JP2014045081A - 積層型コイル部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いQ値を得ることができる積層型コイル部品を提供する。
【解決手段】積層型コイル部品は、複数の絶縁体層を積層することによって形成される素体と、複数のコイル導体4,5が電気的に接続されることによって素体の内部に形成されるコイル部とを備え、コイル導体4,5内には、その長手方向に沿って複数の空孔Hが並んで存在しており、長手方向に直交する平面でのコイル導体4,5の断面積に対する空孔Hの面積の割合を示す空孔率の、コイル導体4,5の一端から他端までの平均値である平均空孔率が、15%以上である。
【選択図】図6

Description

本発明は、積層型コイル部品に関する。
特許文献1は、導電性粒子と、熱分解性を有する樹脂粒子とを含み、セラミック素体を構成するセラミック材料よりも熱収縮する導電性ペースト用意する工程と、当該導電性ペーストを用いてセラミックグリーンシートに導体パターンをスクリーン印刷する工程と、導体パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを複数積層して圧着することで積層体を形成する工程と、当該積層体を焼成する工程とを有する積層型コイル部品の製造方法を開示している。
脱バインダ過程で導電性ペースト内に残留炭素が残ると、続く焼成処理において残留炭素が気化膨張し、セラミックグリーンシートが焼結して形成されたセラミック素体と導電性粒子が焼結して形成された内部導体との界面が圧着状態となることがある。しかしながら、上記の熱分解性を有する導電性ペーストを用いると、導電性粒子が焼結する以前に樹脂粒子が焼失または完全に消失する。そのため、セラミック素体と内部導体との界面が圧着状態となることが抑制される。従って、セラミック素体と内部導体との界面に空隙が形成され、当該界面に微少な応力が残り難くなるので、電気特性や信頼性の向上が図られる。
特開2005−167108号公報
ところで、積層型コイル部品は、その構造や製造方法などの理由などにより、ワイヤを巻回した巻線型コイル部品に比してQ値(quality factor)が低かった。しかしながら、近年、特に高周波に対応できる部品が要求されることに伴い、積層型コイル部品に対しても、高いQ値が要求されている。従来の積層型コイル部品では、このような要求を満たす高いQ値を実現することができなかった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、高いQ値を得ることができる積層型コイル部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、コイル導体内にその長手方向に沿って複数の空孔が並んで存在している場合、長手方向に直交する平面でのコイル導体の断面積に対する空孔の面積の割合を示す空孔率に応じて高いQ値が得られることを見出だし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一側面に係る積層型コイル部品は、複数の絶縁体層を積層することによって形成される素体と、複数のコイル導体が電気的に接続されることによって素体の内部に形成されるコイル部とを備え、コイル導体内には、その長手方向に沿って複数の空孔が並んで存在しており、長手方向に直交する平面でのコイル導体の断面積に対する空孔の面積の割合を示す空孔率の、コイル導体の一端から他端までの平均値である平均空孔率が、15%以上である。
空孔率に応じて高いQ値が得られる理由は、次のように考察される。空孔率が大きくなることに伴い、空孔及びコイル導体の合計の断面積も大きくなるので、コイル導体の外形の大きさが大きくなる。そのため、長手方向に直交する平面でのコイル導体の周囲長が長くなる。つまり、空孔の有無や空孔の大小に応じてコイル導体の輪郭が変化し、空孔が大きいほどコイル導体の外形が大きくなる。導体に高周波電流が流れる場合には、表皮効果によって導体の表面近傍にしか電流が流れないため、当該周囲長が長くなることは電流が流れる断面積の増加に繋がる。従って、コイル導体の抵抗が小さくなる。Q値はコイル導体の抵抗の大きさに反比例するため、コイル導体の低抵抗化に伴い高いQ値が得られる。特に、平均空孔率を15%以上とすることで、積層型コイル部品においても巻線型コイル部品と同等以上のQ値を得ることができる。
