JP2014031795A - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スクロール圧縮機は、固定スクロール2と、この固定スクロールと噛み合わされて旋回運動を行うことによって前記固定スクロールとの間に圧縮室100a,100bを形成する旋回スクロール3と、旋回スクロールに固定スクロールへの押付力を与える背圧室110と、この背圧室に圧縮機吐出側の油を導入する給油路とを有する。また、前記背圧室と閉込み開始後の前記圧縮室とのみ連通されると共に前後の差圧で開閉する背圧弁26を備え、背圧室の油を圧縮室へ流出させて前記背圧室の圧力を制御する圧縮室連通路60と、前記背圧室と前記圧縮室へ至る吸込領域105とのみ連通され、背圧室の油を前記吸込領域へ供給する吸込域連通路65とを備えている。
【選択図】図2
Description
『最外噛合箇所が、ラップに沿って圧縮室側開口よりもラップ中央寄りであること
…(1)』
が必要条件になる。前記最外噛合箇所は、旋回スクロールの旋回位相角で決まることから、最外噛合箇所が圧縮室側開口よりもラップ中央寄りとなる旋回位相角の時だけ、最外噛合箇所に油を供給できることになる。実際は更にその他の追加条件が必要となる。
『旋回外線側最外噛合箇所の方向角は旋回スクロールの旋回位相角と等しい …(2)』
ことがわかる。(但し、旋回内線側最外噛合箇所の場合は、180度ずれる。)
よって、上記(1)、(2)から、
『旋回スクロールの旋回位相角が、ラップに沿って圧縮室側開口よりもラップ中央寄りで
あること …(3)』
が、前記圧縮室側開口から旋回外線側最外噛合箇所へ給油するための必要条件であることがわかる。
『旋回位相角が圧縮室側開口の設置方向角を中心として前後90度ずつ(合計180度)の間、圧縮室側開口は旋回内線側圧縮室に開口する。 …(4)』
ここで、旋回位相角が360度以上になると、外側に別の噛合い箇所が形成され、これまで考察対象としてきた噛合い箇所は最外噛合箇所ではなくなるため、
『旋回位相角は、0度から360度以下の範囲である …(5)』
という前提条件もあり、上記(4)と(5)が、追加しなければならない条件である。これらを纏めると、以下のことがわかる。
『圧縮室側開口から旋回外線側最外噛合箇所へ給油可能な旋回位相角の範囲は、圧縮室側開口の設置方向角より90度以上ラップ中央寄りの範囲であって、旋回位相角が360度
以下である。 …(6)』
以上を考慮すれば、図13で示すような従来例の場合、圧縮室側開口の設置方向角が210度であるため、210度に90度を加えた300度から360度の旋回位相角の範囲(旋回位相角度間隔)で給油可能であることがわかる。
『圧縮室側開口から噴き出す油の速度が小さいと、旋回スクロールが360度旋回する間に、噴出した油が最外噛合箇所へ到達できない。 …(7)』
この油の噴出速度は、前記連通路の入口側の圧力(背圧)と出口側の圧力の差と共に、前記連通路の流路抵抗でも決まる。
『旋回内線側最外噛合箇所に給油可能な圧縮室側開口の旋回位相角は、旋回外線側最外噛合箇所に給油可能な旋回位相角間隔とは180度ずれた角度関係となる。 …(8)』
また、単純化のために「圧縮室側開口の直径が旋回ラップの厚さと同一」となる条件で説明したが、「圧縮室側開口の直径が旋回ラップの厚さよりも小さい」場合には、圧縮室側開口がいずれの圧縮室にも臨まない旋回位相角の範囲(旋回位相角度間隔)が生じる。このため、給油可能な旋回位相角度間隔は、上述した角度の範囲よりも一層狭まり、最外噛合箇所への給油は更に少なくなることがわかる。
以下、本発明の具体的実施例を図1〜図12に基づいて説明する。
図1に示すスクロール圧縮機1は、固定スクロール2と旋回スクロール3を備えており、前記固定スクロール2は、円のインボリュートを断面線とする固定スクロールラップ(固定ラップ)2bを固定スクロール鏡板(固定鏡板)2aに立設し、また前記旋回スクロール3も同様に、円のインボリュートを断面線とする旋回スクロールラップ(旋回ラップ)3bを旋回スクロール鏡板(旋回鏡板)3aに立設して、これら固定スクロール2と旋回スクロール3を噛合わせることで、両者間に圧縮室100を形成している。
