JP2014031526A - 金属材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化物含有燃焼灰付着下で優れた高温耐食性を有する金属材料を提供する。
【解決手段】金属材料の化学組成が、質量%で、C:0.005〜0.025%、Si:0.05〜1.5%、Mn:0.05〜2%、P:0.035%以下、S:0.01%以下、Cu:0.01〜1.5%、Cr:18〜21.5%、Ni:23〜30%、sol.Al:0.03%を超えて0.15%以下、Ti:0.1%以下、N:0.11〜0.2%、O:0.001〜0.05%を含有するとともに、Zn:0.005%以下、Sn:0.015%以下およびPb:0.001%以下から選択される1種以上を、0.001≦2×Zn+Sn+10×Pb≦0.025を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなる金属材料。
ただし、上記の式中の各元素記号は、金属材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属材料に係り、特に、塩化物含有燃焼灰付着下での高温耐食性に優れた金属材料に関する。
近年、未利用エネルギーの有効利用を促進するため、廃棄物発電が行われている。廃棄物発電とは、都市ごみおよび産業から生まれる廃棄物(以下、「廃棄物」と総称する。)の焼却に伴い発生する廃熱をボイラで蒸気回収した後に、運動エネルギーに変換することで発電を行うものである。廃棄物発電ボイラの蒸気温度は従来300℃程度であったが、1990年代の後半から350〜400℃での運転が始まっている。さらなる熱効率の向上を目指し、最近では400℃を超える高温化が検討され始めている。
また、地球温暖化問題を背景としてCO排出の抑制が急務となっており、電力供給源を再生可能エネルギーへと転換する必要性が活発に議論されている。その一環として、バイオマスを燃料とした発電が進められている。バイオマスを燃焼させる方法として、バイオマス燃料のみを燃焼させる専焼、石炭火力発電に混ぜて燃焼させる混焼が挙げられる。後者では蒸気温度が600℃にも達するため、これまでより高温耐食性に優れる金属材料が必要となる。
特許文献1および2には、溶接性と高温強度の良好なオーステナイト鋼が開示されている。また、特許文献3には、耐石炭灰腐食性に優れるボイラ用オーステナイト鋼管が開示されている。さらに、特許文献4には、Si含有量の少ない高強度オーステナイト系耐熱鋼が開示され、特許文献5には、溶接性に優れ、耐高温腐食特性が良好な高強度オーステナイト系耐熱鋼が開示されている。
また、廃棄物発電ボイラのような塩化物を含有する燃焼灰付着下における高温耐食性を高めるための技術についても種々の提案がなされている。特許文献6には、ごみ焼却炉の廃熱ボイラ管用高合金鋼が開示されている。また、特許文献7には、耐食性に優れた焼却炉体および焼却炉付帯設備が開示されている。
特開昭59−59863号公報 特開昭59−64752号公報 特開昭63−33549号公報 特開昭64−11950号公報 特開平6−322488号公報 特開平4−350149号公報 特開2000−213721号公報 特開2009−084606号公報
特許文献1および2に記載の発明は、鋼中のPおよびS含有量を制限することで溶接性を改善するものである。しかしながら、高温耐食性に影響する元素の制御については検討されておらず、高温耐食性は必ずしも十分とはいえない。特許文献3に記載の発明は、石炭灰環境、すなわちSが関与するガスまたは燃焼灰環境での高温耐食性を改善するため、CrおよびNiの含有量を高めるものであるが、微量元素の適切な制御はなされておらず、高温耐食性とりわけ本発明が対象とする廃棄物発電またはバイオマス発電のボイラ環境における高温耐食性について何ら配慮されていない。特許文献4に記載の発明は、高温強度を高めるためにSi含有量を制限するものであり、また、特許文献5に記載の発明は、高温強度を高めるためにWを含有させるものである。しかしながら、これらの耐熱鋼は高温耐食性に優れるものではない。
特許文献6に記載の発明は、高温耐食性を高めるためにNi含有量を高めるものであり、さらに、同時に起こりうる応力腐食割れ感受性を低減するためのMo適正範囲を規定している。本合金鋼は本発明が対象とする環境における高温耐食性が優れた合金鋼であるものの、Ni含有量が非常に高いため経済性の面で好ましくなく、改善の余地が残されている。特許文献7に記載の発明は、Moを含有することで高温耐食性を高めるものであるが、十分な高温耐食性を発揮するものではない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、塩化物含有燃焼灰付着下で優れた高温耐食性を有する金属材料を提供することを目的とする。
