JP2014046439A - スクエアエンドミル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スクエアエンドミル1は、軸線x回りに回転される工具先端部2に、その工具先端部2の外周に配置される側刃12と、工具先端部2の先端に配置される底刃13とからなる一対の切刃部11が軸線xを挟んで互いに反対側に形成されてなり、工具先端部2の外周部21が軸線x回りの楕円により形成され、切刃部11は、側刃12が楕円の長径bの両端に軸線xに沿って配置され、底刃13が側刃12の先端から楕円の長径方向に沿って内方に向かって配置され、これら側刃12と底刃13とが鋭利な角部で交差する刃先を構成しており、楕円は、長径bが2mm以下で、且つ長径bに対する短径aの比率a/bが0.95以下に設定されている。
【選択図】 図1
Description
このようなスクエアエンドミルの切刃部の加工は、一般に砥石を使った切削加工によって形状形成がなされている。例えばその加工工程は、まず、円柱状の素材にギャッシュ及びすくい面を加工した後に、外径加工が施された外周面に逃げ面を形成して、最後に切刃部の形成が行われる。
このように加工されるエンドミルは、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、逃げ面が二番角、三番角等の逃げ角により多段に形成されている。そして、多段に形成された逃げ面は、それぞれの逃げ角に合わせて砥石で研削することにより加工される。
また、楕円に形成された外周部は、継ぎ目のない滑らかな曲面で形成されているので、切削時に生じる切りくずを外周部の曲面に沿って円滑に排出することができる。また、切りくずを円滑に排出できるので、切削抵抗を低減することができ、高寿命で安定した切削性能を得ることができる。
なお、比率が小さいほどスクエアエンドミルと被加工物とは臨界的に接触することになるが、エンドミルの切刃部として作用する刃部の厚みが薄くなり強度の確保が難しくなることから、下限値は必要強度に合わせて設定することが好ましい。
このようにバックテーパー部を形成した場合、被加工物との間に隙間を設けることができるので、切削時に生じる切りくずをより円滑に排出させることができ、安定した加工を行うことができる。
また、外径加工工程は、円柱状素材を取り付けたシャンクを自転させながら、その回転位相とレーザビームの照射位置とを同期させながら加工することによって行うことができるので、外周部の楕円形状を容易に加工することができる。
さらに、精密な切削加工の用途に用いられる小径のエンドミルの素材には、cBN焼結体や焼結ダイヤモンド、超硬合金等の高硬度の材料が使用される。そのため、研削により逃げ部の形成を行う場合、砥石を強く押し付けることによってたわみが生じて所望の精度で加工することが難しいが、工具先端部全体を力学的な負荷が掛らないレーザ加工で形成することができるので、従来の砥石による加工で生じるたわみ等による加工精度の低下を防止することができる。
また、逃げ面は、レーザ加工によって例えばRz(最大高さ)≦1μmで滑らかに加工形成できるため、側刃の稜線が鋭利になるとともに、側刃と底刃とのコーナーの角度を鋭利にし、いわゆるピンカドの欠けを発生させることなく形成することができる。
図6に示す本実施形態のスクエアエンドミル1は、図1に示すように、軸線x回りに回転される工具先端部2に、一対の切刃部11が軸線xを挟んで互いに反対側に形成された2枚刃のスクエアエンドミルである。このスクエアエンドミル1は、円柱状のシャンク部3の先端部が小径に形成され、その小径の首部4の先端に略円周状のチップ部5が接合された構成とされている。チップ部5は、首部4に接合される超硬合金部6と、その超硬合金部6に接続され、切刃部11が形成されるcBN焼結体、ダイヤモンド焼結体等の工具先端部2とで構成されている。
また、切刃部11は、工具先端部2の外周に配置される側刃12と、工具先端部2の先端に配置される底刃13とにより形成される。側刃12は楕円の長径bの両端に軸線xに沿って配置され、底刃13は側刃12の先端から楕円の長径b方向に沿って内方に向かって配置され、これら側刃12と底刃13とが鋭利な角部で交差する刃先を構成する。そして、一対の切刃部11は、周方向に180°離間した位置に配置されている。なお、図1の符号15は、ギャッシュ及びすくい面を示している。
本実施形態の製造方法に用いるレーザ加工装置100は、図2に示すように、工具先端部2に加工される円柱状素材20にレーザビームLを照射して三次元加工する装置である。このレーザ加工装置100は、レーザビームLをパルス発振して円柱状素材20に一定の繰り返し周波数で照射しながら走査するレーザ光照射機構22と、チップ部5を接合したシャンク部3を保持した状態で回転可能なモータ等の回転機構23と、その回転機構23が設置されてxyz軸方向に移動可能な移動機構24と、これらを制御する制御部25とを備えている。