本発明によれば、積層型コイル部品において、高いQ値を得ることができる。
図1は、本実施形態に係る積層型コイル部品を示す断面である。 図2は、本実施形態の他の例に係る積層型コイル部品を示す断面である。 図3は、コイル部配置層の軟化点が低い場合であって、保形層を有する場合と有さない場合の焼成時の素体の状態を示す模式図である。 図4は、素体の状態とコイル導体の表面の平滑性の関係を示す模式図である。 図5は、積層型コイル部品のコイル導体の断面を示す写真である。 図6は、導体パターンの一部を拡大して示す断面図である。 図7は、空孔率に対し、巻線型コイル部品とのQ値の乖離の大きさの関係を示す図である。 図8は、コイル導体の表面の平滑性と表面抵抗の関係を示す模式図である。
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1及び図2に示されるように、積層型コイル部品1は、複数の絶縁体層を積層することによって形成される素体2と、複数のコイル導体4,5によって素体2の内部に形成されるコイル部3と、素体2の両端面に形成される一対の外部電極6とを備える。
素体2は、セラミックグリーンシートを複数積層させた焼結体からなる直方体状または立方体状の積層体である。素体2は、図2に示されるように、内部にコイル部3が配置されるコイル部配置層2Aと、コイル部配置層2Aを挟むように一対設けられた保形層2Bとを備えていてもよいし、図1に示されるように、保形層2Bを備えずにコイル部配置層2Aを備えていてもよい。
コイル部配置層2Aは、コイル導体4の粒径を所定の範囲内にすることができるものであれば特に限定されないが、例えば、ガラスセラミックスからなることが好ましい。素体2の誘電率が小さくなり、Q値を高くできるためである。コイル部配置層2Aは、非晶質のセラミックスからなることが好ましい。コイル導体4,5の平滑性を上げることができるためである。コイル部配置層2Aは、SiOを含有することが好ましい。コイル部配置層2Aの誘電率を小さくできるためである。コイル部配置層2Aは、Alを含有することが好ましい。コイル部配置層2Aでの結晶転移を防止できるためである。コイル部配置層2Aは、コイル導体4,5を覆う被覆層7を形成するために、KOを含有することが好ましい。
コイル部配置層2Aは、主成分として、ホウケイ酸ガラス成分を35〜60重量%含有し、石英成分を15〜35重量%含有し、残部にアモルファスシリカ成分を含有し、副成分として、アルミナを含有し、アルミナの含有量が、前記主成分100重量%に対して、0.5〜2.5重量%含有してもよい。コイル部配置層2Aは、焼成後において、SiOが86.7〜92.5重量%、Bが6.2〜10.7重量%、KOが0.7〜1.2重量%、Alが0.5〜2.4重量%の組成を有してもよい。ガラスセラミックスが、86.7〜92.5重量%のSiOと、0.5〜2.4重量%のAlを含有することによって、コイル導体4,5の表面の平滑性を一層向上させることができる。コイル部配置層2Aは、MgO、CaOを1.0重量%以下含有してもよい。コイル部配置層2Aが、86.7〜92.5重量%のSiOを含有することによって、コイル部配置層2Aの誘電率を小さくすることができる。コイル部配置層2Aが、0.5〜2.4重量%のAlを含有することによって、コイル部配置層2Aでの結晶転移を防止することができる。コイル部配置層2Aは、MgO、CaOを1.0重量%以下含有してもよい。
あるいは、コイル部配置層2Aは、主成分として、ホウケイ酸ガラス成分を35〜75重量%含有し、石英成分を5〜40重量%含有し、珪酸亜鉛成分を5〜60重量%含有してもよい。ホウケイ酸ガラスは主成分として、SiO=70〜90重量%、B=10〜30重量%、副成分として、KO、NaO、BaO、SrO、AlおよびCaOのうちの少なくとも1種以上を合計で5重量%以下含有してもよい。コイル部配置層2Aは、焼成後において、SiO=53.7〜89.5重量%、B=3.5〜22.5重量%、ZnO=3.0〜35.8重量%、KO、NaO、BaO、SrO、AlおよびCaOのうちの少なくとも1種以上を合計で3.8重量%以下の組成を有してもよい。
