範囲を限定することで、繊維全体としての物性低下を抑制しようとするものであるが、光触媒作用が発揮されるのは繊維表面のみに限定されてしまう。
光触媒機能の有効利用については、例えば、特許文献2に、多孔質繊維中に光触媒を含有させるという技術が開示されている。この技術によると、繊維の表面積が増え、表層部に存在する金属酸化物が増えるため、光触媒機能を有効に利用することができるように思えるが、紡績加工性(静電気発生)、染色性(発色性)等に難点があり、さらに、表層部の金属酸化物微粒子は、紡績、染色等の工程、あるいは洗濯等で容易に脱落してしまうという問題がある。
特許文献3には、多孔質層と緻密層が交互に配列した多層構造繊維であって、かつ、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子が緻密層に含有されていることを特徴とする機能性繊維に関する技術が開示されている。かかる技術は、緻密層側に光触媒を含有させることによって繊維からの光触媒の脱落を抑制するとともに、隣接する多孔質層に悪臭成分や菌を吸着させ、これを緻密層の光触媒作用で分解させるというものである。該技術は、光触媒の脱落抑制と利用効率の向上を両立させるものであるが、多層構造である上、一方が多孔質層、もう一方が緻密層という複雑な構成であるため、製造工程も複雑となり、コストも高くなってしまう。
特開平10−245721号公報 特開平10−57816号公報 特開2006−104605号公報
以上のように、従来より、光触媒を含有させたアクリロニトリル系繊維について多くの提案がなされているが、光触媒作用による繊維の劣化抑制、光触媒の有効利用、光触媒の脱落抑制あるいは製造工程の簡素化などの点において課題を残すものであった。本発明は、これらの課題を解決することができ、さらに、可視光領域の光に対しても光触媒作用を示すことのできる機能性アクリロニトリル系繊維を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
(1) アクリロニトリル系重合体100重量部に対して、平均粒子径50〜200nmの可視光応答型光触媒微粒子を0.5〜3.0重量部を含有している機能性アクリロニトリル系繊維。
(2) 繊維全体が多孔質構造であり、かつ繊維中に可視光応答型光触媒微粒子が均一に分散していることを特徴とする(1)に記載の機能性アクリロニトリル系繊維。
(3) 比表面積が10〜60m/gであることを特徴とする(2)に記載の機能性アクリロニトリル系繊維。
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の機能性アクリロニトリル系繊維を含有する繊維構造物。
(5) アクリロニトリル系重合体溶液に可視光応答型光触媒微粒子の水分散液を混合して得られた紡糸原液を紡糸することを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の機能性アクリロニトリル系繊維の製造方法。
本発明によれば、繊維の劣化および光触媒の脱落が抑制され、しかも可視光下でも光触媒作用を発揮することができる光触媒含有アクリロニトリル系繊維を簡易な方法により得ることができる。かかる繊維は、衣料用途やインテリア用途などにおいて、優れた消臭性、防汚性、抗菌性、抗黴性などの特性を有する繊維製品を提供することを可能とするものである。
本発明におけるアクリロニトリル系重合体は、その重合組成の40重量%以上をアクリロニトリルとするものであり、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上をアクリロニトリルとするものであることが望ましい。従って、該アクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリル単独重合体のほかに、アクリロニトリルと他のモノマーとの共重合体も採用できる。共重合体における他のモノマーとしては、特に限定はないが、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン;(メタ)アクリル酸エステル(なお(メタ)の表記は、該メタの語の付いたもの及び付かないものの両方を表す);メタリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー及びその塩;(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボン酸基含有モノマー及びその塩;アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明における可視光応答型光触媒微粒子は、紫外線だけでなく可視光線を照射された場合においても、光触媒作用を発揮するものである。これにより本発明の繊維は可視光照射においてもアセトアルデヒド、酢酸、アンモニアなどの悪臭成分に対する消臭性、防汚性、抗菌性、抗黴性などを発現することができる。かかる可視光応答型光触媒微粒子の大きさとしては、平均粒子径が50〜200nm、好ましくは70〜150nmであることが望ましい。平均粒子径が200nmを超える場合には、繊維強度の低下が大きくなるとともに、光触媒微粒子の比表面積が小さくなり、光触媒作用も低下する。また、平均粒子径が50nmに満たない場合には、洗濯などにより光触媒微粒子が繊維から脱落しやすくなる。一方、かかる範囲内の平均粒子径とすることにより、繊維を後述する多孔質構造とした場合においても、孔部分からの光触媒微粒子の脱落を起こりにくくすることができる。
