JP2014043541A - 有機発光素子ならびにそれに用いる発光材料および化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光効率が高い有機発光素子を提供する。
【解決手段】下記一般式で表される化合物を発光層に有する有機発光素子。

[R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表し、R1〜R5の少なくとも1つは置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表し、残りのR1〜R5は水素原子または置換基を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、発光効率が高い有機発光素子に関する。また、その有機発光素子に用いる発光材料と化合物にも関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの有機発光素子の発光効率を高める研究が盛んに行われている。特に、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する電子輸送材料、正孔輸送材料、発光材料などを新たに開発して組み合わせることにより、発光効率を高める工夫が種々なされてきている。その中には、カルバゾール構造やインドール構造を含む化合物を利用した有機エレクトロルミネッセンス素子に関する研究も見受けられ、これまでにも幾つかの提案がなされてきている。
例えば、特許文献1には、下記の一般式で表されるカルバゾール構造とインドール構造を含む化合物を有機発光素子の発光層のホスト材料として用いることが記載されている。下記の一般式において、mおよびnはそれぞれ1〜5の整数であり、mとnの和は2〜6の整数であり、Xは置換基を有していてもよいm+n価の有機基であり、R1〜R14は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基または複素環基であると規定されている。
また、特許文献2には、カルバゾール構造を2つ以上含む化合物を有機発光素子の発光層のホスト材料として用いることが記載されている。さらに、特許文献3には、インドール構造を2つ以上含む化合物を有機発光素子の発光層のホスト材料として用いることが記載されている。
特開2005−174917号公報 特開2009−94486号公報 特開2009−76834号公報
このようにカルバゾール構造やインドール構造を含む化合物については、これまで種々の検討がなされており、有機エレクトロルミネッセンス素子への応用に関する幾つかの提案もなされている。しかしながら、従来提案されている有機エレクトロルミネッセンス素子では、カルバゾール構造やインドール構造を含む化合物を発光層のホスト材料として使用することを提案するものである。また、その発光効率は必ずしも高くない。しかも、カルバゾール構造やインドール構造を含む化合物は、そのすべてについて網羅的な研究がされ尽くされているとは言えない。特に、カルバゾール構造やインドール構造を含む化合物の発光材料としての有用性や、カルバゾール構造またはインドール構造を含み、さらにシアノ基を複数含む化合物の有用性については、ほとんど検討が試みられていない。また、これまでの研究では、カルバゾール構造やインドール構造を含む化合物の化学構造とその化合物の発光材料としての有用性の間に明確な関係が見出されるに至っておらず、化学構造に基づいて発光材料としての有用性を予測することは困難な状況にある。本発明者らはこれらの課題を考慮して、カルバゾール構造やインドール構造等を含むシアノベンゼン誘導体について、その有機発光素子の発光材料としての有用性を評価することを目的として検討を進めた。また、発光材料として有用な化合物の一般式を導きだし、発光効率が高い有機発光素子の構成を一般化することも目的として鋭意検討を進めた。
上記の目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、カルバゾール構造やインドール構造等を含む特定のシアノベンゼン誘導体が有機エレクトロルミネッセンス素子の発光材料として極めて有用であることを明らかにした。特に、カルバゾール構造やインドール構造等を含むシアノベンゼン誘導体の中に、遅延蛍光材料として有用な化合物があることを見出し、発光効率が高い有機発光素子を安価に提供しうることを明らかにした。本発明者らは、これらの知見に基づいて、上記の課題を解決する手段として、以下の本発明を提供するに至った。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物からなる発光材料。
[一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表し、R1〜R5の少なくとも1つは下記一般式(11)で表される基を表し、残りのR1〜R5は水素原子または置換基を表す。]
[一般式(11)において、R21〜R28は、各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、下記<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。
<A> R25およびR26は一緒になって単結合を形成する。
<B> R27およびR28は一緒になって置換もしくは無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。]
[2] 遅延蛍光を放射することを特徴とする[1]に記載の発光材料。
[3] R1〜R5の少なくとも1つが置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表すことを特徴とする[1]または[2]に記載の発光材料。
[4] R1〜R5の少なくとも2つが置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表すことを特徴とする[1]または[2]に記載の発光材料。
[5] R1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかを表すことを特徴とする[1]または[2]に記載の発光材料。
[6] R1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立に置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかを表すことを特徴とする[1]または[2]に記載の発光材料。
[7] R1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基であることを特徴とする[1]または[2]に記載の発光材料。
[8] R1〜R5の少なくとも1つがヒドロキシ基であり、R1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基であることを特徴とする[1]または[2]に記載の発光材料。
[9] R1〜R5の少なくとも1つが下記一般式(12)〜(15)のいずれかで表される基であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の発光材料。
[一般式(12)において、R31〜R38は、各々独立に水素原子または置換基を表す。]
[一般式(13)において、R41〜R46は、各々独立に水素原子または置換基を表す。]
[一般式(14)において、R51〜R62は、各々独立に水素原子または置換基を表す。]
[一般式(15)において、R71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。]
[10] 下記一般式(2)で表される化合物からなる[1]〜[9]のいずれか1項に記載の発光材料。
[一般式(2)において、R11、R12、R14およびR15の少なくとも1つはシアノ基を表し、R11〜R15の少なくとも3つは置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表し、残りのR11〜R15はヒドロキシ基を表す。]
[11] 下記一般式(3)で表される化合物からなる[1]〜[9]のいずれか1項に記載の発光材料。
[一般式(3)において、R81〜R85の1つはシアノ基であり、R81〜R85の2つは置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基であり、その他の2つは水素原子を表す。]
[12] 上記一般式(2)で表される化合物。
[13] [1]〜[11]のいずれか1項に記載の発光材料を含む発光層を基板上に有することを特徴とする有機発光素子。
[14] 遅延蛍光を放射することを特徴とする[13]に記載の有機発光素子。
[15] 有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする[13]または[14]に記載の有機発光素子。
[16] 上記一般式(1)で表される構造を有する遅延蛍光体。
本発明の有機発光素子は、発光効率が高いという特徴を有する。また、本発明の遅延蛍光材料は、有機発光素子の発光層として利用したときに有機発光素子に遅延蛍光を放射させ、発光効率を飛躍的に高めることができるという特徴を有する。さらに、本発明の化合物は、これらの有機発光素子の発光材料として極めて有用である。
