JP2014040555A - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】強度に優れ、成形収縮の異方性が小さく、白色度と着色時の色映えに優れ、遮光性にも優れるポリカーボネート樹脂材料を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜95質量%と、平均繊維長が50〜2000μm、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維(B)5〜60質量%とからなる(A)および(B)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(C−1)を50〜99.5質量%および硫酸バリウム(C−2)を0.5〜50質量%含有する混合物(C)を0.1〜10質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体に関するものであり、詳しくは、強度に優れ、成形収縮の異方性が小さく、白色度と着色時の色映えに優れ、遮光性にも優れるポリカーボネート樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、機械的強度、耐衝撃強度、耐熱性、寸法安定性、外観性において優れた樹脂として広く用いられている。しかしながら、近年、機器の小型化・軽量化の流れは顕著であり、ポリカーボネート樹脂をそのハウジング(筐体)や部品類のような薄肉成形品に用いる場合には、強度、剛性の向上が求められている。剛性を付与する手段としてはガラス繊維を使用する方法がよく行われる。
また、近年は、携帯端末機器やカメラ等は、利用者の嗜好に合わせて、多くのカラーバリエーションを用意することが必須となっている。白色に着色するには、チタンホワイト、すなわち白色着色剤として酸化チタンが配合され(例えば、特許文献1参照)、また、白色以外の色に着色する場合にも、その色の染顔料に加えて酸化チタンを併用することが行われる。酸化チタンを含有することで色映えが良くなるためである。
しかしながら、ガラス繊維を配合したものにさらに酸化チタンを配合して製造しようとすると、コンパウンディングの際、酸化チタンによりガラス繊維は破砕され、その結果、機械的特性が低下し、特に携帯端末の筺体、カメラ等のハウジング、レンズ筒またその他部品等のカメラ部品において重要な特性である、製品落下時の破損防止のために必要な耐衝撃性を大きく低下させるという欠点があった。
耐衝撃性を改良する手段としては、エラストマーに代表される耐衝撃改良剤を使用する方法が知られているが、射出成形時にゲート近傍や偏肉部等でポリカーボネート樹脂と相分離や分散不良を起こし、フローマークやシルバー等の外観不良の原因となり、さらに、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂の射出成形で一般に使用される高温成形において、熱劣化を起こし、十分な耐衝撃性が得られず、黄変等の色斑やシルバー等の外観不良が生じるという欠点がある。
したがって、各種の強度を維持しながら、酸化チタンに依拠することなしに、白色度と着色時の色映えに優れたガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂材料が期待されている。特に、白色でも黒色でもその他のカラーでも、基本の処方は同じで、単に求めるカラーに応じて染顔料を変更するだけで多数のカラーバリエーションを可能にできれば、カラーの関係なしに、同じ成形条件、同じ金型で製造できることとなり、その工業的なメリットは甚大である。そして、その際、特に、携帯端末の筺体やカメラ部品等では、着色時の色映えや強度に加えて、成形時の成形収縮による寸法異方性が少ないことが必要であって、そのようなポリカーボネート樹脂材料が強く期待されている。
特開平10−147700号公報
本発明の目的は、強度に優れ、白色度と着色時の色映えに優れ、さらに成形収縮による寸法異方性が少ないポリカーボネート樹脂成形品を、酸化チタンなしで多数のカラーバリエーションが可能なガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み、各種の検討を行った結果、芳香族ポリカーボネート樹脂に、特定の繊維長と特定の長径短径比を有する扁平断面ガラス繊維と、硫化亜鉛および硫酸バリウムの混合物を特定量含有するポリカーボネート樹脂組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物および成形体を提供する。
[1]芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜95質量%と、平均繊維長が50〜2000μm、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維(B)5〜60質量%とからなる(A)および(B)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(C−1)を50〜99.5質量%および硫酸バリウム(C−2)を0.5〜50質量%含有する混合物(C)を0.1〜10質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[2]混合物(C)は、さらに、酸化亜鉛(C−3)を、(C−1)〜(C−3)の合計100質量%基準で、0.01〜1質量%含有することを特徴とする上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
[4]成形体が、カメラ部品または携帯端末用筺体であることを特徴とする上記[3]に記載の成形体。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度、剛性、耐衝撃性を同時に満足させ、且つ成形収縮の異方性が少なく、外観特性にも優れる。また、白色度にも優れ、各種の色に着色する時の色映えにも優れ、さらに、成形時の収縮率は、酸化チタンが配合されたものとほぼ同等であるので金型の変更は不要であり、黒、白、赤、ピンク等種々のカラーバリエーションの成形品を製造する際にも、個々の色ごとに金型を変更する必要がなく、同じ金型で且つ同じ成形条件での製造が可能となるので、生産性の向上効果は極めて大きい。
