JP2014053130A - 電気デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】高効率発電が可能であり、湾曲可能な電気デバイスを提供する。
【解決手段】デバイス基材1の表面と裏面の双方又はいずれか一方の面に、表面積を広げるための凹凸2,3が施され、その凹凸面にDLC膜に代表される炭素系材料被膜4が成膜された電気デバイス5である。デバイス基材が湾曲可能なフレキシブルなものとした。デバイス基材の凹凸面の表面に金属膜を備え、その金属膜の表面に炭素系材料被膜を成膜した。デバイス基材が導電性を備えたもの又は備えないものである。DLC膜を多層構造にした。多層を異なるDLC原料ガス又は同じDLC原料ガスの膜とした。DLC膜の抵抗率1010〜10-4Ω・cmとした。DLC膜の膜厚0.1〜5μmとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、キャパシタ用電極、その他の電気デバイスに関し、高効率発電が可能であり、折り曲げ、湾曲、変形、筒状への丸め、蛇行等(以下、これらをまとめて「湾曲」という。)可能なフレキシブルであり、デバイス基材の表面に低抵抗アモルファス系炭素膜(DLC膜:Diamond Like Carbon膜)に代表される炭素系材料が成膜されたデバイスに関するものである。
近年のエネルギー需要問題から、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池(二次電池)、短時間充電・大出力が可能な二重層コンデンサをはじめとする各種大容量コンデンサ(以下「キャパシタ」と称す。)等が注目を浴びている。
二次電池には電極が、キャパシタには集電極板やセパレータ等が(以下、これらを「電気デバイス」という。)が使用されている。電気デバイスは低抵抗率であり耐腐食性に優れていることが望まれる。セパレータは耐酸化還元性に優れていることが望まれる。
現在実用化されている多くの集電極板(導電性部材)には金属箔(アルミニウム)が用いられており、その表面に発電を行うための活性炭に代表される炭素系材料が設けられている。金属箔と活性炭との間には接合のためのバインダが設けられている。バインダは電気抵抗の増加に繋がり、放電効率の妨げとなっている。電極は活性炭が用いられていることから湾曲が困難であり、電池本体の形状も集電極板の形状に左右され、任意形状に製作することが難しく、形状によっても抵抗率が異なる。また、キャパシタ設置の都合上、形状を小型化するには集電極板自体を小型化する必要があり、結果として、集電極板の表面積が小さくなって発電効率の低下が懸念される。
電気デバイスを低抵抗率にし、耐腐食性を向上させるために、半導体材料、燃料電池の電極表面に炭素系材料であるDLC膜を成膜することが知られている(特許文献1、2)。セパレータの表面にDLC膜を成膜することも知られている(特許文献3)。導電性酸化物層にDLC膜を成膜した導電性バリアフィルムをキャパシタに使用することも知られている(特許文献4)。
特許文献1〜4はいずれもDLC膜の成膜に関するものであり、電気デバイスを小型化するための方法でも、発電効率を向上させるための方法でもない。
特開2010−24476号公報 特開2009−134988号公報 特開2003−272590号公報 特開2012−20480号公報
本発明は発電効率が良く、任意形状に湾曲可能であり、小型化可能な電気デバイスを提供することにある。
本発明の電気デバイスは、表面積を広げて発電効率を向上させ、デバイス基材の材料、厚さ等を選択して湾曲(円弧状の湾曲、筒状の丸め、蛇行、折り曲げ等を含む)可能とし、樹脂フィルム、金属箔、金属薄片、ゴム片等のデバイス基材の表面にDLC膜に代表される炭素系材料被膜を成膜したものである。
前記デバイス基材はフィルム状、シート状、薄板状等の薄材であり、湾曲可能であり、材質にもよるが、湾曲可能とするためには厚さ0.1mm以下のものが適する。デバイス基材は表裏両面又はいずれか一面に凸部と凹部の双方又はいずれか一方を形成して(凹凸面(粗面を含む)にして)表面積を広くしてある。
前記凹凸はデバイス基材の表面積を広くするためのものであり、台形、三角形、多角形、球形といった任意形状の突起を、デバイス基材の表面の全域(略全域を含む)に格子状、千鳥配列のように規則的に配列したり点在させたりすることも、不規則に点在させたりすることもできる。細長の凸条を表面の全域に一定間隔で規則的に配列したり、不規則に配列したりすることもできる。細長の凸条と細長の凹条(凹溝)を表面の全域に交互に配列することもできる。前記突起のサイズや突出間隔(ピッチ)、細長の凸条や凹条の幅、長さ、凸条と凹条の間隔等、凸条幅、凹条幅、凸条と凹条のピッチ、突起や凸条の高さ、凹条の深さ等は特に制限されないが、凸部の高さは0.01〜5mm、凹部の深さは0.01〜5mm、球状凸部や球状凹部の場合の直径は0.01〜10mm、凸条、凹条の幅は0.01mm〜10mm程度が望ましく、凸部や凸条の高さ、凹条の深さ等はデバイス基材の強度を考慮してデバイス基材の厚さの3倍程度までとするのが望ましい。
本発明の電気デバイスが導電性を備える必要がある場合、デバイス基材は導電性のあるものでも、ないものでもいいが、導電性のないもの、例えば絶縁樹脂製の場合は、その表面に金属膜(例えば、アルミ膜)を設けるとか、樹脂に導電性フィラーを含ませる等して導電性を付与することもできる。
本発明の電気デバイスは、デバイス基材の凹凸面に炭素系材料被膜が成膜されている。炭素系材料被膜はDLC膜とすることができる。DLC膜は多層構造であり、多層が異なるDLC原料ガス又は同じDLC原料ガスの膜とすることもできる。電気デバイスがキャパシタ用の場合は、抵抗率1010〜10-4Ω・cmの低抵抗率が望ましく、DLC膜厚0.1〜5μmが望ましい。
本発明の電気デバイスは、前記のように、表面が凹凸面であるデバイス基材を真空チャンバー内にセットし、当該真空チャンバー内を真空状態で常温〜200℃以下の温度にし、真空チャンバー内のデバイス基材の周辺にプラズマを発生させて当該デバイス基材に負の高電圧パルスを印加し、デバイス基材表面をイオンエッチング処理により洗浄してから、前記真空チャンバー内にDLC原料ガスとボロンを供給し、そのDLC原料ガスとボロンを真空チャンバー内で反応させて合成されるDLCを前記デバイス基材の表層に注入しながら堆積させて、成膜した低抵抗DLC膜である。
低抵抗DLC膜を成膜するにはDLC原料ガスの主原料に炭化水素系のガス又は液体を用いることができる。炭化水素系のガスとしては例えばメタン(CH4)、アセチレン(C22)の単体又は混合ガスを使用することができ、炭化水素系の液体としては例えばトルエン(C78)を用いることができる。
前記低抵抗DLC膜は、窒素とボロンの双方又はいずれか一方を添加して、成膜されるDLC膜の電気抵抗率を制御することができる。ボロンには気体ガス(B(CH33:トリメチルボロン)又は液体(B(C253:トリエチルボロン)又は(B(OCH33:トリメトキシボロン)等を用いることができる。窒素は窒素単体のものが望ましく、気体(ガス)で使用することができる。
前記低抵抗DLC膜は、DLC膜成膜中の真空チャンバー内の処理温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて電気抵抗率を制御することができる。
前記低抵抗DLC膜は、前記処理温度を常温(例えば50℃)〜200℃の範囲(好ましくは100℃以下)で制御し、バイアス電圧を300V〜1.2kVの範囲で制御し、RF出力を100W〜2.5kWの範囲で制御することにより、DLC膜の電気抵抗率を1010〜10-4Ω・cmの範囲で制御することができる。
前期低抵抗DLC膜は、成膜時の真空チャンバー内の合成圧力(雰囲気圧力)を0.1〜10Paとすることができる。
本発明の電気デバイスは次のような効果がある。
(1)デバイス基材を小片化して電気デバイスを小型化し、限られたスペースに設置できるようにしても、デバイス基材の表面が凹凸加工されて表面積が広くなっているため、発電効率が向上する。
(2)デバイス基材が湾曲可能であるため、電池本体やキャパシタの形状が電気デバイスの形状に制約されない。
(3)デバイス基材の表面が炭素系膜(例えば、DLC膜)で被覆されているため耐食性が向上する。
(4)デバイス基材又は炭素系膜(例えば、DLC膜)が導電性を有するため、導電性が要求される分野で広く活用できる。
本発明の電気デバイスはDLC膜を備えているので次のような効果がある。
(1)真空チャンバー内にDLCの原料ガスのみならず、窒素とボロンの双方又はいずれか一方を注入して成膜するので、低抵抗率のDLC膜となり、導通性が向上し、耐食性も向上した電気デバイスとなる。
(2)常温〜200℃の低温領域で成膜したので、デバイス基材の樹脂フィルムが耐熱温度の低い樹脂でも、DLC膜成膜時の真空チャンバー内温度により変形又は損傷しにくくなる。
(3)デバイス基材の表面をイオンエッチング処理により洗浄してからDLC膜を成膜したので、DLC膜がデバイス基材の表面に食い付き易くなり、デバイス基材から剥離しにくくなる。
(4)真空チャンバー内の温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて抵抗率を制御して成膜するので、低抵抗率のDLC膜を成膜し易い。