背圧室110へ流入する油は吐出圧に近い圧力があり、背圧室110の圧力を昇圧させる作用がある。また、油に溶け込んでいる作動流体は、中間圧の背圧室110へ流入する際、減圧によりガス化するため、これに伴う背圧室110の圧力上昇作用もある。背圧室110へ流入した油はオルダムリング5の潤滑も行なう。その後、油は、後述する圧縮室連通路60(図3参照)と吸込域連通路65(図6参照)を介して圧縮室100に流入し、作動流体と混ざる。このようにして前記背圧は中間圧に保たれる。
図2に示すように、固定スクロール2には、圧縮室100と背圧室110を連通する圧縮室連通路60が設けられている。この圧縮室連通路は図3に示すように、コの字形となっている。このコの字形の通路を形成するには、貫通穴をあけた後に通路として不要な部分を封止する(封止部61を参照)ことで実現することができる。
図2の(A)図に示す時点での旋回ラップの動きを考慮すると、閉込み開始前の旋回外線側圧縮室100a(吸込領域)には開口しない前記圧縮室側開口60aの固定歯底上での設定位置は、少なくとも(A)図のハッチングで示す領域となる。なお、極座標が360度以上では圧縮室側開口60aをどこに設置しても吸込領域には開口しないため、ハッチングを省略している。同様に、図2の(B)図に示す時点における、閉込み開始前の旋回内線側圧縮室100b(吸込領域)には開口しない前記圧縮室側開口60aの固定歯底上での設置位置も、少なくとも(B)図のハッチングで示す領域となる。(B)図にクロスハッチングで示される領域((A)図と(B)図のハッチングで示した共通部分)に前記圧縮室側開口60aを設けると、圧縮室連通路60は常時閉込み終了後の圧縮室にのみ連通させることができる。ラップ厚さに近い口径を持つ圧縮室側開口60aを固定歯底中央部に設ける本実施例の場合、固定歯底中央部付近で圧縮室側開口60aが吸込領域に連通しない領域(クロスハッチングの部分)の幅がラップ厚さ以上でなければならない。この条件に合う箇所は、このクロスハッチング領域の分布から、前記極座標で270度以上の位置になることがわかる。
前記圧縮室連通路60の途中に連通する位置の固定スクロール2に、その上面側から弁穴2kを形成し、この弁穴2kの底面には弁シール面(弁座)26dを設ける。この弁シール面26dに弁体26aを弁ばね26bで押付ける。前記弁ばね26bは弁キャップ25cで保持される。この弁キャップ26cは、固定背面室120との間をシールする機能も担っている。このように構成された背圧弁26の動作を説明する。背圧弁26の弁体26aには、背圧(背圧室側の圧力)と圧縮室側開口60aが臨む圧縮室側の圧力との差圧が作用し、この差圧による力が弁ばね26bの押付力を越えると、弁体26aは弁シール面26dから離れ、圧縮室連通路60を開く。背圧は、圧縮室側開口60aが臨む圧縮室の圧力よりも弁ばね26bの押付力に対応する値だけ高く設定される。
2:固定スクロール、2a:固定鏡板、2b:固定スクロールラップ(固定ラップ)、
2d:鏡板外辺部、2e:バイパス穴、2f:吐出穴、2k:弁穴、2p:周囲溝、
2p1:凹み部、2u:固定鏡板面、2y:吸込穴、
3:旋回スクロール、3a:旋回鏡板、3b:旋回スクロールラップ(旋回ラップ)、
4:フレーム、5:オルダムリング、6:クランク軸、6a:偏心ピン部、
6b:給油穴、6x:給油パイプ、
7:モータ(7a:ロータ、7b:ステータ)、
8:ケーシング(8a:円筒ケーシング、8b:上ケーシング、8c:底ケーシング))、
22:バイパス弁、23:旋回軸受、24:主軸受、25:副軸受、
26:背圧弁、26a:弁体、26b:弁ばね、26c:弁キャップ、
26d:弁シール面(弁座)
35:下フレーム、50:吸込パイプ、55:吐出パイプ、
60:圧縮室連通路、60a:圧縮室側開口、60b:背圧室側開口、61:封止部、
65,65′,65′′:吸込域連通路、65a:旋回鏡板給油孔、
65a′:上面側開口部(固定鏡板面側開口部)、65b:固定鏡板給油溝、
65c:外部駆動絞り弁(流量制御弁)、65d:背圧側吸込域連通穴、