このため、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度、剛性、耐衝撃性、さらに多数のカラーバリエーションが要求される、携帯電話等の各種携帯端末、携帯オーディオプレーヤー、デジタルカメラ、ノートブックパソコン、タブレット型コンピューター、電子ブック、電子辞書等の筐体等の部品等に好適に使用することができ、特にカメラ部品や携帯端末用筺体として有用である。
[発明の概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜95質量%と、平均繊維長が50〜2000μm、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維(B)5〜60質量%とからなる(A)および(B)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(C−1)を50〜99.5質量%および硫酸バリウム(C−2)を0.5〜50質量%含有する混合物(C)を0.1〜10質量部含有することを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
・芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
以下、これらの方法のうち、特に好適なものについて具体的に説明する。
・・界面重合法
まず、芳香族ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限はないが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;0−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・・溶融エステル交換法
次に、芳香族ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
・芳香族ポリカーボネート樹脂に関するその他の事項
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは16000以上、より好ましくは17000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは30000以下、より好ましくは24000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
また、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2014040555
芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[扁平断面ガラス繊維(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有する扁平断面ガラス繊維(B)は、その平均繊維長が50〜2000μmの範囲にあり、かつ、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラスである。このような平均繊維長とすることで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性、剛性、低ソリ性、耐衝撃性、収縮異方性を効果的に高めることができる。
扁平断面ガラス繊維(B)の平均繊維長は、好ましくは70〜1000μmであり、より好ましくは100〜700μm、さらに好ましくは200〜500μmである。平均繊維長が50μm未満では補強効果が少なく機械的強度が不十分であり、2000μmを超えるとソリや異方性が大きくなるほか、成形品の外観が悪化する。
扁平断面ガラス繊維(B)の繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値は、1.5〜8であり、好ましくは1.6〜7、より好ましくは1.7〜6、さらに好ましくは1.8〜5である。扁平断面ガラス繊維(B)の断面形状は、扁平断面の他、楕円状、繭状、三つ葉状、及びこれに類する形状の非円形形状が含まれるが、機械的強度、低ソリ性、異方性の観点より、扁平状のものがより好ましく、その中で、上記範囲の長径と短径の比を有するガラス繊維を用いることで、本発明のポリーボネート樹脂組成物の流動性や低ソリ性、耐衝撃性、収縮異方性を高めることができる。
平均繊維長を上記範囲に調整するには、例えば、長さが1.5〜4mm程度の扁平断面ガラス繊維チョップドストランドを用い、混練強度の調整により樹脂組成物中で所望の平均繊維長を得る。具体的には、2軸押出機を用いて扁平断面ガラス繊維フィード後のニーディング部における剪断速度が100〜1,000sec−1の条件で混練を行う等の方法で可能である。
ポリカーボネート樹脂組成物中の扁平断面ガラス繊維の平均繊維長は、以下の手順で測定することができる。
1.樹脂組成物を600〜700℃で燃焼、またはメチレンクロライドに溶解させ樹脂分を取り除き、扁平断面ガラス繊維を単離する。
2.取り出した扁平断面ガラス繊維をガラス上に極力重ならない様に広げ、光学顕微鏡にて40〜100倍で観察、撮影を行う。
3.得られた写真から、扁平断面ガラス繊維の長さをノギスにて測定し、1,000個の測定を行い、加算平均を求める。
扁平断面ガラス繊維(B)の繊維径は、平均繊維径が1〜25μmであることが好ましく、より好ましくは5〜17μmである。このような範囲にあると、成形加工性、表面外観、強度に優れるので好ましい。
このような繊維径の扁平断面ガラス繊維は、連続的に巻き取ったガラスロービングを切り揃えたもの、長さ1mm乃至10mmに切り揃えたチョップドストランド等を用いることができる。
また、扁平断面ガラス繊維(B)は、芳香族ポリカーボネート樹脂とガラス繊維の親和性を増し密着性を増大するために、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理されているものが好ましい。シランカップリング剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系、アリルシラン系、ビニルシラン系等がある。これらの中では、アミノシラン系のものが好ましい。
扁平断面ガラス繊維(B)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と扁平断面ガラス繊維(B)の合計100質量%基準で、5〜60質量%であり、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは15〜40質量%である。扁平断面ガラス繊維の含有量が5質量%未満では補強効果が不十分であり、60質量%を超えると成形性が悪化し、外観を損ないやすい。