有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。 実施例1の化合物1のトルエン溶液の時間分解スペクトルである。 実施例2の化合物1を用いた有機フォトルミネッセンス素子の温度による発光寿命の変化を示すグラフである。 実施例3の化合物1を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電圧特性を示すグラフである。 実施例3の化合物1を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。 実施例4の化合物6を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。 実施例5の化合物301を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。 実施例6の化合物501を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電圧特性を示すグラフである。 実施例6の化合物501を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。 実施例7の化合物252を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルである。 実施例7の化合物252を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電圧特性を示すグラフである。 実施例7の化合物252を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。 実施例8の化合物523を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルである。 実施例8の化合物523を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電圧特性を示すグラフである。 実施例8の化合物523を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。 実施例9の化合物31を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の発光スペクトルである。 実施例9の化合物31を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の電流密度−電圧特性を示すグラフである。 実施例9の化合物31を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の外部量子効率−電流密度特性を示すグラフである。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[一般式(1)で表される化合物]
本発明の発光材料は、下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とする。また、本発明の有機発光素子は、下記一般式(1)で表される化合物を発光層の発光材料として含むことを特徴とする。そこで、一般式(1)で表される化合物について、まず説明する。
一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表す。いずれか1つがシアノ基である場合は、R1〜R3のいずれであってもよい。いずれか2つがシアノ基である場合は、R1とR3の組み合わせや、R2とR4の組み合わせを例示することができる。いずれか3つがシアノ基である場合は、R1とR3とR4の組み合わせを例示することができる。
一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つは下記一般式(11)で表される基を表す。2つ以上が一般式(11)で表される基を表すとき、それらは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることがより好ましい。
一般式(11)において、R21〜R28は、各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、下記<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。両方とも満たしている場合がより好ましい。
<A> R25およびR26は一緒になって単結合を形成する。
<B> R27およびR28は一緒になって置換もしくは無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。
一般式(11)で表される基は、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基であることが好ましい。すなわち、一般式(1)のR1〜R5のいずれか1つは、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基であることが好ましい。一般式(1)のR1〜R5のいずれか2つ以上が、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基であることがより好ましい。
一般式(11)で表される基は、例えば下記一般式(12)〜(15)のいずれかで表される構造を有するものであることが好ましい。特に下記一般式(12)で表される構造を有するものであることが好ましい。
一般式(12)〜(15)において、R31〜R38、R41〜R46、R51〜R62およびR71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。一般式(12)〜(15)で表される基が置換基を有するときの置換位置や置換数は特に制限されない。各基の置換数は、0〜6個が好ましく、0〜4個がより好ましく、例えば0〜2個とすることも好ましい。複数の置換基を有するとき、それらは互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることがより好ましい。
一般式(12)で表される基が置換基を有する場合は、R32〜R37のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R32とR37が置換基である場合、R33とR36が置換基である場合、R34とR35が置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(13)で表される基が置換基を有する場合は、R42〜R46のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R42が置換基である場合と、R43が置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(14)で表される基が置換基を有する場合は、R52〜R60のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R52〜R54のいずれかがが置換基である場合、R55〜R60のいずれかが置換基である場合を好ましく例示することができる。
一般式(15)で表される基が置換基を有する場合は、R72〜R74およびR77〜R79のいずれかが置換基であることが好ましい。例えば、R72とR79が置換基である場合、R73とR78が置換基である場合、R74とR77が置換基である場合、R72、R74、R77およびR79が置換基である場合を好ましく例示することができる。特に、R74とR77が置換基である場合、R72、R74、R77およびR79が置換基である場合をより好ましく例示することができる。このときの置換基は、各々独立に炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、または炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基であることが特に好ましく、炭素数1〜6の無置換のアルキル基、炭素数6〜10の無置換のアリール基、または炭素数6〜10のアリール基で置換された炭素数6〜10のアリール基であることがさらにより好ましい。
一般式(11)のR21〜R28、一般式(12)のR31〜R38、一般式(13)のR41〜R46、一般式(14)のR51〜R62および、一般式(15)のR71〜R80がとりうる置換基として、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数12〜40のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、炭素数12〜40の置換もしくは無置換のカルバゾリル基である。さらに好ましい置換基は、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。
本明細書でいうアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。アリール基は、単環でも融合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アルコキシ基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソプロピポキシ基を挙げることができる。ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基は、各々独立に直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、より好ましくは炭素数1〜6であり、具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基を挙げることができる。アリール基は、単環でも融合環でもよく、具体例としてフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。ヘテロアリール基も、単環でも融合環でもよく、具体例としてピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、トリアジル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基を挙げることができる。これらのヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して結合する基であっても、ヘテロアリール環を構成する炭素原子を介して結合する基であってもよい。
一般式(1)において、R1〜R5のいずれか1つが一般式(11)で表される基である場合は、R1〜R3のいずれであってもよい。いずれか2つが一般式(11)で表される基である場合は、R1とR3の組み合わせや、R2とR4の組み合わせを例示することができる。いずれか3つが一般式(11)で表される基である場合は、R1とR3とR4の組み合わせを例示することができる。
一般式(11)で表される基が結合しているベンゼン環の2つのオルト位のうちのいずれか一方はシアノ基であることが好ましい。2つのオルト位の両方がシアノ基であってもよい。また、ベンゼン環に一般式(11)で表される基が2つ以上結合している場合は、それらのうちの少なくとも2つが、一般式(11)で表される基が結合しているベンゼン環の2つのオルト位のうちのいずれか一方はシアノ基であるという条件を満たしていることが好ましい。
一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表し、R1〜R5の少なくとも1つは上記一般式(11)で表される基を表すが、残りのR1〜R5は水素原子または置換基を表す。