65e:吸込側吸込域連通穴、65f:伝送路、65g:制御装置、
65s:外部信号線、65x:吸込側開口、
65A:旋回鏡板給油窪み、65B:固定鏡板給油溝、65C:固定鏡板掘込み、
70:逆止弁、71:外周溝、
100:圧縮室、100a:旋回外線側圧縮室、100b:旋回内線側圧縮室、
105:吸込領域(吸込室)、110:背圧室、115:旋回軸受室、
120:固定背面室、125:貯油部。
Claims (15)
- 鏡板とそれに立設されたスクロールラップを有する固定スクロールと、
鏡板とそれに立設されたスクロールラップを有し、前記固定スクロールと噛み合わされて旋回運動を行うことによって前記固定スクロールとの間に圧縮室を形成する旋回スクロールと、
前記旋回スクロールに前記固定スクロールへの引付力を与える背圧室と、
前記背圧室に圧縮機吐出側の油を導入する給油路と
を有するスクロール圧縮機において、
前記背圧室と閉込み開始後の前記圧縮室とのみ連通されると共に前後の差圧で開閉する背圧弁を備え、背圧室の油を圧縮室へ流出させて前記背圧室の圧力を制御する圧縮室連通路と、
前記背圧室と、閉込み開始後の前記圧縮室へ至る吸込領域とのみ連通し、閉込み開始後の前記圧縮室には連通しないように構成され、前記背圧室の油を前記吸込領域へ供給する吸込域連通路と
を備えていることを特徴とするスクロール圧縮機。 - 請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記吸込域連通路は背圧室の油を前記吸込領域に間欠的に供給する間欠給油手段で構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項2に記載のスクロール圧縮機において、少なくとも定格運転条件下では、前記圧縮室連通路から圧縮室に供給される油量を、前記吸込域連通路から吸込領域に供給される油量よりも多くなるように構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項3に記載のスクロール圧縮機において、前記固定スクロールと前記旋回スクロールとは、前記旋回スクロールのスクロールラップ(旋回ラップ)巻終り両側面を前記固定スクロールのスクロールラップ(固定ラップ)との噛合いに用いる非対称歯形に構成し、前記圧縮室連通路の圧縮室側開口は、前記固定ラップの溝底の幅方向の略中央で且つ固定ラップの巻終りから固定ラップの歯底に沿って中央側(巻始め側)に270度以上入った位置に設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項4に記載のスクロール圧縮機において、前記圧縮室側開口の口径を前記旋回ラップの厚さより小さく形成していることを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項5に記載のスクロール圧縮機において、前記間欠給油手段で構成され前記吸込域連通路は、前記旋回スクロールの鏡板(旋回鏡板)を、前記背圧室側から前記固定スクロールの鏡板(固定鏡板)の鏡板面(固定鏡板面)側に貫通させる旋回鏡板給油孔と、前記固定鏡板面上に形成され、前記旋回鏡板給油孔に連通可能な位置と前記吸込領域とを接続する固定鏡板給油溝により構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項6に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回鏡板給油孔の固定鏡板面側開口部は、旋回スクロール2の旋回運動に伴い前記固定鏡板給油溝と2箇所で重なるようにし、それによって前記吸込域連通路は、旋回スクロールが1旋回する間に2回、前記吸込領域側に連通する間欠連通路となるように構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項7に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回鏡板給油孔の軌跡と交差する前記固定鏡板給油溝部分の形成方向を、前記固定ラップの内線側固定巻終りβと外線側固定巻終りγをつなぐ直線と略平行な