JP2013147718A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも焼結鉱の生産性及び歩留を向上させることが可能な、新規かつ改良された焼結鉱の製造方法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、還元率が20〜33%となるまで微粉鉱石を還元することで製造された微粉還元鉱石を焼結原料の一部に使用することで焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法が提供される。
【選択図】図3
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、還元率が20〜33%となるまで微粉鉱石を還元することで製造された微粉還元鉱石を焼結原料の一部に使用することで焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法が提供される。
【選択図】図3
Description
本発明は、焼結鉱の製造方法に関する。
製銑プロセスで原料となる鉄鉱石のうち、粒度が10mm以下となる粉鉱石は粒度が小さいので、そのまま高炉に投入すると、高炉内の目詰まりの原因となる。即ち、粉鉱石によって高炉内での還元ガスの流路が妨げられる。そこで、粉鉱石は、そのまま高炉に投入するのではなく、凝結剤(粉コークス等)及び副原料(石灰石等)と共に焼き固めて焼結鉱とし、それを高炉に投入する。
特許文献1は、近年、焼結原料として使用されてきた良質な赤鉄鉱の供給量が低減したことに鑑み、結晶水を多く含む粉鉱石(ピソライト、マラマンバ等の褐鉄鉱)を還元することで還元鉱石を製造し、この還元鉱石を用いて焼結鉱を製造する技術を開示する。この技術によれば、粉鉱石の還元時に粉鉱石から結晶水を除去することができ、かつ、還元鉱石の再酸化による発熱を焼結に利用することができるので、凝結材の量を低減することができる。さらにこの技術によれば、焼結鉱の気孔量も増大させることができ、被還元性のよい焼結鉱が得られる。
一方、焼結プロセスでは、粉鉱石とともにペレットフィード等の微粉鉱石(粉鉱石よりも粒度が小さい鉱石)も適量用いられている。一般的には、それらを区別することなく、その他の原料とともに配合し、配合された混合物に水を適量加えて撹拌することで擬似粒子を生成し、擬似粒子を焼結原料として用いる。擬似粒子は、粉鉱石等の核粒子の表面に微粉鉱石等がコーティングされた粒子である。
しかし、微粉鉱石は表面が平滑なので水に対する濡れ性が悪く、粉鉱石等の核粒子に十分にコーティングされないという問題があった。即ち、微粉鉱石の造粒性が悪いという問題があった。粉鉱石にコーティングされなかった微粉鉱石は、焼結原料充填層の内で粉鉱石から遊離し、その目詰まりを起こすので、焼結鉱の生産性及び歩留の低下の原因となっていた。なお、特許文献1は、結晶水を含む粉鉱石以外の鉄鉱石にはなんら言及していなかったので、これらの問題を何ら解決することができなかった。なお、特許文献1に開示された技術であっても、焼結原料の目詰まりを低減することができるが、この目詰まりは、微粉鉱石に起因するものではない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、従来よりも焼結鉱の生産性及び歩留を向上させることが可能な、新規かつ改良された焼結鉱の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、還元率が20〜33%となるまで微粉鉱石を還元することで製造された微粉還元鉱石を焼結原料の一部に使用することで焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法が提供される。
ここで、微粉鉱石は、ヘマタイト系微粉鉱石であってもよい。
また、微粉鉱石の還元は、高炉ガスが部分酸化された還元ガスにより微粉鉱石を流動させることで行われてもよい。
