JP5453972B2 - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉の操業方法に関し、特に、鉱石融着帯の通気抵抗を大幅に低下させることが可能で低還元材比操業に適した高炉の操業方法に関する。
高炉には、鉄源である鉱石と還元材であるコークス(以下、これらの鉱石とコークスを総称して「原料」ともいう)が、炉頂に設けられた装入装置によって交互に装入され、層状に積み重ねられる。一方、炉下部に設けられた羽口から加熱空気が送風され、この加熱空気によって羽口前のコークスが燃焼消費される。これに伴い、原料は炉下部に向けて徐々に炉内を降下しながら、炉下部から上昇するガスによって加熱される。鉱石は還元されながら軟化溶融して銑鉄となり、炉内を滴下して炉下部に溜まり、その後に出銑される。実際の操業では、羽口から加熱空気とともに微粉炭を吹き込むなど種々の操業形態が採られるが、炉頂からの原料装入と羽口からの送風により、向流方式で連続的に鉱石中の酸化鉄を加熱還元して銑鉄を得るのが基本である。
高炉操業においては、鉱石の還元反応を効率よく行い、これと同時に、炉内を上昇するガスの通気抵抗を低位に抑制することが重要であり、特に、高炉内で最も通気抵抗が大きい鉱石融着帯において軟化、溶融、滴下を円滑に生ぜしめ、これにより、炉下部で固体、液体、気体の運動と熱交換を効率よく行うことが重要である。
通常、鉱石は、1150℃以上で軟化が開始し、1300℃付近までの部分溶融による充填粒子同士の融着を伴う際に通気抵抗が最大となり、1400℃以上で滴下する。この温度領域が一般に融着帯と呼ばれる。低還元材比を指向した高炉操業では、コークスに対する鉱石の質量比が増加するため、融着帯の領域が拡大する傾向となり、通気性を良好に維持するのが困難となる。
このような問題に対し、融着帯の通気性を改善するため、鉱石が含有する脈石量や組成を選定し、鉱石が溶融する際に発生する粘性の高いスラグ分を減少させたり改質させる技術の開発が種々行われている。
例えば、特許文献1には、融着時の通気改善のために、脈石を含まない、または含んだとしても極めて少ない鉄スクラップや還元鉄などの金属鉄含有鉱石を使用する技術が開示されている。また、特許文献2には、コークス比(生産される銑鉄1トン当たりのコークス使用量;単位[kg/pt])が低い場合の鉱石層厚の増大に対して、またはスラグ成分が不適正な状況において、鉱石に還元鉄を所定量混合して使用する技術が開示されている。
特開平8−239704号公報 特開平10−219314号公報
しかし、前記特許文献1、2に開示された金属鉄を含む還元鉄を使用する技術をもってしても、鉱石融着帯の通気抵抗を低下させる効果は十分といえず、融着帯の通気抵抗は、依然として高炉操業で還元材比を低減する際の制約要因であった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、融着帯通気抵抗の低下と融着帯高さの低位維持の両立を図ることにより、還元材比の低減を可能とする高炉の操業方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、低還元材比での高炉操業において、主に鉱石融着帯の通気性を改善する検討を種々実施し、その結果、下記(1)〜(3)の知見を得た。
(1)融着帯内部に、流動性に優れた脈石分を有する還元鉄を配置させて、金属鉄を十分に含ませることにより、融着帯を溶解しやすい状態に形成することができる。
(2)羽口からSiO2を含有する粉体を吹き込み、SiO2を融着帯下面に十分に付着させることにより、鉱石の滴下を著しく促進させ、融着帯下面レベル温度を低下させることができ、これに伴い、融着帯厚みを薄層化することができる。
