JP2014038713A - 表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示を明るくする効果を維持しつつ、外光の反射光の外部への射出を極力抑えてコントラストを向上させる。
【解決手段】
透明基板1の射出側面には、円偏光板11が形成さている。透明基板1の発光側面には、順番に、TFT層4,選択反射層6,透明電極7,発光層9及び反射電極10が形成されている。発光層9は、透明電極7及び反射電極10によって電流が供給することにより、光を発する。TFT層4は、光を反射する複数の電極及び配線を包んで構成され透明電極に電流を流すTFTを有する透明な層である。選択反射層6は、入射した光のうち、所定の波長を有するとともに所定の方向に旋回する円偏光成分のみを反射し、他の成分を透過する。円偏光板11は、選択反射層6を透過した前記所定方向に旋回する円偏光成分のみを透過する。
【選択図】図2
【解決手段】
透明基板1の射出側面には、円偏光板11が形成さている。透明基板1の発光側面には、順番に、TFT層4,選択反射層6,透明電極7,発光層9及び反射電極10が形成されている。発光層9は、透明電極7及び反射電極10によって電流が供給することにより、光を発する。TFT層4は、光を反射する複数の電極及び配線を包んで構成され透明電極に電流を流すTFTを有する透明な層である。選択反射層6は、入射した光のうち、所定の波長を有するとともに所定の方向に旋回する円偏光成分のみを反射し、他の成分を透過する。円偏光板11は、選択反射層6を透過した前記所定方向に旋回する円偏光成分のみを透過する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ボトムエミッション方式の有機EL(Electroluminescence)表示素子を用いた表示装置に、関する。
近年、有機EL表示素子を用いた表示装置が開発されている。かかる有機EL表示素子は、画素毎に発光する発光層が備えられ、当該発光層に供給する電流量自体を調整することによって発光光量を調整することができるので、エネルギー効率に優れているという特徴を有している。
このような有機EL表示素子を用いた表示装置において、コントラストを向上させ色再現性を向上させるには、外光に起因する反射光(ゴースト光)が、表示面(有機EL表示素子における最も外側の面を言う。以下同様とする。)を通じて観察者側へ射出されることを防止する必要がある。
そのため、従来、外光が有機EL表示素子の表示面にて反射したり当該表示面を通じて内部に侵入することを防止するとともに、有機EL表示素子の内部に侵入した外光が電極等によって反射された後に、表示面を通じて再度外部に射出されることを防止するための工夫が、なされてきた(例えば、特許文献1乃至3)。
このような有機EL表示素子を用いた表示装置において、コントラストを向上させ色再現性を向上させるには、外光に起因する反射光(ゴースト光)が、表示面(有機EL表示素子における最も外側の面を言う。以下同様とする。)を通じて観察者側へ射出されることを防止する必要がある。
そのため、従来、外光が有機EL表示素子の表示面にて反射したり当該表示面を通じて内部に侵入することを防止するとともに、有機EL表示素子の内部に侵入した外光が電極等によって反射された後に、表示面を通じて再度外部に射出されることを防止するための工夫が、なされてきた(例えば、特許文献1乃至3)。
上記特許文献1に記載された技術は、ボトムエミッション方式の有機EL表示素子において、透明基板の表面(即ち、発光層が形成されている側とは反対側の面)に偏光層ないし偏光板を設けたものである。この場合、一般に非偏光である外光は、偏光層(偏光板)に入射することによって所定の方向にのみ振動する直線偏光に変換され、その際、約半分のエネルギーを当該偏光層(偏光板)によって吸収される。
しかしながら、有機EL表示素子内部に侵入した外光は、有機EL表示素子内部の電極等によって反射されてもその直線偏光状態に影響を受けないので、偏光層(偏光板)は、かかる外光に起因する反射光を、素通りさせてしまう。そればかりか、かかる偏光層(偏光板)は、有機EL表示素子の発光層において発生した光が外部に向けて透過する際にもその約半分のエネルギーを吸収してしまう。従って、かかる偏光層(偏光版)を単純に設けるだけでは、コントラスト向上に寄与する程度は低く、また、表示が暗くなってしまうという問題が生じることが、判る。
そこで、コントラスト向上に寄与する程度を高めると同時に、表示を明るくするために、円偏光板を有機EL表示素子の表示面に設ける技術が、次に提案された。
この技術によると、外光は、円偏光板を構成する偏光層(偏光板)により特許文献1の場合と同様に直線偏光に変換された後に、円偏光板を構成する1/4波長板によって左右何れかに旋回する円偏光に変換される(S偏光成分の位相とP偏光成分の位相とが相対的に1/4波長分シフトされる)。このようにして円偏光に変換された外光が有機EL素子内部で反射されると、S偏光成分の位相とP偏光成分の位相との遅れ/進みの関係が逆転するので、旋回の方向が逆転する。その為、かかる反射光が再度1/4波長板を透過することによって直線偏光に戻されると、その振動方向は、入射時における直線偏光の振動方向に対して直交することになる。その結果、反射光は、偏光層(偏光板)を透過することができず、当該偏光層(偏光板)によって吸収されるので、表示面から外部に射出されることが防止されるのである。
もっとも、有機EL表示素子の発光層によって励起された光(白色光,又は、発光層に混入された色素に応じた原色光)も様々な偏光成分から構成されているので、円偏光板を透過する際に、その約半分のエネルギーを吸収されてしまい、表示を明るくすることができない。
そこで、円偏光板とともに、波長選択反射機能を有する液晶(コレステリック液晶)層とを併用する技術が、開発された(特許文献2,特許文献3)。