以上説明したように本発明によれば、還元処理の過程で微粉還元鉱石に凹凸が多数形成されているので、微粉還元鉱石の水に対する濡れ性、具体的には粉鉱石(核粒子)への付着性が微粉鉱石よりも良好となる。したがって、焼結原料内で遊離する微粉還元鉱石の数が抑制される。この理由により、焼結原料の通気度が向上するので、焼結鉱の生産性が向上する。
さらに、微粉還元鉱石は粉鉱石よりも粒度が小さいので、焼結原料内に広く分散し、かつ、粉鉱石との接触面積が大きい。したがって、本発明は、微粉還元鉱石の再酸化による発熱量を粉鉱石に効率的に供給することができる。即ち、本発明は、焼結ベット内を効率良く高温まで加熱することができるので、焼結鉱の強度を増大させることができ、歩留を向上させることができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.焼結鉱の製造方法の概要>
本発明者は、微粉鉱石を還元処理することで、微粉鉱石の表面が改質される、具体的には微粉鉱石の表面に凹凸が形成されることを見出した。そして、本発明者は、このような知見に基づき、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法に想到するに至った。そこで、まず、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法の概要について説明する。
本発明者は、微粉鉱石を還元処理することで、微粉鉱石の表面が改質される、具体的には微粉鉱石の表面に凹凸が形成されることを見出した。そして、本発明者は、このような知見に基づき、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法に想到するに至った。そこで、まず、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法の概要について説明する。
本実施形態に係る焼結鉱の製造方法では、まず、微粉鉱石を還元率が20〜33%となるまで還元することで、微粉還元鉱石を製造する。言い換えれば、微粉鉱石をウスタイト(またはウスタイトとマグネタイトとの混合物)まで還元する。還元率は、例えば還元処理による脱酸素率を意味する。例えば、ヘマタイトがウスタイトに還元された場合、ヘマタイト内の鉄原子数に対する酸素原子の数は1.5、ウスタイト内の鉄原子数に対する酸素原子の数は1.0程度となるので、還元率は0.5/1.5、即ち33%となる。還元率が33%となる場合、微粉還元鉱石の酸化鉄はほぼ100%がウスタイトとなっている。還元率が33%よりも低い場合、微粉還元鉱石の酸化鉄はウスタイト及びマグネタイトとなっている。還元率が低いほど、マグネタイトの含有量が多い。還元率の測定は、例えばJISM8713により行われる。
微粉鉱石の還元処理は、高炉ガスが部分酸化された還元ガスにより微粉鉱石を流動させることで行われる。即ち、流動層改質炉内で還元ガスにより微粉鉱石の流動層を形成することで微粉鉱石を還元する。
上記の還元処理によって得られた微粉還元鉱石の表面には、多数の凹凸が形成される。したがって、微粉還元鉱石の水に対する濡れ性は微粉鉱石よりも良好となるので、粉鉱石への吸着性が良好となる。即ち、微粉還元鉱石は、造粒性が微粉鉱石よりも良好となる。微粉還元鉱石の表面に凹凸が形成される理由としては、例えば、還元処理により微粉鉱石から酸素が抜けること、還元処理により微粉鉱石が再結晶すること等が考えられる。
また、本実施形態では、微粉鉱石の還元率を20〜33%としたので、微粉鉱石を金属鉄まで還元する場合よりも容易に実施可能となる。さらに、還元ガスとして還元力が比較的低いガス、例えば高炉ガスが部分酸化されたガスを使用することができる。これにより、高炉ガスを有効に利用することができる。
さらに、高炉ガスを還元した還元ガスにより還元処理を行った場合、平衡の観点から、微粉鉱石の還元率が33%以下にとどまる。即ちウスタイトまでしか還元が進行しないので、流動層改質炉内における金属鉄生成に起因する付着トラブルを抑制することができる。このような還元率であっても、十分な表面改質効果が得られる。
なお、高炉ガスは、CO、CO2、N2を主成分とし、H2OやH2も含む。高炉ガス及び還元ガスの酸化度(OD:%)は、以下の式(1)で算出される。高炉ガスの酸化度は40〜50%となることが多い。