(3)上記(1)および(2)の効果が相俟って、平均の融着帯レベルを下げることができ、その結果、融着帯通気抵抗の低下と融着帯高さの低位維持の両立を図ることができ、低還元材比の高炉操業を実現することが可能になる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の高炉の操業方法にある。すなわち、炉頂から鉱石とコークスを装入し、羽口から粉体を吹き込む高炉の操業方法において、鉄分が60質量%以上で、CaOとSiO2の質量含有率の比(CaO/SiO2)が1.5以下である還元鉄を前記鉱石に混合し、混合した前記還元鉄と前記鉱石の総質量に対し前記還元鉄中の金属鉄を4質量%以上14質量%までとし、前記羽口から吹き込む前記粉体中のSiO2を銑鉄1トン当たりで5kg以上8kg以下とすることを特徴とする高炉の操業方法である。
この高炉操業方法では、前記還元鉄と前記鉱石の混合物を炉壁から炉半径の20%までの領域に堆積させることが好ましい。
また、上記の高炉操業方法では、前記還元鉄として、炭素を5〜15質量%含有する非焼成塊成鉱を用いることが好ましい。
本発明の高炉の操業方法によれば、炉頂から鉱石を装入する際、鉄分が60質量%以上で、CaO/SiO2が1.5以下である還元鉄を鉱石に混合し、混合した還元鉄と鉱石の総質量に対し還元鉄中の金属鉄を4質量%以上とし、さらに、羽口から粉体を吹き込む際、粉体中のSiO2を銑鉄1トン当たりで5kg以上8kg以下とすることにより、融着帯通気抵抗の低下と融着帯高さの低位維持の両立を図ることができ、通気性の良好な低還元材比の高炉操業を実現することができる。
高温荷重軟化滴下実験において設定した試料温度、ガス流量および荷重の各条件を時間的推移で表す図である。 金属鉄配合率と高温通気抵抗指数の関係を示す図である。 金属鉄配合率と溶け落ち開始温度の関係を示す図である。 鉱石層中のCaO/SiO2と鉱石滴下開始の関係を示す図である。 炭素配合率と高温通気抵抗指数および溶け落ち開始温度の関係を示す図である。
上記の通り、本発明の高炉の操業方法は、鉄分が60質量%以上で、CaOとSiO2の質量含有率の比(CaO/SiO2)が1.5以下である還元鉄を鉱石に混合し、混合した還元鉄と鉱石の総質量に対し還元鉄中の金属鉄を4質量%以上とし、羽口から吹き込む粉体中のSiO2を銑鉄1トン当たりで5kg以上8kg以下とする高炉操業方法である。以下に、本発明の高炉操業方法を上記のように規定した理由および好ましい態様について説明する。
高炉操業において還元材比を低減するためには、融着帯通気抵抗の低下と融着帯高さの低位維持を両立することが重要である。そのため、金属鉄を含有する還元鉄を鉱石に混合させたことによる融着帯通気抵抗への影響、および羽口からのSiO2系粉体を吹き込むことによる溶け落ち温度への影響を調査した。
1.金属鉄による荷重軟化滴下における通気抵抗低下と滴下挙動
高炉内での荷重軟化性状を把握するため、焼結鉱(鉱石)と還元鉄の混合物を試料とし、その混合物の充填層について高温荷重軟化滴下実験を実施した。高温荷重軟化滴下実験は、想定される高炉条件に応じた温度、ガス組成と充填層上部からの荷重パターンを与える試験であり、鉱石類の高温性状を評価する試験として一般に用いられている。
実験には、以下の通り、還元鉄1〜3の3種類の還元鉄を使用した。
・還元鉄1:T.Fe=91、 M.Fe=80、 C/S=0.45
・還元鉄2:T.Fe=60、 M.Fe=22、 C/S=1.50
・還元鉄3:T.Fe=55、 M.Fe=25、 C/S=2.50
ここで、T.Feは還元鉄中の全鉄分の質量含有率(質量%)、M.Feは還元鉄中の金属鉄の質量含有率(質量%)、およびC/Sは還元鉄中のCaOとSiO2の質量含有率の比「CaO(質量%)/SiO2(質量%)」をそれぞれ示す。