図2に示されるように、素体2が保形層2Bを有する構成とする場合は、素体2を次のような構成とすることが好ましい。すなわち、保形層2Bは、コイル部配置層2Aの端面のうち、積層方向において対向する端面2a及び端面2bの全面を覆うように形成されている。保形層2Bは、コイル部配置層2Aの焼結時の形状を保つ機能を有している。積層方向におけるコイル部配置層2Aの厚みは、例えば、0.1mm以上であり、積層方向における保形層2Bの厚みは5μm以上である。
保形層2Bは、主成分として、ガラス成分を50〜70重量%含有し、アルミナ成分を30〜50重量%含有してもよい。保形層2Bは、焼成後において、SiOが23〜42重量%、Bが0.25〜3.5重量%、Alが34.2〜58.8重量%、アルカリ土類金属酸化物12.5〜31.5重量%の組成を有し、該アルカリ土類金属酸化物中の60重量%以上(すなわち保形層2B全体の7.5〜31.5重量%)がSrOであってもよい。
素体2を図2のような構成とする場合、コイル部配置層2Aの軟化点は、保形層2Bの軟化点または融点よりも低く設定されていてもよい。具体的には、コイル部配置層2Aの軟化点は800〜1050℃であり、保形層2Bの軟化点または融点は1200℃以上であってもよい。コイル部配置層2Aの軟化点を低くすることによって、コイル部配置層2Aを非晶質にすることができる。保形層2Bの軟化点または融点を高くすることによって、焼成時に軟化点の低いコイル部配置層2Aが変形しないように形状を保持することができる。
SrOが含有されていると軟化点を下げることができないため、コイル部配置層2AにはSrOが含有されていないことが好ましい。ここで、SrOは拡散し難いため、焼成時に保形層2BのSrOがコイル部配置層2Aに拡散することは抑制される。コイル部配置層2AにSrOが含有されていなければ、低誘電率を示すSiOの含有率をコイル部配置層2Aにおいて相対的に多くすることができ、これによって誘電率を低くすることができる。従って、コイルのQ(quality factor)値を上げることができる。一方、保形層2BにはSrOが含有されている分、SiOの含有量がコイル部配置層2Aに比して少なくなるため、保形層2Bの誘電率が高くなる。しかし、保形層2Bにはコイル導体4,5は内包されておらず、コイルのQ値には影響を及ぼさない。コイル部配置層2AはSiOの含有量が高く強度が低いが、保形層2BはSiOの含有量が低く強度が高い。すなわち、保形層2Bは、焼成後にコイル部配置層2Aの補強層としても機能することができる。
ここで、図3(a)に示すように、素体が結晶質であると、当該素体の表面の凹凸の影響により、そこに接するコイル導体の表面も凹凸が大きくなる可能性があるのに対し、図3(b)に示すように、素体が非晶質であると、当該素体の滑らかな表面の影響により、そこに接するコイル導体の表面も滑らかになり、より好ましい。すなわち、素体を非晶質とすることがより好ましい。素体2が図2に示される構成の場合、素体2は完全な非昌質ではなくアルミナ成分が少量(0.5〜2.4重量%)含まれている分だけ、結晶質を一部含むが、極めて少量であるため、図3(b)のような滑らかな表面が得られる。
素体を非晶質とするために軟化点を低くする場合、図4(b)に示されるように、素体全体が軟化することによって素体の形状が丸まってしまい、形状が保てない場合がある。しかし、素体2として図2のような保形層2Bを有する構成を採用した場合、図4(a)に示されるように、素体2の形状を保つことができるため、好ましい。素体2として図2の構成を採用した場合、コイル部配置層2Aを非晶質とするために、軟化点が保形層2Bよりも低く設定しても、軟化点が低くされたコイル部配置層2Aは、保形層2Bによって挟まれているため、焼成時に丸まることなく、形が保たれる。保形層2Bを有していなくとも非晶質とできる場合は、図1のような構成としてもよい。素体が非晶質であることに限定されず、所望のコイル導体の粒径が得られる限り、結晶質であってもよい。