[硫化亜鉛(C−1)と硫酸バリウム(C−2)の混合物(C)]
本発明の樹脂組成物には、硫化亜鉛(C−1)および硫酸バリウム(C−2)の混合物(C)を白色顔料として使用する。硫化亜鉛(C−1)と硫酸バリウム(C−2)の混合割合は、両者の合計100質量%基準で、硫化亜鉛(C−1)50〜99.5質量%および硫酸バリウム(C−2)0.5〜50質量%である。
混合物(C)は、扁平断面ガラス繊維(B)の破砕を起こしにくく、樹脂組成物の強度低下、特に弾性率の低下を引き起こすことなく白度に優れた着色を可能にすることができる。
混合物(C)の平均粒子径に制限はないが、0.1〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.12〜1μmである、特に好ましくは0.15〜0.5μmである。平均粒子径が小さすぎると、遮光性が低下する傾向となり、平均粒子径が大きすぎると、概観が悪化する傾向が生じる。
混合物(C)は、さらに酸化亜鉛(C−3)を、硫化亜鉛(C−1)、硫酸バリウム(C−2)および酸化亜鉛(C−3)の合計100質量%基準で、0.01〜1質量%含有することが好ましい。
硫化亜鉛(C−1)、硫酸バリウム(C−2)および硫化亜鉛(C−3)の比率は、(C−1)/(C−2)/(C−3)の質量比で、90〜99.5/0.5〜10/0〜9.5であることが好ましい。
混合物(C)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と扁平断面ガラス繊維(B)の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。10質量部を超える場合は、機械的性質、特に強度が低下し、また、0.1質量部より小さい場合は、十分な白色度と着色時の色映えが悪くなる。
[ポリシロキサン(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリシロキサン(D)を含有することが好ましい。ポリシロキサンを含有することで、混合物(C)の表面にポリシロキサンが付着することで、ポリカーボネート樹脂組成物中での均一分散性および分散状態の安定性を向上させる。
ポリシロキサン(D)としては、なかでも混合物(C)の表面と反応する反応性の官能基を持つ反応性官能基含有有機珪素化合物が好ましい。反応性の官能基としては、Si−H基、Si−OH基、Si−NH基、Si−OR基が挙げられるが、Si−H基、Si−OH基、Si−OR基を持つものがより好ましく、Si−H基をもつSi−H基含有有機珪素化合物が、特に好ましい。
Si−H基含有有機珪素化合物としては、分子中にSi−H基を持つ化合物であれば特に制限されず、適宜選択して用いればよいが、なかでも、ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリシクロ(メチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(エチルハイドロジェンシロキサン)、ポリ(フェニルハイドロジェンシロキサン)、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(エチルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジエチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ヘキシルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(オクチルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(フェニルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジエトキシシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメトキシシロキサン)]コポリマー、ポリ[(メチルハイドロジェンシロキサン)(3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(ジハイドロジェンシロキサン)((2−メトキシエトキシ)メチルシロキサン)]コポリマー、ポリ[(ジハイドロジェンシロキサン)(フェノキシメチルシロキサン)]コポリマー等のポリオルガノ水素シロキサンが好ましい。
ポリシロキサン(D)の含有量としては、混合物(C)100質量部に対し、0.3〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部、さらには0.5〜3質量部である。
[ポリカーボネートオリゴマー(E)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらに、ポリカーボネートオリゴマー(E)を含有することが好ましく、ポリカーボネートオリゴマー(E)を含有することで扁平断面ガラス繊維(B)の浮きによる外観不良の発生を防止することができる。
ポリカーボネートオリゴマー(E)としては、粘度平均分子量が1,000〜10,000のものが好ましく、2,000〜8,000のものがより好ましい。分子量が1,000未満では機械的強度が低下し、10,000を越えると外観の改良効果が小さい。
ポリカーボネートオリゴマー(E)は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンで代表的に例示される芳香族二価フェノール系化合物とホスゲンで代表されるカーボネート前駆体との反応や、芳香族二価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応によって得られるものが好ましく、芳香族二価フェノール系化合物は単独で用いても混合して用いてもよい。
ポリカーボネートオリゴマーの重合度の調整は、ホスゲンを用いる界面重合法では、フェノール及び/又はアルキル置換フェノールを重合系に添加して、末端封止すれば良い。
ポリカーボネートオリゴマー(E)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と扁平断面ガラス繊維(B)の合計100質量部に対し、1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量部、さらに好ましくは2〜10質量部である。ポリカーボネートオリゴマーの含有量が20質量部を越えると、ポリカーボネートの分子量低下により強度が不満足となりやすい。