1〜R5がとりうる好ましい置換基として、例えばヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル置換アミノ基、炭素数2〜20のアシル基、炭素数6〜40のアリール基、炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、アミド基、炭素数2〜10のアルキルアミド基、炭素数3〜20のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のトリアルキルシリルアルキル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルケニル基、炭素数5〜20のトリアルキルシリルアルキニル基およびニトロ基等が挙げられる。これらの具体例のうち、さらに置換基により置換可能なものは置換されていてもよい。より好ましい置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。さらに好ましい置換基は、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルコキシ基、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のジアルキルアミノ基、炭素数6〜15の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数3〜12の置換もしくは無置換のヘテロアリール基である。さらになお好ましくは、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子である。
一般式(1)において、R1〜R5のうち水素原子であるものは3つ以下であることが好ましく、2つ以下であることがより好ましく、1つ以下であることがさらに好ましく、0であることも好ましい。
好ましい組み合わせとして、例えば、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかである場合を挙げることができる。別の好ましい組み合わせとして、R1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立に置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかである場合を挙げることもできる。別の好ましい組み合わせとして、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基のいずれかである場合を挙げることもできる。別の好ましい組み合わせとして、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基である場合を挙げることもできる。別の好ましい組み合わせとして、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、R1〜R5の少なくとも1つがヒドロキシ基であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基である場合を挙げることもできる。別の好ましい組み合わせとして、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、R1〜R5の少なくとも1つがハロゲン原子であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基である場合を挙げることもできる。
以下において、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明において用いることができる一般式(1)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下の例示化合物において、一般式(12)〜(15)のいずれかで表される基が分子内に2つ以上存在している場合、それらの基はすべて同一の構造を有する。例えば、表1の化合物1では、一般式(1)のR1、R2、R4およびR5が一般式(12)で表される基であるが、それらの基はいずれも無置換の9−カルバゾリル基である。
一般式(1)で表される化合物の分子量は、例えば一般式(1)で表される化合物を含む有機層を蒸着法により製膜して利用することを意図する場合には、1500以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、800以下であることがさらにより好ましい。分子量の下限値は、通常247以上であり、好ましくは290以上である。
本発明を応用して、分子内に一般式(1)で表される構造を複数個含む化合物を、有機発光素子の発光層に用いることも考えられる。
例えば、一般式(1)で表される構造を有する重合性モノマーを重合させた重合体を、有機発光素子の発光層に用いることが考えられる。具体的には、一般式(1)のR1〜R5のいずれかに重合性官能基を有するモノマーを用意して、これを単独で重合させるか、他のモノマーとともに共重合させることにより、繰り返し単位を有する重合体を得て、その重合体を有機発光素子の発光層に用いることが考えられる。あるいは、一般式(1)で表される構造を有する化合物どうしをカップリングさせることにより、二量体や三量体を得て、それらを有機発光素子の発光層に用いることも考えられる。
一般式(1)で表される構造を含む重合体を構成する繰り返し単位の構造例として、一般式(1)のR1〜R5のいずれかが下記一般式(17)または(18)で表される構造であるものを挙げることができる。
一般式(17)および(18)において、L1およびL2は連結基を表す。連結基の炭素数は、好ましくは0〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは2〜10である。連結基は−X11−L11−で表される構造を有するものであることが好ましい。ここで、X11は酸素原子または硫黄原子を表し、酸素原子であることが好ましい。L11は連結基を表し、置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基であることが好ましく、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のフェニレン基であることがより好ましい。
一般式(17)および(18)において、R101、R102、R103およびR104は、各々独立に置換基を表す。好ましくは、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の無置換のアルキル基、炭素数1〜3の無置換のアルコキシ基である。
繰り返し単位の具体的な構造例として、一般式(1)のR1〜R5のいずれかが下記式(21)〜(24)であるものを挙げることができる。R1〜R5のうちの2つ以上が、下記式(21)〜(24)であってもよいが、好ましいのはR1〜R5のうちの1つが下記式(21)〜(24)のいずれかである場合である。
これらの式(21)〜(24)を含む繰り返し単位を有する重合体は、一般式(1)のR1〜R5の少なくとも1つをヒドロキシ基にしておき、それをリンカーとして下記化合物を反応させて重合性基を導入し、その重合性基を重合させることにより合成することができる。
分子内に一般式(1)で表される構造を含む重合体は、一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位のみからなる重合体であってもよいし、それ以外の構造を有する繰り返し単位を含む重合体であってもい。また、重合体の中に含まれる一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位は、単一種であってもよいし、2種以上であってもよい。一般式(1)で表される構造を有さない繰り返し単位としては、通常の共重合に用いられるモノマーから誘導されるものを挙げることができる。例えば、エチレン、スチレンなどのエチレン性不飽和結合を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を挙げることができる。
[一般式(2)で表される化合物]
一般式(1)で表される化合物のうち、下記の一般式(2)で表される構造を有する化合物は新規化合物である。
一般式(2)において、R11、R12、R14およびR15の少なくとも1つはシアノ基であり、R11〜R15の少なくとも3つは置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基であり、残りのR11〜R15はヒドロキシ基を表す。
一般式(2)におけるR11〜R15の中では、R11とR12のいずれか一方がシアノ基であることが好ましい。R11〜R15の少なくとも3つは上記9−カルバゾリル基等であるが、これら3つの置換基は同一であっても異なっていてもよい。好ましいのはすべてが同一である場合である。R11〜R15の少なくとも3つは、上記一般式(12)〜(15)のいずれかで表される構造を有する基であることが好ましい。一般式(12)〜(15)の具体例と好ましい範囲については、上記一般式(1)における対応する記載を参照することができる。一般式(2)のR11〜R15のうちヒドロキシ基であるものはゼロまたは1つである。1つがヒドロキシ基である場合、それはR14であることが好ましい。例えば、R12がシアノ基であって、R14がヒドロキシ基である場合を挙げることができる。
一般式(2)で表される化合物の合成法は特に制限されない。一般式(2)で表される化合物の合成は、既知の合成法や条件を適宜組み合わせることにより行うことができる。
例えば、好ましい合成法として、テトラフルオロジシアノベンゼンを用意して、これをカルバゾール、インドール、ジアリールアミン等と反応させる方法を挙げることができる。これによって、一般式(2)のR11〜R15のいずれか1つがシアノ基で、残りがカルバゾリル基、インドリル基またはジアリールアミノ基である化合物を合成することができる。出発物質としてトリフルオロトリシアノベンゼンを用いれば、一般式(2)のR11〜R15のいずれか2つがシアノ基で、残りがカルバゾリル基、インドリル基またはジアリールアミノ基である化合物を合成することができる。また、さらに水を添加して超音波照射する等の工程を実施することにより、ベンゼン環にヒドロキシ基を導入することもできる。
上記の反応の詳細については、後述の合成例を参考にすることができる。また、一般式(2)で表される化合物は、その他の公知の合成反応を組み合わせることによっても合成することができる。
[一般式(3)で表される化合物]
一般式(1)で表される化合物のうち、下記の一般式(3)で表される構造を有する化合物は青色発光材料として有用である。
一般式(3)において、R81〜R85の1つはシアノ基であり、R81〜R85の2つは置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基であり、その他の2つは水素原子を表す。
