JP2014037576A - アルミニウム合金製ブレージングシートおよびそのろう付け方法 - Google Patents
アルミニウム合金製ブレージングシートおよびそのろう付け方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014037576A JP2014037576A JP2012180352A JP2012180352A JP2014037576A JP 2014037576 A JP2014037576 A JP 2014037576A JP 2012180352 A JP2012180352 A JP 2012180352A JP 2012180352 A JP2012180352 A JP 2012180352A JP 2014037576 A JP2014037576 A JP 2014037576A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- brazing
- mass
- aluminum alloy
- flux
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Details Of Heat-Exchange And Heat-Transfer (AREA)
Abstract
【課題】様々なろう材厚さのブレージングシートを組み合わせて構成される熱交換器を、短時間のろう付加熱時間で生産効率よく提供する。
【解決手段】Mg 1.0〜2.5mass%を含有するアルミニウム合金の心材と、その片面又は両面にクラッドされ、Si 5.0〜13.0mass%、Mg 0.05mass%以下を含有するAl−Si系合金のろう材とを備えたアルミニウム合金製ブレージングシートであって、フラックスを用いないで酸素濃度20ppm以下の非酸化性雰囲気中においてろう付されることを特徴とするアルミニウム合金製ブレージングシート。
【選択図】 なし
【解決手段】Mg 1.0〜2.5mass%を含有するアルミニウム合金の心材と、その片面又は両面にクラッドされ、Si 5.0〜13.0mass%、Mg 0.05mass%以下を含有するAl−Si系合金のろう材とを備えたアルミニウム合金製ブレージングシートであって、フラックスを用いないで酸素濃度20ppm以下の非酸化性雰囲気中においてろう付されることを特徴とするアルミニウム合金製ブレージングシート。
【選択図】 なし
Description
本発明は、フラックスを用いないアルミニウム合金のろう付に使用するブレージングシート、特に、心材、ろう材に所定の合金組成を有し、非酸化性雰囲気下で良好なろう付性が得られるブレージングシートおよびそのろう付け方法に関する。
アルミニウム材料は熱伝導性が高く軽量であるため、自動車用をはじめとする多くの熱交換器に使用されている。内部に水やオイル等を循環して熱交換させる熱交換器は、タンク、チューブ、フィン等の部材から構成され、各部材はろう付により金属的に接合されている。ろう付により製造される熱交換器を構成するアルミニウム材料としては、心材となるアルミニウム合金板の片面又は両面にろう材等をクラッドしたブレージングシートが用いられる。
一般的には、ブレージングシートの心材合金としては、溶融温度が600℃以上のアルミニウム合金が用いられ、クラッドされるろう材合金としては、溶融温度が600℃以下のAl−Si系合金が用いられる。このブレージングシートにより熱交換器の部材を作製して組み合わせて600℃前後の温度に加熱し、ブレージングシートのろう材合金のみを溶融させて他部材とろう付することで熱交換器を作製することができる。このようなブレージンシートを使用することにより、熱交換器を構成する多数の部材を一度にろう付することができるため、ブレージングシートは熱交換器用の材料として広く利用されている。
主に実用化されているろう付方法としては、真空ろう付法とノコロックろう付法が挙げられる。真空ろう付法では、Al−Si−Mg系合金からなるろう材が用いられる。真空中で加熱することによりろう材中のMgが材料から蒸発し、その際に材料表面の酸化皮膜を破壊してろう付を可能にするものである。しかしながら、真空ろう付法は高価な真空加熱装置を必要とする欠点がある。一方、ノコロックろう付法では、Al−Si系合金からなるろう材が用いられる。フラックスを塗布した後に不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で加熱し、フラックスにより材料表面の酸化皮膜を破壊してろう付を可能にするものである。しかしながら、フラックス塗布において塗りムラがあるとろう付不良の原因となるため、フラックスを必要箇所に均一に塗布することが必要であった。