本発明の電気デバイスの一例であり、(a)は蛇行させた場合の説明図、(b)は筒状に丸めた場合の説明図。 本発明の電気デバイスの一例であって、(a)は表面と裏面に位置をずらして凸部を備えた樹脂フィルムに、DLC膜を成膜した電気デバイスの断面図、(b)は表面と裏面の同じ位置で反対方向に凸部を備えた樹脂フィルムにDLC膜を成膜した電気デバイスの断面図。 本発明の電気デバイスの他例であって、(a)は表面と裏面に位置をずらして凸部を備え、その表面に金属膜を設け、その外側にDLC膜を成膜した電気デバイスの断面図、(b)は表面と裏面の同じ位置で反対方向に凸部を備え、その表面に金属膜を設け、その外側に樹脂フィルムにDLC膜を成膜した電気デバイスの断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は表面に台形の突起を縦横一列に規則的に凸設した平面図、(b)は(a)のX−X断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は円形の凹部を設けた場合の斜視図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は球形の凸部を表裏両面の同じ位置から反対方向へ突設した場合の断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は表面に複数本の細長凸条を平行に配列した状態の平面図、(b)は(a)のX−X線断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は表面に複数本の細長凸条を斜めに平行に配列した状態の平面図、(b)は(a)のX−X線断面図、(c)は複数本の細長凸条を縦に並行に配列した状態の平面図。 (a)は角型の凸部を直角の立ち上がりで突設したデバイス基材の断面図、(b)は台形の凸部の角度説明図。 本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法に用いる装置の一例を示す概略図。 本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法に用いる装置の他例を示す概略図。 (a)〜(c)は本発明におけるDLC膜の成膜方法におけるDLC膜のB/Cボロン供給濃度と抵抗率の関係を示す実験結果であり、(a)はバイアス電圧−320Vのときの説明図、(b)はバイアス電圧−500Vのときの説明図、(c)はバイアス電圧−800Vのときの説明図。
本発明の電気デバイスは、デバイス基材1の表面を凹凸にして表面積を広げて発電効率が向上させ、デバイス基材1の材料、厚さ等を選択して湾曲可能とし、樹脂フィルム、金属箔、金属薄片、ゴム片等のデバイス基材の凹凸面にDLC膜に代表される炭素系材料被膜を成膜して低抵抗率にしたものである。
前記デバイス基材1には金属(アルミニウムのような非鉄金属を含む)、カーボン、樹脂、ゴム等の各種材質製のフィルム、箔、シート、薄板等を使用することができる。デバイス基材1は図1(a)のように蛇行させたり、図1(b)のように筒状に丸めたり、折り曲げたり、その他の形状に湾曲させたり(これらを「湾曲」という。)することのできる材質、厚さであることが必要である。例えば樹脂フィルムの場合は、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ペット(PET)樹脂等であって、厚さ0.1mm以下のものが好ましい。デバイス基材1は材質が可撓性を備えていることにより湾曲可能であってもよく、可撓性はないが薄いことによって湾曲可能であってもよく、可撓性があり且つ薄いために湾曲可能であってもよい。図1(a)のように蛇行させる場合のコーナー半径、図1(b)のように円状状に丸める場合の最も内側の直径は、特に制約されないが、前記コーナー半径は5mm程度、前記直径は100mm程度である。
本発明の電気デバイスを、デバイス基材1が樹脂フィルムの場合を一例として以下に説明する。
図2(a)に示すものは凸部2、凹部(凸部2の間)3が、デバイス基材(樹脂フィルム)1の全域(略全域を含む:以下同じ)に亘って形成されており、表面と裏面で位置をずらして反対側に突設されており、そのデバイス基材1の凹凸面にDLC膜4を成膜したものである。図2(b)に示すものは凸部2と凹部3がデバイス基材1の全域に亘って、表面と裏面の同じ位置に反対側に突設されており、そのデバイス基材1の表面にDLC膜4を成膜したものである。
本発明の電気デバイスの他例として図3(a)に示すものは、凸部2と凹部3が樹脂フィルム1の表面と裏面の全域に位置をずらして突設され、その凹凸面に金属膜6が設けられ、更に、その外面にDLC膜4を成膜したものである。図3(b)に示すものは凸部2と凹部3がデバイス基材1の表面と裏面の同じ位置で反対側に突設され、その凹凸面に金属膜6が設けられ、更にその外面にDLC膜4を成膜したものである。
凸部2と凹部3はデバイス基材1の表面積を広くするためのものであり、その形状は図4(a)、(b)に示すような台形であってもよく、図5(a)〜(c)に示すような半円弧状(半球形)であってもよく、この場合、図5(b)に示すように片面に半球状に窪んだ凹部3であってもよく、図5(c)に示すよう両面に半球状に突出した凸部2であってもよい。その他、三角形、多角形、半円弧状(半球形)といった任意形状であってもよい。それら凸部2、凹部3は樹脂フィルム1の表面全域に図4(a)のように規則的に点在させたり、格子状、千鳥配列状といった規則的な配列にしたり、不規則に点在させたり(図示しない)することもできる。
凸部2、凹部3は図6(a)、(b)に示すような細長の凸条、凹条を横に交互に多数本設けたものであってもよく、図7(a)、(b)のように細長の凸条と凹条を斜めに一定間隔で交互に配列することもできる。これら凸条と凹条は異なる間隔で不規則に配列することもできる。
前記実施形態のいずれにおいても、デバイス基材1からの凸部2の立ち上がり部分7の角度α(図8(a))が直角以下(直角及び鋭角)であると、DLC膜が、その立ち上がり部分7に成膜され難くなるので、できれば、角度αは90度より大きな角度(鈍角)であることが望ましい。凸部2の縦横のサイズや高さ等は適宜設計することができる。凸部2、凹部3による凹凸はデバイス基材1の表面をシボ加工等により微細な凹凸を設けて粗面化したものであってもよい。
DLC膜4の膜厚は0.1〜5μm、膜硬度は800〜4000HV、抵抗率は1010〜10-4Ω・cmの低抵抗率(低抵抗DLC膜)が望ましい。DLC膜4は異なるDLC原料ガス又は同じDLC原料ガスを使用して2回以上に分けて形成して積層構造(多層構造)にすることができる。
(低抵抗DLC膜の成膜例1)
本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法の一例を図9に基づいて説明する。図9は本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法に用いる装置の一例であり、真空チャンバー10、真空ポンプ12、基材取付け部13、RF高周波電源14、上部電極15、DLC原料注入口16、ボロン注入口17、ヒータ18を備えている。
図9の装置を使用して、低抵抗DLC膜を成膜するには、前記基材取付け部13にデバイス基材1をセットする。デバイス基材1は図2〜図7に示すように樹脂フィルムの表面に凸部2、凹部3、凸条2、凹条3を設けたもの、或いは、凹凸面に金属膜4を成膜したものである。デバイス基材1が絶縁性樹脂フィルムの場合は、その背面に電極を貼り付け、印刷、吹付けなどの方法で設けることができる。
前記デバイス基材1をセットしてから、真空チャンバー10内を真空ポンプ12で真空引きして、真空チャンバー10内の圧力を、例えば、10-4Paまで真空状態にする。真空チャンバー10内をヒータ18により加温して、真空チャンバー10内温度を常温(例えば50℃)〜200℃の所望温度まで上昇させる。真空チャンバー10内は後記するRF高周波電源14からRF電極22への高周波(RF)の供給による発熱によっても上昇する。
前記真空状態及び温度環境で、RF高周波電源14から高周波を供給してデバイス基材1の周辺にプラズマ20を発生させることで、デバイス基材1の表面にイオンを発生させ、そのイオンでデバイス基材1の表面をエッチング処理してクリーニング(洗浄)する。デバイス基材1の表面はArガスなどを用いてイオンクリーニングすることもできる。
真空チャンバー10内に、DLC原料注入口16からDLC原料ガスを注入し、ボロン注入口17からボロンを注入して、そのDLC原料ガスとボロン(B)を真空チャンバー10内で反応させて合成されるDLCを前記デバイス基材1(金属膜4がある場合はその金属膜4)の表層に注入しながら堆積させて、低抵抗DLC膜を成膜する。DLC原料ガスの主原料には炭化水素系のガス又は液体を用いることができる。炭化水素系のガスとしては例えばメタン(CH4)、アセチレン(C22)の単体又は混合ガスを使用することができ、炭化水素系の液体としては例えばトルエン(C78)を用いることができる。それら主原料の供給量は、メタン(CH4)の場合は60cc/min、トリメトキシボロン(B(OCH33の場合は最大10cc/minとすることができる。
ボロンには気体ガスのトリメチルボロン(B(CH33又は液体のトリメトキシボロン(B(OCH33、トリエチルボロン(B(C253)等を用いることができる。トリエチルボロンは、ボロンの他に、DLC膜原料の水素、炭素から構成されているため、他の副産物が生成しにくいという利点がある。
本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法では、DLC膜成膜中の真空チャンバー10内の処理温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて電気抵抗率(抵抗率)を制御することができる。DLC膜は通常、1010Ω・cm以上の高絶縁性を有する膜であるが、合成時の温度、バイアス電圧をはじめとする各種電圧、RF出力を変化させることで、前記膜構造の混在比を変化させて電気抵抗率を変えることができる。この場合、前記処理温度を常温〜200℃の範囲、好ましくは100℃以下で制御し、バイアス電圧を300V〜1.2kVの範囲で制御し、RF出力を100W〜2.5kWの範囲で制御することにより、DLC膜の電気抵抗率を1010〜10-4Ω・cmの範囲で調整することができる。この場合の真空チャンバー1内の合成圧力は0.1〜10Paとするのが望ましい。
