JP2023044754A - 接合体の製造方法及び絶縁回路基板の製造方法 - Google Patents

接合体の製造方法及び絶縁回路基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の異なる板部材の積層体を加圧及び加熱状態で接合する際に、積層体を均一に加圧して良好な接合体を製造するとともに、積層体の表面に異物が付着することを抑制する。【解決手段】第一板部材と第二板部材との積層体の前記第一板部材の表面にスペーサーを接触させた状態で前記積層体を加圧及び加熱して接合体を製造する接合体の製造方法であって、第一板部材は金属板であり、スペーサーは、少なくとも第一板部材との接触部が、加熱時に第一板部材と反応しない金属板からなり、接触部に、酸化物、窒化物、炭化物の少なくともいずれかを含む金属化合物からなる被膜が形成されており、スペーサーの金属板の厚さは0.2mm以上1.0mm以下であり、金属化合物からなる皮膜の厚さは30nm以上である。【選択図】 図3

Description

本発明は、パワーモジュール用基板のように複数の異なる板部材からなる接合体を製造する方法に関し、特に、金属板同士を固相拡散接合によって接合する場合に好適な製造方法、及びその接合体の製造方法を用いた絶縁回路基板の製造方法に関する。
パワーモジュール用基板(絶縁回路基板)は、絶縁層となるセラミックス基板の一方の面に回路層が形成されるとともに、他方の面に放熱のための放熱層が形成された構成のものが一般に用いられる。
このパワーモジュール用基板として、例えば特許文献1におけるパワーモジュール用基板が開示されている。このパワーモジュール用基板は、アルミニウム又はアルミニウム合金、もしくは銅又は銅合金からなる金属板がセラミックス基板の両面にそれぞれろう材を介して接合されることにより、セラミックス基板の一方の面に回路層、他方の面に放熱層が形成されている。放熱層には、アルミニウム又はアルミニウム合金、もしくは銅又は銅合金からなる放熱板が接合されている。
このパワーモジュール用基板においてセラミックス基板と金属板とは、これらの積層体を加圧装置により加圧加熱することにより接合される。このとき、積層体と加圧装置との間には、カーボン層とグラファイト層とを積層してなるスペーサーが介在される。この場合、カーボン層が積層体側に配置される。
特開2016-63145号公報
この種のパワーモジュール用基板として、回路層をアルミニウムと銅との二層構造とする場合がある。このように複数の異なる金属板からなる接合体を製造するには、特許文献1記載の方法によりセラミックス基板に形成したアルミニウム層の上に銅板を接合して銅層を形成するが、アルミニウムと銅との接合には、ろう材を介さずに加圧加熱する固相拡散接合が行われることがある。
この場合、ろう材を介した接合以上に均一に加圧することが求められるが、特許文献1記載の加圧装置では、スペーサーの積層体と接する側がカーボン層により形成されているため、加圧時の荷重付与による変位が少なく、積層体の表面に微小な凹凸が生じていたり、平面度が大きい場合などには、これらを吸収できないために均一に加圧されず、接合不良を生じるおそれがある。
さらに、スペーサーにおける積層体に接する表面がカーボン層により形成されていると、このカーボン層が積層体とともに加熱しながら加圧された際に局所的に脱粒が生じて、積層体の表面にカーボン層の一部が付着することがある。この異物を除去するため接合体表面にソフトエッチング処理を行っても除去しきれず、接合後の積層体上(回路層上)に半導体素子等を搭載できないという問題が生じる。
一方、異物を除去するため強いエッチング処理を施すと、接合後の積層体の表面が荒れるため、この場合も回路層上に半導体素子等を搭載できない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、複数の異なる板部材の積層体を加圧及び加熱状態で接合する際に、積層体を均一に加圧して良好な接合体を製造するとともに、積層体の表面に異物が付着することを抑制することを目的とする。
本発明の接合体の製造方法は、第一板部材と第二板部材との積層体の前記第一板部材の表面にスペーサーを接触させた状態で前記積層体を加圧及び加熱して接合体を製造する接合体の製造方法であって、前記第一板部材は金属板であり、前記スペーサーは、少なくとも前記第一板部材との接触部が、加熱時に前記第一板部材と反応しない金属板からなり、その表面に、酸化物、窒化物、炭化物の少なくともいずれかを含む金属化合物からなる被膜が形成されており、前記スペーサーの前記金属板の厚さは0.2mm以上1.0mm以下であり、前記金属化合物からなる前記皮膜の厚さは30nm以上である。