これらに対して、高価な真空加熱装置やフラックスを用いずに不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で加熱することにより、ろう付を可能にするろう付方法が提案されている。特許文献1には、Mgを含有するろう付品を炭素質カバーで覆って加熱し、フラックスを用いずにろう付する方法が記載されている。この方法では、Mgにより炭素質カバー内の酸素濃度を低減し、酸化を防止することでろう付を可能にする。しかしそのためには、各ろう付け品を個別に炭素質カバーで覆う必要があり、生産性に問題がある。
また、特許文献2には、インナーフィンろう付け部に、ろう材にMgを含有したクラッド材を使用して熱交換器を構成し、フラックスを用いずにろう付する方法が記載されている。この方法では、ろう材中のMgにより表面の酸化皮膜を除去することで、ろう付を可能にしている。しかしアウターフィンのろう付け部には、ノコロックフラックスを使用しており、一貫してフラックスを用いずにろう付けするものではない。
また、特許文献2には、インナーフィンろう付け部に、ろう材にMgを含有したクラッド材を使用して熱交換器を構成し、フラックスを用いずにろう付する方法が記載されている。この方法では、ろう材中のMgにより表面の酸化皮膜を除去することで、ろう付を可能にしている。しかしアウターフィンのろう付け部には、ノコロックフラックスを使用しており、一貫してフラックスを用いずにろう付けするものではない。
特許文献3には、高濃度のMgを含有する心材の片側または両面に、Mgを含有しないろう材を配置し、そのろう材の表面にろう材より融点の高いアルミ合金を皮材としてクラッドした合金板とすることにより、非酸化性雰囲気でも比較的高い酸素濃度領域、具体的には150〜500ppmまでの酸素濃度領域でも、ろう付け可能とする方法が提案されている。しかしながらそのためには予め予熱された風除け治具を、適切なろう付け温度で、対象とするアルミニウム部材に覆い被せる必要があり、ろう付け作業が複雑となる。また従来の心材―ろう材の2層構造に加え、ろう材表面に皮材も同時にクラッドした構造とせざるを得ず、生産性が悪くなり、ひいてはコスト面でも不利になることは否めない。
本発明は、フラックスを使用しない不活性ガスなどの非酸化性雰囲気中でのろう付に使用するブレージングシートであって、心材、ろう材に所定の合金組成を有し、かつ低酸素雰囲気で、ろう付加熱を行なうことにより良好なろう付性が得られるブレージングシートおよびそのろう付け方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ブレージングシートにおいて、心材に所定量のMgを含有させ、かつろう材中のMgの含有を規制することにより、良好なろう付性が可能となることを見出した。
すなわち本発明は請求項1において、心材がSi 0.1〜1.2mass%(以下、mass%は単に%と記す。)、Fe 0.1〜1.0%、Cu 0.05〜1.0%、Mg 1.0〜2.5%を含み、残部Alと不可避的不純物とからなる組成を有し、その片面あるいは両面に、Si 5.0〜13.0%,Mg 0.05%以下を含み、残部Alと不可避的不純物とからなる組成を有するAl−Si系合金をろう材として配したことを特徴とする無フラックスろう付け用アルミニウム合金製ブレージングシートとした。
また、本発明は請求項2において、心材がSi 0.1〜1.2%、Mn 0.2〜2.5%、Fe 0.1〜1.0%、Cu 0.05〜1.0%、Mg 1.0〜2.5%を含み、残部Alと不可避的不純物とからなる組成を有することを特徴とし、その片面あるいは両面に、Si 5.0〜13.0%、Mg 0.05%以下とし、残部Alと不可避的不純物とからなる組成を有するAl−Si系合金をろう材として配したことを特徴とする無フラックスろう付け用アルミニウム合金製ブレージングシートとした。
また、本発明は請求項3において、請求項1〜2のアルミニウム合金製ブレージングシートを酸素濃度20ppm以下の非酸化性雰囲気下でろう付け加熱する無フラックスろう付け用アルミニウム合金製ブレージングシートのろう付け方法とした。
本発明のブレージングシートを使用することにより、例えば様々なろう材厚さのブレージングシートを組み合わせて構成される熱交換器を、フラックスを塗布する事なく、短時間のろう付加熱時間で生産効率よく良好に接合することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートを用いたろう付方法は、心材にMgを含有したブレージングシートを用いて、フラックスを使用せず、非酸化性雰囲気中でろう付加熱される。その際、心材からろう材表面に拡散したMgがろう材表面の酸化皮膜を還元、破壊して、溶融したろう材の金属表面を露出させることで、相手材料とのろう付を可能にする。ところで、ろう材中にMgが存在すると、非酸化性雰囲気中であっても、ろう材が溶融する以前の加熱昇温中において、表面に酸化マグネシウムが形成され、ろう付性が阻害されることを見出した。
