JP2014031528A - 高炉用原料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】予備還元鉱石を焼結鉱製造用原料としてでなく、高炉用原料として用いられるようにする方法を提案する。
【解決手段】微粉鉄鉱石をまず還元性ガス雰囲気下の予備還元炉内に装入して予備還元し、次いで、得られた予備還元鉱石を必要に応じて他の原料を加えて造粒した後、酸化性雰囲気に維持される焼成炉にて850℃以下の温度で焼成を行なって高炉用原料とする。
【選択図】図1
【解決手段】微粉鉄鉱石をまず還元性ガス雰囲気下の予備還元炉内に装入して予備還元し、次いで、得られた予備還元鉱石を必要に応じて他の原料を加えて造粒した後、酸化性雰囲気に維持される焼成炉にて850℃以下の温度で焼成を行なって高炉用原料とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、微粉鉄鉱石から直接、高炉用原料である高強度の塊成鉱を製造する方法に関する。
高炉製鉄法の主原料としては、塊鉄鉱石や焼結鉱、ペレット等が使われているが、最も使用量が多いのは焼結鉱である。その焼結鉱は、一般に、鉄鉱石粉を用いて製造されている。ただし、焼結鉱製造用原料となる赤鉄鉱石等の脈石分の少ない高品位の鉄鉱石というのは枯渇しつつある。このことから、近年ではその代替として、ペレットフィードと呼ばれる微粉鉄鉱石の使用が増加している。
ところで、焼結用原料として前記微粉鉄鉱石を使用する場合、原料の平均粒径が低下することから焼結機の生産性が低下するという問題がある。そのため、微粉鉄鉱石は、たとえこれを焼結用原料として使用する場合であっても事前処理が必要である。
このような問題に対して、従来、特許文献1〜3では、焼結機でより多くの微粉鉄鉱石を使用できるようにするための事前処理方法を提案している。これらの方法は、微粉鉄鉱石を使用するときに問題となる造粒性や強度、生産性の低下を抑制する技術が中心である。
上記文献に記載の技術については、次のような解決すべき課題があった。それは特許文献1〜3に開示されているこれらの技術は、微粉鉄鉱石を通常の原料と別工程で造粒することで原料の造粒強化を図り、焼結機に供給する原料粒径の増大を実現して、生産性の低下を防止できるという利点がある。しかし、微粉鉄鉱石を用いて造粒された擬似粒子はそもそも、強度があまり高くないこと、及び粒子毎の強度のバラツキが大きいため、一部の擬似粒子は崩壊してしまい、微粉鉄鉱石を含む焼結原料を用いたときの焼結鉱の生産性低下が不可避である。
そこで、本発明は、従来技術が抱える上述した課題に鑑みて開発したものであり、主たる目的は、微粉鉄鉱石を用いて製造した塊成鉱を焼結鉱製造用原料として用いるのではなく、直接、高炉用原料として使用できるようにすることで、焼結機で使用するときに問題となる上述した課題を払拭することにある。
そして、本発明の他の目的は、低温で焼成しても高炉用原料として十分な強度をもつ予備還元塊成鉱を製造することができる方法を提案することにある。
そして、本発明の他の目的は、低温で焼成しても高炉用原料として十分な強度をもつ予備還元塊成鉱を製造することができる方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得た。それは微粉鉄鉱石については、これをまず予備還元することによって酸化度を下げておけば、次に、これを酸化性雰囲気の下で加熱すると酸化発熱するようになるということである。従って、塊成化に当たって、焼結機のような高温焼成設備を用いなくても、所謂、加熱雰囲気の温度が850℃以下という低温の焼成炉を使用しても、短時間で十分に焼成することができるようになる。その結果、微粉鉄鉱石から得た造粒原料を焼結機で高温焼成するときなどの上述した課題を一挙に解決することができるようになる。
即ち、本発明は、微粉鉄鉱石をまず還元性ガス雰囲気下の予備還元炉内に装入して予備還元し、得られた予備還元鉱石を、次に、酸化性雰囲気に維持される焼成炉にて850℃以下の温度で焼成することを特徴とする高炉用原料の製造方法である。
なお、上記の構成に係る本発明方法においては、