還元鉄1〜3をそれぞれ焼結鉱と所定量混合して総量を500gとし、充填層高さを約100mmとした。また、混合割合については、鉱石全体(焼結鉱+還元鉄)に対する還元鉄の割合を、0から30質量%まで変更した。
図1は、高温荷重軟化滴下実験において設定した試料温度、ガス流量および荷重の各条件を時間的推移で表す図である。本実験では、常温から473KまでN2(窒素)を100%で昇温し、その後に反応ガスを切り替え、図1に示すように、1923Kまで340分かけて昇温した。その際、導入する反応ガスの組成は、COを24〜46体積%、CO2を0〜22体積%、N2を54体積%で設定し、還元鉄1〜3それぞれと焼結鉱の混合割合を変更したいずれの実験でも同じ条件とした。試料に加える荷重は、30〜98kPaの範囲で変化させた。
実験中、上記の昇温期間で混合物の充填層は軟化収縮する。このとき、充填層の収縮による変位、および圧力損失を連続的に測定した。そして、1273Kから1873Kにかけての高温通気抵抗指数KSを算出した。高温通気抵抗指数KSは、充填層高さあたりの高温通気抵抗を温度で積分した値であって、下記の式(1)で表される。
Figure 0005453972
式(1)中で、ΔPは圧力損失(N/m2)、μgはガス粘度(kg/m/sec)、ΔLは層厚(m)、ρgはガス密度(kg/m3)、ugはガス速度(m/s)、Tは温度(K)をそれぞれ示す。
高温通気抵抗指数KSは、高炉内では融着帯の通気抵抗に相当する指数であり、試料充填層の高さを100mmとした場合に、通常の高炉原料では900×105〜1000×105(K/m1.3)程度であり、数値が高いほど通気性が悪化することを意味する。実験の結果を図2および図3に示す。
図2は、金属鉄配合率と高温通気抵抗指数の関係を示す図である。同図の横軸は、実験に供した焼結鉱と還元鉄の総質量に対して、配合した還元鉄中に含まれる金属鉄の質量百分率を示す。図2に示すように、高温通気抵抗指数は、還元鉄1〜3のいずれの場合も、金属鉄配合率の増加に伴って低下した。
図3は、金属鉄配合率と溶け落ち開始温度の関係を示す図である。図3に示すように、溶け落ち開始温度は、還元鉄1、2の場合、金属鉄配合率の増加に伴って低下したが、還元鉄3の場合は、金属鉄配合率の増加に伴って上昇した。還元鉄3は、スラグ含有量が多く、スラグのCaO/SiO2が比較的高いため、初期融液生成温度が高くなることに起因して、金属鉄配合率の増加とともに溶け落ち温度が上昇することによる。還元鉄2は、スラグ含有量が還元鉄3と同等であるが、還元鉄3に比べてCaO/SiO2が1.50と低いため、金属鉄配合率の増加とともに滴下開始温度が低下することによる。
これらの実験結果から、下記(A)および(B)の知見が得られる。
(A)高温通気抵抗指数について
鉱石充填層内で還元鉄の金属鉄配合率が増加すると、高温通気抵抗指数KSは低下する。この傾向は、使用する還元鉄の金属鉄含有量、全鉄分含有量、スラグ量、および成分によらず同様に現れる。高炉の実操業において、通気抵抗の低減に有効なKSの低下幅は、約100であるため、図2に示す結果から、鉱石層中の金属鉄配合率を4質量%以上とするのが好ましい。
(B)滴下開始温度について
還元鉄の性状によって異なるが、少なくともスラグ含有量が多く、全鉄分含有量が低い還元鉄3は、滴下温度を上昇させてしまうため、不適当である。スラグ含有量が多い上に、スラグのCaO/SiO2が高いため、溶け落ち難いことによる。溶け落ち開始温度の低下を図るには、図3に示す結果から、還元鉄1、2を採用するのが有効であり、還元鉄中の全鉄分含有率が60質量%以上で、CaO/SiO2が1.5以下であることが好ましい。