本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートを用いたろう付方法は、心材にMgを含有したブレージングシートを用いて、フラックスを使用せず、非酸化性雰囲気中でろう付加熱される。その際、心材からろう材表面に拡散したMgがろう材表面の酸化皮膜を還元、破壊して、溶融したろう材の金属表面を露出させることで、相手材料とのろう付を可能にする。ところで、ろう材中にMgが存在すると、非酸化性雰囲気中であっても、ろう材が溶融する以前の加熱昇温中において、表面に酸化マグネシウムが形成され、ろう付性が阻害されることを見出した。
そこで、本発明者等は更に詳細に検討した結果、ろう材に含まれるMg量を0.05%以下にすることにより、ろう材表面の酸化膜成長を抑制することができること、更には心材に含まれるMg量を1.0〜2.5%とすることにより、ろう材溶融後の短時間のうちに、Mgが拡散し、酸化皮膜の一部を破壊して、ろう付の起点となる溶融金属の非酸化面を露出させることができ、相手材とのろう付が可能となることを、本発明者らは見出した。そして、さらに、酸素濃度が20ppm以下の非酸化性雰囲気中で、より安定したろう付けとすることができることを見出した。
ここで、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートの厚さは、特に限定するものではないが、0.2〜3.0mmとするのが好ましい。本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートの用途として、熱交換器に用いられるろう付用部材が挙げられ、これら部材の厚さがこの範囲内にある。
心材のMg含有量、ろう材のSi含有量とMg含有量の限定理由を以下に述べる。
心材のMg含有量は1.0〜2.5%とする必要がある。Mg含有量が1.0%未満では、ろう付加熱中に心材からろう材に拡散するMg量が少ないためろう材中のMg含有量が増加せず、ろう材表面の酸化皮膜を還元、破壊する効果が十分ではなく、短時間のろう付け加熱で、良好なろう付性が得られない。一方、Mg含有量が2.5%を超えると、必要以上にMgがろう材に拡散して表面のMgが濃化し、溶融ろう材が酸化し易くなるためにろう付性に悪影響を及ぼす。
心材には、Mgの他に、0.1〜1.2%のSi、0.05〜1.0%のCu、0.1〜1.0%のFeの1種または2種以上の元素を添加しても良い。
さらに0.2〜2.5%のMnを含有させるのが好ましい。MnはSi、Feと共に、金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させると共に、マトリックスのSi固溶度を低くし、マトリックスの融点を向上させることができる。ただし、0.2%未満の含有量では、上記作用を十分に得ることができず、2.5%を超えると鋳造性や加工性(圧延性)が低下する。
Feは心材の結晶粒を微細にし、成型加工性の向上に寄与する。更に、0.05〜0.2%のTi、0.05〜0.2%のZr等の不可避的不純物が含有されていてもよい。
さらに0.2〜2.5%のMnを含有させるのが好ましい。MnはSi、Feと共に、金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させると共に、マトリックスのSi固溶度を低くし、マトリックスの融点を向上させることができる。ただし、0.2%未満の含有量では、上記作用を十分に得ることができず、2.5%を超えると鋳造性や加工性(圧延性)が低下する。
Feは心材の結晶粒を微細にし、成型加工性の向上に寄与する。更に、0.05〜0.2%のTi、0.05〜0.2%のZr等の不可避的不純物が含有されていてもよい。
ろう材のSi含有量は、5.0〜13.0%とする必要がある。ろう材のSi含有量が5.0%未満の場合には、ろう付温度において生成する溶融ろう材の量が少なくなりろう付性が低下する。一方、ろう材のSi含有量が13.0%を超える場合には、ろう材の液相温度が上昇するとともに心材へのろう拡散が顕著になりろう付性が低下する。
ろう材のMg含有量は、0.05%以下とする必要がある。Mg含有量が0.05%を越えると、ろう付け加熱途中で、ろう材表面にMgOを含む酸化膜が成長し、ろう材が溶融した時にはろう材表面に厚い酸化マグネシウムの皮膜が形成される。この場合には、このような酸化マグネシウム皮膜を還元、破壊することが出来ず、ろう付性が低下する。Mg含有量は、できるだけ少なくすることが好ましく、下限は0%を含むものである。