この技術によると、有機EL表示素子の発光層によって励起された光(白色光,又は、発光層に混入された色素に応じた原色光)は、その波長及び円偏光成分の旋回方向に応じて分離され、液晶層を構成する液晶分子の螺旋のピッチに対応した波長を有するとともに螺旋方向と同方向に旋回する成分は反射されるが、それ以外の成分は透過する。このようにして液晶層によって反射された光は、発光層における液晶層が設けられている側とは反対側の面に形成された反射層(反射電極)によって反射され、その際に、上述したように旋回方向が逆転するので、再度液晶層に入射しても反射されることなくそのまま透過する。なお、発光層によって励起された後に先ず反射層にて反射された光も、上述したような過程を経て、最終的に、液晶層を透過する。その結果、液晶層を構成する液晶分子の螺旋のピッチに対応した波長の光については、その全成分が、一定の方向に旋回する円偏光に変換される。なお、発光層が白色光を励起する場合には、液晶層を構成する液晶分子の螺旋のピッチに対応した波長の光以外の成分が、カラーフィルタによって除去される。
そして、液晶層によって揃えられる円偏光の旋回方向は、上記外光の反射光の旋回方向とは逆方向に設定されているので、1/4波長板を透過することによって直線偏光に変換された場合における振動方向は、偏光層(偏光板)における透過光の振動方向に合致し、その全成分が、偏光層(偏光板)を透過して射出される。よって、この技術によると、表示の明るさを向上することができる。
しかしながら、有機EL表示素子内部に侵入した外光は、有機EL表示素子内部の電極等によって反射されてもその直線偏光状態に影響を受けないので、偏光層(偏光板)は、かかる外光に起因する反射光を、素通りさせてしまう。そればかりか、かかる偏光層(偏光板)は、有機EL表示素子の発光層において発生した光が外部に向けて透過する際にもその約半分のエネルギーを吸収してしまう。従って、かかる偏光層(偏光版)を単純に設けるだけでは、コントラスト向上に寄与する程度は低く、また、表示が暗くなってしまうという問題が生じることが、判る。
そこで、コントラスト向上に寄与する程度を高めると同時に、表示を明るくするために、円偏光板を有機EL表示素子の表示面に設ける技術が、次に提案された。
この技術によると、外光は、円偏光板を構成する偏光層(偏光板)により特許文献1の場合と同様に直線偏光に変換された後に、円偏光板を構成する1/4波長板によって左右何れかに旋回する円偏光に変換される(S偏光成分の位相とP偏光成分の位相とが相対的に1/4波長分シフトされる)。このようにして円偏光に変換された外光が有機EL素子内部で反射されると、S偏光成分の位相とP偏光成分の位相との遅れ/進みの関係が逆転するので、旋回の方向が逆転する。その為、かかる反射光が再度1/4波長板を透過することによって直線偏光に戻されると、その振動方向は、入射時における直線偏光の振動方向に対して直交することになる。その結果、反射光は、偏光層(偏光板)を透過することができず、当該偏光層(偏光板)によって吸収されるので、表示面から外部に射出されることが防止されるのである。
もっとも、有機EL表示素子の発光層によって励起された光(白色光,又は、発光層に混入された色素に応じた原色光)も様々な偏光成分から構成されているので、円偏光板を透過する際に、その約半分のエネルギーを吸収されてしまい、表示を明るくすることができない。
そこで、円偏光板とともに、波長選択反射機能を有する液晶(コレステリック液晶)層とを併用する技術が、開発された(特許文献2,特許文献3)。
この技術によると、有機EL表示素子の発光層によって励起された光(白色光,又は、発光層に混入された色素に応じた原色光)は、その波長及び円偏光成分の旋回方向に応じて分離され、液晶層を構成する液晶分子の螺旋のピッチに対応した波長を有するとともに螺旋方向と同方向に旋回する成分は反射されるが、それ以外の成分は透過する。このようにして液晶層によって反射された光は、発光層における液晶層が設けられている側とは反対側の面に形成された反射層(反射電極)によって反射され、その際に、上述したように旋回方向が逆転するので、再度液晶層に入射しても反射されることなくそのまま透過する。なお、発光層によって励起された後に先ず反射層にて反射された光も、上述したような過程を経て、最終的に、液晶層を透過する。その結果、液晶層を構成する液晶分子の螺旋のピッチに対応した波長の光については、その全成分が、一定の方向に旋回する円偏光に変換される。なお、発光層が白色光を励起する場合には、液晶層を構成する液晶分子の螺旋のピッチに対応した波長の光以外の成分が、カラーフィルタによって除去される。
そして、液晶層によって揃えられる円偏光の旋回方向は、上記外光の反射光の旋回方向とは逆方向に設定されているので、1/4波長板を透過することによって直線偏光に変換された場合における振動方向は、偏光層(偏光板)における透過光の振動方向に合致し、その全成分が、偏光層(偏光板)を透過して射出される。よって、この技術によると、表示の明るさを向上することができる。
ところで、特許文献3記載の構造では、反射電極層と対になって発光層に電流を供給する透明電極が透明基板と発光層との間に設けられている(従って、当該透明電極に電流を供給するTFT[Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ]を包含するTFT層も、透明基板と発光層との間に設けられる)一方、液晶層は、透明基板を挟んで発光層とは逆側に設けられている。また、特許文献2の図3に記載の構造では、液晶層(選択反射層)は、透明基板と発光層との間に設けられているが、液晶層(選択反射層)における発光層側の面に配線が形成されていることからすると、反射電極と対になって発光層に電流を供給すべき透明電極(不図示)に電流を供給するTFT層も、液晶層(選択反射層)と発光層との間に設けられていると、考えられる。
このように液晶層(選択反射層)と発光層との間にTFT層及び配線が存在すると、外光は、一旦液晶層(選択反射層)を透過してからTFT層又は配線を構成する反射金属層によって反射されて、再度液晶層(選択反射層)に入射することになる。その結果、TFT層又は配線を構成する反射金属層によって反射されることによりその円偏光の旋回方向が逆転された状態で再度液晶層(選択反射層)に入射した外光の一部が、その旋回方向を維持したまま当該液晶層(選択反射層)内部で反射されてしまうので、再度TFT層又は配線を構成する反射金属層によって再反射された時点で、円偏光の旋回方向が再逆転されてしまう。その結果、再反射された外光起因の反射光は、今度は、液晶層(選択反射層)を透過するばかりか、円偏光板をも透過して、外部に射出されてしまうのである。
以上のように、液晶層(選択反射層)と発光層との間にTFT層及び配線が存在すると、かかるTFT層及び配線を構成する反射金属層での反射に起因して外光の一部が外部に射出されてしまうので、コントラストを向上させる効果は却って低下してしまう。