塩化物含有燃焼灰付着下における高温耐食性を向上させるには、Ni含有量を高めることが有効である。しかしながら、同時にコスト増を招くことになり、費用対効果の点で必ずしも得策ではない。そこで、本発明者らは、経済性を念頭に置きながら、上記問題の解決のため鋭意研究を重ねた。
その結果、不純物元素として金属材料中に混入するZn、SnおよびPbを低減させることで、Ni含有量を高めなくとも優れた高温耐食性を発揮することが明らかになった。
Zn、SnおよびPbは通常不純物として扱われ、金属材料の性能への影響を詳細に調べた例は少ない。例えば、特許文献8では、延性および靱性の点から検討を重ね、P、S、Sn、Pb、Sb、ZnおよびAsといった金属元素が凝固時に粒界等に偏析して割れを誘発し、それが延性および靱性を阻害することを見出している。本研究においても合金開発の成分設計に対し意識されていない微量に混入する元素の挙動を鋭意研究した。その結果、Zn、SnおよびPbのそれぞれ混入量によって高温耐食性が大きく依存することが初めて明らかとなった。その理由として、以下の2つが考えられる。
(a)Zn、SnおよびPbは、塩化物含有燃焼灰が存在する高温環境において、塩化物含有燃焼灰および/またはガス中の塩素系分子と反応して低融点の塩化物を作る。
(b)Zn、SnおよびPbは、蒸気圧が高いため、容易に蒸発する。
高温環境下で、金属表面に保護性酸化皮膜を均一に形成することが、耐食性向上の手法の1つであるが、このような低融点塩化物の存在および蒸発は、酸化皮膜の保護性を著しく劣化させる。さらに、このような元素が金属中に微量に存在しているにも関わらず、大きな影響をもたらした理由として、これら元素の物性が関係しているものと考えられる。
Zn、SnおよびPbは、表面エネルギーの小さい元素であり、その結果、表面または界面に原子層厚さで偏析する。すなわち、金属材料が高温環境に曝されると、金属表面に酸化皮膜を形成するが、同時に酸化皮膜と金属との界面にこれら元素が偏析するのである。偏析濃度は金属中の含有量よりはるかに大きく、結果として塩素との反応による保護性酸化皮膜の劣化が顕著となると考えられる。
一方、Zn、SnおよびPbは、露点腐食に対し効果を有する。これら元素は、プラント停止等におけるガス成分が凝縮水となる状況において腐食を抑制する。そのため、Zn、SnおよびPbの含有量を低く制限するだけでなく、合計量として表面偏析の大きさを考慮した2×Zn+Sn+10×Pbで表される値を、0.001%以上とする必要がある。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記の金属材料を要旨とする。
(1)金属材料の化学組成が、質量%で、C:0.005〜0.025%、Si:0.05〜1.5%、Mn:0.05〜2%、P:0.035%以下、S:0.01%以下、Cu:0.01〜1.5%、Cr:18〜21.5%、Ni:23〜30%、sol.Al:0.03%を超えて0.15%以下、Ti:0.1%以下、N:0.11〜0.2%、O:0.001〜0.05%を含有するとともに、Zn:0.005%以下、Sn:0.015%以下およびPb:0.001%以下から選択される1種以上を、下式(i)および(ii)を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなることを特徴とする金属材料。
F1=2×Zn+Sn+10×Pb ・・・(i)
0.001≦F1≦0.025 ・・・(ii)
ただし、上記の式中の各元素記号は、金属材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
(2)Feの一部に代えて、質量%で、さらに下記の第1グループから第5グループまでに示す1種以上の元素を含有することを特徴とする上記(1)に記載の金属材料。
第1グループ:Co:5%以下、
第2グループ:Mo:4.5%以下およびW:4.5%以下、
第3グループ:Nb:1%以下およびV:1%以下、
第4グループ:B:0.05%以下、Mg:0.05%以下、Ca:0.05%以下、Zr:0.2%以下およびHf:0.2%以下、ならびに
第5グループ:Y:0.05%以下、La:0.05%以下、Ce:0.05%以下およびNd:0.05%以下。
(3)400℃を超える蒸気温度となるボイラの燃焼ガス雰囲気中で使用されることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の金属材料。
