JP2014038892A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】貫通孔が形成された縦壁に電子機器を仮止めする際の落下を防止する。
【解決手段】電子機器1は、筐体3の上部と下部とに設けられた可動式フック4およびリブ5bを有し、可動式フック4は、電子機器1の横幅方向の重心位置からずれた位置、かつ、当該横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの一方である第2領域に形成され、リブ5bは当該横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの他方である第1領域に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、縦壁の貫通孔に電子機器を取り付ける際、電子機器を一時的に仮止めするための仮止手段を有する電子機器に関する。
各種工場、プラント或いは建築物等では様々な機械設備が使用されており、これらの機械設備を制御するための制御盤が設置されている。このような制御盤は種々の制御装置(例えば、CPU、インバータ、コンデンサ、インダクタ、パワーモジュール等)を備えており、これら制御装置は埃や塵等の異物や水の付着を嫌う。そこで、制御盤は箱体の内部に制御装置を格納した構成となっている。
このような制御盤は制御装置に対する入力を行うための操作盤や、機械設備の温度や動作時間等、機械設備の状態や制御の状態を表示するための表示盤を備えていることが多い。また、近年、前記操作盤と前記表示盤とが一体化された表示ユニットも用いられることが多い。このような操作盤、表示盤あるいは表示ユニット(電子機器)は、縦壁に形成された貫通孔に嵌め込まれて固定される。
例えば、特許文献1には、作業員が一人で安全に電子機器を縦壁に形成された貫通孔に取り付けることができるよう仮止めするための電子機器の取付構造が開示されている。
特開2012−28493号公報(2012年2月9日公開)
しかしながら、特許文献1に開示されている電子機器は、貫通孔へ電子機器をスムーズに挿入できるよう不動リブは小さく形成されているため、外れやすい。そして、例えば作業員が何らかの拍子に電子機器に衝撃を与える等で不動リブが外れると、電子機器は落下してしまう。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされ、その目的は、貫通孔が形成された縦壁に電子機器を仮止めする際の落下を防止することにある。
本発明に係る電子機器は、筐体を有し、当該筐体を縦壁に形成された貫通孔に対して前記縦壁の前面側から嵌合させて固定する際に仮止するための仮止手段が前記筐体に設けられた電子機器であって、前記仮止手段は、前記筐体の上部に設けられ、前記縦壁の背面に係合する第1係合部材と、前記筐体の下部に設けられ、前記縦壁の背面に係合する第2係合部材とを有し、前記第1係合部材は、前記電子機器の横幅方向の重心位置からずれた位置、かつ、前記横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの一方の領域に形成され、前記第2係合部材は、前記横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの他方の領域に形成されていることを特徴とする。
上記構成によると、電子機器の筐体の上部の第1係合部材は、電子機器の横幅方向の重心位置からずれた位置、かつ、電子機器の横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの一方の領域に形成される。そして、電子機器の筐体の下部の第2係合部材は、電子機器の横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの他方の領域に形成されている。そのため、電子機器に外力がかかり、第2係合部材が外れると、電子機器は縦壁の前面側へ倒れてくるが、その際に、一方の領域が第1係合部材により支持されているため、電子機器は、第1係合部材の幅方向の中央を通る鉛直線を回転軸として回転する(図7参照)。
上記回転により、電子機器1の筐体の左右側面が、縦壁の貫通孔の左右縁にそれぞれ当たり、つまり、筐体が貫通孔につかえて、回転が止められ、電子機器の落下が防止される。よって、電子機器の取付け作業員が、誤って縦壁に衝撃を与えたり、電子機器の背面を押したりなどしても、電子機器は、筐体が回転により貫通孔につかえるため、落下が防止される。