2.SiO2系粉体の吹き込みによる鉱石溶け落ち開始温度低下
上記の高温荷重軟化滴下実験によって、融着帯下部からのSiO2系粉体の吹き込みが鉱石滴下開始温度に与える影響について調査した。
反応管内の試料充填層よりも下部側からノズルを挿入し、そのノズルを介して、粉体の吹き込みタンクから窒素気流中で搬送された粉体を上向きに吹き込み、充填層内に粉体を捕捉させた。粉体の吹き込み量は、吹き込みタンクの下部に設置されたスクリュー型切り出しフィーダーにより調整した。実験には、粒径を75μm以下に粉砕したSiO2系粉体を使用し、その粉体中のSiO2が8kg/pt(銑鉄1トン当たりの質量)相当となる吹き込み量で粉体を吹き込んだ。また、参考として、SiO2の吹き込み量が同様となる条件で、未燃焼微粉炭(C:54.8質量%、SiO2:5.52質量%)も使用した。
実験中、吹き込みは試料温度が1100℃から1200℃の間に開始し、5g/minで所定量を供給した。また、充填層を構成する鉱石は、含有スラグ量を一定としCaO/SiO2を1.6〜2.2まで変更した。実験の結果を図4に示す。
図4は、鉱石層中のCaO/SiO2と鉱石滴下開始温度(溶け落ち開始温度)の関係を示す図である。同図には、SiO2吹き込み量が8kg/pt相当の場合と、比較のために粉体吹き込みを無しとした場合の実験結果を示した。図4に示すように、鉱石層中のCaO/SiO2が低いほど滴下開始温度が低下し、さらに粉体の吹き込みによって滴下開始温度が低下した。この現象は以下の理由で起こると推察される。
吹き込んだSiO2粉が融着帯下面の溶融スラグに同化し、鉱石中のCaO/SiO2が実質的に低下する。すると、コークス粒子間に滞留していたスラグとの接触角が低下し、コークス充填層間でスラグが滴下を開始するため、従来滴下が起こる温度よりも低温で溶け落ち、すなわち滴下が開始する。
なお、参考として実施した未燃焼微粉炭吹き込みの場合も、SiO2で整理すると同一の結果であった。
図4に示す結果から、8kg/pt相当でSiO2を吹き込んだ場合は、粉体吹き込み無しの場合から80℃の溶け落ち開始温度の低下が確認できる。この低下幅は、CaO/SiO2が2.0のときを基準にすると、CaO/SiO2が1.5まで低下したときの滴下開始温度の低下幅と同等である。
このように鉱石の滴下開始温度が低下することは、融着帯を構成する鉱石がより低温で滴下することを意味するため、融着帯の下端温度が下がり、炉内では融着帯が上昇傾向になる。その際、融着帯の幅も縮小しているため、通気性に支障がなければ、装入コークスに対する鉱石の重量比を増加させ還元材比を低下させることができる。
但し、鉱石の滴下開始温度の低下幅が大き過ぎると、未還元のままスラグが流動化し、溶融FeOとコークスの直接還元反応が増加する。溶融FeOとコークスの直接還元反応は、吸熱反応であるため、この反応による還元反応割合が増加すると、高炉内では主に炉下部において、熱レベルが低下するおそれがある。
このため、鉱石の滴下開始温度の低下幅には最適な範囲が存在するといえる。高炉内反応、熱・物質収支を考慮した検討によれば、滴下開始温度の低下幅の最適範囲は、現状の典型的な高炉操業時の鉱石滴下開始温度に対して、50〜80℃である。したがって、図4から、SiO2の吹き込み量は5〜8kg/ptの範囲とするのが好ましい。
上記1、2の調査結果をまとめると、金属鉄を含む還元鉄を融着帯に混入させることで、融着帯の通気抵抗を効果的に低下させる状況下において、羽口から供給したSiO2源を融着帯下面に同化させることにより、溶融スラグの滴下を促進し、溶け落ち温度を低下させることができる。その際、融着帯高さをさらに低下させることにより、融着帯通気抵抗の低下と融着帯高さの低位維持の両立を図ることができ、通気抵抗が低い低還元材比の高炉操業を実現することができる。
