JP2014034453A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の摩擦力をより確実に生じさせ、所望の駆動力をより確実に伝達する。
【解決手段】クラッチ50は、摩擦ディスク122と摩擦ディスク125とを回転方向に所定の遊びを持たせて連結する。モーター41は、クラッチを介して伝達される回転の駆動力を発生させる。制御部101は、駆動源であるモーター41を制御し、回転動作前に回転しようとする向き側の遊びを詰めさせる第1の予備回転動作をクラッチ50に行わせる。
【選択図】図4
【解決手段】クラッチ50は、摩擦ディスク122と摩擦ディスク125とを回転方向に所定の遊びを持たせて連結する。モーター41は、クラッチを介して伝達される回転の駆動力を発生させる。制御部101は、駆動源であるモーター41を制御し、回転動作前に回転しようとする向き側の遊びを詰めさせる第1の予備回転動作をクラッチ50に行わせる。
【選択図】図4
Description
本発明は記録装置に関し、特に、摩擦ディスクを用いたクラッチを備える記録装置に関する。
記録装置には、インクジェットプリンター、複写機、ファクシミリ等の装置が含まれる。
記録装置には、インクジェットプリンター、複写機、ファクシミリ等の装置が含まれる。
近年、使い勝手を向上させるために、チルトできる操作パネルを設けたプリンターが提供されている。
また、プリンターには、モーターによって自動的に排紙トレイを指示された記録紙の長さに応じた伸張量に伸張させることができるとともに収納状態に収縮させることができるものもある(例えば、特許文献1参照)。
また、プリンターには、モーターによって自動的に排紙トレイを指示された記録紙の長さに応じた伸張量に伸張させることができるとともに収納状態に収縮させることができるものもある(例えば、特許文献1参照)。
排紙トレイを伸縮させる機構には、モーターのオーバー回転による駆動機構の破損を防止する為に、摩擦ディスクを用いたクラッチ(以下、摩擦クラッチと称する。)を採用することも考えられる。このクラッチにおいて、複数枚の摩擦ディスクを連結して用いる場合、組立のため、また、摩擦ディスクを所望の力で回転軸線方向に押圧して所望の摩擦力が生じるようにするために、回転方向に遊びを持たせる必要がある。
しかしながら、複数枚の摩擦ディスクを用いた摩擦クラッチを遊びによるガタがある状態で使用するか、ガタがない状態で使用するかで、摩擦クラッチが滑り始めに作用している摩擦の条件が異なり、摩擦クラッチのトルクに差異が生じていた。
具体的には、ガタがない場合、2枚分の摩擦ディスクの静摩擦力がそのままモーターから排紙トレイへのトルク伝達に寄与するので、排紙トレイを確実に駆動できる。しかし、ガタがある場合、モーターの動きはじめからガタが詰まるまでの間はモーターから排紙トレイへのトルク伝達が行われず、そして1枚分の摩擦ディスクについてはモーターの動きはじめからガタが詰まるまでの間で静摩擦力からこれより低い動摩擦力に変化してしまう。つまり、「2枚分の摩擦ディスクの静摩擦力」ではなく、「1枚分の摩擦ディスクの静摩擦力」と「1枚分の摩擦ディスクの動摩擦力」の和が伝達トルクとなってしまい、クラッチは伝達できるトルクが低下してしまうので、クラッチにおいて滑りが発生し、排紙トレイを確実に駆動できない虞がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、所望の摩擦力をより確実に駆動力の伝達に寄与させ、所望の駆動力をより確実に伝達することのできる記録装置を提供する。
本発明の第1の態様の記録装置は、第1の摩擦ディスクと第2の摩擦ディスクとを第3の摩擦ディスクを挟んで回転方向に所定の遊びを持たせて連結するとともに、前記第1の摩擦ディスク及び前記第2の摩擦ディスクを前記第3の摩擦ディスクに向けて押圧する構成を備えたクラッチと、前記クラッチを介して伝達される回転の駆動力を発生させる駆動源と、前記駆動源を制御し、回転動作前に回転しようとする向き側の前記遊びを詰めさせる第1の予備回転動作を前記クラッチに行わせるモードを選択可能な制御手段とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、回転動作前に第1の摩擦ディスクと前記第3の摩擦ディスクとの間の静摩擦力(以下「第1の静摩擦力」と言う)、および第2の摩擦ディスクと前記第3の摩擦ディスクとの間の静摩擦力(以下「第2の静摩擦力」と言う)、の双方の静摩擦力が駆動力の伝達に寄与するようになり、所望の摩擦力をより確実に駆動力の伝達に寄与させ、クラッチでの滑りを生じさせることなく、駆動力を確実に伝達することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、媒体に記録を行う記録部を備えた装置本体に対して回動軸を介して下向き方向にチルトした第1姿勢と上向き方向にチルトした第2姿勢との間でチルト可能に設けられるとともに、前記駆動源から動力を得て少なくとも前記第1姿勢から前記第2姿勢に向かう方向にチルトするチルト部と、前記駆動源から動力を得ることにより、前記装置本体から突出する方向に変位した第1の位置と、前記装置本体内に引き込まれる方向に変位した第2の位置と、の間で変位する、排出された媒体を受ける媒体受けトレイと、前記駆動源から前記チルト部及び前記媒体受けトレイへ駆動力を伝達する伝達機構と、を備え、前記クラッチは、前記伝達機構において前記駆動源から前記媒体受けトレイへの動力伝達経路に設けられ、前記制御手段は、前記第1の予備回転動作を実行した後に、前記媒体受けトレイを前記第2の位置から前記第1の位置に向けて駆動することを特徴とする。
本態様によれば、媒体受けトレイが本体から突出しようとする場合、第1の静摩擦力と第2の静摩擦力の双方の静摩擦力によって駆動力が伝達されることになり、クラッチでの滑りを生じさせることなく、媒体受けトレイを確実に第2の位置から第1の位置へ切り換えることができる。