さらに、特許文献3記載の構造では、各発光層に対応する液晶層(選択反射層)との間に、現実にはこれら各層よりも大幅に厚い透明基板が介在しているので、ある発光層から発した斜め方向に発光した光が、隣接する他の発光層用の液晶層(選択反射層)に入射してしまうことがある。この場合、選択反射が生じない。このような場合には、真正面のみの輝度が上がるだけで、実際には実用的でないという問題がある。
そこで、本発明は、表示を明るくする効果を維持しつつ、外光の反射光の外部への射出を極力抑えてコントラストを向上させた表示装置の提供を、課題とする。
本発明の一態様は、有機EL表示素子を用いた表示装置であって、透明な導電材料からなる透明電極と可視光領域の光を反射する金属材料からなる反射電極によって挟まれた構造を有するとともに、これら透明電極と反射電極によって電流が供給されることによって光を発する有機発光層と、前記透明電極を挟んで前記有機発光層に近接して設けられ、入射した光のうち、所定の波長を有するとともに所定の方向に旋回する円偏光成分のみを反射し、他の成分を透過する選択反射層と、前記選択反射層における前記有機反射層とは反対側に設けられ、光を反射する複数の電極を有するとともに前記透明電極に電流を供給する電気素子を内包する透明部材からなる配線層と、前記配線層における前記選択反射層とは反対側に設けられた透明基板と、前記透明基板における前記配線層とは反対側に設けられ、前記選択反射層を透過した前記所定方向に旋回する円偏光成分のみを透過する偏光特性を有する円偏光板とを、備えたことを特徴とする。
本発明によれば、発光層から発した光のうち選択反射層が反射することのできる波長の光は、当該選択反射層に入射することで、その全成分が、円偏光板が透過する円偏光と同じ方向に旋回する円偏光に変換されるので、当該円偏光板によって遮断されずに外部へ射出され、表示を明るく維持することができる。それにも拘わらず、透明電極に電流を供給するための反射金属層にて反射された外光は選択反射層を透過しないので、その全成分が円偏光板によって遮断され、外部へ射出されることが防止される。よって、外光下でのコントラストが向上する。
以下、本発明の一実施形態に係る表示装置,即ち、有機EL表示素子を利用した表示装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電子機器について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第1実施形態に係る電子機器について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分の縦断面図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分の縦断面図である。
図1に示すように、透明基板としてのガラス基板1の一方の面(図1における下向きの面,以下、「射出側面」という)には、順番に、1/4波長板2及び偏光板3が、層をなすように形成されている。これら1/4波長板2及び偏光板3を併せて、「円偏光板11」と言う。
これに対して、ガラス基板1の他方の面(図1における上向きの面,以下、「発行側面」という)には、順番に、TFT層4,配向層5,選択反射層6,透明電極7,発光層封止層8及び反射電極10が、層をなすように形成されている。
反射電極10は、有機EL表示素子全体を覆うように形成された共通電極であり、入射した可視光領域全般に亙る光を全反射するに足りる屈折率及び膜厚を有する金属膜である。
発光層封止層8は、不透明な絶縁材料からなり、各画素における各原色の発光位置に、貫通孔8aが形成されている層である。各貫通孔8a内には、対応する原色の光を発光するための発光層9が形成されている。ここで、詳細な図示及び説明は省略するが、各発光層9は、透明基板1側から順に、電子注入層,電子輸送層,有機発光層,ホール輸送層,ホール注入層が順番に積層されることにより構成されている。ただし、本実施形態においては、各発光層9は、夫々、特定の原色の光を発光するように、その有機発光層の材料(蛍光色素)が選択されている。
透明電極7は、各発光層9ごとに、発光層9の全体に接する面積を有するものとして、選択反射層6と発光層封止層8との間に形成されている。透明電極7の材料としては、例えば、ITO(酸化インジウム錫)を用いることができる。
選択反射層6は、各画素を構成する各発光層9ごとに区分されており、各発光層9によって発光される原色光の波長を反射するように構成されている。
即ち、各選択反射層6は、波長選択反射機能を有するコレステリック液晶(コレステロールの水酸基をハロゲンで置換したハロゲン化合物や脂肪酸,炭酸とのエステル化合物等のコレステリック環を有する液晶)を封入した構造を有している。これらの波長選択反射液晶の動作原理は公知であるのでその詳細な説明は省略するが、要するに、液晶分子が螺旋状構造を有しており、下記式(1)によって与えられる波長(λ[nm])の光については、液晶分子の螺旋状構造のねじれの向きと同じ方向に旋回する円偏光成分のみを反射するが、反対方向に旋回する円偏光成分及び他の波長の光を透過させる特性を有している。
λ=p・n ……(1)
(但し、pは液晶分子の螺旋ピッチ[nm],nは液晶の平均屈折率である。)
そして、この液晶分子の螺旋ピッチは、液晶材料に添加するカイラル剤の濃度を調整することや、カイラル剤として光反応性カイラル剤を用いた場合に照射すべき光の熱量を調整することによって、調整することができる。このようにして液晶分子の螺旋ピッチを調整することにより、各選択反射層6は、対応する発光層9が発する原色光の波長(λ[nm])を中心とした特定の波長の幅の光のみを反射するように、構成されているのである。例えば、n=1である場合、液晶分子のねじれ方向が右螺子方向であり、且つ、螺旋ピッチが550nmであると、550nmのを中心とした特定の幅の光の右螺子方向の円偏光成分のみが反射される。
即ち、各選択反射層6は、波長選択反射機能を有するコレステリック液晶(コレステロールの水酸基をハロゲンで置換したハロゲン化合物や脂肪酸,炭酸とのエステル化合物等のコレステリック環を有する液晶)を封入した構造を有している。これらの波長選択反射液晶の動作原理は公知であるのでその詳細な説明は省略するが、要するに、液晶分子が螺旋状構造を有しており、下記式(1)によって与えられる波長(λ[nm])の光については、液晶分子の螺旋状構造のねじれの向きと同じ方向に旋回する円偏光成分のみを反射するが、反対方向に旋回する円偏光成分及び他の波長の光を透過させる特性を有している。