(1)前記予備還元鉱石は、酸化雰囲気中での焼成に先立って造粒すること、
(2)前記焼成炉での酸化性雰囲気の温度は250℃〜850℃であること、
(3)前記予備還元に用いる還元性ガスは、下記式に示される酸化度Xg(−)で、0.8以下のガスを用いること、
Xg=〔(H2O + CO2)/(H2 + H2O + CO + CO2)〕vo1.%
(4)前記予備還元鉱石は、鉄の酸化度(FeOxo)が、0<xo≦1.36で表わされるものであること、
(5)前記微粉鉄鉱石は、粒径63μm以下の粒径のものを50mass%以上含有する微粉鉄鉱石であること、
(6)前記還元性ガスは、転炉ガス、高炉ガス、コークスガス、天然ガス、液化石油ガスのいずれか1種以上のガスを用いること、
(7)前記予備還元炉は、シャフト炉、ロータリーキルン、流動層還元炉のいずれかであること、
(8)前記予備還元炉での還元処理の温度は1200℃未満とすること、
がより好ましい解決手段になると考えられる。
(1)前記予備還元鉱石は、酸化雰囲気中での焼成に先立って造粒すること、
(2)前記焼成炉での酸化性雰囲気の温度は250℃〜850℃であること、
(3)前記予備還元に用いる還元性ガスは、下記式に示される酸化度Xg(−)で、0.8以下のガスを用いること、
Xg=〔(H2O + CO2)/(H2 + H2O + CO + CO2)〕vo1.%
(4)前記予備還元鉱石は、鉄の酸化度(FeOxo)が、0<xo≦1.36で表わされるものであること、
(5)前記微粉鉄鉱石は、粒径63μm以下の粒径のものを50mass%以上含有する微粉鉄鉱石であること、
(6)前記還元性ガスは、転炉ガス、高炉ガス、コークスガス、天然ガス、液化石油ガスのいずれか1種以上のガスを用いること、
(7)前記予備還元炉は、シャフト炉、ロータリーキルン、流動層還元炉のいずれかであること、
(8)前記予備還元炉での還元処理の温度は1200℃未満とすること、
がより好ましい解決手段になると考えられる。
上述したように構成される本発明によれば、次のような効果が期待できる。
(1)微粉鉄鉱石を焼結機による処理を経ることなく焼成し、塊成して高炉用原料として直接使用することができるようになる。そのため、焼結機の操業時に見られる原料粒径の低下に起因する焼結生産性の低下を考慮する必要がなくなる。
(2)高炉用原料の製造時(塊成化−焼成)に、予備還元鉱石の酸化発熱を利用することができるので、比較的低温でも焼成することができ、そのために全体の熱エネルギー消費量が少なくなり、しかも、高強度の高炉用原料を比較的短時間で安価に製造することができる。
(1)微粉鉄鉱石を焼結機による処理を経ることなく焼成し、塊成して高炉用原料として直接使用することができるようになる。そのため、焼結機の操業時に見られる原料粒径の低下に起因する焼結生産性の低下を考慮する必要がなくなる。
(2)高炉用原料の製造時(塊成化−焼成)に、予備還元鉱石の酸化発熱を利用することができるので、比較的低温でも焼成することができ、そのために全体の熱エネルギー消費量が少なくなり、しかも、高強度の高炉用原料を比較的短時間で安価に製造することができる。
本発明は、図1に示すように、微粉鉄鉱石をまず予備還元炉に装入し、製鉄所で自生する転炉ガスなどの還元ガスによって還元して予備還元鉱石を製造する。次いで、その予備還元鉱石を必要に応じ、他の原料やコークス粉、バインダー等を加えた上で造粒し、その後、後で詳述する酸化焼成炉内に装入し、酸化性雰囲気下において850℃以下の低温で加熱焼成し、さらに必要に応じて篩分け処理することで、塊状の高炉用原料鉱石を直に製造する方法である。
このように本発明は、高炉用原料として、焼結鉱を用いるではなく、しかも微粉鉄鉱石を出発原料として焼結過程を経ることなく、高炉用原料を直接製造する方法である。特に、従来の焼結機でも使用しにくい微粉鉄鉱石を、まず、これを還元して予備還元鉱石に変えておくと、後工程での焼成時、即ち、酸化性雰囲気に曝すと、この雰囲気中で酸化発熱するために、焼成温度が850℃以下という従来の焼結プロセスに比べて相対的に低い雰囲気温度でも十分な焼成が可能になることを利用するものである。
以下、本発明方法について、各工程に沿って詳述する。