本発明の第3の態様は、第1の態様において、媒体に記録を行う記録部を備えた装置本体に対して回動軸を介して下向き方向にチルトした第1姿勢と上向き方向にチルトした第2姿勢との間でチルト可能に設けられるとともに、前記駆動源から動力を得て少なくとも前記第1姿勢から前記第2姿勢に向かう方向にチルトするチルト部と、前記駆動源から動力を得ることにより、前記装置本体から突出する方向に変位した第1の位置と、前記装置本体内に引き込まれる方向に変位した第2の位置と、の間で変位する、排出された媒体を受ける媒体受けトレイと、前記駆動源から前記チルト部及び前記媒体受けトレイへ駆動力を伝達する伝達機構と、を備え、前記クラッチは、前記伝達機構において前記駆動源から前記媒体受けトレイへの動力伝達経路に設けられ、前記制御手段は、前記第1の予備回転動作を実行した後に、前記媒体受けトレイを前記第1の位置から前記第2の位置に向けて駆動することを特徴とする。
本態様によれば、媒体受けトレイが本体に引き込もうとする場合、第1の静摩擦力と第2の静摩擦力の双方の静摩擦力によって駆動力が伝達されることになり、クラッチでの滑りを生じさせることなく、媒体受けトレイを確実に第1の位置から第2の位置へ切り換えることができる。
本発明の第4の態様は、第2のまたは第3の態様において、前記制御手段は、前記媒体受けトレイが前記第1の位置にある状態で前記チルト部を駆動する際、前記第1の予備回転動作を実行しないことを特徴とする。
本態様によれば、媒体受けトレイが第1の位置、即ち装置本体から既に突出している状態で前記チルト部を駆動する場合には、前記第1の予備回転動作を実行しないので、前記チルト部を迅速に駆動することができる。
本発明の第5の態様は、第2のまたは第3の態様において、前記制御手段は、前記媒体受けトレイが前記第1の位置にある状態で前記チルト部を駆動する際、当該駆動前に、前記クラッチにおいて前記遊びを開かせる第2の予備回転動作を前記クラッチに行わせることを特徴とする。
本態様によれば、媒体受けトレイが第1の位置、即ち装置本体から既に突出している状態で前記チルト部を駆動する場合には、前記遊びを開かせる第2の予備回転動作を前記クラッチに行わせるので、前記チルト部を駆動するに際して前記媒体受けトレイ側の動力伝達経路から受ける抵抗力を小さくできる。即ち前記チルト部を駆動する際に、前記クラッチにおいては前記第1の静摩擦力と前記第2の静摩擦力の双方の静摩擦力ではなく、いずれか一方の静摩擦力と他方の動摩擦力が作用するので、前記チルト部を駆動する際に駆動源が受ける負荷を軽減できる。
本発明の第6の態様は、第1の態様において、媒体に記録を行う記録部を備えた装置本体に対して回動軸を介して下向き方向にチルトした第1姿勢と上向き方向にチルトした第2姿勢との間でチルト可能に設けられるとともに、前記駆動源から動力を得て少なくとも前記第1姿勢から前記第2姿勢に向かう方向にチルトするチルト部と、前記駆動源から動力を得ることにより、前記装置本体から突出する方向に変位した第1の位置と、前記装置本体内に引き込まれる方向に変位した第2の位置と、の間で変位する、排出された媒体を受ける媒体受けトレイと、前記駆動源から前記チルト部及び前記媒体受けトレイへ駆動力を伝達する伝達機構と、を備え、前記クラッチは、前記伝達機構において前記駆動源から前記媒体受けトレイへの動力伝達経路に設けられ、前記制御手段は、前記駆動源を駆動した際の駆動回転方向を記憶手段に記憶し、前記媒体受けトレイを駆動する際の前記駆動源の駆動方向が、前記記憶手段に記憶された前記駆動源の駆動回転方向と逆の場合には、前記第1の予備回転動作を実行した後に前記媒体受けトレイを駆動し、前記媒体受けトレイを駆動する際の前記駆動源の駆動方向が、前記記憶手段に記憶された前記駆動源の駆動回転方向と同じ場合には、前記第1の予備回転動作を実行しないで前記媒体受けトレイを駆動することを特徴とする。
本態様によれば、制御手段は前記駆動源を駆動した際の駆動回転方向を記憶手段に記憶し、その情報をもとに、これから前記媒体トレイを駆動する際の駆動方向が記憶された駆動回転方向(前回駆動時の回転方向)と逆の場合、つまり前記クラッチにおいて遊び(ガタ)が存在する方向に回転しようとする場合には、前記第1の予備回転動作を実行した後に前記媒体受けトレイを駆動するので、第1の静摩擦力と第2の静摩擦力の双方の静摩擦力によって駆動力が伝達されることになり、クラッチでの滑りを生じさせることなく、媒体受けトレイを確実に第2の位置から第1の位置へ切り換えることができる。
そしてこれから前記媒体トレイを駆動する際の駆動方向が記憶された駆動回転方向(前回駆動時の回転方向)と同じの場合、つまり前記クラッチにおいて遊び(ガタ)が存在しない方向に回転しようとする場合には、前記第1の予備回転動作を実行しないので、前記媒体受けトレイ或いは前記操作パネルを迅速に駆動することができる。
本発明の第7の態様は、第2から第6の態様のいずれかにおいて、閉じた状態において前記媒体受けトレイの変位動作経路に位置する、回動することにより開閉可能なカバーを備え、前記媒体受けトレイが前記第2の位置から前記第1の位置に変位する際、閉じた状態の前記カバーに前記媒体受けトレイが当接し、当該媒体受けトレイが前記カバーを開放させることを特徴とする。
閉じた状態において前記媒体受けトレイの変位動作経路に位置する、回動することにより開閉可能なカバーを備えた構成において、前記媒体受けトレイが、閉じた状態の前記カバーに当接して当該カバーを開放させるので、ユーザーによるカバー開放操作を行う必要がない。また、カバーが閉じた状態において媒体排出経路を塞ぐ構成の場合には、ユーザーによるカバーの開放操作忘れに伴う、紙ジャムの発生を防止できる。加えて、カバーを自動で開く機構も別途設ける必要がなく、装置の複雑化とコストアップを防止できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の実施の形態の一例であるプリンター1の外観を示す斜視図である。図1は、操作パネル12を閉じ、排紙受けトレイ13を収納した状態の、本発明の一実施形態に係るプリンター1の外観を示す斜視図であり、図2は、操作パネルを全開し、排紙受けトレイ13を収納した状態のプリンター1の外観を示す斜視図であり、図3は、操作パネル12を開き、排紙受けトレイ13を突出させた状態のプリンター1の外観を示す斜視図である。
図1〜図3は、本発明の実施の形態の一例であるプリンター1の外観を示す斜視図である。図1は、操作パネル12を閉じ、排紙受けトレイ13を収納した状態の、本発明の一実施形態に係るプリンター1の外観を示す斜視図であり、図2は、操作パネルを全開し、排紙受けトレイ13を収納した状態のプリンター1の外観を示す斜視図であり、図3は、操作パネル12を開き、排紙受けトレイ13を突出させた状態のプリンター1の外観を示す斜視図である。
■■■プリンター1の全体構成■■■