λ=p・n ……(1)
(但し、pは液晶分子の螺旋ピッチ[nm],nは液晶の平均屈折率である。)
そして、この液晶分子の螺旋ピッチは、液晶材料に添加するカイラル剤の濃度を調整することや、カイラル剤として光反応性カイラル剤を用いた場合に照射すべき光の熱量を調整することによって、調整することができる。このようにして液晶分子の螺旋ピッチを調整することにより、各選択反射層6は、対応する発光層9が発する原色光の波長(λ[nm])を中心とした特定の波長の幅の光のみを反射するように、構成されているのである。例えば、n=1である場合、液晶分子のねじれ方向が右螺子方向であり、且つ、螺旋ピッチが550nmであると、550nmのを中心とした特定の幅の光の右螺子方向の円偏光成分のみが反射される。
また、選択反射層6が透過させる上記波長(λ[nm])の円偏光の旋回方向は、上述した円偏光板11が透過させる円偏光の旋回方向と一致している。
配向層5は、液晶分子の配列を揃える機能を有する膜であり、ポリイミドから構成されている。
なお、当該配向層5及び上述の選択反射層6には、各透明電極7を後述するTFT層に包含されたTFTのドレイン電極に導通させるためのコンタクト7aが、貫通している。
配線層としてのTFT層4は、透明基板1側から順番に積層された、保護層41,第1絶縁層42,第2絶縁層43,第3絶縁層44,及び平坦化層49と、第1絶縁層42と第2絶縁層43との間において発光層9と重ならない位置に形成された半導体層45と、第2絶縁層43と第3絶縁層44との間において第2絶縁層43を挟んで半導体層42の中央に対向するように金属によって形成されたゲート電極46と、第2絶縁層43と第3絶縁層44を貫通して半導体層42の一端に導通するように金属によって形成されたソース電極47と、第2絶縁層43と第3絶縁層44を貫通して半導体層42の他端に導通するように金属によって形成されるとともに上記コンタクト7aに導通したドレイン電極48とから、構成されている。なお、これらのうち、半導体層45,ゲート電極46,ソース電極47及びドレイン電極48のみを指して、電気素子としての「TFT」と呼ぶ。また、TFT層4内には、図示は省略されているが、ゲート電極46又はソース電極47に導通している多数の金属膜製の配線が、形成されている。
(作用)
(作用)
上述した構造を有する本実施形態による表示装置の作用を、図1及びこれを簡略化した動作説明図である(但し、天地が図1と逆転している)図2を参照して、以下に説明する。
<内部発光>
<内部発光>
まず、何れかの発光層9に対応したTFTのゲート電極46に電圧を印加すると、TFTがONとなり、ソース電極47,半導体層45,ドレイン電極48及び透明電極7を通じて、発光層9を構成するホール注入層にホールが注入されるとともに、反射電極10を通じて、発光層9を構成する電子注入層に電子が注入され、これにより、公知の発光原理に従って発光層9を構成する有機発光層が、その材料(蛍光色素)に応じた波長(λ[nm])の原色光を励起し、あらゆる方向に発光する。なお、この原色光を構成する各光束の成分は、各偏光方向毎に分解することにより、右螺子方向に旋回する円偏光成分と左螺子方向に旋回する円偏光成分とを合成したものであるとみなすことができる。従って、選択波長層6により、当該原色光を二つの円偏光に分離することができるのである。
即ち、発光層9から発して直接選択反射層6に入射するか一旦反射電極10によって反射されてから選択反射層6に入射した光のうち、円偏光板11によって透過する方向に旋回する円偏光成分は、そのまま選択反射層6を透過するが、反対方向に旋回する円偏光成分は、選択反射層6内で反射される。ここで、円偏光板11によって透過する円偏光の旋回方向が図2に示すように左螺子方向(液晶分子の螺旋構造が右螺子方向である場合)であるとすると、左螺子方向に旋回する円偏光成分が選択反射層6を透過し、右螺子方向に旋回する円偏光成分が選択反射層6内で反射される。
選択反射層6内で反射された円偏光成分は、発光層9内に再入射された後に反射電極10によって反射され、これによってその旋回方向を逆転された状態(図2の例においては左螺子方向に逆転された状態)で、選択反射層6に再入射され、今度は、選択反射層6を透過する。
以上の結果、発光層9から発した光の全成分が、円偏光板11によって透過する円偏光と同じ旋回方向の円偏光に変換された状態で選択反射層6を透過し、更に、TFT層4,透明基板1及び円偏光板11を透過して、外部へ射出される。よって、表示装置による表示の明るさが維持される。
<外光>
<外光>
一方、外光が本実施形態による有機EL表示素子に入射しようとする場合、円偏光板11を構成する偏光板3を透過する際にその約半分の成分が当該偏光板3によって吸収され、残りの成分が1/4波長板2を透過することによって円偏光(図2の例においては、左螺子方向に旋回する円偏光)に変換される。
この外光が透明基板1を通じてTFT層4に含まれる各電極46,47,48や図示せぬ配線の表面に入射すると、当該表面によって反射されるが、その反射の際に、その旋回方向が逆転される(図2の例においては、右螺子方向に逆転される)。従って、この反射光が再度を透明基板1を通り、円偏光板11に入射しても、その旋回方向は当該円偏光板11が透過する円偏光の旋回方向(図2の例では左螺子方向)とは逆である,即ち、1/4波長板2を透過することによって変換される直線偏光の振動方向が、偏光板3が透過する直線偏光の振動方向に対して直交するので、当該反射光の全成分が当該偏光板3によって吸収されて、外部に射出されることがない。
また、円偏光板11及び透明基板1を透過した外光のうち、TFT層4における透明部分を透過した光束は、選択反射層6に入射することになるが、当該選択反射層6によって反射されない波長(λ[nm])の光は勿論、反射される波長(λ[nm])の光についても、選択反射層6を透過する方向(図2の例では左螺子方向)に旋回する円偏光に変換されているので、選択反射層6を透過し、発光層9内に入射してから反射電極10によって反射される。このとき、当該外光の全波長成分は、その円偏光の旋回方向を逆転され(図2の例では右螺子方向に逆転され)、選択反射層6に再入射する。