コイル部3は、巻線部に係るコイル導体4と、外部電極6と接続される引出部に係るコイル導体5とを有している。コイル導体4,5は、例えば銀、銅及びニッケルのいずれかを主成分とした導体ペーストによって形成される。素体2が図2に示される構成の場合には、コイル部3は、コイル部配置層2Aの内部にのみ配置され、保形層2Bの中には配置されない。コイル部3のいずれのコイル導体4,5も保形層2Bと接触していない。積層方向におけるコイル部3の両端部は、保形層2Bから離間しており、当該コイル部3と保形層2Bとの間にはコイル部配置層2Aのセラミックが配置される。巻線部に係るコイル導体4は、コイル部配置層2Aを形成するセラミックグリーンシート上に、導体ペーストにて所定の巻線の導体パターンを形成することで構成される。各層の導体パターンは、スルーホール導体によって積層方向に電気的に接続される。引出部に係るコイル導体5は、巻線パターンの端部を外部電極6まで引き出すような導体パターンによって構成される。巻線部のコイルパターンや、巻線数や、引出部の引出し位置などは、特に限定されない。
コイル部3のコイル導体4,5の周りには、当該コイル導体4,5を覆うK(カリウム)の被覆層7が形成されている。この被覆層7は、コイル部配置層2Aを形成する焼成前のセラミックグリーンシートにカリウムを含有させることで、焼成時にカリウムがコイル導体4,5の周りに集まることによって形成される。
コイル導体4,5の焼成後の粒径は、10μm〜22μmであることが好ましく、11μm〜18μmであることがより好ましい。コイル導体4,5の粒径を22μm以下とすることによって、コイル導体4,5を構成する金属(例えば銀)の融解により断線や引出部の引込み等が発生することを抑制することができる。
表面抵抗を下げるべく、コイル導体4,5の表面粗さを小さくすることが好ましい。コイル導体4,5の粒径を10μm以上とすることによって、表面粗さを小さくし、高周波でQ値を高くすることができる。表面粗さが1%、5%、8%及び18%の場合の、コイル導体断面のSIM(Scanning Ion Microscopy)像の例を図5に示す。本実施形態では、導体断面のうちコイル導体と素体との境界部分について、コイル導体の凹凸の高さと凹凸の幅を測定し、凹凸の幅に対する凹凸の高さの百分率を取得し、このような凹凸を100箇所以上サンプリングして統計処理し、当該百分率の平均値を表面粗さとした。
コイル導体4,5内には、その長手方向に沿って複数の空孔H(図6参照)が並んで存在している。これらの空孔Hは、コイル導体4,5の内部にのみ存在しており、コイル導体4,5の表面とは連通していない。コイル導体4,5内には、コイル導体4,5の表面と連通する孔(図示せず)もごく僅かに存在し得るが、本発明における「空孔」とは、コイル導体4,5の内部にのみ存在し且つコイル導体4,5の表面とは連通していない空孔Hのみをいう。コイル導体4,5の表面は、素体2(コイル部配置層2A)とほぼ密着している。
本実施形態において、長手方向に直交する平面でのコイル導体4,5の断面積(コイル導体4,5としての実体がある領域の面積)に対する空孔Hの面積(コイル導体4,5としての実体がない領域の面積)の割合を示す空孔率の、コイル導体4,5の一端から他端までの平均値である平均空孔率は、15%以上である。図7及び表1に、空孔率に対し、巻線型コイル部品とのQ値の乖離の大きさの関係を示す。平均空孔率が3.63%のときの当該乖離の大きさは−10.5%であり、平均空孔率が6.26%のときの当該乖離の大きさは−6.81%であり、平均空孔率が7.26%のときの当該乖離の大きさは−4.51%であり、平均空孔率が15.3%のときの当該乖離の大きさは0.76%であり、平均空孔率が17.8%のときの当該乖離の大きさは2.31%である。図7に示されるように、平均空孔率が15%以上である場合、積層型コイル部品1においても巻線型コイル部品と同等以上のQ値を得ることができる。平均空孔率が17%以上であると、巻線型コイル部品をさらに上回るQ値が得られるため、より好ましい。
長手方向に直交する平面でのコイル導体4,5の周囲長は、積層型コイル部品1が0402形状の場合には60μm〜80μm程度に設定でき、積層型コイル部品1が0603形状の場合には70μm〜90μm程度に設定でき、積層型コイル部品1が1005形状の場合には190μm〜240μm程度に設定できる。長手方向に直交する平面でのコイル導体4,5の幅に対する高さ(アスペクト比)は、0.3〜1.0程度に設定できる。
一対の外部電極6は、素体2の端面のうち、積層方向と直交する方向において対向する両端面を覆うように形成されている。各外部電極6は、当該両端面全体を覆うように形成されていると共に、一部が当該両端面から他の四面へ回り込んでいてもよい。各外部電極6は、例えば銀、銅及びニッケルのいずれかを主成分とした導体ペーストを、スクリーン印刷するか、あるいは印刷とディップ方式を用いて形成する。