以下において、一般式(3)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明において用いることができる一般式(3)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。以下の具体例におけるCzは、9−カルバゾリル基を表す。Czが、3−メチルカルバゾール−9−イル基または3,6−ジメチルカルバゾール−9−イル基である化合物も例示することができる。
[有機発光素子]
本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光材料として有用である。このため、本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光層に発光材料として効果的に用いることができる。一般式(1)で表される化合物の中には、遅延蛍光を放射する遅延蛍光材料(遅延蛍光体)が含まれている。すなわち本発明は、一般式(1)で表される構造を有する遅延蛍光体の発明と、一般式(1)で表される化合物を遅延蛍光体として使用する発明と、一般式(1)で表される化合物を用いて遅延蛍光を発光させる方法の発明も提供する。そのような化合物を発光材料として用いた有機発光素子は、遅延蛍光を放射し、発光効率が高いという特徴を有する。その原理を、有機エレクトロルミネッセンス素子を例にとって説明すると以下のようになる。
有機エレクトロルミネッセンス素子においては、正負の両電極より発光材料にキャリアを注入し、励起状態の発光材料を生成し、発光させる。通常、キャリア注入型の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、生成した励起子のうち、励起一重項状態に励起されるのは25%であり、残り75%は励起三重項状態に励起される。従って、励起三重項状態からの発光であるリン光を利用するほうが、エネルギーの利用効率が高い。しかしながら、励起三重項状態は寿命が長いため、励起状態の飽和や励起三重項状態の励起子との相互作用によるエネルギーの失活が起こり、一般にリン光の量子収率が高くないことが多い。一方、遅延蛍光材料は、系間交差等により励起三重項状態へとエネルギーが遷移した後、三重項−三重項消滅あるいは熱エネルギーの吸収により、励起一重項状態に逆系間交差され蛍光を放射する。有機エレクトロルミネッセンス素子においては、なかでも熱エネルギーの吸収による熱活性化型の遅延蛍光材料が特に有用であると考えられる。有機エレクトロルミネッセンス素子に遅延蛍光材料を利用した場合、励起一重項状態の励起子は通常通り蛍光を放射する。一方、励起三重項状態の励起子は、デバイスが発する熱を吸収して励起一重項へ系間交差され蛍光を放射する。このとき、励起一重項からの発光であるため蛍光と同波長での発光でありながら、励起三重項状態から励起一重項状態への逆系間交差により、生じる光の寿命(発光寿命)は通常の蛍光やりん光よりも長くなるため、これらよりも遅延した蛍光として観察される。これを遅延蛍光として定義できる。このような熱活性化型の励起子移動機構を用いれば、キャリア注入後に熱エネルギーの吸収を経ることにより、通常は25%しか生成しなかった励起一重項状態の化合物の比率を25%以上に引き上げることが可能となる。100℃未満の低い温度でも強い蛍光および遅延蛍光を発する化合物を用いれば、デバイスの熱で充分に励起三重項状態から励起一重項状態への系間交差が生じて遅延蛍光を放射するため、発光効率を飛躍的に向上させることができる。
本発明の一般式(1)で表される化合物を発光層の発光材料として用いることにより、有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの優れた有機発光素子を提供することができる。有機フォトルミネッセンス素子は、基板上に少なくとも発光層を形成した構造を有する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子阻止層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層、励起子阻止層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。なお、基板と発光層の説明は有機フォトルミネッセンス素子の基板と発光層にも該当する。
(基板)
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英、シリコンなどからなるものを用いることができる。
(陽極)
有機エレクトロルミネッセンス素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが好ましく用いられる。このような電極材料の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な材料を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
(陰極)
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極材料とするものが用いられる。このような電極材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陽極の説明で挙げた導電性透明材料を陰極に用いることで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
(発光層)
発光層は、陽極および陰極のそれぞれから注入された正孔および電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光材料を単独で発光層に使用しても良いが、好ましくは発光材料とホスト材料を含む。発光材料としては、一般式(1)で表される本発明の化合物群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子および有機フォトルミネッセンス素子が高い発光効率を発現するためには、発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、発光材料中に閉じ込めることが重要である。従って、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いることが好ましい。ホスト材料としては、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が本発明の発光材料よりも高い値を有する有機化合物を用いることができる。その結果、本発明の発光材料に生成した一重項励起子および三重項励起子を、本発明の発光材料の分子中に閉じ込めることが可能となり、その発光効率を十分に引き出すことが可能となる。本発明の有機発光素子または有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光は発光層に含まれる本発明の発光材料から生じる。この発光は蛍光発光および遅延蛍光発光の両方を含む。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもかまわない。
ホスト材料を用いる場合、発光材料である本発明の化合物が発光層中に含有される量は0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、また、50重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
発光層におけるホスト材料としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する有機化合物であることが好ましい。
(注入層)
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層または正孔輸送層の間、および陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
(阻止層)
阻止層は、発光層中に存在する電荷(電子もしくは正孔)および/または励起子の発光層外への拡散を阻止することができる層である。電子阻止層は、発光層および正孔輸送層の間に配置されることができ、電子が正孔輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。同様に、正孔阻止層は発光層および電子輸送層の間に配置されることができ、正孔が電子輸送層の方に向かって発光層を通過することを阻止する。阻止層はまた、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止するために用いることができる。すなわち電子阻止層、正孔阻止層はそれぞれ励起子阻止層としての機能も兼ね備えることができる。本明細書でいう電子阻止層または励起子阻止層は、一つの層で電子阻止層および励起子阻止層の機能を有する層を含む意味で使用される。
(正孔阻止層)
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は電子を輸送しつつ、正孔が電子輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。正孔阻止層の材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
(電子阻止層)
電子阻止層とは、広い意味では正孔を輸送する機能を有する。電子阻止層は正孔を輸送しつつ、電子が正孔輸送層へ到達することを阻止する役割があり、これにより発光層中での電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
(励起子阻止層)
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。すなわち、励起子阻止層を陽極側に有する場合、正孔輸送層と発光層の間に、発光層に隣接して該層を挿入することができ、陰極側に挿入する場合、発光層と陰極との間に、発光層に隣接して該層を挿入することができる。また、陽極と、発光層の陽極側に隣接する励起子阻止層との間には、正孔注入層や電子阻止層などを有することができ、陰極と、発光層の陰極側に隣接する励起子阻止層との間には、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層などを有することができる。阻止層を配置する場合、阻止層として用いる材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーの少なくともいずれか一方は、発光材料の励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーよりも高いことが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。使用できる電子輸送層としては例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する際には、一般式(1)で表される化合物を発光層に用いるだけでなく、発光層以外の層にも用いてもよい。その際、発光層に用いる一般式(1)で表される化合物と、発光層以外の層に用いる一般式(1)で表される化合物は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、上記の注入層、阻止層、正孔阻止層、電子阻止層、励起子阻止層、正孔輸送層、電子輸送層などにも一般式(1)で表される化合物を用いてもよい。これらの層の製膜方法は特に限定されず、ドライプロセス、ウェットプロセスのどちらで作製してもよい。