ここで、xは高炉ガス及び還元ガスの酸化度、a〜dはそれぞれガス中のH2濃度、H2O濃度、CO濃度、CO2濃度である。各成分の濃度はガスの総体積に対する体積%で示される。
したがって、還元ガスの酸化度は40%以上となる。一方、還元ガスの酸化度は70%以下が望ましい。還元ガスの酸化度が70%を超えると、還元処理の進行が遅くなり、微粉鉱石の還元率を上記範囲に収めることが難しくなるからである。
また、還元ガスとしては、転炉ガス、コークス炉ガス、天然ガス、液化石油ガスを部分酸化したガスを用いることもできるが、上記の観点および低品位ガスを有効利用する観点から、還元ガスとして高炉ガスが部分酸化されたガスを利用することが好ましい。
次いで、微粉還元鉱石及び粉鉱石を用いて造粒処理を行うことで、擬似粒子を生成し、この擬似粒子を焼結原料として使用することで、焼結鉱を製造する。
<2.微粉鉱石について>
次に、本実施形態で使用される微粉鉱石について説明する。微粉鉱石は、粒度が150μm以下の鉱石が鉱石の総質量に対して90質量%以上を占める鉱石を意味する。微粉鉱石は、ペレットフィードとも称される。表1に微粉鉱石の組成例として、A〜C鉱石の組成を示す。
次に、本実施形態で使用される微粉鉱石について説明する。微粉鉱石は、粒度が150μm以下の鉱石が鉱石の総質量に対して90質量%以上を占める鉱石を意味する。微粉鉱石は、ペレットフィードとも称される。表1に微粉鉱石の組成例として、A〜C鉱石の組成を示す。
表1中、「T.Fe」、「FeO」、「CaO」、「SiO2」、「Al2O3」、「MgO」、「Mn」、及び「CW」は、それぞれ微粉鉱石の総質量に対する全ての鉄(2価鉄及び3価鉄)、2価鉄、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化マグネシウム、マンガン、及び結晶水の質量%を示す。なお、鉄は微粉鉱石中でヘマタイトまたはマグネタイトとして存在する。また、2価鉄の質量%はFeO換算値である。
A、B鉱石は、ヘマタイト系微粉鉱石の例であり、それぞれブラジル産MBRペレットフィードおよびブラジル産リオドセペレットフィードである。C鉱石は、マグネタイト系微粉鉱石の例であり、豪州産ジャックヒル鉱石である。ヘマタイト系微粉鉱石は、鉄の大部分がヘマタイトとして存在する微粉鉱石であり、マグネタイト系微粉鉱石は、鉄の大部分がマグネタイトとして存在する微粉鉱石である。なお、C鉱石では、鉄のほぼ100%がマグネタイトとして存在する。本実施形態では、ヘマタイト系微粉鉱石を、全ての鉄(2価鉄及び3価鉄)に対する2価鉄の割合が10質量%以下である微粉鉱石とする。
本実施形態は、どのような微粉鉱石であっても使用することができるが、ヘマタイト系微粉鉱石を使用することが特に好ましい。その理由は以下の通りである。即ち、ヘマタイト系微粉鉱石が還元処理された場合、マグネタイト系微粉鉱石が還元処理された場合よりも多くの酸素が微粉鉱石から抜けるので、微粉還元鉱石の表面に多くの凹凸が形成される。さらに、ヘマタイト系の微粉鉱石は、マグネタイト系微粉鉱石に比べて表面が平滑であることが多いので、本実施形態による表面改質効果が大きい。したがって、ヘマタイト系微粉鉱石を使用することが特に好ましい。
図1に、還元処理前のA鉱石のSEM写真を示し、図2に、還元処理後のA鉱石のSEM写真を示す。図1及び図2に示すように、還元処理前のA鉱石は表面が平滑になっているが、A鉱石に還元処理を施すことで、表面に多数の凹凸が形成される。
<3.焼結鉱製造システムについて>
次に、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法を実現するための焼結鉱製造システムについて説明する。焼結鉱製造システムは、例えば図3に示す構造となる。焼結鉱製造システムは、流動層改質炉1、熱交換器2、部分燃焼炉3、排熱回収装置4、焼結機本体5、ブロワ6、及び篩7を備える。
次に、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法を実現するための焼結鉱製造システムについて説明する。焼結鉱製造システムは、例えば図3に示す構造となる。焼結鉱製造システムは、流動層改質炉1、熱交換器2、部分燃焼炉3、排熱回収装置4、焼結機本体5、ブロワ6、及び篩7を備える。