スペーサーにおける第一板部材との接触部が、第一板部材の表面と加熱時に反応しない金属板からなるので、このスペーサーを介して積層体を加圧及び加熱したときに、スペーサーの接触部が積層体の第一板部材の表面に付着することを抑制できる。
また、そのスペーサーの接触部を構成する金属板に、積層体の第一板部材と熱膨張係数の異なる金属板を用いる場合、スペーサーと積層体とを加圧すると、接触部と第一板部材とが圧着状態となり、これらの熱膨張係数差に伴って加熱及び冷却時にスペーサーと第一板部材との間に面方向に沿う応力が発生し、この応力が積層体(接合体)の熱伸縮時(冷却時)に、第一部材と第二板部材の接合界面を破壊するおそれがある。この点、接触部に上記の金属化合物からなる被膜を形成しておくことにより、スペーサーと第一板部材とが圧着状態となることを抑制し、第一板部材と第二板部材とを良好に接合することができる。
なお、スペーサーの金属板の厚さは、0.2mm未満では加圧により変形が生じて再使用ができなくなる。金属板の厚さが1.0mmを超えると接合不良が生じる。このため、金属板の厚さは0.2mm以上1.0mm以下が好ましい。
金属化合物からなる皮膜は、厚さが30nm未満では積層体との圧着が生じる。このため、その皮膜の厚さは30nm以上が好ましい。
本発明の接合体の製造方法において、前記接触部を構成する金属板は熱処理したものを使用するとよい。
金属板を熱処理することにより、被膜を効率的に形成することができる。
本発明では、前記第一板部材又は前記第二板部材のうち、いずれか一方が銅又は銅合金からなり、他方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるものとすることができる。
アルミニウムと銅とは一般に固相拡散接合されるが、本発明は、このような固相で接合する場合に特に有効である。ただし、ろう材を用いた液相接合を除外するものではない。例えば、第一板部材が金属板からなり、第二板部材がセラミックス基板からなり、これらをろう材を用いて接合する場合にも本発明を適用できる。
本発明の接合体の製造方法によれば、複数の異なる板部材の積層体を加熱状態で加圧して接合する際に、積層体に均一な加圧力を付与して良好な接合体を製造するとともに、積層体の表面に異物が付着することを抑制できる。
本発明の絶縁回路基板の製造方法は、前述の接合体の製造方法を用いた絶縁回路基板の製造方法であって、前記第一板部材は、銅又は銅合金からなる第一金属板からなり、前記第二板部材は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の一方の面に接合されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる第二金属板とからなり、前記セラミックス基板に接合された前記第二金属板に前記第一金属板を積層して前記積層体を形成し、前記第一金属板に前記ステンレス板を接触させた状態で前記第一金属板と前記第二金属板とを固相拡散接合する。
また、他の絶縁回路基板の製造方法は、前述の接合体の製造方法を用いた絶縁回路基板の製造方法であって、前記スペーサーを二組用い、前記第一板部材は、銅又は銅合金からなる第一金属板と、炭化ケイ素の多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸させてなるAlSiC複合材とが積層されてなり、前記第二板部材は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の両面に接合されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる第二金属板と、一方の前記第二金属板に積層された前記第一金属板とからなり、前記第二板部材の他方の前記第二金属板と前記第一板部材の前記第一金属板とを接触させて前記第一板部材と前記第二板部材とを積層することにより前記積層体を形成し、前記AlSiC複合材に一方の前記スペーサーの前記ステンレス板を接触させ、かつ、前記第二板部材の前記第一金属板の表面に他方の前記スペーサーの前記ステンレス板を接触させた状態で、前記第一金属板と前記第二金属板、及び前記第一金属板と前記AlSiC複合材を同時に固相拡散接合する。