レーザ光源26は、190nm〜550nmの短波長のレーザ光を照射できる光源を使用することができ、例えば本実施形態では、波長355nmのレーザ光を発振して出射できるものを用いている。また、ガルバノスキャナ27は、移動機構24の真上に配置されている。
まず、円柱状素材20に外周部21を軸方向から見た断面が楕円になるように外径加工を施す(外径加工工程)。外径加工工程は、図3に示すように、円柱状素材20を軸線x回りに回転させた状態でその円柱状素材20にレーザビームLを楕円形状e(加工後の外周形状)の接線方向から照射するとともに、その回転に伴い移動する楕円形状eの回転位相に合わせてレーザビームLの照射位置(焦点位置s)を移動させることにより行う。
楕円形状eの回転位相の軌跡は、回転軸モータの回転軸(軸線x)の位相を、その回転軸モータのエンコーダ信号を読み取ることにより求めることができる。そして、レーザビームLの焦点位置sを、楕円形状eの回転位相に対応させて制御することで、外周部21を楕円に加工するができる。
また、楕円に形成された外周部21は、継ぎ目のない滑らかな曲面で形成されているので、切削時に生じる切りくずを外周部21の曲面に沿って円滑に排出することができる。また、切りくずを円滑に排出できるので、切削抵抗を低減することができ、高寿命で安定した切削性能を得ることができる。
また、精密な切削加工の用途に用いられる小径のエンドミルの素材には、cBN焼結体や焼結ダイヤモンド、超硬合金等の高硬度の材料が使用されるが、工具先端部2全体を力学的な負荷が掛らないレーザ加工で形成することができるので、従来の砥石による加工で生じるたわみ等による加工精度の低下を防止することができる。
さらに、逃げ面は、レーザ加工によって例えばRz(最大高さ)≦1μmで滑らかに加工形成できるため、側刃12の稜線が鋭利になるとともに、側刃12と底刃13とのコーナーの角度を鋭利にし、いわゆるピンカドを、欠けを発生させることなく形成することができる。
なお、比率a/bが小さいほどスクエアエンドミル1と被加工物とは臨界的に接触することになるが、スクエアエンドミル1の切刃部11として作用する刃部の厚みが薄くなり強度の確保が難しくなることから、下限値は必要強度に合わせて設定することが好ましい。そのため、比率a/bは、0.1以上0.9以下に設定することが望ましいが、工具の折損耐性や工具製造を考慮すると、0.4以上0.75以下の範囲に設定されることがさらに望ましい。
バックテーパー部は、レーザビームLの焦点位置sを軸線x方向に走査する際に、傾斜角度に応じてその焦点位置sをy軸方向に移動させることで、外周部21の楕円加工の際に容易に加工することができる。バックテーパー部を設けた場合は、被加工物との間に隙間を設けることができるので、切削時に生じる切りくずをより円滑に排出させることができ、安定した加工を行うことができる。
例えば、上記実施形態では、工具先端部2全体をレーザ加工により形成したが、外周部21の楕円加工工程以外、例えばギャッシュ及びすくい面15等の加工は、研削で行うこともできる。
2 工具先端部
3 シャンク部
4 首部
5 チップ部
6 超硬合金部
11 切刃部
12 側刃
13 底刃
15 ギャッシュ及びすくい面
20 円柱状素材
21 外周部
22 レーザ光照射機構
23 回転機構
24 移動機構
24x x軸ステージ部
24y y軸ステージ部
24z z軸ステージ部
25 制御部
26 レーザ光源
27 ガルバノスキャナ
100 レーザ加工装置
L レーザビーム
Claims (3)
- 軸線回りに回転される工具先端部に、該工具先端部の外周に配置される側刃と、該工具先端部の先端に配置される底刃とからなる一対の切刃部が前記軸線を挟んで互いに反対側に形成されてなり、前記工具先端部の外周部が前記軸線回りの楕円により形成され、前記切刃部は、前記側刃が前記楕円の長径の両端に前記軸線に沿って配置され、前記底刃が前記側刃の先端から前記楕円の長径方向に沿って内方に向かって配置され、これら側刃と底刃とが鋭利な角部で交差する刃先を構成しており、前記楕円は、長径が2mm以下で、且つ長径に対する短径の比率が0.95以下に設定されていることを特徴とするスクエアエンドミル。
- 前記工具先端部の外周部は、刃先の先端からシャンク部に向かうに従って横断面の楕円形状を漸次小さい相似形とするように形成されていることを特徴とする請求項1記載のスクエアエンドミル。
- 請求項1又は請求項2記載のスクエアエンドミルを製造する方法であって、円柱状素材に楕円の外周部を形成する外径加工工程と、該外径加工工程後の円柱状素材にギャッシュ及びすくい面を形成するとともに側刃を形成する側刃加工工程と、該側刃加工工程後の円柱状素材に底刃を形成する底刃加工工程とを有し、前記外径加工工程は、前記円柱状素材をその軸線回りに回転させた状態で、該円柱状素材にレーザビームを前記楕円形状の接線方向から照射するとともに、回転に伴い移動する前記楕円形状の回転位相に合わせて前記レーザビームの照射位置を移動させることを特徴とするスクエアエンドミルの製造方法。
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