ろう材には、Mg、Siの他に、0.5〜8.0%のCu、0.5〜6.0%のZn等の元素を添加してもよい。Cu、Znはろう材の融点を下げ、低温でのろう付を可能にする。更に、0.1〜1.5%のFe、0.05〜0.2%のTi等の不可避的不純物が含有されていてもよい。
本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートに適用されるろう材のクラッド率は、特に限定するものではないが、片面で1.5〜25%であることが好ましい。
クラッド率が1.5%未満では、心材厚さに比べてろう材厚さが薄過ぎて、ろう付時のろう付け部に十分な量のろうが供給されないので好ましくない。一方、クラッド率が25%を超えると、心材厚さに比べてろう材厚さが厚過ぎて、心材からろう材へのMgの供給が遅れ、ろう付け性が低下するため、好ましくない。
クラッド率が1.5%未満では、心材厚さに比べてろう材厚さが薄過ぎて、ろう付時のろう付け部に十分な量のろうが供給されないので好ましくない。一方、クラッド率が25%を超えると、心材厚さに比べてろう材厚さが厚過ぎて、心材からろう材へのMgの供給が遅れ、ろう付け性が低下するため、好ましくない。
本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートのろう付は、ろう材の溶融温度以上の温度に加熱すればよく、本発明においては590〜610℃に加熱することによりろう付けが可能となる。保持時間は1〜10分が適当である。
ろう付加熱する雰囲気に用いる非酸化性雰囲気としては、工業的に使用される窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスが挙げられる。ろう付を可能にするためには、Mgの酸化を出来るだけ抑制するために、雰囲気中の酸素濃度は低い方が安定したろう付を可能とする。限定するものではないが、より安定したろう付けとするために、雰囲気中の酸素濃度は20ppm以下とするのが好ましく、10ppm以下とするのがより好ましい。20ppmを超えると、ろう付け性にばらつきを生じることがあるからである。低酸素の雰囲気を得るためには、ろう付炉内部の不活性ガスと接触する炉の構成部材の一部に炭素材を用いた加熱炉を使用するのが好ましい。炉の構成部材としては、炉内壁、バッフル、被ろう付物搬送用のメッシュベルト等が挙げられる。炭素材は、不活性ガス中に微量に存在する酸素と反応してCOを生成するため、炉内の酸素濃度を低下することができる。既存のろう付炉でろう付する場合は、炉内に炭素材を別途設置する方法も可能である。
また、炉内への微量な酸素の混入は、主に被ろう付物より取り込まれることが多い。特に熱交換器のように被ろう付物内部に中空構造を有する場合は、内部に存在する酸素は十分に置換されないために炉内雰囲気中の酸素濃度低減の妨げとなる。そのため、予熱室、ろう付加熱室からなる複数の炉室を備えたろう付炉を使用し、予熱中に十分に酸素濃度を低減することで、より低酸素濃度雰囲気中でろう付加熱することが出来る。また、被ろう付物を炉内に挿入後、炉内を真空脱気し、その後に不活性ガスを吹き込むことにより炉内の雰囲気ガスを置換することで、炉内の酸素濃度上昇を防ぐことができる。雰囲気ガスを置換する装置を備えたろう付炉を使用することにより、短時間のうちに安定したろう付性が得られるので工業的に好ましい。
次に、本発明を本発明例及び比較例に基づき説明する。
本発明例1〜22及び比較例1〜13
表1に示す組成の合金を鋳造し、530〜600℃で均質化処理を行った後、両面を面削して厚さ45mmとし、ブレージングシートの心材とした。表2に示す組成の合金を鋳造し、500℃で均質化処理を行った後、熱間圧延にて所定の厚さとしブレージングシートのろう材とした。表3に示すように心材とろう材をクラッド率8%になるように組み合わせて、500℃でクラッド圧延を行い、さらに冷間圧延により板厚1mmとした後に焼鈍を施し、片面にろう材をクラッドしたブレージングシート試料を作製した。
本発明例1〜22及び比較例1〜13
表1に示す組成の合金を鋳造し、530〜600℃で均質化処理を行った後、両面を面削して厚さ45mmとし、ブレージングシートの心材とした。表2に示す組成の合金を鋳造し、500℃で均質化処理を行った後、熱間圧延にて所定の厚さとしブレージングシートのろう材とした。表3に示すように心材とろう材をクラッド率8%になるように組み合わせて、500℃でクラッド圧延を行い、さらに冷間圧延により板厚1mmとした後に焼鈍を施し、片面にろう材をクラッドしたブレージングシート試料を作製した。
上記のようにして作製したブレージングシート試料のろう付性を、図1に示す隙間充填試験により評価した。ブレージングシート試料を60×25mmに切断して、ろう材側を上面として水平板(2)とした。板厚1.0mmのJISA3003のベア材を60×25mmに切断したものを、垂直板(1)とした。垂直板(1)は、厚さ辺と長辺とから成る側面が水平板(2)のろう材面に対向するように、水平板(2)に対して垂直に立てられる。φ1.0mmのステンレス線を隙間形成用のスペーサー(3)とし、水平版(2)と垂直板(1)の接触部(6)の位置から水平板(2)の長辺方向に沿って50mm離間した位置に、水平板(2)の短辺方向に沿って設置した。このようにして、隙間充填試験片を作製した。