本発明によれば、燃焼ガス雰囲気中で塩化物を含有する燃焼灰が付着する部材において優れた耐食性を発揮する金属材料を得ることができる。したがって、本発明に係る金属材料は、都市ごみ、産業廃棄物、バイオマス等を燃焼するプラントにおいて、エネルギー回収を目的として設置されるボイラ用材料として好適である。
1.化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において、各元素の含有量の「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.005〜0.025%
Cは高温耐食性を向上させるのに重要な元素の1つである。また、炭化物が析出することによって、高温での引張り強さおよび高温クリープ強度を高める効果を有する。そのため、高温で使用する金属材料は、C含有量を高くするのが一般的である。しかしながら、本発明が対象とする塩化物含有燃焼灰付着下では、Cが塩化物含有燃焼灰と反応して、金属材料の粒界に沿った腐食を引き起こす。これはCr含有量が少ない金属材料に特に顕著であり、一般の高温用材料とは異なる成分設計を要する。そのため、本発明ではC含有量を0.025%以下に制限する。一方、極端にC含有量を下げることは、高温強度を確保できないばかりか、精錬時のコスト増を招くため、C含有量は0.005%以上とする。C含有量は0.008%以上であるのが好ましい。また、C含有量は0.023%以下であるのが好ましく、0.020%以下であるのがより好ましい。
Si:0.05〜1.5%
Siは一般的に高温における耐酸化性を高める元素である。この効果を発揮させるためには、0.05%以上のSiを含有させる必要がある。一方、1.5%を超える量のSiを含有させると脆化相の析出を促進し、高温クリープ強度が低下する。したがって、Si含有量は0.05〜1.5%とする。Si含有量は0.1%以上であるのが好ましく、0.7%以下であるのが好ましい。
Mn:0.05〜2%
Mnは脱酸能力を有するほか、加工性および溶接性を向上させる元素であるので、0.05%以上含有させる。また、Mnはオーステナイト生成元素であることから、Niの一部をMnで置換することも可能である。ただし、過剰に含有させると酸化皮膜の保護性能を阻害することから、Mnの含有量は0.05〜2%とする。Mn含有量は0.1%以上であるのが好ましく、0.3%以上であるのがより好ましい。また、Mn含有量は1.5%以下であるのが好ましく、1.2%以下であるのがより好ましい。
P:0.035%以下
Pは不純物として不可避的に混入するが、その量が過剰であると熱間加工性および溶接性を低下させるので、Pの含有量は0.035%以下とする。P含有量は0.03%以下であるのが好ましい。
S:0.01%以下
Sは、Pと同様に、不純物として不可避的に混入するが、その量が過剰であると熱間加工性および溶接性を低下させるので、Sの含有量は0.01%以下とする。S含有量は0.005%以下であるのが好ましく、0.002%以下であるのがより好ましい。
Cu:0.01〜1.5%
Cuは高温クリープ強度を向上させるのに有効な元素である。さらに、塩化物含有燃焼灰付着下ではNiと同様に、腐食速度を低下させる効果を発揮する。そのため、Cuは0.01%以上含有させる必要がある。しかしながら、過剰に含有させると延性を損なうので1.5%以下とする。Cu含有量は0.05%以上であるのが好ましい。また、Cu含有量は1.3%以下であるのが好ましく、0.5%以下であるのがより好ましい。
Cr:18〜21.5%
Crは高温での耐酸化性の改善および塩化物含有燃焼灰付着下の高温耐食性の向上に有効な元素である。これらの効果を発揮させるためには、18%以上のCrを含有させる必要がある。一方、21.5%を超えて含有させると組織安定性を損ない、脆化相が析出することで高温クリープ強度を低下させる。したがって、Cr含有量は18〜21.5%とする。Cr含有量は18.5%以上であるのが好ましく、21.0%以下であるのが好ましい。
Ni:23〜30%
NiはCuと同様に、オーステナイト形成元素であり、高温における引張り強さおよび高温クリープ強度を高める。さらに、塩化物含有燃焼灰付着下ではCuと同様に、腐食速度を低下させる効果を発揮する。そのため、23%以上のNiを含有させる必要がある。しかしながら、30%を超えて含有させてもコスト増を招くだけでなく、かえって高温クリープ強度を低下させる。したがって、Ni含有量は23〜30%とする。Niは25%を超えて含有させるのが好ましい。また、Ni含有量は28%以下であるのが好ましい。
sol.Al:0.03%を超えて0.15%以下