以下に、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示する。ただし、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。なお、以下の例示化合物の構造式におけるR、R’、R1〜R10は、各々独立に水素原子または置換基を表す。Xは環骨格を形成する炭素原子または複素原子を表し、nは3〜5の整数を表し、Yは置換基を表し、mは0以上の整数を表す。
まず、発光層のホスト材料としても用いることができる好ましい化合物を挙げる。

次に、正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、電子阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、正孔阻止材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
さらに添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加すること等が考えられる。
上述の方法により作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、得られた素子の陽極と陰極の間に電界を印加することにより発光する。このとき、励起一重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長の光が、蛍光発光および遅延蛍光発光として確認される。また、励起三重項エネルギーによる発光であれば、そのエネルギーレベルに応じた波長が、りん光として確認される。通常の蛍光は、遅延蛍光発光よりも蛍光寿命が短いため、発光寿命は蛍光と遅延蛍光で区別できる。
一方、りん光については、本発明の化合物のような通常の有機化合物では、励起三重項エネルギーは不安定で熱等に変換され、寿命が短く直ちに失活するため、室温では殆ど観測できない。通常の有機化合物の励起三重項エネルギーを測定するためには、極低温の条件での発光を観測することにより測定可能である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。本発明によれば、発光層に一般式(1)で表される化合物を含有させることにより、発光効率が大きく改善された有機発光素子が得られる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子などの有機発光素子は、さらに様々な用途へ応用することが可能である。例えば、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造することが可能であり、詳細については、時任静士、安達千波矢、村田英幸共著「有機ELディスプレイ」(オーム社)を参照することができる。また、特に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、需要が大きい有機エレクトロルミネッセンス照明やバックライトに応用することもできる。
以下に合成例および実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(合成例1)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物1を合成した。Czは9−カルバゾリル基を表す。
60%水素化ナトリウム480mg(12.0mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換し、N,N−ジメチルホルムアミド80mLを加えて攪拌した。この混合物へ9H−カルバゾール1.67g(10.0mmol)を加え、窒素気流下、室温で30分攪拌した。攪拌後、この混合物へテトラフルオロテレフタロニトリル400mg(2.00mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、60℃で10時間攪拌した。攪拌後、この混合物へ、水5.0mLを加えて攪拌した。攪拌後、この混合物中のN,N−ジメチルホルムアミドを除去した。除去後、この混合物に水200mLを加え、超音波を照射した。照射後、この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラムクロマトグラフィーはまずクロロホルムを展開溶媒として用い、次にアセトンを展開溶媒として用いた。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとアセトンの混合溶媒で洗浄したところ、黄色粉末状固体を収量1.05g、収率66.5%で得た。
1H NMR(500MHz,DMSO−d6,ppm):δ7.93−7.89(m,16H),7.26(t,J=7.8Hz,8H),7.16(t,J=7.8Hz,8H).
元素分析:計算値 C,85.26;H,4.09;N,10.65
実測値 C,85.28;H,4.11;N,10.61
(合成例2)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物4を合成した。
60%水素化ナトリウム480mg(12.0mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換し、N,N−ジメチルホルムアミド40mLを加えて攪拌した。この混合物へ3,6−ジメチル−9H−カルバゾール1.95g(10.0mmol)を加え、窒素気流下、室温で30分攪拌した。攪拌後、この混合物へテトラフルオロテレフタロニトリル400mg(2.00mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、60℃で10時間攪拌した。攪拌後、この混合物を、水400mLへ加えて攪拌した。攪拌後、この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をメタノールで洗浄したところ、橙色粉末状固体を収量1.68g、収率93.2%で得た。
1H NMR(500MHz,DMSO−d6,ppm):δ7.81(d,J=8.5Hz,8H),7.71(s,8H),7.11(d,J=8.5Hz,8H),2.37(s,24H).
元素分析C64486:計算値 C,85.30;H,5.37;N,9.33%
実測値 C85.39,H5.36,N9.35%.
(合成例3)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物6を合成した。
60%水素化ナトリウム480mg(12.0mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換し、N,N−ジメチルホルムアミド40mLを加えて攪拌した。この混合物へ3,6−ジtert−ブチル−9H−カルバゾール2.79g(10.0mmol)を加え、窒素気流下、室温で30分攪拌した。攪拌後、この混合物へテトラフルオロテレフタロニトリル400mg(2.00mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、60℃で10時間攪拌した。攪拌後、この混合物を、水400mLへ加えて攪拌した。攪拌後、この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラムクロマトグラフィーはまずクロロホルムを展開溶媒として用い、次にアセトンを展開溶媒として用いた。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとアセトンの混合溶媒で洗浄したところ、橙色粉末状固体を収量400mg、収率16.1%で得た。
1H NMR(500MHz,DMSO−d6,ppm):δ7.77(d,J=1.5Hz,8H),7.43(d,J=8.5Hz,8H),7.08(dd,J=8.8Hz,1.5Hz,8H),1.35(s,72H).
元素分析C88966:計算値 C,85.39;H,7.82;N,6.79%
実測値 C85.38,H7.82,N6.78%.
(合成例4)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物301を合成した。
60%水素化ナトリウム480mg(12.0mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換し、N,N−ジメチルホルムアミド40mLを加えて攪拌した。この混合物へ9H−カルバゾール1.67g(10.0mmol)を加え、窒素気流下、室温で30分攪拌した。攪拌後、この混合物へテトラフルオロイソフタロニトリル400mg(2.00mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、60℃で10時間攪拌した。攪拌後、この混合物へ、水5.0mLを加えて攪拌した。攪拌後、この混合物中のN,N−ジメチルホルムアミドを除去した。除去後、この混合物に水200mLを加え、超音波を照射した。照射後、この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラムクロマトグラフィーはまずクロロホルム:ヘキサン=1:5の混合溶媒を展開溶媒として用い、次にクロロホルム:ヘキサン=1:2の混合溶媒を展開溶媒として用いた。得られたフラクションを濃縮して得た固体をアセトンとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、黄色粉末状固体を収量311mg、収率19.7%で得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d6,ppm):δ8.33(d,J=7.7Hz,2H),8.06(d,J=8.2Hz,2H),7.84−7.82(m,4H),7.71−7.66(m,6H),7.49−7.45(m,4H),7.43(d,J=7.6Hz,2H),7.14−7.08(m,8H),6.816(t,J=7.3Hz,2H),6.71(t,J=7.7Hz,2H).