流動層改質炉1は、微粉鉱石11の還元処理を行うことで、微粉鉱石11を還元率が20〜33%となるまで還元する。具体的には、流動層改質炉1には、微粉鉱石11が投入される。流動層改質炉1は、還元ガス15を用いて微粉鉱石11を流動させることで、微粉鉱石11を還元する。即ち、流動層改質炉1は、還元ガス15を用いて微粉鉱石11の流動層を形成することで、微粉鉱石11を還元する。ここで、流動層改質炉1は、循環流動層改質炉であっても、気泡流動層改質炉であってもよいが、循環流動層改質炉であることが好ましい。その理由は以下の通りである。
即ち、気泡流動層改質炉では、流動層内での粒子の流動状態を良好に維持すると同時に流動層から粒子の飛散を抑制する必要があるので、還元ガス流速を微粉鉱石粒子の流動開始速度以上かつ終末速度以下に制御する必要がある。このため、微粉鉱石の粒度分布が広いと還元ガス流速の制御を適切に行うのに手間がかかってしまう。
一方、循環流動層改質炉では、粒度の大きな微粉鉱石を流動させるために大きな還元ガス流速で微粉鉱石を循環させても、サイクロンが多様な粒度の微粉鉱石を捕集することができる。したがって、循環流動層改質炉は、粒度分布が広い微粉鉱石に対しても容易に還元処理を行うことができる。したがって、流動層改質炉1は、循環流動層改質炉であることが好ましい。また、還元ガスの空塔速度は、3〜10m/s程度であることが好ましい。また、流動層改質炉1の炉内温度は700〜1200℃程度であることが好ましい。この温度範囲のときに、還元が効率よく進行すると共に、微粉鉱石同士の融着が防止される。反応時間(微粉鉱石が炉内に滞留する時間)については特に制限はない。しかし、平衡の観点から、反応時間をどのように設定しても微粉鉱石11はウスタイトまでしか還元されないこと、及び、より多くの微粉鉱石11を微粉還元鉱石19に還元させる必要があることから、反応時間はなるべく長いことが好ましい。反応時間は、例えば60minとなる。
流動層改質炉1により還元処理が施された微粉鉱石11、即ち微粉還元鉱石19は、それ以外の鉱石(粉鉱石または微粉鉱石)20、凝結材、及び副原料と共に攪拌される。さらに、混合物は適量の水と共に撹拌される。これにより、擬似粒子が造粒され、焼結原料21が作製される。焼結原料21は、還元鉱石以外の鉱石20中の核粒子の表面に微粉還元鉱石19がコーティングされた擬似粒子を含む。焼結原料21は、焼結機本体5に供給される。一方、流動層改質炉1に供給された還元ガス15は微粉鉱石11によって酸化されることで改質炉排ガス16となり、熱交換器2に供給される。
熱交換器2は、高炉ガス12を改質炉排ガス16の顕熱により予熱する(熱交換する)ことで予熱高炉ガス13を製造し、部分燃焼炉3に供給する。顕熱が回収された改質炉排ガス16は熱交換器排ガス17とされ、排熱回収装置4に供給される。
部分燃焼炉3は、空気14を用いて予熱高炉ガス13を部分燃焼することで、予熱高炉ガス13を700〜1200℃程度に加熱し、かつ部分酸化する。これにより、部分燃焼炉3は、高温の還元ガス15を製造し、還元ガス15を流動層改質炉1に供給する。したがって、流動層改質炉1での還元処理に必要な熱量は、還元ガスによって与えられるので、流動層改質炉1に熱量を供給するための別途の処理(例えば、微粉鉱石を事前に昇温させる等の処理)が不要になる。
排熱回収装置4は、熱交換器排ガス17の顕熱を回収する。回収された顕熱は蒸気回収等に利用される。顕熱が回収された熱交換器排ガス17は排熱回収装置排ガス18としてシステム外に排出される。
焼結機本体5は焼結鉱23を製造する。概略的には、まず、焼結原料21が焼結機本体5の焼結ベッド上に積載される。ここで、焼結ベッドは、互いに連結された複数のパレットと、これらのパレットを所定方向に移動させる駆動ローラとを備える。パレットは、駆動ローラにより常に移動している。焼結原料21は、パレットに積載される。次いで、焼結原料21の表面が点火炉により点火され、ブロア6により焼結原料内の空気が下方に吸引される。これにより、焼結原料21の表面がまず溶融帯(焼結反応が行われる部分)となり、溶融帯が焼結原料の裏面に向かって移動する。即ち、焼結反応が進行する。各パレット内の焼結原料21は、パレットが焼結ベッドの端部(排鉱部)に達する前に焼結ケーキ(焼結鉱の塊)となる。次いで、焼結ケーキは、排鉱部から排出される際に破砕され、焼結鉱23となる。焼結鉱23は、篩7で成品24と返鉱25に分別される。