3.還元鉄と鉱石の混合物の堆積位置
還元鉄と鉱石を混合した混合物は、高炉内で半径方向の全域にわたり装入して堆積させることができるが、特に、炉壁近傍の領域では局所的に融着帯幅が大きく、融着帯が炉内で最も低く位置している領域であるため、この領域に還元鉄と鉱石の混合物を堆積させるのが効果的である。高炉操業において低還元材比を指向し、炉内の熱レベルを低位にするため、鉱石融着帯高さを低下させる際に、融着帯幅が大きい領域が最下端となり、還元材比の下限を決定しているからである。
このことから、混合物を堆積させる位置は、炉壁から炉半径の50%までの領域とするのが好ましく、より好ましくは炉壁から炉半径の20%までの領域とする。
4.炭素を含む金属鉄含有還元鉄の有効性
還元材比を低下させる効果を一層引き出すには、鉱石に混合する還元鉄が炭素を含有することが有効である。このとき、焼結鉱に代表される高炉用鉱石系塊成鉱は、一般には強度を上げるために、微粉原料を成形した後に焼成しているが、炭素を含有する還元鉄の場合、成形後に焼成を行わない非焼成塊成鉱を用いるのが好ましい。
還元鉄として炭素を内装した非焼成塊成鉱を用い、上記の高温荷重軟化滴下実験を行った。実験で用いた還元鉄は、金属鉄含有量を30質量%で一定とし、内装する炭素量を最大で25質量%まで配合し、鉱石層中に30質量%混合した。実験の結果を図5に示す。
図5は、炭素配合率と高温通気抵抗指数および溶け落ち開始温度の関係を示す図である。同図の横軸は、実験に供した焼結鉱と還元鉄の総質量に対して、配合した還元鉄(非焼成塊成鉱)中に含まれる炭素の質量百分率を示す。図5に示すように、高温通気抵抗指数KSおよび溶け落ち開始温度は、いずれも、炭素配合率の増加に伴って低下する。
鉱石充填層中の還元鉄の炭素が1質量%以上に増加すると、KSは100以上低下し、高炉操業で効果を発揮する。鉱石充填層中の還元鉄の炭素が1質量%以上とは、本実験の場合、還元鉄中の炭素含有率で5質量%以上となる。したがって、高炉の実操業において、高温通気抵抗指数を有効に低下させるためには、還元鉄として炭素を内装した非焼成塊成鉱を使用し、還元鉄中で炭素を5重量%以上含有させるのが好ましい。但し、還元鉄としての非焼成塊成鉱は、炭素の内装とともに強度が低下するため、還元鉄中の炭素含有率を15質量%以下とするのが好ましい。
以上の調査結果をまとめると、炉頂から鉱石とコークスを装入し、羽口から粉体を吹き込む高炉操業において、鉄分が60質量%以上で、CaO/SiO2が1.5以下である還元鉄を鉱石に混合し、混合した還元鉄と鉱石の総質量に対し還元鉄中の金属鉄を4質量%以上とし、羽口から吹き込む粉体中のSiO2を銑鉄1トン当たり5kg以上8kg以下とすることにより、通気性の良好な低還元材比の高炉操業を実現することができる。また、高炉内に装入する還元鉄と鉱石の混合物は、炉壁近傍の領域に堆積させるのが効果的である。さらに、還元鉄として、炭素を5〜15質量%含有する非焼成塊成鉱を用いると、絶大な効果が発揮される。
以下に実施例を挙げて本発明の高炉の操業方法による効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
本発明の高炉の操業方法による効果を確認するため、高炉内の反応、流動、伝熱を考慮した高炉トータルシミュレーターを用いて検証計算を行った。鉱石層中の還元鉄の金属鉄配合率は、前記図2の実験結果に基づき、融着帯の高温通気抵抗指数KSの低下を踏まえて設定した。還元鉄のスラグ量、およびCaO/SiO2は、前記図3の実験結果に基づき、溶け落ち開始温度の低下を踏まえて設定した。吹き込む粉体中のSiO2の吹き込み量は、鉱石溶け落ち温度、すなわち融着帯下端温度の低下幅を踏まえて設定した。そして、炉内の圧力損失、すなわち(送風圧)−(炉頂圧)と、還元材比とを算出した。表1に計算結果を示す。