以下、本発明方法について、各工程に沿って詳述する。
(1)予備還元処理
従来の焼結鉱製造プロセスで使用されている望ましい鉄鉱石は、8mm程度以下の赤鉄鉱石粉が用いられている。ただし、上述したように、近年、このような赤鉄鉱石が不足し、前記微粉鉄鉱石に頼らざる得ないのが実情である。その微粉鉄鉱石としては、通常、ペレットフィードと呼ばれる鉄鉱石が用いられるが、このような微粉鉄鉱石の粒径は250μm以下が90mass%以上を占めるようなものが普通である。
従来の焼結鉱製造プロセスで使用されている望ましい鉄鉱石は、8mm程度以下の赤鉄鉱石粉が用いられている。ただし、上述したように、近年、このような赤鉄鉱石が不足し、前記微粉鉄鉱石に頼らざる得ないのが実情である。その微粉鉄鉱石としては、通常、ペレットフィードと呼ばれる鉄鉱石が用いられるが、このような微粉鉄鉱石の粒径は250μm以下が90mass%以上を占めるようなものが普通である。
この点、この微粉鉄鉱石を焼結鉱製造プロセスの造粒原料として使用すると、得られる造粒原料の粒径は確実に低下する。そのため、焼結機での操業時に、焼結原料充填層の通気性が悪化し、焼結機の生産性が低下するという問題が生じるのは上述したとおりである。
本発明では、このような微粉鉄鉱石を焼結鉱製造用原料とするのではない。そのために、まず、微粉鉄鉱石を還元性ガスで還元する。そうすると酸化鉄が還元されて低酸化度の鉱石に変化した予備還元鉱石となる。本発明では、このようにして得られた予備還元鉱石を造粒し、その後、焼結機以外の低温(<850℃)プロセスで焼成して塊成化し、これを直接、高炉用原料にしようとするものである。
なお、微粉鉄鉱石を予備還元するための予備還元炉としては、シャフト炉やロータリーキルン、流動層還元炉などの使用が可能である。この予備還元炉内には、還元性ガスを導入して前記微粉鉄鉱石の予備還元処理を行なう。
前記還元性ガスとしては、転炉ガスや高炉ガス、コークス炉ガス、天然ガス、液化石油ガス等のいずれか1種以上のガスが使用できる。これらの還元性ガスは、鉄鉱石の還元に必要な温度(通常、500℃以上)まで昇温する必要があるが、高温の転炉ガス(排ガスのこと)を使用すれば、このガスの顕熱を有効に利用することができるため加熱の必要がなく好ましい。転炉ガスの場合、通常、除塵、冷却して使用されるが、予備還元炉では、このダストも予備還元鉱石を製造するための原料として使用できるので、除塵、冷却の必要がない。
なお、前記微粉鉄鉱石は、還元性雰囲気中で1200℃以上に加熱すると、部分的に溶融して粒子同士が融着する可能性がある。従って、予備還元炉の安定した生産のためには、前記予備還元炉では1200℃未満の温度で還元処理することが好ましい。
ところで、転炉ガスや高炉ガスは、COガス濃度に対してCO2ガス濃度を多く含むものの、通常、ウスタイト(FeO)程度まで還元する能力がある。従って、転炉ガスや高炉ガスを用いて微粉鉄鉱石を予備還元炉で還元すると、結晶水が除去されると同時に、製造条件によっては一部に金属鉄を含む場合もあるが、主としてマグネタイト(Fe3O4)とウスタイト(FeO)にまで還元された予備還元鉱石とすることができる。
即ち、本発明において用いる予備還元鉱石とは、鉄鉱石の酸化度(FeOxo)で表されるxoが0<xo≦1.36の範囲内となるように予備還元して、当初の酸化度よりも低酸化度の鉱石にすることが好ましい。この程度に予備還元された鉱石は、少なくともFe3O4ないしFeOを含む形態をとるものになる。上記酸化度の上限1.36は少なくともマグネタイト(Fe3O4)相当のものまで還元するためのレベルである。
なお、微粉鉄鉱石は、上述のとおり、大半が250μm以下のものとなっているが、一部は250μm超の鉄鉱石も含まれており、粒度分布の幅も大きい。そのため、予備還元炉として流動層還元炉を用いる場合には、気泡流動層よりも多段流動層もしくは循環流動層を用いることが好ましい。その理由は、気泡流動層では、ガス流速を粒子の流動開始温度以上かつ終末速度以下に制御して、流動層内での粒子の流動状態を良好に保つとともに、流動層からの粒子の飛散を抑制する必要があるため、粒子の粒度分布が大きいと対応できないからである。