本発明の接合体(絶縁回路基板)の実施形態としてパワーモジュール用基板を示す断面図である。 図1におけるパワーモジュール用基板のセラミックス基板に金属板を接合する前の状態を示す断面図である。 図2から接合した後の金属層に第2金属板を接合する前の状態を示す断面図である。 図2及び図3の接合の際に用いる加圧装置の正面図である。 図4の加圧装置で用いられるスペーサーの断面図である。 他のパワーモジュール用基板を製造する場合の接合前の状態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
この実施形態は絶縁回路基板(接合体)の例としてのパワーモジュール用基板1である。このパワーモジュール用基板1は、図1に示すように、セラミックス基板10と、このセラミックス基板10の一方の面に接合された回路層20と、セラミックス基板10の他方の面に接合された放熱層30とを備える。
セラミックス基板10は、例えばAlN(窒化アルミニウム)、Si(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、もしくはAl(アルミナ)等の酸化物系セラミックスを用いることができる。また、セラミックス基板10の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下とされる。
回路層20及び放熱層30は、それぞれアルミニウム又はアルミニウム合金からなる第二金属層41と、銅又は銅合金からなる第一金属層42との二層構造とされている。換言すると、パワーモジュール用基板1において、セラミックス基板10の両面に第二金属層41が形成され、その第二金属層41の上に第一金属層42が形成されている。
第二金属層41は、純度99質量%以上の純アルミニウム(例えば、JIS規格では1000番台の純アルミニウム、特に1N90(純度99.9質量%以上:いわゆる3Nアルミニウム)又は、1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)や、A6063系等のアルミニウム合金等を用いることができる。第一金属層42とセラミックス基板10との熱伸縮差を緩衝するためには、第二金属層41として純アルミニウムを用いるのが好ましい。
第一金属層42は、例えば純度99.96質量%以上の銅(無酸素銅)や純度99.90質量%以上の銅(タフピッチ銅)が好適である。
これら第二金属層41及び第一金属層42の厚さは限定されないが、例えば、第二金属層41が0.1mm以上2.0mm以下、第一金属層42が0.2mm以上5.0mm以下とされる。回路層20と放熱層30とで同じ厚さの第二金属層41と第一金属層42とを用いてもよいし、異なる厚さの組み合わせとしてもよい。図示例では、回路層20と放熱層30とで区別することなく、第二金属層41、第一金属層42として、同一符号を付している。
このように構成されるパワーモジュール用基板1の製造方法について説明する。
まず、図2に示すように、セラミックス基板10の両面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる第二金属板41aをろう材50を介して積層し、その積層体を加圧加熱することにより、セラミックス基板10と第二金属板41aとを接合して、セラミックス基板10の両面に第二金属層41を形成する(第一接合工程)。
次いで、図3に示すように、その第二金属層41の上に銅又は銅合金からなる第一金属板42aを積層し、その積層体を加圧加熱することにより、アルミニウムと銅とを固相拡散接合して、第二金属層41の上に第一金属層42を形成する(第二接合工程)。
これらの両接合工程において、本発明が適用される。
第一接合工程においては、第二金属板41aが本発明の第一板部材に相当し、セラミックス基板10が本発明の第二板部材に相当する。一方、第二接合工程においては、第一金属板42aが本発明の第一板部材に相当し、セラミックス基板10と前記セラミックス基板10の一方の面に接合された第二金属板41a(第二金属層41)が本発明の第二板部材に相当する。
この製造方法において、第一接合工程における積層体及び第二接合工程における積層体を加圧するために、図4に示す加圧装置110が用いられる。以下では、第一接合工程における積層体(セラミックス基板10と両第二金属板41aとからなる積層体)及び第二接合工程における積層体(両第二金属層41が形成されたセラミックス基板10と、第一金属板42aとからなる積層体)を区別することなく、積層体Sとして説明する。
