JP2014049629A - 接合方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面の二乗平均平方根粗さが1nm超である粗面接合部同士、又は、該粗面接合部と、表面の二乗平均平方根粗さが1nm以下である平坦接合部を接合する接合方法であって、粗面接合部の表面を加熱下で平坦な表面と接触させ加圧することにより、該接合部表面を平坦化する平坦化工程と、少なくとも一方の接合部表面を活性化処理する活性化処理工程と、常温又は上記平坦化の加熱温度よりも低い温度にて、接合部の表面を相互に接触させて接合する接合工程、を有することを特徴とする。
【選択図】図2
Description
また、研磨により表面を平坦化することにより、接合を行う手法が、特許文献2−6に開示されている。研磨方法としては、CMP(Chemical Mechanical Polishing)が主に用いられている。
また、特許文献8−13には、接合部に平坦な圧子を押しつけることにより接合部を平坦化し、ハンダ付けやボールボンディング特性を向上させる手法が開示されている。
[粗面接合部]
本発明における粗面接合部は、接合される面の二乗平均平方根粗さが1nm超のものである。このような表面粗さの粗面接合部は、接着剤やハンダ等の接着材料を用いない低温度での接合において、十分な接合強度を得るのが困難なものである。
なお、本発明において、「二乗平均平方根粗さ」(平均線から測定高さまでの偏差の二乗を平均した値の平方根)は、原子間力顕微鏡により、3×3μmの範囲を数カ所測定し、うねりおよび傾き成分を除去した上で、算出されたものである(数カ所の測定で粗さなどの数値に大きなばらつきがなければ、そのうちの1カ所のデータにより全体の粗さを代表し、ばらつきが大きい場合は、数カ所のデータを集計して求める。)。本発明で用いた原子間力顕微鏡は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 L-Traceで、「二乗平均平方根粗さ」等の算出機能を有している。
本発明の粗面接合部を形成する軟質金属としては、限定するものではないが、金、銀、銅、アルミニウムが挙げられる。平坦化工程において、加熱により酸化膜が成長すると表面の活性化が困難になるため、大気中で酸化されにくい金を用いることが望ましい。
ガラスとしては、その素材は何ら限定されず、例えば、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなどが挙げられる。
樹脂材料としては、熱可塑性樹脂でも、それ以外(例えば、熱硬化樹脂等の硬化樹脂、架橋樹脂)でも良いが、加熱下での平坦化が容易な熱可塑性樹脂が望ましい。限定するものではないが、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、弗素樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
本発明の粗面接合部は、基板上に形成された接続電極等を構成する金属膜とすることが出来る。このような接続電極は、デバイス製造プロセスにおいて同時に形成することが可能である。また、このとき金属膜は、多数の接続電極等の微細なパターンに形成されることにより、デバイス間の電気的な接続を高密度に実現することが出来る。これは、金属からなる接合部を膜に限るものではない。膜以外にも、バンプや突起形状を接合部として用いることが出来る。
本発明の接合部表面の二乗平均平方根粗さが1nm超の粗面接合部は、加熱下で平坦な表面に接触させ、加圧することにより平坦化される。平坦化処理後の表面は,通常、その二乗平均平方根粗さが処理前よりも小さくなると考えられる。
加熱温度(Tf)の下限は、特に限定するものではないが、60℃以上(好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上)などと設定することができる。
平坦化のための加圧圧力は、大きい方が平坦化の点では望ましいが、デバイスへのダメージ等の品質の低下が生じる場合があるので、平坦化の程度、品質低下の程度等を考慮して適宜に定めることができる。粗面接合部が金属材料からなる場合、加圧力は、1〜10MPa程度、好ましくは2〜7MPa、より好ましくは3〜6MPaとすることができる。