元素分析:計算値 C,85.26;H,4.09;N,10.65
実測値 C,85.22;H,4.03;N,10.62
(合成例5)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物392を合成した。
60%水素化ナトリウム480mg(12.0mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換し、N,N−ジメチルホルムアミド40mLを加えて攪拌した。この混合物へ9H−カルバゾール1.67g(10.0mmol)を加え、窒素気流下、室温で30分攪拌した。攪拌後、この混合物へテトラフルオロイソフタロニトリル400mg(2.00mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、60℃で10時間攪拌した。攪拌後、この混合物へ、水5.0mLを加えて攪拌した。攪拌後、この混合物中のN,N−ジメチルホルムアミドを除去した。除去後、この混合物に水200mLを加え、超音波を照射した。照射後、この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラムクロマトグラフィーはまずクロロホルムの混合溶媒を展開溶媒として用い、次にクロロホルム:アセトン=1:2の混合溶媒を展開溶媒として用いた。得られたフラクションを濃縮して得た固体をメタノールで洗浄したところ、淡黄色粉末状固体を収量600mg、収率46.9%で得た。
(合成例6)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物501を合成した。Czは9−カルバゾリル基を表す。
60%水素化ナトリウム480mg(12.0mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換し、N,N−ジメチルホルムアミド40mLを加えて攪拌した。この混合物へ9H−カルバゾール1.67g(10.0mmol)を加え、窒素気流下、室温で30分攪拌した。攪拌後、この混合物へテトラフルオロフタロニトリル400mg(2.00mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、60℃で10時間攪拌した。攪拌後、この混合物へ、水5.0mLを加えて攪拌した。攪拌後、この混合物中のN,N−ジメチルホルムアミドを除去した。除去後、この混合物に水200mLを加え、超音波を照射した。照射後、この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラムクロマトグラフィーはまずクロロホルムを展開溶媒として用い、次にアセトン:クロロホルム=1:2の混合溶媒を展開溶媒として用いた。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒で再結晶したところ、黄色粉末状固体を収量450mg、収率28.5%で得た。
1H NMR(500MHz,DMSO−d6,ppm):δ7.90−7.87(m,4H),7.72−7.70(m,4H),7.40−7.37(m,8H),7.16−7.10(m,8H),6.74(t,J=7.7Hz,4H),6.60(t,J=7.7Hz,4H).
元素分析:計算値 C,85.26;H,4.09;N,10.65
実測値 C,85.16;H,4.02;N,10.55
(合成例7)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物504を合成した。
60%水素化ナトリウム480mg(12.0mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換し、N,N−ジメチルホルムアミド40mLを加えて攪拌した。この混合物へ3,6−ジメチル−9H−カルバゾール1.95g(10.0mmol)を加え、窒素気流下、室温で30分攪拌した。攪拌後、この混合物へテトラフルオロフタロニトリル400mg(2.00mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、60℃で10時間攪拌した。攪拌後、この混合物を、水400mLへ加えて攪拌した。攪拌後、この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラムクロマトグラフィーはまずクロロホルムを展開溶媒として用い、次いで、クロロホルム:アセトン=1:2の混合溶媒を展開溶媒として用いることにより行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をアセトンで洗浄したところ、橙色粉末状固体を収量515mg、収率28.6%で得た。
1H NMR(500MHz,DMSO−d6,ppm):δ7.64(s,4H),7.54(d,J=8.5Hz,4H),7.27(d,J=8.5Hz,4H),7.15(s,4H),6.95(dd,J=8.3Hz,1.5Hz,4H),6.44(dd,J=8.5Hz,1.5Hz,4H),2.34(s,12H),2.10(s,12H).
元素分析:計算値 C,85.30;H,5.37;N,9.33
実測値 C,85.34;H,5.35;N,9.30
(合成例8)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物901を合成した。
60%水素化ナトリウム480mg(12.0mmol)を100mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換し、N,N−ジメチルホルムアミド40mLを加えて攪拌した。この混合物へ1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール1.71g(10.0mmol)を加え、窒素気流下、室温で30分攪拌した。攪拌後、この混合物へテトラフルオロテレフタロニトリル400mg(2.00mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、60℃で10時間攪拌した。攪拌後、この混合物を、水400mLへ加えて攪拌した。攪拌後、この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラムクロマトグラフィーはまずクロロホルムを展開溶媒として用い、次にアセトンを展開溶媒として用いた。得られたフラクションを濃縮して得た固体をクロロホルムとアセトンの混合溶媒で洗浄したところ、橙色粉末状固体を収量120mg、収率7.4%で得た。
(合成例9)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物252を合成した。
60%水素化ナトリウム480mg(12.0mmol)をヘキサンで洗浄した後、窒素雰囲気下で攪拌中の3,6−ジフェニルカルバゾール3.20g(10.0mmol)の乾燥THF溶液中に室温で添加した。30分攪拌した後、この混合物へテトラフルオロテレフタロニトリル400mg(2.00mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で10時間攪拌した。その後、水5mLで反応を停止させ、混合物を減圧濃縮して黄色固体を得た。得られた固体を、クロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、橙色粉末状固体を収量2.20g、収率79%で得た。
1H NMR(500MHz,DMSO−d6,ppm):δ8.37(d,J=1.5Hz,8H),8.05(d,J=8.5Hz,8H),7.70(m,16H),7.62(dd,J=8.5,1.5Hz,8H),7.45(m,16H),7.36(m,8H);
IR(KBr,cm-1):2236,2228,1600,1476,1456,1441,1290,1226;
MALDI−TOFMS(m/z):[M]+ 104646計算値,1396.52;実測値1396.66;
元素分析:計算値 C,89.37;H,4.62;N,6.01
実測値 C,89.26;H,4.53;N,5.95
(合成例10)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物523を合成した。
9H−カルバゾール1.52g(9.14mmol)、炭酸カリウム1.91g(13.7mmol)を50mLナスフラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、ジメチルスルホキシド15mLを加えて、窒素気流下、室温で1時間攪拌した。この混合物へ、4,5−ジフルオロフタロニトリル0.500g(3.05mmol)を加えた。この混合物を窒素気流下、室温で3時間、次いで50℃で20時間攪拌した。その後、この混合物へ水を加えて攪拌した。この混合物にトルエンを加えて抽出した。抽出後、抽出溶液を飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、有機層と水層を分離し、有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製した。精製はトルエン:ヘキサン=1:4の混合溶媒を展開溶媒に用い、次いで、トルエン:ヘキサン=7:3の混合溶媒を、次いでトルエンを展開溶媒として用いることにより行った(徐々に展開比率を変えていった)。得られたフラクションを濃縮して得た固体をアセトンとメタノールの混合溶媒でリスラリー洗浄したところ、目的物の淡黄色粉末状固体を収量1.20g、収率85.8%で得た。
1H NMR(500MHz,アセトン−d6,ppm):δ8.73(s,2H),7.91−7.89(m,4H),7.40−7.38(m,4H),7.13−7.09(m,8H).