かかる可視光応答型光触媒微粒子としては、TS−S4230(住友化学株式会社製)、ルネキャット(登録商標、東芝マテリアル株式会社製)、iLUMiO(登録商標、住友化学株式会社製)、可視光型光触媒10%ゾル(株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ)などを挙げることができる。
また、本発明の機能性アクリロニトリル系繊維において、可視光応答型光触媒微粒子は、繊維を構成するアクリロニトリル系重合体100重量部に対して、0.5〜3.0重量部、好ましくは1.0〜2.0重量部含有されるようにする。含有量が0.5重量部未満であると十分な光触媒作用が得られず、3.0重量部を超えると繊維強度が低下するほか、繊維製造工程での光触媒微粒子の脱落量が極端に増加してしまい繊維を製造することも容易ではなくなる。
本発明の機能性アクリロニトリル系繊維の内部構造としては、従来技術にあるような芯鞘構造において鞘部に可視光応答型光触媒微粒子を局在化させた状態や、緻密層と多孔質層の多層構造において緻密層部に可視光応答型光触媒微粒子を局在化させた状態などを採ることが可能ではある。しかし、本発明においては、このような複雑な構造でなく、繊維全体が多孔質構造であり、かつ繊維中に可視光応答型光触媒微粒子が均一に分散しているという単純な構造とすることが望ましい。かかる構造にすることで製造が容易になるとともに、光触媒微粒子を局在化させないことにより繊維中に含有させることのできる可視光応答型光触媒微粒子の量を増大させ、また、多孔質構造とすることにより繊維の表層部だけでなく中央部の光触媒微粒子についても効率よく利用できるようになるため、優れた消臭性、防汚性、抗菌性、抗黴性などを得ることができる。
かかる多孔質構造は、従来技術からすれば、紫外光照射による繊維物性の低下や光触媒粒子の脱落が懸念されるものであるが、本発明においては、上述した範囲の平均粒子径を有することで多孔質構造の孔からの光触媒微粒子の脱落を抑制することができ、また、可視光応答型の光触媒微粒子を採用することで、高照度の紫外光の照射を必要とする従来の光触媒を用いた技術と比較し、可視光領域までの波長の光を用いて触媒効果を発揮することができるため、繊維の劣化を抑制することが可能となる。また、繊維の劣化を防ぐことは光触媒微粒子の脱落抑制にも寄与することができる。
本発明の機能性アクリロニトリル系繊維においては、上述のような多孔質構造を有する場合であっても引張強度2.0〜3.5cN/dtexを達成可能である。また、後述するように、光照射後においても照射前の引張強度の90%以上の引張強度を維持することが可能である。さらに、後述する光触媒残存率についても90%以上を達成することが可能である。
また、本発明の機能性アクリロニトリル系繊維において、上述の多孔質構造を採用する場合、その比表面積としては、好ましくは10〜60m/g、より好ましくは15〜60m/g、最も好ましくは40〜60m/gとすることが望ましい。比表面積が60m/gを超える場合、繊維物性が低くなり実用性の乏しいものとなる場合がある。一方、10m/gに満たない場合には、繊維に含まれる光触媒微粒子の一部が十分に利用できない状態になる場合がある。
本発明の機能性アクリロニトリル系繊維を含有する繊維構造物としては、糸、ヤーン(ラップヤーンも含む)、フィラメント、織物、編物、パイル布帛、不織布、紙状物、シート状物、積層体、綿状物(球状や塊状のものを含む)等が挙げられる。具体的な形態としては、肌着、腹巻き、サポーター、手袋、靴下、ストッキング、パジャマ、バスローブ、タオル、マット、ラグ、カーペット、寝具などを挙げることができる。また、該繊維構造物形成にあたっては、本発明の機能性アクリロニトリル系繊維を単独で使用してもよいし、公用されている天然繊維、有機繊維、半合成繊維、合成繊維や、さらには無機繊維、ガラス繊維などを併用することもできる。なお、繊維構造物中に本発明の機能性アクリロニトリル系繊維が占める割合については、該繊維構造物の用途において求められる消臭性、防汚性、抗菌性、抗黴性などの光触媒作用に由来する特性や機械的特性などを満足するよう適宜選択すればよい。
以上に述べてきた本発明の機能性アクリロニトリル系繊維の製造方法としては、アクリロニトリル系重合体を溶媒に溶解させた溶液に可視光応答型光触媒微粒子を混合して紡糸原液とし、これを紡糸することにより繊維を得る方法を挙げることができる。ここで、アクリロニトリル系重合体を溶解させる溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機系溶媒や硝酸、塩化亜鉛水溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶液などの無機塩系溶媒を挙げることができる。