ここで電子機器のサイズには縦幅、横幅、厚みがあり、縦幅とは、縦壁に設けられた貫通孔に電子機器を設置する際の鉛直方向の幅であり、横幅とは、当該貫通孔に電子機器を設置する際の左右の水平方向の、幅であり、厚みとは、当該貫通孔に電子機器を設置する際の前後の水平方向の、言い換えれば貫通孔の深さ方向の、幅である。よって、横幅方向とは、この横幅を基準とする方向である。
以上のように、本発明に係る上記構成によると、電子機器を貫通孔が形成された縦壁に仮止めした際の、衝撃等による電子機器の落下を防止できる。
また、本発明に係る電子機器は、上記構成に加え、前記第1係合部材は、前記筐体に対して収納可能にかつ引出し可能な板状部材として設けられ、当該板状部材の前記筐体の背面側の先端部は、前記筺体の上面よりも上方に突出し、かつ当該先端部の上端部は、前記筐体の正面側に折り曲げられ、当該上端部は、前記筐体の正面側から背面への方向に向かって下方に傾斜していてもよい。
上記構成によると、筐体に対して収納可能にかつ引出し可能な板状部材として設けられていることで、筐体の厚みが薄い場合においても、第1係合部材を電子機器の筐体に取付けることができ、仮止手段としての機能すなわち脱落防止機能を確保することができる。また、板状部材の筐体の背面側の先端部は上方に突出し、かつ当該先端部の上端部は、筐体の正面側に折り曲げられ、当該上端部は、筐体の正面側から背面への方向に向かって下方に傾斜していることにより、次のように縦壁の後面に容易に係合させることができる。
まず、筐体の上部を貫通孔に押し込む際は、貫通孔の周縁によって第1係合部材の上端部が押さえられて、上端部は下方に押さえつけられる。そのため、第1係合部材を下方に押さえつけたまま筐体を貫通孔に嵌め入れることができる。そして、第1係合部材の上端部が貫通孔を通過して縦壁Vwの背面側に移動すると、上端部を押していた力が解放される。これにより、第1係合部材が元の状態、すなわち上端部が筐体から上方に突出した状態に戻る。この状態で電子機器が筐体の正面側へ傾くと、第1係合部材の上端部の最先端が、貫通孔の周縁の縦壁の背面に引っ掛かり、電子機器が傾くにつれて第1係合部材は自動的に筐体から引き出される。このように、上記構成によると、第1係合部材を縦壁の後面に容易に係合させることができる。
また、本発明に係る電子機器は、さらに、前記仮止手段は、前記筐体の下部に設けられ、前記縦壁の背面に係合する第3係合部材有し、当該第3係合部材は、前記一方の領域に設けられていてもよい。
上記構成によると、筐体の上部に第1係合部材が設けられ、下部に第2係合部材および第3係合部材、つまり、2つの係合部材が設けられる。そして、第2係合部材と第3係合部材とは、横幅方向の左右の領域の一方と他方とのそれぞれの領域に設けられる。このように、電子機器は3点で仮止めされるため、仮止めがより安定する。
ここで、外力により、第3係合部材が外れても、一方の領域の上部に設けられた第1係合部材の縦壁の後面への係合と、他方の領域の下部に設けられた第2係合部材の縦壁の後面への係合とで、電子機器は保持される。また、第2係合部材が外れても、第1係合部材の縦壁の後面への係合と、第3係合部材の縦壁の後面への係合と、上記回転による電子機器の筐体の左右側面が縦壁の貫通孔の左右縁に当たることとで、電子機器は保持される。
なお、筐体の下部に係合部材を3つ以上設けてもよい。
本発明に係る電子機器の構成によると、電子機器の筐体の上部の第1係合部材は、電子機器の横幅方向の重心位置からずれた位置、かつ、電子機器の横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの一方の領域に形成される。そして、電子機器の筐体の下部の第2係合部材は、電子機器の横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの他方の領域に形成されている。そのため、電子機器に外力がかかり、第2係合部材が外れると、電子機器は縦壁の前面側へ倒れてくるが、その際に、一方の領域が第1係合部材により支持されているため、電子機器は、第1係合部材を通る鉛直線を回転軸として回転する。
上記回転により、電子機器1の筐体の左右側面が、縦壁の貫通孔の左右縁に当たり、つまり、筐体が貫通孔につかえて、回転が止められ、電子機器の落下が防止される。よって、電子機器の取付け作業員が、誤って縦壁に衝撃を与えたり、電子機器の背面を押したりなどしても、電子機器は、筐体が回転により貫通孔につかえるため、落下が防止される。
以上のように、本発明に係る上記構成によると、電子機器を貫通孔が形成された縦壁に仮止めした際の、衝撃等による電子機器の落下を防止できる。