MS(MALDI):m/z 計算値:458.15[M+H]+;実測値:458.12.
(合成例11)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物31を合成した。
化合物bおよび化合物cをJ-Z Cheng et al, tetrahedron. 67 (2011) 734と同じ方法で合成した。
化合物cである2,5−ジブロモテレフタロニトリル(1.44g,5.0mol)、9H−カルバゾール(1.89g,11.3mol)、銅粉末(0.64g,10mol)、炭酸カリウム(2.79g,20mol)、18−クラウン−6(0.25g,0.94mol)、DMSO(5mL)を窒素雰囲気下で二口フラスコに入れ140℃で9時間撹拌した。その後、反応物をクロロホルムに溶解させろ過により不純物を取った後、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。その後カラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により精製し、黄色の粉末を収量0.53g,収率23%で得た。
(合成例12)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物716を合成した。
3−フェニル−1H−インドール4.01g(20.8mmol)、炭酸カリウム5.72g(41.4mmol)を50mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、ジメチルスルホキシド20mLを加えて、室温で1時間攪拌した。この混合物を氷浴した後、テトラフルオロテレフタロニトリル0.696g(3.48mmol)を加え、0℃から徐々に室温に戻して攪拌した。この混合物を窒素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。攪拌後、この混合物を約300mLの水に加えて攪拌した。攪拌後、この混合物を吸引ろ過して固体を得た。得られた固体を溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。カラムクロマトグラフィーはまず、トルエン:ヘキサン=1:5の混合溶媒を展開溶媒として用い、次いでトルエンを展開溶媒として用いて行った。得られたフラクションを濃縮して得た固体をアセトンとメタノールの混合溶媒で洗浄したところ、橙色粉末状固体を収量2.02g、収率65.0%で得た。
1H NMR(500MHz,DMSO−d6,ppm):δ7.73(s,4H),7.67(d,J=8.0Hz,4H),7.51−7.33(m,24H),7.09(t,J=7.8Hz,4H),7.02(t,J=7.5Hz,4H).
(合成例13)
本合成例において、以下のスキームにしたがって化合物728を合成した。
60%水素化ナトリウム2.40g(60.0mmol)を200mL三つ口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換し、テトラヒドロフラン100mLを加えて攪拌した。この混合物へ2−フェニル−1H−インドール9.65g(50.0mmol)を加え、窒素気流下、室温で30分攪拌した。この混合物へ、テトラフルオロテレフタロニトリル2.00g(10.0mmol)を加え、この混合物を窒素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。攪拌後、この混合物にを約50mLの水をゆっくり加えて攪拌した。攪拌後、有機層と水層を分離し、水層にトルエンを加えて抽出した。有機層と抽出溶液を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、有機層に硫酸マグネシウムを入れて乾燥した。乾燥後、この混合物を吸引ろ過してろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た固体をクロロホルムに溶解し、セライトとシリカゲルを通して吸引ろ過して、ろ液を得た。得られたろ液を濃縮して得た固体をイソプロパノールで洗浄した。洗浄後、この固体を酢酸エチルで洗浄したところ、橙色粉末状固体を収量1.70g、収率19.0%で得た。
1H NMR(500MHz,DMSO−d6,ppm):δ7.48(d,J=8.0Hz,4H),7.33(t,J=7.0Hz,4H),7.26(t,J=7.0Hz,8H),7.09(t,J=7.0Hz,4H),6.99(d,J=8.0Hz,4H),6.81(t,J=8.0Hz,4H),6.65(s,4H),6.53(d,J=7.0Hz,8H).
(実施例1)
本実施例において、合成例1で合成した化合物1のトルエン溶液を調製して、窒素をバブリングしながら300Kで280nmの光を照射したところ、表7に示す発光波長を観測した。時間分解スペクトルを、浜松ホトニクス(株)製C4334型ストリークカメラを用いて行い、発光寿命の短い成分を蛍光、発光寿命が長い成分を遅延蛍光と判断した(図2)。蛍光成分と遅延蛍光成分の寿命は表7に示すとおりであった。
また、化合物1のかわりに、合成例2〜11で合成した各化合物を用いて同様の評価を行った結果も表7に示す。ただし、化合物392と化合物901については、窒素でバブリングせずに測定した。
(実施例2)
本実施例において、化合物1とホスト材料からなる発光層を有する有機フォトルミネッセンス素子を作製して、特性を評価した。
シリコン基板上に真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paの条件にて化合物1とmCPとを異なる蒸着源から蒸着し、化合物1の濃度が6.0重量%である薄膜を0.3nm/秒にて100nmの厚さで形成して有機フォトルミネッセンス素子とした。浜松ホトニクス(株)製C9920−02型絶対量子収率測定装置を用いて、N2レーザーにより337nmの光を照射した際の薄膜からの発光スペクトルを300Kで特性評価したところ、548nmの発光が確認され、その際の発光量子収率は47%であった。次に、20K、50K、100K、150K、200K、250Kおよび300Kの各温度で、この素子にN2レーザーにより337nmの光を照射した際の時間分解スペクトルの評価を、浜松ホトニクス(株)製C4334型ストリークカメラを用いて行い、発光寿命の短い成分を蛍光、発光寿命が長い成分を遅延蛍光と判断した。その結果、50〜500Kの間で蛍光成分と遅延蛍光成分が観測された(図3)。蛍光成分は12〜16nsであり、遅延蛍光成分は100Kで11μs、150Kで8.8μsであった。
化合物1のかわりに化合物501と化合物289を用いて有機フォトルミネッセンス素子を作製して同じ試験を行った結果、同様に蛍光成分と遅延蛍光成分が観測された。
(実施例3)
本実施例において、化合物1とCBPからなる発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して、特性を評価した。
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paで積層した。まず、ITO上にα−NPDを35nmの厚さに形成した。次に、化合物1とCBPを異なる蒸着源から共蒸着し、15nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、化合物1の濃度は6.0重量%とした。次に、TPBiを65nmの厚さに形成し、さらにフッ化リチウム(LiF)を0.8nm真空蒸着し、次いでアルミニウム(Al)を80nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
製造した有機エレクトロルミネッセンス素子を、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、および光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)を用いて測定したところ、544nmの発光が認められた。電流密度−電圧(J-V)特性を図4に示し、電流密度−外部量子効率特性を図5に示す。化合物1を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は17.06%の高い外部量子効率を達成した。
(実施例4)
実施例3の化合物1のかわりに化合物6を用いて有機フォトルミネッセンス素子を作製して同じ試験を行った結果、553nmの発光が認められた。電流密度−外部量子効率特性を図6に示す。
(実施例5)
実施例3の化合物1のかわりに化合物301を用いて有機フォトルミネッセンス素子を作製して同じ試験を行った結果、513nmの発光が認められた。電流密度−外部量子効率特性を図7に示す。化合物301を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は19.32%の高い外部量子効率を達成した。
(実施例6)
実施例3の化合物1のかわりに化合物501を用いて有機フォトルミネッセンス素子を作製して同じ試験を行った結果、530nmの発光が認められた。電流密度−電圧(J-V)特性を図8に示し、電流密度−外部量子効率特性を図9に示す。化合物501を発光材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は17.84%の高い外部量子効率を達成した。
(実施例7)
本実施例において、合成例9で合成した化合物252を発光材料として含む発光層を有する有機エレクトロルミネセンス素子を作製して、特性を評価した。
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paで積層した。まず、ITO上にα−NPDを35nmの厚さに形成した。さらに、化合物252とCBPを異なる蒸着源から共蒸着し、15nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、化合物252の濃度は6.0重量%とした。次に、TPBiを65nmの厚さに形成し、さらにフッ化リチウム(LiF)を0.8nm真空蒸着し、次いでアルミニウム(Al)を80nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