平坦化ツール等の平坦化に用いる部材の平坦な表面は、二乗平均平方根粗さが0.5nm以下であることが望ましい。これにより、平坦化される表面の粗さを接合に必要な平坦さにすることが可能となる。
サファイアは、金など金属の材料との反応性が低く、しかも、単結晶であるため研磨により二乗平均平方根粗さが0.1nm以下の表面を得ることが可能である。そのため、サファイアウェハやサファイア表面は、金など金属の材料の粗面接合部の平坦用ツール乃至平坦化に用いる平坦な表面としてさらに望ましい。
接合される表面は両方を加圧平坦化により平坦化しても良く、また一方のみを加圧平坦化しても良い。一方のみを加圧平坦化する場合には、もう一方の接合部は、二乗平均平方根粗さが1nm以下の平坦な接合用の表面を有するものである。
加圧平坦化を行わない平坦接合部の材料は、限定するものではないが、軟質金属、ガラス、樹脂材料の外、シリコン、シリコンカーバイド等の半導体材料、硬質金属、ダイヤモンド、各種セラミックス等を挙げることが出来る。
加圧平坦化を行わない平坦接合部は、二乗平均平方根粗さが1nm以下の表面を有するように製造されたものでも良いし、製造後、任意の手段で平坦化されたものでも良い。硬質金属、ダイヤモンド、各種セラミックスのように表面硬度や弾性率が高く、加圧平坦化が困難な場合には、CMP等のような研磨による平坦化手段を採用することが望ましい。CMP等のような研磨による平坦化プロセスは、本発明の接合方法の各工程とは別に隔離して予め実施しておくことができるので、本発明の接合方法を実施する上で支障とはならない。
接合工程前に、少なくとも一方の接合部の表面は活性化処理される。活性化処理される接合部の表面は、両方の接合部であることが接合強度を増大させる点で望ましいが、一方であっても全く活性化処理しない場合よりも接合強度を増加させることができる。一方の接合部表面を活性化する場合、平坦化処理された接合部の表面でも、平坦化処理されない平坦接合部の表面のどちらであっても良い。
接合部表面の活性化状態の低減を抑制する条件としては、例えば、活性化状態の低減を抑制する雰囲気下に置くこと、表面活性化処理後、接合部表面の相互接触までの時間を所定の短時間とすること、等が挙げられる。
表面活性化処理後、接合部表面の相互接触までの時間は、接合部材料が、金、プラチナ以外の金属である場合、大気圧雰囲気下で5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは1分以内とすることができる。
両接合部表面の接合は、両表面間に接着剤やハンダ等の接着材料を介在させることなく二つの接合部同士を直接接触させて行う。接合する際の加圧力は、表面に存在するうねりの影響を小さくし、両接合部の接触面積を増大させ、接合強度を増大させる点で望ましいが、大きな加圧力は、比較的大きな残留応力をもたらすので、平坦化の際の加圧力より小さくする(好ましくは平坦化の際の加圧力の2/3以下、より好ましくは1/2以下、さらに好ましくは1/3以下)。両接合部表面において、所定以上の接触面積が得られる場合、加圧力は必ずしも必要ではなく、無加圧(接合材料の自重による加圧力のみ)であっても良い。
本発明の接合プロセスには、加熱加圧による平坦化機構と、表面を活性化するための表面処理機構を有することを特徴とする、接合装置を用いることが出来る。各機構は真空チャンバーと搬送機構により接続されていることが望ましい。
(1)表面の二乗平均平方根粗さが1nm超である粗面接合部同士、又は、該粗面接合部と、表面の二乗平均平方根粗さが1nm以下である平坦接合部を接合する接合方法であって、
該粗面接合部の表面を加熱下で平坦な表面に接触させ加圧することにより、該接合部表面を平坦化する平坦化工程と、
少なくとも一方の接合部表面を活性化処理する活性化処理工程と、
常温又は上記平坦化の加熱温度より低い温度において、接合部の表面を相互に接触させて接合する接合工程、
を有することを特徴とする接合方法。
(2)前記接合部を有する部材と前記平坦な表面を有する部材の少なくとも一方に対し直接又は可撓性シートを介して間接的に流体圧力を負荷することにより加圧する、(1)に記載の接合方法。