プリンター1は、記録装置の一例である印刷装置であり、被記録媒体の一例である用紙に記録する。プリンター1の本体11には、ユーザーによって操作される操作パネル12が設けられている。本体11は、用紙を搬送する搬送部(不図示)やインクなどによって用紙に文字または画像を描画する記録ヘッド22、この記録ヘッド22及びインクカートリッジ(不図示)を備えるキャリッジ20、全体を制御する制御部101(図4)などが筐体に格納されてなる。なお、ユーザーとは、エンドユーザーに限られず、プリンター1の組立作業またはアフターメンテナンスを行う人など、プリンター1を扱う全ての人を意味する。
プリンター1は、記録装置の一例である印刷装置であり、被記録媒体の一例である用紙に記録する。プリンター1の本体11には、ユーザーによって操作される操作パネル12が設けられている。本体11は、用紙を搬送する搬送部(不図示)やインクなどによって用紙に文字または画像を描画する記録ヘッド22、この記録ヘッド22及びインクカートリッジ(不図示)を備えるキャリッジ20、全体を制御する制御部101(図4)などが筐体に格納されてなる。なお、ユーザーとは、エンドユーザーに限られず、プリンター1の組立作業またはアフターメンテナンスを行う人など、プリンター1を扱う全ての人を意味する。
なお、以下、プリンター1の側面のうち、操作パネル12が設けられている側面を正面と称し、正面側を前とも称する。また、以下、プリンター1の側面のうち、操作パネル12が設けられている側面の対面を背面と称し、背面側を後とも称する。さらに、以下、図1〜図3中の左側を単に左側と称し、図1〜図3中の右側を単に右側と称する。
以下、操作パネル12について説明する。操作パネル12は、ユーザーによって操作されるパネルである。操作パネル12は、チルト部の一例であり、本体11に対してチルトする(傾ける)ことができる。操作パネル12は、各種の樹脂または金属などで形成されている。操作パネル12には、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどからなる表示部やユーザーによって押圧されるボタンなどからなる入力部が設けられている。
図1に示されるように、操作パネル12は、下向き方向の限度まで回動し、閉じられた場合、本体11の面と操作パネル12の面とがほぼ面一になる。また、図2に示されるように、操作パネル12は、本体11の天板とほぼ平行になるまで、上向き方向の限度まで回動し、開くことができる。なお、操作パネル12は、閉じた状態から本体11の天板とほぼ平行になるまでの途中の任意の傾きの状態に保持することができる。
次に、排紙受けトレイ13について説明する。排紙受けトレイ13は、媒体受けトレイの一例であり、本体11に対してスライド変位可能に設けられ、収納された状態(第2の位置:図2)と突出した状態(第1の位置:図3)との間を変位可能となっている。排紙受けトレイ13は、プリンター1が使用されないとき、本体11内に収納される。排紙受けトレイ13は、プリンター1が使用されるとき、本体11から突出して、文字または画像が描画された用紙を受ける。
尚、排紙受けトレイ13は突出した状態において、図10に示す様に下流側端部が上に持ち上がるような傾斜姿勢を取りうる様に設けられている。これにより、排紙受けトレイ13の下側に位置する用紙カセット14の着脱作業や、用紙カセット14への用紙セット作業の容易性が確保されている。尚、プリンター1は上下2つの用紙カセットを備えており、図10に示す用紙カセット14は下側の用紙カセットである。用紙カセット14の上側には、別の用紙カセット(不図示)が着脱自在に設けられる。従ってこの上側の用紙カセットに対しても、排紙受けトレイ13が図10に示す様に傾斜姿勢をとり得ることで、着脱作業や用紙セット作業の容易性が確保されている。
また、装置前面において符号15は用紙カセット14に設けられた開閉可能なカバーであり、図1はカバー15が閉じた状態を、図2、図3はカバー15が開いた状態を、それぞれ示している。そしてこのカバー15を開くことにより、用紙カセット14、排紙受けトレイ13、のこれらが露呈可能となり、用紙カセット14やその上部に設けられた用紙カセット(不図示)の着脱作業が実行可能となり、また用紙排出口が開放されて用紙の排出が可能となる。即ちカバー15は、閉じた状態において排紙受けトレイ13の変位動作経路上に位置しており、閉じた状態では用紙排出口を塞ぐ。このカバー15は、用紙カセット14に回動自在に設けられている。
なお、このカバー15が閉じた状態において排紙受けトレイ13が収納状態から進出状態に向けて突出すると、排紙受けトレイ13がカバー15に当接し、そしてカバー15を開かせる。即ち、記録に際してユーザーがカバー15を開放しない場合であっても、排紙受けトレイ13がカバー15を開かせるので、紙ジャムを防止でき、またユーザーによるカバー15の開放操作をも省略することができる。加えて、カバー15を自動で開く機構も別途設ける必要がなく、装置の複雑化とコストアップを防止できる。
続いて、排紙受けトレイ13を駆動する駆動機構について説明する。図4は、伝達機構30の構成を示す図である。図5は、伝達機構30の一部および排紙受けトレイ13の構成を示す図である。尚、図5に示される歯車は図4に示される歯車の一部であり、且つ、図4に比して簡略図示している。
伝達機構30は、駆動源の一例であるモーター41からの駆動力を操作パネル12と排紙受けトレイ13とに伝達する。すなわち、伝達機構30は、操作パネル12が開かれる駆動力をモーター41から操作パネル12に伝達するとともに、排紙受けトレイ13が本体11に対しスライドする駆動力をモーター41から排紙受けトレイ13に伝達する。
伝達機構30は、駆動源の一例であるモーター41からの駆動力を操作パネル12と排紙受けトレイ13とに伝達する。すなわち、伝達機構30は、操作パネル12が開かれる駆動力をモーター41から操作パネル12に伝達するとともに、排紙受けトレイ13が本体11に対しスライドする駆動力をモーター41から排紙受けトレイ13に伝達する。
尚、本実施形態では、操作パネル12はモーター41の駆動力により上向きに開く方向に回動するが、下向きに閉じる方向には駆動されず、操作パネル12を下向きに閉じる場合はユーザーが操作パネル12を押し下げる仕様となっている。排紙受けトレイ13については、本体11から突出する方向のスライド動作、及び本体11に収納される方向のスライド動作のいずれについても、モーター41により行える仕様となっている。但し、ユーザー操作によって排紙受けトレイ13を双方向にスライドさせることも可能となっている。伝達機構30は、上記の様な仕様を実現する。