[その他配合成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、染顔料、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
[離型剤]
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、脂肪族炭化水素の数平均分子量は好ましくは5,000以下である。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
離型剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と扁平断面ガラス繊維(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[熱安定剤]
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機ホスファイトが好ましい。
このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、アデカ社製(商品名、以下同じ)「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、熱安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
熱安定剤の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と扁平断面ガラス繊維(B)の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定効果が不十分となる可能性があり、熱安定剤が多すぎると効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[染顔料]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、白色顔料混合物(C)以外の他の染顔料を配合して着色することができる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、他の染顔料を含有することにより、色映え良く、各種の色に着色でき、意匠性も高めることができる。
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック;カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、任意の方法が採用される。
例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、扁平断面ガラス繊維(B)、白色顔料混合物(C)及び適宜その他の添加剤等をV型ブレンダー等の混合手段を用いて混合し、一括ブレンド品を調整した後、ベント付き押出機で溶融混練してペレット化する方法が挙げられる。あるいは、二段階練込法として、予め、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、白色顔料(C)及び適宜その他の添加剤等を、十分混合後、ベント付き押出機で溶融混練りしてペレットを製造した後、そのペレットと扁平断面ガラス繊維(B)を混合後、ベント付き押出機で溶融混練りする方法が挙げられる。
更に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造するのに特に好ましい方法として、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、白色顔料混合物(C)及び適宜その他の添加剤等を、V型ブレンダー等で十分混合したものを予め調整しておき、それをベント付き二軸押出機の第一シュートより供給し、扁平断面ガラス繊維(B)は押出機途中の第二シュートより供給して溶融混練、ペレット化する方法が挙げられる。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュウー構成の選定が望ましい。混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
[成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形体として用いる。この成形体の形状、模様、色、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度に優れ、着色時の色映えに優れ、さらに成形収縮の異方性が小さく、成形品の外観特性にも優れるポリカーボネート樹脂材料であるので、各種用途における成形体として使用できる。
成形体の例を挙げると、電気電子機器、情報端末機器、家電製品、OA機器、機械部品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、医療機器、照明機器等の部品あるいは部材が挙げられる。
電気電子機器、情報端末機器、家電製品、OA機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビ、電子ペーパーなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳;PDA、携帯電話、タブレット端末等の各種携帯端末;電子式卓上計算機、電子辞書;カメラ、ビデオカメラやそのレンズ;電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等の部品が挙げられる。
なかでも、各種携帯端末の筺体;デジタルカメラ、ビデオカメラ、またそのレンズ筒等のカメラ部品等に、特に好適に用いることができる。
成形体の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断りのない限り、質量基準に基づく「質量部」を表す。
以下の実施例および比較例において、使用した成分は下記の表1の通りである。
Figure 2014040555
(実施例1〜11、比較例1〜6)
<樹脂ペレット製造>