(3)前記粗面接合部が金属材料からなり、平坦化の加熱温度Tfは、該金属材料の融点Tmに対し、絶対温度で、
Tf<Tm/2
である、(1)又は(2)に記載の接合方法。
(4)平坦化された接合部の表面は、二乗平均平方根粗さが1nm以下である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の接合方法。
(5)平坦化された接合部表面の40%以上の領域が、高さ方向に2nm以内の範囲にあり、かつその領域の中間高さより1nm以上高い領域が、面積比で5%以下である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の接合方法。
(6)平坦化に用いる平坦な表面は、二乗平均平方根粗さが0.5nm以下である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の接合方法。
(7)平坦化に用いる平坦な表面は、酸化膜を形成したシリコン、アルミナ、炭化ケイ素、グラッシーカーボン、又は、サファイアである(1)〜(6)のいずれか1項に記載の接合方法。
(8)平坦化に用いる平坦な表面を有する部材は、平坦化される材料との剥離性を向上させるための薄膜が形成されたものである、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の接合方法。
(9)上記平坦化される粗面接合部は、基板上に形成された金属膜である、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の接合方法。
(10)平坦化ツール及び粗面接合部を有する部材の少なくとも一方に対し直接又は可撓性シートを介して間接的に流体圧力を負荷し、粗面接合部の表面を平坦化ツールの平坦な表面に接触させ加圧することのできる加圧手段、及び、粗面接合部を加熱する加熱手段を有する平坦化機構と、少なくとも一方の接合部表面を活性化するための表面活性化処理機構を具備することを特徴とする、接合装置。
(11)平坦化される粗面接合部は、加熱により軟化する材料からなる、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の接合方法。
(12)平坦化される粗面接合部は、金属、ガラス、及び、樹脂からなる群から選択される1種、又は、2種以上からなる、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の接合方法。
(13)平坦化される粗面接合部は、金、銀、銅、又は、アルミニウムからなる、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の接合方法。
(14)平坦化される粗面接合部は、パターンに形成されたものである、(1)〜(9)、(11)〜(13)のいずれか1項に記載の接合方法。
(15)平坦化された接合部の表面は、二乗平均平方根粗さが0.3nm以下である、(4)に記載の接合方法。
(16)平坦化された接合部表面の60%以上の領域が、高さ方向に2nm以内の範囲にあり、かつその中間高さより1nm以上高い領域が、面積比で5%以下である、(5)に記載の接合方法。
(17)平坦化された接合部表面の80%以上の領域が、高さ方向に2nm以内の範囲にあり、かつその中間高さより1nm以上高い領域が面積比で5%以下である、(5)又は(16)に記載の接合方法。
(18)平坦化された接合部表面の40%以上の領域が、高さ方向に0.6nm以内の範囲にあり、かつその中間高さより1nm以上高い領域が面積比で5%以下である、(5)に記載の接合方法。
(19)接合時の加圧力は5MPa以下である、(1)〜(9)、(11)〜(18)のいずれか1項に記載の接合方法。
(20)接合時の加圧力は1MPa以下である、(19)に記載の接合方法。
(21)平坦化に用いる平坦な表面は、二乗平均平方根粗さが0.2nm以下である、(6)に記載の接合方法。
(22)平坦化に用いる平坦な表面は、二乗平均平方根粗さが0.1nm以下である、(21)に記載の接合方法。