また、本実施形態では、排紙受けトレイ13のスライド領域と操作パネル12の回動領域とが干渉する構造となっており、即ち図1に示した状態から排紙受けトレイ13を突出させるには、最初に操作パネル12を開き、排紙受けトレイ13のスライド領域から操作パネル12を退避させた後に、排紙受けトレイ13を突出させる様になっている。
■■■伝達機構30の全体構成■■■
以下、伝達機構30の構成について詳述する。伝達機構30は、ギア42、ギア43、ギア44、ギア45、ギア46、ギア47、ギア48、ギア49、クラッチ50、ギア51、ギア52、ギア53、ギア54、シャフト55、ギヤ56−1および56−2、第2遊星歯車機構61、並びに第1遊星歯車機構62を含み構成される。なお、ギア42、ギア43、ギア44、ギア45、ギア46、ギア47、ギア48、ギア49、ギア51、ギア52、ギア53、ギア54、ギヤ56−1およびギヤ56−2は平歯車である。
以下、伝達機構30の構成について詳述する。伝達機構30は、ギア42、ギア43、ギア44、ギア45、ギア46、ギア47、ギア48、ギア49、クラッチ50、ギア51、ギア52、ギア53、ギア54、シャフト55、ギヤ56−1および56−2、第2遊星歯車機構61、並びに第1遊星歯車機構62を含み構成される。なお、ギア42、ギア43、ギア44、ギア45、ギア46、ギア47、ギア48、ギア49、ギア51、ギア52、ギア53、ギア54、ギヤ56−1およびギヤ56−2は平歯車である。
ギヤ42は、モーター41の回転軸に装着され、モーター41の回転軸と共に回転する。ギヤ43は、ギヤ42と歯合するとともに、ギヤ44と同軸に設けられ、ギヤ44と共に回転する。ギヤ43のピッチ円径は、ギヤ42のピッチ円径より大きくされている。ギヤ44のピッチ円径は、ギヤ43のピッチ円径より小さくされている。ギヤ45は、ギヤ44と歯合するとともに、ギヤ46と同軸に設けられ、ギヤ46と共に回転する。ギヤ46のピッチ円径は、ギヤ45のピッチ円径より小さくされている。
尚、図4においてギヤ46から上側(ギア81側)が、操作パネル12への駆動力伝達経路となり、ギヤ46から下側(ギア47側)が、排紙受けトレイ13への駆動力伝達経路となる。本発明に係るクラッチ50(後に詳述)は、排紙受けトレイ13への駆動力伝達経路に設けられている。
尚、図4においてギヤ46から上側(ギア81側)が、操作パネル12への駆動力伝達経路となり、ギヤ46から下側(ギア47側)が、排紙受けトレイ13への駆動力伝達経路となる。本発明に係るクラッチ50(後に詳述)は、排紙受けトレイ13への駆動力伝達経路に設けられている。
ギヤ47は、ギヤ46およびギヤ48に歯合し、ギヤ48は、ギヤ49に歯合し、ギヤ49は、クラッチ50に設けられている外輪(歯車)71と歯合する。クラッチ50の外輪71は、その外側が歯車として成形されている。クラッチ50の内輪72は、ギヤ51側に突出するように形成され、その突出した部分の外側が歯車として成形されている。クラッチ50の内輪72は、ギヤ51と歯合する。クラッチ50は、コイルバネ式の摩擦クラッチである。すなわち、クラッチ50は、コイルバネの押圧力により摩擦力を生じさせる。クラッチ50の構成は図6乃至図9を参照して後述する。
ギヤ52は、ギヤ51と同軸に設けられ、ギヤ51と共に回転し、ギヤ53と歯合する。ギヤ53は、ギヤ54に歯合する。ギヤ53のピッチ円径は、ギヤ52のピッチ円径より大きくされている。また、ギヤ53のピッチ円径は、ギヤ54のピッチ円径より大きくされている。ギヤ54は、シャフト55に同軸に固定され、ギヤ54の回転と共に、シャフト55が回転する。
図5に示されるように、シャフト55には、シャフト55と共に回転するギヤ56−1および56−2が設けられている。排紙受けトレイ13の上側の面には、ラック57−1および57−2が形成されている。ギヤ56−1は、ラック57−1と噛み合い、ギヤ56−1とラック57−1とは、いわゆるラック・アンド・ピニオンを形成する。ギヤ56−2は、ラック57−2と噛み合い、ギヤ56−2とラック57−2とは、いわゆるラック・アンド・ピニオンを形成する。シャフト55が図5中反時計回りに回転すると、排紙受けトレイ13は、図5中右側に移動し、本体11から突出する。シャフト55が図5中時計回りに回転すると、排紙受けトレイ13は、図5中左側に移動し、本体11に収納される。
すなわち、モーター41の回転軸が図5中の時計方向に回転すると、その駆動力がギヤ42、ギア43、ギア44、ギア45、ギア46、ギア47、ギア48、ギア49、クラッチ50、ギア51、ギア52、ギア53、ギア54、シャフト55、並びにギヤ56−1および56−2を介して、排紙受けトレイ13に伝達されて、本体11に収納されている排紙受けトレイ13が、本体11から外に出る。逆に、モーター41の回転軸が図5中の反時計方向に回転すると、その駆動力がギヤ42、ギア43、ギア44、ギア45、ギア46、ギア47、ギア48、ギア49、クラッチ50、ギア51、ギア52、ギア53、ギア54、シャフト55、並びにギヤ56−1および56−2を介して、排紙受けトレイ13に伝達されて、本体11から出ている排紙受けトレイ13が、本体11に収納される。
次に、操作パネル12への駆動力伝達経路について説明する。第2遊星歯車機構61は、太陽歯車82(図示せず)、ギア81、ホルダ83、遊星歯車84、およびギヤ85(図示せず)を備えてなる。太陽歯車82は、ギヤ46と歯合するギヤ81と同軸に設けられ、ギヤ81と共に回転する。ホルダ83は、太陽歯車82およびギヤ81と同軸に回動自在に遊星歯車84およびギヤ85を保持する。遊星歯車84は、ギヤ82と歯合するとともに、ギヤ85と同軸に設けられ、ギヤ85と共に回転する。ギヤ85は、第1遊星歯車機構62の太陽歯車91に歯合するか、または第1遊星歯車機構62の太陽歯車91から外れて空転する。
太陽歯車82が反時計回りに回転させられると、太陽歯車82およびギヤ81と同軸に回動自在に設けられているホルダ83が反時計回りに回転させられる。すると、遊星歯車84およびギヤ85が上側に移動するので、ギヤ85は、第1遊星歯車機構62の太陽歯車91に歯合する。すなわち、第2遊星歯車機構61は、操作パネル12を開く向きの駆動力が伝達されると、ギヤ85が第1遊星歯車機構62の太陽歯車91に歯合し、第1遊星歯車機構62に駆動力を伝達する。