選択反射層6に入射した反射光のうち、当該選択反射層6によって反射されない波長(λ[nm])の光は、当該選択反射層6を透過し、更に、TFT層4,透明基板1を透過して円偏光板11に入射するが、その旋回方向は当該円偏光板11が透過する円偏光の旋回方向(図2の例では左螺子方向)とは逆である,即ち、1/4波長板2を透過することによって変換される直線偏光の振動方向が、偏光板3が透過する直線偏光の振動方向に対して直交するので、当該偏光板3によって吸収されて、外部に射出されることがない。
これに対して、選択反射層6に入射した反射光のうち、当該選択反射層6によって反射される波長(λ[nm])の光は、その円偏光の旋回方向が液晶分子の螺旋構造のねじれ方向(図2の例では右螺子方向)と一致するので、当該選択反射層6内において反射されて、発光層9内に再度入射し、反射電極10によって再反射される。このとき、当該光の円偏光の旋回方向は再逆転され(図2の例では左螺子方向に再逆転され)、選択反射層6に再入射する。この場合、当該光の円偏光の旋回方向は、液晶分子の螺旋構造のねじれ方向とは逆向き(図2の例では左螺子方向)であるので、当該選択反射層6を透過し、更に、TFT層4,透明基板1を透過して円偏光板11に入射する。この場合、当該光の円偏光の旋回方向は当該円偏光板11が透過する円偏光の旋回方向(図2の例では左螺子方向)と同じである,即ち、1/4波長板2を透過することによって変換される直線偏光の振動方向が、偏光板3が透過する直線偏光の振動方向と平行になるので、当該円偏光板11を透過して、外部に射出されてしまう。
もっとも、本実施形態のようなボトムエミッション方式の場合、TFT層4における透明部分(即ち、各TFTの電極や配線が設けられていない部分)が全体に占める面積比率は低く、また、発光層封入層8全体に占める発光層8の面積比率は更に低いので、最終的に円偏光板11を透過して外部に射出される外光起因の反射光の光量は僅かに止まる。その為、当該反射光がコントラストに及ぼす悪影響の程度は最小限に留まる。
以上に説明したように、本実施形態においては、反射電極と対になって各発光層に電流を供給する透明電極を駆動するTFTや配線は、透明基板1の片側において、当該透明基板1と選択反射層6との間に設けられているので、有機EL表示素子内に侵入してこれらTFTの電極や配線の表面にて反射された外光起因の反射光は、選択反射層6を透過することがない。従って、当該反射光に関しては、当該当該選択反射層6によって反射されることによって反射電極によって複数回反射されることによって入射時における円偏光の旋回方向に戻ってしまうという問題が生じず、反射回数は1回に留まるので、入射時における円偏光の旋回方向が逆転されるので、円偏光板によって確実に遮断される。よって、本実施形態によると、表示の明るさを維持しつつ、コントラストの低下を極力抑えることができる。
(製造過程)
(製造過程)
以下、図3乃至図6を参照して、本実施形態による有機EL表示素子の選択反射層6の製造工程を説明する。なお、図3乃至図6の天地は、図1と同じである。
先ず、図3に示すように、製造者は、透明基板1の表面(発光側面)に、順番に、TFT層4及び配向層5を形成する。
次に、図4に示すように、製造者は、配向層5上に、常温にて液晶分子の螺旋ピッチを赤領域の光を反射させる幅に固定するように光反応型カイラル剤の濃度が調整されたコレステリック液晶組成物30を塗布し、全画素における同一原色の発光層9の位置に対応した透光部20aが形成されたマスク20を、各透光部20aが全画素における赤色光を発光する発光層9に重なるように位置決めした状態で、当該マスク20を介して、加熱せず、常温で紫外光を、液晶組成物30に照射する。なお、図示は省略したが、当該マスク20の各透光部20aには、各コンタクト7a用の開口を形成するためのパターン(遮光部)も形成されている。その結果、夫々コンタクト7a用の開口が形成された全画素の赤色光用の選択反射層6が形成される。
次に、図5に示すように、製造者は、各透光部20aが全画素における緑色光を発光する発光層9に重なるようにマスク20の位置をずらし、当該マスク20を介して、コレステリック液晶が緑色を反射するようになる温度まで、ホットプレートで加熱しながら、紫外光を液晶組成物30に照射する。その結果、夫々コンタクト7a用の開口が形成された全画素の緑色光用の選択反射層6が形成される。
次に、図6に示すように、製造者は、各透光部20aが全画素における青色光を発光する発光層9に重なるようにマスク20の位置をずらし、当該マスク20を介して、コレステリック液晶が青色を反射するようになる温度まで、ホットプレートで加熱しながら、紫外光を液晶組成物に照射する。その結果、夫々コンタクト7a用の開口が形成された全画素の青色光用の選択反射層6が形成される。
その後、製造者は、順次、透明電極7,発光層封止層8,発光層9及び反射電極10を形成する。また、透明基板1の射出側面上に、順次、1/4波長板2及び偏光板3を形成する。
以上により、本実施形態による有機EL表示素子が完成する。
(第2実施形態)
以上により、本実施形態による有機EL表示素子が完成する。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分の縦断面図である。
図7に示すように、本第2実施形態は、上述した第1実施形態と比較して、配向層5が省略されている点のみを相違し、それ以外の構成を同一としている。当該配向層5は、液晶製造時において液晶分子の配列を整えるために必要であるが選択反射層6の完成後においては特にその機能は必要とされないので、省略が可能となっている。選択反射層は方向性がないため、方向性を揃えるための配向処理は不要であり、また、欠陥を減らすための配向膜の寄与という意味では、コレステリック液晶材料自体の配向性を向上させることにより、配向膜を必ずしも形成する必要はない。 従って、本第2実施形態の作用及び製造過程は、配向層5に関する箇所を除き、上述した第1実施形態のものと同じである。
(第3実施形態)
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分の縦断面図である。