RF高周波電源14を用いてプラズマを発生させることにより、供給ガスを分解、イオン化することができる。ここで、プラズマの発生に伴って、上部電極15との間で自己バイアスが発生して分解されたイオンがデバイス基材1の凹凸面(金属膜が有る場合はその凹凸面)に堆積してDLC膜が形成される。この時のRF出力は0.8〜2.0kW、バイアス電圧は−530〜−1200Vとすることができる。
DLC膜は2回以上に分けて形成する(積層構造にする)ことができる。この場合、DLC原料ガスとしては異なるものを用いることも、同じものを用いることもできる。例えば、最初のDLC膜はC22(アセチレン)とCH4(メタン)を用いて形成し、2回目のDLC膜はC22とC78(トルエン)を用いて形成する。積層構造とすることにより、少なくとも、ピンホールの発生を防止でき、又、DLC膜中の内部応力も緩和できることから自己崩壊がし難くなる。
(低抵抗DLC膜の成膜例2)
本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法は、図10に示す装置を使用して行うこともできる。この成膜方法は前記実施形態と共通する部分はその実施形態と同様である。図10の装置は、真空チャンバー10、真空ポンプ12、基材取付け部13、RF高周波電源14、RF電極22、DLC原料注入口16、ボロン注入口17、ヒータ18、高圧パルス電源21を備えている。
図10の装置を使用してDLC膜を成膜するには、前記基材取付け部13に、例えば、前記実施形態と同様のデバイス基材をセットする。デバイス基材をセットしてから、真空チャンバー10内を真空ポンプ12で真空引きして真空にし(実施形態1の場合と同程度の真空)、真空チャンバー10内をヒータ18により加温して、真空チャンバー10内温度を常温〜200℃の範囲で上昇させる。この場合もRF高周波電源14からRF電極22への高周波の供給によっても昇温する。
前記真空状態及び温度環境で、RF高周波電源14からRF電極22に高周波を供給してデバイス基材の周辺にプラズマを発生させ、デバイス基材に高電圧パルス電源21から負の高電圧パルスを印加することでデバイス基材の表面をイオンエッチングによりクリーニング(洗浄)する。
基材表面のクリーニングはデバイス基材の表面の洗浄及び付着力向上を目的として行われる。前記デバイス基材表面のクリーニングは、例えば次の条件で行うことができる。
使用ガス:Ar、H2
負パルス電圧:−1〜−15kV
RF出力:50〜1500W
前記クリーニング後に、真空チャンバー10内にDLC原料注入口16からDLC原料ガスを、ボロン注入口17からボロンを供給し、そのDLC原料ガスとボロンを真空チャンバー10内で反応させてイオン化させる。次に高電圧パルス電源21から基材に負のパルス電圧を印加することにより、前記イオンをデバイス基材に引きつけて、デバイス基材の表面にDLCを注入しながら堆積させて低抵抗DLC膜を成膜する。
デバイス基材とDLC膜の付着性を高めるために、低抵抗DLC膜の成膜前に、ミキシング層を形成し、その上に低抵抗DLC膜を成膜することもできる。高電圧パルス電源21により基材に負の高電圧パルスを印加し、電圧を制御して、ガス注入口16から原料ガス(例えば、C、Si)を真空チャンバー10内に注入し、Cラジカルを生成してデバイス基材4の表面にミキシング層を形成してDLCの付着力(密着性)を高める。なお、ここで原料ガスとしてSiイオンを注入すると、Siがプライマーの役割を担うことができる。
ミキシング層の形成は、例えば次の条件で行うことができる。
使用ガス:HMDSO(Si系ガス)、CH4、C22
負パルス電圧:−1〜−15kV
RF出力:50〜1500W
(抵抗率の測定)
本件発明者は、前記低抵抗DLC膜の成膜方法で成膜したDLC膜の抵抗率について測定を行った。この測定は一つのDLC膜の複数の測定ポイントについて数回行った。夫々の測定ポイントについての測定結果を図11(a)〜(c)に示す。いずれの場合も、ボロン(B)にトリエチルボロンを使用した場合である。
図11(a)は真空チャンバー内の合成圧力5Pa(○印)、合成圧力10Pa(△印)、バイアス電圧−320V、−530V、−800Vのときのボロン(B)とカーボン(C)の供給濃度(%)と電気抵抗率の関係を示す。この測定結果から、合成圧力5Paの場合も、合成圧力10Paの場合も、いずれのバイアス電圧の場合も、Bの流量が多くなると電気抵抗率が低下することが判明した。
本発明の電気デバイスは、デバイス基材1の材質、厚さ、寸法、形状、凸部や凸条2、凹部や凹条3の形状、寸法、間隔等も前記説明以外のものであってもよい。
本発明の電気デバイスは、各種電気部品や電気機器のデバイスとしても使用可能である。
1 デバイス基材
2 凸部(凸条)
3 凹部(凹条)
4 DLC膜
5 電気デバイス
6 金属膜
7 凸部の立ち上がり部分
10 真空チャンバー
12 真空ポンプ
13 基材取付け部
14 RF高周波電源
15 上部電極
16 DLC原料注入口
17 ボロン注入口
18 ヒータ
20 プラズマ
21 高周波パルス電源
22 RF電極
本発明は、例えば、キャパシタ用電極、その他の電気デバイスに関し、高効率発電が可能であり、折り曲げ、湾曲、変形、筒状への丸め、蛇行等(以下、これらをまとめて「湾曲」という。)可能なフレキシブルであり、デバイス基材の表面に低抵抗アモルファス系炭素膜(DLC膜:Diamond Like Carbon膜)に代表される炭素系材料が成膜されたデバイスに関するものである。
近年のエネルギー需要問題から、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池(二次電池)、短時間充電・大出力が可能な二重層コンデンサをはじめとする各種大容量コンデンサ(以下「キャパシタ」と称す。)等が注目を浴びている。
二次電池には電極が、キャパシタには集電極板やセパレータ等(以下、これらを「電気デバイス」という。)が使用されている。電気デバイスは低抵抗率であり耐腐食性に優れていることが望まれる。セパレータは耐酸化還元性に優れていることが望まれる。
現在実用化されている多くの集電極板(導電性部材)には金属箔(アルミニウム)が用いられており、その表面に発電を行うための活性炭に代表される炭素系材料が設けられている。金属箔と活性炭との間には接合のためのバインダが設けられている。バインダは電気抵抗の増加に繋がり、放電効率の妨げとなっている。電極は活性炭が用いられていることから湾曲が困難であり、電池本体の形状も集電極板の形状に左右され、任意形状に製作することが難しく、形状によっても抵抗率が異なる。また、キャパシタ設置の都合上、形状を小型化するには集電極板自体を小型化する必要があり、結果として、集電極板の表面積が小さくなって発電効率の低下が懸念される。
電気デバイスを低抵抗率にし、耐腐食性を向上させるために、半導体材料、燃料電池の電極表面に炭素系材料であるDLC膜を成膜することが知られている(特許文献1、2)。セパレータの表面にDLC膜を成膜することも知られている(特許文献3)。導電性酸化物層にDLC膜を成膜した導電性バリアフィルムをキャパシタに使用することも知られている(特許文献4)。
特許文献1〜4はいずれもDLC膜の成膜に関するものであり、電気デバイスを小型化するための方法でも、発電効率を向上させるための方法でもない。
特開2010−24476号公報 特開2009−134988号公報 特開2003−272590号公報 特開2012−20480号公報
本発明は発電効率が良く、任意形状に湾曲可能であり、小型化可能な電気デバイスを提供することにある。
本発明の電気デバイスは、表面積を広げて発電効率を向上させ、デバイス基材の材料、厚さ等を選択して湾曲(円弧状の湾曲、筒状の丸め、蛇行、折り曲げ等を含む)可能とし、樹脂フィルム、金属箔、金属薄片、ゴム片等のデバイス基材の表面にDLC膜に代表される炭素系材料被膜を成膜したものである。
前記デバイス基材はフィルム状、シート状、薄板状等の薄材であり、湾曲可能であり、材質にもよるが、湾曲可能とするためには厚さ0.1mm以下のものが適する。デバイス基材は表裏両面又はいずれか一面に凸部と凹部の双方又はいずれか一方を形成して(凹凸面(粗面を含む)にして)表面積を広くしてある。
前記凹凸はデバイス基材の表面積を広くするためのものであり、台形、三角形、多角形、球形といった任意形状の突起を、デバイス基材の表面の全域(略全域を含む)に格子状、千鳥配列のように規則的に配列したり点在させたりすることも、不規則に点在させたりすることもできる。細長の凸条を表面の全域に一定間隔で規則的に配列したり、不規則に配列したりすることもできる。細長の凸条と細長の凹条(凹溝)を表面の全域に交互に配列することもできる。前記突起のサイズや突出間隔(ピッチ)、細長の凸条や凹条の幅、長さ、凸条と凹条の間隔等、凸条幅、凹条幅、凸条と凹条のピッチ、突起や凸条の高さ、凹条の深さ等は特に制限されないが、凸部の高さは0.01〜5mm、凹部の深さは0.01〜5mm、球状凸部や球状凹部の場合の直径は0.01〜10mm、凸条、凹条の幅は0.01mm〜10mm程度が望ましく、凸部や凸条の高さ、凹条の深さ等はデバイス基材の強度を考慮してデバイス基材の厚さの3倍程度までとするのが望ましい。
本発明の電気デバイスが導電性を備える必要がある場合、デバイス基材は導電性のあるものでも、ないものでもいいが、導電性のないもの、例えば絶縁樹脂製の場合は、その表面に金属膜(例えば、アルミ膜)を設けるとか、樹脂に導電性フィラーを含ませる等して導電性を付与することもできる。