ここで、上述したように、微粉還元鉱石19の表面には多数の凹凸が形成されているので、水に対する濡れ性が微粉鉱石よりも良好となる。したがって、焼結原料21内で遊離する微粉還元鉱石19の数が抑制される。さらに、微粉還元鉱石19の再酸化による発熱を焼結反応に使用することができるので、焼結原料21中の凝結材の量を低減することができる。これにより、焼結原料内の溶融帯の体積を低減することができるので、溶融帯による気孔の閉塞が抑制される。これらの理由により、焼結原料21の通気度が向上するので、焼結機本体5のパレットスピードを向上させることができる。この結果、焼結鉱23の生産性が向上する。
さらに、微粉還元鉱石19は粉鉱石よりも粒度が小さいので、焼結原料内に広く分散し、かつ、粉鉱石との接触面積が大きい。したがって、本実施形態では、還元した粉鉱石を焼結原料の一部に用いる場合(引用文献1の場合)よりも、微粉還元鉱石19の再酸化による発熱量を粉鉱石に効率的に供給することができる。即ち、本実施形態では、焼結ベッド内を効率良く高温まで加熱することができるので、焼結鉱の強度が増大し、歩留が向上する。
<4.焼結鉱製造システムを用いた焼結鉱の製造方法>
次に、焼結鉱製造システムを用いた焼結鉱の製造方法について説明する。まず、熱交換器2は、高炉ガス12を改質炉排ガス16の顕熱により予熱する(熱交換する)ことで予熱高炉ガス13を製造し、部分燃焼炉3に供給する。
次に、焼結鉱製造システムを用いた焼結鉱の製造方法について説明する。まず、熱交換器2は、高炉ガス12を改質炉排ガス16の顕熱により予熱する(熱交換する)ことで予熱高炉ガス13を製造し、部分燃焼炉3に供給する。
次いで、部分燃焼炉3は、空気14を用いて予熱高炉ガス13を部分燃焼することで還元ガス15を製造し、還元ガス15を流動層改質炉1に供給する。一方、流動層改質炉1に微粉鉱石11が投入される。流動層改質炉1は、還元ガス15を用いて微粉鉱石11を流動させることで、微粉鉱石11を還元率が20〜33%となるまで還元する。
流動層改質炉1により還元処理が施された微粉鉱石11、即ち微粉還元鉱石19は、粉鉱石20、凝結材、及び副原料等と共に攪拌される。さらに、混合物は適量の水と共に撹拌される。これにより、焼結原料21が作製される。焼結原料21は、焼結機本体5に供給される。一方、流動層改質炉1に供給された還元ガス15は微粉鉱石11によって酸化されることで改質炉排ガス16となり、熱交換器2に供給される。次いで、焼結機本体5は、焼結鉱23を製造する。焼結鉱23は、篩7で成品24と返鉱25に分別される。
以上により、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法は、還元率が20〜33%となるまで還元された微粉鉱石を焼結原料の一部に使用することで焼結鉱を製造する。したがって、本実施形態では、還元処理により表面が改質された微粉鉱石を焼結原料の一部に用いるので、焼結原料の通気度が向上し、かつ、再酸化による発熱を用いて焼結反応を行うことができる。これにより、焼結鉱の生産性及び歩留が向上する。
さらに、微粉鉱石はヘマタイト系微粉鉱石であるので、還元処理による表面改質効果がより大きくなる。
さらに、微粉鉱石の還元は、高炉ガスが部分酸化された還元ガスにより微粉鉱石を流動させることで行われる。したがって、高炉ガスを効率よく利用することができ、かつ、微粉鉱石の金属鉄までの還元を抑制することができる。
次に、本実施形態の実施例を説明する。
[実施例1]
[微粉還元鉱石の製造]