図8に示すように、本第3実施形態は、上述した第2実施形態と比較して、平坦化層49が省略されているとともに、選択反射層6が平坦化層49の機能を兼ねている点のみを相違し、それ以外の構成を同一としている。当該平坦化層49は、透明電極7を形成すべき平面を平坦化するために必要であるが、透明電極7の完成後においては特にその機能は必要とされないので、省略が可能となっている。また、コレステリック液晶層を使って平坦化することも可能である。従って、本第3実施形態の作用及び製造過程は、配向層5及び平坦化層49に関する箇所を除き、上述した第1実施形態のものと同じである。
(第4実施形態)
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分の縦断面図である。
図9に示すように、本第4実施形態は、上述した第1実施形態と比較して、各色用の選択反射層6が、発光層封止層8を介して相互に分離している点のみを相違し、それ以外の構成を同一としている。各選択反射層6は、光学素子に過ぎず、相互に連続している必然性はないので、分離が可能になっている。従って、本第4実施形態の作用は、上述した第1実施形態のものと同じである。
<製造過程>
<製造過程>
以下、図10乃至図21を参照して、本実施形態による有機EL表示素子の製造工程を説明する。なお、図10至図21の天地は、図1と同じである。
先ず、図10に示すように、製造者は、透明基板1の表面(発光側面)に、順番に、TFT層4及び配向層5を形成する。
先ず、図10に示すように、製造者は、透明基板1の表面(発光側面)に、順番に、TFT層4及び配向層5を形成する。
次に、図11に示すように、製造者は、配向層5上に、常温にて液晶分子の螺旋ピッチを赤領域の光を反射させる幅に固定するようにカイラル剤の濃度が調整された光重合性コレステリック液晶組成物31を塗布する。
次に、図12に示すように、製造者は、全画素における同一原色の発光層9の位置に対応した(但し、上記第1実施形態のものよりも狭い)透光部21aが形成されたマスク21を、各透光部21aが全画素における赤色光を発光する発光層9に重なるように位置決めした状態で、当該マスク21を介して、紫外光を、液晶組成物31に照射する。なお、図示は省略したが、当該マスク21の各透光部21aには、各コンタクト7a用の開口を形成するためのパターン(遮光部)も形成されている。その結果、夫々コンタクト7a用の開口が形成された全画素の赤色光用の選択反射層6が硬化される。
次に、図13に示されるように、製造者は、現像液32によって液晶組成物31を現像することにより、未硬化の液晶組成物31を除去する。その結果、図14に示すように、硬化された全画素の赤色光用の選択反射層6のみが、配向層5上に残される。
次に、図15に示されるように、製造者は、配向層5上に、常温にて液晶分子の螺旋ピッチを緑領域の光を反射させる幅に固定するようにカイラル剤の濃度が調整された光重合性コレステリック液晶組成物33を塗布する。
次に、図16に示されるように、製造者は、上記マスク21を、各透光部21aが全画素における緑色光を発光する発光層9に重なるように位置決めした状態で、当該マスク21を介して、紫外光を、液晶組成物33に照射する。その結果、夫々コンタクト7a用の開口が形成された全画素の緑色光用の選択反射層6が硬化される。
次に、図17に示されるように、製造者は、現像液32によって液晶組成物33を現像することにより、未硬化の液晶組成物33を除去する。その結果、図18に示すように、硬化された全画素の赤色光用の選択反射層6及び緑色光用の選択反射層6のみが、配向層5上に残される。
次に、図19に示されるように、製造者は、配向層5上に、常温にて液晶分子の螺旋ピッチを青領域の光を反射させる幅に固定するようにカイラル剤の濃度が調整された光重合性コレステリック組成物34を塗布する。
次に、図20に示されるように、製造者は、上記マスク21を、各透光部21aが全画素における青色光を発光する発光層9に重なるように位置決めした状態で、当該マスク21を介して、紫外光を、液晶組成物34に照射する。その結果、夫々コンタクト7a用の開口が形成された全画素の青色光用の選択反射層6が硬化される。
次に、図21に示されるように、製造者は、現像液32によって液晶組成物34を現像することにより、未硬化の液晶組成物34を除去する。その結果、硬化された全画素の赤色光用の選択反射層6,緑色光用の選択反射層6及び青色用の選択反射層6のみが、配向層5上に残される。
その後、製造者は、順次、透明電極7,発光層封止層8,発光層9及び反射電極10を形成する。また、透明基板1の射出側面上に、順次、1/4波長板2及び偏光板3を形成する。
以上により、本実施形態による有機EL表示素子が完成する。
(第5実施形態)
以上により、本実施形態による有機EL表示素子が完成する。
(第5実施形態)
図22は、本発明の第5実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分の縦断面図である。
図22に示すように、本第5実施形態は、上述した第1実施形態と比較して、発光層封止層8及び各発光層9の代わりに、白色光を発光するように材料(発光色素)が調整された一続きの白色発光層12が形成されているとともに、各透明電極7に対応して(従って、白色発光層12における、各透明電極7によって供給される電流によって発光する部分に対応して)、何れかの原色の波長成分のみを透過させるカラーフィルタ13が、選択反射層6と透明電極7との間に形成されている点のみを相違し、それ以外の構成を同一としている。このような構成においても、白色発光層12にて発した白色光のうち、特定の原色光成分のみがカラーフィルタ13を透過するので、選択反射層6には対応する波長の光のみが入射する点において、第1実施形態と同じである。従って、有機EL表示素子内に入射した外光のうち、選択反射層6によって反射されない波長成分は、カラーフィルタ13によって吸収されてしまう点を除いて、本第5実施形態の作用は、上述した第1実施形態のものと同じである。
(第6実施形態)
(第6実施形態)
図23は、本発明の第6実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分の縦断面図である。
図23に示すように、本第6実施形態は、上述した第5実施形態と比較して、カラーフィルタ13が平坦化層49と配向層5との間に形成されている点のみを相違し、それ以外の構成を同一としている。このような構成においても、選択反射層6を透過する順番とカラーフィルタ13を透過する順番とが逆になる為、有機EL表示素子内に入射した外光のうち、選択反射層6によって反射されない波長成分は、選択反射層6に入射するに先立ってカラーフィルタ13によって吸収されてしまう点を除いて、本第6実施形態の作用は、上述した第5実施形態のものと同じである。