フラックスを塗布せずに、隙間充填試験片をろう付した。炉内に非酸化性雰囲気としてアルゴンガスを流し炉内の酸素濃度を10ppm以下に調整した雰囲気中で、加熱してろう付を実施した。隙間充填試験片の温度を測定し、温度が600℃となるまでの到達時間が15分程度となるような昇温条件で加熱した後、隙間充填試験片を600℃で3分間保持し、その後冷却して炉外に取り出した。また、一部のブレージングシート試料で作製した隙間充填試験片については炉内の酸素濃度を20ppm以下および25ppm以上に調整した雰囲気中で、上記と同様な加熱条件でろう付け加熱した。
図2に示すように、ろう付後の隙間充填試験片について、水平板(2)と垂直板(1)の接点からフィレット(4)が形成された長さを測定し、隙間充填長さ(5)とした。なお、極めて小さいフィレットしか形成しなかった試験片については、隙間充填長さを0mmとした。測定した隙間充填長さを表3に示す。隙間充填長さを下記の基準で評価した。
◎:隙間充填長さが40mm以上
○:隙間充填長さが30以上40mm未満
△:隙間充填長さが20以上30mm未満
×:隙間充填長さが20mm未満
◎と○を合格とし、△と×を不合格とした。
◎:隙間充填長さが40mm以上
○:隙間充填長さが30以上40mm未満
△:隙間充填長さが20以上30mm未満
×:隙間充填長さが20mm未満
◎と○を合格とし、△と×を不合格とした。
本発明例1〜22では、隙間充填長さが30mm以上となって良好なろう付性を示した。
比較例1、2、4、5は、心材のMg含有量が少な過ぎたので、心材からろう材に拡散するMg量が少ないため、ろう材表面の酸化皮膜を還元、破壊する効果が少なく、ろう付性が不合格であった。
比較例3、6では、心材のMg含有量が多過ぎたので、ろう材のMg量が過剰となり、酸化し易くなるため、悪影響を及ぼし、ろう付性が不合格であった。
比較例8〜11では、ろう材のMg含有量が多すぎたため、ろう材表面に厚い酸化マグネシウム皮膜が形成され、この皮膜を還元、破壊することができず、ろう付性が不合格であった。
比較例7では、ろう材のSi含有量が少な過ぎたので、生成する溶融ろう材の量が少なくなり、ろう付性が不合格であった。
比較例12〜13では、ろう材のSi含有量が多き過ぎたので、心材へのろう拡散が顕著になり、ろう付性が不合格であった。
比較例3、6では、心材のMg含有量が多過ぎたので、ろう材のMg量が過剰となり、酸化し易くなるため、悪影響を及ぼし、ろう付性が不合格であった。
比較例8〜11では、ろう材のMg含有量が多すぎたため、ろう材表面に厚い酸化マグネシウム皮膜が形成され、この皮膜を還元、破壊することができず、ろう付性が不合格であった。
比較例7では、ろう材のSi含有量が少な過ぎたので、生成する溶融ろう材の量が少なくなり、ろう付性が不合格であった。
比較例12〜13では、ろう材のSi含有量が多き過ぎたので、心材へのろう拡散が顕著になり、ろう付性が不合格であった。
本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートを、フラックスを用いずに非酸化性雰囲気中で加熱することで、優れたろう付け性を得ることが出来る。その結果、特に、様々なろう材厚さのブレージングシートを組み合わせて構成される熱交換器を、短時間のろう付加熱時間で、生産効率よく製造することができる。
1 垂直材
2 水平材
3 スペーサー
4 フィレット
5 隙間充填長さ
6 接触部
2 水平材
3 スペーサー
4 フィレット
5 隙間充填長さ
6 接触部
Claims (3)
- 心材がSi 0.1〜1.2mass%,Fe 0.1〜1.0mass%,Cu 0.05〜1.0mass%、Mg 1.0〜2.5mass%を含み、残部Alと不可避的不純物とからなる組成を有し、その片面あるいは両面に、Si 5.0〜13.0mass%,Mg 0.05mass%以下を含み、残部Alと不可避的不純物とからなる組成を有するAl−Si系合金をろう材として配したことを特徴とする無フラックスろう付け用アルミニウム合金製ブレージングシート。
- 心材がSi 0.1〜1.2mass%,Mn 0.2〜2.5mass%、Fe 0.1〜1.0mass%,Cu 0.05〜1.0mass%、Mg 1.0〜2.5mass%を含み、残部Alと不可避的不純物とからなる組成を有することを特徴とし、その片面あるいは両面に、Si 5.0〜13.0mass%,Mg 0.05mass%以下とし、残部Alと不可避的不純物とからなる組成を有することを特徴とするAl−Si系合金をろう材として配したことを特徴とする無フラックスろう付け用アルミニウム合金製ブレージングシート。