次に、上述した構成の積層型コイル部品1の製造方法について説明する。
まず、コイル部配置層2Aを形成するセラミックグリーンシートを用意する。上述のような組成となるように、セラミックのペーストを調整し、ドクターブレード法などによりシート成型することで、各セラミックグリーンシートを用意する。図2のような構成とする場合、保形層2Bを形成するセラミックグリーンシートも用意する。
コイル導体4,5を形成する導電性ペーストを用意する。この導電性ペーストには、所定の粒度特性を有する銀、ニッケル又は銅を主成分とする導体粉を含ませる。具体的に、導体粉として、平均粒径1μm〜3μm、標準偏差0.7μm〜1.0μmのものを用いる。なお、このような粒度特性の導体粉を得るために分級を行ってもよい。
続いて、コイル部配置層2Aとなる各セラミックグリーンシートの所定の位置、すなわちスルーホール電極が形成される予定の位置に、レーザー加工等によってスルーホールをそれぞれ形成する。次に、コイル部配置層2Aとなる各セラミックグリーンシートの上に、各導体パターンをそれぞれ形成する。各導体パターン及び各スルーホール電極は、銀又はニッケルなどを含んだ導電性ペーストを用いてスクリーン印刷法により形成される。次に、所定温度(例えば、100〜150°程度)にて所定時間(例えば、1〜2時間程度)導電性ペーストを熱処理することで、脱バインダを行う。この際、バインダの一部が残留炭素として導電性ペースト内に残留する。
続いて、各セラミックグリーンシートを積層する。図2のような構成とする場合、保形層2Bとなるセラミックグリーンシートの上にコイル部配置層2Aとなるセラミックグリーンシートを積み重ね、その上から保形層2Bとなるセラミックグリーンシートを重ねる。なお、底部と上部に形成される保形層2Bは、それぞれ一枚のセラミックグリーンシートによって形成されてもよく、複数枚のセラミックグリーンシートによって形成されてもよい。次に、積層方向に圧力を加えて各セラミックグリーンシートを圧着する。
続いて、この積層された積層体を、例えば、900〜940℃、10〜60分にて焼成を行い、素体2を形成する。コイル導体の粒径の目標粒径を10μm〜22μmとして、焼成条件を調整する。この際、導電性ペースト内に残留した残留炭素がガス化して膨張するが、導電性ペーストに含まれる金属粉末が先に焼結してコイル導体4,5内にガスが留まりやすくなっている。コイル部配置層2Aとなるセラミックグリーンシートがガラス系の材料であるため、ガスの膨張に伴いコイル部配置層2Aも変形しやすくなっている。こうして、コイル導体4,5内に留まったガスにより、コイル導体4,5内に比較的大きな空孔Hが形成され、コイル導体4,5において平均空孔率が15%以上となる。図2のような構成とする場合、設定される焼成温度は、コイル部配置層2Aの軟化点以上であって、保形層2Bの軟化点または融点未満に設定する。このとき、保形層2Bはコイル部配置層2Aの形状を保つ。
続いて、この素体2に外部電極6を形成する。これにより、積層型コイル部品1が形成される。外部電極6は、素体2の長手方向の両端面にそれぞれ銀、ニッケル又は銅を主成分とする電極ペーストを塗布して、所定温度(例えば、600〜700℃程度)で焼付けを行い、さらに電気めっきを施すことにより形成される。この電気めっきとしては、Cu、Ni及びSn等を用いることができる。
以上のような本実施形態に係る積層型コイル部品において、空孔率に応じて高いQ値が得られる理由は、次のように考察される。空孔率が大きくなることに伴い、空孔H及びコイル導体4,5の合計の断面積が大きくなるので、コイル導体4,5の外形の大きさが大きくなる。そのため、長手方向に直交する平面でのコイル導体4,5の周囲長が長くなる。つまり、空孔Hの有無や空孔Hの大小に応じてコイル導体4,5の輪郭が変化し、空孔Hが大きいほどコイル導体4,5の外形が大きくなる。導体に高周波電流が流れる場合には、表皮効果によって導体の表面近傍にしか電流が流れないため、当該周囲長が長くなることは電流が流れる断面積の増加に繋がる。従って、コイル導体4,5の抵抗が小さくなる。Q値はコイル導体4,5の抵抗の大きさに反比例するため、コイル導体4,5の低抵抗化に伴い高いQ値が得られる。特に、平均空孔率を15%以上とすることで、巻線型コイル部品よりも安価に製造できる積層型コイル部品1においても、巻線型コイル部品と同等以上のQ値を得ることができる。