(23)平坦化に用いる平坦な表面は、ビッカース硬さHvが5GPa以上である、(1)〜(7)、(9)、(11)〜(22)のいずれか1項に記載の接合方法。
(24)活性化処理が、プラズマ、イオンビーム、高エネルギー原子ビームのいずれか1種、又は2種以上を用いるものである、(1)〜(9)、(11)〜(23)のいずれか1項に記載の接合方法。
(25)活性化処理が、不活性ガスのプラズマ、イオンビーム、又は、高エネルギー原子ビームによるスパッタ処理を用いるものである、(1)〜(9)、(11)〜(23)のいずれか1項に記載の接合方法。
(26)活性化処理が、酸素プラズマを用いるものである、(1)〜(9)、(11)〜(23)のいずれか1項に記載の接合方法。
(27)活性化処理後、接合部表面の相互接触までの間、接合部表面を活性化状態の低減を抑制する条件とする、(1)、(24)、(25)、(26)のいずれか1項に記載の接合方法。
(28)接合部表面の活性化状態の低減を抑制する条件が、接合部表面を活性化状態の低減を抑制する雰囲気下に置くことである、(27)に記載の接合方法。
(29)接合部が、金、プラチナ、ガラス、樹脂から選ばれる1種からなり、活性化処理後の接合部表面の活性化状態の低減を抑制する雰囲気が、大気圧雰囲気、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、又は、還元性雰囲気である、(28)に記載の接合方法。
(30)接合部が、金、プラチナ以外の金属からなり、活性化処理後の接合部表面の活性化状態の低減を抑制する雰囲気が、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、又は、還元性雰囲気である、(28)に記載の接合方法。
(31)接合部表面の活性化状態の低減を抑制する条件が、活性化処理後、接合部表面の相互接触までの時間を大気圧雰囲気下5分以内とすることである(27)に記載の接合方法。
(32)不活性ガスによる表面処理後に、真空中にて接合を行う、(25)、(27)、(28)、(30)のいずれか1項に記載の接合方法。
(33)不活性ガスによる表面処理後に、大気中または不活性ガス雰囲気中にて接合を行う、(25)、(27)〜(30)のいずれか1項に記載の接合方法。
(34)平坦化される粗面接合部が金からなり、平坦化に用いる平坦な表面を有する部材がサファイアウェアである、(1)〜(6)、(9)、(14)のいずれか1項に記載の接合方法。
(35)平坦化ツールの平坦な表面は、二乗平均平方根粗さが0.5nm以下である、(10)に記載の接合装置。
(36)平坦化ツールの平坦な表面は、二乗平均平方根粗さが0.3nm以下である、(35)に記載の接合装置。
(37)平坦化ツールの平坦な表面は、酸化膜を形成したシリコン、アルミナ、炭化ケイ素、グラッシーカーボン、又は、サファイアである(10)、(35)、(36)のいずれか1項に記載の接合装置。
(38)平坦化ツールは、サファイアウェアである(10)、(35)、(36)のいずれか1項に記載の接合装置。
(39)平坦化に用いる平坦な表面を有する部材は、平坦化される材料との剥離性を向上させるための薄膜が形成されたものである、(10)、(35)、(36)のいずれか1項に記載の接合装置。
(40)活性化処理機構の活性化処理が、プラズマ、イオンビーム、高エネルギー原子ビームのいずれか1種、又は2種以上を用いるものである、(10)に記載の接合装置。
(41)活性化処理機構の活性化処理が、不活性ガスのプラズマ、イオンビーム、又は、高エネルギー原子ビームによるスパッタ処理を用いるものである、(10)に記載の接合装置。
(42)活性化処理機構の活性化処理が、酸素プラズマを用いるものである、(10)に記載の接合装置。
平坦化を行わない場合の接合に関し、平坦化されていない接合部表面を有する基板1と平坦な表面を有する基板2との接合を図4に、平坦化されていない接合部表面を有する基板1同士の接合を図6にそれぞれ示す。図4,図6のどちらの場合も、接合部のうちで突起部のみが接触するため、全体に占める接触部の割合が非常に小さく、接合が困難となる。このような表面間に良好な接合を形成するためには、加熱や大きな加圧による変形が必要となるため、接合後のデバイスに歪みや熱応力が発生する。