本発明の電気デバイスは、デバイス基材の凹凸面に炭素系材料被膜が成膜されている。炭素系材料被膜はDLC膜とすることができる。DLC膜は多層構造であり、多層が異なるDLC原料ガス又は同じDLC原料ガスの膜とすることもできる。電気デバイスがキャパシタ用の場合は、抵抗率1010〜10-4Ω・cmの低抵抗率が望ましく、DLC膜厚0.1〜5μmが望ましい。
本発明の電気デバイスは、前記のように、表面が凹凸面であるデバイス基材を真空チャンバー内にセットし、当該真空チャンバー内を真空状態で常温〜200℃以下の温度にし、真空チャンバー内のデバイス基材の周辺にプラズマを発生させて当該デバイス基材に負の高電圧パルスを印加し、デバイス基材表面をイオンエッチング処理により洗浄してから、前記真空チャンバー内にDLC原料ガスとボロンを供給し、そのDLC原料ガスとボロンを真空チャンバー内で反応させて合成されるDLCを前記デバイス基材の表層に注入しながら堆積させて、成膜した低抵抗DLC膜である。
低抵抗DLC膜を成膜するにはDLC原料ガスの主原料に炭化水素系のガス又は液体を用いることができる。炭化水素系のガスとしては例えばメタン(CH4)、アセチレン(C22)の単体又は混合ガスを使用することができ、炭化水素系の液体としては例えばトルエン(C78)を用いることができる。
前記低抵抗DLC膜は、窒素とボロンの双方又はいずれか一方を添加して、成膜されるDLC膜の電気抵抗率を制御することができる。ボロンには気体ガス(B(CH33:トリメチルボロン)又は液体(B(C253:トリエチルボロン)又は(B(OCH33:トリメトキシボロン)等を用いることができる。窒素は窒素単体のものが望ましく、気体(ガス)で使用することができる。
前記低抵抗DLC膜は、DLC膜成膜中の真空チャンバー内の処理温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて電気抵抗率を制御することができる。
前記低抵抗DLC膜は、前記処理温度を常温(例えば50℃)〜200℃の範囲(好ましくは100℃以下)で制御し、バイアス電圧を300V〜1.2kVの範囲で制御し、RF出力を100W〜2.5kWの範囲で制御することにより、DLC膜の電気抵抗率を1010〜10-4Ω・cmの範囲で制御することができる。
前期低抵抗DLC膜は、成膜時の真空チャンバー内の合成圧力(雰囲気圧力)を0.1〜10Paとすることができる。
本発明の電気デバイスは次のような効果がある。
(1)デバイス基材を小片化して電気デバイスを小型化し、限られたスペースに設置できるようにしても、デバイス基材の表面が凹凸加工されて表面積が広くなっているため、発電効率が向上する。
(2)デバイス基材が湾曲可能であるため、電池本体やキャパシタの形状が電気デバイスの形状に制約されない。
(3)デバイス基材の表面が炭素系膜(例えば、DLC膜)で被覆されているため耐食性が向上する。
(4)デバイス基材又は炭素系膜(例えば、DLC膜)が導電性を有するため、導電性が要求される分野で広く活用できる。
本発明の電気デバイスはDLC膜を備えているので次のような効果がある。
(1)真空チャンバー内にDLCの原料ガスのみならず、窒素とボロンの双方又はいずれか一方を注入して成膜するので、低抵抗率のDLC膜となり、導通性が向上し、耐食性も向上した電気デバイスとなる。
(2)常温〜200℃の低温領域で成膜したので、デバイス基材の樹脂フィルムが耐熱温度の低い樹脂でも、DLC膜成膜時の真空チャンバー内温度により変形又は損傷しにくくなる。
(3)デバイス基材の表面をイオンエッチング処理により洗浄してからDLC膜を成膜したので、DLC膜がデバイス基材の表面に食い付き易くなり、デバイス基材から剥離しにくくなる。
(4)真空チャンバー内の温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて抵抗率を制御して成膜するので、低抵抗率のDLC膜を成膜し易い。
本発明の電気デバイスの一例であり、(a)は蛇行させた場合の説明図、(b)は筒状に丸めた場合の説明図。 本発明の電気デバイスの一例であって、(a)は表面と裏面に位置をずらして凸部を備えた樹脂フィルムに、DLC膜を成膜した電気デバイスの断面図、(b)は表面と裏面の同じ位置で反対方向に凸部を備えた樹脂フィルムにDLC膜を成膜した電気デバイスの断面図。 本発明の電気デバイスの他例であって、(a)は表面と裏面に位置をずらして凸部を備え、その表面に金属膜を設け、その外側にDLC膜を成膜した電気デバイスの断面図、(b)は表面と裏面の同じ位置で反対方向に凸部を備え、その表面に金属膜を設け、その外側に樹脂フィルムにDLC膜を成膜した電気デバイスの断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は表面に台形の突起を縦横一列に規則的に凸設した平面図、(b)は(a)のX−X断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は円形の凹部を設けた場合の斜視図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は球形の凸部を表裏両面の同じ位置から反対方向へ突設した場合の断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は表面に複数本の細長凸条を平行に配列した状態の平面図、(b)は(a)のX−X線断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は表面に複数本の細長凸条を斜めに平行に配列した状態の平面図、(b)は(a)のX−X線断面図、(c)は複数本の細長凸条を縦に並行に配列した状態の平面図。 (a)は角型の凸部を直角の立ち上がりで突設したデバイス基材の断面図、(b)は台形の凸部の角度説明図。 本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法に用いる装置の一例を示す概略図。 本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法に用いる装置の他例を示す概略図。 (a)〜(c)は本発明におけるDLC膜の成膜方法におけるDLC膜のB/Cボロン供給濃度と抵抗率の関係を示す実験結果であり、(a)はバイアス電圧−320Vのときの説明図、(b)はバイアス電圧−500Vのときの説明図、(c)はバイアス電圧−800Vのときの説明図。
本発明の電気デバイスは、デバイス基材1の表面を凹凸にして表面積を広げて発電効率が向上させ、デバイス基材1の材料、厚さ等を選択して湾曲可能とし、樹脂フィルム、金属箔、金属薄片、ゴム片等のデバイス基材の凹凸面にDLC膜に代表される炭素系材料被膜を成膜して低抵抗率にしたものである。
前記デバイス基材1には金属(アルミニウムのような非鉄金属を含む)、カーボン、樹脂、ゴム等の各種材質製のフィルム、箔、シート、薄板等を使用することができる。デバイス基材1は図1(a)のように蛇行させたり、図1(b)のように筒状に丸めたり、折り曲げたり、その他の形状に湾曲させたり(これらを「湾曲」という。)することのできる材質、厚さであることが必要である。例えば樹脂フィルムの場合は、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ペット(PET)樹脂等であって、厚さ0.1mm以下のものが好ましい。デバイス基材1は材質が可撓性を備えていることにより湾曲可能であってもよく、可撓性はないが薄いことによって湾曲可能であってもよく、可撓性があり且つ薄いために湾曲可能であってもよい。図1(a)のように蛇行させる場合のコーナー半径、図1(b)のように円状に丸める場合の最も内側の直径は、特に制約されないが、前記コーナー半径は5mm程度、前記直径は100mm程度である。
本発明の電気デバイスを、デバイス基材1が樹脂フィルムの場合を一例として以下に説明する。
図2(a)に示すものは凸部2、凹部(凸部2の間)3が、デバイス基材(樹脂フィルム)1の全域(略全域を含む:以下同じ)に亘って形成されており、表面と裏面で位置をずらして反対側に突設されており、そのデバイス基材1の凹凸面にDLC膜4を成膜したものである。図2(b)に示すものは凸部2と凹部3がデバイス基材1の全域に亘って、表面と裏面の同じ位置に反対側に突設されており、そのデバイス基材1の表面にDLC膜4を成膜したものである。
本発明の電気デバイスの他例として図3(a)に示すものは、凸部2と凹部3が樹脂フィルム1の表面と裏面の全域に位置をずらして突設され、その凹凸面に金属膜6が設けられ、更に、その外面にDLC膜4を成膜したものである。図3(b)に示すものは凸部2と凹部3がデバイス基材1の表面と裏面の同じ位置で反対側に突設され、その凹凸面に金属膜6が設けられ、更にその外面にDLC膜4を成膜したものである。
凸部2と凹部3はデバイス基材1の表面積を広くするためのものであり、その形状は図4(a)、(b)に示すような台形であってもよく、図5(a)〜(c)に示すような半円弧状(半球形)であってもよく、この場合、図5(b)に示すように片面に半球状に窪んだ凹部3であってもよく、図5(c)に示すよう両面に半球状に突出した凸部2であってもよい。その他、三角形、多角形、半円弧状(半球形)といった任意形状であってもよい。それら凸部2、凹部3は樹脂フィルム1の表面全域に図4(a)のように規則的に点在させたり、格子状、千鳥配列状といった規則的な配列にしたり、不規則に点在させたり(図示しない)することもできる。
