JP2014053192A - アトムプローブ測定装置およびアトムプローブ測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高融点材料の層を含む試料にも適用可能なアトムプローブ測定装置およびアトムプローブ測定方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、アトムプローブ測定装置は、X線を発生させるX線源と、前記X線を試料に照射する光学系とを備える。さらに、前記装置は、前記試料に電圧を印加する電源と、前記試料に前記電圧を印加しつつ前記X線を照射することにより前記試料から蒸発させたイオンを検出する検出器とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】一の実施形態によれば、アトムプローブ測定装置は、X線を発生させるX線源と、前記X線を試料に照射する光学系とを備える。さらに、前記装置は、前記試料に電圧を印加する電源と、前記試料に前記電圧を印加しつつ前記X線を照射することにより前記試料から蒸発させたイオンを検出する検出器とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、アトムプローブ測定装置およびアトムプローブ測定方法に関する。
従来のアトムプローブ測定方法では、例えば、針状に加工した試料に高電圧を印加しつつ、試料の先端にレーザー光を間欠的に照射することで、試料の先端から原子を1個ずつ蒸発させてイオン化させる(これを「電界蒸発」と呼ぶ)。この場合、電界蒸発は、電圧印加による電界誘起や、レーザー光照射による光励起により引き起こされる。そして、従来のアトムプローブ測定方法では、これらのイオンの質量と到達位置を測定することで、電界蒸発前の試料における原子の配置を特定する。この方法によれば、電圧印加による電界蒸発をレーザー光照射により補助しながら引き起こすことで、電圧印加による電界蒸発だけでは分析が困難な半導体試料や絶縁体試料の分析が可能となる。しかしながら、重金属材料のような高融点材料の層を含む試料については、材料の組成の違いによる電界蒸発閾値の変動が大きいため、従来の方法ではいまだその分析が困難である。
高融点材料の層を含む試料にも適用可能なアトムプローブ測定装置およびアトムプローブ測定方法を提供する。
一の実施形態によれば、アトムプローブ測定装置は、X線を発生させるX線源と、前記X線を試料に照射する光学系とを備える。さらに、前記装置は、前記試料に電圧を印加する電源と、前記試料に前記電圧を印加しつつ前記X線を照射することにより前記試料から蒸発させたイオンを検出する検出器とを備える。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のアトムプローブ測定装置の構成を示す概略図である。図1のアトムプローブ測定装置は、X線源1と、第1のミラー2と、第2のミラー3と、第3のミラー4と、試料ホルダー5と、電源6と、検出器7と、制御部8とを備えている。第1〜第3のミラー2〜4を備える光学系は、本開示の光学系の例である。また、第2のミラー3は、第1の光学素子の例であり、第1および第3のミラー2、4は、第2の光学素子の例である。
図1は、第1実施形態のアトムプローブ測定装置の構成を示す概略図である。図1のアトムプローブ測定装置は、X線源1と、第1のミラー2と、第2のミラー3と、第3のミラー4と、試料ホルダー5と、電源6と、検出器7と、制御部8とを備えている。第1〜第3のミラー2〜4を備える光学系は、本開示の光学系の例である。また、第2のミラー3は、第1の光学素子の例であり、第1および第3のミラー2、4は、第2の光学素子の例である。
X線源1から発生したX線は、第1のミラー2の反射面で反射されることで集光され、平行X線となる。X線源1は、特定の波長のX線を発生させる光源でもよいし、白色X線を発生させる光源でもよい。また、前者の場合のX線源1は、X線の波長が可変な構成の光源でもよい。第1のミラー2は例えば、双曲面の反射面を有する多層膜ミラーである。双曲面の反射面には、小さな反射面で良好な集光性能が得られるという利点がある。