接合される基板としてシリコンウェハ3を用い、接合部にはスパッタ成膜法により厚さ500nmの金の膜12を形成した(図10参照)。シリコンウェハ3と金の膜12の間には、基板と膜の付着力を向上させるため、チタン膜を20nm形成した。シリコンウェハは外形100mmで、厚さ0.4mmのものを使用した。
金の膜の表面は、図8のAFM(原子間力顕微鏡)による観察に示す様な状態であり、その二乗平均平方根粗さは3.0nmであった。また、図9は金膜12表面の高さ分布であり、着色された部分が高さ分布のヒストグラム、左下から右上に伸びる曲線が累積高さ分布を示す。全体の平均高さの位置を、グラフの0nmの位置とした。ヒストグラムからわかるように、-8nmから+6nm程度の範囲にわたって、ほぼ正規分布に近い形で高さが分布している。高さ方向2nm以内の範囲にある領域の割合は、30%程度以下であり、また、その領域の中間高さより1nm以上高い領域は、25%程度以上である。
平坦化工程を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、金の膜を形成したシリコンウェハを別途用意したシリコンウェハに接合した。接合前の金の膜の表面は、実施例1における平坦化処理前と同様のものであり、高さ方向2nm以内の範囲にある領域の割合は、30%程度以下であり、また、その領域の中間高さより1nm以上高い領域は、25%程度以上であると考えられる。接合されたウェハの超音波顕微鏡による観察結果は図14のようになり、非常に欠陥が多い状態であった。さらに、強度試験のためにダイシングソーにより接合ウェハを切断したところ、多くの部分で接合部からの剥離が観察された。剥離しなかったチップに治具を貼り付け引張り試験を試みたが、取扱中に破断してしまい、測定を行ったものでも接合強度は非常に小さかった(表2参照)。
接合時の荷重を40000Nとしたこと以外は、比較例1と同様に、金の膜を形成したシリコンウェハと、別途用意したシリコンウェハを接合した。接合時に負荷された荷重を応力に換算すると、平均で5.1MPaである。接合後のウェハは、図15の超音波顕微鏡による観察結果より、ほぼ全面での接合が確認されたが、平坦化を行った場合にくらべ細かな粒子状のゴミが原因と思われる欠陥の数が多く、また欠陥の平均径も大きかった。ダイシングによる切断では周辺部を除き剥離は見られなかったが、表3に示す様に引張り試験による測定強度は、137N〜357Nの範囲で大きなばらつきが見られ、接合強度も不十分であった。これは、接合が常温で行われたため、荷重を負荷しても接合部での変形が十分ではなく、接合される表面間において結合が形成された領域の比率が少なかったものと考えられる。
実施例1と同様に金の膜を形成し、表面の平坦化プロセスを行ったシリコンウェハを2枚用意し、真空装置中にてアルゴンの高エネルギービームにより表面をスパッタエッチングすることにより活性化し、そのまま真空中にて接合した。超音波顕微鏡による観察結果より、欠陥の少ない良好な接合部が得られた。接合強度評価においても、試験用治具との接着部から剥離したものを除き、2000N以上の良好な接合強度が得られた。
実施例2と同様に平坦化を行った金の膜付きのシリコンウェハを、アルゴンのプラズマにより表面を活性化し大気中にて接合した。超音波顕微鏡による観察結果より、欠陥の少ない良好な接合部が得られた。接合強度評価においても、試験用治具との接着部から剥離したものを除き、1500N以上の良好な接合強度が得られた。
表面に厚さ500nm銀の膜を形成した以外は、実施例2と同様に平坦化および接合を行った。超音波顕微鏡による観察結果より、欠陥の少ない良好な接合部が得られた。接合強度評価においても、試験用治具との接着部から剥離したものを除き、2000N以上の良好な接合強度が得られた。
表面に微細加工を行ったホウケイ酸ガラスのチップの表面を、620℃の下で、研磨されたガラス状炭素のウェハにより加圧することにより、平坦化を行った。平坦化後のチップと、別途用意した二乗平均平方根粗さ0.3nmの研磨済みの平坦なホウケイ酸ガラスチップを、酸素プラズマにより表面を活性化し常温にて接合した。欠陥のない良好な接合部が得られた。実施例1と同様に強度評価を行った結果、400Nから800Nの接合強度が得られた。さらに、接合体に200℃で熱処理を行うことにより、引っ張り試験において1500N以上の接合強度が得られた。