加圧装置110は、ベース板111と、ベース板111の上面の四隅に垂直に取り付けられたガイドポスト112と、これらガイドポスト112の上端部に固定された固定板113と、これらベース板111と固定板113との間で上下移動自在にガイドポスト112に支持された押圧板114と、固定板113と押圧板114との間に設けられて押圧板114を下方に付勢するばね等の付勢部115とを備えている。
固定板113および押圧板114は、ベース板111に対して平行に配置されており、ベース板111と押圧板114との間に積層体Sが配設される。
ベース板111及び押圧板114において、積層体Sと接する側に、加圧を均一にするためのスペーサー60が配設される。
各スペーサー60は、図5に示すように、グラファイトシート61と金属板62とを積層した構造とされている。
グラファイトシート61は、クッション性を有する軟質のグラファイト材料により、鱗片状のグラファイト薄膜が雲母のように複数枚積層されて構成されたものであり、天然黒鉛を酸処理した後にシート状に成形してロール圧延してなる。このグラファイトシート61は、かさ密度が0.5Mg/m以上1.3Mg/m以下で軟質である。例えば旭グラファイト株式会社製T-5(熱伝導率:75.4W/mK、弾性率:11.4GPa)や、東洋炭素工業株式会社製黒鉛シートPF(圧縮率47%、復元率14%)などを用いることができる。
金属板62は、積層体Sの表面と加熱時に反応しない材料からなる。反応しない材料とは、接合温度から常温まで冷却した際に剥がれることがなく、かつ、金属板と積層体表面との金属間化合物が形成されない材料を示す。
例えば、第一接合工程における積層体の両面に配置された第二金属板41aがアルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合、スペーサー60の金属板62をアルミニウム又はアルミニウム合金、もしくはステンレスとすることが好ましく、第二接合工程における積層体Sの両面に配置された第一金属板42aが銅又は銅合金からなる場合、金属板62を銅又は銅合金、或いはステンレスとすることが好ましい。なお、ステンレスとしては、例えば、SUS304用いることができる。また、チタンやニッケルを用いることもできる。この場合、純度として99%以上のチタンやニッケルを用いることが好ましい。
また、金属板62の表面には、金属板62を構成する元素の酸化物、窒化物、炭化物の少なくともいずれかを含む金属化合物からなる被膜63が形成されている。この被膜63を形成するため、予め、金属板62に熱処理を施す。例えば、ステンレス(例えばSUS304)からなる金属板を大気中で500℃に60分加熱することにより、SiO換算で約60nmの厚さの酸化物(酸化鉄)からなる被膜63が形成される。なお、この厚さは、XPS分析(アルバック・ファイ株式会社社製VersaProbe IIを用い、スパッタレートを2.35nm/min(SiO換算)とした時)により求めた。真空雰囲気(例えば10-2Pa以下)や、窒素ガス雰囲気で熱処理してもよい。この熱処理で形成される被膜63の厚さは、30nm以上とするのがよく、350nm以下の厚さとするのがより好ましい。
スペーサー60全体の厚さも特に限定されるものではない。グラファイトシート61は0.5mm以上5.0mm以下とすることができる。金属板62は0.2mm以上1.0mm以下とされる。
以下、この加圧装置110を用いた第一接合工程、第二接合工程を順に説明する。
(第一接合工程)
図2に示すように、セラミックス基板10の両面に、それぞれろう材50を介して、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる第二金属板41aを積層して積層体Sを形成する。ろう材50としては、Al-Si系、Al-Ge系、Al-Cu系、Al-Mg系又はAl-Mn系等の合金が使用される。
積層体Sを図4に示す加圧装置110を用いて積層方向に加圧して、加圧装置110ごと真空雰囲気下で加熱することにより、第二金属板41aをセラミックス基板10に接合して、セラミックス基板10の両面に第二金属層41を形成する。このとき、スペーサーは金属板が第二金属板に接触するように配置される。また、積層体Sの表面がアルミニウム又はアルミニウム合金であるので、金属板62にはアルミニウム又はアルミニウム合金、あるいはステンレスが用いられる。
このときの加圧力としては、例えば0.1MPa以上3.4MPa以下、接合温度としては600℃以上655℃以下、加熱時間としては15分以上120分以下とされる。
(第二接合工程)
図3に示すように、セラミックス基板10の両面に形成された第二金属層41の上に、それぞれ銅又は銅合金からなる第一金属板42aを積層して積層体Sを形成する。