凸部2、凹部3は図6(a)、(b)に示すような細長の凸条、凹条を横に交互に多数本設けたものであってもよく、図7(a)、(b)のように細長の凸条と凹条を斜めに一定間隔で交互に配列することもできる。これら凸条と凹条は異なる間隔で不規則に配列することもできる。
前記実施形態のいずれにおいても、デバイス基材1からの凸部2の立ち上がり部分7の角度α(図8(a))が直角以下(直角及び鋭角)であると、DLC膜が、その立ち上がり部分7に成膜され難くなるので、できれば、角度αは90度より大きな角度(鈍角)であることが望ましい。凸部2の縦横のサイズや高さ等は適宜設計することができる。凸部2、凹部3による凹凸はデバイス基材1の表面をシボ加工等により微細な凹凸を設けて粗面化したものであってもよい。
DLC膜4の膜厚は0.1〜5μm、膜硬度は800〜4000HV、抵抗率は1010〜10-4Ω・cmの低抵抗率(低抵抗DLC膜)が望ましい。DLC膜4は異なるDLC原料ガス又は同じDLC原料ガスを使用して2回以上に分けて形成して積層構造(多層構造)にすることができる。
(低抵抗DLC膜の成膜例1)
本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法の一例を図9に基づいて説明する。図9は本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法に用いる装置の一例であり、真空チャンバー10、真空ポンプ12、基材取付け部13、RF高周波電源14、上部電極15、DLC原料注入口16、ボロン注入口17、ヒータ18を備えている。
図9の装置を使用して、低抵抗DLC膜を成膜するには、前記基材取付け部13にデバイス基材1をセットする。デバイス基材1は図2〜図7に示すように樹脂フィルムの表面に凸条2、凹条3を設けたもの、或いは、凹凸面に金属膜を成膜したものである。デバイス基材1が絶縁性樹脂フィルムの場合は、その背面に電極を貼り付け、印刷、吹付けなどの方法で設けることができる。
前記デバイス基材1をセットしてから、真空チャンバー10内を真空ポンプ12で真空引きして、真空チャンバー10内の圧力を、例えば、10-4Paまで真空状態にする。真空チャンバー10内をヒータ18により加温して、真空チャンバー10内温度を常温(例えば50℃)〜200℃の所望温度まで上昇させる。真空チャンバー10内は後記するRF高周波電源14からRF電極22への高周波(RF)の供給による発熱によっても上昇する。
前記真空状態及び温度環境で、RF高周波電源14から高周波を供給してデバイス基材1の周辺にプラズマ20を発生させることで、デバイス基材1の表面にイオンを発生させ、そのイオンでデバイス基材1の表面をエッチング処理してクリーニング(洗浄)する。デバイス基材1の表面はArガスなどを用いてイオンクリーニングすることもできる。
真空チャンバー10内に、DLC原料注入口16からDLC原料ガスを注入し、ボロン注入口17からボロンを注入して、そのDLC原料ガスとボロン(B)を真空チャンバー10内で反応させて合成されるDLCを前記デバイス基材1(金属膜がある場合はその金属膜)の表層に注入しながら堆積させて、低抵抗DLC膜を成膜する。DLC原料ガスの主原料には炭化水素系のガス又は液体を用いることができる。炭化水素系のガスとしては例えばメタン(CH4)、アセチレン(C22)の単体又は混合ガスを使用することができ、炭化水素系の液体としては例えばトルエン(C78)を用いることができる。それら主原料の供給量は、メタン(CH4)の場合は60cc/min、トリメトキシボロン(B(OCH33の場合は最大10cc/minとすることができる。
ボロンには気体ガスのトリメチルボロン(B(CH33 又は液体のトリメトキシボロン(B(OCH33 、トリエチルボロン(B(C253)等を用いることができる。トリエチルボロンは、ボロンの他に、DLC膜原料の水素、炭素から構成されているため、他の副産物が生成しにくいという利点がある。
本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法では、DLC膜成膜中の真空チャンバー10内の処理温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて電気抵抗率(抵抗率)を制御することができる。DLC膜は通常、1010Ω・cm以上の高絶縁性を有する膜であるが、合成時の温度、バイアス電圧をはじめとする各種電圧、RF出力を変化させることで、前記膜構造の混在比を変化させて電気抵抗率を変えることができる。この場合、前記処理温度を常温〜200℃の範囲、好ましくは100℃以下で制御し、バイアス電圧を300V〜1.2kVの範囲で制御し、RF出力を100W〜2.5kWの範囲で制御することにより、DLC膜の電気抵抗率を1010〜10-4Ω・cmの範囲で調整することができる。この場合の真空チャンバー1内の合成圧力は0.1〜10Paとするのが望ましい。
RF高周波電源14を用いてプラズマを発生させることにより、供給ガスを分解、イオン化することができる。ここで、プラズマの発生に伴って、上部電極15との間で自己バイアスが発生して分解されたイオンがデバイス基材1の凹凸面(金属膜が有る場合はその凹凸面)に堆積してDLC膜が形成される。この時のRF出力は0.8〜2.0kW、バイアス電圧は−530〜−1200Vとすることができる。
DLC膜は2回以上に分けて形成する(積層構造にする)ことができる。この場合、DLC原料ガスとしては異なるものを用いることも、同じものを用いることもできる。例えば、最初のDLC膜はC22(アセチレン)とCH4(メタン)を用いて形成し、2回目のDLC膜はC22とC78(トルエン)を用いて形成する。積層構造とすることにより、少なくとも、ピンホールの発生を防止でき、又、DLC膜中の内部応力も緩和できることから自己崩壊がし難くなる。
(低抵抗DLC膜の成膜例2)
本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法は、図10に示す装置を使用して行うこともできる。この成膜方法は前記実施形態と共通する部分はその実施形態と同様である。図10の装置は、真空チャンバー10、真空ポンプ12、基材取付け部13、RF高周波電源14、RF電極22、DLC原料注入口16、ボロン注入口17、ヒータ18、高圧パルス電源21を備えている。
図10の装置を使用してDLC膜を成膜するには、前記基材取付け部13に、例えば、前記実施形態と同様のデバイス基材をセットする。デバイス基材をセットしてから、真空チャンバー10内を真空ポンプ12で真空引きして真空にし(実施形態1の場合と同程度の真空)、真空チャンバー10内をヒータ18により加温して、真空チャンバー10内温度を常温〜200℃の範囲で上昇させる。この場合もRF高周波電源14からRF電極22への高周波の供給によっても昇温する。
前記真空状態及び温度環境で、RF高周波電源14からRF電極22に高周波を供給してデバイス基材の周辺にプラズマを発生させ、デバイス基材に高電圧パルス電源21から負の高電圧パルスを印加することでデバイス基材の表面をイオンエッチングによりクリーニング(洗浄)する。
基材表面のクリーニングはデバイス基材の表面の洗浄及び付着力向上を目的として行われる。前記デバイス基材表面のクリーニングは、例えば次の条件で行うことができる。
使用ガス:Ar、H2
負パルス電圧:−1〜−15kV
RF出力:50〜1500W
前記クリーニング後に、真空チャンバー10内にDLC原料注入口16からDLC原料ガスを、ボロン注入口17からボロンを供給し、そのDLC原料ガスとボロンを真空チャンバー10内で反応させてイオン化させる。次に高電圧パルス電源21からデバイス基材に負のパルス電圧を印加することにより、前記イオンをデバイス基材に引きつけて、デバイス基材の表面にDLCを注入しながら堆積させて低抵抗DLC膜を成膜する。
デバイス基材とDLC膜の付着性を高めるために、低抵抗DLC膜の成膜前に、ミキシング層を形成し、その上に低抵抗DLC膜を成膜することもできる。高電圧パルス電源21によりデバイス基材に負の高電圧パルスを印加し、電圧を制御して、ガス注入口16から原料ガス(例えば、C、Si)を真空チャンバー10内に注入し、Cラジカルを生成してデバイス基材の表面にミキシング層を形成してDLCの付着力(密着性)を高める。なお、ここで原料ガスとしてSiイオンを注入すると、Siがプライマーの役割を担うことができる。
ミキシング層の形成は、例えば次の条件で行うことができる。
使用ガス:HMDSO(Si系ガス)、CH4、C22
負パルス電圧:−1〜−15kV
RF出力:50〜1500W
(抵抗率の測定)
本件発明者は、前記低抵抗DLC膜の成膜方法で成膜したDLC膜の抵抗率について測定を行った。この測定は一つのDLC膜の複数の測定ポイントについて数回行った。夫々の測定ポイントについての測定結果を図11(a)〜(c)に示す。いずれの場合も、ボロン(B)にトリエチルボロンを使用した場合である。
図11(a)は真空チャンバー内の合成圧力5Pa(○印)、合成圧力10Pa(△印)、バイアス電圧−320V、−530V、−800Vのときのボロン(B)とカーボン(C)の供給濃度(%)と電気抵抗率の関係を示す。この測定結果から、合成圧力5Paの場合も、合成圧力10Paの場合も、いずれのバイアス電圧の場合も、Bの流量が多くなると電気抵抗率が低下することが判明した。
本発明の電気デバイスは、デバイス基材1の材質、厚さ、寸法、形状、凸部や凸条2、凹部や凹条3の形状、寸法、間隔等も前記説明以外のものであってもよい。
本発明の電気デバイスは、各種電気部品や電気機器のデバイスとしても使用可能である。
1 デバイス基材
2 凸部(凸条)
3 凹部(凹条)
4 DLC膜
5 電気デバイス
6 金属膜
7 凸部の立ち上がり部分
10 真空チャンバー
12 真空ポンプ
13 基材取付け部