製造した有機エレクトロルミネッセンス素子を、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、および光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)を用いて測定したところ、図10に示す発光スペクトルが観測された。電流密度−電圧(J-V)特性を図11に示し、電流密度−外部量子効率特性を図12に示す。
(実施例8)
本実施例において、合成例10で合成した化合物523を発光材料として含む発光層を有する有機エレクトロルミネセンス素子を作製して、特性を評価した。
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paで積層した。まず、ITO上にα−NPDを40nmの厚さに形成し、次いでmCPを10nmの厚さに形成した。さらに、化合物523とPPTを異なる蒸着源から共蒸着し、20nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、化合物523の濃度は6.0重量%とした。次に、PPTを40nmの厚さに形成し、さらにフッ化リチウム(LiF)を0.8nm真空蒸着し、次いでアルミニウム(Al)を80nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
製造した有機エレクトロルミネッセンス素子を、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、および光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)を用いて測定したところ、図13に示す発光スペクトルが観測された。電流密度−電圧(J-V)特性を図14に示し、電流密度−外部量子効率特性を図15に示す。
(実施例9)
本実施例において、合成例11で合成した化合物31を発光材料として含む発光層を有する有機エレクトロルミネセンス素子を作製して、特性を評価した。
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5.0×10-4Paで積層した。まず、ITO上にα−NPDを35nmの厚さに形成し、次いでmCPを10nmの厚さに形成した。さらに、化合物31とmCPを異なる蒸着源から共蒸着し、15nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、化合物31の濃度は3.0重量%とした。次に、PPTを10nmの厚さに形成し、その上にTPBiを40nmの厚さに形成し、さらにフッ化リチウム(LiF)を0.8nm真空蒸着し、次いでアルミニウム(Al)を100nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
製造した有機エレクトロルミネッセンス素子を、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、および光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)を用いて測定したところ、図16に示す発光スペクトルが観測された。電流密度−電圧(J-V)特性を図17に示し、電流密度−外部量子効率特性を図18に示す。
本発明の有機発光素子は、高い発光効率を実現しうるものである。また、本発明の化合物は、そのような有機発光素子用の発光材料として有用である。このため、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極

Claims (16)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物からなる発光材料。
    [一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表し、R1〜R5の少なくとも1つは下記一般式(11)で表される基を表し、残りのR1〜R5は水素原子または置換基を表す。]
    [一般式(11)において、R21〜R28は、各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、下記<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。
    <A> R25およびR26は一緒になって単結合を形成する。
    <B> R27およびR28は一緒になって置換もしくは無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。]
  2. 遅延蛍光を放射することを特徴とする請求項1に記載の発光材料。
  3. 1〜R5の少なくとも1つが置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表すことを特徴とする請求項1または2に記載の発光材料。
  4. 1〜R5の少なくとも2つが置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表すことを特徴とする請求項1または2に記載の発光材料。
  5. 1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立にヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかを表すことを特徴とする請求項1または2に記載の発光材料。
  6. 1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が、各々独立に置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基のいずれかを表すことを特徴とする請求項1または2に記載の発光材料。
  7. 1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光材料。
  8. 1〜R5の少なくとも1つがヒドロキシ基であり、R1〜R5の少なくとも1つがシアノ基であり、残りのR1〜R5が置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光材料。
  9. 1〜R5の少なくとも1つが下記一般式(12)〜(15)のいずれかで表される基であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光材料。
    [一般式(12)において、R31〜R38は、各々独立に水素原子または置換基を表す。]
    [一般式(13)において、R41〜R46は、各々独立に水素原子または置換基を表す。]
    [一般式(14)において、R51〜R62は、各々独立に水素原子または置換基を表す。]
    [一般式(15)において、R71〜R80は、各々独立に水素原子または置換基を表す。]
  10. 下記一般式(2)で表される化合物からなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光材料。
    [一般式(2)において、R11、R12、R14およびR15の少なくとも1つはシアノ基を表し、R11〜R15の少なくとも3つは置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表し、残りのR11〜R15はヒドロキシ基を表す。]
  11. 下記一般式(3)で表される化合物からなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の発光材料。
    [一般式(3)において、R81〜R85の1つはシアノ基であり、R81〜R85の2つは置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基であり、その他の2つは水素原子を表す。]
  12. 下記一般式(2)で表される化合物。
    [一般式(2)において、R11、R12、R14およびR15の少なくとも1つはシアノ基であり、R11〜R15の少なくとも3つは置換もしくは無置換の9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1,2,3,4−テトラヒドロ−9−カルバゾリル基、置換もしくは無置換の1−インドリル基、または置換もしくは無置換のジアリールアミノ基であり、残りのR11〜R15はヒドロキシ基を表す。]
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の発光材料を含む発光層を基板上に有することを特徴とする有機発光素子。
  14. 遅延蛍光を放射することを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子。
  15. 有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項13または14に記載の有機発光素子。
  16. 下記一般式(1)で表される構造を有する遅延蛍光体。
    [一般式(1)において、R1〜R5の少なくとも1つはシアノ基を表し、R1〜R5の少なくとも1つは下記一般式(11)で表される基を表し、残りのR1〜R5は水素原子または置換基を表す。]
    [一般式(11)において、R21〜R28は、各々独立に水素原子または置換基を表す。ただし、下記<A>か<B>の少なくとも一方を満たす。
    <A> R25およびR26は一緒になって単結合を形成する。
    <B> R27およびR28は一緒になって置換もしくは無置換のベンゼン環を形成するのに必要な原子団を表す。]
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