積層体Sを図4に示す加圧装置110を用いて積層方向に加圧した状態で、加圧装置110ごと真空雰囲気下で加熱して、第二金属層41に対して第一金属板42aをそれぞれ固相拡散接合することにより、第二金属層41の上に第一金属層42を形成する。この場合、積層体Sの表面が銅又は銅合金であるので、金属板62には銅または銅合金、あるいはステンレスが用いられる。
この場合の加圧力としては、例えば0.3MPa以上3.5MPa以下、加熱温度としては400℃以上548℃未満とされる。この加圧及び加熱状態を5分以上240分以下保持することにより、第二金属層41と第一金属板42aとが固相拡散接合され、第二金属層41の上に第一金属層42が形成される。
前述したように、この実施形態の加圧装置110では、第二金属層41の上に第一金属板42aを積層状態とした積層体Sとベース板111及び押圧板114との間にスペーサー60を介在させ、このスペーサー60の積層体Sとの接触面側に金属板62を配置している。
この金属板62は、延性材料であるため、積層体Sの表面に凹凸が生じている場合やその平面度が低い場合にも、金属板62がその表面形状に追従するように変形する。このため、積層体Sの全面に均一な加圧力を付与して、全面を均等に接合できる。また、カーボンシートのような脆性材料ではないため、加圧によって破損することはなく、かつ積層体Sの表面に設けられている第一金属板42aとも反応しない材料であるため、第一金属板42aに付着することもない。
また、スペーサー60の金属板62に金属化合物からなる被膜63が形成されているので、接合時に、スペーサー60の金属板62と積層体Sの金属板41a,42aとが圧着することが抑制される。
すなわち、スペーサー60の接触部を構成する金属板62と積層体Sの金属板41a,42aとは熱膨張係数が異なっており、このため、皮膜63がなく、金属板62の表面が露出していると、加圧装置110で加圧した状態で加熱したときに、スペーサー60の金属板62と積層体Sの金属板41a,42aとが圧着状態となり、これらの熱膨張係数差に伴って加熱及び冷却時にスペーサー60の金属板62と積層体Sの金属板41a,42aとの間に面方向に沿う応力が発生し、この応力が接合対象のセラミックス基板10や第二金属層41との接合界面を破壊するおそれがある。
この点、スペーサー60の金属板62に金属化合物からなる被膜63を形成しておいたことにより、その金属板62と積層体Sの金属板41a,42aとが圧着状態となることを抑制し、良好な接合を行わせることができる。
スペーサー60の金属板が箔のように薄肉の場合は、積層体Sの金属板41a,42aの熱伸縮の際に自身が変形することにより、接合対象のセラミックス基板10や第二金属層41との接合界面の破壊を抑制されるが、所定の厚さ(0.2mm以上)を有する金属板62であるため、積層体Sの金属板41a,42aの熱伸縮に追従しにくいため、被膜63により圧着状態を回避できることは特に効果的である。ただし、金属板62が厚すぎると、グラファイトシート61が圧し潰されるおそれがあるので、1.0mm以下の厚さとするのが好ましい。
以上により、このスペーサー60を設けた加圧装置110を用いることにより、接合不良のない高品質のパワーモジュール用基板(絶縁回路基板)1を製造できる。
本発明は上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明の製造方法は、セラミックス基板の一方の面にアルミニウム層と銅層との二層構造からなる回路層を形成する場合に適用でき、セラミックス基板の他方の面に実施形態のように二層構造の放熱層を有しなくてもよい。この場合、セラミックス基板10に接触するスペーサーは、金属板62を備えなくてもよい。
本発明の製造方法は、銅又は銅合金からなる金属板とアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属板との接合だけでなく、AlSiC複合材と銅又は銅合金との接合に適用してもよい。
AlSiC複合材は、炭化ケイ素(SiC)からなる多孔体にアルミニウム(Al:純アルミニウム又はアルミニウム合金)を主成分とする金属を含浸して形成されたアルミニウムと炭化ケイ素の複合体であり、多孔体の表面にはアルミニウムの被覆層が形成される。
このAlSiC複合材を用いる場合、図6に示すように、セラミックス基板10の両面に形成された各第二金属層41の上に、それぞれ銅又は銅合金からなる第一金属板42aを積層するとともに、一方の第一金属板42aに板状のAlSiC複合材70を積層し、積層体を形成する。