第1のミラー2の反射面からのX線は、第2のミラー3の反射面で反射される。第2のミラー3は例えば、平坦面の反射面を有する多層膜ミラーである。また、第2のミラー3は、反射面を振動させることでX線の光路を変化させるためのピエゾ素子を有している。
第2のミラー3の反射面からのX線は、第3のミラー4の反射面で反射されることで集光される。第3のミラー4は例えば、双曲面の反射面を有する多層膜ミラーである。
第3のミラー4の反射面からのX線は、針状に加工され、試料ホルダー5に保持されている試料11の先端11aに照射される。試料11を構成する材料の例としては、シリコンなどの半導体材料や、セラミックなどの絶縁体材料が挙げられる。また、試料11は、重金属材料(例えばタングステン)のような高融点材料の層を含んでいてもよい。試料ホルダー5に保持されている試料11には、電源6から高電圧パルスが印加される。
本実施形態では、電源6からの電圧を試料11に印加しつつ、X線源1からのX線を第1〜第3のミラー2〜4を介して試料11の先端11aに照射する。その結果、矢印Aで示すように、試料11の先端11aから原子が1個ずつ蒸発しイオン化される。そして、検出器7は、試料11から蒸発したイオンを検出する。検出器7は、例えば二次元検出器である。
この際、本実施形態では、第2のミラー3の反射面の振動によりX線の光路を変化させることで、X線を試料11に間欠的に照射する。図1は、この振動により光路がP1とP2との間で変化する様子を模式的に示している。光路P1を通過するX線は試料11に照射され、光路P2を通過するX線は試料11に照射されないため、本実施形態のX線は試料11に間欠的に照射される。これにより、本実施形態では、試料11にパルスX線を照射することが可能となる。
制御部8は、アトムプローブ測定装置の動作を制御する装置であり、例えばコンピュータである。制御部8は例えば、X線源1によるX線の発生タイミング、第2のミラー3を振動させるピエゾ素子の動作、電源6のオン/オフの切り替え、検出器7の検出動作などを制御する。
以上のように、本実施形態では、試料11に照射する光線として、レーザー光ではなくX線を使用する。以下、X線を使用する効果について説明する。
試料11にX線を照射すると、試料11を構成する原子の電子が励起され放出される。この際、X線はレーザー光よりも電子の励起効率が高いため、試料11にX線を照射すると、試料11を構成する原子の外殻電子だけでなく内殻電子も放出させることができる。そのため、X線を使用すると、重金属材料のような高融点材料を構成する原子を蒸発させることも容易となる。よって、本実施形態によれば、アトムプローブ測定装置を、高融点材料の層を含む試料11にも適用することが可能となる。
また、レーザー光を使用する場合には、レーザー光のエネルギーが試料11内の格子の熱振動エネルギーに変換されることで、アトムプローブ測定装置の空間分解能と質量分解能の劣化が生じる。一方、X線を使用する場合には、格子振動の発生を減少させることができるため、アトムプローブ測定装置の空間分解能と質量分解能を向上させることが可能となる。
次に、本実施形態のアトムプローブ測定装置の種々の変形例について説明する。
本実施形態のアトムプローブ測定装置は、集光機能を有するミラー(集光ミラー)として、第1および第3のミラー2、4という2つのミラーを備えている。しかしながら、本実施形態のアトムプローブ測定装置における集光ミラーの個数は、1個でもよいし、3個以上でもよい。また、集光ミラーの反射面の形状は、双曲面以外の形状でもよい。
また、本実施形態の第2のミラー3は、電気エネルギーを振動エネルギーに変換するピエゾ素子により反射面を振動させているが、その他のデバイスにより反射面を振動させてもよい。本実施形態の第2のミラー3は例えば、受光した光の熱エネルギーを振動エネルギーに変換する素子により反射面を振動させてもよい。また、第2のミラー3の反射面の形状は、平坦面以外の形状でもよい。
また、本実施形態では、第1〜第3のミラー2〜4を、第1のミラー2、第2のミラー3、第3のミラー4の順に配置しているが、第1〜第3のミラー2〜4を配置する順番はこれとは別の順番でもよい。例えば、第1〜第3のミラー2〜4は、第1のミラー2、第3のミラー4、第2のミラー3の順に配置してもよい。