上記表1に記載したガラス繊維を除く各成分を、後記表2〜3に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、表2〜3に記載のガラス繊維を押出機途中より溶融樹脂中へサイドフィードで供給した。スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[試験片の作製]
上記の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機(サイキャップM−2、型締め力75T)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度110℃の条件で、ISO多目的試験片(3mm厚、4mm厚)、長さ80mm×幅40mm×厚さ3.2mmのの収縮率試験用試験片を射出成形した。遮光性評価用には長さ90mm×幅50mm×厚さ2.0mm、1.0mmの2段プレートを射出成形した。
<評価方法>
各評価方法は、以下のとおりである。
[平均繊維長]
ポリカーボネート樹脂組成物中の扁平断面ガラス繊維(B)の平均繊維長の測定方法は、前述したとおりである。
[曲げ弾性率、曲げ強度]
ISO178に準拠して、上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で、曲げ弾性率(単位:MPa)と曲げ強度(単位:MPa)を測定した。
[収縮率(寸法異方性評価)]
上記の収縮率試験用試験片を、23℃、50%RHにて48時間調湿後、成形収縮率を測定した。具体的には、流動方向(MD)および流れと垂直方向(TD)の各々の100mm辺の長さ寸法を測定し、金型寸法からどの程度収縮していたかを収縮率(単位:%)で求め、寸法異方性の評価として、MDとTDとの成形収縮率の比(MD/TD)を算出した。成形収縮率の比が1に近いほど、寸法安定性は優れると評価される。
[シャルピー耐衝撃強度]
上述の方法で得られたISO多目的試験片(3mm厚)を用い、ISO179に準拠し、23℃の条件で、それぞれノッチ無しシャルピー耐衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
[白色度評価(L値)]
上述した3.2mm厚の平板状試験片を用い、JIS K−7105に準拠して、日本電色工業社製のSE2000型分光式色差計で、反射法により、L、a、b値を測定し、ハンターLab白色度W(Lab)を以下の定義式より求めた。
W(%)=100−[(100−L)+(a+b)]0.5
式中、L、a及びbは、それぞれLab系色座標における明度(L)、及び知覚色度指数(a,b)を示す。
[全光線透過率]
上述した2段プレートの1mm厚の部分を用いて、日本電色工業社製のD2000型濁度計を用いて全光線透過率(単位:%)の測定を行った。全光線透過率が低いほど遮光性が高いと判断される。
[荷重たわみ温度(DTUL、耐熱性評価)]
上記ISO多目的試験片(4mm厚)を用い、ISO75−1&2に従い、荷重1.80MPaの条件(A法)にて荷重たわみ温度(DTUL、単位:℃)を測定した。
[粘度平均分子量]
ウベローデ粘度計を用いて、成形後の芳香族ポリカーボネート(熱安定剤、紫外線吸収剤未添加)の塩化メチレン中、20℃における極限粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
以上の評価結果を以下の表2〜表4に示す。
Figure 2014040555
Figure 2014040555
Figure 2014040555
上記表2〜3に示す実施例1〜11から、本発明で規定する要件を満たすポリカーボネート樹脂(A)、扁平断面ガラス繊維(B)、混合物(C)をそれぞれ規定範囲内の量で含有するポリカーボネート樹脂組成物は、強度(曲げ弾性、曲げ強度、シャルピー衝撃)に優れ、成形収縮の異方性が小さく、白色度、遮光性に優れることが分かる。
一方、表4にあるように、比較例1〜4の円形断面ガラス繊維を用いた場合は、特に成形収縮の異方性が悪くなり、また、比較例5のように白色顔料として酸化チタンを用いると特に曲げ弾性率と曲げ強度が低下してしまい、さらに、比較例6のように白色顔料として硫酸バリウムしか含有しない場合は特にポリカーボネート樹脂の分子量低下を引き起こしてしまう。このように、本発明で規定する要件を満たさないポリカーボネート樹脂組成物は、強度(曲げ弾性、曲げ強度、シャルピー衝撃)、白色度、成形収縮異方性、遮光性の全てをバランスさせながら満足さすことはできず、いずれかの性質が劣ることがわかる。
したがって、本発明の強度(曲げ弾性、曲げ強度、シャルピー衝撃)に優れ、成形収縮の異方性が小さく、白色度と着色時の色映えに優れ、遮光性にも優れるという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、強度(曲げ弾性、曲げ強度、シャルピー衝撃)に優れ、成形収縮の異方性が小さく、白色度と着色時の色映えに優れ、遮光性にも優れるポリカーボネート樹脂材料であるので、各種用途における成形品として使用でき、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品等の部品あるいは部材に用いて好適であり、特にカラーバリエーションが必要な携帯電子機器の筐体やカメラ部品の材料として好ましく使用することができ、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (4)

  1. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)40〜95質量%と、平均繊維長が50〜2000μm、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が1.5〜8である扁平断面ガラス繊維(B)5〜60質量%とからなる(A)および(B)の合計100質量部に対し、硫化亜鉛(C−1)を50〜99.5質量%および硫酸バリウム(C−2)を0.5〜50質量%含有する混合物(C)を0.1〜10質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 混合物(C)は、さらに、酸化亜鉛(C−3)を、(C−1)〜(C−3)の合計100質量%基準で、0.01〜1質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
  4. 成形体が、カメラ部品または携帯端末用筺体であることを特徴とする請求項3に記載の成形体。
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