(a)は、本発明に係る電子機器の背面図、(b)は、当該電子機器の底面図である。 本発明に係る電子機器の上方からの斜視図である。 本発明に係る電子機器に設けられた可動式フックとその付近の筐体の拡大図である。 本発明に係る電子機器に設けられたリブとその付近の筐体の拡大図である。 本発明に係る電子機器を縦壁に仮止めしている際の電子機器の側面図である。 縦壁に仮止めされた本発明に係る電子機器の上方からの斜視図である。 縦壁に仮止めされた本発明に係る電子機器の平面図である。 縦壁に仮止めされた参考のための電子機器の平面図である。
〔電子機器1の構成〕
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すると以下の通りである。図1の(a)は、本実施形態の電子機器1の背面図であり、図1の(b)は、図1の(a)の電子機器1の底面図である。図1の(a)における一点鎖線は、横幅方向の長さの中心位置(中心線)を示している。また、図2は、電子機器1の斜視図である。なお、以下の説明において、図1の(a)の電子機器1の状態を基準として、上下又は左右と表現する。本実施形態では、電子機器1は、制御盤や制御盤が制御する機器の状態を表示し、制御盤内の制御装置に指示を送る操作部を備えた表示ユニット(液晶などの表示装置の前面にタッチパネルを張り付けた装置)であるとする。
図1に示すように、電子機器1は、筐体3を備えている。筐体3は、例えば樹脂で形成されている。筐体3内には、電子機器1を構成する各種機器(例えば、LCD、基板、メモリ、CPU、外部通信用コネクタ等)が格納されている。
筐体3は、正面側が開口した箱型の前側部材3aと、正面が開口した箱型の後側部材3bとを備える。さらに、前側部材3aの正面側の端縁には、前側部材3aと一体形成されたフランジ部2を備えている。フランジ部2は前側部材3aの正面側の開口より外側にはみ出した形状を有している。このフランジ部2は枠状に形成されており、枠の内部には液晶パネル等の表示パネルが嵌め込まれる。表示パネルが嵌めこまれることで、前側部材3aの開口が塞がれる。
後側部材3bは正面側に開口が形成された箱型の部材である。後側部材3bの開口の縁部は、前側部材3aの背面と接触しており、例えば複数個のねじで前側部材3aに固定されている。本実施形態の電子機器1は、図1の(a)に示すように、後側部材3bが、電子機器1の横幅方向の長さの中心に対する左右の左の領域(他方の領域)である第1領域に存在する。よって、本実施形態では、電子機器1の横幅方向の重心は横幅方向の長さの中心(中央)よりも左に偏った位置にあり、第1領域に存在している。ここで、上記重心は、第1領域に存在することに限定されず、後述するように、電子機器1の横幅方向において、重心位置と可動式フックの配置位置とがずれていれば、中央に存在しても、あるいは第2領域に存在しても構わない。
なお、本実施形態では、前側部材3aと後側部材3bとをねじ止めしているが、これに限定されるものではない。例えば、一方に形成された係合爪を他方に形成された係合凹部に係合させて固定してもよい。あるいは、前側部材3aと後側部材3bとを強固に固定できる公知の方法を用いて固定してもよい。また、前側部材3aの背面には、図示しないが、外部機器と接続のためのケーブルを接続するコネクタが配置された、入出力コネクタ配置部や、外部の電源と接続された電源ケーブルが接続される電源接続部等が備えられているが、これらについては割愛する。
電子機器1は、さらに、筐体3の前側部材3aの上部に可動式フック4を、下面にリブ5a,5bを、備えている。電子機器1は、後述するように、可動式フック4およびリブ5a,5bにて縦壁Vwに一時的に仮止めされるため、可動式フック4およびリブ5a,5bをまとめて仮止手段と称する。以下に、可動式フック4およびリブ5a,5bの詳細について説明する。2つのリブ5a,5bについては、両者を区別しないときはリブ5として説明する。
図3は、可動式フック4とその付近の筐体3の拡大図である。可動式フック4は、筐体3に格納されており、図3に示すように、筐体3から背面側に引出可能に設けられている。可動式フック4は、板状部材で形成され、この板状部材が水平にスライドして筐体3から引出されるように構成されている。板状部材の背面側の先端部は、筺体3の上面よりも上方に突出し、かつその上端部4aが正面側に折り曲げられた形状となっている。さらに、この上端部4aは、正面側から背面側への方向に向かって下方に傾斜している。上端部4aの正面側は係止部41となっており、縦壁Vwの背面と向かい合う。なお、上端部4aは、筐体3に収納されている際も、上方に突出している。また、可動式フック4には、図示しないが、筐体3から抜け落ちないように、抜け止めが設けられている。