逆に、太陽歯車82が時計回りに回転させられると、太陽歯車82およびギヤ81と同軸に回動自在に設けられているホルダ83が時計回りに回転させられる。すると、遊星歯車84およびギヤ85が下側に移動するので、ギヤ85は、第1遊星歯車機構62の太陽歯車91から外れる。すなわち、第2遊星歯車機構61は、操作パネル12を閉じる向きの駆動力が伝達されると、ギヤ85が第1遊星歯車機構62の太陽歯車91から外れて、駆動力の伝達は遮断される。
第1遊星歯車機構62は、太陽歯車91、ホルダ92、遊星歯車93、およびギヤ94からなる。太陽歯車91は、第2遊星歯車機構61のギヤ85が歯合するか、または、第2遊星歯車機構61のギヤ85が、太陽歯車91から外れる。ホルダ92は、太陽歯車91と同軸に回動自在に遊星歯車93およびギヤ94を保持する。遊星歯車93は、太陽歯車91と歯合するとともに、ギヤ94と同軸に設けられ、ギヤ94と共に回転する。ギヤ94は、操作パネル12に設けられている扇形ギヤ63に歯合するか、または扇形ギヤ63から外れて空転する。扇形ギヤ63は、本体11に対する開閉の軸12aと同軸に操作パネル12に設けられている。
制御部101は、制御プログラムを実行するマイクロコンピュータまたは専用のIC(Integrated Circuit)などで構成され、カムセンサー102、トレイ位置検出手段103、および回転センサー104からの信号に応じて、モーター41の駆動力の発生を制御する。
カムセンサー102は、操作パネル12の回動軸12aと同軸に設けられた不図示のカムの状態を検出する光学センサーであり、操作パネル12が所定の角度まで開かれたことを検知して、これを示す信号を制御部101に供給する。トレイ位置検出手段103は、機械式スイッチなどからなり、排紙受けトレイ13が収納位置(第2の位置:図2)にあること、及び最突出位置(第1の位置:図3)にあることを検知して、これを示す信号を制御部101に供給する。回転センサー104は、例えば、ロータリエンコーダなどからなり、モーター41の回転軸の回転角を検出する
図6は、クラッチ50の構成を示す分解図である。図7は、クラッチ50の構成を示す正面図である。図8は、図7におけるAA’線のクラッチ50の断面を示す断面図である。図9は、後述するコイルバネ124がない状態のクラッチ50の構成を示す斜視図である。
クラッチ50は、外輪(歯車)71および内輪(歯車)72に加えて、外輪71の内側に一体に円盤状に形成された「第3の摩擦ディスク」としての摩擦ディスク121、内輪72とほぼ同一の外径の円筒状に形成されたバネホルダ123、を備えている。またクラッチ50は、バネホルダ123の外側に一体に円盤状に形成され、摩擦ディクス121に接して摩擦力(第1の摩擦力)を生じさせる、「第1の摩擦ディスク」としての摩擦ディスク122、摩擦ディスク122を摩擦ディスク121に押しつける押圧力を生じさせる円筒状のコイルバネ124、およびコイルバネ124をバネホルダ123に保持すると共に摩擦ディスク121に接して摩擦力(第2の摩擦力)を生じさせる「第2の摩擦ディスク」としての摩擦ディスク125、を備えてなる。
摩擦ディスク121の両側、摩擦ディスク122の面のうち、摩擦ディスク121側の面、および摩擦ディスク125の面のうち、摩擦ディスク121側の面は、摩擦摺動面として形成されている。
摩擦ディスク125の摩擦ディスク121側には、コイルバネ124の端部のうち、内輪72側の端部を係止するフック131−1および131−2と、キー132とが形成されている。フック131−1および131−2は、円盤状の形成されている摩擦ディスク125の対向する位置、すなわち、円盤状の摩擦ディスク125の中心を通る弦と周とが交差する位置に配置されている。キー132は、フック131−1とフック131−2との間に配置されている。
バネホルダ123の摩擦ディスク121側には、フック131−1を通すための溝133−1、フック131−2を通すための溝133−2、およびキー132と嵌め合って摩擦ディスク122と摩擦ディスク125とを連結するキー溝134が成形されている。
摩擦ディスク122の外径は、外輪71の内側の径(摩擦ディスク121の外径)より小さくされている。コイルバネ124の内側の穴の径は、内輪72の歯先円径より大きく、コイルバネ124の外径は、摩擦ディスク122の外径より小さくされている。コイルバネ124は、内輪72に通されて、バネホルダ123に装着される。
コイルバネ124がバネホルダ123に装着された状態で、摩擦ディスク122を摩擦ディスク121に接するように外輪71の内側にはめ込み、さらに、摩擦ディスク125のフック131−1および131−2並びにキー132のそれぞれが外輪71の穴を通してバネホルダ123の溝133−1および133−2並びにキー溝134のそれぞれにはめ込まれると、摩擦ディスク125のフック131−1および131−2がコイルバネ124を摩擦ディスク122に押しつける様に保持する。
摩擦ディスク121と摩擦ディスク122と摩擦ディスク125とがコイルバネ124によって押しつけられることにより、図8に示されるように摩擦ディスク121の面と摩擦ディスク122の面とである摩擦摺動面Bおよび摩擦ディスク121の面と摩擦ディスク125の面とである摩擦摺動面Cが摺動して、摩擦力を生じさせる。
図9に示されるように、キー132の幅は、キー溝134の幅よりも狭く形成され、キー132とキー溝134とは、摩擦ディスク121、摩擦ディスク122、および摩擦ディスク125の周方向に所定の遊びを持たせて嵌め合わせられる。すなわち、摩擦ディスク121、摩擦ディスク122、および摩擦ディスク125は、回転方向に所定の遊びを持たせて連結される。すなわち、クラッチ50は、第1の摩擦ディスクである摩擦ディスク122と第2の摩擦ディスクである摩擦ディスク125とを回転方向に所定の遊びを持たせて連結する。
この様に遊びを持たせて連結するのは、仮に遊びがない場合、キー132とキー溝134との間、或いはフック131−1、131−2と溝133−1、133−2との間で回転軸線方向の摺動性が損なわれ、摩擦ディスク122、摩擦ディスク125のそれぞれが、摩擦ディスク121に適切に圧接することができず、即ち適切な摩擦力が得られなくなるためである。