また、可視光応答型光触媒微粒子については、乾燥微粒子として混合するよりも水分散液などの分散液状として混合することが望ましい。分散液状で混合することにより、得られる繊維中において可視光応答型光触媒微粒子が凝集しておらず、均一に分散した状態とすることができるので、繊維強度の低下が抑制され、光触媒作用をより効率的に発現させることができる。
紡糸条件としては、従来公知の紡糸条件を採用することができる。例えば、多孔質構造を有する本発明の機能性アクリロニトリル系繊維をチオシアン酸ナトリウム等の無機塩系溶媒を用いて製造する場合であれば、以下のような方法を採ることができる。まず、上述したアクリロニトリル系重合体を無機塩系溶媒に溶解した後に、可視光応答型光触媒微粒子を直接または水分散液として添加混合した紡糸原液を作製し、ノズルから紡出後、凝固、水洗、延伸の各工程を経て、延伸後の未乾燥繊維の水分率を50〜130重量%、好ましくは60〜120重量%とする。続いて湿熱処理を105℃〜130℃、好ましくは110℃〜125℃で行い、その後湿熱処理温度以下で乾燥することにより多孔質構造を有する本発明の機能性アクリロニトリル系繊維が得られる。
ここで、延伸後の未乾燥繊維の水分率は以下の方法により求められるものである。まず、延伸後の未乾燥繊維を純水中に浸漬した後、遠心加速度1100G(Gは重力加速度を示す)下2分間脱水する。脱水後重量を測定(W3とする)後、該未乾燥繊維を120℃で15分間乾燥して重量を測定(W2とする)し、次式により計算する。
延伸後の未乾燥繊維の水分率(%)=(W3−W2)/W2×100
なお、延伸後の未乾燥繊維の水分率を制御する方法は多数あるが、上記範囲内に制御するには、凝固浴温度としては1℃〜15℃程度、延伸倍率としては7〜15倍程度が望ましい。また、溶媒として有機系溶媒を用いる場合でも上記紡糸条件は同じである。ただし、凝固浴温度については、延伸後の未乾燥繊維の水分率を上記範囲内に制御するために、40℃以上とするのが望ましい。
かかる方法で得られた繊維は多孔質構造を有するが、具体的にはミクロボイドが繊維内部で連結し、表面に連通している構造となっており、繊維内部に存在する可視光応答型光触媒についてもその光触媒作用をより有効に利用できるものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。実施例中の部および百分率は断りのない限り重量基準で示す。
(1)平均粒子径
ELS−Z(大塚電子株式会社製)を用いて、動的光散乱法により平均粒子径の測定を行った。
(2)比表面積
繊維10mgを短繊維状にカットし、島津製作所製MICROMERITICS Auto Pore IVにて水銀圧4.14×10−2〜4.14×10MPaまで評価した。得られる細孔表面積(A1)は繊維間空隙を含むため、次式により繊維間空隙分(A2)を減じたものを繊維の細孔表面積とした。
繊維の細孔表面積=A1−A2
A1:水銀圧4.14×10−2〜4.14×10MPaの細孔表面積
A2:水銀圧4.14×10−2〜1.38MPaの細孔表面積
(3)強度保持率
試料繊維の引張強度をJIS−L−1015「化学繊維ステープル試験方法」に基づき測定する。また、試料繊維に、ブラックライトを光源として使用し、照度300ルクスで1000時間照射したものについても同様に引張強度を測定する。得られた測定値から以下の式によって、強度保持率を算出した。
強度保持率(%)=照射後の引張強度/照射前の引張強度×100
(4)消臭性
試料0.1gを容量1.5Lのフィルムバックに入れ密封し、次いで、20℃、65%RHの空気で調製した、50ppmのアセトアルデヒドガス1.5Lを注入した。これに、蛍光灯を光源として使用し、照度500ルクスで24時間照射後、アセトアルデヒド検知管でフィルムバック内の残留ガス濃度を測定し、次式により消臭率(%)を算出した。
消臭率(%)=[(50―残留ガス濃度)/50]×100
(6)光触媒残存率
試料1gをγ―ブチロラクトン25gに溶解させることで繊維中に含まれる光触媒を分離し、光触媒量(W1)を測定した。一方、洗濯10回処理を行った試料についても同様にして洗濯後の光触媒量(W2)を測定し、次式により残存率を算出した。
光触媒残存率(%)=(W2/W1)×100
なお、洗濯はJIS−L−0213の103法(家庭用洗濯機用)に従い実施した。
[実施例1]
アクリロニトリル90重量%、アクリル酸メチル9重量%、メタアリルスルホン酸ナトリウム1重量%を水系懸濁重合することによってアクリロニトリル系重合体を作成した。アクリロニトリル系重合体を濃度45重量%のチオシアン酸ナトリウム水溶液に、濃度12重量%となるように溶解した後、可視光応答型光触媒微粒子の水分散液であるTS−S4230(住友化学株式会社製)を添加混合し、アクリロニトリル系重合体と可視光応答型光触媒微粒子の重量比が100:3.0である紡糸原液を作成した。該原液を15重量%、+1.5℃のチオシアン酸ナトリウム水溶液中に押出し、次いで水洗し、12倍延伸後115℃×10分間湿熱処理し、110℃の熱風乾燥機で乾燥することで、多孔質構造を有し1dtexである本発明の機能性アクリロニトリル系繊維を作成した。得られた繊維の特性を表1に示す。また、得られた繊維の断面をEDXにより分析したところ、可視光応答型光触媒微粒子が均一に分散していることがわかった。