この点、多段流動層や循環流動層は、飛散した粒子をサイクロンで捕集して流動層内で粒子を循環させることができるので、大きなガス流速で運転することが可能である。また、この方式の流動層は、サイクロンの捕集限界となる微粒から粗粒までの処理が可能であり、また、粒度分布の大きな粒子でも対応が可能であるため、微粉鉱石の処理に適している。
本発明において、前記予備還元炉で用いる予備還元用ガスとしては、還元ガス中のH2濃度(Vol.%)、H2O濃度(vol.%)、CO濃度(vol.%)、およびCO2濃度(vol.%)とすると、下記(1)式で表わされる酸化度xg(−)が0.8以下であるものを用いる。
もし、この還元ガスの酸化度Xg(−)が0.8よりも大きくなると、図5に示すように、焼成温度850℃においてFe3O4を生成させるためのガスの還元駆動力が小さいため、予備遅元炉での還元の進行が遅くなって、予備還元鉱石の生産性が低下する。そのため、還元ガスの酸化度Xgは0.8よりも小さいことが好ましい。転炉ガスや高炉ガスの酸化度Xgは、通常、0.1〜0.6程度であり、予備還元炉の還元ガスとして好適に使用できる。
Xg=〔(H2O + CO2)/(H2 + H2O + CO + CO2)〕vo1.%
(1)
Xg=〔(H2O + CO2)/(H2 + H2O + CO + CO2)〕vo1.%
(1)
なお、予備還元炉で鉄鉱石の還元に使用したガスは、COが含まれているため、ガス中の水分を低減させてから、焼結機に吹き込むことで凝結材の代替ガスの一部として利用することができる他、焼成設備の熱源としても利用することができる。
(2)低温焼成処理
次に、予備還元炉で還元した予備還元鉱石は、場合によってはさらに、他の原料(鉄鉱石粉や焼結鉱節下粉、回収粉、副原料および凝結材:コークス、バインダーなど)と混合して配合原料とする。そして、この配合原料をパンペレタイザーやドラムミキサー等に供給して造粒する。その後、ロータリーキルン等の酸化焼成設備にて850℃以下の温度で酸化焼成して塊成鉱とする。
次に、予備還元炉で還元した予備還元鉱石は、場合によってはさらに、他の原料(鉄鉱石粉や焼結鉱節下粉、回収粉、副原料および凝結材:コークス、バインダーなど)と混合して配合原料とする。そして、この配合原料をパンペレタイザーやドラムミキサー等に供給して造粒する。その後、ロータリーキルン等の酸化焼成設備にて850℃以下の温度で酸化焼成して塊成鉱とする。
このようして得られた塊成鉱は、次に、必要に応じて節分けし、その篩上のもの(高炉原料として適した粒径のもの)を高炉原料とする。一方、その篩下のものは節下粉として分別する。この篩下粉は、この焼成処理プロセスの原料として使用してもよいし、焼結鉱製造時の焼結鉱篩下粉に混合して使用してもよい。
このように、本発明では、まず、微粉鉄鉱石を予備還元炉にて還元性ガスを使って予備還元し、このようにして得られた予備還元鉱石を造粒し、その後、ロータリーキルン等の低温焼成設備内に装入して加熱焼成し、塊成鉱とする。このような処理において、前記予備還元鉱石は、焼成設備内では酸化性の高温ガス雰囲気に曝されるので酸化され、自身が発熱する。この発熱により、予備還元粒子自体の温度が上昇し、粒子同士が適度に結合し合って、塊成化する。
この点、予備還元炉を経由しない従来の焼結プロセスの処理では、原料層内温度を1200℃以上に保持することで焼結反応を進行させることが必要である。一方、本発明では、予備還元粒子自身の酸化発熱により、粒子温度が自発的に高くなるため、雰囲気温度は850℃以下と低い温度であっても反応が十分に進行するようになる。
なお、予備還元鉱石は、還元率が高いほど酸化時の単位質量当たりの発熱量が大きいので、予備還元鉱石の使用量が一定の場合、予備還元鉱石の還元率が高いほど、酸化反応が速やかに進行するため好ましい。
これに対し、もし、図2に示すように、この焼成時の雰囲気温度を900℃と高くすると、却って酸化反応が速く進行しすぎて、擬似粒子表面に緻密なシェルを形成するようになる。その結果、擬似粒子内部まで酸素が拡散せず、塊成化の反応が十分に進行しなくなる。従って、本発明において、この予備還元鉱石の焼成は、850℃以下の温度、好ましくは250〜800℃の温度で行なうことが望ましい。