14 RF高周波電源
15 上部電極
16 DLC原料注入口
17 ボロン注入口
18 ヒータ
20 プラズマ
21 高周波パルス電源
22 RF電極
本発明は、例えば、キャパシタ用電極、その他の電気デバイスに関し、高効率発電が可能であり、折り曲げ、湾曲、変形、筒状への丸め、蛇行等(以下、これらをまとめて「湾曲」という。)可能なフレキシブルであり、デバイス基材の表面に低抵抗を有するアモルファス系炭素膜(DLC膜:Diamond Like Carbon膜)に代表される炭素系材料が成膜されたデバイスに関するものである。
近年のエネルギー需要問題から、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池(二次電池)、短時間充電・大出力が可能な二重層コンデンサをはじめとする各種大容量コンデンサ(以下「キャパシタ」と称す。)等が注目を浴びている。
二次電池には電極が、キャパシタには集電極板やセパレータ等(以下、これらを「電気デバイス」という。)が使用されている。電気デバイスは低抵抗率であり耐腐食性に優れていることが望まれる。セパレータは耐酸化還元性に優れていることが望まれる。
現在実用化されている多くの集電極板(導電性部材)には金属箔(アルミニウム)が用いられており、その表面に発電を行うための活性炭に代表される炭素系材料が設けられている。金属箔と活性炭との間には接合のためのバインダが設けられている。バインダは電気抵抗の増加に繋がり、放電効率の妨げとなっている。電極は活性炭が用いられていることから湾曲が困難であり、電池本体の形状も集電極板の形状に左右され、任意形状に製作することが難しく、形状によっても抵抗率が異なる。また、キャパシタ設置の都合上、形状を小型化するには集電極板自体を小型化する必要があり、結果として、集電極板の表面積が小さくなって発電効率の低下が懸念される。
電気デバイスを低抵抗率にし、耐腐食性を向上させるために、半導体材料、燃料電池の電極表面に炭素系材料であるDLC膜を成膜することが知られている(特許文献1、2)。セパレータの表面にDLC膜を成膜することも知られている(特許文献3)。導電性酸化物層にDLC膜を成膜した導電性バリアフィルムをキャパシタに使用することも知られている(特許文献4)。
特許文献1〜4はいずれもDLC膜の成膜に関するものであり、電気デバイスを小型化するための方法でも、発電効率を向上させるための方法でもない。
特開2010−24476号公報 特開2009−134988号公報 特開2003−272590号公報 特開2012−20480号公報
本発明は発電効率が良く、任意形状に湾曲可能であり、小型化可能な電気デバイスを提供することにある。
本発明の電気デバイスは、表面積を広げて発電効率を向上させ、デバイス基材の材料、厚さ等を選択して湾曲(円弧状の湾曲、筒状の丸め、蛇行、折り曲げ等を含む)可能とし、樹脂フィルム、金属箔、金属薄片、ゴム片等のデバイス基材の表面にDLC膜に代表される炭素系材料被膜を成膜したものである。
前記デバイス基材はフィルム状、シート状、薄板状等の薄材であり、湾曲可能であり、材質にもよるが、湾曲可能とするためには厚さ0.1mm以下のものが適する。デバイス基材は表裏両面又はいずれか一面に凸部と凹部の双方又はいずれか一方を形成して(凹凸面(粗面を含む)にして)表面積を広くしてある。
前記凹凸はデバイス基材の表面積を広くするためのものであり、台形、三角形、多角形、球形といった任意形状の突起を、デバイス基材の表面の全域(略全域を含む)に格子状、千鳥配列のように規則的に配列したり点在させたりすることも、不規則に点在させたりすることもできる。細長の凸条を表面の全域に一定間隔で規則的に配列したり、不規則に配列したりすることもできる。細長の凸条と細長の凹条(凹溝)を表面の全域に交互に配列することもできる。前記突起のサイズや突出間隔(ピッチ)、細長の凸条や凹条の幅、長さ、凸条と凹条の間隔等、凸条幅、凹条幅、凸条と凹条のピッチ、突起や凸条の高さ、凹条の深さ等は特に制限されないが、凸部の高さは0.01〜5mm、凹部の深さは0.01〜5mm、球状凸部や球状凹部の場合の直径は0.01〜10mm、凸条、凹条の幅は0.01mm〜10mm程度が望ましく、凸部や凸条の高さ、凹条の深さ等はデバイス基材の強度を考慮してデバイス基材の厚さの3倍程度までとするのが望ましい。
本発明の電気デバイスが導電性を備える必要がある場合、デバイス基材は導電性のあるものでも、ないものでもいいが、導電性のないもの、例えば絶縁樹脂製の場合は、その表面に金属膜(例えば、アルミ膜)を設けるとか、樹脂に導電性フィラーを含ませる等して導電性を付与することもできる。
本発明の電気デバイスは、デバイス基材の凹凸面に炭素系材料被膜が成膜されている。炭素系材料被膜はDLC膜とすることができる。DLC膜は多層構造であり、多層が異なるDLC原料ガス又は同じDLC原料ガスの膜とすることもできる。電気デバイスがキャパシタ用の場合は、抵抗率1010〜10-4Ω・cmの低抵抗率が望ましく、DLC膜厚0.1〜5μmが望ましい。
本発明の電気デバイスは、前記のように、表面が凹凸面であるデバイス基材を真空チャンバー内にセットし、当該真空チャンバー内を真空状態で常温〜200℃以下の温度にし、真空チャンバー内のデバイス基材の周辺にプラズマを発生させて当該デバイス基材に負の高電圧パルスを印加し、デバイス基材表面をイオンエッチング処理により洗浄してから、前記真空チャンバー内にDLC原料ガスとボロンを供給し、そのDLC原料ガスとボロンを真空チャンバー内で反応させて合成されるDLCを前記デバイス基材の表層に注入しながら堆積させて、成膜した低抵抗DLC膜である。
低抵抗DLC膜を成膜するにはDLC原料ガスの主原料に炭化水素系のガス又は液体を用いることができる。炭化水素系のガスとしては例えばメタン(CH4)、アセチレン(C22)の単体又は混合ガスを使用することができ、炭化水素系の液体としては例えばトルエン(C78)を用いることができる。
前記低抵抗DLC膜は、窒素とボロンの双方又はいずれか一方を添加して、成膜されるDLC膜の電気抵抗率を制御することができる。ボロンには気体ガス(B(CH33:トリメチルボロン)又は液体(B(C253:トリエチルボロン)又は(B(OCH33:トリメトキシボロン)等を用いることができる。窒素は窒素単体のものが望ましく、気体(ガス)で使用することができる。
前記低抵抗DLC膜は、DLC膜成膜中の真空チャンバー内の処理温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて電気抵抗率を制御することができる。
前記低抵抗DLC膜は、前記処理温度を常温(例えば50℃)〜200℃の範囲(好ましくは100℃以下)で制御し、バイアス電圧を300V〜1.2kVの範囲で制御し、RF出力を100W〜2.5kWの範囲で制御することにより、DLC膜の電気抵抗率を1010〜10-4Ω・cmの範囲で制御することができる。
低抵抗DLC膜は、成膜時の真空チャンバー内の合成圧力(雰囲気圧力)を0.1〜10Paとすることができる。
本発明の電気デバイスは次のような効果がある。
(1)デバイス基材を小片化して電気デバイスを小型化し、限られたスペースに設置できるようにしても、デバイス基材の表面が凹凸加工されて表面積が広くなっているため、発電効率が向上する。
(2)デバイス基材が湾曲可能であるため、電池本体やキャパシタの形状が電気デバイスの形状に制約されない。
(3)デバイス基材の表面が炭素系膜(例えば、DLC膜)で被覆されているため耐食性が向上する。
(4)デバイス基材又は炭素系膜(例えば、DLC膜)が導電性を有するため、導電性が要求される分野で広く活用できる。
本発明の電気デバイスはDLC膜を備えているので次のような効果がある。
(1)真空チャンバー内にDLCの原料ガスのみならず、窒素とボロンの双方又はいずれか一方を注入して成膜するので、低抵抗率のDLC膜となり、導通性が向上し、耐食性も向上した電気デバイスとなる。
(2)常温〜200℃の低温領域で成膜したので、デバイス基材の樹脂フィルムが耐熱温度の低い樹脂でも、DLC膜成膜時の真空チャンバー内温度により変形又は損傷しにくくなる。
(3)デバイス基材の表面をイオンエッチング処理により洗浄してからDLC膜を成膜したので、DLC膜がデバイス基材の表面に食い付き易くなり、デバイス基材から剥離しにくくなる。
(4)真空チャンバー内の温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて抵抗率を制御して成膜するので、低抵抗率のDLC膜を成膜し易い。
本発明の電気デバイスの一例であり、(a)は蛇行させた場合の説明図、(b)は筒状に丸めた場合の説明図。 本発明の電気デバイスの一例であって、(a)は表面と裏面に位置をずらして凸部を備えた樹脂フィルムに、DLC膜を成膜した電気デバイスの断面図、(b)は表面と裏面の同じ位置で反対方向に凸部を備えた樹脂フィルムにDLC膜を成膜した電気デバイスの断面図。 本発明の電気デバイスの他例であって、(a)は表面と裏面に位置をずらして凸部を備え、その表面に金属膜を設け、その外側にDLC膜を成膜した電気デバイスの断面図、(b)は表面と裏面の同じ位置で反対方向に凸部を備え、その表面に金属膜を設け、その外側に樹脂フィルムにDLC膜を成膜した電気デバイスの断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は表面に台形の突起を縦横一列に規則的に凸設した平面図、(b)は(a)のX−X断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は円形の凹部を設けた場合の斜視図、(b)は(a)のX−X断面図、(c)は球形の凸部を表裏両面の同じ位置から反対方向へ突設した場合の断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は表面に複数本の細長凸条を平行に配列した状態の平面図、(b)は(a)のX−X線断面図。 本発明におけるデバイス基材であって、(a)は表面に複数本の細長凸条を斜めに平行に配列した状態の平面図、(b)は(a)のX−X線断面図、(c)は複数本の細長凸条を縦に並行に配列した状態の平面図。 (a)は角型の凸部を直角の立ち上がりで突設したデバイス基材の断面図、(b)は台形の凸部の角度説明図。 本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法に用いる装置の一例を示す概略図。 本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法に用いる装置の他例を示す概略図。 (a)〜(c)は本発明におけるDLC膜の成膜方法におけるDLC膜のB/Cボロン供給濃度と抵抗率の関係を示す実験結果であり、(a)はバイアス電圧−320Vのときの説明図、(b)はバイアス電圧−500Vのときの説明図、(c)はバイアス電圧−800Vのときの説明図。