向き、或いは前記略平行な向きから時計回りにずらした方向にすることにより、前記吸込領域への給油開始時点を圧縮室の閉込み開始時点または前記閉込み開始時点に対して相対的に早くなるように構成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項1に記載のスクロール圧縮機において、前記吸込域連通路は、該吸込域連通路内に絞り弁を設け、この絞り弁により前記背圧室から前記吸込領域への給油量を調整するように構成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項9に記載のスクロール圧縮機において、前記吸込域連通路は、前記絞り弁と前記背圧室とを連通する背圧側吸込域連通穴、及び前記絞り弁と前記吸込領域とを連通する吸込側吸込域連通穴で構成され、これら連通穴の間に前記絞り弁が配置されると共に、この絞り弁は前記圧縮機の吸込圧力Psと吐出圧力Pdに関連する情報に基づいて制御されることを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項10に記載のスクロール圧縮機において、前記吸込圧力Psと吐出圧力Pdに関連する情報に基づいて圧力比を算出し、この圧力比が大きければ給油量を増加させるように前記絞り弁を制御し、前記圧力比が小さければ前記絞り弁の開度を小さくして給油量を減少させるように制御することを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項6に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回鏡板給油孔に代えて旋回鏡板給油窪み(凹部)を前記旋回スクロールにおける旋回鏡板の固定鏡板面に対向する位置に設け、前記固定スクロールの固定鏡板面上に設けられた前記固定鏡板給油溝は、前記旋回鏡板給油窪みに連通可能な位置と前記吸込領域とを接続するように形成し、更に、前記背圧室と連通するように前記固定鏡板面には固定鏡板掘込みが設けられ、前記旋回鏡板給油窪みは、旋回スクロールの旋回動作に伴って、前記固定鏡板掘込みと前記固定鏡板給油溝との間を往復するように構成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項12に記載のスクロール圧縮機において、前記固定鏡板掘込みと旋回鏡板給油窪みとの連通が旋回スクロールの1旋回中に2回生じるように前記固定鏡板掘込みの形状或いは個数を設定し、その各連通との間に前記固定鏡板給油溝と前記旋回鏡板給油窪みとの連通が生じるように前記固定鏡板給油溝を構成し、圧縮室の閉込み開始に合わせて前記吸込領域に給油する構成にしたことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項12に記載のスクロール圧縮機において、前記旋回鏡板給油窪みを前記固定鏡板給油溝を挟むように半径方向に2個配置し、それぞれの旋回鏡板給油窪みが旋回スクロールの旋回運動に伴ない、別々のタイミングで前記固定鏡板掘込みと前記固定鏡板給油溝に連通させるように構成し、圧縮室の閉込み開始に合わせて前記吸込領域に給油する構成にしたことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項3に記載のスクロール圧縮機において、前記固定スクロールと前記旋回スクロールとは、前記旋回スクロールのスクロールラップ(旋回ラップ)巻終り両側面を前記固定スクロールのスクロールラップ(固定ラップ)との噛合いに用いる非対称歯形に構成し、前記圧縮室連通路の圧縮室側開口は、前記固定ラップの歯底の幅方向中央よりも半径方向外側に設けられ、更にこの圧縮室側開口は、固定ラップの巻終りから固定ラップの歯底に沿って中央側(巻始め側)に270度より大きく入った位置で且つ閉込み開始後の圧縮室にのみ連通する位置に設置されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
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