排紙受けトレイ13を突出させる場合、図9において、クラッチ50は、時計方向に回転させられる。クラッチ50が時計方向に回転して駆動力を伝達する場合、モーター41の駆動力は、ギヤ42ないしギヤ49を介して外輪71に加えられる。すなわち、モーター41は、クラッチを介して伝達される回転の駆動力を発生させる駆動源の一例である。
クラッチ50が伝達すべき駆動力が、摩擦ディスク121と摩擦ディスク122との間の摩擦摺動面Bでの摩擦力(第1の摩擦力)と、摩擦ディスク121と摩擦ディスク125との間の摩擦摺動面Cでの摩擦力(第2の摩擦力)との和より小さい場合、その駆動力は、そのまま内輪72に伝達される。内輪72に伝達された駆動力は、ギヤ51乃至ギヤ56−1および56−2を介して、排紙受けトレイ13に伝達され、これにより、排紙受けトレイ13は、本体11から突出する。
一方、クラッチ50が伝達すべき駆動力が、第1の摩擦力と第2の摩擦力との和より大きい場合、摩擦ディスク121に対して、少なくとも摩擦ディスク122および摩擦ディスク125のいずれか一方が滑り、摩擦ディスク121、摩擦ディスク122、および摩擦ディスク125による動摩擦力に相当する駆動力のみが伝達される。即ち、結果的にクラッチ50で滑りが発生し、排紙受けトレイ13は駆動されない。
例えば、排紙受けトレイ13が外部の何らかの物体に当接し、これ以上本体11から突出できない場合、クラッチ50に駆動力が伝達されても、摩擦ディスク121に対して、摩擦ディスク122および摩擦ディスク125が滑り、外輪71に加えられた駆動力は、実質的にクラッチ50において遮断されることになる。これにより、モーター41から排紙受けトレイ13への動力伝達経路上の歯車等に破損が生じることを防止できる。
ここで、外輪71に加えられる駆動力と、摩擦ディスク121、摩擦ディスク122、および摩擦ディスク125による静止摩擦力および動摩擦力と、内輪72に伝達される駆動力とについて考える。
まず、キー132とキー溝134の回転方向の端部のうち、これから回転しようとする方向の端部が接している場合、即ち回転方向においてキー132とキー溝134との間にガタ(遊び)がない場合を考える。外輪71に加えられる駆動力は、摩擦ディスク121から、摩擦ディスク122と摩擦ディスク125に伝達される。このとき、キー132とキー溝134との端部が接しているので、摩擦ディスク121と摩擦ディスク122との間の静摩擦力(第1の静摩擦力)と、摩擦ディスク121と摩擦ディスク125との間の静摩擦力(第2の静摩擦力)との和が、直ちに駆動力の伝達に寄与し、摩擦摺動面B,Cでの滑りは生じることなくトルクが伝達される。即ち、排紙受けトレイ13は確実に駆動される。
次に、キー132とキー溝134との回転方向の端部のうち、これから回転しようとする方向の端部が接していない場合、即ち回転方向においてキー132とキー溝134との間にガタ(遊び)がある場合を考える。この場合、外輪71に加えられる駆動力は、摩擦ディスク121から、摩擦ディスク122と摩擦ディスク125に伝達されるが、上記ガタの存在により、摩擦ディスク121と摩擦ディスク122との間における第1の静摩擦力のみが駆動力の伝達に寄与し、摩擦ディスク121と摩擦ディスク125との間における第2の静摩擦力は駆動力の伝達に寄与しない。このため、結果的に内輪72は噛み合う相手側の歯車51を回転させるに足りるトルクでは回転せず、上記ガタ(遊び)が詰まるまでは、摩擦ディスク121と摩擦ディスク122との間で滑りが発生する。
そして上記ガタ(遊び)が詰まると、摩擦ディスク121と摩擦ディスク125との間における第2の静摩擦力が駆動力の伝達に寄与することとなるが、そのときは摩擦ディスク121と摩擦ディスク122との間は滑っており、即ち静摩擦力からこれより低い動摩擦力へと変化している。この様に上記ガタ(遊び)がある場合、クラッチ50における伝達トルクは第1の静摩擦力と第2の静摩擦力との和より小さくなり、その結果上記ガタ(遊び)が詰まった後に摩擦ディスク121と摩擦ディスク125との間でも滑りが生じて、内輪72が噛み合う相手側の歯車51を回転させるに足りるトルクで回転できない虞がある。
このように、キー132とキー溝134との回転方向の端部にガタ(遊び)があるか否かにより、クラッチ50において発生する伝達トルクは変動することになる。そして、本体11に格納されている排紙受けトレイ13を突出させる場合(或いはその逆も同様)、排紙受けトレイ13をより確実に突出させるように、クラッチ50が伝達できる駆動力をより大きくすることが好ましく、即ち摩擦ディスク121と摩擦ディスク122との間の摩擦力と摩擦ディスク121と摩擦ディスク125との間の摩擦力の双方が静摩擦力の状態で駆動力の伝達に利用されることが好ましい。
そのために、本体11に格納されている排紙受けトレイ13を突出させる場合、その動作を行わせる前に、クラッチ50の上記ガタ(遊び)を取る予備動作によって、キー132とキー溝134との回転方向の端部を当接させる。すなわち、この予備動作において、モーター41の軸は、キー132とキー溝134との回転方向の端部が当接するトルクと回転角とで、図4中において、時計方向に回転させられる。制御部101は、この様な第1の予備回転動作を選択的に行うことができる。
尚、このときのモーター41の回転角は、設計上考え得る上記ガタ(遊び)の最大値に、多少の余裕値を加えた回転角度に設定することができる。このとき、予備動作によって排紙受けトレイ13が僅かに動く場合もあるが、この動きは、排紙受けトレイ13を所定位置に変位させる為の本来の動作には属さない。また、制御部101は、上述した第1の予備回転動作を行うモードを実行可能であるが、言うまでもなく第1の予備回転動作を行わないモードも実行可能である。
■■■第1実施例■■■
次に、図11のフローチャートを参照して、制御部101が行う処理(制御モード)の第1実施例について説明する。ステップS11において、制御部101は、排紙受けトレイ13を駆動する場合(ステップS11においてYes)、上述した第1の予備回転動作(ガタ詰め動作)を実行し(ステップS12)、その後、排紙受けトレイ13を目的位置まで駆動する(ステップS13)。
次に、図11のフローチャートを参照して、制御部101が行う処理(制御モード)の第1実施例について説明する。ステップS11において、制御部101は、排紙受けトレイ13を駆動する場合(ステップS11においてYes)、上述した第1の予備回転動作(ガタ詰め動作)を実行し(ステップS12)、その後、排紙受けトレイ13を目的位置まで駆動する(ステップS13)。