本発明の電気デバイスは、デバイス基材1の表面を凹凸にして表面積を広げて発電効率が向上させ、デバイス基材1の材料、厚さ等を選択して湾曲可能とし、樹脂フィルム、金属箔、金属薄片、ゴム片等のデバイス基材1の凹凸面にDLC膜に代表される炭素系材料被膜を成膜して低抵抗率にしたものである。
前記デバイス基材1には金属(アルミニウムのような非鉄金属を含む)、カーボン、樹脂、ゴム等の各種材質製のフィルム、箔、シート、薄板等を使用することができる。デバイス基材1は図1(a)のように蛇行させたり、図1(b)のように筒状に丸めたり、折り曲げたり、その他の形状に湾曲させたり(これらを「湾曲」という。)することのできる材質、厚さであることが必要である。例えば樹脂フィルムの場合は、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ペット(PET)樹脂等であって、厚さ0.1mm以下のものが好ましい。デバイス基材1は材質が可撓性を備えていることにより湾曲可能であってもよく、可撓性はないが薄いことによって湾曲可能であってもよく、可撓性があり且つ薄いために湾曲可能であってもよい。図1(a)のように蛇行させる場合のコーナー半径、図1(b)のように円状に丸める場合の最も内側の直径は、特に制約されないが、前記コーナー半径は5mm程度、前記直径は100mm程度である。
本発明の電気デバイスを、デバイス基材1が樹脂フィルムの場合を一例として以下に説明する。
図2(a)に示すものは凸部2、凹部(凸部2の間)3が、デバイス基材(金属又は樹脂フィルム)1の全域(略全域を含む:以下同じ)に亘って形成されており、表面と裏面で位置をずらして反対側に突設されており、そのデバイス基材1の凹凸面にDLC膜4を成膜したものである。図2(b)に示すものは凸部2と凹部3がデバイス基材1の全域に亘って、表面と裏面の同じ位置に反対側に突設されており、そのデバイス基材1の表面にDLC膜4を成膜したものである。
本発明の電気デバイスの他例として図3(a)に示すものは、デバイス基材1が樹脂フィルムの場合であり、凸部2と凹部3が樹脂フィルムの表面と裏面の全域に位置をずらして突設され、その凹凸面に金属膜6が設けられ、更に、その外面にDLC膜4を成膜したものである。図3(b)に示すものは凸部2と凹部3がデバイス基材1の表面と裏面の同じ位置で反対側に突設され、その凹凸面に金属膜6が設けられ、更にその外面にDLC膜4を成膜したものである。
凸部2と凹部3はデバイス基材1の表面積を広くするためのものであり、その形状は図4(a)、(b)に示すような台形であってもよく、図5(a)〜(c)に示すような半円弧状(半球形)であってもよく、この場合、図5(b)に示すように片面に半球状に窪んだ凹部3であってもよく、図5(c)に示すよう両面に半球状に突出した凸部2であってもよい。その他、三角形、多角形、半円弧状(半球形)といった任意形状であってもよい。それら凸部2、凹部3はデバイス基材1の表面全域に図4(a)のように規則的に点在させたり、格子状、千鳥配列状といった規則的な配列にしたり、不規則に点在させたり(図示しない)することもできる。
凸部2、凹部3は図6(a)、(b)に示すような細長の凸条、凹条を横に交互に多数本設けたものであってもよく、図7(a)、(b)のように細長の凸条と凹条を斜めに一定間隔で交互に配列することもできる。これら凸条と凹条は異なる間隔で不規則に配列することもできる。
前記実施形態のいずれにおいても、デバイス基材1からの凸部2の立ち上がり部分又は立ち下り部分(コーナー)7の角度α(図5、b、c、図8a、b)が直角以下(直角及び鋭角)であると、DLC膜が、そのコーナー7に成膜され難くなるので、できれば、角度αは90度より大きな角度(鈍角)であることが望ましい。凸部2の縦横のサイズや高さ等は適宜設計することができる。凸部2、凹部3による凹凸はデバイス基材1の表面をシボ加工等により微細な凹凸を設けて粗面化したものであってもよい。
DLC膜4の膜厚は0.1〜5μm、膜硬度は800〜4000HV、抵抗率は1010〜10-4Ω・cmの低抵抗率(低抵抗DLC膜)が望ましい。DLC膜4は異なるDLC原料ガス又は同じDLC原料ガスを使用して2回以上に分けて形成して積層構造(多層構造)にすることができる。
(低抵抗DLC膜の成膜例1)
本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法の一例を図9に基づいて説明する。図9は本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法に用いる装置の一例であり、真空チャンバー10、真空ポンプ12、基材取付け部13、RF高周波電源14、上部電極15、DLC原料注入口16、ボロン注入口17、ヒータ18を備えている。
図9の装置を使用して、低抵抗DLC膜を成膜するには、前記基材取付け部13にデバイス基材1をセットする。デバイス基材1は図2〜図7に示すように樹脂フィルムの表面に凸条2、凹条3を設けたもの、或いは、凹凸面に金属膜6を成膜したものである。デバイス基材1が絶縁性樹脂フィルムの場合は、その背面に電極を貼り付け、印刷、吹付けなどの方法で設けることができる。
前記デバイス基材1をセットしてから、真空チャンバー10内を真空ポンプ12で真空引きして、真空チャンバー10内の圧力を、例えば、10-4Paまで真空状態にする。真空チャンバー10内をヒータ18により加温して、真空チャンバー10内温度を常温(例えば50℃)〜200℃の所望温度まで上昇させる。真空チャンバー10内は後記するRF高周波電源14からRF電極22への高周波(RF)の供給による発熱によっても上昇する。
前記真空状態及び温度環境で、RF高周波電源14から高周波を供給してデバイス基材1の周辺にプラズマ20を発生させることで、デバイス基材1の表面にイオンを発生させ、そのイオンでデバイス基材1の表面をエッチング処理してクリーニング(洗浄)する。デバイス基材1の表面はArガスなどを用いてイオンクリーニングすることもできる。
真空チャンバー10内に、DLC原料注入口16からDLC原料ガスを注入し、ボロン注入口17からボロンを注入して、そのDLC原料ガスとボロン(B)を真空チャンバー10内で反応させて合成されるDLCを前記デバイス基材1(金属膜6がある場合はその金属膜6)の表層に注入しながら堆積させて、低抵抗DLC膜を成膜する。DLC原料ガスの主原料には炭化水素系のガス又は液体を用いることができる。炭化水素系のガスとしては例えばメタン(CH4)、アセチレン(C22)の単体又は混合ガスを使用することができ、炭化水素系の液体としては例えばトルエン(C78)を用いることができる。それら主原料の供給量は、メタン(CH4)の場合は60cc/min、トリメトキシボロン(B(OCH33の場合は最大10cc/minとすることができる。
ボロンには気体ガスのトリメチルボロン(B(CH33)又は液体のトリメトキシボロン(B(OCH33)、トリエチルボロン(B(C253)等を用いることができる。トリエチルボロンは、ボロンの他に、DLC膜原料の水素、炭素から構成されているため、他の副産物が生成しにくいという利点がある。
本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法では、DLC膜成膜中の真空チャンバー10内の処理温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて電気抵抗率(抵抗率)を制御することができる。DLC膜は通常、1010Ω・cm以上の高絶縁性を有する膜であるが、合成時の温度、バイアス電圧をはじめとする各種電圧、RF出力を変化させることで、前記膜構造の混在比を変化させて電気抵抗率を変えることができる。この場合、前記処理温度を常温〜200℃の範囲、好ましくは100℃以下で制御し、バイアス電圧を300V〜1.2kVの範囲で制御し、RF出力を100W〜2.5kWの範囲で制御することにより、DLC膜の電気抵抗率を1010〜10-4Ω・cmの範囲で調整することができる。この場合の真空チャンバー1内の合成圧力は0.1〜10Paとするのが望ましい。
RF高周波電源14を用いてプラズマを発生させることにより、供給ガスを分解、イオン化することができる。ここで、プラズマの発生に伴って、上部電極15との間で自己バイアスが発生して分解されたイオンがデバイス基材1の凹凸面(金属膜6が有る場合はその凹凸面)に堆積してDLC膜が形成される。この時のRF出力は0.8〜2.0kW、バイアス電圧は−530〜−1200Vとすることができる。