また、本実施形態のアトムプローブ測定装置の光学系は、第1〜第3のミラー2〜4を備えているが、その他の光学素子を備えていてもよい。このような光学素子の具体例としては、集光レンズなどのレンズや、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタなどのフィルタや、偏光子や、検光子などが挙げられる。
また、試料11に照射するX線のエネルギーは、どのような値でもよい。ただし、X線のエネルギーが低すぎると、蒸発させることのできる材料が限定されてしまう。一方、X線のエネルギーが高すぎると、X線の吸光効率が低下してしまう。そこで、本実施形態では、多くの材料を蒸発可能としつつ吸光効率を向上させるため、試料11に照射するX線のエネルギーを、1.2〜18.0keVに設定する。ただし、本実施形態では、エネルギーが1.2keVよりも小さいX線や、エネルギーが18.0keVよりも大きいX線も使用可能である。
また、試料11を構成する材料は、どのような材料でもよい。試料11の例としては、重金属材料のような高融点材料の層を含む多層膜試料が挙げられる。この多層膜試料は、高融点材料の層のみを含んでいてもよいし、高融点材料の層と低融点材料の層とを含んでいてもよい。また、高融点材料は、重金属元素を含む単体金属でもよいし、重金属元素を含む合金や化合物でもよい。
また、本実施形態の制御部8は、先に例示した制御のほか、アトムプローブ測定装置の動作に関する様々な制御を行うことが可能である。例えば、本実施形態の制御部8は、第2のミラー3の振動タイミングと、検出器7の検出タイミングとを同期させる制御を行うことが可能である。
また、本実施形態のアトムプローブ測定装置は、例えば、試料11から蒸発したイオンを検出器7により検出して、これらのイオンの質量と到達位置を測定する。これにより、電界蒸発前の試料11における原子の配置を特定することが可能となる。
最後に、第1実施形態の効果について説明する。
以上のように、本実施形態では、アトムプローブ測定の際に、試料11に電圧を印加しつつX線を照射することで、試料11を構成する原子を蒸発させイオン化させる。本実施形態では、X線を使用することで、重金属材料のような高融点材料を構成する原子も容易に蒸発させることができる。よって、本実施形態によれば、アトムプローブ測定を、高融点材料の層を含む試料11にも適用することが可能となる。
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態のアトムプローブ測定装置の構成を示す概略図である。
図2は、第2実施形態のアトムプローブ測定装置の構成を示す概略図である。
本実施形態では、ピエゾ素子が、第2のミラー2ではなく、第3のミラー4に設けられている。よって、本実施形態の第3のミラー4は、ピエゾ素子により反射面を振動させることで、X線の光路を変化させることができる。また、本実施形態の第3のミラー4は、第1実施形態の第3のミラー4と同様に、双曲面の反射面を有しており、X線を反射面で反射させて集光することができる。なお、第3のミラー4の反射面の形状は、双曲面以外の形状でもよい。
本実施形態では、電源6からの電圧を試料11に印加しつつ、X線源1からのX線を第1〜第3のミラー2〜4を介して試料11の先端11aに照射する。その結果、矢印Aで示すように、試料11の先端11aから原子が蒸発しイオン化される。そして、検出器7は、試料11から蒸発したイオンを検出する。
この際、本実施形態では、第3のミラー4の反射面の振動によりX線の光路を変化させることで、X線を試料11に間欠的に照射する。図2は、この振動により光路がP1とP2との間で変化する様子を模式的に示している。光路P1を通過するX線は試料11に照射され、光路P2を通過するX線は試料11に照射されないため、本実施形態のX線は試料11に間欠的に照射される。これにより、本実施形態では、第1実施形態と同様に、試料11にパルスX線を照射することが可能となる。
なお、本実施形態では、第3のミラー4の反射面を振動させる代わりに回転させることで、X線の光路を変化させて、X線を試料11に間欠的に照射してもよい。この場合、第3のミラー4の反射面は、例えば、図2の紙面に垂直な方向に延びる回転軸のまわりを回転させる。
最後に、第2実施形態の効果について説明する。