ところで、コイル導体4,5の周囲長を長くするために、セラミックグリーンシート上に導体ペーストを厚く塗布することも考えられる。しかしながら、セラミックグリーンシート上に導体ペーストを厚く塗布すると、導体ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを複数積層して圧着する際に、隣り合うセラミックグリーンシートの段差が大きくなって、セラミックグリーンシート同士の圧着不良が生ずる虞がある。セラミックグリーンシート上に導体ペーストを厚く塗布することで、使用する導体ペーストの量が増えて、高コストになってしまう。しかしながら、本実施形態では、コイル導体4,5の平均空孔率が高くなるように積層型コイル部品1を製造しているので、セラミックグリーンシート上に導体ペーストを厚く塗布することなくコイル導体4,5の周囲長を長くできる。そのため、本実施形態に係る積層型コイル部品1では、セラミックグリーンシート同士の圧着不良が生じ難くなっていると共に、製造コストの抑制が可能となっている。
コイルのQ値を上げるためには、コイル導体の表面の平滑性を上げることも好適である。上記のとおり、導体に高周波電流が流れる場合には、表皮効果によって導体の表面近傍にしか電流が流れないため(周波数が高くなれば高くなるほど表皮深さが浅くなるため)、高周波の場合は、コイル導体の表面の平滑性がQ値に影響を与えるためである。例えば、図8(b)に示すようにコイル導体の表面の平滑性が低く、凹凸が形成されていた場合、コイル導体の表面抵抗が上がり、コイルのQ値が下がってしまう。一方、図8(a)のようにコイル導体の表面の平滑性が高ければ、コイル導体の表面抵抗が下がり、コイルのQ値を上げることができる。そこで、本実施形態では、焼成後のコイル導体4,5の粒径を10μm以上とすることにより、コイル導体4,5の表面粗さを小さくしている。
ここで、表皮深さdと周波数fとの関係を式(1)に示す。式(1)において、ρは導体の抵抗率、σは導電率(σ=1/ρ)、ωは電流の角速度(ω=2πf)、μは導体の透磁率、πは円周率である。
導体が銀である場合には、式(1)によれば、周波数f=0.1GHzのとき表皮深さd=6.44μmとなり、周波数f=0.5GHzのとき表皮深さd=2.88μmとなり、周波数f=1.0GHzのとき表皮深さd=2.04μmとなり、周波数f=3.0GHzのとき表皮深さd=1.18μmとなる。よって、コイル導体4,5が銀を主成分とする場合、1GHz以上の高周波数領域においては、コイル導体4,5の表面から2.04μmよりも中心側の範囲に空孔Hが存在していることが好ましい。
本実施形態では、積層型コイル部品1において、コイル導体4,5を覆うカリウムの被覆層7が形成されている。コイル導体4,5の周りにカリウムが存在する場合、当該コイル導体4,5の周りの素体2の軟化点を下げることができ、焼成時に当該領域の素体2が軟化して平滑になり易くなる。これに伴って、そこに接するコイル導体4,5の表面も平滑にすることができる。また、コイル導体4,5をカリウムの被覆層7で覆って保護することで、コイル導体4,5とガラスセラミックスとの境界付近でクラックが生じることを防止することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態では、一つのコイル部を有する積層型コイル部品を例示したが、例えば、アレイ状に複数のコイル部を有するものであってもよい。
1…積層型コイル部品、2…素体、2A…コイル部配置層、2B…保形層、3…コイル部、4,5…コイル導体、6…外部導体。

Claims (1)

  1. 複数の絶縁体層を積層することによって形成される素体と、
    複数のコイル導体が電気的に接続されることによって前記素体の内部に形成されるコイル部とを備え、
    前記コイル導体内には、その長手方向に沿って複数の空孔が並んで存在しており、
    前記長手方向に直交する平面での前記コイル導体の断面積に対する空孔の面積の割合を示す空孔率の、前記コイル導体の一端から他端までの平均値である平均空孔率が、15%以上である、積層型コイル部品。
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