- 請求項1〜2のアルミニウム合金製ブレージングシートを酸素濃度20ppm以下の非酸化性雰囲気下でろう付け加熱する無フラックスろう付け用アルミニウム合金製ブレージングシートろう付け方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012180352A JP2014037576A (ja) | 2012-08-16 | 2012-08-16 | アルミニウム合金製ブレージングシートおよびそのろう付け方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012180352A JP2014037576A (ja) | 2012-08-16 | 2012-08-16 | アルミニウム合金製ブレージングシートおよびそのろう付け方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014037576A true JP2014037576A (ja) | 2014-02-27 |
Family
ID=50285937
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012180352A Pending JP2014037576A (ja) | 2012-08-16 | 2012-08-16 | アルミニウム合金製ブレージングシートおよびそのろう付け方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014037576A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6055573B1 (ja) * | 2016-06-23 | 2016-12-27 | 三菱アルミニウム株式会社 | フラックスフリーろう付用のブレージングシート、フラックスフリーろう付方法および熱交換器のフラックスフリーろう付方法 |
WO2018123203A1 (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 三菱アルミニウム株式会社 | フラックスフリーろう付用のブレージングシート、フラックスフリーろう付方法および熱交換器の製造方法 |
JP2018103260A (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 三菱アルミニウム株式会社 | フラックスフリーろう付用のブレージングシート、フラックスフリーろう付方法および熱交換器の製造方法 |
WO2020152911A1 (ja) | 2019-01-23 | 2020-07-30 | 三菱アルミニウム株式会社 | ろう付用アルミニウム合金およびアルミニウムブレージングシート |
-
2012
- 2012-08-16 JP JP2012180352A patent/JP2014037576A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6055573B1 (ja) * | 2016-06-23 | 2016-12-27 | 三菱アルミニウム株式会社 | フラックスフリーろう付用のブレージングシート、フラックスフリーろう付方法および熱交換器のフラックスフリーろう付方法 |
WO2017221674A1 (ja) * | 2016-06-23 | 2017-12-28 | 三菱アルミニウム株式会社 | フラックスフリーろう付用のブレージングシート、フラックスフリーろう付方法および熱交換器の製造方法 |
JP2018001266A (ja) * | 2016-06-23 | 2018-01-11 | 三菱アルミニウム株式会社 | フラックスフリーろう付用のブレージングシート、フラックスフリーろう付方法および熱交換器のフラックスフリーろう付方法 |
US10898963B2 (en) | 2016-06-23 | 2021-01-26 | Mitsubishi Aluminum Co., Ltd. | Brazing sheet for flux-free brazing, method for flux-free brazing and method for producing heat exchanger |
WO2018123203A1 (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 三菱アルミニウム株式会社 | フラックスフリーろう付用のブレージングシート、フラックスフリーろう付方法および熱交換器の製造方法 |