以上のように、本実施形態では、アトムプローブ測定の際に、試料11に電圧を印加しつつX線を照射することで、試料11を構成する原子を蒸発させイオン化させる。本実施形態では、X線を使用することで、重金属材料のような高融点材料を構成する原子も容易に蒸発させることができる。よって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、アトムプローブ測定を、高融点材料の層を含む試料11にも適用することが可能となる。
なお、第1実施形態では、振動機能を有するレンズと集光機能を有するレンズが別々に設置されているのに対し、第2実施形態では、第3のレンズ4が、振動機能と集光機能の両方を有している。よって、第2実施形態では例えば、第2のレンズ3を使用せずに光学系を構成することも可能である。このように、第2実施形態によれば、振動機能と集光機能の両方を有するレンズを設置することで、光学系を構成する部品の個数を削減することが可能となる。
一方、第1実施形態では、第2のレンズ3が振動機能を有し、第1および第3のレンズ2、4が集光機能を有している。よって、第2のレンズ3は集光機能を有する必要がないため、第2のレンズ3の反射面は平坦面となっている。第2のレンズ3の反射面を平坦面とすることには、例えば、振動によるX線の光路の変化を制御しやすく、X線を試料11に照射するタイミングや照射しないタイミングを高精度に制御しやすくなるという利点がある。なお、第1実施形態の第2のレンズ3の反射面の形状は、光路の変化を制御しやすい形状であれば、平坦面以外の形状でもよい。
以上、第1及び第2実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施することができる。また、これらの実施形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことにより、様々な変形例を得ることもできる。これらの形態や変形例は、発明の範囲や要旨に含まれており、特許請求の範囲及びこれに均等な範囲には、これらの形態や変形例が含まれる。
1:X線源、2:第1のミラー、3:第2のミラー、4:第3のミラー、
5:試料ホルダー、6:電源、7:検出器、8:制御部、11:試料
5:試料ホルダー、6:電源、7:検出器、8:制御部、11:試料
Claims (8)
- X線を発生させるX線源と、
前記X線を試料に照射する光学系と、
前記試料に電圧を印加する電源と、
前記試料に前記電圧を印加しつつ前記X線を照射することにより前記試料から蒸発させたイオンを検出する検出器とを備え、
前記光学系は、前記X線を反射させる反射面を有する第1の光学素子を備え、前記反射面の振動または回転により前記X線の光路を変化させることで、前記X線を前記試料に間欠的に照射する、アトムプローブ測定装置。 - X線を発生させるX線源と、
前記X線を試料に照射する光学系と、
前記試料に電圧を印加する電源と、
前記試料に前記電圧を印加しつつ前記X線を照射することにより前記試料から蒸発させたイオンを検出する検出器と、
を備えるアトムプローブ測定装置。 - 前記光学系は、前記X線を反射させる反射面を有する第1の光学素子を備え、前記反射面の振動または回転により前記X線の光路を変化させることで、前記X線を前記試料に間欠的に照射する、請求項2に記載のアトムプローブ測定装置。
- 前記光学系は、前記X線が集光されるよう前記X線を反射させる反射面を有する第2の光学素子を備える、請求項3に記載のアトムプローブ測定装置。
- 前記第2の光学素子の前記反射面は、双曲面である、請求項4に記載のアトムプローブ測定装置。
- 前記第1の光学素子は、前記X線が集光されるよう前記反射面にて前記X線を反射させる、請求項3に記載のアトムプローブ測定装置。
- 前記第1の光学素子の前記反射面は、双曲面である、請求項6に記載のアトムプローブ測定装置。
- 試料に照射するためのX線を発生させ、
前記試料に電圧を印加しつつ前記X線を照射することにより前記試料からイオンを蒸発させ、
前記試料から蒸発させた前記イオンを検出する、
ことを含むアトムプローブ測定方法。
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