sol.Alは高温環境における水蒸気酸化特性を向上させる効果を有する。この効果を得るためには、0.03%を超える量のsol.Alを含有させる必要がある。一方、多量に含有させるとHAZ割れ感受性を高め、さらにクリープ延性も低下させるため、その含有量を0.15%以下に制限する。Al含有量は0.035%以上であるのが好ましく、0.04%以上であるのがより好ましい。また、Al含有量は0.1%以下である好ましく、0.09%以下であるのがより好ましい。
Ti:0.1%以下
Tiは析出強化によるクリープ強度向上に有効な元素であるが、Alと同様に金属間化合物を析出する、および/または炭化物を析出することでHAZ割れ感受性を高め、さらにクリープ延性も低下させる。HAZ割れ感受性を抑制するには、Tiの含有量を可能な範囲で制限して粒内への金属化合物および炭化物の析出を少なくすることが有効である。そのため、本発明では、その含有量を0.1%以下に制限する。Ti含有量は0.08%以下であるのが好ましく、0.06%以下であるのがより好ましい。なお、上記のクリープ強度向上効果を得たい場合は、0.005%以上のTiを含有させるのが好ましい。
N:0.11〜0.2%
Nはオーステナイト形成元素であり、コスト高となるNi成分の一部を置換することで高温における引張り強さおよび高温クリープ強度を高める効果を有する。さらに、炭窒化物による析出強化を活用することで、さらに高温クリープ強度を向上させる。これらの効果を得るには、0.11%以上のNを含有させる必要がある。しかしながら、Nの含有量が0.2%を超えると加工性を阻害する。したがって、Nの含有量は0.11〜0.2%とする。N含有量は0.11%以上であるのが好ましく、0.12%以上であるのがより好ましい。また、N含有量は0.18%以下であるのが好ましく、0.17%以下であるのがより好ましい。
O:0.001〜0.05%
Oは金属材料を溶製する際に原料等から混入してくる不純物元素である。酸化物系介在物が微細分散することで結晶粒が微細化され靱性および水蒸気酸化特性を向上させる。この効果を得るためには、0.001%以上のOを含有させる必要がある。一方、0.05%を超えて含有させると、鋼中に酸化物系介在物が多量存在し、加工性が低下するほか、金属材料表面の疵の原因になる。したがって、O含有量は0.001〜0.05%とする。O含有量は0.002%以上であるのが好ましく、0.03%以下であるのが好ましい。
Zn:0.005%以下
Sn:0.015%以下
Pb:0.001%以下
Zn、SnおよびPbの含有量を低く制限することは、本発明において高温耐食性を向上させるために最も重要である。Zn、SnおよびPbは溶解時に不純物として不可避的に混入し、塩化物含有燃焼灰付着下の高温耐食性を著しく劣化させる。これら元素は、高温使用中に金属材料表面生成する酸化皮膜と金属との界面に偏析し、反応により塩化物を形成する。その結果、酸化皮膜の保護性を低下させる。これら悪影響を改善するため、それぞれの含有量を、Zn:0.005%以下、Sn:0.015%以下およびPb:0.001%以下とする。Zn含有量は0.004%以下であるのが好ましく、Sn含有量は0.012%以下であるのが好ましく、Pb含有量は0.0008%以下であるのが好ましい。
一方、これら元素を微量含有させることで、凝縮水環境における耐食性を改善する効果を発揮させることができる。そのため、Zn、SnおよびPbから選択される1種以上をそれぞれ、Zn:0.0005%以上、Sn:0.001%以上およびPb:0.0001%以上含有させるのが好ましい。
F1=2×Zn+Sn+10×Pb
0.001≦F1≦0.025
高温耐食性を向上させるためには、上記の各元素の含有量を規定するのみでなく、合計量として表面偏析の大きさを考慮した2×Zn+Sn+10×Pbで表されるF1値を0.025%以下とする必要がある。F1値は0.020%以下であるのが好ましい。なお、上記の式中の各元素記号は、金属材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
また、上述のように、Zn、SnおよびPbを微量含有させることで、凝縮水環境における耐食性を改善する効果を発揮させることができるため、F1値を0.001%以上とする必要がある。F1値は0.002%以上であるのが好ましい。
本発明に係る金属材料は、上記の各元素を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するものである。ここで「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。本発明に係る金属材料は、さらにその強度、延性および靱性を向上させるために、Feの一部に代えて、下記の第1グループから第5グループまでに示す1種以上の元素を含有しても良い。
第1グループ:
Co:5%以下