この目的位置までの駆動は、排紙受けトレイ13を収納状態(第2の位置)から突出状態(第1の位置)に向けて駆動する場合のほか、その逆、即ち突出状態(第1の位置)から収納状態(第2の位置)に向けて駆動する場合もある。また、収納状態(第2の位置)と突出状態(第1の位置)との間の位置から、収納状態(第2の位置)および突出状態(第1の位置)のいずれかに向けて駆動する場合もある。
この様に第1の予備回転動作(ガタ詰め動作)を実行することで、上述した様に摩擦ディスク121と摩擦ディスク125との間の摩擦力と、摩擦ディスク121と摩擦ディスク125との間の摩擦力のいずれもが静摩擦力の状態で駆動力の伝達が開始されるので、クラッチ50において滑りが生じることなく確実に排紙受けトレイ13を駆動できる。
■■■第2実施例■■■
次に、図12のフローチャートを参照して制御部101が行う処理(制御モード)の第2実施例について説明する。ステップS21において、制御部101は、操作パネル12を駆動する場合(ステップS21においてYes)、トレイ位置検出手段103からの信号を参照し、排紙受けトレイ13の現在位置を確認する(ステップS22)。
次に、図12のフローチャートを参照して制御部101が行う処理(制御モード)の第2実施例について説明する。ステップS21において、制御部101は、操作パネル12を駆動する場合(ステップS21においてYes)、トレイ位置検出手段103からの信号を参照し、排紙受けトレイ13の現在位置を確認する(ステップS22)。
このとき、排紙受けトレイ13が突出状態(第1の位置)以外にあるときは、第1の予備回転動作を行い(ステップS23)、その後、モーター41を所望量駆動する(ステップS24)。排紙受けトレイ13が突出状態(第1の位置)にあるときは、第1の予備回転動作を行わないで、モーター41を所望量駆動する(ステップS24)。
即ち、排紙受けトレイ13が既に突出位置(第1の位置)にある状態で操作パネル12を駆動する際は、排紙受けトレイ13に確実に駆動力を伝達する必要はないので、第1の予備回転動作を省略し、これにより操作パネル12を迅速に駆動することができる。
■■■第3実施例■■■
次に、図13のフローチャートを参照して制御部101が行う処理(制御モード)の第3実施例について説明する。ステップS31において、制御部101は、操作パネル12を駆動する場合(ステップS31においてYes)、トレイ位置検出手段103からの信号を参照し、排紙受けトレイ13の現在位置を確認する(ステップS32)。
次に、図13のフローチャートを参照して制御部101が行う処理(制御モード)の第3実施例について説明する。ステップS31において、制御部101は、操作パネル12を駆動する場合(ステップS31においてYes)、トレイ位置検出手段103からの信号を参照し、排紙受けトレイ13の現在位置を確認する(ステップS32)。
このとき、排紙受けトレイ13が突出状態(第1の位置)以外にあるときは、そのまま操作パネル12を所望角度まで駆動する(ステップS34)。一方、排紙受けトレイ13が突出状態(第1の位置)にあるときは、第2の予備回転動作(ガタ形成動作)を行った後、操作パネル12を所望角度まで駆動する(ステップS34)。
ここで、第2の予備回転動作とは、上記第1の予備回転動作とは逆に、クラッチ50の上記ガタ(遊び)を形成する動作である。即ち、上記ガタ(遊び)の存在によりクラッチ50で滑りが生じる虞があることは上述した通りであるが、この滑りを逆に利用し、排紙受けトレイ13が既に突出状態(第1の位置)にある状態での操作パネル12の駆動時にクラッチ50で滑りを発生させることで、モーター41が排紙受けトレイ13側の動力伝達経路(特にクラッチ50)から受ける負荷を小さくできる。
■■■第4実施例■■■
次に、図14のフローチャートを参照して制御部101が行う処理(制御モード)の第3実施例について説明する。本実施例では、制御部101は、前回モーター41を駆動した際の駆動回転方向を記憶する不図示の記憶手段(メモリなど)を備えている。
次に、図14のフローチャートを参照して制御部101が行う処理(制御モード)の第3実施例について説明する。本実施例では、制御部101は、前回モーター41を駆動した際の駆動回転方向を記憶する不図示の記憶手段(メモリなど)を備えている。
ステップS31において、制御部101は、排紙受けトレイ13或いは操作パネル12を駆動する為にモーター41を駆動する場合(ステップS41においてYes)、モーター41の前回駆動回転方向をメモリから読み出す(ステップS42)。次いで、これからモーター41を駆動する回転方向が前回駆動回転方向と同じか否かを判断し(ステップS43)、同じであれば(ステップS43においてYes)、そのままモーター41を所望量駆動し(ステップS45)、そして今回駆動した際の回転方向をメモリに記憶する(ステップS46)。
ステップS43においてNoの場合、第1の予備回転動作(ガタ詰め動作)を行い(ステップS44)、その後に、モーター41を所望量駆動し(ステップS45)、そして今回駆動した際の回転方向をメモリに記憶する(ステップS46)。
つまり、クラッチ50において上記ガタ(遊び)が存在する方向にモーター41を回転させる場合には(ステップS43においてNo)、第1の予備回転動作(ガタ詰め動作)を行うことで、クラッチ50での滑りを防止し、排紙受けトレイ50を確実に駆動することができる。一方でクラッチ50において上記ガタ(遊び)が存在しない方向にモーター41を回転させる場合には(ステップS43においてYes)、第1の予備回転動作(ガタ詰め動作)を省略することで、排紙受けトレイ13或いは操作パネル12を迅速に駆動することができる。
なお、プリンター1は、印刷装置であると説明したが、印刷装置、複写機、またはファクシミリ装置その他の装置である記録装置であってもよい。
また、操作パネル12に限らず、スキャナユニットのヒンジ部、スキャナのドキュメントカバーなど、開閉が必要な部位に適用が可能である。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