JP2018103260A (ja) * | 2016-12-27 | 2018-07-05 | 三菱アルミニウム株式会社 | フラックスフリーろう付用のブレージングシート、フラックスフリーろう付方法および熱交換器の製造方法 |
US11229978B2 (en) | 2016-12-27 | 2022-01-25 | Mitsubishi Aluminum Co., Ltd. | Brazing sheet for flux-free brazing, method for flux-free brazing and method for manufacturing heat exchanger |
WO2020152911A1 (ja) | 2019-01-23 | 2020-07-30 | 三菱アルミニウム株式会社 | ろう付用アルミニウム合金およびアルミニウムブレージングシート |
US11759893B2 (en) | 2019-01-23 | 2023-09-19 | Ma Aluminum Corporation | Aluminum alloy for brazing and aluminum brazing sheet |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6649889B2 (ja) | アルミニウム合金ブレージングシート | |
JP4547032B1 (ja) | アルミニウム材のフラックスレスろう付け方法およびフラックスレスろう付け用アルミニウムクラッド材 | |
JP2014050861A (ja) | アルミニウム合金製ブレージングシート | |
WO2014097820A1 (ja) | アルミニウム材のろう付方法およびろう付構造体 | |
CN104395028A (zh) | 用于在受控气氛中无助焊剂钎焊的多层铝钎焊板 | |
JP5619538B2 (ja) | 細流路インナーフィンを有する熱交換器のフラックスレスろう付け方法およびそれに用いるアルミニウムクラッド材 | |
JP2007216283A (ja) | 犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材の製造方法 | |
JP6405020B1 (ja) | アルミニウム材のフラックスフリーろう付方法およびフラックスフリーろう付用アルミニウム合金部材 | |
JP2012050993A (ja) | アルミニウム材のフラックスレスろう付け方法およびフラックスレスろう付け用アルミニウムクラッド材 | |
JP2018099726A (ja) | アルミニウム合金ブレージングシートのろう付方法 | |
JP2012024827A (ja) | アルミニウム材のフラックスレスろう付方法およびフラックスレスろう付用アルミニウム合金ブレージングシート | |
JP2014037576A (ja) | アルミニウム合金製ブレージングシートおよびそのろう付け方法 | |
JP2014104509A (ja) | アルミニウム合金製ブレージングシートおよびアルミニウム合金製ブレージングシートを用いたアルミニウム部材のろう付方法 | |
JP5629113B2 (ja) | ろう付け性及び耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート、及びそれを用いた熱交換器 | |
JP2011068933A (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
JP5614883B2 (ja) | アルミニウム材のフラックスレスろう付方法、フラックスレスろう付用アルミニウム合金ブレージングシートおよびフラックスレスろう付用アルミニウム合金ろう材 | |
JP5695490B2 (ja) | アルミニウム合金製ブレージングシート | |
CN110662626A (zh) | 铝合金硬钎焊板的钎焊方法、以及热交换器的制造方法 | |
JP5906994B2 (ja) | アルミニウム合金部材の面ろう付け方法 | |
JP5687849B2 (ja) | アルミニウム合金製ブレージングシート | |
JP6233916B2 (ja) | アルミニウム合金ろう材およびアルミニウム合金複合材 | |
JP2012030244A (ja) | アルミニウム材のフラックスレスろう付方法 | |
JP2009149936A (ja) | 強度、ろう付性に優れたろう付け造管用熱交換器用アルミニウム合金クラッド材および熱交換器用アルミニウム合金チューブ | |
JP6624417B2 (ja) | ろう付け後の耐食性に優れるブレージングシート | |
JP2018099725A (ja) | アルミニウム合金ブレージングシート |