可動式フック4は、例えば、ナイロンやポリオキシメチン(POM)等の弾性(可撓)性材料によって形成される。そして、可動式フック4は上下方向にたわむように筐体3に取り付けられている。
可動式フック4は、電子機器1の横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの右の領域(一方の領域)である第2領域に形成されている。ここで、電子機器1の横幅方向の重心は第1領域にあるため、可動式フック4は、電子機器1の横幅方向の重心位置からずれた位置にあるということになる。
図4は、電子機器1に設けられたリブ5とその付近の筐体3の拡大図である。リブ5は、図4に示すように、筐体3(前側部材3a)の下面の両端付近で、当該下面から突出しており、楔形の部材である。なお、リブ5が楔形に形成されていることで、電子機器1を後述の縦壁Vwの背面に保持するのに十分な強度を有している。リブ5は、筐体3と一体に形成されている。よって、リブ5は筐体3と同じ樹脂によって形成される。
本実施形態では、第1領域にリブ5bを、第2領域にリブ5aを形成し、計2つのリブを設けている。しかし、リブ5は、上記の個数に限定されず、少なくとも第1領域に1つ設けられていればよい。なお、3つ以上設けてもよい。
リブ5は、傾斜部51と、傾斜部51の正面側と連結された係止部52とを備えている。傾斜部51は、背面側の先端が前側部材3aの下面と平滑に接続しており、正面側に向けて前側部材3aの下面から遠ざかるように傾斜している。また、左右のリブ5a、5bで係止部52の正面側の端部の、フランジ部2からの距離は等しくなっている。
係止部41と係止部52とが後述の縦壁Vwに係止することで、電子機器1は縦壁Vwに一時的に仮止めされる。
〔電子機器の縦壁への取り付け〕
次に、電子機器1の縦壁Vwへの取り付けについて説明する。図5は、電子機器1を縦壁Vwに仮止めしている際の電子機器1の側面図である。図5において、図中右側が電子機器1および縦壁Vwの背面(後面)側、左側が電子機器1および縦壁Vwの正面(前面)側である。また、図6は電子機器1が縦壁Vwに仮止めされる際の、上方からの斜視図であり、図7は、仮止めされた電子機器1が回転した際の平面図である。なお、電子機器1のサイズには縦幅、横幅、厚みがあり、縦幅とは、縦壁Vwに形成された貫通孔Thに電子機器1を設置した際の鉛直方向の、幅であり、横幅とは、当該貫通孔Thに電子機器1を設置した際の左右の水平方向の、幅であり、厚みとは、当該貫通孔Thに電子機器1を設置した際の前後の水平方向の、言い換えれば貫通孔Thの深さ方向の、幅である。よって、上記した横幅方向とは、この横幅を基準とする方向である。
まず、電子機器1の筐体3の下部を、縦壁Vwの正面側から貫通孔Thに嵌め込む(嵌合させる)。このとき、リブ5の傾斜部51と貫通孔Thの辺縁とを接触させつつ筐体3を、貫通孔Thを正面側から背面側に向けて移動させることで、貫通孔Thに円滑に移動させることができる。正面側から背面側に向けての移動の終わりにリブの傾斜部51と貫通孔Thの辺縁との接触が外れると、自重で電子機器1は下に移動し、リブ5の係止部52が貫通孔Thの辺縁の縦壁Vwの背面側と係合する。
リブ5が貫通孔Thの辺縁の縦壁Vwと係合している状態で、リブ5の係止部52が係合している部分を中心に、電子機器1の上部が縦壁Vwに近づくように回転させ、筐体3の上部を貫通孔Thに押し込む。
ここで、可動式フック4の上端部4aは、通常時において筐体3から上方に突出しており、さらには、上端部4aは、正面側から背面側への方向に向かって下方に傾斜しているので、筐体3の上部を貫通孔Thに押し込む際は、貫通孔Thの周縁によって可動式フック4の上端部4aが押さえられて、上端部4aは下方にたわむ(上端部4aおよび可動式フック4の基部の両方が下方にたわむ場合もある)。そのため、可動式フック4を下方にたわませた(下方に押さえつけた)まま筐体3を貫通孔Th内に嵌め入れることができる。