1 プリンター、11 本体、12 操作部、13 スタッカ、21 記録ヘッド、22 キャリッジ、30 伝達機構、42乃至49 ギヤ、50 クラッチ、51乃至54 ギヤ、55 シャフト、56−1および56−2 ギヤ、57−1および57−2 ラック、61および62 遊星歯車機構、71 外輪、 72 内輪、81 太陽歯車、82 ギヤ、83 ホルダ、84 遊星歯車、85 ギヤ、91 太陽歯車、92 ホルダ、93 遊星歯車、94 ギヤ、101 制御部、102 カムセンサー、103 スタッカ開センサー、104 回転センサー、121 摩擦ディスク、122 摩擦ディスク、123 バネホルダ、124 コイルバネ、125 摩擦ディスク、131−1および131−2 フック、132 キー、133−1および133−2 溝、134 キー溝
Claims (7)
- 第1の摩擦ディスクと第2の摩擦ディスクとを第3の摩擦ディスクを挟んで回転方向に所定の遊びを持たせて連結するとともに、前記第1の摩擦ディスク及び前記第2の摩擦ディスクを前記第3の摩擦ディスクに向けて押圧する構成を備えたクラッチと、
前記クラッチを介して伝達される回転の駆動力を発生させる駆動源と、
前記駆動源を制御し、回転動作前に回転しようとする向き側の前記遊びを詰めさせる第1の予備回転動作を前記クラッチに行わせるモードを選択可能な制御手段と、
を備えることを特徴とする記録装置。 - 請求項1に記載の記録装置において、媒体に記録を行う記録部を備えた装置本体に対して回動軸を介して下向き方向にチルトした第1姿勢と上向き方向にチルトした第2姿勢との間でチルト可能に設けられるとともに、前記駆動源から動力を得て少なくとも前記第1姿勢から前記第2姿勢に向かう方向にチルトするチルト部と、
前記駆動源から動力を得ることにより、前記装置本体から突出する方向に変位した第1の位置と、前記装置本体内に引き込まれる方向に変位した第2の位置と、の間で変位する、排出された媒体を受ける媒体受けトレイと、
前記駆動源から前記チルト部及び前記媒体受けトレイへ駆動力を伝達する伝達機構と、を備え、
前記クラッチは、前記伝達機構において前記駆動源から前記媒体受けトレイへの動力伝達経路に設けられ、
前記制御手段は、前記第1の予備回転動作を実行した後に、前記媒体受けトレイを前記第2の位置から前記第1の位置に向けて駆動する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1に記載の記録装置において、媒体に記録を行う記録部を備えた装置本体に対して回動軸を介して下向き方向にチルトした第1姿勢と上向き方向にチルトした第2姿勢との間でチルト可能に設けられるとともに、前記駆動源から動力を得て少なくとも前記第1姿勢から前記第2姿勢に向かう方向にチルトするチルト部と、
前記駆動源から動力を得ることにより、前記装置本体から突出する方向に変位した第1の位置と、前記装置本体内に引き込まれる方向に変位した第2の位置と、の間で変位する、排出された媒体を受ける媒体受けトレイと、
前記駆動源から前記チルト部及び前記媒体受けトレイへ駆動力を伝達する伝達機構と、を備え、
前記クラッチは、前記伝達機構において前記駆動源から前記媒体受けトレイへの動力伝達経路に設けられ、
前記制御手段は、前記第1の予備回転動作を実行した後に、前記媒体受けトレイを前記第1の位置から前記第2の位置に向けて駆動する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項2または3に記載の記録装置において、前記制御手段は、前記媒体受けトレイが前記第1の位置にある状態で前記チルト部を駆動する際、前記第1の予備回転動作を実行しない、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項2または3に記載の記録装置において、前記制御手段は、前記媒体受けトレイが前記第1の位置にある状態で前記チルト部を駆動する際、当該駆動前に、前記クラッチにおいて前記遊びを開かせる第2の予備回転動作を前記クラッチに行わせる、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1に記載の記録装置において、媒体に記録を行う記録部を備えた装置本体に対して回動軸を介して下向き方向にチルトした第1姿勢と上向き方向にチルトした第2姿勢との間でチルト可能に設けられるとともに、前記駆動源から動力を得て少なくとも前記第1姿勢から前記第2姿勢に向かう方向にチルトするチルト部と、
前記駆動源から動力を得ることにより、前記装置本体から突出する方向に変位した第1の位置と、前記装置本体内に引き込まれる方向に変位した第2の位置と、の間で変位する、排出された媒体を受ける媒体受けトレイと、
前記駆動源から前記チルト部及び前記媒体受けトレイへ駆動力を伝達する伝達機構と、を備え、
前記クラッチは、前記伝達機構において前記駆動源から前記媒体受けトレイへの動力伝達経路に設けられ、
前記制御手段は、前記駆動源を駆動した際の駆動回転方向を記憶手段に記憶し、
前記媒体受けトレイを駆動する際の前記駆動源の駆動方向が、前記記憶手段に記憶された前記駆動源の駆動回転方向と逆の場合には、前記第1の予備回転動作を実行した後に前記媒体受けトレイを駆動し、
前記媒体受けトレイを駆動する際の前記駆動源の駆動方向が、前記記憶手段に記憶された前記駆動源の駆動回転方向と同じ場合には、前記第1の予備回転動作を実行しないで前記媒体受けトレイを駆動する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項2から6のいずれか1項に記載の記録装置において、閉じた状態において前記媒体受けトレイの変位動作経路に位置する、回動することにより開閉可能なカバーを備え、
前記媒体受けトレイが前記第2の位置から前記第1の位置に変位する際、閉じた状態の前記カバーに前記媒体受けトレイが当接し、当該媒体受けトレイが前記カバーを開放させる、
ことを特徴とする記録装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106468312A (zh) * | 2015-08-19 | 2017-03-01 | 立象科技股份有限公司 | 扭力限制器、印表机与齿轮组 |
JP2020175675A (ja) * | 2016-02-26 | 2020-10-29 | セイコーエプソン株式会社 | 記録装置 |
-
2012
- 2012-08-08 JP JP2012176368A patent/JP2014034453A/ja active Pending
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