この積層体に対して、AlSiC複合材70の表面にスペーサー60の金属板62を接触させるとともに、第一金属板42aの表面にスペーサー60の金属板62を接触させた状態で、かつ、積層体を積層方向に加圧した状態で、真空雰囲気下で加熱することにより、各第二金属層41と第一金属板42a、さらに第一金属板42aとAlSiC複合材70とをそれぞれ同時に固相拡散接合できる。
この場合、前述の実施形態で述べた方法によりセラミックス基板に第一金属層、第二金属層からなる回路層及び放熱層をそれぞれ形成し、その放熱層の第一金属層にAlSiC複合材をヒートシンクとして接合した絶縁回路基板とすることができる。
すなわち、セラミックス基板の両面に第二金属層を形成しておき(第一接合工程により)、各第二金属層に各第一金属板をそれぞれ積層し、さらに一方の第一金属板にAlSiC複合材を積層して、これらの積層体を加圧加熱して固相拡散接合する(第二接合工程)とよい。
その他、本発明は、パワーモジュール用基板の回路層および放熱層に限らず、液相及び固相で接合できる金属の組み合わせのものに適用することが可能であり、特に固相で接合できる金属の組み合わせのものに有効である。また、本発明は、金属板と金属板以外の板部材(例えば、セラミックス基板)との接合にも適用できる。
本発明の効果を確認するために評価試験を実施した。この試験では、アルミニウム合金(A6063)からなる金属板と、純銅(C1020)からなる金属板とを積層して接合した。スペーサーに接する側の金属板を被着材とした。
スペーサーは、グラファイトシート(東洋炭素株式会社製PF-100)と、接触部として、金属板の積層構造体とした。金属板には、ステンレス(SUS304)、銅(C1020)、アルミニウム(A6063)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)のいずれかを用いた。また、従来例として、スペーサーの接触部にカーボン、グラファイト、セラミックスを用いたものも試験した。スペーサーの接触部の厚みは表1に示す通りであった。
両金属板の積層体を加圧力1.0MPa、温度500℃、保持時間30分加圧加熱して、スペーサーの金属板表面の金属化合物の有無を確認するとともに、スペーサーの金属板の変形、密着性、接合性(追従性)について評価した。
(金属化合物の確認)
XPS分析(アルバック・ファイ株式会社製VersaProbe II)を用い、スパッタリングにより、最表面からスペーサー母材の金属比率が85at%を超過するまでの時間に対して、スパッタレートを2.35nm/min(SiO換算)から算出した。
このスパッタレートは、厚さ20nmのSiO膜を2.8×3.5mmの長方形領域に対してスパッタリングでエッチングを行い、厚さ1nmについてエッチングするのに要した時間から算出した。このスパッタレートを用いて、金属化合物の測定に要した時間から金属化合物を確認した。
(スペーサーの変形の評価)
接合後にスペーサーを被着材からはがし、スペーサーに割れや変形(被着材のエッジの部分で折り曲げられるなど、再使用ができなくなる程度の変形)が生じた場合を「B」、そのような割れや変形が生じていない場合を「A」とした。
(スペーサーの密着性の評価)
スペーサーの密着性については、接合後に常温まで冷却し、積層体から金属板を人力で剥がすことができ、かつ、金属板と積層体表面の断面をSEM観察し、金属板と積層体表面に金属間化合物が生成されていない場合を「A」と評価し、それ以外の場合を「B」と評価した。
(接合性の評価)
接合性は、超音波探傷装置(日立パワーソリューションズ社製FINESAT)を用いて、両金属層の界面を観察し、被接合面積を測定し、接合前における接合すべき面積(金属層の面積)から接合率を割り出し、接合率が95%以上を「A」、95%未満を「B」とした。
これらの結果を表1に示す。いずれの評価も「A」を合格とする。
Figure 2023044754000002
表1に示されるように、被着材と反応しない金属板をスペーサーの接触部に用い、その厚みが0.2mm以上1.0mm以下、表面に30nm以上の金属化合物の層が形成されている実施例では、スペーサの金属板と被着材との金属間化合物が認められず、変形や被着材との圧着がないことがわかる。また、接合性も良好であった。なお、実施例12は、金属化合物の厚さが350nmと厚く、脱落が生じないように厳しい条件管理が必要である。このため、金属化合物の皮膜の厚さは300nm以下が好ましい。