Coはオーステナイト相を安定にする作用を有するため、Ni成分の一部を置換することができるので、必要に応じて含有させても良い。ただし、含有量が5%を超えるとコスト増を招くほか、熱間加工性も低下する場合があるので、含有させる場合のCo含有量は5%以下とする。Co含有量は3%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合は0.01%以上のCoを含有させるのが好ましい。
第2グループ:
Mo:4.5%以下
W:4.5%以下
MoおよびWはいずれも固溶強化元素であるため、その1種または2種を、必要に応じて含有させても良い。ただし、これらの含有量がそれぞれ4.5%を超えると加工性を低下させる場合がある。したがって、含有させる場合のMoおよびWの含有量はそれぞれ4.5%以下とする。MoおよびWの含有量はそれぞれ4.2%以下であるのが好ましい。これらの元素のうちの2種を含有させる場合には、合計含有量を8%以下とするのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、MoおよびWの少なくともどちらか一方を0.01%以上含有させるのが好ましい。
第3グループ:
Nb:1%以下
V:1%以下
NbおよびVは、いずれも炭窒化物として析出し、高温クリープ強度を向上させる。これらのうちの1種または2種を必要に応じて含有させても良い。ただし、これらの含有量がそれぞれ1%を超えると溶接性を低下させる場合がある。したがって、含有させる場合のNbおよびVの含有量はそれぞれ1%以下とする。NbおよびVの含有量はそれぞれ0.6%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、NbまたはVの少なくともどちらか一方を0.01%以上含有させるのが好ましい。
第4グループ:
B:0.05%以下
Mg:0.05%以下
Ca:0.05%以下
Zr:0.2%以下
Hf:0.2%以下
これらは、いずれも熱間加工性を向上させる作用を有するため、これらから選択される1種以上を必要に応じて含有させても良い。ただし、B、MgおよびCaを含有させる場合には、それらの含有量がそれぞれ0.05%を超えると溶接性およびクリープ延性を低下させる場合があるので、それらの含有量はそれぞれ0.05%以下とする。また、Zrを含有させる場合には、その含有量が0.2%を超えると酸化物または窒化物を形成して、クリープ延性を低下させる場合があるので、その含有量は0.2%以下とする。さらに、Hfを含有させる場合には、その含有量が0.2%を超えると酸化物を形成して、加工性および溶接性を低下させる場合があるので、その含有量は0.2%以下とする。なお、上記のB、MgまたはCaの効果を得たい場合には、0.0005%以上含有させるのが好ましい。また、上記のZrまたはHfの効果を得たい場合には、0.001%以上含有させるのが好ましい。
第5グループ:
Y:0.05%以下
La:0.05%以下
Ce:0.05%以下
Nd:0.05%以下
Y、La、CeおよびNdは、いずれも酸化皮膜の保護性を高め、耐酸化性および高温耐食性を向上させる作用を有するため、これらから選択される1種以上を必要に応じて含有させても良い。ただし、これらの元素の含有量が0.05%を超えると加工性を低下させる場合がある。したがって、含有させる場合のY、La、CeおよびNdの含有量は0.05%以下とする。Y、La、CeおよびNdの含有量はそれぞれ0.04%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、0.0005%以上含有させるのが好ましい。
2.製造方法および用途
本発明に係る金属材料は、溶解に使用する原料、特にスクラップ等の原料に対し、高精度の分析を実施して、不純物中のZn、SnおよびPbの含有量が、前述のZn:0.005%以下、Sn:0.015%以下、Pb:0.005%以下を満足するものを抽出し、電気炉、AOD炉、VOD炉、VIM炉等を用いて溶解することで製造することができる。
本発明に係る金属材料は溶解後に、鋳造、熱間加工、冷間加工、溶接等の手段によって、厚板、薄板、継目無管、溶接管、鍛工品、線材等の所望の形状に成形することができる。また、粉末冶金、遠心鋳造等の手法によって所望の形状に成形することもできる。最終熱処理を施した後の金属材料表面に対しては、酸洗、ショットブラスト、ショットピーニング、機械切削、グラインダ研磨、電解研磨等の表面加工処理を施すことができる。