可動式フック4の上端部4aが貫通孔Thを通過して縦壁Vwの背面側に移動すると、上端部4aを押していた力が解放される。これにより、可動式フック4が元の状態、すなわち上端部4aが筐体3から上方に突出した状態に戻る。この状態で電子機器1が前方(正面側)へ傾くと、可動式フック4の係止部41が、貫通孔Thの周縁の縦壁Vwの背面に引っ掛かり、電子機器1が傾くにつれて可動式フック4は自動的に筐体3から引き出される。可動式フック4には抜け止めが設けられているため、筐体3から引き出される部分が全て引き出された状態で、可動式フック4の係止部41とリブ5の係止部52とが縦壁Vw背面に係止され、図5に示すように、電子機器1は縦壁Vwに一時的に仮止めされる。
なお、電子機器1は正面側にあるフランジ部2が貫通孔Thよりも大きいので、電子機器1が縦壁Vwの背面側に貫通してしまうことはない。
以上により、電子機器1において、2つのリブ5a,5bが下部で、1つの可動式フック4が上部で、それぞれ、貫通孔Thの周縁の縦壁Vwと係合し、電子機器1が貫通孔Thから抜けないように仮止めされる。なお、電子機器1が仮止めされたとき、電子機器1の上部が下部よりも正面側に突出するように、可動式フック4およびリブ5の位置が決定されている。すなわち、電子機器1は、可動式フック4の係止部41がリブ5の係止部52よりも背面側になるように、可動式フック4およびリブ5が配置されている。可動式フック4およびリブ5にて仮止めされている際、電子機器1は、図5に示すように、リブ5を中心に前方に傾いた状態となる。
電子機器1を縦壁Vwの貫通孔Thに仮止めした後、縦壁Vwの背面側から電子機器を固定(本止め)する。このとき、電子機器1は、可動式フック4とリブ5が縦壁Vwの貫通孔Thの上下辺縁の縦壁Vwと係合して仮止めされているので、自重だけでは脱落しない。また、作業者が壁に接触したり、誤ってある程度の力(例えば、工具が接触した程度の力)で電子機器1の背面を押したりなどして、リブ5a,5bが外れてしまっても、次のように脱落を防ぐことができる。
電子機器1の横幅方向の重心は横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの一方の第1領域に偏って存在しており、他方の第2領域に可動式フック4とリブ5aとが設けられている。よって、可動式フック4は、電子機器1の横幅方向の重心位置からずれた位置に存在する。そして、可動式フック4およびリブ5aは、電子機器1の筐体3の上部と下部とにそれぞれ設けられている。また、第1領域に、かつ、電子機器1の筐体3の下部にリブ5bが設けられている。
そのため、電子機器1に力がかかり、リブ5aおよびリブ5bが外れると、電子機器1の縦壁Vwへの係合が解除されることになり、電子機器1の下部が前へ移動しようとするが、その際に、図6および図7に示すように、第2領域が可動式フック4により支持され、重心が第1領域に位置しているため、電子機器1は、第1領域が縦壁から離れるように回転もする。すなわち、電子機器1は図7における左側に回転する。なお、図6における一点鎖線は、可動式フック4の幅方向の中央を通っており、回転の中心(回転軸)を示している。この回転により、電子機器1の筐体3の左右側面が、縦壁Vwの貫通孔Thの左右縁にそれぞれ当たり、つまり、筐体3が貫通孔Thにつかえて、回転が止められ、電子機器の落下が防止される。そのため、電子機器1の取付け作業員が、誤って縦壁に衝撃を与えたり、電子機器1の背面を押したりなどして、リブ5aおよび5bが外れても、電子機器1は、筐体3が回転により貫通孔Thにつかえるため、電子機器1の落下が防止される。
また、電子機器1に力がかかり、5bだけが外れた場合にも、電子機器1は上記と同様に、電子機器1は図7における左側に回転し、可動式フック4よびリブ5aにて縦壁Vwの背面に係合した上で、筐体3が上記と同じく貫通孔Thにつかえるため、電子機器1の落下が防止される。
また、電子機器1に力がかかり、リブ5aだけが外れた場合には、第2領域の上部に設けられた可動式フック4と、第1領域の下部に設けられたリブ5bとで、電子機器1は保持される。ただし、電子機器1の貫通孔Thに対する嵌め入れ易さを考慮し、リブ5の上下方向の厚みは薄いことが好ましい。このため、リブ5aが外れるとわずかな力でリブ5bが外れてしまう。この場合は両リブ5a,5bが外れることになり、上記の様に筺体3が貫通孔Thにつかえて電子機器1の脱落が防止される。
ここで、例えば、図8に示すように、上部の係合部材101が横幅方向の重心位置と同じ位置にある電子機器(参考のための電子機器)100では、下部の両端にそれぞれ設けられた係合部材のうちの片方が外れると、電子機器100は、外れた係合部材の方向へずり落ち、結果としてそのまま落下してしまう。なお、図8に示す電子機器100は、横幅方向の重心位置が中央にあるものとする。