(第7実施形態)
(第7実施形態)
図24は、本発明の第7実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分の縦断面図である。
図24に示すように、本第7実施形態は、上述した第1実施形態と比較して、配向層5が省略されているとともに、選択反射層6の表面及びコンタクト7a用の開口6aの内面に窒化ケイ素(SiN)製のパシベーション層14が形成されている点のみを相違し、それ以外の構成を同一としている。従って、本第2実施形態の作用は、上述した第1実施形態のものと同じである。
(第8実施形態)
(第8実施形態)
図25は、本発明の第8実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分及び白色を発光する部分の縦断面図である。即ち、本第8実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子を構成する各画素は、3原色(赤,緑,青)及び白色を夫々発光する4個の発光層を備え、これにより、白色の色再現性を向上させている。
図25に示すように、本第8実施形態における各原色を発光する部分は、上述した第2実施形態(第1実施形態から配向層5を省略したもの)と同じ構成を有する。また、本第8実施形態における白色を発光する部分は、上述した第2実施形態と比較して、原色を発光する発光層9の代わりに、白色光を発光するように材料(発光色素)が調整された白色発光層12が形成されているとともに、単色用の選択反射層6の代わりに、各原色(赤,緑,青)の波長帯域の光(所定旋回方向の円偏光成分)のみを夫々反射させる3層の選択反射層61,62,63からなる反射層60が設けられている点のみを相違する。
以上のように構成された本第8実施形態における各原色を発光する部分における作用は、上述した第1実施形態のものと同じである。
また、白色光を発する部分におけるTFTの各電極46〜48及び配線での外光反射に対する作用は、上述した第1実施形態のものと同じである。
これに対して、白色発光層12から発した白色光を構成する各原色(赤,緑,青)は、その波長帯域に対応した何れかの選択反射層61,62,63において、円偏光板11を透過可能な円偏光と同じ旋回(図2の例では左螺子方向)に旋回する円偏光成分と反対方向に旋回する円偏光成分とに分離され、前者はそのまま反射層60を透過し、後者は各選択反射層61,62,63内で反射さえて白色発光層12に戻される。このようにして白色発光層12内に戻された各原色(赤,緑,青)の円偏光成分は、反射電極10によって反射されることにより、その旋回方向を逆転されて再度反射層60に入射するが、今度は、各選択反射層61,62,63を透過して、反射層60から射出される。その結果、反射層60から射出される全ての成分が、円偏光板11を透過可能な円偏光と同じ旋回(図2の例では左螺子方向)に旋回する円偏光に揃えられる。従って、白色発光層12から発した全成分が、円偏光板11を透過して外部へ射出されるので、表示の明るさが維持される。
また、円偏光板11を透過して有機EL表示素子内に侵入した外光は、所定方向(図2の例では、左螺子方向)に旋回する円偏光成分のみからなるので、反射層60を透過し、白色発光層12内に侵入する。このようにして白色発光層12内に侵入した外光は、反射電極10によって反射されることにより、その旋回方向を逆転されて再度反射層60に入射するが、各波長成分ごとに、対応する選択反射層61,62,63によって反射されて、再度白色発光層12内に戻される。このようにして白色発光層12内に戻された外光は、反射電極10によって反射されることにより、その旋回方向を再逆転されて再度反射層60に入射するが、今度は、各波長選択61,62,63を透過して、反射層60から射出される。その結果、当該外光は、円偏光板11を透過して外部へ射出されてしまうが、本実施形態のようなボトムエミッション方式の場合、TFT層4における透明部分(即ち、各TFTの電極や配線が設けられていない部分)が全体に占める面積比率は低く、また、発光層封入層8全体に占める発光層8の面積比率は更に低いので、最終的に円偏光板11を透過して外部に射出される外光起因の反射光の光量は僅かに止まる。その為、当該反射光がコントラストに及ぼす悪影響の程度は最小限に留まる。
なお、本第8実施形態の有機EL表示素子における各原色を発光する部分として、第3実施形態乃至第7実施形態の何れかと同じ構成が用いられても良い。
(第9実施形態)
(第9実施形態)
図26は、本発明の第9実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分及び白色を発光する部分の縦断面図である。即ち、上述した第8実施形態と同様に、本第9実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子を構成する各画素は、3原色(赤,緑,青)及び白色を夫々発光する4個の発光層を備え、これにより、白色の色再現性を向上させている。
図26に示すように、本第9実施形態における各原色を発光する部分は、上述した第2実施形態(第1実施形態から配向層5を省略したもの)と同じ構成を有する。また、本第9実施形態における白色を発光する部分は、上述した第8実施形態と比較して、3層の選択反射層61,62,63からなる反射層60の代わりに、等方性(選択反射機能を有さない)液晶層64が設けられている点のみを相違する。
かかる等方性液晶層64は、選択反射層6の材料である液晶組成物を露光する前に高温に曝すことにより形成される。
以上のように構成された本第9実施形態における各原色を発光する部分における作用は、上述した第1実施形態のものと同じである。
また、白色光を発する部分におけるTFTの各電極46〜48及び配線での外光反射に対する作用は、上述した第1実施形態のものと同じである。
これに対して、白色発光層12から発した白色光は、その全成分が等方性液晶層64を透過するが、非偏光であるので、その約半分の成分が円偏光板11を透過し、残りが同円偏光板11によって吸収される。しかしながら、元々、白色発光層12は、波長選択機能を有していないためにエネルギー効率が良く、そこから発した光はカラーフィルターによって光量を減じられていないので、白色光を発光する部分の表示の明るさは、各原色を発光する部分の表示の明るさよりも劣ることはない。