DLC膜は2回以上に分けて形成する(積層構造にする)ことができる。この場合、DLC原料ガスとしては異なるものを用いることも、同じものを用いることもできる。例えば、最初のDLC膜はC22(アセチレン)とCH4(メタン)を用いて形成し、2回目のDLC膜はC22とC78(トルエン)を用いて形成する。積層構造とすることにより、少なくとも、ピンホールの発生を防止でき、又、DLC膜中の内部応力も緩和できることから自己崩壊がし難くなる。
(低抵抗DLC膜の成膜例2)
本発明における低抵抗DLC膜の成膜方法は、図10に示す装置を使用して行うこともできる。この成膜方法は前記実施形態と共通する部分はその実施形態と同様である。図10の装置は、真空チャンバー10、真空ポンプ12、基材取付け部13、RF高周波電源14、RF電極22、DLC原料注入口16、ボロン注入口17、ヒータ18、高圧パルス電源21を備えている。
図10の装置を使用してDLC膜を成膜するには、前記基材取付け部13に、例えば、前記実施形態と同様のデバイス基材1をセットする。デバイス基材1をセットしてから、真空チャンバー10内を真空ポンプ12で真空引きして真空にし(実施形態1の場合と同程度の真空)、真空チャンバー10内をヒータ18により加温して、真空チャンバー10内温度を常温〜200℃の範囲で上昇させる。この場合もRF高周波電源14からRF電極22への高周波の供給によっても昇温する。
前記真空状態及び温度環境で、RF高周波電源14からRF電極22に高周波を供給してデバイス基材1の周辺にプラズマを発生させ、デバイス基材1に高電圧パルス電源21から負の高電圧パルスを印加することでデバイス基材1の表面をイオンエッチングによりクリーニング(洗浄)する。
基材表面のクリーニングはデバイス基材1の表面の洗浄及び付着力向上を目的として行われる。前記デバイス基材表面のクリーニングは、例えば次の条件で行うことができる。
使用ガス:Ar、H2
負パルス電圧:−1〜−15kV
RF出力:50〜1500W
前記クリーニング後に、真空チャンバー10内にDLC原料注入口16からDLC原料ガスを、ボロン注入口17からボロンを供給し、そのDLC原料ガスとボロンを真空チャンバー10内で反応させてイオン化させる。次に高電圧パルス電源21からデバイス基材1に負のパルス電圧を印加することにより、前記イオンをデバイス基材1に引きつけて、デバイス基材1の表面にDLCを注入しながら堆積させて低抵抗DLC膜を成膜する。
デバイス基材1とDLC膜の付着性を高めるために、低抵抗DLC膜の成膜前に、ミキシング層を形成し、その上に低抵抗DLC膜を成膜することもできる。高電圧パルス電源21によりデバイス基材1に負の高電圧パルスを印加し、電圧を制御して、ガス注入口16から原料ガス(例えば、C、Si)を真空チャンバー10内に注入し、Cラジカルを生成してデバイス基材1の表面にミキシング層を形成してDLCの付着力(密着性)を高める。なお、ここで原料ガスとしてSiイオンを注入すると、Siがプライマーの役割を担うことができる。
ミキシング層の形成は、例えば次の条件で行うことができる。
使用ガス:HMDSO(Si系ガス)、CH4、C22
負パルス電圧:−1〜−15kV
RF出力:50〜1500W
(抵抗率の測定)
本件発明者は、前記低抵抗DLC膜の成膜方法で成膜したDLC膜の抵抗率について測定を行った。この測定は一つのDLC膜の複数の測定ポイントについて数回行った。夫々の測定ポイントについての測定結果を図11(a)〜(c)に示す。いずれの場合も、ボロン(B)にトリエチルボロンを使用した場合である。
図11(a)は真空チャンバー内の合成圧力5Pa(○印)、合成圧力10Pa(△印)、バイアス電圧−320V、−530V、−800Vのときのボロン(B)とカーボン(C)の供給濃度(%)と電気抵抗率の関係を示す。この測定結果から、合成圧力5Paの場合も、合成圧力10Paの場合も、いずれのバイアス電圧の場合も、Bの流量が多くなると電気抵抗率が低下することが判明した。
本発明の電気デバイスは、デバイス基材1の材質、厚さ、寸法、形状、凸部や凸条2、凹部や凹条3の形状、寸法、間隔等も前記説明以外のものであってもよい。
本発明の電気デバイスは、各種電気部品や電気機器のデバイスとしても使用可能である。
1 デバイス基材
2 凸部(凸条)
3 凹部(凹条)
4 DLC膜
5 電気デバイス
6 金属膜
7 凸部の立ち上がり部分又は凹部の立ち下り部分(コーナー)
10 真空チャンバー
12 真空ポンプ
13 基材取付け部
14 RF高周波電源
15 上部電極
16 DLC原料注入口
17 ボロン注入口
18 ヒータ
20 プラズマ
21 高周波パルス電源
22 RF電極

Claims (16)

  1. デバイス基材の表面と裏面の双方又はいずれか一方の面に、表面積を広げるための凹凸が施され、その凹凸面にDLC膜に代表される炭素系材料被膜が成膜されたことを特徴とする電気デバイス。
  2. 請求項1記載の電気デバイスにおいて、デバイス基材が湾曲可能なフレキシブルであることを特徴とする電気デバイス。
  3. 請求項1又は請求項2記載の電気デバイスにおいて、
    デバイス基材の凹凸面の表面に金属膜を備え、その金属膜の表面にDLC膜に代表される炭素系材料被膜を備えた特徴とする電気デバイス。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気デバイスにおいて、
    デバイス基材が導電性を備えたもの又は備えないものであることを特徴とする電気デバイス。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電気デバイスにおいて、
    炭素系材料被膜がDLC膜であり、DLC膜が多層構造であり、多層が異なるDLC原料ガス又は同じDLC原料ガスの膜であることを特徴とする電気デバイス。
  6. 請求項1から至請求項5のいずれか1項に記載のDLC膜を備えた電気デバイスにおいて、
    炭素系材料被膜がDLC膜であり、DLC膜の抵抗率1010〜10-4Ω・cmであることを特徴とするDLC膜を備えた電気デバイス。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のDLC膜を備えた電気デバイスにおいて、
    炭素系材料被膜がDLC膜であり、DLC膜の膜厚0.1〜5μmであることを特徴とするDLC膜を備えた電気デバイス。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電気デバイスにおいて、
    炭素系材料被膜がDLC膜であり、DLC膜は、真空チャンバー内に前記デバイス基材をセットし、真空チャンバー内を真空状態で常温〜200℃以下の温度にし、デバイス基材の周辺にプラズマを発生させてデバイス基材に負の高電圧パルスを印加し、デバイス基材表面をイオンエッチング処理により洗浄してから、前記真空チャンバー内にDLC原料ガスとボロンを供給し、そのDLC原料ガスとボロンを真空チャンバー内で反応させて合成されるDLCを前記基材の表層に注入しながら堆積させて成膜した低抵抗DLC膜であることを特徴とする電気デバイス。
  9. 請求項8記載の電気デバイスにおいて、
    DLC膜は、DLC原料ガスの主原料に炭化水素系のガス又は液体が使用され、炭化水素系のガスにメタン(CH4)、アセチレン(C22)の単体又は混合ガスが使用され、炭化水素系の液体にトルエン(C78)が使用されて成膜された低抵抗DLC膜であることを特徴とする電気デバイス。
  10. 請求項8又は請求項9記載の電気デバイスにおいて、
    窒素ガス又はボロンの場合は気体ガス(トリメチルボロン)又は液体(トリエチルボロン)又は(トリメトキシボロン)が用いられた低抵抗DLC膜であることを特徴とする電気デバイス。
  11. 請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の電気デバイスにおいて、
    DLC膜成膜中の真空チャンバー内の処理温度、バイアス電圧とRF出力の双方又はいずれか一方を変化させることにより、DLC膜のダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト構造(SP2結合)の混在比を変化させて、電気抵抗率が制御された低抵抗DLC膜を備えたことを特徴とする電気デバイス。
  12. 請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の電気デバイスにおいて、
    低抵抗DLC膜が、真空チャンバー内の処理温度を常温〜200℃の範囲で制御して成膜されたものであることを特徴とする電気デバイス。
  13. 請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の電気デバイスにおいて、
    低抵抗DLC膜が、バイアス電圧300V〜1.2kVの範囲で制御されて成膜されたものであることを特徴とする電気デバイス。
  14. 請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の電気デバイスにおいて、
    低抵抗DLC膜が、RF出力100W〜2.5kWの範囲で制御されて成膜されたものであることを特徴とする電気デバイス。
  15. 請求項8乃至請求項14のいずれか1項に記載の電気デバイスおいて、
    低抵抗DLC膜が、抵抗率1010〜10-4Ω・cmであることを特徴とする電気デバイス。
  16. 請求項8から請求項15のいずれか1項に記載の電気デバイスにおいて、
    低抵抗DLC膜が、合成圧力0.1〜10Paで成膜されたことを特徴とする電気デバイス。
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