しかし、本実施形態の電子機器1は、以上のように、可動式フック4が、電子機器1の横幅方向の重心位置からずれた位置、かつ、第1領域に形成され、リブ5bが、第2領域に形成され、第2領域のリブの係合が解除されると可動式フック4周りに回転する、すなわち平面から見て第2領域にある軸、つまり左右にずれた軸を中心として回転する構成である。そのため、電子機器1を貫通孔Thが形成された縦壁Vwに、仮止めした際に衝撃が加わっても電子機器1が落下することがない。
なお、仮止めの後、電子機器1を固定具を用いて背後から縦壁Vwに本止めする方法は、例えば特許文献1に開示されたねじ止めの方法等の公知の方法を用いることで実施できる。特許文献1に開示された方法を用いる場合には、前側部材3aの側面に、固定具を挿入するための固定用孔が形成される。
また、電子機器1を縦壁Vwから取り外す際には、固定具にてねじ止めされている場合にはこの固定具を外し、リブ5の係止部52が係合している部分を中心に、電子機器1の上部が縦壁Vwから離れるように前方(正面側)に回転させると、可動式フック4の係止部41が縦壁Vw背面に引掛かかり、そのまま前方に回転させると、可動式フック4が筐体3から引き出される。可動式フック4の筐体3から引き出される部分が全て引き出されると、電子機器1は縦壁Vwに一時的に仮止めされる。そして、縦壁Vmの前方に位置する作業者が、傾いた状態で仮止めされている電子機器1を上方に持ち上げてリブ5と貫通孔Thとの係合を解除する。次いで、例えば、電子機器1の上部を後方に傾けることで、可動式フック4と貫通孔Thとの係合を解除すれば、電子機器1を縦壁Vwから取り外すことができる。取り外した後に、可動フック4を筺体2内に収めればよい。なお、取り外し方は上記に限られず、可動式フック4の上端部4aを下方にたわませることで、可動式フック4を、貫通孔Thを通過させてから電子機器1を取り外してもよい。
なお上記では、筐体3の厚みが薄いため、筐体3に対して収納および引出し可能な可動式フック4を設けたが、フックを筐体の上面に形成できる厚みがあれば、すなわち、筐体を側方から見て、上部のフックを下部のリブよりも後方に形成できる程度の厚みがあれば、可動式でなくても構わない。フックを筐体の上面に形成できる厚みがある場合には、そのフックは、例えば、特許文献1に記載の可動リブと同様の構成であってもよい。
また上記では、リブ5は不動のものとして記載したが、筐体の内部に収容可能な可動リブであっても構わない。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、縦壁の貫通孔に取り付けられる、表示装置や操作装置やタッチパネルのような電子機器に利用可能である。
1 電子機器
3 筐体
4 可動式フック(第1係合部材)
5a リブ(第3係合部材)
5b リブ(第2係合部材)
Vw 縦壁
Th 貫通孔
100 参考のための電子機器
101 参考のための電子機器の上部の係合部材

Claims (3)

  1. 筐体を有し、当該筐体を縦壁に形成された貫通孔に対して前記縦壁の前面側から嵌合させて固定する際に仮止するための仮止手段が前記筐体に設けられた電子機器であって、
    前記仮止手段は、前記筐体の上部に設けられ、前記縦壁の後面に係合する第1係合部材と、前記筐体の下部に設けられ、前記縦壁の後面に係合する第2係合部材とを有し、
    前記第1係合部材は、前記電子機器の横幅方向の重心位置からずれた位置、かつ、前記横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの一方の領域に形成され、
    前記第2係合部材は、前記横幅方向の長さの中心に対する左右の領域のうちの他方の領域に形成されていることを特徴とする電子機器。
  2. 前記第1係合部材は、前記筐体に対して収納可能にかつ引出し可能な板状部材として設けられ、当該板状部材の前記筐体の背面側の先端部は、前記筐体の上面よりも上方に突出し、かつ当該先端部の上端部は、前記筐体の正面側に折り曲げられ、当該上端部は、前記筐体の正面側から背面への方向に向かって下方に傾斜している、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
  3. さらに、前記仮止手段は、前記筐体の下部に設けられ、前記縦壁の後面に係合する第3係合部材を有し、当該第3係合部材は、前記一方の領域に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
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