A鉱石を循環流動層改質炉に投入し、還元ガスを用いて還元処理することで、微粉還元鉱石を製造した。ここで、還元ガスは高炉ガスを部分酸化したガスであり、その主な組成はCO:19体積%、CO2:23体積%、N2:54体積%であり、酸化度は56%であった。還元ガスの空塔速度は、5m/s程度であった。還元温度(改質炉内温度)は900℃であり、反応時間(微粉鉱石が炉内に滞留する時間)は60minであった。還元率をJISM8713で測定したところ、25%であった。
[実施例1]
[微粉還元鉱石の製造]
A鉱石を循環流動層改質炉に投入し、還元ガスを用いて還元処理することで、微粉還元鉱石を製造した。ここで、還元ガスは高炉ガスを部分酸化したガスであり、その主な組成はCO:19体積%、CO2:23体積%、N2:54体積%であり、酸化度は56%であった。還元ガスの空塔速度は、5m/s程度であった。還元温度(改質炉内温度)は900℃であり、反応時間(微粉鉱石が炉内に滞留する時間)は60minであった。還元率をJISM8713で測定したところ、25%であった。
[焼結原料の製造]
表2に示す組成の焼結原料(A鉱石以外の鉱石は通常の粉鉱石)をドラムミキサーに投入し、1分間攪拌した。ついで、ドラムミキサーに水を投入してさらに7分間攪拌する(造粒する)ことで、焼結原料を作製した。造粒後の水分は焼結原料の総質量に対して7.5質量%であった。
表2に示す組成の焼結原料(A鉱石以外の鉱石は通常の粉鉱石)をドラムミキサーに投入し、1分間攪拌した。ついで、ドラムミキサーに水を投入してさらに7分間攪拌する(造粒する)ことで、焼結原料を作製した。造粒後の水分は焼結原料の総質量に対して7.5質量%であった。
[擬似粒度の測定]
上記の焼結原料には擬似粒子が含まれている。そこで、擬似粒子の粒度、即ち擬似粒度を以下のように測定した。まず、目開きの大きさが異なる篩を複数用意し、これらの篩を用いて焼結原料内の擬似粒子を複数の粒度区分の各々に区分した。そして、各粒度区分の中央値と、各粒度区分に属する擬似粒子の割合(擬似粒子の総質量に対する質量%)とに基づいて、擬似粒度(mm)の算術平均値を測定した。
上記の焼結原料には擬似粒子が含まれている。そこで、擬似粒子の粒度、即ち擬似粒度を以下のように測定した。まず、目開きの大きさが異なる篩を複数用意し、これらの篩を用いて焼結原料内の擬似粒子を複数の粒度区分の各々に区分した。そして、各粒度区分の中央値と、各粒度区分に属する擬似粒子の割合(擬似粒子の総質量に対する質量%)とに基づいて、擬似粒度(mm)の算術平均値を測定した。
[鍋試験による評価]
次に、焼結原料に対して鍋試験を行うことで、通気度(JPU)、燃焼進行速度(mm/min)、成品歩留(%)、及び生産性(t/24h/m2)を評価した。なお、鍋試験は、焼結反応を試験的に行うものである。具体的には、以下の処理を行った。
次に、焼結原料に対して鍋試験を行うことで、通気度(JPU)、燃焼進行速度(mm/min)、成品歩留(%)、及び生産性(t/24h/m2)を評価した。なお、鍋試験は、焼結反応を試験的に行うものである。具体的には、以下の処理を行った。
まず、50kg鍋試験装置の試験鍋(内径300mm、高さ660mm)に約1.5kgの床敷鉱を投入した。ついで、約70kgの焼結原料を投入した。焼結原料の層厚は600mmであった。以下、焼結原料からなる層を充填層とも称する。試験鍋の底面はメッシュ状となっており、ブロワが連結されている。ブロワは、試験鍋内の空気を下方に吸引することができる。次いで、以下の式(2)に基づいて、通気度(JPU)を評価した。
式(2)中、Fは吸引ガス流量(m3(標準状態)/min)、Aは充填層断面積(m2)、hは充填層高さ(m)、Sは吸引負圧(mmAq)である。
次いで、充填層の表面を1.5分点火した。その後、吸引負圧1500mmAqで試験鍋内の空気を吸引する一方、吸引ガスの温度をモニタした。次いで、点火開始時点から吸引ガス温度が最大となった時点までの時間を焼結時間(min)とし、層厚(600mm)を焼結時間で除算することで、焼結進行速度(mm/min)を算出した。
さらに、焼結ケーキを2mの高さから5回落下させた後、粒度が5mm以上の焼結鉱を成品として篩分けし、秤量した。次いで、以下の式(3)に基づいて、成品歩留(%)を算出した。