また、円偏光板11を透過して有機EL表示素子内に侵入した外光は、所定方向(図2の例では、左螺子方向)に旋回する円偏光成分のみからなり、等方性液晶層64及び白色発光層12を透過して、反射電極10によって反射されることにより、その旋回方向を逆転されるので、再度白色発光層12及び等方性液晶層64を透過して、円偏光板11に到達しても、当該円偏光板11によって遮断される。従って、コントラストを悪化させることがない。
なお、本第9実施形態の有機EL表示素子における各原色を発光する部分として、第3実施形態乃至第7実施形態の何れかと同じ構成が用いられても良い。
(第10実施形態)
(第10実施形態)
図27は、本発明の第10実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子における何れか一つの画素をなす何れか一つの原色(赤,緑,青)を発光する部分及び白色を発光する部分の縦断面図である。即ち、上述した第8実施形態と同様に、本第10実施形態に係る表示装置を構成する有機EL表示素子を構成する各画素は、3原色(赤,緑,青)及び白色を夫々発光する4個の発光層を備え、これにより、白色の色再現性を向上させている。
図27に示すように、本第10実施形態における各原色を発光する部分は、上述した第4実施形態と同じ構成を有する。また、本第10実施形態における白色を発光する部分は、上述した第9実施形態と比較して、TFT層4と透明液晶7との間に液晶層がない点のみを相違する。即ち、本実施形態10における各選択反射層6は、上述した第4実施形態と同様にして各波長帯域毎に現像されることによって形成されるので、白色光を発光する部分においては、選択反射層6の形成が省略されるのである。
以上のように構成された本第10実施形態における各原色を発光する部分における作用は、上述した第1実施形態のものと同じである。
また、白色光を発する部分における作用は、上述した第9実施形態のものと同じである。
1 透明電極
4 TFT層
6 選択反射層
7 透明電極
9 発光層
10 反射電極
11 円偏光板
4 TFT層
6 選択反射層
7 透明電極
9 発光層
10 反射電極
11 円偏光板
Claims (13)
- 有機EL表示素子を用いた表示装置であって、
透明な導電材料からなる透明電極と可視光領域の光を反射する金属材料からなる反射電極によって挟まれた構造を有するとともに、これら透明電極と反射電極によって電流が供給されることによって光を発する有機発光層と、
前記透明電極を挟んで前記有機発光層に近接して設けられ、入射した光のうち、所定の波長を有するとともに所定の方向に旋回する円偏光成分のみを反射し、他の成分を透過する選択反射層と、
前記選択反射層における前記発光層とは反対側に設けられ、光を反射する複数の電極を有するとともに前記透明電極に電流を供給する電気素子を内包する透明部材からなる配線層と、
前記配線層における前記選択反射層とは反対側に設けられた透明基板と、
前記透明基板における前記配線層とは反対側に設けられ、前記選択反射層を透過した前記所定方向に旋回する円偏光成分を透過する偏光特性を有する円偏光板と
を備えたことを特徴とする表示装置。 - 前記有機発光層は、個々の前記選択反射層に対応して設けられ、対応する前記選択反射層によって反射される円偏光成分の波長の光を発する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記有機発光層は、白色光を発するとともに、個々の前記選択反射層に対応した複数の前記透明電極を有するとともに、
個々の前記選択反射層に対応して、対応する前記選択反射層によって反射される円偏光成分の波長の光のみを透過するフィルタが更に設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記フィルタは、前記有機発光層と前記選択反射層との間に設けられている
ことを特徴とする請求項3記載の表示装置。 - 前記フィルタは、前記選択反射層と前記配線層との間に設けられている
ことを特徴とする請求項3記載の表示装置。 - 前記選択反射層は、コレステリック液晶を内包する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記電気素子はTFTである
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記配線層は、前記各電極に導通する配線を更に内包する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記円偏光板は、入射する光における所定方向にのみ振動する直線偏光成分のみを透過する偏光板,及び、1/4波長板からなる
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記配線層は、前記選択反射層に対向する面が平坦に形成された平坦化層を含む
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記有機発光層は、白色光を発し、
前記選択反射層は、前記白色光のうちの所定の方向に旋回する円偏光成分のみを反射し、他の成分を透過する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記選択反射層は、前記白色光に含まれる各原色の光ごとに設けられた、各原色に対応した波長を有するとともに所定の方向に旋回する円偏光成分のみを反射して他の成分を透過する3層の選択反射層からなる
ことを特徴とする請求項11記載の表示装置。 - さらに、透明な導電材料からなる透明電極と可視光領域の光を反射する金属材料からなる反射電極によって挟まれた構造を有するとともに、これら透明電極と反射電極によって電流が供給されることによって白色光を発する白色光有機発光層を、前記有機発光層に隣接して有するとともに、
前記選択反射層,前記配線層,前記透明基板及び前記円偏光板のうち、後三者のみが、前記白色光有機発光層に重なっている
ことを特徴とする請求項2又は3記載の表示装置。
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