Figure 0005453972
同表から次のことが示される。
ベースでは、微粉炭を124kg/ptとして吹き込み、微粉炭の灰分が9質量%、灰分中のSiO2が45質量%とすると、羽口からのSiO2吹き込み量は、5kg/ptであった。比較例1、2では、還元鉄の含有鉄分が低いか、含有スラグのCaO/SiO2が高いため、鉱石層中の還元鉄の金属鉄配合率が4質量%でも、ベースに対し圧力損失が上昇した。
実施例1では、還元鉄の含有鉄分が62質量%で、含有スラグのCaO/SiO2が1.4であり、いずれも本発明で規定する条件を満足するため、ベースに対し、還元材比と圧力損失の低下が確認できた。
比較例3では、SiO2吹き込み量を無くし、この条件が本発明の規定範囲を下回るため、溶け落ち温度がベースより50℃上昇し、これに伴う炉下部の熱交換の低下により、実施例1と比較して、還元材比が2kg/pt上昇し、圧力損失が上昇した。比較例4では、SiO2吹き込み量を10kg/pt相当とし、この条件が本発明の規定範囲を超えるため、実施例1と比較して、溶け落ち温度が100℃低下し、これに伴う熱不足により、還元材比が著しく上昇した。
実施例2、3では、実施例1に対して、鉱石層の堆積位置をそれぞれ炉壁から炉半径の50%、20%の領域に変更し、還元材比と圧力損失の低下が確認できた。特に、鉱石層の堆積位置を炉壁のより近傍に限定した実施例3では、その効果が著しくなった。これは、融着帯形状が炉壁の近傍で垂れ下がっているため、局所的な分布の改善により、融着帯の形状がやや平坦化し、炉内の反応効率が向上した結果である。
実施例4では、還元鉄中に炭素を含有させた。すなわち、炭素含有率が6.3質量%の非焼成塊成鉱を還元鉄として鉱石に16質量%混合し、これにより、鉱石層中の還元鉄の炭素が1質量%とした結果、還元材比が低下し、圧力損失も低下した。
本発明の高炉の操業方法によれば、炉頂から鉱石を装入する際、鉄分が60質量%以上で、CaO/SiO2が1.5以下である還元鉄を鉱石に混合し、混合した還元鉄と鉱石の総質量に対し還元鉄中の金属鉄を4質量%以上とし、さらに、羽口から粉体を吹き込む際、粉体中のSiO2を5kg/pt以上8kg/pt以下とすることにより、融着帯通気抵抗の低下と融着帯高さの低位維持の両立を図ることができ、通気性の良好な低還元材比の高炉操業を実現することができる。

Claims (3)

  1. 炉頂から鉱石とコークスを装入し、羽口から粉体を吹き込む高炉の操業方法において、
    鉄分が60質量%以上で、CaOとSiO2の質量含有率の比(CaO/SiO2)が1.5以下である還元鉄を前記鉱石に混合し、混合した前記還元鉄と前記鉱石の総質量に対し前記還元鉄中の金属鉄を4質量%以上14質量%までとし、前記羽口から吹き込む前記粉体中のSiO2を銑鉄1トン当たりで5kg以上8kg以下とすることを特徴とする高炉の操業方法。
  2. 前記還元鉄と前記鉱石の混合物を炉壁から炉半径の20%までの領域に堆積させることを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 前記還元鉄として、炭素を5〜15質量%含有する非焼成塊成鉱を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の高炉の操業方法。
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