表面に微細加工を行ったアクリル樹脂板の表面を、140℃の加圧下でシリコンウェハにより加圧することにより、平坦化を行った。このとき、シリコンウェハの表面にはシリコンの酸化膜を形成し、さらにアクリル樹脂板との剥離を容易にするため、疎水性の自己組織化単分子膜を形成した。平坦化したアクリル樹脂板同士を、酸素プラズマにより表面を活性化し100℃の加熱下にて接合した。欠陥のない良好な接合部が得られ、引っ張り試験においては試験用治具との接着部より破断し、接合部からの破断は見られなかった。
2 平坦な接合される基板(平坦接合部を有する部材)
3 シリコンウェハ(接合部を有する部材)
10 平坦化前の接合部(粗面接合部)
11 平坦化後の接合部
12 金の膜〔(平坦化される)接合部〕
100 平坦化に用いる平坦な表面を有する基板(平坦化ツール、平坦な表面を有する部材)
101 サファイアウェハ(平坦化ツール、平坦な表面を有する部材)
200、201 平坦化のための加熱加圧装置
202 加圧のための圧力隔膜
203 圧縮空気導入口
Claims (10)
- 表面の二乗平均平方根粗さが1nm超である粗面接合部同士、又は、該粗面接合部と、表面の二乗平均平方根粗さが1nm以下である平坦接合部を接合する接合方法であって、
該粗面接合部の表面を加熱下で平坦な表面に接触させ加圧することにより、該接合部表面を平坦化する平坦化工程と、
少なくとも一方の接合部表面を活性化処理する活性化処理工程と、
常温又は上記平坦化の加熱温度より低い温度において、接合部の表面を相互に接触させて接合する接合工程、
を有することを特徴とする接合方法。 - 前記接合部を有する部材と前記平坦な表面を有する部材の少なくとも一方に対し直接又は可撓性シートを介して間接的に流体圧力を負荷することにより加圧する、請求項1に記載の接合方法。
- 前記粗面接合部が金属材料からなり、平坦化の加熱温度Tfは、該金属材料の融点Tmに対し、絶対温度で、
Tf<Tm/2
である、請求項1又は2に記載の接合方法。 - 平坦化された接合部の表面は、二乗平均平方根粗さが1nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合方法。
- 平坦化された接合部表面の40%以上の領域が、高さ方向に2nm以内の範囲にあり、かつその領域の中間高さより1nm以上高い領域が、面積比で5%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接合方法。
- 平坦化に用いる平坦な表面は、二乗平均平方根粗さが0.5nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接合方法。
- 平坦化に用いる平坦な表面は、酸化膜を形成したシリコン、アルミナ、炭化ケイ素、グラッシーカーボン、又は、サファイアである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の接合方法。
- 平坦化に用いる平坦な表面を有する部材は、平坦化される材料との剥離性を向上させるための薄膜が形成されたものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の接合方法。
- 上記平坦化される粗面接合部は、基板上に形成された金属膜である請求項1〜8のいずれか1項に記載の接合方法。
- 平坦化ツール及び粗面接合部を有する部材の少なくとも一方に対し直接又は可撓性シートを介して間接的に流体圧力を負荷し、粗面接合部の表面を平坦化ツールの平坦な表面に接触させ加圧することのできる加圧手段、及び、粗面接合部を加熱することのできる加熱手段を有する平坦化機構と、少なくとも一方の接合部表面を活性化するための表面活性化処理機構を具備することを特徴とする、接合装置。
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