さらに、成品の質量、焼結時間、及び焼結面積(充填層の点火面の面積)に基づいて、生産性(t/24h/m2)を算出した。
[実施例2]
焼結原料中の粉コークス配合割合を4.5質量%(外数)にした他は実施例1と同様の処理を行った。
[比較例]
比較例では、微粉還元鉱石の代わりに還元処理を行わないA鉱石(10.0質量%)をそのまま使用し、粉コークス配合割合を4.5質量%(外数)にした他は実施例1と同様の処理を行った。
[参考例]
参考例では、微粉鉱石及び微粉還元鉱石を焼結原料に加えず、G鉱石の配合割合を20.0質量%にした他は実施例1と同様の処理を行った。評価結果を表3に示す。
焼結原料中の粉コークス配合割合を4.5質量%(外数)にした他は実施例1と同様の処理を行った。
[比較例]
比較例では、微粉還元鉱石の代わりに還元処理を行わないA鉱石(10.0質量%)をそのまま使用し、粉コークス配合割合を4.5質量%(外数)にした他は実施例1と同様の処理を行った。
[参考例]
参考例では、微粉鉱石及び微粉還元鉱石を焼結原料に加えず、G鉱石の配合割合を20.0質量%にした他は実施例1と同様の処理を行った。評価結果を表3に示す。
表3によれば、実施例1、2の通気度及び擬似粒度は、比較例よりも向上している。実施例1、2では、微粉還元鉱石の表面改質効果により、焼結原料内で遊離する微粉還元鉱石の数が抑制され、かつ、擬似粒子の表面に多数の微粉還元鉱石が吸着しているからである。なお、実施例1は実施例2や比較例よりも凝結材の量が少ない。凝結材の減少分は、微粉還元鉱石の再酸化による発熱量と等価である。即ち、0.4質量%の凝結材から得られる発熱量と、微粉還元鉱石の再酸化による発熱量とは略一致する。実施例1では、比較例よりも凝結材が少ないが、比較例よりも優れた効果が得られる。
また、通気度が向上しているので、実施例2の燃焼進行速度は比較例よりも大きくなっている。実施例1は、比較例と同程度であるが、実施例1の凝結材は、比較例の凝結材よりも少ない。したがって、実施例1では、比較例よりも少ない凝結材で比較例と同等の燃焼進行速度が実現されている。
実施例1、2の成品歩留は、比較例のみならず参考例よりも向上している。実施例1、2では、微粉還元鉱石の再酸化による発熱を焼結反応に利用しているので、より多くの粉鉱石により多くの熱量を効率良く供給することができる。これにより、実施例1、2では、焼結鉱の成品歩留が向上する。実施例1、2は、成品歩留に加え通気度が向上しているので、生産性が比較例より向上している。特に、実施例2の生産性は、参考例よりも向上している。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 流動層改質炉
2 熱交換器
3 部分燃焼炉
4 排熱回収装置
5 焼結機本体
6 ブロワ
7 篩
2 熱交換器
3 部分燃焼炉
4 排熱回収装置
5 焼結機本体
6 ブロワ
7 篩
Claims (3)
- 還元率が20〜33%となるまで微粉鉱石を還元することで製造された微粉還元鉱石を焼結原料の一部に使用することで焼結鉱を製造することを特徴とする、焼結鉱の製造方法。
- 前記微粉鉱石は、ヘマタイト系微粉鉱石であることを特徴とする、請求項1記載の焼結鉱の製造方法。
- 前記微粉鉱石の還元は、高炉ガスが部分酸化された還元ガスにより前記微粉鉱石を流動させることで行われることを特徴とする、請求項1または2記載の焼結鉱の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2012010251A JP2013147718A (ja) | 2012-01-20 | 2012-01-20 | 焼結鉱の製造方法 |
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JP2018003153A (ja) * | 2016-06-22 | 2018-01-11 | Jfeスチール株式会社 | 焼結鉱の製造方法 |
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2012
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