以上の説明から明らかように、微粉鉄鉱石を焼結原料として使用することに代えて、焼結プロセス以外の方法で塊成化した場合、高炉での原料使用量一定とすれば、焼結機での微粉鉄鉱石の使用比率を低下させることができるようになる。その結果、焼結機操業では、原料の平均粒径が大きくなり、焼結ベッドの通気性が改善する。このため、焼結機の主排ガス吸引ブロワーの吸引負圧を一定とすると、単位時間当たりの吸引ガス量が増加し、焼結機本体のパレットスピードを増加させることができ、焼結鉱の生産性を向上させるができるという、付随的な効果も生まれる。
(1)この例ではまず、予備還元炉として多段流動層にて、表1に示す微粉鉄鉱石Aの予備還元処理を行なった。即ち、付着水分量が5.0mass%で粒径63μm以下のものが80mass%程度である鉄鉱石A:2.10kgを流動層に供給し、還元ガスとして900℃の高炉ガスを2.51Nm3使用した。このとき用いた還元ガス(高炉ガス)の酸化度Xgは0.51のものであった。使用した還元ガスの組成を表2に示す。なお、流動層内の雰囲気温度を900℃±50℃に保つために0.69Nm3の空気を用いて還元ガスを部分燃焼させた。流動層から排出されたガスは3.4Nm3であり、排ガス中にはCOを4.3vol.%含んでいた。このとき、得られた予備還元鉱石は、1.69kgであり、還元率は約30%であった。また、微粉鉄鉱石Aは、250μm以下を90mass%以上含有する微粉鉄鉱石であった。
同様に、付着水分量が5.0mass%程度で、粒径63μm以下のものが80mass%程度ある微粉鉄鉱石A:2.10kgを多段流動層に供給し、還元ガスとして900℃の転炉ガスを2.51Nm3を使用した。この還元ガス(転炉ガス)の酸化度Xgは0.19であり、高炉ガスに比べて低くなっている。炉内温度を保持するために使用した空気量は0.67Nm3であり、流動層から排出された排ガス畳は3.42Nm3であった。この時、排ガス中にはCOを32vol.%含有していた。また、得られた還元鉱石は、1.56kgであり、還元率は57%であり、高炉ガスを用いた場合に比べて高くなっていた。
従って、高炉ガスおよび転炉ガスを用いて、微粉鉄鉱石を予備還元することが可能であることがわかった。特に、転炉ガスでは、回収条件にもよるが900℃以上の高温のガスが回収、使用できること、およびガスの酸化度Xgが低いことから本プロセスでの使用に適していた。
(2)次に、上述したようにして、微粉鉄鉱石Aを多段流動層で予備還元し、段数および還元ガスの酸化度Xgを変えて還元率の異なる予備還元鉱石B〜Dを製造した。その分析値を表2に示す。表2には、予備還元鉱石がヘマタイトまで酸化した場合の発熱量、および焼成実験で使用した粉コークスの発熱量を合わせて示す。
(3)次に、表3に示すように、混合粉重量当たりの発熱量が一定になるように鉄鉱石Aもしくは予備還元鉱石(B〜F)と粉コークスとを混合し、ペレタイザーにて10〜15mmの大きさのペレットを作成し、電気炉内にて大気雰囲気中、雰囲気温度500℃で30分の低温焼成を行なった。このとき得られた塊成鉱の強度を表3に示す。鉄鉱石Aを用いた場合、この温度では粉コークスを添加しているにもかかわらず焼成せず、塊成鉱が得られなかった。一方、予備還元鉱B〜Eを用いた例では、いずれの試料についてもこの低温焼成で塊成鉱が得られた。なお、表3に示すとおり、予備還元鉱石の還元率が高い方が塊成鉱の強度が高くなっていた。
予備還元鉱石Cを使用した例について、焼成前後のペレットの断面写真を図3に示す。焼成前には予備還元鉱石が結合していないが、焼成後には予備還元鉱石どうしが結合していることがわかる。