これに対して、比較例1では、スペーサー表面の金属化合物の厚さが20nmと小さいため、スペーサーと被着材との接着が認められた。比較例2及び比較例4では、スペーサーの金属板の厚みが0.15mmと薄すぎたため、変形が生じ再使用できなくなった。比較例3では、スペーサーの金属板の厚みが1.2mmと厚すぎたため、接合不良が生じた。比較例5及び比較例6では、積層体の金属板とスペーサーの金属板とが、銅とアルミニウムとの組合せであったため、反応して圧着が生じた。なお、スペーサーに金属板を用いずに、カーボン、グラファイト、セラミックスを用いた従来例は、スペーサーの変形、スペーサーと積層体との圧着、接合性のいずれかで不良が生じた。
1 パワーモジュール用基板(接合体)(絶縁回路基板)
10 セラミックス基板(第二板部材)
20 回路層
30 放熱層
41 第二金属層(第二板部材)
41a 第二金属板(第一板部材/第二板部材)
42 第一金属層
42a 第一金属板(第一板部材)
50 ろう材
60 スペーサー
61 グラファイトシート
62 金属板
63 被膜
70 AlSiC複合材
110 加圧装置

Claims (5)

  1. 第一板部材と第二板部材との積層体の前記第一板部材の表面にスペーサーを接触させた状態で前記積層体を加圧及び加熱して接合体を製造する接合体の製造方法であって、前記第一板部材は金属板であり、前記スペーサーは、少なくとも前記第一板部材との接触部が、加熱時に前記第一板部材と反応しない金属板からなり、前記接触部に、酸化物、窒化物、炭化物の少なくともいずれかを含む金属化合物からなる被膜が形成されており、前記スペーサーの前記金属板の厚さは0.2mm以上1.0mm以下であり、前記金属化合物からなる前記皮膜の厚さは30nm以上であることを特徴とする接合体の製造方法。
  2. 前記接触部を構成する金属板は熱処理したものを使用することを特徴とする請求項1に記載の接合体の製造方法。
  3. 前記第一板部材又は前記第二板部材のうち、いずれか一方が銅又は銅合金からなり、他方がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の接合体の製造方法を用いた絶縁回路基板の製造方法であって、
    前記第一板部材は、銅又は銅合金からなる第一金属板からなり、
    前記第二板部材は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の一方の面に接合されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる第二金属板とからなり、
    前記セラミックス基板に接合された前記第二金属板に前記第一金属板を積層して前記積層体を形成し、前記第一金属板に前記ステンレス板を接触させた状態で前記第一金属板と前記第二金属板とを固相拡散接合することを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。
  5. 請求項1から3のいずれか一項に記載の接合体の製造方法を用いた絶縁回路基板の製造方法であって、
    前記スペーサーを二組用い、
    前記第一板部材は、銅又は銅合金からなる第一金属板と、炭化ケイ素の多孔体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸させてなるAlSiC複合材とが積層されてなり、
    前記第二板部材は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の両面に接合されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる第二金属板と、一方の前記第二金属板に積層された前記第一金属板とからなり、
    前記第二板部材の他方の前記第二金属板と前記第一板部材の前記第一金属板とを接触させて前記第一板部材と前記第二板部材とを積層することにより前記積層体を形成し、
    前記AlSiC複合材に一方の前記スペーサーの前記ステンレス板を接触させ、かつ、前記第二板部材の前記第一金属板の表面に他方の前記スペーサーの前記ステンレス板を接触させた状態で、前記第一金属板と前記第二金属板、及び前記第一金属板と前記AlSiC複合材を同時に固相拡散接合することを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。
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