さらに、本発明に係る金属材料は、各種炭素鋼、ステンレス鋼、Ni基合金、Co基合金、Cu合金等と組み合わせて、所望の形状に成形することができる。この場合、本発明に係る金属材料と各種鋼もしくは合金との接合法に制約はなく、例えば、圧接、“かしめ”等の機械的接合、溶接、拡散処理等の熱的接合等を施した形状とすることも可能である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成の金属材料を、高周波加熱真空炉を用いて溶製し、熱間鍛造および熱間圧延を行って、板厚6mmの金属板を作製した。金属板は、熱処理温度1100〜1230℃、熱処理時間3〜10分の条件で固溶化熱処理を行い、金属板の一部を切断して試験片を製作した。
Figure 2014031526
表1に記載の金属材料から、板厚3mm、幅15mm、長さ15mmの試験片を切り出した。この試験片表面にCaSO−2.5mol%KClの模擬燃焼灰を塗布(付着)した。試験片を炉内に設置後、体積比で4.5%O−13.5%CO−7%HO−bal.Nガス雰囲気中、650℃で等温保持し、1週間経過後に取り出した。試験片表面に付着する燃焼灰を除去後、クエン酸溶液およびアルカリ溶液中に浸し表面酸化皮膜および腐食生成物を化学的に除去した。その後、秤量を行い、腐食試験前の重量からの減量を求め、試験片表面積で除した値を腐食減量(mg/cm)として求めた。この結果を表2にまとめて示す。腐食減量が25mg/cm以下のものを高温耐食性に優れると判断した。
Figure 2014031526
表2から、比較例であるNo.19〜29の金属材料のうち、本発明で規定する範囲から、Zn含有量およびF1値が外れるNo.19、Sn含有量が外れるNo.20、Pb含有量が外れるNo.21、Zn含有量、Sn含有量およびF1値が外れるNo.22、F1値が外れるNo.23、Cr含有量、Sn含有量およびF1値が外れるNo.28、ならびに、Ni含有量、Zn含有量およびF1値が外れるNo.29の金属材料は、いずれも腐食減量が大きい。また、本発明で規定する範囲から、Cr含有量が外れるNo.24、Ni含有量が外れるNo.25、C含有量が外れるNo.26、Si含有量が外れるNo.27の金属材料も、いずれも腐食減量が大きい。したがって、これらの本発明で規定する条件を満足しない金属材料は、塩化物含有燃焼灰付着下において高温耐食性に劣っている。一方、本発明例であるNo.1〜18の金属材料は、いずれも腐食減量が25mg/cm以下であり、高温耐食性に優れることが分かる。
本発明によれば、燃焼ガス雰囲気中で塩化物を含有する燃焼灰が付着する部材において優れた耐食性を発揮する金属材料を得ることができる。したがって、本発明に係る金属材料は、都市ごみ、産業廃棄物、バイオマス等を燃焼するプラントにおいて、エネルギー回収を目的として設置されるボイラ用材料として好適である。

Claims (3)

  1. 金属材料の化学組成が、質量%で、C:0.005〜0.025%、Si:0.05〜1.5%、Mn:0.05〜2%、P:0.035%以下、S:0.01%以下、Cu:0.01〜1.5%、Cr:18〜21.5%、Ni:23〜30%、sol.Al:0.03%を超えて0.15%以下、Ti:0.1%以下、N:0.11〜0.2%、O:0.001〜0.05%を含有するとともに、Zn:0.005%以下、Sn:0.015%以下およびPb:0.001%以下から選択される1種以上を、下式(i)および(ii)を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなることを特徴とする金属材料。
    F1=2×Zn+Sn+10×Pb ・・・(i)
    0.001≦F1≦0.025 ・・・(ii)
    ただし、上記の式中の各元素記号は、金属材料中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、さらに下記の第1グループから第5グループまでに示す1種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の金属材料。
    第1グループ:Co:5%以下、
    第2グループ:Mo:4.5%以下およびW:4.5%以下、
    第3グループ:Nb:1%以下およびV:1%以下、
    第4グループ:B:0.05%以下、Mg:0.05%以下、Ca:0.05%以下、Zr:0.2%以下およびHf:0.2%以下、ならびに
    第5グループ:Y:0.05%以下、La:0.05%以下、Ce:0.05%以下およびNd:0.05%以下。
  3. 400℃を超える蒸気温度となるボイラの燃焼ガス雰囲気中で使用されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属材料。
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