次に、上記予備還元鉱石Cに粉コークスを混合造粒して得られたペレットについて、焼成温度の影響を調べた。このペレットは10〜15mmの大きさのものであり、これを電気炉内にて大気雰囲気中、所定の雰囲気温度(200〜900℃)で30分焼成した。図4に焼成温度と塊成鉱の圧潰強度の関係を示す。この図に示すように、200℃〜900℃の焼成温度では、いずれも塊成化していたが、900℃ではペレット表面に緻密なシェルを形成し、ペレット内部が焼成されていなかった。一方、200℃では、塊成鉱の強度が低くなっているが、反応時間を長くした条件では強度が向上した。従って、200℃の条件では、反応時間が30分では十分ではなかったと考えられる。一方、900℃では、反応時間を長くしても強度が改善されることはなかった。従って、予備還元鉱石を焼成する温度としては、250℃〜850℃、より好ましくは250℃〜800℃が好適であることが確かめられた。
さらに、上記予備還元鉱石Cのみを原料としたペレットについて、原料粒径の影響を調べた。上述した10〜15mmの大きさのペレットを作成し、電気炉内にて大気雰囲気中、雰囲気温度400℃で30分焼成した。図6に微粉鉄鉱石中の63μm以下の質量分率と塊成鉱の圧潰強度の関係を示す。本実施例で使用した予備還元鉱石を製造するための予備還元条件では、還元前後で鉱石の粒径はあまり大きく変化しておらず、微粉鉄鉱石中の微粉の割合が多いほど、予備還元鉱石中の63μm以下の質量分率も増加する傾向があった。この図に示すように、微粉鉄鉱石中の63μm以下の質量分率が増加すると、圧潰強度が著しく増加する傾向がある。微粉鉄鉱石中の63μm以下の質量分率が50mass%以上では、ペレットの原料として粉コークスを添加しなくても、十分な強度(2.0Mpa)を発現することがわかった。微粉鉄鉱石中の63μm以下の質量分率を増加させることで、高炉用原料を製造する際に使用する粉コークス量が大幅に低減でき、使用する熱量を低減できる可能性がある。したがって、使用する微粉鉄鉱石としては、63μm以下の質量分率が50mass%以上であることが好適であることが確かめられた。
本発明の技術は、製鉄用、特に高炉用原料として使用される塊成鉱の製造技術として有用であるばかりでなく、その他の鉱石塊成化技術としても利用することができる。
Claims (9)
- 微粉鉄鉱石をまず、還元性ガス雰囲気下の予備還元炉内に装入して予備還元し、得られた予備還元鉱石を、次に、酸化性雰囲気に維持される焼成炉にて850℃以下の温度で焼成することを特徴とする高炉用原料の製造方法。
- 前記予備還元鉱石は、酸化雰囲気中での焼成に先立って造粒することを特徴とする請求項1に記載の高炉用原料の製造方法。
- 前記焼成炉での酸化性雰囲気の温度は250℃〜850℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の高炉用原料の製造方法。
- 前記予備還元に用いる還元性ガスは、下記式に示される酸化度Xg(−)で、0.8以下のガスを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の高炉用原料の製造方法。
Xg=〔(H2O + CO2)/(H2 + H2O + CO + CO2)〕vo1.% - 前記予備還元鉱石は、鉄の酸化度(FeOxo)が、0<xo≦1.36で表わされるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の高炉用原料の製造方法。
- 前記微粉鉄鉱石は、粒径63μm以下の粒径のものを50mass%以上含有する微粉鉄鉱石であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の高炉用原料の製造方法。
- 前記還元性ガスは、転炉ガス、高炉ガス、コークスガス、天然ガス、液化石油ガスのいずれか1種以上のガスを用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の高炉用原料の製造方法。
- 前記予備還元炉は、シャフト炉、ロータリーキルン、流動層還元炉のいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の高炉用原料の製造方法。
- 前記予備還元炉での還元処理の温度は1200℃未満とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の高炉用原料の製造方法。
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