[実施例2]
可視光応答型光触媒微粒子の水分散液としてiLUMiO(登録商標、住友化学株式会社製)を用いること以外は実施例1と同様にして機能性アクリロニトリル系繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
[実施例3]
115℃×10分間湿熱処理前に120℃×10分間の熱風乾燥を行うことで緻密化すること以外は実施例1と同様にして機能性アクリロニトリル系繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
[実施例4]
アクリロニトリル系重合体と可視光応答型光触媒微粒子の重量比を100:1.0とすること以外は実施例1と同様にして機能性アクリロニトリル系繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
[実施例5]
アクリロニトリル系重合体と可視光応答型光触媒微粒子の重量比を100:0.5とすること以外は実施例1と同様にして機能性アクリロニトリル系繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
[比較例1]
可視光応答型光触媒微粒子の水分散液の代わりに、紫外光応答型の光触媒AMT−600(テイカ株式会社製)の水分散液を用いること以外は実施例1と同様にして機能性アクリロニトリル系繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
[比較例2]
アクリロニトリル系重合体と可視光応答型光触媒微粒子の重量比を100:0.3とすること以外は実施例1と同様にして機能性アクリロニトリル系繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
[比較例3]
アクリロニトリル系重合体と可視光応答型光触媒微粒子の重量比を100:5.0とすること以外は実施例1と同様にして機能性アクリロニトリル系繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
Figure 2014055379
表1に示すように実施例1、2では、可視光応答型光触媒であれば、種類によらず可視光下で光触媒機能を発揮する機能性アクリロニトリル系繊維を得ることができた。また、繊維物性も十分保持できており、繊維構造物への加工が十分可能である。実施例3では緻密化した繊維を得た。かかる製品は90%以上の消臭率を示すものであるが、多孔質構造を有する実施例1および2に比べると若干消臭率が低い結果となった。実施例4では、可視光応答型光触媒微粒子の添加量が実施例3の3分の1となっているが100%の消臭性を示しており、多孔質構造を有することが光触媒機能の発現に有利であることがわかる。実施例5では、光触媒添加量を減少させたが90%以上の消臭性能を有していることがわかる。また、光触媒微粒子添加量が少ないことで繊維物性の低下が少ないことが確認できる。
一方、比較例1では、可視光応答型ではない平均粒子径の小さな光触媒を使用したが、添加量が同等であっても可視光下での性能発揮はほとんど見られない。また、平均粒子径が小さいため、多孔質構造の孔部分からの光触媒微粒子の脱落が起こり、光触媒残存率が低くなったものと思われる。比較例2では光触媒微粒子の添加量を少なくした例であり、繊維物性を損なうことはないものの、実施例に比べ消臭率は低く、光触媒としての性能発揮が大きく低下することが理解される。比較例3では光触媒微粒子の添加量を多くした例であり、光触媒としての機能は発揮しているものの、繊維物性は極端に低下しており実用的な加工を施すことは困難である。

Claims (5)

  1. アクリロニトリル系重合体100重量部に対して、平均粒子径50〜200nmの可視光応答型光触媒微粒子を0.5〜3.0重量部を含有している機能性アクリロニトリル系繊維。
  2. 繊維全体が多孔質構造であり、かつ繊維中に可視光応答型光触媒微粒子が均一に分散していることを特徴とする請求項1に記載の機能性アクリロニトリル系繊維。
  3. 比表面積が10〜60m/gであることを特徴とする請求項2に記載の機能性アクリロニトリル系繊維。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の機能性アクリロニトリル系繊維を含有する繊維構造物。
  5. アクリロニトリル系重合体溶液に可視光応答型光触媒微粒子の水分散液を混合して得られた紡糸原液を紡糸することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の機能性アクリロニトリル系繊維の製造方法。
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